2018年07月09日

≪お知らせ≫7・13講演会:自衛隊が戦争に征くとき─この危ない実態を抉る─

南スーダンの首都ジュバでは、何が起きていたのか。
隠蔽された活動の記録・日報を詳細にトレースし、
自衛隊のPKO活動が直面した戦場の実態を明かす。
日本を「戦争する国」へと駆り立てる
安倍政権の暴走に警鐘を乱打する!

講師:布施祐仁 氏(ジャーナリスト、「平和新聞」編集長)
略歴:1976年、東京都生まれ。『ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』(岩波書店)でJCJ賞を受賞。著書に『日報隠蔽─南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(集英社)など。
日時:7月13日 (金)18時30分開会(18時15分開場)
場所:YMCAアジア青少年センター 3階会議室
〒101-0064 東京都千代田区猿楽町 2 - 5 - 5 ☎ 03-3233-0611
アクセス地図 http://www.ayc0208.org/hotel/jp/access-access.html
参加費:800円(会員・学生500円)

《主催》 日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
〒101-0051千代田区神田神保町1-18-1 千石屋ビル402号
03-3291-6475 fax03-3291-6478
メールアドレス:office@jcj.sakura.ne.jp
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2018年07月08日

【今週の風考計】7.8─貿易戦争と「スムート・ホーリー法」の教訓

<貿易戦争>が深刻になっている。トランプ大統領が踏み切った中国に対する制裁関税は、年間で340億ドル(約3.7兆円)、中国も負けじと米国に同規模の報復関税をかける選択に踏み切った。
これだけで済まない。さらにトランプ大統領は、20日ごろを視野に、第2弾の160億ドル(約1.8兆円)分の追加制裁を発動する。ゆくゆくは5000億ドル(約55兆円)規模にまで追加制裁を拡大する方針だ。

こうなれば中国ならずとも、世界各国が反発するのは必定である。WTOルールを無視して制裁に走るトランプ政権の「ディール」外交が、報復が報復を呼び、中国だけでなく、EUやカナダ、ロシアといった国からまで反発され、報復関税に踏み切らざるを得ない誘引剤をバラ撒いている。
11月の中間選挙、2年後の大統領選での再選を視野に、自己チュウ極まりない経済政策は、「自分の足をピストルで撃つ」(寺島実郎)結果になるのは目に見えている。共和党のトランプ大統領は、まず自国の歴史の教訓に学ぶがよい。

浜矩子氏が指摘しているのだが、「スムート・ホーリー法」である。1930年に米国の共和党フーバー政権下で成立した関税法である。1929年に始まった大恐慌にどう対処するか、フーバー大統領は、国内産業保護のため、農作物など2万品目の輸入品に、平均50%引き上げの関税を課した。これに対し多くの国が報復措置として米国商品に高い関税をかけたため、ますます世界貿易が停滞し、あの大恐慌をいっそう深刻化させたのである。
4年後には民主党のルーズベルト大統領が、この法を葬る「互恵通商協定」を成立させた。すなわち相互に市場を開放し、今あるところのWTOルールに従って貿易はしましょう、ということである。

教訓に学ばざる者は、木から落ちる猿の如し。(2018/7/8)
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2018年07月06日

≪リレー時評≫ ひとり出版社から本の大切さを学ぶ=守屋龍一(JCJ代表委員)

  絵本『花ばぁば』(クォン・ユンドク絵/文)が、4月末に出版された。日本軍「慰安婦」にされた韓国人女性シムさんの物語である。彼女の好きだった花を、著者は水彩タッチで描き、全42ページを使って展開する〈恐ろしい話〉の絵の周囲に、今は亡き彼女の霊を癒すように散りばめている。
  声高に叫ぶのでなく、淡い色の滲む絵が、戦時性暴力に対する深い洞察へと昇華されていく。読後、熱き想いに浸された。
 この絵本を出版した、ひとり出版社「ころから」(東京都北区赤羽)を訪ねた。代表の木瀬貴吉さんは、
  「ある出版社でとん挫した翻訳刊行を、うちで手掛けることになったんです。だが多額な製作費の捻出に困り、今年の1月、製作費の一部をクラウド・ファンディングで募ったところ、開始から4日目で目標額95万円を突破、最終的には202人188万円の資金が寄せられた。お蔵入りの危機を救ったのは、日本の良心ある人達でした」
  と、述懐する。

  木瀬さんは、ピーズボードの事務局で15年、その後、出版社で3年修行し、2013年1月に「ころから」を起ちあげた。〈コロから車輪へ〉と発展するよう願っての命名という。
  2014年3月11日刊の加藤直樹『九月、東京の路上で─1923年関東大震災ジェノサイドの残響』が評判となり、今や6刷まできた。
  木瀬さんは「直に介入する官庁がない出版はフェアな業界、まず企画で勝負、資本の大きさではない」と言うものの、「『花ばぁば』を置いてくれる書店が極めて少ない」事態には、眉をしかめる。
  始業して5年、21点刊行、順調に進級している。

  一方、4月末、ひとり出版社「リベルタ出版」(東京都千代田区猿楽町)が、31年の出版活動に幕を下ろした。このほど代表・田悟恒雄さんの慰労を兼ねた卒業式≠ェ、後楽園「涵徳亭」で賑やかに行われた。
  田悟さんは大月書店の編集者を経て、イタリアのマルクス主義思想家アントニオ・グラムシ『獄中ノート』(校訂版)を翻訳刊行したく、1987年9月に創業。社名もイタリア語の自由=リベルタからとっている。
  だが最初に刊行したのは、前年に起きたチェルノブイリ原発事故がテーマの、ウラジーミル・グーバレフ『石棺─チェルノブイリの黙示録』。以後、年間ほぼ6冊、原発・環境・メディアを柱に約210点を刊行してきた。田悟さんは言う。
  「他人に迷惑をかけず、本カバーのPP貼りを止めるなど環境に負荷をかけず、ひとりでどこまでできるか、これを目標にやってきた」。さらに「出版とは自己実現の手段であり、人と人との出会いを媒介する重要な仕事。そこから生み出される豊かな関係は、カネで贖えるものではない」と。
  ひとり出版社の2人の歩みを聞かせていただくと、出版の大切さが身に染みる。
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2018年07月05日

≪おすすめ本≫ 白井 聰『国体論 菊と星条旗 』菊と星条旗の結合を通して戦後の対米隷属・日本の「国体」が誕生=鈴木 耕(編集者)

 正直に言って、私は「国体」など考えたことがなかった。敗戦と同時に消え失せたものとばかり思っていた。天皇が「統帥権」を喪失した段階で、国体は「国民体育大会」の略称に萎んだはずだった。ところが本書を読んで考え込んでしまった。
 現代日本の対米隷属のあまりの惨状を読み解くには、ピッタリな言葉がこれだったのだ。なぜ日本がかくまで星条旗に跪くのか。それを誰も不思議に思わぬばかりか、沖縄の米軍基地強化にみられるように、なぜ次々に貢物を差し出すのか。「天皇」の代替に「米国」を数式に代入してみれば、その疑問は解けていく。だが事は単純じゃない。

 天皇自身が、現在の政権(安倍と言い換えても可)への闘争宣言ともいえる「お言葉」を、なぜ発しなければならなかったか、解読が鮮やかだ。
 明治という近代国家の形成期を過ぎ、天皇と臣民という疑似家族がつくられ、やがてそれは「国体」として絶対服従のシステムの構築に至る。統治機能の絶対化である。
 ところが敗戦により、もろくも崩れ去る。「第四章 菊と星条旗の結合」で、「戦後の国体の起源」という新しい視座が示される。この辺りから、私は目が離せなくなった。

 つまり「アメリカの日本」としての「戦後の国体」という選択こそが、この異様なほどの対米隷属日本の在り様に、そしてついに「発狂した奴隷たち」と、為政側にある人達への痛烈な批判に辿り着く。いま憲法9条と日米安保体制の狭間の矛盾が火を吹きだしている。
(集英社新書940円)
「国体論」.jpg
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2018年07月01日

【今週の風考計】7.1─アンダルシアからカタルーニャを旅して

◆中道左派のサンチェス政権が誕生して間もないスペインを、<キホーテと女サンチョ>さながらに、妻と共に10日ほど旅してまわった。

◆マドリードではソフィア王妃芸術センターで、パブロ・ピカソの「ゲルニカ」に再会した。もう防弾ガラスはない。原田マハ『暗幕のゲルニカ』(新潮文庫)を思い浮かべ、フランコ将軍の意を汲んだドイツ軍の空爆とニューヨーク9・11同時多発テロ、そして米国のイラク空爆への道筋をたどると、おもわず緊張が走った。決して過去のことではない。

◆足を延ばしてセゴビアへ。ローマ時代に作られた水道橋の精巧さに驚き、アルカサール城に至る道の脇に立つヒマラヤ杉のてっぺんで、コウノトリが子育てに懸命だ。続いてトレドのカテドラルを見学し、サント・トメ教会のエル・グレコ「オルガス伯爵の埋葬」を鑑賞する。
◆ラマンチャ地方を抜けてアンダルシアへ。この地にイスラム帝国が残した文化遺産は計り知れない。コルドバのメスキータにあるアーチ状の柱列、グラナダのアルハンブラ宮殿内に施されたアラベスク模様にはドキモを抜かれた。
◆その途次、渓谷の上にあるロンダの街へも立ち寄った。W杯サッカー・日本対セネガル戦を、ホテルのロビーで観る。引き分けの結果に大満足し、ソコーロ教会の前にある広場へ出かけ、赤ワインを飲みつつ食べたオックステールの煮込みが、これまた格別。

◆バレンシア港での難民受け入れの様子を報ずるTVニュースを見ながら、一足飛びにバルセロナへ。ここでは風も爽やかに連日38℃を超す気温が気にならない。2日かけてガウディが手掛けたカサミラやグエル公園、サグラダ・ファミリアをめぐって歩く。
◆目立つのが通りの街並みに沿って上に伸びる居住階のベランダにかけられた、カタルーニャ独立を標榜する「アスタラーダ」の旗である。黄色いリボンの旗も多い。前ラホイ政権の手によって収監された、カタルーニャ州政府の幹部・活動家を支援するシンボルだという。
◆昨年10月、独立への住民投票を進めた、同州のカルレス・プッチダモン前首相と前閣僚5人は、逮捕を逃れて亡命、あるいはドイツなどで身柄拘束されている。スペインに残った4閣僚は拘留されており、合わせて25人が反乱罪や国家反逆罪などの容疑で起訴されている。<LLIBERTAT PRESOS POLITICS!>「政治犯を解放せよ」と書かれた旗が目立つ。カタルーニャ音楽堂の前の3階ベランダにも掲げられている。

◆この音楽堂、ガウディと同時代に活躍したドメネク・イ・モンタネールが建築した。この地に生まれたパブロ・カザルスも演奏した。現在でもコンサートホールとして使われ、1週間前にはサイモン・ラトルがベルリンフィルを指揮している。近くにピカソ美術館もある。スペイン内戦でくくれば、チリの詩人パブロ・ネルーダを加えて<3人のパブロ>がそろう。
◆そして今日、W杯サッカー決勝トーナメント、スペイン対ロシア戦が始まる。まさにイベリア半島全体が熱狂に包まれている。(2018/7/1)
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2018年06月28日

米軍基地 置きたいのは誰か 沖縄から見る米朝急接近=黒島美奈子

 戦後73年、沖縄に駐留し続ける在沖米軍。駐留の理由や根拠はその時々で変化してきた。

 最初の米軍基地は1945年4月1日、沖縄島の読谷村に上陸した米軍が南北へ侵攻しながら日本軍の飛行場跡や、住民の土地を次々と奪い建造された。理由は間近に控えた日本本土攻撃の拠点として。現在、日米両政府が名護市辺野古へ移設するという米軍普天間飛行場(宜野湾市)が造られたのもこの時期だ。

 戦後は、朝鮮戦争やベトナム戦争の出撃拠点として、沖縄の米軍基地はさらに拡大していった。同じころに本土では米軍基地の反対運動が激化。国民の反発を避けるためいくつかの基地機能が沖縄へ移転された。

「地理的優位性」

日本復帰後は、日米が結んだ「安全保障条約」によって米軍の沖縄駐留が継続することに。日本防衛の「地理的優位性」が沖縄にあると、日米が喧伝するようになったのはこのころからだ。

 しかし、冷戦が終わるころにはこの「地理的優位性」に疑義を唱える声が増える。そんな中で発生したのが1995年の米兵による少女暴行事件だった。事件をきっかけに日米は普天間飛行場の返還を宣言。沖縄にとって史上初の米軍基地縮小の道筋となる米軍再編ロードマップも誕生した。消えかけた駐留根拠。そこに再び息を吹き込んだのが北朝鮮のミサイル問題である。

 元内閣官房副長官補の柳沢協二氏は「軍隊をどこに置くかは財政的、政治的な理由で決まる」と言う(2018年4月28日付『沖縄タイムス』)。「米軍が対北朝鮮や対中国のために沖縄にいなければならない軍事的理由は元々ないが、それを説明する論理として脅威論が使われてきた」 

 脅威論を使ってきたのは日米両政府だ。日本や米国本土に一気にミサイルが飛んでくる危険性の高まりを沖縄への米軍駐留の根拠と明示。2017年度の防衛白書では北朝鮮などに「相対的に近い(近すぎない)」位置にあるという表現で沖縄の地理的優位性を強調した。

 だがこの根拠には疑問も湧く。なぜなら米国を敵対視する北朝鮮が、日本を攻撃対象とする理由として米軍基地の存在を挙げたからだ。それは、米軍の駐留根拠である日米安保こそが、戦争を誘発する危険性があることを示している。

「ほかの任務」とは

 米国と北朝鮮の首脳の歩み寄りを演出した6月12日の米朝首脳会談。終了後の記者会見でトランプ米大統領は、在韓合同軍事演習の中止に言及した。会談によって北朝鮮の脅威が多少なりとも薄れたことを示唆する発言で、日米が主張する沖縄への米軍駐留の根拠が揺らぎ始めた瞬間だった。

 ただ、在沖米軍四軍調整官のニコルソン中将は4月、米朝首脳会談を前に記者会見し、北朝鮮の非核化が実現した場合でもほかの任務への対応を理由に駐留は必要との認識を示した。会談の成果が沖縄駐留に与える影響を見通したかのような発言だった。

 ニコルソン氏が言う「ほかの任務」とは何か。東アジアの安全保障を盾に、米韓合同軍事訓練中止に即座に懸念を示した小野寺五典防衛相の態度がそれを暗示している。脅威の消失を理由に引き揚げようとする米軍を引き留める日本の姿である。

 沖縄に米軍基地を置きたがっているのはほかでもない日本だ。米朝首脳会談で見えたのはそんな事実だった。

(沖縄タイムス社会部副部長兼論説委員)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年6月25日号
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2018年06月27日

他国頼み 無策の証明 拉致問題 安倍「司令塔」発言に唖然=蓮池透

米朝首脳会談の実現は、懸案の日本人拉致被害者の解決につながるのだろうか。これについて、北朝鮮による拉致被疑者家族連絡会(家族会)元副代表の蓮池透さん(63)に寄稿してもらった。

☆ ☆

 昨年まで米朝関係は緊張を極め、「開戦前夜」「Xデーはいつか?」とまで言われるほどであった。しかし、今年に入り東アジアの情勢は劇的に変化した。4月27日ついに文在寅大統領と金正恩国務委員長による首脳会談が実現し、「板門店宣言」が発表された。さらに、米朝首脳会談も実現するなど、朝鮮半島の非核化、朝鮮戦争の終焉へ向けて一挙に南北融和が進み、世界は圧力局面から対話局面となったのである。そうした中で日本は「蚊帳の外」「周回遅れ」と誰もが認めているにもかかわらず、安倍晋三首相は、ひとり自覚もなくただ「拉致問題の解決」を唱えている。



首相は言行不一致

 以前から、拙著やさまざまな機会を通じて、安倍首相は拉致問題を政治利用する気はあっても、本気で解決する意欲などない、と訴えてきた。日本政界の現況を見れば、噓が公然とまかり通る憂慮すべき状態であり、その元凶である安倍首相は、政治家としての信念や矜持など全くない、ただ権力にしがみつくだけの言行不一致の人物だと考えている。

米朝首脳会談の知らせを聞いて焦った安倍首相は、4月12日に訪米し、トランプ大統領に会談で拉致問題を取り上げるよう要請した。しかし、拉致問題はもとより日本と北朝鮮の間の固有の問題である。それを「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプ大統領が拉致被害者それも日本人を救出するだろうか。本来、北朝鮮側との独自交渉を早急に展開し解決すべきだった問題を、主体性や当事者意識を持つことなく他国頼みにするしかなかった。これこそ、日本がお手上げ状態で、これまで安倍首相がいかに無策であったかという事実の証明である。

 安倍首相が講じた手段は、北朝鮮に対する経済制裁などの「圧力」のみ。だが経済制裁により、北朝鮮がもがき苦しみ自ら拉致被害者を差し出してくる―この理屈は、幻想に過ぎない。そのツケが、現在の「蚊帳の外」状態という形で回ってきているのである。しかし「北朝鮮が圧力に屈した」と強がりの声が聞こえてくる。ただ呆れるばかりだ。極めつけは、家族らの集会で自分が拉致問題解決の「司令塔」だと発言した。遥かに厚顔無恥の域を越えており言葉がない。

 ここで大きな疑問が湧いてくる。安倍首相は、果たして東アジアの平和を望んでいるのだろうか、と。昨年の衆院選挙で、戦中を想起させる「国難」という言葉を使い「北朝鮮の脅威」を煽り勝利したのだから、北朝鮮は「脅威」でなくては困るのであろう。



独自ポリシーなし

 「祭りのあと」の状況で安倍首相は、拉致問題にどう対処するのか。「対話のための対話は意味がない」と主張していたのに、トランプ大統領が対話だと言えば「支持する」、首脳会談中止にも「支持する」、米国の言うことは何でも支持である。独自のポリシーなど微塵もない米国追従のなせる業である。しかし、いい加減に圧力一辺倒から対話へと路線変更することが基本であり、日朝首脳会談しか手段はない。ただし、「備え」がなければ、「全員返せ」「解決済み」の水掛け論で終わってしまうのは自明だ。そこには、拉致被害者に関する「インテリジェンス」が必須なのである。「解決済み」とは言わせない強力な「インテリジェンス」だ。

 果たして、安倍首相はそれを保持しているだろうか。そこは「外交の安倍」、当然「備え」はあるはず。1回目の小泉訪朝からすでに16年も経過しているのだから。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年6月25日号
posted by JCJ at 10:56 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月25日

《編集長EYE》 反撃パワーがすごい韓国の放送局=橋詰雅博

 安倍晋三首相は陰に陽に放送局に手を突っ込み自分に都合のよい報道をさせようとしている。突然言い出した放送法4条撤廃はその代表格で、政権寄りの番組を増やす狙いがあった。政府の規制改革推進会議では反対意見が続出し、安倍首相に4条撤廃見送りを答申した。  

 しかし、首相は撤廃方針案を断念したわけではない。再び方針案を持ち出す危険性がある。

 政権批判報道を封じ込めるため放送局支配≠ニいう悪だくみをめぐらすのは時の権力者の常だ。民主化から31年たつ韓国でも、李明博大統領ら保守政権が強権を発動して放送局を占領≠オた。この言論統制に抵抗する記者やプロデューサーを中心にしたドキュメンタリー映画「共犯者」を都内で見た。李大統領(2008年から13年)は公共放送のKBS(韓国放送公社)と公営放送のMBC(文化放送、公営財団・放送文化振興会が大株主)にお友達をトップに送り込んで、政権批判の番組を廃止に追い込んだ。KBSとMBCの労働組合は抗議の声が上げたが、組合員は解雇、配置転換、停職、出勤停止、減給などの懲戒処分を受けた。

 権力と手を組み放送局を台無しにした「共犯者」元社長・幹部をカメラの前に立たせた崔承浩監督は、MBCの調査報道番組プロデューサーとして活躍したが、12年に不当解雇された。上映後、崔監督は 「権力による無慈悲な弾圧に対して言論の自由の確保と、市民からの『キレギ』(キジャ=記者とスレギ=ゴミの合成語。マスゴミとかゴミ記者の意味)と蔑まされたメディアの信頼を回復させるため私たちジャーナリストは闘ってきた」と強調した。

 長期ストライキなどの約9年間に及ぶ闘争でポチ社長≠追放し、KBSもMBCも正常な放送局にやっと戻る。崔監督は昨年末にMBC社長に就任した。昨年5月に革新系の文在演大統領が誕生したことも背景にある。

 ともあれ韓国放送局の権力への反撃はすさまじい。


(JCJ事務局長兼機関紙編集長)



JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年6月25日号
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2018年06月24日

憲法に明記されると自衛隊はどう変わる

 神奈川支部例会 憲法に明記されると自衛隊はどう変わる

 憲法9条に自衛隊の存在を書き加える改憲案が3月末に自民党改憲推進本部で決定された。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」「国の交戦権は、これを認めない」という憲法9条2項の規定の後に自衛隊の存在を書き加えるもので、安倍首相はこの改憲が実現しても「現在と何ら変わらない」と強弁している。

 自衛隊の現状が変わらないのなら、なぜわざわざ憲法の文言を変える必要があるのか。2015年に強行された集団的自衛権行使容認は、今回
の九条改憲とどうか関わるのか。疑問と不信は尽きない。  

 JCJ神奈川支部では、川崎合同法律事務所の篠原義仁弁護士にお願いして、憲法9条に明記することで、自衛隊はどう変わるのかを語っていただく。

日時 2018年6月30日(土) 午後2時30分〜4時30分

会場 かながわ県民センター 301会議室
  (横浜駅西口徒歩5分、ヨドバシカメラ裏)

講師 篠原義仁弁護士(川崎合同法律事務所)参加費  500円

主催  日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部  

連絡先 保坂 080−8024−2417
 
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【今週の風考計】6.24─大学トップの醜態、典型は加計理事長!

このところ大学の理事長・学長らの不見識きわまりない対応が続く。

一つは日大アメフット選手の試合で犯した危険タックル事件への大学側首脳陣の呆れた対応である。日大アメフット関係のOB・父母、教職員組合などが、田中永寿・日大理事長に現理事の解任と体制刷新を要望しているにもかかわらず、無視し続ける。記者会見は、ワイドショーなどで「笑いものにされて、利用されるだけ」だから行わないと、理事長は白をきる。

二つはレスリング選手に対するパワハラ問題での至学館大学・谷岡郁子学長の発言である。「そもそも伊調馨さんは選手なんですか?」の言辞は、怖い学長からのパワハラそのもの。くわえて同大学レスリング部・栄和人監督の謝罪に続いて解任。それにしても、レスリング大会の開催中に、同大学教授の籍を持つ監督が、キャバクラへ遊びに行く神経には、首をかしげる。

極めつけは、岡山理科大学総長・加計学園の加計孝太郎理事長である。1年以上にわたって国会やメディアから逃げ回っていた本人が、19日の午前、岡山の加計学園で急きょ記者会見を開いた。しかも25分間で打ちきり。
安倍首相との面会については「いっさいない、記憶にも記録にもない」の連発。加計学園事務局長が、加計氏と安倍首相との面会を捏造し、愛媛県と今治市に虚偽報告をしたのは、「嘘を吐いてでも実現を願って」との言い訳でごまかした。会ったという公文書が存在しているのに、否定する根拠を示す資料などは示されず。

この日の記者会見は、朝、急に決まったという。まさに大阪北部地震への対応で忙殺され、ジャーナリストらが辿り着けないタイミングを、狙ったのではないか。「大地震を利用して、アリバイ作りの不誠実な回答に終始する記者会見を開いた」疑念はぬぐえない。しかも質問する側のマイクが、音量を絞ってあり、聞き取りにくい状態にあったのも不自然だ。なぜか岸信介元首相を思い出す理事長の顔を、つくづく凝視した。(2018/6/24)
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2018年06月17日

【今週の風考計】6.17─今こそ沖縄戦の「真実」を広く伝えよう!

サッカー・ロシアW杯が熱い。寝不足の毎日が続くことだろう。だが23日だけは沖縄に目を注いでほしい。沖縄戦で亡くなった全ての人々を追悼する日である。

20万あまりの尊い命が、「あらゆる地獄を集めた戦場」で失われた。今から73年前の6月23日、沖縄戦を指揮した牛島満中将が、糸満の摩文仁にある第32軍司令部の「壕」で自決し、日本軍の組織的な戦闘が終結した。
だが不幸は続く。牛島中将は自決に先立って、全将兵に「最後まで敢闘し悠久の大義に生くべし」と命令した。降伏も停戦もせず、最期の一人まで戦えと命じたのだ。その結果、日本の将兵は信じられない蛮行を重ねた。

軍事「作戦」の名の元に、あろうことか沖縄住民の「食料」を強奪し、「壕」から米軍の砲火が飛び交う中へ婦人や子供・老人を追い出し、さらには集団自決を強要し、スパイ容疑をかけて虐殺するまでにエスカレートしたのだ。当時の状況を「米軍よりも日本軍のほうが怖かった」 と証言する人は数多い。

この沖縄戦の「真実」が、政府の策動で消されようとしている。検定により住民虐殺の記述が教科書から削除、沖縄平和祈念資料館の展示改ざん、第32軍司令部「壕」説明板の文言削除、枚挙にいとまがない。
さらには沖縄戦の生存者がいなくなる時には、戦争被害の体験をすり替え、住民が積極的に日本軍の戦闘に協力し、「壕」から追い出されたのではなく自ら軍人に提供したのだとさえ、書き換えられる危険が高まっている。

東京新聞・大図解シリーズ「変質する沖縄戦」(6/17付)が、分かりやすく役に立つ。また、シンポジウム「沖縄とともに−1945年6月23日を心に刻む」が、23日(土)12時35分〜 東京・弁護士会館2階講堂クレオBC(地下鉄「霞が関」駅下車)で開催される。
詳細:https://www.toben.or.jp/know/iinkai/jinken/cat188/2018okinawa.html
(2018/6/17)
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2018年06月15日

≪メディア時評≫ 歴史的会談の歴史的意味―メディアの報道姿勢を問う=梅田正己(歴史研究者)

 2018年6月12日、米朝首脳会談が行われた。
 翌13日の各紙は、もちろん大きく紙面を割いて、その「成果」を報じた。しかし、その報道は、一定の評価をしながらも、そろって具体性に欠けるとして留保をつけていた。
 例えば、朝日3面の横の大見出しは「非核化 あいまい合意」
 読売3―2面の同じく横見出し、「非核化 課題多く 北の姿勢 見極め」
 日経3―2面の横見出し、「非核化 時間稼ぎ懸念 米朝敵対解消を演出」

 社説もそろってそのことを指摘していた。
 まず、朝日から。
「合意は画期的と言うには程遠い薄弱な内容だった」「署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る」
 さらには「その軽々しさには驚かされるとともに深い不安を覚える」「重要なのは明文化された行動計画である」
 その「明確な期限を切った工程表」が示されてないから「会談の成果と呼ぶに値」しないというのである。

 毎日の社説も同様の留保をつける。
「固い約束のようだが、懸念は大いに残る」「そもそも北朝鮮がCIVD(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)に同意したかどうかもはっきりしない」

 読売社説も、「評価と批判が相半ばする結果だと言えよう」としながらも、ホンネは批判の方に傾いているようだ。「懸念されるのは、トランプ氏が記者会見で米韓軍事演習の中止や在韓米軍の将来の削減に言及したことだ。和平に前のめりなあまり、譲歩が過ぎるのではないか」

 日経の社説も同様の論調だ。「真に新たな歴史を刻んだとみなすのはまだ早い」と言った上で、同じく米側の前のめりを批判する。
「米側はすでに(北朝鮮の)体制保証で譲歩を余儀なくされた。今秋の米中間選挙を控え、目先の成果を焦るトランプ政権の前のめりな姿勢を、北朝鮮が巧みに利用したといえなくもない」

 以上のように、全国紙各紙は今回の米朝首脳会談について、できるだけその成果を割り引いて評価したいと見ているようだ。テレビにおいても、登場するコメンテーターのほとんどは同様の見方をしているように私には思われた。

 では、両首脳が署名した共同声明を改めて見てみよう。「非核化」に関する部分を見ると、こう書かれている。
 ――「トランプ大統領はDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)に対して安全の保証(security guarantees)を提供することを約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization)に向けた堅固で揺るぎない(firm and unwavering)決意を再確認した」
 ――「3 2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、DPRKは朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization)に向けて取り組むことを約束する」

 各紙の社説も、テレビのコメンテーターたちも口をそろえて、CIVD(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)が具体的に述べられていないから非核化を信じるわけにはいかないという。
 つまり共同声明で2度にわたって明言されている「完全な非核化(complete denuclearization)」では不十分というわけだ。

 しかし、すべての識者が指摘するように、CIVDは厖大かつ複雑な手間と時間がかかる。現有する核爆弾やミサイルを廃棄するほか、関連の研究施設や製造工場などインフラの解体、さらには開発に従事した科学者や技術者の処遇など、山積する問題をすべて処理しなければならないからだ。
 それには、10年、20年の歳月を要するというのがおおかたの認識だ。
 したがって、朝日社説がいうような「明確な期限を切った工程表」を示せという要求そのものが、現時点ではどだいあり得るはずがないのである。
(→続きを読む)
posted by JCJ at 15:14 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月14日

《ワールドウォッチ》利己的な動機で親イスラエル政策 =伊藤力司


 トランプ米大統領は、国内での不人気を挽回するために反イラン・親イスラエル政策を打ち出し、中東危機を深めている。同大統領は5月8日、イラン核合意(JCPOA))から一方的に離脱したのに続いて同14日、米大使館をテルアビブからエルサレムに移転した。いずれも米国内の反イラン・親イスラエルの世論に迎合したものである。

 アメリカでは今年11月に中間選挙が行われ、米下院議員435人全員、米上院100人中33人が改選される。現在の下院はトランプ与党の共和党が多数派を占めているが、最近の各州の趨勢は民主党が優勢を占めつつある。このままで行けば中間選挙で共和党が敗れ、下院で民主党が多数派を占めることになりかねない。アメリカ憲法によると、下院が大統領弾劾を過半数で議決すれば有効となる。しかし下院で弾劾されても上院で弾劾されなければ、クビはつながる。上院では弾劾には3分の2多数の議決が必要だ。クリントン元大統領は下院では弾劾されたが、上院で

 3分の2多数の弾劾議決を免れ命拾いをした。クビはつながっても大統領の権威はがた落ちだ。

 これまでのところ、共和党の地盤とされてきた中西部など各州で共和党の旗色が悪く、トランプ氏としては何としてもこの流れを止めなければならない。そのためにはアメリカ世論に圧倒的な影響力を持つ「イスラエル・マフィア」の力を借りるのが手っ取り早い。

 親イスラエル派の中でも特別な組織がある。全米人口3億2000万人の25・3%を占めるといわれる「キリスト教福音派」だ。トランプ大統領の有力な支持基盤であり、彼は米大使館のエルサレム移転を2016年の大統領選挙の公約に掲げていた。11月の中間選挙を前に、大使館移転の公約を実行して「福音派」の支持基盤を固めておこうとした訳だ。

 GPOAとは、2015年に米露中英仏独の6か国がイランと結んだ協定で、イランの核兵器開発を抑止する一方、イランの石油輸出など対外経済活動の自由化を認めたもの。この協定でイランからの石油が世界市場に流通し、燃料価格が世界的に低下した。しかし米国がGPOAを離脱した途端、イラン産原油の先細りを恐れたニューヨークの原油先物市場では、バレル当たり65ドルだったものが71ドル台に跳ね上がった。バンカメの予測では1年後に原油価格は100ドルを超えるかもしれないという。
posted by JCJ at 10:29 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月10日

【今週の風考計】6.10─落語家:志らくと談之助の奮闘に乾杯!

■“志らく株”が沸騰している。落語家の立川志らくさん(54歳)である。今や茶の間の人気者。TBSの情報番組<ひるおび!>に、月から金までコメンテーターとして出ずっぱり。
■黒縁のまる眼鏡をかけて、“ゆるキャラ”のような風貌の下から痛烈なコメントが飛び出す。時には口をとんがらして言葉を吐く。その感情込めた直截なコメントは、私たち庶民の胸にすっと落ちる。

■22歳の時に立川談志さんに入門。1995年11月に「真打」昇進。いま落語界を牽引する、志の輔、談春、志らく、談笑の“立川流四天王”の一人だ。
■6日の<ひるおび!>では、5歳女児虐待事件に関連して、「悪魔だ!この父親は、この世に誕生しなければよかった!」と、怒りをぶつけた。
■それもそのはず、志らくさんは、5歳の娘にメロメロ、朝6時に起きて、娘の通う幼稚園のお弁当作りに始まり、子育ての全てをこなすのだから、許せないのも当然だ。

■もう一人、落語家を紹介しよう。立川談之助さん(65歳)だ。長く取り組んでいるのが「禁演落語」。為政者などにより自粛を強いられ、事実上、上演禁止となった落語のことである。
■日本が真珠湾に奇襲攻撃を仕掛けて太平洋戦争に突入した昭和16年10月30日、廓噺や間男の噺などの53演目が、時局柄にふさわしくないと見なされて、浅草寿町にある長瀧山本法寺境内の<はなし塚>に葬られた。

■この貴重な「禁演落語」を復活させることを通して、「戦争と平和」や「表現の自由」など、いま憲法を取り巻くきな臭い現実を告発している。22日(金)18:30〜 出版労連会議室、参加費500円で、立川談之助さんの「禁演落語」を聴くことができる。詳細:http://union-nets.org/ (2018/6/10)

posted by JCJ at 10:36 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

《月間マスコミ評・新聞》神経疑う、読売「安倍改憲賛成」社説=白垣詔男

 今年の憲法記念日の各社社説は安倍政権に対するそれぞれの姿勢が鮮明に出ており、現在の新聞社の姿勢を知るうえでも非常に興味深かった。
朝日新聞の「安倍政権と憲法 改憲を語る資格あるのか」、毎日「引き継ぐべき憲法秩序 首相権力の統制が先決だ」、読売「憲法記念日 自衛隊違憲論の払拭を図れ」、西日本「憲法記念日 国政の危うさを見据えて」――見出しを見ただけで内容が想像できる。
 
中でも最も合点がいったのは朝日が「統治原理ないがしろ」「普遍的価値の軽視」「優先順位を見誤るな」の小見出しで、安倍政権の政治運営を徹底的に批判。「人権、自由、平等といった人類の普遍的価値や民主主義を深化させるのではなく、『とにかく変えたい』という個人的な願望に他ならない。……民意は冷めたままだ」と安倍首相の個人的な野望を冷静に的確に分析している。

 毎日は、国会議論の低調さや安倍首相の国会無視、過剰な権力行使を指摘して、国会に首相権力への統制力強化を求めているのは首肯できる。西日本は安倍政権が現在置かれている状況を「自業自得」「自縄自縛」と断じる。その上で自民党が発表した4項目の改憲案について「今なぜ(憲法)改正を急ぐのか、現行法の枠内で対応が可能ではないか、といった疑問点が多く、拙速感は否めません」と改憲案を批判している。
 
  以上3紙は、いずれも「安倍改憲」に反対の考え方を明確に主張して小気味いい。
 
 これに対し読売は「自民党案をたたき台に」と小見出しをつけ、「安倍首相(自民党総裁)は、昨年の憲法記念日に、自衛隊の根拠規定を設けるための9条改正を政治課題に掲げた」「自民党は……4項目について、改憲の考え方をまとめた。改正項目を絞り、具体的な条文案として提起したのは評価できる」と安倍・自民党改憲案に賛意を示している。西日本や識者の多くが「現行法で対応できる」という自民党案に対する意見には触れていない。
 
 読売社説を、社名を外して読めば、「自画自賛している自民党の文章」ではないかと疑われても仕方がないほどで、新聞社の社説としては偏っていると思う。これほど露骨に政権党寄りの社説を書く神経を疑ってしまう。


posted by JCJ at 15:30 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月07日

改憲反対署名活動に不当な妨害 小金井署市民3人連行事件=橋詰雅博

 安倍晋三政権による憲法改正に反対する署名活動にブレーキをかけるようなイヤな事件が東京・小金井市であった。

護送車も来た

 事件のあらましはこうだ。

 ―小金井市に在住する70代から80代の市民3人が3月31日午前10時30分ごろ、賃貸マンションで戸別訪問を行い、インターホンを介して改憲反対の署名を要請した。また、留守宅のドアポストに署名活動にも触れている共産党の水上ひろし市議の市政報告を入れた。

 マンションは3階建てだが、2階と3階はメゾネットタイプで2階の室内階段から3階に上がる。部屋は1階と2階に9戸ずつある。正面の出入口を挟む左側と右側の各壁には〈ビラ配り、押売り、その他許可のない方の立入りを禁止します。管理者〉などと書かれたプレートが貼られている。ただし、出入口には門扉はなく、2階へは外階段から直接上がれる。訪問者をチェックする管理人もない。

 3人は別の賃貸マンションで署名要請の活動した後、帰り道の途中、問題のマンション前にいた私服警察官2人に呼び止められ「このマンションの敷地に入ったでしょう。ビラ禁止の張り紙を見てください」などと3人に言い、マンション住民から100番通報があったことを告げた。 

 11時すぎ、パトカー3台に護送車1台が到着。動員された警察官は制服と私服を合わせ10数人で、3人は「住居侵入罪」容疑で連行され、各人パトカーに乗せられ小金井警察署へ。

 水上市議から連絡を受けた東京都立川市の三多摩法律事務所に所属する2人の弁護士が13時30分ごろ、小金井署で3人と面会。市民と弁護士が小金井署から出たのは14時20分ごろだ―。

調書署名せず

 事情聴取された81歳の男性Aさんはこう言う。

 「警察官に連行されたのもパトカーに乗せられたのも初めて。あのマンションは誰でも自由に出入りできる構造になっている。『住居侵入』と言われ、ビックリした。事情聴取はおよそ1時間行われ、調書にはサインも押印もしませんでした。というのは上がることできないのに『3階まで行っただろう』と強要し、ざっと目を通した調書に言ってもいないのに『昨年の10月ごろから計画を練っていた』と書かれていたからです。取調官は『もう一度警察にくるのは大変だろうからここで調書にサインしろ』と迫りましたが、共謀罪の適用も考えているのではと思い、拒否しました。同じく連行された2人に後日、法律事務所で会いましたが、2人とも『調書にサインしていない』と言っていました」

 小金井署を出る直前に3人に向かって私服警察官が吐いた「必ず(調書に)署名してもらう。もう一度署に来てもらう」という言葉が、Aさんの頭の中に鮮明に残っているという。

 「自宅の電話が鳴るたびに警察からの呼び出しかと思い、不安にかられ、ストレスがたまります」(Aさん)

 三多摩法律事務所の長尾宜行弁護士は「住居侵入罪にあたらない。署名活動は憲法21条1項に定める表現活動であり、警察の取り調べは人権侵害行為だ」と捜査を批判している。また警察の狙いについて、水上市議は「改憲反対署名活動を萎縮させようとしているのではないか」と推測する。

4回抗議行動

 不当連行された3人を支援するグループは、捜査の中止と3人への謝罪を求め小金井署前で今まで4回、抗議行動をした。16日には「守る会」も結成した。

 本紙の捜査をやめないのはなぜかなどの質問に対し、事件を扱う警視庁広報課広聴係は16日「小金井警察署において、適切に対応したものと承知している」と答えた。木で鼻をくくったような回答にとうてい納得できない。事件の行方をこの先も注視していく。

(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年5月25日号
posted by JCJ at 13:44 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月03日

【今週の風考計】6.3─「G7サミット」出る幕ナシの安倍首相

世界中をヤキモキさせた「米朝首脳会談」が、前の決定通り12日にシンガポールで開催される。北朝鮮問題で蚊帳の外に置かれた安倍首相、急きょ7日に訪米しトランプ大統領と会談する。
必死に認識をすり合わせ、翌日8日、カナダで開かれるG7サミットに列席する。この会議には韓国も加わる方向で調整中だ。

朝鮮半島の非核化は、もう「米・韓・朝」の論議が肝心要となっている。いくらあがいても安倍さんがG7サミットの舞台で出る幕はない。しかも、このG7サミット、米国との間で討議が紛糾すること間違いない。
米国が発動する鉄鋼などの輸入制限に、EU諸国・カナダ・日本も含め、こぞって「懸念と失望」を表明し、対立は深まるばかり。米国の金利引き上げによる新興国の通貨暴落も深刻だ。米国アマゾンなどの多国籍企業への課税も緊急テーマとなっている。トランプ大統領のポチ・安倍さんは、どう対応するのか。

イタリアでは国債などの巨額な累積債務がGDP比130%・世界6位と悪化し、スペインでも政権与党の構造汚職が糾弾されて政権交代するなど、<南欧リスク>が高まっている。日本だって<債務リスク>に直面している。累積債務は1311兆円・GDP比236%・世界でトップ。安倍さん、どうするの?

「モリ・カケ疑惑」が再炎上、国会での追及を逃れるために、矢継ぎ早の外遊日程を組んでもダメ! 20日には通常国会の会期末を迎えるが、7月10日頃まで会期を延長し、カジノ悪法などの強行可決をもくろむ。
しかも安倍さん、もう7月12日には、日本博「ジャポニスム2018」の開幕に合わせ、フランス訪問を計画する。総裁3選に向け、昭恵夫人ともども日本を留守にしていたい思惑が見え見えだ。(2018/6/3)
posted by JCJ at 11:54 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月02日

6月23日・7月15日 夏のジャーナリスト講座のお知らせ=須貝

JCJ夏のジャーナリスト講座(学生向け)

6月23日=テレビ記者疑似体感! 厳しくて、面白い。座学の濃密3h

7月15日=テレビ記者になろう!内定者・若手・ベテラン座談会

―――この職業は、本当に厳しくて、本当に面白い。志すなら、思いきりワクワクして、しっかり覚悟して、臨もう。それにはまず、現場を知ろう。「筑紫哲也NEWS23」「みのもんたのサタデーずばッと」などで、自ら取材・リポートしてきた元TBSの下村健一さんが「テレビ記者」を目指す若い世代と熱く語り、何を準備すべきか、どう向き合うべきか指導します。

6月23日(土)午後1時半〜5時=希望者には6時まで延長あり

会場:日比谷図書文化館・4階セミナールームA(定員20人)

東京都千代田区日比谷公園1−4

最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅

7月15日(日)午後1時半〜5時

会場:日比谷図書文化館・4階小ホール(定員50人)

講師:ジャーナリスト・下村健一さん(白鴎大学客員教授・元TBSキャスター)

参加費:いずれも1000円(予約が必要です)


予約:参加希望日と氏名、大学名(卒業生も可)、連絡先電話番号、メールアドレスを明記して、下記にメールかファクスでお申し込みください。6月23日と7月15日の連続受講をお勧めします。

メール sukabura7@gmail.com ファクス 03・3291・6478

★7月15日に受講される方々へ・自由提出課題のお知らせ=7月7日までに、30〜90秒の自己紹介映像をつくり、無料の大容量データ転送サービス(ギガファイル便など)で上記アドレスまで提出してください。(義務ではありません。希望者のみです)映像は、スマホの横撮りで結構です。講師が批評・助言します。

主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)

電話03・3291・6475(月水金の午後1時から6時)
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2018年06月01日

≪リレー時評≫ 加計獣医学部 生物化学兵器研究も!? =中村梧郎(JCJ代表委員)

 4月30日はベトナム戦争終結の日だった。あれから43年が過ぎた。
 アメリカは、あらゆる残虐兵器と化学兵器・枯葉剤などを投入したあげくに敗北したのに、ベトナムでの教訓を学ばない。その後も不法な戦争の繰り返しである。トランプは英仏と組んで4月13日にシリアを急襲した。

 「アサドが化学兵器を使った」というのが理由だったが、証拠は示されない。前回の使用疑惑では死者の写真にとどまらず、毒ガスで死んだ羊たちの姿もあった。ところが今回は無い。米英から資金援助を受けてきた反体制派の防衛隊ホワイト・ヘルメッツが病院で子供らに水をかけて叫び、それを撮影して去った。その動画が流されただけだ。
 同じ反体制派の幹部でさえ「彼らへの支持を集めるためのでっち上げだ」と話した(ダマスカス=共同、東京新聞4/14)。ヘルメッツへの援助を米国は3月にうち切っていたのだ(News week 5/15)。

 それにしても、化学兵器を使い続けてきた米英仏に「シリアは非人道的」と罵る資格は無い。ベトナム戦争でアメリカはイペリットやVX、サリン、CSなどを用いて住民を殺してきた。地下壕に逃げた人々を皆殺しとするためにマイティー・マイトを使ってガスを噴き込みもした。
 第一次世界大戦で最初に毒ガスを使ったのも英仏と独だ。1925年に化学兵器禁止条約ができたが第二次大戦で各国は開発と生産を競った。日本軍が中国に遺棄してきた毒ガス弾による人体被害は補償もされないまま今も続いている。
 現在の禁止条約は97年にようやく発効したものだ。ところが「テロ防御」などの名目で各国は生物化学兵器を保持研究している。日本の陸上自衛隊にも化学科部隊があって、全国規模で陣容が強化されている。

 安倍首相の利益供与事件、加計問題は空前の醜聞だが、HAFFINGTON POSTの昨秋の報道は、さらに戦慄すべき事実を伝えた。国家戦略特区への獣医学部新設条件が、軍学共同の「生物化学兵器研究」の拠点作りではないか、というものだ。
 記事を寄せたのは池内了名古屋大学名誉教授。学部新設の石破四条件(2015年閣議決定)を分析している。感染症対策や生物化学兵器への対応など「新たなニーズ」を満たすことと、既存の獣医学部では対応が困難な、軍事的利用を学部新設の理由に、などが条件となると。七三一部隊とまでは言わずとも、軍人の獣医師養成…それが石破構想なのであろうか。
 加計学園が公表した「学部新設の目的」は動物実験による先端研究、人獣共通感染症の研究などを掲げている。それは将来、生物化学兵器研究に拡大する余地を残す。国家「戦略」特区とはそんな野望も含むのか。
 殺人AI兵器や無人機リーパーの日本への導入もとりざたされている。メディアによる調査報道を待ちたい。

posted by JCJ at 09:17 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月30日

《編集長EYE》 自衛隊憲法明記で社会は変貌する=橋詰雅博

 安倍晋三首相が主張する自衛隊を憲法に明記する案が国民投票で過半数を占め改憲が実現したら、社会はどう変わるのだろうか。

 安倍首相は「何も変わりません」というが、これもウソだ。5月12日に東京・千代田区の弁護士会館で行われた「憲法改正と国民投票」と題した集会にパネリストとして参加した伊藤真弁護士(日弁連憲法対策本部副本部長)は、国民に認められたことを理由に自衛隊があらゆる場面で前面に出てきて、国内外の社会の空気がガラリと変わる危険性があると指摘し、こう述べた。

 「力がものをいい、寛容性に欠ける社会や異論・反論・批判を許さない社会に変貌する。また、大学の研究も企業も自衛隊との関わりを積極的、肯定的にとらえて推進しようとする社会になる。今の対米従属はさらに促進される。自衛隊を軍隊と見なす外国は憲法に軍隊を書きこんだことで、日本は好戦国になったと判断する。日本の軍拡を恐れるムードが国際的に一段と高まる」

 加えて防衛費の増加、自衛隊配備の拡張、軍需産業の育成、武器輸出の推進、自衛官募集の強化、国防意識の教育現場での強制などが実施される。かくして国防の名目で自由や人権が抑圧される国に落ちぶれる。

 徴兵制≠フ復活もあり得る。

 「ロシアに脅威を抱くスウェーデンは、徴兵制を今年復活させ、テロを警戒するフランスのマクロン大統領も徴兵制復活に意欲を示している。徴兵制は国家的な一体感の醸成には効果的です。ただし、日本では徴兵制という言葉は使わないだろう。『ふるさと守る体験学習』とか『助け合い技術習得訓練』などといった柔らかな言葉を持ち出して、悲惨さを打ち消すように誤魔化すはず。集団的自衛権行使容認を解釈改憲で堂々とやる安倍内閣なら、徴兵制違憲の解釈など一晩で変える」(伊藤弁護士)

 拠り所の文民統制も公文書改ざん、隠ぺい、破棄といった現実の政治を見てしまうと、幻想≠ノ過ぎない。

(JCJ事務局長兼機関紙編集長)
posted by JCJ at 14:59 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月27日

【今週の風考計】5.27─2月25日のミステリーと「何でも官邸団」

2015年2月25日─その日、安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長が面会し、安倍首相は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と加計氏に答えたという。だが安倍首相は、この事実を記載した「新・愛媛文書」を否定した。

その後、今治市長も、この内容を追認する報告の存在を明らかにしたにもかかわらず、なんと「加計学園」が、「新・愛媛文書」にある面会という記述をめぐり、奇想天外な言いわけコメントを発表した。「実際は面会していない」のに、県と市に「面会があったかのような誤った情報」を伝えた結果だという。
なんと虚偽の説明までして、<首相案件>であると確信させ、県と市を国家戦略特区の申請に踏み切らせ、学校予定地36億の無償譲渡と建設総事業費190億への半額補助、べらぼうな公金支出を承認させたことになる。ひどすぎる!

安倍首相は第2次政権が発足して以降、2013年4月から2016年12月24日までの3年半の間に、加計氏と「首相動静」に記された14回、その他に5回、面会・同席している。面会が増えるたびに農獣医学部新設が進展している。これでも2017年1月20日に初めて知ったと強弁し続ける。

新聞の「首相動静」欄に載らない面会など、いくらでもある。総理番記者は総理執務室のある官邸5階には入れない。しかもここには官房長官らの部屋もあり、表からは見えない通路で行き来ができるという。面会先を別の名前にすれば、いいだけだ。
官邸は各省の幹部人事を握るため内閣人事局を設けた。しかも省庁を横断する国家戦略特区構想などの企画立案は、首席首相秘書官の今井尚哉氏を司令塔とする経産官僚たちに委ねている。柳瀬唯夫・首相秘書官もメンバーの一人だった。いまや「経産省内閣」と皮肉交じりに呼ばれている。これでは忖度・改ざん・虚偽答弁など、すべてあり! まさに「何でも『官邸団』」だ。(2018/5/27)
posted by JCJ at 13:09 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月23日

【月間マスコミ評・新聞】再開発に警鐘、日経「限界都市」=山田 明

 4月14日、安倍政権に抗議する人たちが国会議事堂前に殺到し、怒りの声がこだました。若者らのやまないコールが響きわたる。国民の怒りは全国に広がり、内閣支持率も急降下しつつある。与党内からも不安と批判が広がり、「安倍一強」なるものにも揺らぎが見え始めた。
 
 森友疑惑の財務省の決済文書改ざん、加計疑惑の「首相案件」文書、防衛省・自衛隊の日報隠し、厚労省のデータ捏造、前川喜平氏講演に対する文科省・自民党政治家の介入、財務次官セクハラ疑惑への「対応」など、政治の私物化、底なしの嘘と隠ぺい、不祥事。こんな安倍政権のもとで、権力監視と国民の利益を守る憲法改悪など許されるはずがない。
 
 行政の信頼を根底から揺るがす疑惑が次々と明るみに出る。
 
 とりわけ公文書改ざんは議会制民主主義、日報隠しは文民統制を揺るがし、戦後政治のなかでも深刻な事態だ。
「もりかけ」疑惑は、安倍首相と昭恵夫人が当事者として直接関わる。一年以上も、国会と国民を欺いてきた政治責任はきわめて大きい。安倍首相はアベ政治を支えるため、高級官僚の人事権の内閣人事局への移管など、首相官邸への権力集中が強引に進められた。そのひずみがいま噴出しつつある。

 メディアへの攻撃と懐柔も、これまでアベ政治を支えてきた。そのメディアにも、世論の動向を反映して変化の兆しも見られる。
 
 産経はともかく、読売の論調に注目したい。放送法4条の撤廃は明示されなかったが、政府の規制改革推進会議の放送制度のあり方議論の行方に注意が必要だ。
 
 
 メディアは権力監視とともに、国内外の構造変化に対応した世論喚起が求められる。
 
 日経「限界都市」シリーズは、そんな問題提起をしている。タワーマンション偏重の大規模再開発などに警鐘を鳴らす。「政府や自治体、企業が明らかにしない重要事実を、独自取材で掘り起こす調査報道を強化します」(3月21日朝刊)と。
 
 政治腐敗だけでなく、持続可能な社会を脅かす社会問題にも大胆に切り込む「調査報道」を期待したい。   
posted by JCJ at 14:28 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月20日

【今週の風考計】5.20─アマゾン膨張と「デジタル課税」の必要性

★アマゾン膨張が激しい。日本での2017年度売上高が1兆3335億円(前年比14.4%増)となった。そのうち出版物の売上げは5400億円を超す。日本の出版物販売額の30%を占める。
★しかしアマゾンジャパンへの課税は1割でしかない。日本で生じた売上高の約9割を米国本社に計上し、日本での課税を逃れているからだ。いまやアマゾンは税金を払わない企業のトップをいく。日本のみならず世界中で問題になっている。

★世界各国にあるアマゾンの子会社は、本社からの「物流・管理業務の委託」であり、販売業務はしていないという契約形態をとり、海外で稼いだ利益の9割を、アメリカ本社に収めるカラクリを取っているためだ。販売による利益がないのだから、現地国へ法人税を支払う必要はないという論理だ。
★しかも日本の税法では恒久的施設がなければ、事業利得には課税されない。アマゾンは、この税法をずる賢く使い、日本に設置したネット通販事業用の物流センターは単なる倉庫だと主張し、課税を逃れている。

★アマゾン本社は、子会社を税金の安いタックスヘイブンに置き、グループ全体の利益をそこに集中させて、節税をしている。アメリカ本国でもアマゾンの年間売り上げが10兆円をこえるのに、税金は560億円ほど。これではアマゾンのジェフ・ベゾスCEOに非難が集まるのも無理はない。
★国際的な課税逃れに走るアマゾンやグーグルから、どうやって税金を徴収するか。3月中旬、EUは国際的な巨大ネット企業を対象とした「デジタル課税」の導入を加盟国に提案した。売上高の3%を課税する案である。日本も急ぎ検討すべきだ。(2018/5/20)
posted by JCJ at 12:04 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月18日

【月間マスコミ評・放送】「4条擁護」にとどまらぬ議論を=諸川麻衣

 先日、政府が検討している放送制度改革の方針案が明らかにされた。放送を電波からネットに移し、NHK以外の民放は基本不要とし、自由な放送を可能にして新規参入を促すため、政治的公平などを義務づけた放送法4条を撤廃、さらに番組基準策定、番組審議会設置などの規定もなくすという。
 この報道に奇異な感じを抱いた人は多いのではあるまいか。なぜなら、自民党自身が過去、「政治的公平」を錦の御旗にして放送にたびたび圧力をかけてきたからだ。NHKの慰安婦問題の番組に放送前に「公平・公正にやってください」と「注文」をつけて大改ざんに至らしめたのは他ならぬ現党総裁だし、二〇一四年には在京テレビ局に「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」を送り、出演者の選定・発言回数や時間、街角インタビューや資料映像についてまで公平中立を求めて物議を醸した。
 こうしたことから、昨年のデイヴィッド・ケイの調査報告書では、「メディアの独立性を強化するため、政府が放送法4条を見直し廃止することを勧めたい」と提起したほどである。
むろん、今回の方針案は自民党政権の「反省」を示したものとは言えない。ネット放送に自民党寄りの新規事業者が多数参入し、沖縄を取り上げた『ニュース女子』のように、公平など無視したフェイク・ニュースや番組が氾濫すればそれで良いのだろう。
 既に民放の経営者や労組、新聞からは、「放送が果たしてきた公共的、社会的役割について考慮がされていない」、「産業振興の色合いも強く、放送の社会的使命を軽視している」、「放送の不偏不党が損なわれる心配が大きい」などの批判が出ている。
 件の『ニュース女子』を放送倫理違反としたBPO意見は、「伝える情報の正確さの追求、裏付けの徹底、偏見の排除といった、放送人が歳月をかけて培ってきた価値観が尊重されなければならない。それこそが『公平、公正な立場』に立った放送」だと述べる。放送法四条の公平原則の必要性は専門家の間でも意見が分かれる。政府の改革案に単純に「四条擁護」を対置するだけでなく、放送に求められる最低限の質とは何か、それを法律でどう規定し、行政権力を介入させずにどう実現するかを今や本格的に議論するべきではあるまいか。
     
posted by JCJ at 18:50 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月17日

≪おすすめ本≫ 酒井啓子『9.11後の現代史』─混乱を極める中東から不寛容な世界の今を解き明かす=栩木 誠

 「21世紀の中東しか知らない若者には、『今見ている世界と中東がこんなに怖いことになってしまったのは、そんな昔からじゃないんだよ』と伝え、20世紀の中東を見てきた少し年嵩の人たちには、なぜ世界と中東がこんなことになってしまったのかを考える糸口を示すために書かれたものである。そしてその目的は、『世界と中東がこんなことになってしまったのにはちゃんと理由がある』ことを示すことにある」

 イラクをはじめ中東研究の権威である著者が本書に込めた思いが、この一文に凝縮されている。
 第一次世界大戦時に締結された「サイクス・ピコ協定」、パレスチナを巡る英国などの「二枚舌問題」など、20世紀を通じて中東で起きた諸事態は欧米諸国が行ってきた所業のツケでもあった。
 そのツケは2001年に起きた「9.11世界同時多発テロ事件」を契機に、さらに大きくなっている。混乱を極める中東から世界の今を読み取り、次代にどうつなげていくのか、根源から問う。

 9.11からイラク戦争、アラブの春、IS問題、難民問題など、日常のニュースに登場する諸問題の内容と系統的な連関、世界に及ぼす影響を分かりやすく解説している。9.11以降の中東、それを通した世界の現代史が丁寧に整理されており、「中東問題は複雑でわかりにくい」と思っていた人にも理解しやすい。
「中東がこのような混とんとした状況に陥った要因を徹底的に解明してこそ、その解決の道が見出せる」
 著者の熱い思いが行間から強くにじみ出ている。
(講談社現代新書800円)
「9.11後の現代史」.jpg
posted by JCJ at 07:55 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月14日

【沖縄リポート】県民投票めぐり世論揺れる=浦島悦子

 辺野古新基地建設の是非を問う沖縄県民投票をめぐって県内世論が揺れている。経済界を含む「オール沖縄会議」の顔でもあった金秀グループ、かりゆしグループが、県民投票実施に向けた理解を得られないとして相次いで脱会したことは、多くの県民に動揺を与えた。
 県内の学者・学生でつくる「『辺野古』県民投票の会」が投票条例制定に向けた署名運動を5月から始めると発表(請求代表者の中には金秀グループの呉屋守将会長も)したが、かりゆしグループや県議会会派の中で唯一、県民投票に前向きな「会派おきなわ」は、知事発議の県民投票を求めており、推進派の中でも足並みがそろっているわけではない。
 他方、辺野古のたたかいの現場では県民投票に否定的な声が圧倒的だ。名護市長選の敗北以降、座り込み行動への参加者は明らかに減っており、辺野古崎浅瀬への最初の土砂投入に向けた護岸工事が日々進む中で、最大の課題は現場に少しでも多くの人を集めることと知事の埋め立て承認撤回だ。4月7日に座り込み現場で開かれた県民集会(この日は久しぶりに500人以上が参加、ダンプの搬入はなかった)で、安次富浩・ヘリ基地反対協代表は「県民投票をやっている時間はない!」と断言した。
 先の名護市長選で、政府の権力と金力によって投票行動がいかにゆがめられたかを見てきた私は、県民投票を楽観視できない。また、結果がどうあれ、政府は都合の良い民意しか「民意」と認めないだろう。
 この間、明らかになった大浦湾の(マヨネーズに例えられる)軟弱な海底地盤、活断層の存在などにより「工事は必ず途中で頓挫する」と土木技師の北上田毅さんは断言しつつも、不可逆的な自然破壊を食い止めるためには、少しでも早く工事を止めること、11月の知事選がきわめて重要だと訴える。知事選に向けては金秀・かりゆしグループも、翁長雄志知事再選に全力をあげることで一致しているが、翁長知事の健康状態も心配だ。
 そんな沖縄から「本土」を見ていると何とももどかしい。溜りに溜まった膿が次々に出てきているのに、国民の怒りが政権を倒すほどに盛り上がらないのはなぜ?沖縄を苦しめる安倍政権を一刻も早く倒してほしい…!
(浦島悦子) 
posted by JCJ at 17:41 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月13日

【今週の風考計】5.13─「加計・森友疑惑」への追撃で進退窮まる!

「加計疑惑」をめぐる国会での柳瀬答弁が、もう出鱈目でズタズタにされた。愛媛県の中村時広知事が、面会した日付のある柳瀬氏の名刺と柳瀬発言をまとめた職員メモを公開し、反論したからたまらない。
柳瀬氏と打ち合わせをし、白々しい芝居を打たせ嘘をつかせているのは、加計孝太郎氏と腹心の友である安倍首相に他ならない。「膿を出し切る」どころか、いかに加計学園が“特別な厚遇”を受けてきたか、さらに浮き彫りとなった。

暴言居士・麻生太郎財務相の進退も窮まった。「セクハラ罪っていう罪はない」の発言、二次被害など眼中にない。「森友文書」改ざんでは「どの組織だって改ざんはありえる話。個人の問題ではないか」と応ずる。
公文書改ざんという国家的犯罪をしでかしたのに、そのトップが堂々と開き直る始末だ。しかもこれに関わった職員が自殺する事件まで出たというのに、責任を「個人」に押しつける。政治家が最低限もち合わせるべき倫理観すらない。

18日には改ざん前の「森友文書」が国会に提出される。改ざんは14件の文書で確認され、改ざん前文書の全文は本省分1件のみ公表されていたが、残る近畿財務局分の13件についての全文が提示される。かつ森友学園側とのやりとりを記した近畿財務局のメールなども数百ページ分、残っていたという。
ともあれ改ざんの動機について、どのように言及するのか。安倍首相への忖度があったのは間違いない。当時の佐川宣寿理財局長に虚偽答弁を強要し、行政だけでなく国会さえも歪めてきた安倍首相の責任は重大だ。このまま逃がすわけにはいかない。(2018/5/13)
posted by JCJ at 11:37 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月10日

≪おすすめ本≫ 樋田 毅『記者襲撃  赤報隊事件30年目の真実』─犯人を追った取材過程を明かす、「反日」攻撃にひるまぬ記者の矜持=藤森 研(元朝日新聞記者)

 1987年、朝日新聞阪神支局を目出し帽の男が襲い、銃で記者1人を殺し、1人に重傷を負わせた。その犯人を、30年間追った朝日新聞記者による書き下ろし。

 「反日朝日は五十年前にかえれ」。そんな犯行声明から、取材対象は主に右翼団体や、朝日と対立していた宗教団体の関係者に絞られた。取材は、さまざまな情報から疑いのある人物を一人ひとり「潰していく」作業だ。
 居場所を割り出し、訪れて対面し、事件との関係の有無を問う。数十人に囲まれ罵声を浴びもするが、正面から取材意図を告げる樋田記者の姿勢に心を開く右翼もいた。
 口の重いある人物とは数十回にわたり取材を重ねる。緊迫した一問一答を含め、ここまで取材過程を明かすのかと驚くほど内容は生々しい。多くの人に、事件とその意味を共有してほしいと願う著者の思いゆえだ。

 本書にも書かれた宗教絡みの「霊感商法」を、朝日ジャーナルで追及していた私にも、事件は衝撃で、阪神支局に駆け付けた。その後、朝日新聞の戦争協力を自己検証する取材を共にし、樋田記者の人柄を知った。
 正義感は強いが、力まず事実だけを追うタイプだ。30年間も特命でこの事件の取材を粘り強く続けられたのは、彼だからだと思う。いまだに犯人は不明。樋田氏は朝日を定年退職した後も、犯人を追い続けると、その覚悟を淡々と記している。

 かつては「反日」という言葉は、テロ犯にしか用いられなかった。今はネットや雑誌などに氾濫する時代となった。排外的で攻撃的な空気に、今こそジャーナリストも市民も怯んではならない。そう考えさせられる書だ。
(岩波書店1900円)
「記者襲撃」.jpg
posted by JCJ at 19:23 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月06日

6月30日 夏のJCJジャーナリスト講座<記者の仕事とは何か>

テーマ「新聞記者の仕事とは何か――現場からの出発」


社会で起きる出来事を追いかけながら、新聞記者は何を見つめているのでしょうか。時の政府から見捨てられてしまった問題、そこで悩む人々。講師の朝日新聞社会部・青木美希記者はそうした声なき人々に目を凝らし、浮かび上がる不正、ごまかしを活字で追及してきました。近著『地図から消される街――3・11後の「言ってはいけない真実」』(講談社現代新書)は原発事故で福島から避難した人たちの苦悩を丹念に書きとめた好著です。記者の仕事を知るうえで、大いに参考になるでしょう。


6月30日(土)午後1時半から5時
会場:日比谷図書文化館・4階小ホール(定員50人)
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅


講師:朝日新聞社会部青木美希記者
参加費:1000円(予約が必要です)
予約:参加希望日と氏名、大学名(卒業生も可)またはご職業、電話番号、メールアドレスを明記し、下記にメールかファクスでお申し込みください。講義内容はメディア志望の学生向けですが、社会人の方の参加も歓迎します。
メール sukabura7@gmail.com
ファクス 03・3291・6478
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
電話03・3291・6475(月水金の午後)


青木美希記者の略歴
1997年、北海タイムス入社。北海タイムス休刊にともない、98年9月に北海道新聞入社。旭川と札幌で勤務。札幌で警察担当のときに北海道警裏金問題(2003
年11
月から約1年のキャンペーン報道)を手がける。2010年9月、朝日新聞に入社し、東京本社社会部に所属。東日本大震災では翌日から現場で取材した。2011年9月に社会部から特別報道部へ。原発事故検証企画「プロメテウスの罠」などに参加。2013年、特別報道部の「手抜き除染」報道を手がける。取材班は新聞協会賞を受賞した。
posted by JCJ at 20:19 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

6月23日・7月15日 夏のジャーナリスト講座のお知らせ=須貝

JCJ夏のジャーナリスト講座(学生向け)

6月23日=テレビ記者疑似体感! 厳しくて、面白い。座学の濃密3h
7月15日=テレビ記者になろう!内定者・若手・ベテラン座談会

―――この職業は、本当に厳しくて、本当に面白い。志すなら、思いきりワクワクして、しっかり覚悟して、臨もう。それにはまず、現場を知ろう。「筑紫哲也NEWS23」「みのもんたのサタデーずばッと」などで、自ら取材・リポートしてきた元TBSの下村健一さんが「テレビ記者」を目指す若い世代と熱く語り、何を準備すべきか、どう向き合うべきか指導します。

6月23日(土)午後1時半〜5時=希望者には6時まで延長あり
会場:日比谷図書文化館・4階セミナールームA(定員20人)
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅

7月15日(日)午後1時半〜5時
会場:日比谷図書文化館・4階小ホール(定員50人)

講師:ジャーナリスト・下村健一さん(白鴎大学客員教授・元TBSキャスター)
参加費:いずれも1000円(予約が必要です)


予約:参加希望日と氏名、大学名(卒業生も可)、連絡先電話番号、メールアドレスを明記して、下記にメールかファクスでお申し込みください。6月23日と7月15日の連続受講をお勧めします。
メール sukabura7@gmail.com ファクス 03・3291・6478
★7月15日に受講される方々へ・自由提出課題のお知らせ=7月7日までに、30〜90秒の自己紹介映像をつくり、無料の大容量データ転送サービス(ギガファイル便など)で上記アドレスまで提出してください。(義務ではありません。希望者のみです)映像は、スマホの横撮りで結構です。講師が批評・助言します。
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
電話03・3291・6475(月水金の午後1時から6時)
posted by JCJ at 20:11 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする