2025年12月01日

【月刊マスコミ評・新聞】公明離脱で政局、万博赤字で閉幕=山田 明

 1年前と同じように、自民党の総裁選がマスコミを総動員して繰り広げられた。新しい総裁に高市早苗氏が選出されたが、「アベ政治」への回帰、さらなる右傾化、放漫財政が危惧される。公明が連立を離脱して政局は波乱含みに。

 少数与党で、連立拡大に注目が集まる。高市氏は当初、国民民主に軸足を置いていたが、日本維新の会と連立協議を進める。維新は連立入りを見据えて「副首都構想」骨子案を公表。首都の法的規定もないのに「副首都」法案とは理解に苦しむが、首都機能のバックアップ体制構築などを掲げる。今回の法案には、大都市法による特別区設置を盛り込んだ。大阪市廃止、「大阪都」3度目の挑戦への布石ではないか。連立拡大の動きと「副首都」構想から目が離せない。

 半年間にわたる大阪・関西万博へ。会場は大阪湾の人工島・夢洲で、開幕前からアクセスや公災害など危険が指摘されてきた。夢洲リスクが顕在化したが、なんとか閉幕にこぎつけた。開幕当初は低調な出足だったが、何でもありの集客優先戦略により、後半に盛り返してきた。万博運営費の黒字が喧伝されるが、巨額の会場建設費やインフラ整備など、万博収支全体は「大幅赤字」である。

 夢洲万博は閉幕しても、終わりでない。海外パビリオン工事費の下請け業者への未払い問題は深刻化している。万博協会はもちろん、国や大阪府市の責任が問われる。閉幕後の解体工事も要注意だ。万博跡地開発が検討されているが、さらなる大阪市の財政負担、環境破壊が懸念される。
 朝日新聞9月24日夕刊1面「リングの先にどんな未来が」掲載の写真は、今回の万博を象徴するものだ。酷暑のなか大勢の人が大屋根リングを歩いているが、その先には巨大クレーンが立ち並ぶ。万博会場に隣接した夢洲IRカジノの建設現場である。万博会場が軟弱地盤の埋立地・夢洲になったのは、維新がここにカジノ誘致をめざしたからだ。

 万博とカジノを一体とした夢洲開発は、維新がツ―トップの大阪府市「成長戦略」として強行されてきた。夢洲カジノについては住民訴訟が大阪地裁で係争中である。マスコミもポスト万博の夢洲開発を注視してもらいたい。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号

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2025年11月30日

【お知らせ】消費税減税・インボイス廃止の実現を求める12・3国会集会=インボイス制度の廃止を求める税理士の会

 共闘するインボイス制度を考えるフリーランスの会からお願いです。12月3日(水)、消費税減税とインボイス廃止を求める国会集会を開催します。
 本集会では、インボイス制度の廃止を求める税理士の会による「インボイス廃止法案」の提出を求めるオンライン署名をインボイス問題検討・超党派議連に手交する予定です。
締切は12月1日(月)13時まで。こちらの署名へのご参加・拡散もよろしくお願いいたします。
※仮名OK、団体も署名可能です
【署名はこちらから↓】
forms.gle/Yawp9MkeFLyKcGXs5

11月に入り、政府が「2割特例・8割控除」の延長を検討しているというニュースも出てきています。皆さんの声が、確実に政治を動かしています。インボイス廃止に向けて、さらに声を届けていきましょう。3日のご参加、お待ちしています!

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「消費税減税・インボイス廃止の実現を求める国会集会」
日時:12月3日(水)11:00〜14:30
会場:参議院議員会館 B107
※参議院議員会館前で集会の中継も予定しています
主催:インボイス制度の廃止を求める税理士の会
協力:インボイス制度を考えるフリーランスの会
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2025年11月29日

【支部リポート】東海 戦争への道 止めたい 「沖西ネット」が連続行動=丹原美穂(「沖縄・西日本ネットワーク」事務局)

 進む戦争準備
 今年度の自衛隊と米海兵隊との実働訓練「レゾリュートドラゴン25」が9月11日〜25日、沖縄を中心に北海道や山口、大分、佐賀、長崎、熊本、鹿児島の各県で行われた。

 今回の想定は島しょ(離島)防衛作戦。自衛隊約1万4千人、米軍約5千人の計1万9千人が参加した過去最大規模の「訓練」には民間空港や民間船舶も利用され、長射程ミサイル配備やオスプレイ、実弾訓練もあり、通信部隊は公園まで利用。市民の暮らしにも大きな影響があった。
 また月が変わった10月の陸・海・空の「自衛隊統合演習」は、日米豪の3カ国が参加して20日〜31日の日程で始まった。宇宙、サイバー空間や電磁波領域の演習も組み込まれ民間空港や港湾が利用されている。
 一方、各地では自衛隊の弾薬庫増設やミサイル配備計画が相次いでいる。

 戦争への道にNO

 戦争への道を拒否するため、JCJも支援する「沖西ネット」の参加団体もそれぞれ各地で「NO」の声を上げている。

 祝園…古都京都・奈良に立地する陸自祝園(ほうその)分屯地には、国内最大規模14棟の大型弾薬庫が増設される。京都府北部の経ケ岬Xバンドレーダー基地、舞鶴海自基地ミサイル搭載イージス艦とつながり京都があらたな軍事拠点と化す。
「京都が危ない!」『私たちは二度と戦争をしたくない!平和でこそ文化の香りは立つ!』と心を一つに10月19日、全国各地から一堂に会し祝園全国集会を開催、大軍拡・戦争準備に反対する声を上げました。

 大分…長射程ミサイル用大型弾薬庫の1棟目の完成が迫る大分分屯地では、保安距離や報復攻撃リスクへの不安をよそに、軍民分離原則違反他で建設が進んでいます。私たちは「戦争はイヤだ!大分連続行動」(11/22総決起集会、12/14現地集会とデモ、基地申し入れ)を行い、軍事力によらない平和的解決を国内外に訴えます。

 熊本…熊本市の健軍駐屯地では、「12式地対艦誘導弾能力向上型」が今年度中に配備される計画が進行しています。

 1000q以上の長射程ミサイルの配備決定に、住民は不安と危機感を抱いています。私たちはさらなる軍拡による戦争準備ではなく、対話や経済外交による、平和と安心の暮らしを守る道を選んでほしいと強く願っています。  
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号 
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2025年11月28日

【25年受賞者スピーチ】核の人間破壊に抗う 記録写真や手記を生かす=水川 恭輔さん(中国新聞)

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 「ヒロシマドキュンメント」は被爆80年に向けて昨年8月から始めました。79年前の同じ日、同じ時期に広島はどんな状況だったかを1945年については12月31日まで毎日報じました。今年は46年以降の状況をたどり、合計で350本以上の記事を掲載しました。

 米軍が投下した原爆のきのこ雲の下、人間たちや広島の街に何が起きたかに記録と証言で迫りました。中国新聞も社員の3分の1にあたる114人が被爆死し、本社は全焼しています。
 企画では45年8月6日に中国新聞のカメラマン、松重美人さんが撮影した写真を起点に朝日、毎日など報道機関が撮った記録写真を活用しました。原爆の写真というと、米軍が核兵器の効果を調べるため、上空から撮ったきのこ雲が教科書などに使われますが、今回は被爆者本人や報道機関などが撮った写真を重点的に取り上げています。

 背景にあるのは危機感です。ロシアのウクライナ侵攻に伴う核の脅しがあり「核のタブーが崩壊しかねない」状況です。被爆者の平均年齢が86歳を超え、証言だけに頼って当時を把握することは困難になっています。

 伝えたかったのは、核の力を誇る国家の視点とは正反対の人間、市民から見た核兵器の実態です。涙に目をくもらせながらシャッターを切った松重カメラマンの写真も含め、未曽有の惨禍を撮影した日本側の写真は3000枚近くになります。旧日本軍の焼却命令、占領軍の提出命令に抗って残されたものも少なくありません。報道制限の中で残された手記や日記、文学もあります。
 韓国をはじめ海外の被爆者や、マーシャル諸島などの核実験被曝者に対する救援、連帯活動も取り上げ、核の人間破壊に抗ってきた市民の歴史に光を当てました。

 壊滅した爆心地一帯の代表的なパノラマ写真を撮った林重男さんは「私たちの写真が永遠に最後にあるように」という言葉を残しています。次の世代が惨禍の実態と人間の営み、格闘を知り、継承していく一助になればと思っています。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号 
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2025年11月27日

【25年JCJ賞受賞者スピーチ】=南京と沖縄つなげる 新しい戦前≠ノはしない 中村 万里子さん(琉球新報社)

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 「新しい戦前≠ノしない」キャンペーンは昨年3月22日、沖縄戦を指揮した第32軍の創設の日に始めました。連載「戦世ぬ沖縄」では日本のアジア侵略と植民地支配の最終局面にあった沖縄戦までを体験者の証言で伝えました。沖縄は加害者にも被害者にもさせられたという内省を踏まえた取り組みです。

 沖縄戦は1945年3月下旬から3か月にわたる激しい地上戦でしたが、日中戦争が沖縄戦にどうつながったのかは、これまで取り上げられなかったテーマです。
 沖縄では「南京・沖縄を結ぶ会」が、中国と市民交流をしようと23年に初めて南京に行きました。沖縄戦を日中戦争から書き起こそうと思い私も、23、24年と同行取材しました。訪中団の参加者は日本兵の子や孫の世代。南京事件があった当時、父親は南京にいたことが軍隊手帳からわかったが、父は何も話さず、ただ中国残留孤児の番組を見ながら「日本軍はひどかったよ」とつぶやいた。そんな背中を見ながら育った方々でした。

 「南京陥落(1937年12月)の時、沖縄でもものすごく祝った」「神社になった首里城で提灯行列があり、日の丸を振って喜んだ」と話した首里の新元貞子さんは、「なんてばかだったのだろう」と振り返りました。
 日中戦争から引き返せなくなり、沖縄の人がどう動員されたか、その構造が見えてきました。
 沖縄戦に備えて1944年、大勢の兵士が中国から転戦して沖縄にきます。そこで彼らが目にしたのは中国と似た沖縄の習慣でした。
 豚を便所で飼い人糞も餌になる。それが重なり、沖縄の人への酷い暴力、差別につながったとの証言もあります。

 米軍の上陸時、第32軍は「沖縄語」をしゃべる人は殺害せよと命令しました。貫かれていたのは差別のまなざしです。
 沖縄戦の最中、3紙統合でできた「沖縄新報」は留魂壕に輪転機を持ち込み、特攻精神を高揚する新聞を発行し、学徒隊や壕内の住民に配りました。先輩たちは「あの時、何で軍の言いなりだったのか」と話しました。
 後悔を2度と繰り返してはいけない。武力によらない平和を願う心を伝え続けたいと思います。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
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2025年11月26日

【おすすめ本】井上 伸』民主主義のためのSNS活用術 連帯と共感のツールとして』―政治や社会を動かす 重要なツールをいかに使うか=矢野 彩子(愛知県医労連書記長) 

 「SNSって炎上が怖いから見ているだけ。投稿しても見てもらえない」と思ってませんか?
著者のSNS投稿は、独自のグラフを用いて説得力があります。筆者の属する愛知県医労連も、を入れるきっかけとなりました。

 選挙の投票に際し何を参考にするか、30代以下ではSNSが65%に上っています(NHK 2025年5月調査)。LIN Eを選挙に使う際も「一方的に情報を送りつける」のでなく、自分の「思い」を添え、相手の感想を一言聞くなど双方向で使うことが大事など、著者の具体的なアドバイスも納得。労働運動や社会活動にSNSを活用し、政治を動かした実例も多数紹介されています。選挙以外でもSNSの重要性がよくわかります。

 SNSをしていると、心ないコメントに心が折れそうになる時もあります。ネット右翼に絡まれて黙っていては相手の思う壺。「相手は私たちを 黙らせたい、発信をやめさせたい一念」と、指摘 する著者の言葉に、これで黙ってしまえば相手の思い通りになると勇気を奮い立たせてくれます。

 主にネット(特にSNS)から情報を得ている若い世代にとって、SNS上にない情報は、存在しないことと一緒なのです。私たちの思いを届けるには、SNSを活用するしかありません。私たちがSNS上で存在感を示さなくては、デマや差別で埋め尽くされてしまいます。
 本書を手に、SNS未経験の方も、ぜひ一歩踏み出してほしいのです。民主的な発信を増やし、SNS上での多数派を目指しましょう。(日本機関紙出版センター 1300円)
          
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2025年11月25日

【焦点】中露蜜月関係*{当か 中国は「敵」とみなす―ロシア内部文書で警戒 米NYT報道=橋詰雅博

 ウクライナに侵略以降、米欧などから経済制裁を受けるロシアを陰に陽に支援する中国。米国への対抗を隠さない両国は蜜月関係≠ニ言われる。11月17日モスクワ訪問中の中国の李強首相とロシアのプーチン大統領の会談でも、中露の貿易協力を引き続き発展させることを確認した。米欧の制裁でロシア産原油輸出先の先細り打開に向けて輸出継続を探る協力を惜しまないと李首相は約束したとされる。ロシアと中国の友好関係は深まる一方で、軍事・経済の協力は黄金時代≠ノ入ったとプーチン氏は公言しているという。

 しかし、ロシアは腹の底では中国を信頼していないどころか「敵」とみなしているというロシアの機密文書を入手した米紙ニューヨーク・タイムズは6月7日付電子版で報じた。NYTと提携する朝日新聞は特集記事翻訳を8月10日付紙面で掲載。それによると、国内治安機関「連邦保安局(FSB)」が2023年から24年初頭にかけて文書を作成されたとみられる。8nの内部文書は、中国情報当局の活動をかつてないほど詳細に明らかにしている。

 具体的には@ロシアの政治権力中枢に近い政府関係者や専門家、ジャーナリスト、ビジネス関係者を取り込む、Aウクライナ侵略で西側と戦うロシアの戦争の実態把握、特にドローン活用法や相手国の新型兵器への対抗情報入手に躍起、B遅れている航空技術を挽回するため軍パイロットや航空流体力学、制御システムなどの研究者に接近、C民間軍事会社ワグネルの戦闘員が持つ経験を自国の軍隊や、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカで活動する民間軍事会社に活用する、D自国の工作員が帰国すると、すぐに、ウソ発見器による検査を実施するほか、中国に滞在の2万人ロシア人学生の監視を強化し、中国人配偶者を持つロシア人をスパイ候補として勧誘―などだ。

 こうしたことからロシア情報機関幹部らは、中国の情報活動を「潜在的な敵」として心に刻み、中国への警戒心は絶対に解かないとしている。
 もちろんロシアも対中国への情報活動を怠っていないはずだ。
 国同士の付き合いは信頼と不信とが混じる、これはいつの世も変わらない。蜜月関係をうのみにしてはならないのだ。



 

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2025年11月24日

花角新潟県知事の判断は県政と日本の原子力エネルギー政策全体に大きな禍根を残す−県民意識調査を検証する−=原子力市民員会

【要約】
新潟県が実施した柏崎刈羽原発の再稼働についての「県民意識調査」は、質問順による回答誘導や誘導的な説明文など、社会調査の手法として避けるべき基本に反している。
そのような誘導にもかかわらず、再稼働へのさまざまな面での懸念を示す回答が多数を占め、再稼働容認が県民の総意であると解釈するのは無理がある。
知事が重視するとした論点も解消されておらず、この調査を根拠とする再稼働容認判断は妥当性および正当性を欠き、県政と日本の原子力政策に重大な禍根を残す。

●新潟県による「県民意識調査」には、質問配置によるキャリーオーバー効果、一面的で誘導的な説明、複数論点を一問に含むダブルバレル質問など、社会調査として看過できない重大な欠陥をはらむ。
●調査結果からは、安全性・防災対策・東京電力への信頼性のいずれも県民の懸念が強く、「再稼働の条件が整っている」との回答は37%に留まる。
●知事が重視するとした「必要性・安全性・東電への信頼」の3論点のうち、少なくとも安全性と信頼性は解消されていない。
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【本文】
2025年11月21日に、花角英世・新潟県知事は東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を容認するとの判断を表明した。知事は、この判断に至る過程で、県内市町村長の意向とともに、県が主催した公聴会と県民意識調査の結果をふまえてきたという。

しかし、2025年9月〜11月に県が実施した「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民意識調査」(以下、県民意識調査)には、以下に記すような問題がある。この調査結果とその解釈をもって、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民の意識を、実像に迫る形で把握できたとは言い難い。今回の知事の判断は不適切である。

県民意識調査は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題について、県民の多様な意見を把握するため、地域・年代・性別等の幅広い属性を対象に実施されたもので、県内30市町村の6,000人に調査票を送付した大規模なものである。10月〜11月にはPAZ・UPZ地域を対象とした追加(補足)調査を6,000人に実施した。

県民の意見を広く把握しようとする試みは基本的に歓迎すべきものである。しかし、仮に調査設計が対象者に特定の結論を誘導しかねないものであったり、調査結果が恣意的に解釈されたりするようなことがあれば、その価値はたちまち失墜する。多額の公金を投じる意義も問われ、県民生活の安全を守る県の立場は厳しく問われるであろう。

脱原発をめざす市民や技術者、研究者らによって組織された原子力市民委員会には、社会調査の経験を積んだ社会学者・社会科学者が委員やアドバイザーとして複数参画している。私たちは県が公表している調査票や報告書の内容を精査し、以下の問題点を確認した。新潟県が行った県民意識調査は、社会調査や科学の基本的な作法から逸脱しており、この調査結果から、県民が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に理解を示しているとは言い難い。知事の判断は、正当性がなく、新潟県にとっても、また日本の原子力エネルギー政策全体にとっても大きな禍根を残すものである。

1.調査票の設計に関する問題
「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民の意識調査 調査票」には、以下の問題点がある。なお、調査票は11の大問からなるが、細分化された小問や小項目をカウントすると、調査対象者は総計43の質問に回答するものとなっている。

1.1 前の質問が次の質問に影響を与える「キャリーオーバー効果」を引き起こす配置になっている

調査票は最初の質問(問1)で「柏崎刈羽原子力発電所に限らず、日本における原子力発電所の必要性」について問うている。
この質問の配置は、前の質問の回答が続く質問への回答に影響を与えてしまう「キャリーオーバー効果」を引き起こすおそれがある。具体的に言えば、続く質問で聞かれた柏崎刈羽原子力発電所に関する評価が、日本における原子力発電所の必要性に関する回答と矛盾しないように、一定数の回答者に意識させてしまった可能性がある。

社会調査法に関する教科書の多くで、キャリーオーバー効果は影響を与えそうな質問の順番を変えることで避けられるとしている 。柏崎刈羽原子力発電所という県民意識調査の主題の範疇を超える質問は調査票の終盤にまわすなど、調査票設計上の工夫の余地は十分あった。「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民の意識調査」をうたいながら、調査票の冒頭で「日本における原子力発電所の必要性」という、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題の範疇を超える一般論に関する意識を問うたことは社会調査の基本的作法からみて誤りである。

1.2 誘導的な内容が含まれている

問4-2は、柏崎刈羽原子力発電所の「防災対策」に関して、避難計画の策定から防災訓練の実施まで8つの取り組みに対する認知度を問うている。調査票には8つの取り組みに関する補足の情報が各項目の下部に記載されているが、避難計画や避難路の整備、除排雪体制の強化などの内実については、それぞれに多様な評価が存在し、公聴会等においても論点となってきた。にもかかわらず「訓練等を通じて連携を深めています」(項目(3))といった一面的な評価が含まれた説明が施されている点は、調査対象者の意識をある方向へと誘導することにつながりかねない。
続く問4-3では、防災への取り組みの実施度に関する評価を問うており、誘導的な内容を含む質問への回答が、上述したキャリーオーバー効果を引き起こすおそれもある。問3-1と問3-2の関係も同様である。

なお、問4-2には誘導質問となる可能性の他にも問題がある。それは、項目と説明が併記され、説明の情報量が多く複数の論点にまたがるため、回答者は何について「知っている」「知らない」を判断すればよいか、にわかに識別し難い。質問の中に複数の論点や対象を盛り込むことは「ダブルバ−レル」と呼ばれ、一般に避けるべきであることは社会調査の基本的作法である。

2.調査結果の解釈に関する問題

新潟県が公表した報告書の集計結果をそのまま読めば、県が主題とした「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題」に関わるポイントは以下の3点にまとめることができるだろう。

2.1 柏崎刈羽原子力発電所の安全性や防災への取り組みに対する評価は低い

1.で見たように、問1などキャリーオーバー効果が生じているおそれがある、または問4-2など誘導的な内容となっているおそれがある質問を含む調査票で実施された調査にもかかわらず、回答者の多数は、安全性や防災への取り組みに対する懐疑的な意識、または「わからない」とする意識を有していることが明らかである。

例を挙げよう。
・柏崎刈羽原子力発電所で実施されている対策により、安全性が「十分/おおむね確保されている」と回答した県民は44%にとどまる(問3-2)。
・防災への取り組みは「十分/おおむね実施できている」と回答した県民は36%にとどまる(問4-3)。
この結果を、県(ならびに事業者、事業監督者)は重く受けとめなければならない。

2.2 再稼働の条件は現状では整っていない
問5-1は柏崎刈羽原子力発電所6号機・7号機の再稼働に関する考え方を複数例示し、それぞれに同意するかを問うている。同意する(「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」の合計)割合の多い順は次の通りであり、使用済核燃料の問題や原子力災害の発生に対する不安感がほとんどの回答者に認識されている。

(12)「使用済核燃料が増えていくことが問題だ」(92%が同意)
(5)「豪雪時に安全に避難/屋内退避できるよう、除雪体制のさらなる整備が必要だ」(同91%)
(10)「原子力災害が発生した場合、風評被害が起きないか心配だ」(同91%)
(11)「原子力災害が発生した場合、十分な補償が受けられるか心配だ」(同91%)
一方で、問5-1において同意する割合の最も少ない考えが、(14)「再稼働の条件は現状で整っている」(同37%)であったという事実を無視してはならない。

2.3 知事が認識する3つの論点のうち、少なくとも2つは解消されていない

加えて、問5-1の結果は次のような内容が含まれている。

(8)「地域経済や雇用に良い影響がある」(同67%)
(9)「自分の住む地域にさらなる具体的なメリットが必要だ」(同69%)

これらの経済的メリットに関する期待や同意は過半を超えている。しかし、花角知事は2024年9月4日の記者会見で、再稼働をめぐる論点は原発の必要性と安全性、東京電力への信頼性の3つであり、経済的メリットはこれら3つの論点とは水準が異なるとの認識を自ら示している 。
東京電力が柏崎刈羽原発を運転することについては、以下のような結果がでている。

(2)「東京電力が柏崎刈羽原子力発電所を運転することは心配だ」(同69%)

知事が認識する3つの論点のうち少なくとも2つ、すなわち原発の安全性と東京電力への信頼性は、解消されていないことが明白である。

3.県民意識調査は、新潟県知事の再稼働容認の根拠にならない

柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関わる県民の意識はある程度明確に示されている。とりわけ問5-1(14)において、「再稼働の条件は現状で整っている」との考えに同意する回答者は全体の37%にとどまったことは重大である。

にもかかわらず、報告書では安全対策や防災対策に関する認知度、つまり県民の知識量が増えるほど「再稼働の条件は現状で整っている」と思う割合が高くなる傾向にある(報告書、p.91-92)といった「詳細分析」が繰り返されている。これは人々の科学技術に関する知識の欠如が問題が解決されない原因であるとみなし、知識を増やせば問題が解決するという「欠如モデル」に基づく仮説である。この考え方は、科学技術社会論や科学技術コミュニケーションの領域では、すでに有効性を失っているものである。

県民意識調査の結果は、今般の知事の判断の根拠とはならない。東京電力が柏崎刈羽原発を再稼働することは、新潟県民の意思から乖離しており、許されない。
以上
https://www.ccnejapan.com/statement/19780/
※ 県民意識調査について
・調査票は以下のウェブサイトで確認することができる
新潟県「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民意識調査の実施について」(2025年9月3日更新)
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/genshiryoku/kashiwazakikariwa-kenminishikityosa-tyousakaishi.html
・調査結果は以下のウェブサイトで確認することができる
新潟県「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民意識調査の結果」(2025年11月11日更新)
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/genshiryoku/kashiwazakikariwa-kenminishikityosa-kekka.html

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原子力市民委員会 事務局
〒160-0008 東京都新宿区四谷三栄町16-16 iTEXビル3F
(高木仁三郎市民科学基金内)
TEL : 03-6709-8083 FAX: 03-5539-4961
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2025年11月23日

【おすすめ本】金子 勝『フェイクファシズム 飲み込まれていく日本』―産業の衰退、農業は荒廃etc. <アベノミクス>から脱却を=坂本 充孝(元東京新聞編集委員)

 世界で民主主義と自由主義が揺らいでいる。気鋭の経済学者である著者は、その理由をフェイクファシズムの台頭にあると説く。フェイクファシズムとは何か。独裁的指導者が私利的目的のために使う政治手法で、特徴は3つあるという。
 @山ほど嘘をつくA陰謀論と同情論をまき散らすB「敵友概念」で対立構造をつくる。
 ナチスのファシズムは暴力装置を多用した。だが、最近はSNSを味方にし、フェイクを拡散することで力を得ている。この中心に座るのが、米国トランプ大統領であるというわけだ。

 気を抜けば日本も飲み込まれる。この危機をどう生きればよいのか。ここからが本書の核心といっていいだろう。
 著者が強調するのは、故安倍晋三首相が打ち出した経済政策<アベノミクス>の失敗を認め、脱 却することだ。金融緩和を軸としたこの政策の発動以後、日本の産業はみるみるうちに衰退した。
 特に情報通信技術の分野は世界の水準から取り残されつつある。米国のIT企業群GAFAMの猛攻に圧倒され、太刀打ちすらできない状態になっている。

 こんな愚策が、なぜ続いたのか。理由は安倍政権が構築した「2015年体制」であると、著者 は指摘する。内閣法制局長官、 日銀総裁、NHK会長などを身内で抑え込み、内閣人事局で官僚制を破壊し、電波停止示唆でテレビメディアを萎縮させた。
 批判の声は封じられ、この結果、デフレ脱却は遅れ農村は荒廃。原発は再稼働し国民はマイナ保険証失敗のツケを負う。
 まずは民主主義を立て直さなければ、と著者。そのための知恵が詰まった一冊。(日刊現代 1500円) 
            
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2025年11月22日

【お知らせ】緊急全国署名へのお願い 柏崎刈谷原発 再稼働に反対 第一次締め切り11月30日(日)=国際環境NGO FoE Japan

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 本日、新潟県の花角英世知事が、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の容認を表明しました。12月2日からはじまる県議会での議決を経たのち、国・東電に正式に「地元同意」を伝えるとしています。

 新潟県が実施した県民意識調査では、「再稼働の条件は整っているか」との設問に対し、「そうは思わない」「どちらかといえばそうは思わない」との回答が6割を超えました。市民団体による調査でも、県民の約6割が再稼働に反対の意を示しています。知事や県議会はこうした県民の声を無視するのでしょうか。

 東電福島第一原発事故は終わっていません。多くの人たちが今までの暮らしやコミュニティ、故郷をうばわれました。廃炉の道筋も見えていません。
 東電をめぐっては、隠ぺいや不祥事が多く発生してきました。つい昨日も東電社員が、テロ対策に関わる秘密文書を、必要な手続きを取らずに保管場所から持ち出してコピーしていたことが報じられました。
複合災害時には、住民は避難も屋内退避もできない状況におかれるなど、現在の避難計画は住民を守るものにはなっていません。

 全国緊急署名がはじまりました。一次締め切りは11月30日です。12月1日に新潟県議会に提出予定です。ぜひ、ご署名・拡散いただければ幸いです。

署名はこちらから👉https://c.org/KCQpm82VKv
参考情報👉【Q&A】東電柏崎刈羽原発、知っておきたい14のポイント
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新潟県知事 花角 英世 様
新潟県議会議長 青柳 正司 様
東京電力ホールディングス株式会社 代表執行役社長 小早川 智明 様

柏崎刈羽原発の再稼働について、新潟県が実施した県民アンケートにおいて、「再稼働の条件は整っているか」との設問に対し県民の6割が「そうは思わない」「どちらかといえばそうは思わない」と回答しました。市民団体が実施した調査においても県民の約6割が再稼働に反対の意を示しています。

福島第一原発事故は終わっていません。多くの人たちが今までの暮らしやコミュニティ、故郷を失いました。廃炉作業は遅々として進んでいません。処理汚染水の放出、「復興再生利用」という名で、除染で生じた土の拡散も進められようとしています。

柏崎刈羽原発では、核防護上の不祥事による運転停止が解けてからもトラブルが絶えません。この8月には、再稼働予定の6号機で制御棒1本が引き抜けないトラブルが発生していますが、原因は未解明なままです。東電に原発運転の資格はありません。

避難計画の実効性は確認されていません。集落が孤立し、避難も屋内退避もできない状況が生じるといった能登半島地震の教訓は反映されていません。柏崎刈羽原発は豪雪地帯に立地していますが、即時避難が必要な5キロ圏でも、大雪後の除雪等で避難できない場合は自宅等への屋内退避となり、大量の被ばくが避けられません。5キロ以遠でも屋内退避の継続が優先され、被ばくをさせてでも避難させない計画になっています。

柏崎刈羽原発は、東北地方の日本海沿岸および日本海から信州・北陸に至る活断層帯の真っただ中に位置しています。日本海側の海域活断層の長期評価に関する審査は継続中です。2007年の中越沖地震(M6.8)では設計の想定を超える揺れにおそわれました。再び想定外の地震におそわれる懸念はぬぐえません。

原発の稼働によって生み出される高レベル放射性廃棄物の処分も決まっていません。原発の再稼働は「核のごみ」を増やすだけです。

東電原発事故がそうであったように、原発事故の影響は全国に及びます。柏崎刈羽原発の電気は首都圏に送られますが、そのために多くの人を不安と恐怖に陥れることはゆるされません。全国から声を届けます。私たちは柏崎刈羽原発の再稼働に反対します。柏崎刈羽原発の再稼働に同意しないでください。再稼働をやめてください。

署名呼びかけ団体:
原子力規制を監視する市民の会
規制庁・規制委員会を監視する新潟の会
ひだんれん/原発事故被害者団体連絡会
脱原発福島ネットワーク
原発を考える品川の女たち
国際環境NGO FoE Japan
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2025年11月21日

【焦点】 議員削減、維新の地盤大阪ではこうなった=橋詰雅博

 高市早苗首相と日本維新の会の藤田文武共同代表との11月17日会談で連立合意書に盛り込んだ衆議院定数比例区一割削減について、高市首相は「非常に強い意志を持って両党の約束を果たす」と明言した。民意を十分に反映せず、比例当選が多い中小政党を潰す議員削減を自維政権は実現に意欲を示している。

 政治とカネ問題を隅に追いやった維新の議員削減は、地盤の大阪で実行済み。2011年の府議選で過半数を得た維新は、それ以降、定数112議席を15年に109に、23年には79まで減らした。その結果、53選挙区のうち最大4人区は3選挙区、1人区が36と拡大。小選挙区が多数になったことから、支持層が厚い維新有利が確実になった。案の定、23年府議選では、全有権者の26%の得票なのに維新が7割もの議席を占めた。大阪市議会でも23年に81から70に議席減、25%の得票で維新は6割超の議席を得た。

 府も市も維新が牛耳る議会に転落し、万博が実行され、カジノ建設が着々と進行中。国からの巨額な税金を投入させ大阪を潤いさせる「副首都構想」実現を自民党にのませた。

 「あかん!カジノ」女性事務の川本幹子さんは、こう語っている(新婦人しんぶん11月22日付)。
 「維新の『やりたい放題』は驚くべき暮らし破壊。病院の統廃合、病床削減がもたらした医療ぜい弱さが、新型コロナ感染で全国一の死者を出したのです。府立高は3年『定員割れ』になると統廃合の対象という条例で、昨年までで21校、40年までにさらに32校減らす計画です。『公教育にカネをかけるな』と言いたいのでしょう」
 維新が議員削減に踏み込んだ大阪。暮らしに悪影響が出ている。衆議員削減はその二の舞にならないだろうか。
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2025年11月19日

【JCJ 12月集会】戦後80年からのジャーナリズムに求められること 6日(土)13時から16時30分 渋谷区勤労福祉会館2階 第1洋室(JR ・私鉄・地下鉄 渋谷駅下車) 

■開催趣旨と呼びかけ
 戦後80年、人々が築き上げてきた「平和日本」は、軍拡へ進む政権の動きに揺らぎ続けています。平和を守り、再び戦争を起こさせないことはジャーナリズムの責務です。 戦後80年からのジャーナリズムを、そして一人ひとりのジャーナリストの足腰を強くしていくためにはどうすればよいのか、日々、さまざまな分野で活動しているジャーナリスト3人とともに考えます。

■報告とシンポジウム
 上丸 洋一 さん(じょうまる・よういち ジャーナリスト)
 鈴木 エイト さん(すずき・えいと ジャーナリスト・作家)
 中川 七 海 さん(なかがわ・ななみ ジャーナリスト)
 古川 英一(ふるかわ・えいいち JCJ事務局長・コーディネーター)

■登壇者プロフィール
 ●上丸 洋一(じょうまる・よういち ジャーナリスト)さん
 1955年、岐阜県高山市生まれ。78年、朝日新聞社入社。オピニオン編集長、「論座」編集長、編集委員(言論・ジャーナリズム担当)などを務めた。2020年、定年退社。著書に『「諸君!」「正論」の研究』(岩波書店)、『原発とメディア』『新聞と憲法9条』『南京事件と新聞報道』(以上、朝日新聞出版)など。共著『新聞と戦争』(朝日新聞出版)など。他。

 ●鈴木 エイト(すずき・えいと ジャーナリスト・作家)さん
 1968年生まれ、日本大学卒、「日本ペンクラブ」理事(言論表現委員会副委員長)、「日本脱カルト協会(JSCPR)」理事、「やや日刊カルト新聞」主筆。著書:『NG記者だから見えるもの』『「山上徹也」とは何者だったのか』(講談社+α新書)、『統一教会との格闘、22年』(角川新書)、『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』『自民党の統一教会汚染2山上徹也からの伝言』(小学館)。X(旧Twitter)ID:cult_and_fraud

 ●中川 七海(なかがわ・ななみ ジャーナリスト)さん
 1992年、大阪生まれ。大学卒業後、米国本部の国際NGO「Ashoka」に就職。2020年、探査報道(調査報道)に特化した非営利独立メディア「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」に加入し、ジャーナリストに。原発事故下の精神科病院で起きた事件の検証報道「双葉病院 置き去り事件」でジャーナリズムXアワード大賞(2022年)、空調大手・ダイキン工業による化学物質汚染を描いた「公害PFOA」でPEPジャーナリズム大賞(2023年)、メディア・アンビシャス大賞〈活字部門優秀賞〉(2023年)、日隅一雄・情報流通促進賞〈奨励賞〉(2025年)などを受賞。著書に『終わらないPFOA汚染』(旬報社)。

●古川 英一(ふるかわ・えいいち)JCJ 事務局長・コーディネーター

■実施要項
会場参加+オンラインのハイブリッド開催
 
参 加 費 : 会場、オンライン共に会員・一般1000円、学生500円
※会場参加は予約なしで入場いただけます。会場受付でのお支払となります
※オンライン参加お申し込みはhttps://jcj1206.peatix.com/ 見逃し視聴用配信有り 

■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
 メール:office(アットマーク)jcj.gr.jp 電話:03–6272-9781(月・水・金 13:00〜17:00)
■賛同団体: 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、メディア総合研究所、マスコミ市民、放送を語る会、 沖縄・琉球弧の声を届ける会
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2025年11月18日

【Bookガイド】11月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)

 ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)

◆室井昌也 『沖縄の本屋さんとおすすめ本ガイドブック』11/12刊 論創社 1700円
「知られざる出版王国・沖縄」の本屋さんが面白い!日本最南端にある老舗書店から東京から移住の古本屋まで、店主の生い立ちや店主になるまでの経緯、店の現状や本と沖縄への思いなどを豊富な写真とともに紹介。また沖縄が解るおすすめ本、ジャンル別に全104冊をガイド。
 著者は、1972年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。日本で唯一の韓国プロ野球が専門のジャーナリスト。沖縄とはプロ野球キャンプ取材をきっかけに縁が深まり、現在では東京から沖縄に通い、生放送のラジオ番組『室井昌也 ボクとあなたの好奇心』(FM那覇)に出演。
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◆荻野富士夫『治安維持法と「国体」』大月書店 11/17刊 2800円
治安維持法が威力の源泉とした「国体」は、どのように位置づけられていったのか。施行する側、適用される側、それぞれの解釈の変遷を資料に基づき読み解く。「新しい戦前」のいま、あらたな「国体」を生み出さないために。治安維持法における「国体」の問題、戦時下における大学の思想統制と動員、戦前のもう一つの学問統制・学問動員など、具体的に事例を挙げて論ずる好著。
 著者は1953年、埼玉県生まれ。小樽商科大学名誉教授。著書に『検証 治安維持法』(平凡社新書)など。
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◆小島寛之『ラマヌジャンの数学』ブルーバックス 11/20刊 1100円
インド出身の天才数学者ラマヌジャンの32年の生涯を追う。彼は渡英して数年の活動期間に、膨大な公式や定理を発見した。証明を書かず、独自の「数感覚」ともいうべき直感力で、誰も思いつかない発見を続け、複雑な係数のついた「円周率の近似式」などで知られる。32歳という若さで夭逝した天才数学者。眼力と直感によって、公式を掘り当てる「発見的方法」ともいえるラマヌジャンの数学。「魔術師」と呼ばれる数学者の実像に迫る。
 著者は1958年東京都生まれ。帝京大学特任教授。数学エッセイストとしても活躍。著書に『世界は2乗でできている』(ブルーバックス)など。
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◆篠田航一『コナン・ドイル伝━ホームズよりも事件を呼ぶ男』講談社現代新書 11/20刊 1100円
科学的な推理を身上とする名探偵シャーロック・ホームズを生んだのは、心霊と愛国に没頭するお騒がせ男コナン・ドイルだ。怪しい事象に突き進む、危うい男なのに、なぜ誰もがドイルを愛したか。彼の数奇な人生を、現地で関係者や有識者に取材した最新証言を交え、名作の解題と重ねて生涯を辿る。いまだ謎に包まれているエピソードを検証する。巻末にホームズ全60作品を解説・評価ガイドを添付。
 著者は1973年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。1997年、毎日新聞社入社。ロンドン特派員などを経て現在は外信部長。著書に『ナチスの財宝』(講談社現代新書)など。
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◆鶴見太郎『シオニズム━イスラエルと現代世界』岩波新書 11/23刊 1120円
パレスチナにユダヤ人の民族的拠点を作るという思想「シオニズム」。その起源と変遷を辿り、現代イスラエルの原動力を解明する。なぜイスラエルは国際社会の反対や懸念をよそに、ガザを徹底して攻撃するのか。ホロコースト以前に東欧で生まれたシオニズム思想の多様性と核心に迫る。現代世界を読み解く1冊。
 著者は1982年岐阜県生まれ。東京大学准教授。専門はシオニズム、イスラエル・パレスチナ紛争。著書に『イスラエルの起源』(講談社)、『ユダヤ人の歴史』(中公新書)など
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◆雨宮処凛『25年、フリーランスで食べてます━隙間産業の作り方』 河出新書 11/25刊 1100円
25年間、毎年本を出し、連載は現在17本。長年フリーとして生き延びてきた著者が、手の内を全てさらす! フリーランスとして生きている弁護士、海外出稼ぎ、デザイナー等にも取材し、フリーの生き抜く術や自衛の方法を網羅。自らを「究極の隙間産業としての雨宮処凛業』と謡い、コネもツテも無しでフリーの文筆業になるまでを、気さくな筆致で綴る。
 著者は1975年生まれ。作家・活動家。2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』でデビュー。以降、プレカリアート問題を中心に執筆。著書に『右翼と左翼はどうちがう?』『14歳からの戦争のリアル』など多数。
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◆池田嘉郎『悪党たちのソ連帝国』新潮選書 11/27刊 1750円
皇帝プーチンは一日にして成らず! ソ連から現代ロシアまでを貫く「統治の鉄則」を読み解く。ロシア帝国は、いかにして強大なソ連帝国として再建され、現代ロシアのプーチン体制へと至ったのか――。レーニン、スターリンからアンドロポフ、ゴルバチョフまで、法の上に君臨し、ソヴィエト連邦という「巨大な家族共同体」を率いた領袖たちの姿から、ロシア特有の統治原理を炙り出す。
 著者は1971 年、秋田県生まれ。東京大学教授。専門は近現代ロシア史。著書に『ロシアとは何ものか』、訳書にミヒャエル・シュテュルマー『プーチンと甦るロシア』など。
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2025年11月17日

【焦点】日本や韓国、サウジアラビア、ポーランド、ドイツが核保有国に!? ウクライナ戦争の結末が核戦略の行方に大きく影響 FT紙報じる=橋詰雅博 

 韓国の原子力潜水艦保有をトランプ米政権は容認した。対北朝鮮、対中国への軍事的な圧力を高めるのが韓国の狙い。無限潜行が可能な原潜は、相手国にとって驚異となる現代兵器だ。核弾頭ミサイル(SLBM)を搭載すれば核戦略の主力と位置付けられている。

 もっとも韓国が保有する原潜は、魚雷や巡航ミサイル搭載型だという。日本の高市早苗政権も原潜保有を安保政策に掲げている。保有したとしても韓国と同じ型の原潜だろう。ただしこれから議論される「非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)」が大幅に見直されたら核弾頭ミサイル発射ができる戦略型原潜に切り替わる可能性はあり得る。ちなみに原潜を保有しているのは、米65隻、露32隻、中国12隻、英10隻、仏9隻、印2隻。いずれも核保有国だ。原潜保有は、核兵器保有に発展する可能性を秘める。

 ともあれ核の軍拡路線は急拡大している。日本経済新聞社が買収した英フィナンシャル・タイムズ電子版10日付の翻訳記事「核の軍拡競争復活か」(11日付日経) によると、今日の核軍備増強は、米ソ冷戦時代よりさらに危険になる可能性がある。その理由は@核保有国のロシアによる非核保有国ウクライナの侵攻に加えてトランプ米政権の同盟各国に対する曖昧な姿勢により、米国の核の傘を失うことを恐れる国々の間では、核兵器取得の可能性が議題に上っている、AAI(人口知能)の進歩で、非国家でも世界で最も破壊的な兵器を簡単に製造できるようになりつつある―。そして新たに核保有国になる可能性があるのは、サウジアラビア、韓国、日本、ポーランド、ドイツ、イランを挙げている。

 危険な状況下だが、ウクライナ戦争の結末が核の行方を大きく左右する。同記事によれば、ロシアがウクライナで敗北もしくは戦況が膠着状態に陥った場合、核兵器は有用ではないと世界は結論付けるかもしれない。ロシアは使えない核戦力に膨大な資金を費やしたことになる。逆にロシアがウクライナに勝利した場合、核兵器保有は、非核保有国に対して通常兵器で仕掛けることができる一方で自国が侵攻されるリスクもない。
 ウクライナ戦争は、核保有の有無に重大な決定が下される紛争になりそうだ。
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