2019年07月07日

【支部リポート】 香川 出撃の空から遺書を投げた学徒 西日本放送「海は知っている」=刎田鉱造

5月12日に例会を持った。RNC・西日本放送が4月28日に放送した番組「海は知っている」〜詫間海軍航空隊〜をみる。昭和18年6月に水上機の実機訓練基地として設置された詫間海軍航空基地(香川県三豊郡詫間町)で20年4月から5月にかけて特攻戦死者57人を数える歴史を掘り起こした番組だ。地元出身の2人の大学生が特攻に出撃させられる。家族の思い、出撃の空から実家近くに遺書を投げ落としていった学徒兵の姿などを丁寧に描いて感動を呼ぶ。

 跡地は現在、化学会社や香川高専詫間校の敷地になっており、いまの若者たちの戦争してはいけないという声、語り継いでいくことの大切さの訴えで締めくくっている。

 出撃機はフロート付きの水上偵察機でとても体当たり攻撃に適した機体ではない。最後には機体がなくなって練習機までかり出したという。そういう機体で敵地に向かった若者たちの思いは実家の寺に残した長い遺書、本堂の端から端までの巻紙に毛筆でしたためたものににじみ出している。

 映像でコメントをしている証言者の大半は80代以上だ。もういましか実体験者の話を聞く機会はない。県内の戦争遺跡、体験を記録したものをライブラリー化する。足りないものを掘り起こすことを課題にして、力を注ぎたい。

刎田鉱造

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 15:42 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】7.7─参院選の焦点、鋭く深く捉えよう!

安倍1強政治に、審判を下す参議院選挙が始まった。6年半という異例の長期政権の実態を明らかにし、人間の尊厳が大切にされ、希望を持って働き生活できる日本へ、どうすべきか真剣に考えたい。

この間の国会運営は、あまりにも議会制民主主義を無視した、強権・横暴の連続だった。官邸は内閣人事局を通じて各省庁の人事を掌握、官僚による改ざん・忖度が蔓延した。
 森友問題では財務省による公文書改ざん、加計学園問題では「総理の意向」を忖度し、厚労省・総務省では毎月勤労統計の不正が発覚、これらいずれも検証は不十分、説明責任は果たさず、「不都合な事実」の先送りに終始した。
さらに異常なのは、国会での強行採決のオンパレードである。知る権利が侵害される「特定秘密保護法」(2013年12月)、集団的自衛権の行使を可能にする「安全保障関連法」(2015年9月)、犯罪を計画段階から処罰できる「共謀罪処罰法」(2017年6月)、残業代ゼロをもくろむ「働き方改革法案」(2018年6月)、カジノ賭博を認める「IR法案」(2018年8月)、外国人労働者の受け入れを拡大する「改定出入国管理法」(2018年12月)などなどだ。

与党が圧倒的多数の国会審議は結論ありきで進み、政策論議は深まらないどころか、首相は批判に耳を貸さず、予算委員会すら開かず、国会を空洞化させて恥じない。自民党国会議員の暴言もきりがない。
会期末に野党が提出した安倍首相問責決議案に対し、参議院の本会議で自民党の三原じゅん子参議院議員は「安倍首相に感謝こそすれ、問責決議案を提出するなど、愚か者の所業、恥をしりなさい」と、言い募る。
 自民党の二階俊博幹事長までが、参院選・立候補予定者の激励会で「選挙を頑張ったところに予算をつけるのは当たり前」と、国民の税金による露骨な利益誘導に走る。この議員モラルの崩壊は底なしだ。

さらには野党やメディアを乱心・偏向などと漫画入りで攻撃する、発行元が出所不明の自民党パンフレットを自党の国会議員に各20部も配布。首相の遊説日程まで、街頭の有権者から浴びる叱声を恐れて隠す。
今回の選挙に備え、自民党の党利党略から参議院の議員定数を6つ増やし、そのうち4つは「特定枠」として、選挙運動をしない比例候補者を優先的に当選させる仕組みを作った。そこに自民党は2人を当てた。有権者の審判を仰がないまま、国会議員が誕生する悪法がまかり通る。

重大な関心テーマである老後の生活費が2000万円不足する年金問題も、<年金100年安心・消費税10年無用>などというだけで、根本的な議論から逃げ回っている。ある試算では65歳までに2000万円貯めるには、金利3%として、30歳から毎月2万8千円を充当させなければ不可能という。
しかし2人以上の世帯では貯蓄ゼロが急増、非正規雇用者が300万人も増え、労働者の4割を占める。賃金は上がらず、どうやって毎月3万円近くの原資を捻出できるのか。
 かつ現行のマクロ経済スライドでは7兆円も年金資金が削減される。ならば高額所得者も均等負担をし、負担と給付の総合的な見直しを通して、減らない年金額にするのが緊急テーマとなっている。
少子高齢化が進む上に、6年後の2025年には団塊世代が後期高齢者となり社会保障費の急増は待ったなし。どうするのか。

消費税10%の増税も、2度延期した時よりも経済指標の数字も傾向も悪化しているのに、断行すれば日本経済をメチャクチャになる。改憲どころではない。
10月22日の「天皇即位パレード」は、自民党本部前を通過するコースに変更され、安倍総理、菅官房長官がパレードの車列に加わる。改元「令和」や天皇即位の政治利用も注意が肝心。21日の投票に向け、しっかり政権の動きを見極め、悔いのない1票を行使しよう!(2019/7/7)
posted by JCJ at 10:21 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【月刊マスコミ評・新聞】 対北朝鮮 無策への疑問ないのか=白垣詔男

日本の対北朝鮮外交は全くゼロなのか―そう思わせるニュースがあった。

6月5、6日、モンゴルでの国際会議の記事だ。朝日が5日朝刊で「北朝鮮が国際会議欠席 首脳会談打ち合わせの予定が」と前触れ記事を掲載した。6日朝刊では読売「日朝会談へ接触想定 モンゴル対話に北朝鮮参加せず」、産経とその他一部の地方紙(共同通信記事)「政府、日朝会談意向、伝達できず 北朝鮮がモンゴルでの会議欠席」の見出しで、外務省幹部が出席した国際会議に北朝鮮が欠席したことを報じた。これで安倍晋三首相が「前提条件なしで北朝鮮との対話」を提唱する意向を見せていたことを北朝鮮に伝えられなかったと「事実」のみを書いていた。毎日、西日本は報じなかった。

北朝鮮との関係について、「拉致問題解決」も「日朝首脳会談」も、安倍政権は米トランプ大統領頼みで、いずれも手詰まりの安倍首相は、それでも「外交の安倍」と胸を張るのだろうか。「モンゴル国際会議、北朝鮮欠席報道」からは、そうとしか読み取れない。

しかも、「親安倍新聞」も「正常なジャーナリズム感覚をまだ失っていない新聞」も、事実のみしか報じなかった。記事を書いた記者は、読者が抱く疑問を考えなかったのか。

本来、この記事は、日本の、対米追従だけの「対北朝鮮外交無策」について、これでいいのかという疑問を抱き、その解説が必要だろう。それを、日朝首脳会談の事前接触が、モンゴル国際会議頼みだったというだけの印象を与える内容では、読者不在の記事と言ってもいいだろう。

裏を返せば、「対北朝鮮外交」を外務省はどう考えているのかを知りたい。最前線で北朝鮮と接触をする、かつての田中均さんのような外務省幹部はいないのか。北朝鮮との接触方法が、国際会議に出てくると予想した北朝鮮の代表しか当てにできないとしたら、いくら国交がない国相手としても、政府(外務省)の姿勢はお粗末だ。安倍首相が「拉致問題解決が私の最大の仕事」と胸を張っても、事実は「やっているポーズ」でしかないことが、今回の一件で、さらに確実になったと思う。

そうした読者の疑問に答える解説記事をどこも掲載しなかったことは残念で仕方がない。

白垣詔男

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 09:37 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月05日

【沖縄リポート】 ジュゴンの死因を明らかに=浦島悦子

 去る3月18日、今帰仁村運天漁港に死体となって漂着し、現在、今帰仁漁港冷凍冷蔵施設に保管されている雌のジュゴン(個体B)の解剖が近く行われるという情報を受けて、私たち「北限のジュゴン調査チーム・ザン」と今帰仁村民有志は、死因究明がきちんと行われるよう「解剖の責任主体・解剖行程・費用の内訳の開示、結果の公開」などを求める要請書を6月3日、環境省・沖縄県・今帰仁村に送付した。

翌4日付『琉球新報』は、解剖について5月27日の今帰仁村議会臨時会で関係予算18万5千円が可決されたと報道したが、金額があまりに低いことに疑問を持った私たちは、議会議事録を調べてみて驚いた。それによると、採択されたのは「ジュゴン標本化事業」の補正予算であり、その内訳は「標本化に向けての監修アドバイザー」としての県外大学准教授の報償費2万円と旅費10万7千円、ジュゴンを保管している施設の賃貸料及びジュゴンの移動費のクレーン車の使用料5万7千円となっている。つまり、今帰仁村の予算は解剖後の標本化のためのものであり、「死因究明のための解剖」の予算ではないことが判明したのだ。

 同じく4日の報道によると、個体B漂着の4日前、沖縄防衛局は周辺海域(辺野古埋め立て土砂運搬船も航行する海域)に設置した水中録音装置にジュゴンの異様な鳴音を「通常を大きく上回る頻度で確認」していたが、3日に開いた環境監視等委員会で、ジュゴンの死に新基地工事の作業船の影響はないと報告した。

 しかし、防衛局が公開した資料を見ると、民間船のAIS(船舶自動識別装置)は生データが表示されているが、土砂運搬船の航路は生データではなく防衛局が作図したものであり、「影響はない」ことを裏付けるものではない。海上抗議行動メンバーによると、土砂運搬船は、抗議行動に察知されないよう、最近はGPSの電源を切って運行しているという。

 死因をうやむやにしたまま解体・標本化されてしまうのではないかと危機感を持った私たちは10日、前記3者宛てに「拙速な解剖を行わない」よう求める緊急要請を行った。しかし、2回の要請にも環境省はなしの礫。真相を闇に葬らせてはならない! 

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 11:10 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月04日

【若い目が見た沖縄】 借金苦 ブータン留学生 業者「月25万」と騙す=竹内章浩

JCJは30歳以下の若者を沖縄に派遣し、自由なテーマで取材してもらう「沖縄特派員」を今春、始めた。前号に続き、北海道支部の公募で選ばれた北広島市の通訳、竹内章浩さん(写真)の報告を紹介する。

    ◇

「沖縄の人々は温かく、気候にも恵まれていた。東京では毎日電車に揺られ、勤務時間は6時間なのに、通勤時間を入れると計11時間。東京での生活は『真の』日本というものを味わっている気がします」

2月、沖縄で会ったブータンからの留学生アイリーン(仮名)は今、東京で「沖縄にとどまるべきだった」と後悔していた。2017年、ブータン政府が始めた「学び・稼ぐプログラム」。700人超が来日し、全国の日本語学校などに送り込まれた。アイリーンと友人二人は沖縄行きを指示された。

「日本へ行き、日本語を勉強すれば大学、大学院に進めるし、正規雇用先を見つけ月25万円稼ぐことも容易である」。3人は、来日前のオリエンテーションでこう聞かされたという。アイリーンはブータンの大学を卒業したが、国内なら初任給は7万円前後だ。

留学プログラムはブータン政府のお墨付きだが、業者が介在し、日本へのビザ申請や、日本語学校の学費などとして、約150万円を徴収する。3人はブータンの銀行から借りて、業者に払った。日本の知識がほとんど無く、高い給与ですぐ返済できるという言葉を鵜呑みにした。那覇の別の男性学生も、来日して1年が経つが、返済は借金の5%にも満たないと話した。

バイト先は、コンビニの店員、コンビニ向けの弁当製造工場、ホテルでの清掃、日本語ができる場合は居酒屋だ。バイトを2、3か所掛け持ちし、生活費と学費を稼ぐのがやっとで、肝心の日本語の勉強に費やす時間はほとんど無い。正規雇用や進学の道はますます遠のく。

「今は我々のビザも切れてしまった。業者はとりあえず我々の学生ビザを延長するために、東京の私立大学に入学するのが唯一の解決策と言っている。だれも彼らの言うことに従いたくはない。でも、おそらく彼らの言う通りだ」。その入学先が、行方不明学生で問題となっているあの東京福祉大学だった。

ある日本語学校元職員は、学生の囲い込みに問題がある、と言う。出稼ぎ目的の学生をかき集め、日本語学校から系列の専門学校、大学などに進学させ、稼ぐ。

沖縄でブータン留学生を取材したのは、北海道でも、あるブータン留学生から「約束と違う。だまされた」と聞いていたからだ。沖縄、東京、北海道――。各地で現在進行形のこれらの問題は、それほど世論の関心を呼んでいない。日本がグローバル化の流れに乗っていくのなら、日本に来てよかったと思われるような環境作りが急務だ。 

竹内章浩

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 15:46 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月03日

【メディアウオッチ】 安倍政権で「壊れた」NHK 山口二郎氏 放送法制度改革を訴え=河野慎二

市民連合と立憲野党4党1会派は5月29日、安倍改憲反対や戦争法廃止など13項目の共通政策で合意した。その中で注目されるのは「新たな放送法制構築」で合意したことだ。

合意内容は「国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること」となっている。

 独立行政委員会で放送事業を監督する方式は、日本とロシア以外の先進諸国では共通して行われている。今回、参院選に向けた政策合意でこの問題が盛り込まれたのは画期的なことだ。

翼賛的な姿勢

そこで、市民連合の呼びかけ人として、政策合意のとりまとめにあたった山口二郎法政大学教授に話を聞いた。

山口氏は「安倍政権が今日まで長続きしている理由の一つに、メディアの翼賛的な姿勢がある。とりわけ、大きな力があるテレビは認可事業だから、政府の影響が及びやすい」と指摘し「メディアの批判的な機能が著しく低下しており、ここで放送制度を変えないと翼賛体質がさらに進む」と危機感を露わにした。述べた。市民連合がまとめた要望書に各党会派の代表が署名したことに、山口氏は「重みがある」と述べた。

民主主義のインフラ

 そして、「安倍政権のメディア支配のやり方には、常軌を逸したところがある。この機会に、公平・公正なテレビとは何かを、きちんと議論しないといけない。民主主義のインフラですよ、これは」と強調した。

 特にNHKについて山口氏は、「一番驚いたのは天皇代替わり報道で、天照大御神を天皇の祖先と伝えたことだ」と指摘し「言語道断。会長のクビが飛んでもおかしくない」。その上で「安倍政権6年。いろんなところで壊れたが、一番壊れたのがNHKだ」と批判した。

ネット常時同時配信

 これに対し、NHKはどう対応するのか。

NHKを巡っては、改正放送法が5月末成立し、インターネットでの「常時同時配信」が認められ、NHKの全テレビ番組が放送と同時に、スマホやパソコンで視聴できるようになる。民放などのNHK「肥大化」批判に対し、上田会長は「放送の補完」を強調するが、新たな受信料収入に利用しようとするNHKの姿勢は強まるだろう。

 実際、17年7月、坂本専務理事が「将来的には本格業務としたい」と述べてテレビを持たない世帯からも利用料を集める考えを示し、上田会長が火消しに回ったことがある(川本祐司「変容するNHK」より)。

板野専務衝撃復帰

その一方で4月、NHK内部にも衝撃が走る人事があった。板野裕爾氏が専務理事に復帰したのだ。NHKのあるOBは「わたしたちの宝物である国谷裕子さんを切り捨てることに、何のこだわりもなかった奴」と非難している。

官邸に太いパイプがある板野氏の復帰についてNHK関係者は「官邸が板野に貸しを作った」と見る。だとすれば、板野氏はどんな見返りを用意するのか。NHKと官邸の距離をさらに縮め、忖度を強める。安倍政権に不都合な事実は伝えない…。

NHKが目指す「公共メディアとは名ばかりの「国策報道メディア」に仕立て上げて借りを返すつもりなのか。

 山口氏は「異常な安倍政治が続く今こそ、権力者に対するメディアの独立性を再構築しないといけない」と強調。独立行政委員会による新しい放送法制の構築に、市民の理解と参加を呼びかけた。

河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 21:24 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月02日

【事件】 過酷な生い立ち、救えぬ社会 ジャーナリスト講座・山寺記者 祖父母殺した少年を取材=須貝道雄

JCJは夏のジャーナリスト講座を6月5日、毎日新聞くらし・医療部の山寺香記者を講師に迎えて東京で開いた。テーマは「少年はなぜ?闇の日々に迫る」。

     ◇

埼玉県川口市で2014年3月、17歳の少年が祖父母を刺殺する事件が起きた。警察は孫を逮捕し「金目当ての犯行」と発表した。不良少年による単純な事件。さいたま支局に赴任し、県庁担当だった山寺記者そう考え、最初は気にしなかった。警察・司法担当となり、裁判を傍聴して「衝撃を受けた」。弁護側が語る少年の生い立ちにだった。

 小学5年から学校に行かず、親から虐待を受けながら野宿生活を続けた。乳飲み子の妹の世話に懸命だった。少年は母親から「金を持って来い」と迫られ、事件を起こした。

「彼の窮状を社会は救えなかった。この子は裁判が終わったら刑務所に入り、問題は闇から闇へと葬られてしまう」。焦りを感じた山寺記者は次々と記事を書いた。拘置所で少年と面会し、手紙のやりとりをして著書『誰もボクを見ていない』(ポプラ社)を出した。

少年が小学4年の時に母親は離婚し、ホストクラブ通いで知り合った男性と一緒になった。少年を連れながら埼玉、西伊豆、横浜、埼玉と各地を転々とする。埼玉ではラブホテルに泊まる生活を2年余り続けた。男性が日雇いの仕事で金を稼いだ。朝にチェックアウトし、午後8時にチェックインする毎日。昼間はゲームセンターやパチンコ店で母親と少年は過ごした。金がなくなるとホテルの敷地内にテントを張って生活した。この時期に妹が生まれたという。

母親は少年に親戚から金を無心してくるよう何度も求めた。ある親戚から4年間で150回、合計400万―500万円巻き上げたことが裁判で明らかになった。母親は競走馬を育てるゲームに夢中で、ビジネスホテルに泊まり、大きな風呂に入ることが好きでたまらず、金を使い続けた。

少年の証言によれば、男性が失踪し、金に窮した夜に母親から殺人の話が出る。「ばあちゃんたち殺したら、お金が手に入るよね」と。そして事件へと進んだ。山寺記者は生い立ちを取材する過程で、少年の近くにいた人々がみな同情的に彼を見つめていたことを知る。ラブホテルの管理人らは、赤ちゃんをだっこしながら悲しそうな顔をしていた少年を鮮明に覚えていた。しかし、具体的な支援には結びつかなかった。行政も含めて「あと一歩が足りなかった」と振り返る。

山寺記者は大学・大学院で臨床心理学を専攻し、子どもを元気にするカウンセリングの仕事を志していた。病院などの専門機関に入る前に、社会全体を見てみたいと、報道の世界をめざした。「子どものことを書きたいと思っていたところ、今回の事件にたまたま出合った」と話した。  

須貝道雄

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 17:16 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月01日

【メディアウオッチ】 メディアの信頼高める活動を JIMAが設立シンポ リテラシー教育も推進

フェイクニュースやヘイトの言説の横行など、ネットメディアの信頼を揺るがす問題の解決を図っていこうと、インターネットメディア協会(略称JIMA)が発足、設立を記念したシンポジウムが6月8日、都内で開かれた。JIMAは今後、加盟メディアなどで議論を深めて倫理綱領を策定し、「送り手」の信頼を高める努力をする。一方で、メディアリテラシー教育にも力を入れ、ネット情報の「受け手」のリテラシー向上に取り組んでいくという。

JIMAは、ネットで情報発信するメディアのほか、配信するプラットフォームや広告などの関連事業者などが加盟(会員数34=5月末現在)。スマートニュースメディア研究所の瀬尾傑所長が代表理事を務める。

シンポの冒頭、瀬尾氏は挨拶で、設立の狙いを「信頼性ある情報をどう届けるかであり、インターネット上に形成されてきたインタラクティブな創造性と多様性をどう守っていけるか」とし「平場で、さまざまな議論」をしたいと述べた。

「メディアの創造性と信頼のために今なすべきこと」と題したパネルディスカッションでは、ジェイ・キャスト執行役員の蜷川聡子氏、BuzzFeed Japanシニア・フェローの古田大輔氏、MarkeZine(マーケジン)編集長の安成蓉子氏、NHKネットワーク報道部専任部長の熊田安伸氏、JX通信社代表の米重克洋氏が登壇、東洋経済オンライン編集長の武政秀明氏の進行で、多様な立場から「信頼されるメディア運営とは?」「表現の自由と規範をどう支えるか」「メディア経営をどう考えたらいいのか」などの議論を深めた。

信頼されるメディアについて、古田氏は「ユーザー(読者)に対して誠実な情報を発信する。我々がなぜ信頼性があるのか、信頼されるメディアであることを自ら証明すること」が必要だと強調。また熊田氏は「メディアにこそ説明責任が求められる」とし、NHKのウェブで政治部の記者が署名入りで執筆している「政治マガジン」では、従来のメディア(NHKを含め)では書き切れなかった綿密な取材で得た情報などをそのまま伝え、読む側が判断する材料を提供する取り組みを紹介。「そこまでやって信頼が得られる」と、レガシーメディアでは発信しきれていなかった試みを説明した。

「送り手」側とともに「受け手」「支え手」のリテラシーを重視するJIMAは、元TBSキャスターでリテラシー教育に取り組んでいる下村健一氏(令和メディア研究所主宰)が担当理事になり、受け手向け公開講座を積極的に展開し、子どもたちから一般のメディアリテラシーを高める活動を広げていく予定。また支え手である広告業界団体などとも連携を進め、ネットメディアが抱える多様な課題を業界横断的に一緒に考え、解決していける団体を目指すという。

鈴木賀津彦

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 14:26 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月30日

【今週の風考計】6.30─「捏造」を免罪する植村裁判 その忖度判決

「植村裁判」とは何か。元朝日新聞記者・植村隆さんが執筆の紹介記事「元朝鮮人従軍慰安婦/重い口開く」(「朝日」大阪版1991年8月11日付)に対し、23年も経過した2014年2月6日号「週刊文春」で、西岡力氏が「事実を捏造して書いた記事」だと執拗に誹謗したのを機に、植村さんへの執拗なバッシングが集中し、かつ家族の命まで危険に晒されたため、やむを得ず2015年1月、法的手段に訴えた事案である。

その「植村裁判」の判決が、26日、言い渡された。傍聴していて、東京地裁103号法廷に響く女性裁判長の<相当性とか真実性とか公益性>とかいう言葉に、何度も首を傾げざるを得なかった。

異動した原克也裁判長に代わって、判決主文を代読しているのだが、被告西岡力氏と文藝春秋の表現と記事は「名誉毀損に該当する」が、その責任は免ぜられるとして請求を棄却したのである。
「理由の要旨」は、<各表現は、公益性を考えて行われ、意見論評の前提としている摘示事実には真実性があり、また真実であると信ずる相当の理由がある、かつ意見ないし論評の域を逸脱したものでもないから、被告は免責される>というのだ。

待てよ、「○○性」の連発だが、その判断はどういう基準でなされたのか。市民感覚からして、納得がいかないモヤモヤ感が堆積していた。その後、植村訴訟東京弁護団や原告・植村隆さんの声明を読んで、疑問が晴れると同時に事の本質について、理解を深めるのに役立った。ここにまとめておきたい。
相手を「捏造」などの激しい表現で非難した場合、その表現や論述に妥当性があり、かつ公益性や真実相当性を認めるには、それを裏付ける取材とそこで得られた確実な資料が必要である。これが、これまでの判決の前提である。
 だが本件の判決には、そのような根拠・資料がないばかりか、植村さんの執筆意図などについて確認取材すらせず、「捏造」と表現した西岡氏の記事を免責する。何事か。
 かつ西岡氏自身が、自ら名乗り出た元慰安婦の金学順氏の証言を、勝手に創作して自説を補強していたという。まさに自ら「捏造」行為をしていたことも、法廷で明らかとなった。

なのに、なぜか免責する。「慰安婦問題は解決済み」という政権の姿勢を忖度した判決としか言いようがない。(2019/6/30)
posted by JCJ at 12:11 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【内政】 新基地問題「他人ごと」か 玉城知事「自分ごととして考えて」 沖縄キャラバン開始=鈴木賀津彦

 全国の人たちに「自分ごと」として考えてほしい|。沖縄県の玉城デニー知事は6月日、東京都千代田区のホテルで開かれた、名護市辺野古の新基地建設の見直しを訴える全国キャラバンの第1弾となるシンポジウムで講演し、こう強調した。沖縄県は今後、全国の主要都市を行脚するトークキャラバンを展開し、県の考えを説明していく方針。県民投票や知事選で示された建設反対の民意にもかかわらず、なぜ工事が強行されるのか、基地負担が集中する沖縄の現実を正確に伝え、日本の安全保障について全国的な議論を呼び起こす狙いだ。

 この日も沖縄防衛局がこれまでとは別の護岸も利用し土砂の陸揚げを始めたことに、玉城氏は、この護岸利用は当初計画にはないため、県は工事中止を求めて行政指導したことを説明、「法令順守の意識を欠いている」と強く批判した。下矢印1 辺野古工事のあり方について、「法律の解釈のねじ曲げが続くと、日本の民主主義も地方自治も成り立たない。そういう大きな問題として、自分ごととして考えてほしいと全国に伝えたい」と玉城氏は思いを述べた。

 政府が「辺野古が唯一の解決策」だというが、「どこと比べて唯一なのか、沖縄県民は説明を受けたことがない。唯一という理由、理屈が成り立っていないから、説明を求めている。説明できないものを実行するわけにはいかない」とし、工事の強硬は「国民のためではなく、アメリカのためだ。日本政府は自分たちもちゃんと動いているとアメリカに見せたいからだ」と説明した。

 全国キャラバンは県の主催で開催。既に愛知県や熊本県の市民団体から開催依頼があるほか、7月日には新潟県の苗場スキー場で開かれるフジロックフェスティバルにもアーティストとして招かれているという。

 今回は「We Love OKINAWA デニー知事・キックオフシンポジウム|沖縄の声を聞き、皆で考えてみませんか?」と題して開催、約200人が参加した。辺野古県民投票の会代表の元山仁士郎氏や、米シンクタンク「憂慮する科学者同盟」上級アナリストのグレゴリー・カラツキー氏らが登壇、弁護士で新外交イニシアティブ代表の猿田佐世氏の進行で、日米地位協定の問題や自衛隊の配備の状況など、沖縄が直面する課題を多角的に議論した。

 沖縄の現実を大きく伝えている本土のメディアが少ない一方で、SNSなどのネットメディアでは正確な情報に基づかないフェイクニュースや沖縄ヘイトが流れている。このため「沖縄の経済は基地が支えている」「辺野古移設に反対すると、普天間飛行場の危険が放置される」などの誤った認識も多く存在することから、知事を先頭に各地に出向き、正しい情報を届け、リアルに対話を広げていきたいという。

鈴木賀津彦

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 11:27 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月28日

幻冬舎・見城社長の変身 「安倍応援団」中心メンバー 権力にすり寄る、その先は……=編集部

幻冬舎は見城徹社長と社員一同の名前で、作家・津原泰水氏へのお詫びを5月末に自社ホームページに掲載(写真)した。津原氏著作の実売部数さらし≠謝罪したのだ。

しかし、彼の文庫本の刊行中止について言及も謝罪もない。「著作者の自由と権利を守り、制圧または干渉には排除する」という出版倫理綱領に反しているのに、その経緯を明かさない幻冬舎の責任は、厳しく問われるべきだ。

ベストセラーづくりの名物編集者・見城氏が、なぜか安倍晋三首相が第一次政権を放り出した07年以降、安倍応援団≠買って出る。12年9月の自民党総裁選の20日前には、小川榮太郎氏の『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)を刊行、大々的に新聞広告を打って安倍を援護射撃した。

「首相動静」から消失

さらに自分の知人・友人を安倍首相に引き合わせている。テレビ朝日の早河洋会長(75歳)もその一人。13年3月22日に続き、翌年の7月4日には早河会長、吉田純一社長、見城氏の3人で安倍首相と2時間会食している。

その見城氏は、07年7月からテレビ朝日の番組審議会委員になり、14年4月には委員長のポストに座る。途端に「首相動静」に見城氏の名前が載らなくなった。時の権力者とべったりの人物が番組審議会委員長となれば、「報道の自由」など守れないという批判への対応に他ならない。

代わりに16年3月にテレビ朝日が40%出資し、開設したネット放送局AbemaTVを活用する。見城氏が司会する「徹の部屋」(現在、番組中止)を7月に立ち上げる。17年衆院選公示2日前の10月8日の「徹の部屋」に、安倍首相を生出演させた。

見城氏自ら「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」「ハンサムですよ。内面が滲み出ているお顔ですよ」などと太鼓持ち発言≠連発。出版社のトップが総選挙公示直前に安倍ヨイショ≠するのは前代未聞だ。

「アベ友」著作続々

幻冬舎の出版物に話を戻そう。16年参院選を控えた6月10日、山口敬之氏の『総理』の出版広告が、新聞に大きく掲載された。官邸筋に頼んでレイプ事件をもみ消したアベ友記者≠フ本だ。それ以降、百田尚樹『日本国紀』など、安倍応援団の著書がタイミングよく出版され、安倍政権をバックアップしている。

恩返しか、安倍首相は昨年末のフェイスブックで〈年末年始はゴルフ、映画鑑賞、読書とゆっくり栄養補給したいと思います。購入したのはこの三冊〉と書き込み、『日本国紀』の画像をアップし、PRに一役買った。

どうする出版界

出版社が権力者にすり寄ればどうなるか。戦前を思い出してほしい。満州事変勃発を機に、日中戦争に入るや、大政翼賛会による国家総動員体制下で、出版界は「言論・表現の自由」を奪われ、戦意高揚へ全面協力させられた。苦い教訓を持っているからこそ出版人は「権力からの自立」をめざし努力を重ねてきた。

にもかかわらず、1950年生まれで「平和憲法」のもとで育ったはずの出版人が、「戦争する国」に突っ走る安倍政権に、これほどまでに擦り寄るとは、恐るべき事態だ。

この危機的状況にどう立ち向かうか、出版界は問われている。

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 11:32 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月27日

【編集長EYE】 「38度線」大自然と人との共存計画進行=橋詰雅博

 北緯38度線は朝鮮半島を南北に分断する停戦ラインだ。このラインから南北2`bずつ帯状のエリアは非武装地帯(DMZ=248`b)と呼ばれる緩衝地帯になっている。1953年の停戦後に軍事活動は許されなかったが、300万個ともいわれる地雷が埋められている。このため65年もの長きにわたり人が立ち入れることがなかった。皮肉にも今ではツキノワグマなど101種の絶滅危惧種を含む5057種の生き物がすむ豊かな大地に生まれ変わっている。

 戦争によって生み出されたこの豊かな生態系を守り、後世に手渡そうというプロジェクトがあることはあまり知られていない。そのプロジェクトは「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト) 」で、2014年からスタートしている。立ち上げたのは53年にソウルで生まれた崔在銀さんだ。76年に来日し、東京で華道を学び、草月流と出会う。3代目の家元であり、映画監督の勅使河原宏のアシスタントを務め映画制作など日本で活動した。崔さんは多くの野生動物が生息するDMZの自然と人間との共存をめざし、世界の美術家や建築家などにアイデアを求めてきた。

 それを可視化した展示会「自然の王国」が東京・品川区の原美術館で開かれている。

 同美術館担当者は目玉作品をこう説明する。

 「空中庭園の設置を日本の建築家・坂茂さんが提案しています。DMZに東西南北合わせ全長20`bに及ぶ巨大な計画です。竹のパサージュ(小道)≠設け人の自然への介入を防ぎ、地雷から人を守ります。2分の1サイズの模型を提示しています。韓国のチョウミンスクさんは発見されたトンネルを活用し、植物の種子や本、フィルムを保存する貯蔵庫のアイデアを公開しています」

 崔さん自身はDMZで使われていた鉄条網を溶かした鉄板を出展した。憎しみは雪のように溶けるという意味を込めている。7月28日まで。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 08:25 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月25日

【メディア気象台】 5月〜6月=編集部

NHK受信料、支払率8割に
NHKは28日、2018年度末の受信料の世帯支払率(推計)が81.2%だったと発表した。17年度末から1.8㌽上昇し、公表の始まった11年度以降、最高。初めて80%を超えた。都道府県別では最も高かったのは秋田の98.3%。最も低かったのが沖縄で51.0%だったが、公表以来、初めて50%を超えたという。(「朝日」5月29日付ほか)

菅長官、記者に「指しません」
菅義偉官房長官は29日の会見で、東京新聞記者の質問に対して「その発言だったら指しません」と述べた。政府のスポークスマンによる特定記者の質問排除につながりかねない発言だ。会見進行役の官邸報道室長が特定の記者の質問中に「簡潔にお願いします」と述べることに関して、東京新聞記者が質問。菅氏は「そうしたことを質問するところではなく、記者会主催でありますから、記者会に申し入れてください」などと答えていたが、この記者がさらに質問しようとしたところ「その発言だったら指しません」と述べた。(「朝日」5月30日付)

日販、19年ぶり赤字
出版不況が深刻化するなか、出版取次大手の日本出版販売グループ(日販)は29日、2018年度の決算が19年ぶりの赤字になった、と発表した。雑誌の販売不振や配送コストの増大などが響いた。売上高は前年比で5.8%減って6457億円。純損益は2億円の赤字だった。売上高の約9割を占める取次事業で3億円の営業赤字を出した。(「朝日」5月30日付ほか)

米新聞大手が合併交渉〜実現なら部数首位
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は5月30日、米全国紙USAトゥデーを傘下に持つ米新聞大手ガネットと同業のゲートハウスメディアが合併交渉を行ったと報じた。実現すれば発行部数のほか、保有する新聞が日刊紙で250を超え、全米首位の新聞チェーンが誕生することになる。(「東京」6月1日付)

日本の報道独立性懸念〜国連特別報告書
国連のデービッド・ケイ特別報告者が、日本メディアの独立性に懸念を示す新たな報告書をまとめたことが5日、分かった。放送番組の政治的公平性を定めた放送法4条の撤廃などを求めた2017年の勧告について、履行されていないと指摘している。菅義偉官房長官は同日の記者会見で、報告書について「極めて遺憾。記述は不正確かつ根拠不明のものを含んでおり、受け入れられない」と反論した。(「しんぶん赤旗」6月7日付ほか)

公的文書、西暦も記入を〜憲法学者ら訴え
官公庁など公的機関の文書で年月日表示が元号だけなのは不便として、学者やジャーナリストらでつくる「西暦併用を求める会」が6日、都内で記者会見し、西暦を併記するよう求める声明を発表した。声明では元号が国内でしか通じないことや、連続性がないことを問題視。データ管理などさまざまな場面で西暦との換算を強いているとし、「国民主権の下にある公的機関ならば、実用性に優れる西暦も併記するべきだ」と訴えた。(「東京」6月7日付ほか)

特定秘密、手続きせず廃棄〜海自、公文書コピー100件
海上自衛隊が公文書管理法に基づく手続きをしないまま、特定秘密に指定されているコピーの文書100件を廃棄していたことが7日、政府が閣議決定した2018年の特定秘密保護法の運用状況に関する報告書で明らかになった。防衛相はイラク派遣部隊の日報隠ぺい問題でずさんな対応が批判されたが、公文書管理に対する意識の低さが改めて浮き彫りになった。(「東京」6月8日付ほか)

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 16:57 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月23日

【今週の風考計】6.23─G20大阪サミット<会議は踊る されど>

★28日からのG20大阪サミットを始め、今週は世界各地で国際会議が開かれる。

★25日はアラビア半島の東側・ペルシア湾内にある33の島からなる国バーレーンで、中東和平国際会議が開催される。イスラエルがゴラン高原を<トランプ高原>と改名し、さらに緊張を増長させているパレスチナとの和平をめぐる駆け引きが注目だ。
 またホルムズ海峡近くのオマーン湾で、タンカー2隻に加えられた爆撃に関連し、米国とイランの間で軍事行動へエスカレートしかねない危機が募る。会議の行方に世界の眼が集まる。

★26日にはベルギー・ブリュッセルでNATO国防相会議。加盟国のトルコが、ロシア製ミサイル防衛システムの導入を計画している事態に、米国が制裁を科すと警告している。この会議もまた紛糾しそうだ。
★27日、大阪で米中首脳会談が持たれる。米中貿易戦争の行方が占われる。トランプ大統領は、会談で貿易協議が進展しなければ、中国からの輸入品に追加関税を課すと表明。いっぽう中国は、米国のハイテク製品に不可欠なレアアースの輸出を、制限するとまでほのめかしている。米国はレアアースの供給を中国に依存しているだけに、頭の痛いアキレス腱となる。

★さて28日、初めて日本が議長国になるG20大阪サミット、「最高のおもてなしでお迎えしましょう」とハッパをかけるが、果たして肝心の世界経済に関する課題や貿易・投資・地球環境・気候・エネルギーなどのテーマについて、どれだけの成果が得られるのか。
★「自由貿易の重要性や貿易摩擦の緩和」に背を向け、保護主義に突っ走る米国トランプ大統領に、NOと言えず、シッポを振るだけの安倍政権では、<会議は踊る、されど進まず>が、正直な結果になるだろう。(2019/6/23)
posted by JCJ at 11:33 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月19日

【お知らせ】出版部会6・28講演会:清田義昭さん大いに語る! ぜひ参加を!

「出版ニュース」 編集50年
─いま出版界に大切なこと─


75 年の歴史を持つ「出版ニュース」が、休刊の秋を迎えた。
出版界の動きを総合的に捉え、的確な分析や提言など、
出版関係者や愛書家には貴重な雑誌!
編集長・清田義昭さんが、歩んだ軌跡と出版界への思いを語る。

講師 清田義昭 氏 (「出版ニュース」編集長)
日時 6月28日(金) 18時30分開会(18時15分開場)
場所 YMCAアジア青少年センター 3階会議室
〒101-0064 東京都千代田区猿楽町 2 - 5 - 5 Tel : 03-3233-0611
アクセス地図 http://www.ayc0208.org/hotel/jp/access-access.html
参加費 800円(JCJ会員・学生500円)
チラシPDF版出版部会6・28清田義昭氏の講演会チラシ(完全版).pdf

日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
〒101-0051千代田区神田神保町1-18-1 千石屋ビル402号
03-3291-6475 fax03-3291-6478
メールアドレス:office@jcj.sakura.ne.jp
posted by JCJ at 09:51 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月16日

6月29日・シンポジウム「安倍政権とメディア 攻防7年」

シンポジウム「安倍政権とメディア 攻防7年」=第3回報道の自由フォーラム・パート2
日時:6月29日土曜 午後2時から6時
会場:法政大学・市ヶ谷キャンパスの外濠校舎S405教室
東京都千代田区富士見2−17−1
最寄りは飯田橋駅 か市ヶ谷駅
参加費:1000円=学生と法政大学教職員は無料
発言者は次の通り
★元朝日新聞記者・植村隆さん=週刊金曜日発行人
★元NHK記者・相澤冬樹さん=大阪日日新聞論説委員
★東京新聞社会部記者・柏崎智子さん=メディアで働く女性ネットワーク会員
★科学ジャーナリスト・林勝彦さん=元NHKプロデューサー
★沖縄タイムス編集委員・阿部岳さん
★コーディネーター:ジャーナリストの竹信三恵子さん=和光大学名誉教授、元朝日新聞記者


安倍政権が発足して7年近くが経過しようとしている。この間に噴出したメディアを巡る問題を総合的にとらえ、何が問題かを明らかにする。
官房長官会見での官邸による質問妨害、沖縄県民の民意無視。政権に忖度するNHKの報道姿勢。歴史をねじ曲げる動きと元朝日記者への個人攻撃、朝日新聞バッシング。福島原発事故からの自主避難者を見捨てる政権と被害の矮小化。官僚によるセクハラ行為。これらの実情を明らかにし、メディアの役割を問い、考える。
主催:日本ジャーナリスト会議と法政大学図書館司書課程
お問い合わせ:JCJ 電話03−3291−6475=月水金の午後
□詳細は下記をクリックしてください□
■■■6月29日シンポジウム・お知らせ【完成版】.jpg□6月29日シンポ裏面.jpg
posted by JCJ at 20:14 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】6.16─争点隠して「年金詐欺」に奔る愚の行方

「年金が毎月5.5万円ほど不足するから、老後に備え2000万円貯蓄せよ」―金融庁の報告書が波紋を呼び、「<100年安心の年金>なんて大ウソ」と、怒りの声が安倍政権を直撃している。

しかも5分で読める報告書を、麻生担当大臣は「冒頭部分に一部、目を通しただけで、全体を読んでいるわけではない」と開き直り、あげくに、この報告書は受け取らないという愚挙に出た。
みずから諮問した市場ワーキング・グループが、昨年9月から12回も議論を重ね、「政府の政策スタンス」に沿って、かつ金融庁内部の了承を得てまとめあげた報告書まで、ついに「消してしまう」のだから呆れる。

ネット上は<年金詐欺(笑)ホント、そうだよな>であふれ、「#年金詐欺」というハッシュタグまで作られるほどだ。なかには「2000万円って、麻生さんの1年に使う“飲み代”だろ」―政治資金の使い途から推し量った意見まで、登場してきた。
現に、麻生氏が代表を務める資金管理団体「素淮会」の17年度・政治資金収支報告書によると、有名寿司店に高級和食店、馴染みの会員制サロンなどに支払った、飲食を伴う「会合」費は、1年間だけで計2019万6547円にも及ぶ。

この政治資金の使いみちからして、庶民とはかけ離れた感覚の持ち主である78歳の麻生さん、自分が年金を受給しているかどうかすら「記憶がない」のだから無理もない。

さらに許せないのは、5年ごとに年金の給付水準の長期的な見通しを示す、財政検証の結果を公表しないことだ。従来では6月初めに公表しているのだが、見通しによると約15兆円もの運用損が出るといわれている。参院選の投票に及ぼす影響が大きいから、「公表を参院選後に回す」争点隠しに躍起だ。
昨年の森友学園への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざんといい、厚労省のデータ統計不正が発覚するなど、「都合の悪いことは全て隠滅・改ざん・破棄し、現場に押しつける」安倍政権の退廃ぶりは極まる。(2019/6/16)
posted by JCJ at 12:15 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月10日

【支部リポート】 神奈川 菅官房長官会見の映像流れる 横浜駅パブリックビューイング=保坂義久

神奈川支部では4月13日に首相官邸記者会見での質問制限をテーマに例会を開いた。同じ日の午前10時から午後5時まで横浜駅西口前では、その関連パブリックビューイング(PV)が行われた。これを企画したのは武井由起子弁護士ら5人。

支部例会の講師の南彰新聞労連委員長は、例会の前と後にこの催しに参加し、菅義偉官房長官会見の実態について語った。

横浜駅西口前は各党が選挙で第一声をあげる通行量の多い場所。PVでは52インチのディスプレイを使い、菅官房長官の記者会見の映像を流した。合間にはスピーチタイムが設けられた。

 発言者は南さんのほかに元自衛隊レンジャーの井筒高雄さん、森友・加計疑惑を追及する元NHK記者の相澤冬樹さん、憲法学者の石川裕一郎さんなど多彩なメンバー。武井さんが活動する中で出会った人たちだ。武井さんは相澤さんとは週刊金曜日の主催のイベントで面識を得たという。

 海老名駅前自由通路でのマネキンフラッシュモブ禁止の不当性を訴えて勝訴した朝倉優子さんなど神奈川の市民も発言し、言論・表現の自由を訴えた。神奈川では街頭で訴える市民活動が活発で、沖縄の基地問題でのPVに携わっているメンバーの協力を得た。

 東京新聞の望月衣塑子記者に対する質問封じに対抗し、菅官房長官の選挙区である横浜で開いた今回の企画について、武井さんは「頑張っている記者を応援することが大事だ」と語る。

 これまで事実がどう取材され伝えられるのか受け手には見えにくかったが、望月記者の活動で可視化された。官邸側の望月記者への嫌がらせに対しても、記者たちがこれまで取りがちだった第三者的な立場ではなく、当事者として向き合うようになった。MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)主催の3月14日の官邸前行動は、その意味で画期的だったと武井さんは評価する。

神奈川支部例会も140人を超す参加者があった。安倍政権による報道恫喝に市民の関心の高まっている証拠だろう。 

保坂義久

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 14:47 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月09日

【内政】 あらゆる差別 撤廃へ 自民党の後進性暴く 上智大・中野教授に聞く=河野慎二

 メディアの過熱した天皇「代替わり」報道にうんざりした「10連休」が終わり、参議院選挙が約2カ月後に迫って来た。この選挙は、安倍改憲勢力を3分の2以下に追い落とせるか、最大の正念場を迎える。そこで「市民連合」の呼びかけ人である中野晃一上智大教授に話を聞いた。

 中野教授はまず、沖縄と大阪の衆院補選で自公与党が2敗したことについて「自民党にはショックだ。巻き返すために衆参同日選は選択肢としてありうる」と述べた。
 しかし、大義≠ニして企む消費税増税の3回目の延期については「アベノミクス失敗の容認に繋がる」と指摘し「自民党にとってこの選択はギャンブルだ。それでも同日選をやるというなら、そこまで追い込まれた選挙となる」と述べ、安倍一強が盤石ではないとの認識を示した。

 野党共闘について中野教授は「参院選1人区の候補一本化は既定方針だ。野党共闘の効果は各党が理解しており、一本化調整の必要性でも一致している。(合意は)時間の問題だ」と発言。「(11の1人区で勝利した)3年前と同等以上の結果を出すことは不可能ではない」と述べた。
 衆参同日選への野党の対応については「同日選は投票率を上げる。無党派の人たちが野党候補にも投票する。自民党には両刃の刃で、リスクは高い」と指摘。「同日選になれば、候補を衆参の選挙区で振り分け、一本化調整はやり易くなる。同日選を警戒しつつ、いざとなれば受けて立つ」と述べ、市民と野党の共闘に自信を示した。

攻め姿勢で変える
 中野教授は、今回の参院選勝利に向けて「政治を変える!プログレッシブ連合へ」という運動を呼びかけている。「なぜ、憲法を守ろうと言うのか。それは憲法を活かして、政治や経済をより良い方向に変えたいからだ。これまで安倍政治に反対するネガティブな発信になりがちだったが、これを分かり易く言語化、可視化してポジティブに発信したい」
「そのポジティブな声は、私たちの仲間の周りにいる、政治を諦めちゃった人たちにも届けて社会を前に進めたい。現状を維持するだけの守勢ではなく、攻めの姿勢で政治を変えて行きたい」とその狙いを熱く語った。

 参院選の論戦では、人間の尊厳や権利、ジェンダーの問題、あらゆる差別を乗り超える問題に集中することが重要と指摘。特に政治参加への男女均等を目指す「パリテ元年」の今年は、女性への差別撤廃が大きな争点になるとして「選択的夫婦別姓制度」や女性天皇の問題も取り上げて「自民党の復古的な後進性、逆進性を暴き出し、民意と大きく乖離している実態を訴えることが参院選の勝負を分ける」と強調した。

ニュー・ノーマル
 中野教授は、安倍晋三首相が第一次政権当時、メディアに「自由な政権批判を許した」ことを反省し、第2次政権では「NHKや朝日新聞への攻撃を軸にメディア支配の構図を作り上げた」と指摘。その中で「ニュー・ノーマ ル」と呼ばれる、現状を無批判に受け入れる風潮がメディアの現場に広がっていることに警鐘を鳴らした。
 同教授は「6年に及ぶ安倍一強支配がもたらす現実を当たり前のことと常態化し、正常なんだと受け入れる世代がある」と指摘し、様々な弊害を引き起こしている小選挙区制度を不易のものと決め込むメディアの無定見な対応を「ニュー・ノーマル」の一例と批判した。
 中野教授は、菅義偉官房長官に質問を重ねて真実に迫った東京新聞望月衣塑子記者の取材に「こういうことをしてもいいのかと目から鱗(うろこ)≠感じた記者も多い」と述べ、ジャーナリストが世代を超えて「ニュー・ノーマル」克服へのチエを出すことこそが「たくましい知性だ」と強調した。

 特に中野教授は、市民参加の遅れがメディアの危機を進め、政治の危機と連動していると指摘、「市民の側からも、メディアを切り捨てて溜飲を下げるのではなく、メディアの中で歯を食いしばって頑張っている記者やディレクターを叱咤激励することが極めて重要だ」と力を込めた。

河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 10:05 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】6.9─「キムリア」3350万円が投じた複雑な波紋

白血病で闘病している競泳女子の池江璃花子選手が、5日、1カ月ぶりに自分の公式サイトを更新し、「先日、数日間の一時退院をしました」と明かした。
「治療は続いており、体調が優れない日もあります。(中略)一日一日を何とか乗り越えています」と綴っている。白血病やリンパ腫の治療に役立つ画期的な新薬「キムリア」の投与は、検討されているのだろうか。早い復帰を願うだけに、いらぬ心配までしてしまう。

この「キムリア」、スイスの製薬会社ノバルティスファーマが開発した特効薬といわれる。だが価格は投与1回で3349万円もする。「キムリア」を使う患者は年間200人ほどといわれ、販売額は約72億円と見込まれる。
5月22日、日本での公的医療保険の対象となった。保険適用になれば、高額の新薬も一定の自己負担で利用できる。「キムリア」の場合、年収370万〜770万円なら自己負担は40万円程度。残りは公的医療保険から支払われる。
これまたノバルティスが開発した「ソルゲンスマ」も、難病の脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療薬として、早ければ年内にも日米で承認される見込み。価格は2億3200万円ともいわれる。

それにしても新薬の価格算定をめぐる不透明さはぬぐえず「まるでブラックボックス」との批判が噴出している。
いま日本の年間医療費は42兆円を超える。そのうち7兆7000億円が薬代。がん治療薬の「オプジーボ」など保険適用される高額な薬が年々増えていることも関係している。飲み忘れなどの残薬は、年間500億円ともいわれ、過剰な処方による投薬を減らす対策も必要だ。
合わせて東京新聞のシリーズ<税を追う>が告発する、製薬会社71社で288億円という大学病院や学会への寄付など、「製薬マネー」にも、メスを入れなければならない。

<団塊の世代>が後期高齢者となる2022年以降、ますます医療費の増加に拍車がかかる。この10年で個人が負担する健康保険料は年間38万円が50万円となり、2022年には55万円となる。医療保険制度の抜本的な改善は待ったなし。(2019/6/9)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月08日

【月刊マスコミ評・新聞】 心に響く高村薫さんの朝日への投稿

 30年前とは雰囲気は大きく異なるが、改元騒ぎが続いた。とりわけテレビは改元一色となり、NHKの放送時間は4月29日から3日間で33時間という。安倍政権による改元の政治利用も目についた。

垂れ流される報道のなかで、朝日4月30日の作家・高村薫さん寄稿が心に響いた。この30年の歴史を振り返り、何よりも変わる意思と力をもった新しい日本人が求められると。

今から30年前、1989年はベルリンの壁崩壊、冷戦終結という、戦後史にとって節目の年であった。日本国内はバブル絶頂期であり、消費税3%がスタート。その後、バブルが崩壊して経済社会の混乱が続いた。日経4月30日社説も「未完の成熟国家だった」とし、人口減社会の到来など、日本が抱える試練への対応を求める。

ことし2019年も、揺れ動く時代の転換点になるのではないか。日本国憲法施行から72年の時を刻む。憲法記念日の読売社説は「もとより、憲法改正論議の中心は、9条である。一部に根強く残る自衛隊違憲論を払拭し、国の安全と国民の命を守る正当性を明確にする狙いは理解できる」。安倍政権の狙いを理解できると言うのだろうか。 

毎日社説は「今、憲法をめぐって手当てが必要なのは、9条の問題よりもむしろ、国会の著しい機能低下だろう。その最たるものは首相権力に対する統制力の乏しさだ」。

読売5月10日「憲法考」での馬場伸幸・日本維新の会幹事長の発言にも注目したい。改憲勢力が「3分の2を維持することは、我が党にとっても参院選のアピールポイントになる」。安倍政権の「別働隊」として、改憲勢力の一翼であると明言。安倍改憲に向けて、維新の援軍ぶりが際立つ。

地域政党の大阪維新の会は、脱法行為といえる大阪府・市「入れ替えダブル首長選」で圧勝し、府議・市議選も大きく議席を伸ばした。ノンフィクションライター松本創さんが本紙4月号に寄稿したように、広がり定着する「穏健」支持層など、大阪での維新政治は、その基盤を広げている。選挙後には、公明・自民が変質して、大阪「都」構想=大阪市潰しの住民投票が現実味を帯びてきた。

維新の動向は大阪だけでなく、安倍改憲など国政にも重大な影響をもたらす。注視したい。

山田明

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 12:15 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月07日

【植村裁判】 東京訴訟 6月29日に判決 札幌控訴審は全面対決=編集部

 歴史修正主義勢力の「捏造」攻撃に対する元朝日新聞記者植村隆さんの名誉回復の闘いは4月25日、札幌訴訟(被告櫻井よしこ、新潮社など)控訴審が高裁で開廷。東京訴訟(被告西岡力、文芸春秋社)は5月10日、結審後の再開、中断など原克也裁判長の訴訟指揮で続いた異例の事態を経て口頭弁論が再開され再結審。6月26日午前11時半と一審判決日が決まった。

強引に再結審

東京訴訟は午後3時開廷。冒頭、植村弁護団は原裁判長が結審後の今年2月、被告側に新証拠を追加提出させた行為について、裁判所の釈明権行使義務の存在を指摘。新証拠「朝日新聞社第三者委員会報告書全文」の「裁判所が重要と考えた部分を明らかにし、植村側に反論、立証の機会を保証するのが適正だ」と求めた。だが、裁判長は応じず「弁論を終結する」と、一方的に再結審を宣言した。

またこの日の傍聴券交付も、裁判長(裁判体)が「席が余っても時間で切り券を配るな」と、指示していたことも職員の証言で明らかになった。

予断許さない

 新証拠「朝日新聞社第三者委員会報告書全文」は、朝日新聞ホームページ上の「慰安婦報道検証第三者委員会」に公開されており現在も確認できるので詳しくは触れない。だが、札幌訴訟一審判決は、植村さんへの櫻井よしこ被告の名誉毀損の事実、櫻井被告の主張の杜撰さ(彼女のほうが「捏造」者にふさわしい)を認定しながらなお、「朝日新聞の慰安婦報道に問題がある」を逃げ道に「真実」相当性を認め、櫻井被告の植村バッシングを免罪した。そして櫻井被告は「勝った私が正しい」とばかりに居直り続けている。東京訴訟の西岡力被告はそのネタ元の「捏造」者で、植村バッシングの「膿の親」だ。原裁判長らが「新証拠」歴史修正主義へのどんな「忖度」論理を組み立てるのか。6月26日の判決は予断を許さない。

 一方、札幌高裁での控訴審(本多知成裁判長)は4月25日に開廷し、植村さんの名誉回復への第二ラウンドがスタートした。開廷に先立ち植村裁判を支える市民の会が呼びかけた「公正な判決を求める署名」1万3090筆も高裁事務局に提出された。

 午後2時半に始まった第一回口頭弁論で植村さんは、櫻井被告が「捏造」とした植村記事の同時期、櫻井被告本人が「(金学順さんが)強制的に旧日本軍に徴用された」と書いていた事実と、2014年の「社会の怒りを掻き立て、暴力的言辞を惹起しているものがあるとすればそれは朝日や植村氏の姿勢ではないでしょうか」との言説を指摘。一審判決の不当を強く主張した。また弁護団も、「一審判決は櫻井被告が植村さんや当事者への取材なしに、資料引用や事実理解の誤りを繰り返したことを看過した。『真実相当性』の判断も、最高裁判例や法理論からかけ離れている」と明解に指摘した。

第二回控訴審は7月2日午後2時半に開かれる。

編集部
posted by JCJ at 10:54 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月06日

【沖縄リポート】 「軍事植民地」現実かわらず=浦島悦子

 一人の人間が年老いて息子に仕事を譲っただけで、なぜ「時代が変わる」のか…? 強烈な違和感の中で、「改元フィーバー」の10連休が過ぎた。「天皇制」によってさんざん痛めつけられてきたはずの沖縄のメディアでさえ「平成天皇賛美」の片棒を担ぎ、わずかに「沖縄タイムス」が文化欄で目取真俊氏らの批判的な論稿を載せたくらいだった。

 もちろん、沖縄の現実は何一つ変わってもいない(日本だって同じだろうけれど)。「令和」とは「ヤマト(大和)の命令に従え、ってことだろ?」という声が聞こえるように、沖縄に対する安倍晋三政権(日本政府)の圧政はますます強まる予感さえする。それをうまく慰撫するのが天皇(制)なのだろう。

10連休2日目の4月28日は、米軍属に惨殺された当時20歳の女性の3周忌であり、67年前に沖縄が米国に売り渡された「屈辱の日」でもあった。私は友人とともに恩納村に向かい、女性の遺体遺棄現場に地域住民が設けた献花台に手を合わせた。「二度と娘のような被害を生まないで」という両親の悲願とは裏腹に、つい2週間前(4月13日)またしても、在沖米海兵隊所属の海軍兵に北谷町の女性が殺害される事件が起こったばかりだ。米兵の勤務時間外行動を制限するリバティー制度を、米軍は「兵隊に快適な時間を過ごしてほしい」という理由で大幅緩和した直後だった。軍事植民地♂ォ縄の現実を変えられないことを、霊前に詫びるしかなかった。

4月21日に行われた(玉城デニー氏の知事選出馬に伴う)衆議院沖縄3区補欠選挙で、安倍政権の全面的バックアップを受けた辺野古新基地容認の元沖縄北方担当大臣・島尻安伊子氏を、デニー知事の後継で新基地反対の新人・屋良朝博氏が見事破って当選。沖縄の民意はさらに明白になったにもかかわらず、翌日から変わらず、海と陸での新基地建設埋め立て工事が、何事もなかったかのように続けられている。

5月15日、沖縄は47年目の「日本復帰」の日を迎えた。「アメリカ世」から「ヤマト世」への「世変わり」は、植民地の宗主国を替えたにすぎなかった。今日も辺野古ゲート前に「沖縄を(沖縄に)返せ!」の歌が響く。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 17:21 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月05日

『未和 NHK記者はなぜ過労死したのか』 著者・尾崎孝史氏にインタビュー 選挙報道で月209時間残業=橋詰雅博

NHKはなぜこの事件≠4年間も伏せていたのだろうか―5月8日に岩波書店から出版された「未和 NHK記者はなぜ過労死したのか」の著者・尾崎孝史さん(53)の取材動機だった。尾崎さんは、外部スタッフとしてNHKで27年間、番組制作に携わっている。亡くなった未和さんのご両親と出会い「娘が31年間生きてきた証を残したい」という要望を受けた。彼女の死に至るまでの経過をまとめた尾崎さんに話を聞いた。

    ☆

――佐戸未和さんの過労死を公表したNHK「ニュースウオッチ9」(2017年10月4日)の翌日、各新聞も報道しましたが、どう受けとめましたか。

 朝日新聞の朝刊を見てビックリしました。2013年7月にNHKの女性記者が亡くなり、翌年の5月渋谷労基署が労災認定したと書いてあったからです。私はNHKで長年仕事をしており、職員が亡くなるようなことがあると、あまり時間をおかずに伝わってくるのが普通でした。ご両親の「未和の死が葬り去られる」という新聞のコメントに説得力を感じました。そこで、ご両親あてに「可能なら焼香させていただきたい」と書いた手紙を、代理人の事務所に持参し、ご両親に渡してくれるようお願いしました。焼香を機に本の出版の話が進みました。

109人取材

――どんな資料もとに書いたのですか。

 NHKから遺品として届いた取材ファイルや放送を録画したDVD、未和さんがスケジュールを書き込んでいたNHK手帳、3冊の取材ノート、携帯電話・パソコンでやり取りされたメールなどです。また、遺族、友人、NHK関係者など109人にインタビューをしました。1年半に及ぶ取材で合計約300時間になりました。

――彼女が過労死した背景は?

NHKでは災害と選挙が報道の2本柱とされています。特に国政選挙の報道は、与党・自民党議員に不利にならないようバランスをとることが不文律となっています。国会でNHK予算案をスムーズに承認してもらう必要があるからかもしれません。投開票日は民放よりいち早く当確を出すのがNHKの使命です。当確を出した後、別の候補者が当選したら、ミスした記者は降格人事を受けます。あの13年は6月の都議選に続き7月に参院選がありました。都庁詰め記者の彼女は殺人的なスケジュールでした。発病前1カ月間の時間外労働時間数は209時間にも達していました。

横浜局へ異動となる未和さんは送別会が終わった後、帰宅しました。7月24日午前3時ごろです。遠方から駆けつけた婚約者が遺体を発見したのは25日夜9時すぎです。

真相知りたい

――未和さんは助かる可能性があったと示唆していますが。

 彼女のNHK手帳の7月24日欄に〈14:30〜15局長 15:00〜15:30次長〉と書き込まれています。異動の挨拶のため2人の都庁幹部との面談があったと推測できます。当日、佐戸記者が来ないので都庁職員がNHK都庁クラブに連絡を入れた可能性があります。それを受けた人が不審に思い、彼女のマンションを訪ねたら助かっていたかもしれない。ご両親も私も真相を知りたいと願っています。

――NHKが事件を伏せていたのはなぜですか。

 14年5月に未和さんが労災認定されました。NHKの担当者から「記者会見をしますか」と尋ねられた担当弁護士は「予定はない」と答えました。すると担当者は「会見をしないですね」と深く確認するかのようだったと弁護士は言っています。この情報がNHK上層部に伝わり、ご両親は公表を望んでいないという空気が定着したのかもしれません。日放労も何か事を起こすという姿勢は見られませんでした。NHKは「代理人から公表を望んでいないと聞いていた」と言っていますが、弁護士は否定しています。ご両親は記者会見を開き、事実誤認があるとしたうえで「両親が公表を望んでいないという事実はありません」と抗議しています。

――その後も外部スタッフが倒れ国会で取り上げられましたが、働き方は改善されたのでしょうか。

 深夜や休日の勤務が一部届出制になるなど改善されたところはあります。一方、外部スタッフやプロダクションは視野の外です。勤務管理と称して記者に携帯端末が配布され、上司に居場所が監視されるような不安もあるそうです。忖度のない自由な取材や放送が実現して、はじめて未和さんの死に報いることになるのではないでしょうか。

聞き手 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 11:30 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月04日

【リレー時評】「世界一の民主主義国」と孫総領事=白垣詔男

 私が所属している「日本コリア協会・福岡」は20年近く前から月刊紙「日本とコリア」を発行している。同協会はかつて「日朝協会福岡支部」と名乗っていたが、会の趣旨が「朝鮮半島関係者との友好親善」を掲げているので「日朝協会」では北朝鮮だけとの友好親善組織と誤解される恐れがあるために、福岡や他の数支部は「日本コリア協会」と改名した。東京にある「本部」は創設以来「日朝協会」と名乗っている。

 私は、約15年前から月刊紙「日本とコリア」の取材担当として活動している。同紙は原則として毎号、1、2面は「朝鮮半島と関係がある方」のインタビュー記事を載せている。インタビューは理事長(堀田広治さん)と私が、韓国人、在日韓国・朝鮮人、日本人を含むさまざまな「関係者」にお願いしている。
 今年3月号では駐福岡韓国総領事の孫鍾植(ソンジョンシク)さんにインタビューをさせていただいた。孫総領事は、韓国が朴槿恵(パククネ)大統領から文在寅(ムンジェイン)大統領に代わった直後に福岡に赴任されてこられた。政権が変わると、福岡の総領事も交代するのだ。

 孫総領事は、大阪の総領事館領事、東京の大使館公使などを歴任された。大変気さくな方で、インタビューから約1カ月後、「日本コリア協会・福岡」の堀田理事長と私を懇親会に招いてくださり、大いに歓談した。
 その中で私が一番驚いたのは、孫総領事が「韓国は世界で一番民主主義が発達している国です」と言われたことだ。もちろん私は、「沖縄には沖縄の民主主義があり、しかし国には国の民主主義がある」などと発言する閣僚がいる今の安倍政権は日本の民主主義をおろそかにしていると考えている。韓国の民主主義のほうが数段進んでいるとは思っていたが、総領事の口から「世界一の民主主義国家」という発言が飛び出し、一瞬沈黙した後、私は納得したが返事に困った。

 私は、韓国の民主主義の原点は100年前の「三・一民族運動」だと思っていた。その運動で朝鮮半島の方々が取った言動を支えた精神が、その後の韓国の民主主義を推進したと、今年の「三・一民族独立運動」の際、講演会などで学びながら思ったことだった。韓国のさまざまな民主運動にその精神が引き継がれ、記憶に新しいのは朴槿恵大統領退陣要求運動のキャンドル集会・デモにまで引き継がれている。
 「三・一運動」の原点は東京神田のYMCA会館で創案された、朝鮮半島から日本の大学へ来ていた留学生らによる「2・8独立宣言」であることを、恥ずかしながら私は今回初めて知った。
 その後の歴史を通じて韓国国民が民主主義を進展させたことは疑いようがない。
 「世界一の民主主義国家」と言われた孫総領事の顔を、私はまぶしく見つめ続けたことだった。
posted by JCJ at 09:26 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月02日

ジャーナリスト講座「過労社会を取材する」=東京新聞・中澤誠記者

JCJ夏のジャーナリスト講座
過労社会を取材する――社会部記者の視点とは
<体が痛いです。体が辛いです>と手帳に書き残し、過労自殺した26
歳の新入女性社員。居酒屋チェーン大手、ワタミフードサービスの横須賀市の店で起きた労災事件をきっかけに、横浜支局にいた中澤誠記者は、遺族に会い、通勤徒歩ルートをたどり、ワタミの店員に聞き、過労社会の問題を世に問いました。女性の死から11
年。電通やNHKでまた問題は起きた。なぜ繰り返されるのか……。
6月13日午後6時半から9時半
会場:日比谷図書文化館・4階小ホール
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅
講師:東京新聞社会部の中澤誠記者

参加費=1000円・予約が必要です。
予約:参加希望日と氏名、大学名
またはご職業、電話番号、メールアドレスを明記し、下記にメールかファクスでお申し込みください。講義内容はメディア志望の学生向けですが、社会人の方の参加も歓迎します。
メール sukabura7@gmail.com ファクス 03・3291・6478
★中澤誠記者の略歴=1975年、香川県生まれ。99年、中日新聞に入社。横浜支局や中日新聞社会部などを経て、2015
年8月から東京新聞(中日新聞東京本社)社会部に所属。キャンペーン報道「過労社会」でワタミや電通の過労自殺などを取材したほか、獣医学部開設を巡る加計学園問題や東京五輪の経費問題を追及。現在は、社会部の調査報道班の一員として、税金の使い道を検証する「税を追う」キャンペーン報道に携わる。著書に「ルポ過労社会」(ちくま新書)、共著に「検証ワタミ過労自殺」(岩波書店)
主催:日本ジャーナリスト会議 電話03・3291・6475=月水金の午後
posted by JCJ at 22:34 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】6.2─<トゥク トゥク トゥク>と働くセミ

★ショーン・タン『セミ』(岸本佐知子訳・河出書房新社)に魅了された。A4変形版32ページの絵本である。表紙を開けると、見返し2頁にわたって、高さがバラバラな墓石を思わせる、蒼い鉛色の積み木が並ぶ。左下に、小さく蝙蝠のような飛形で飛ぶセミが一匹、描かれている。

★続いてページを繰ると、なんと薄みどり色のセミが背広を着て無機質なオフィスで働いている。しかもニンゲンからコケにされ、昇進もせず、17年間ケッキンなし、<トゥク トゥク トゥク>と働いてきた。
★そして定年、送別会もない、セミは高いビルの屋上に行く、そろそろお別れの時間、屋根の縁に立つ。それから一気に10ページにわたって、心を打つドラマが描かれる。
★朱赤で描かれる無数のセミの抜け殻が空を舞う。絵を見ながら、まさにセミの甦り、17年目の新たな出発への飛翔、そんな感動に包まれた。最終ページに、芭蕉の句<閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声>を載せている。

★ショーン・タンは、1974年オーストラリア生まれのマルチ・アーチスト、絵本のみならず彫刻、映画、舞台などで活動を続けている。絵本では『アライバル』ほか、アンデルセン賞をはじめ数々の賞を受賞、作品は世界中で翻訳出版されている。

★実は、彼について知ったのは、つい最近だ。先週末、1万歩ウオーキングがてら、「ちひろ美術館・東京」に立ち寄ったところ、<ショーン・タンの世界展>が併催されていたからである。
★展示されている作品を、まず一巡。そして二巡目で、一つ一つじっくり見入る。なんとも不思議な、奇妙で懐かしい、どこでもないどこかへ連れていってくれる余韻に浸った。すぐに『セミ』とショーン・タン展覧会の公式図録を買い求めた。今も座右において、このコラムを書いている。(2019/6/2)
ショーン・タン「セミ」.jpg
posted by JCJ at 11:21 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月01日

【メディア気象台】 4月から5月=編集部

トランプ報道にピュリツアー賞
米報道界で最高の栄誉とされる2019年のピュリツアー賞が15日発表され、トランプ大統領をめぐる疑惑の調査報道を行ったニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の両紙が受賞した。タイムズ紙は「18か月間にわたる徹底調査」(選考委員会)を通じ、トランプ氏が1990年代に一族による脱税工作に関与した疑惑を明らかにし、解説報道賞に選ばれた。WSJ紙はトランプ氏と不倫関係にあったと主張する女性に、トランプ氏側が口止め料を払っていたことを暴露した報道で国内報道賞を受けた。(「しんぶん赤旗」4月17日付ほか)

旅券返納命令で国を提訴
中東イエメンの取材を予定していたジャーナリストの常岡浩介さん(49)が外務省から旅券の返納を命じられた問題で、常岡さんは24日、国を相手に命令の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。同日、外国特派員協会で会見し、報道の自由が制限されたと訴えた。(「朝日」4月25日付ほか)

女性記者が長崎市を提訴、「取材で性暴力」「名誉も傷ついた」
長崎市の男性部長(故人)から性暴力を受けたという報道機関の女性記者が25日、市に約3500万円の損害賠償と謝罪を求めて長崎地裁に提訴した。取材過程で性暴力がふるわれたほか、市の他の幹部が虚偽の話を広めたにもかかわらず、市が対策を怠ったために記者の名誉も傷つけられたなどと主張しており、弁護側は「報道の自由が侵害された」と訴えている。(「朝日」4月26日付ほか)

菅氏「文書管理問題ない」
菅義偉官房長官が25日の記者会見で、NPO法人の情報公開請求により、2017年度から2年間に公文書として作成された11府省の各閣僚の日程表がすべて不存在となっていたことについて、文書管理上の問題はないとの認識を示した。(「毎日」4月26日付ほか)

「NHKから国民を守る党」統一選躍進、参院選擁立へ
今月の統一地方選でNHKへの批判を唯一の政策に掲げた政治団体「NHKから国民を守る党」の公認候補26人が当選した。所属する地方議員は選挙前の13人から39人に大幅に増え、26日には今夏の参院選に候補者を擁立すると発表した。「ネットの時代にNHKのみに強制的に(受信料を)支払わせることに相当の不満があって投票につながった」。会見した同団体の立花孝志代表(51)は、統一地方選についてそう述べた。7月の参院選では比例区への候補者擁立に必要だとして、選挙区も含め10人を擁立すると発表、自らも東京都葛飾区議を辞職して比例区に立候補すると表明した。(「朝日」4月27日付ほか)

サウジ記者殺害に河野外相は触れず
訪問先のサウジアラビアで同国のムハンマド皇太子と会談し、サウジの経済構造改革を支援する考えを改めて強調した。日本外務省によると、河野氏は約1時間の会談で、ムハンマド氏の関与が指摘されるサウジ人記者カショギ氏殺害事件について言及しなかった。殺害事件を巡って国際社会から批判を受けるムハンマド氏に配慮したとみられる。(「東京」4月30日付ほか)

改元報道、テレビは170時間
改元前後の7日間のテレビ番組で、天皇や改元をめぐる特集が170時間を超えたことが、番組・CM調査を手掛けるエム・データ(本社・東京都板橋区)の調べで分かった。同社はNHKと在京民放キー局の4月28日〜5月4日の地上波放送で「改元」「令和」「天皇」「皇后」のいずれかのキーワードが入ったコーナーや特集などの総量を調べた。(「朝日」5月11日付)

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 11:13 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月31日

【若い目が見た沖縄】 米兵との「共存」に苦しむ女性 北海道支部・小村優さん報告

JCJは、30歳以下の若者を沖縄に派遣し、自由なテーマで取材してもらう「沖縄特派員」を今春、始めた。北海道支部の公募で選ばれた札幌の大学4年小村優さん(4月から赤旗記者)と北広島市の通訳、竹内章浩さんの報告を2回に分けてお届けする。
            ☆
新聞で沖縄と言えば基地問題だ。しかし、厚労省や沖縄県によると、沖縄の離婚率は2・59%と14年連続全国1位。全世帯に対する母子世帯出現率は5.46%で全国平均の2倍だ。ジェンダーの視点からは「強くなければ生きていけない」沖縄の女の問題が胸を衝く。

地元紙で驚いたのはお悔やみ欄だ。喪主だけでなく家族全員の氏名や、独立したとみられる子や孫、その配偶者、ひ孫、県外や海外の親類、友人代表まで載る。「長男嫁」「孫婿」などの続柄もつく。新聞社に「プライベートをさらし過ぎでは」と尋ねると「親しいのに名前を出さない方が失礼になる」との答えが返ってきた。故人と面識がなくても知人の親戚ならお参りする。おくやみ欄は、地域コミュニティの強さ、それを構成する「家」を重視する沖縄社会を象徴しているようだ。

その「家」で、位牌の継承には@父系の長男が引き継ぐA女性が引き継いではいけない、などの「決まり」がある(波平エリ子著「トートーメーの民俗学講座」)。家父長制の典型で、女性は、家とコミュニティを守る「土台」として、ひたすら働くことを求められる。火事、育児、仕立て屋の内職をこなしてきた那覇市内の親泊嘉子さん(84)は、家庭で男性のサポートは「期待薄」で「女の人は働いて、子供を産んで育てて。とにかく働き者でないとだめ」と話す。長男秀尚さん(56)も「基本、男は働かないからー」。

喜納育江琉球大学教授は「沖縄の女は強い、強くなければ沖縄の女ではないという前近代的な価値観が沖縄の女性を苦しめている」と見る。過重な家事労働やDX等から「家」を去る女性は少なくない。それが、離婚率などの高さに現れている。

しかし、待ち受けているのは貧困だ。非正規雇用率は全国で最も高い43,1%(2017年)で、その6割が女性。一人当たりの県民所得(15年)も216万6000円で最下位だ。観光中心の産業構造で、より高い収入を求めて水商売、風俗などで働く女性も多い。若年出産の多さはその反映でもある。

家やコミュニティから守られなくなった女性は、米軍基地と向き合うことになる。人を殺傷する訓練と実戦を続けている兵士との「共存」は沖縄の女性を否応なしに苦しめる。

「家の恥じ」をおそれ、表面化しない米兵による性暴力被害は少なくないといわれる。「日本の安全保障」と、二重の重荷を沖縄の女性たちは負わされている。

自分が無知と無関心という名の加害者であることを、思い知らされた特派員取材だった。

小村優

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 13:31 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月30日

【「令和」狂騒報道】 放送 恐るべき礼賛横並び 制度批判の言論伝えず=戸崎賢二 

 4月30日、5月1日の退位・即位の日、おびただしい量のテレビ報道があった。
印象を端的に言えば、恐るべき同一性ということだろうか。
 新天皇即位の日のテレビ報道は、前夜のカウントダウン、各地の「令和」奉祝行事、新生児が並ぶ産院の取材、それに、新天皇の過去の事績の歴史資料映像といった内容に終始し、ここに例外なく「おことば」を読み解く解説が加わる。
 日中のワイドショーはもちろん、5月1日のNHK「ニュース7」「ニュースウオッチ9」テレビ朝日「報道ステーション」TBS「NEWS23」などを視聴したが、どの局も判で押したように似た内容だった。
 こうした一連の報道がはらむ問題は何か。二つの点を指摘したい。

憲法違反の疑い
 第一の問題は、代替わりの儀式に憲法上の疑義があるという批判があるのに、その議論の存在が全く伝えられず、放送全体が奉祝の基調に蔽われていたことだ。
 即位の儀式は、天照大神から授かったとされる三種の神器の継承を核としている。これは、天皇が神の子孫であることを主張する宗教的行事であって、このような皇室祭祀を国家的行事とすることは、憲法の政教分離の原則に明らかに反する。
 また続いて行われた「朝見の儀」は、本来は「天皇が群臣を召して勅語を賜う儀式」(広辞苑)である。一段高ところに立った天皇に議員らが臣下のごとく拝謁するという形の儀式は、天皇の地位が国民の総意に基づくという憲法の精神とは相容れない。

 ニュース制作者は、こうした論点を知っていて意図的に避けたのだろうか。そうであればまだしも救いがある。
 筆者の推測にすぎないが、放送現場には、このような憲法の知識がそもそも不在であり、憲法や天皇制の起源に関する無知・無教養が蔓延しているのではないか。このほうがことは深刻である。
 4月18日、明仁天皇が伊勢神宮を参拝したとき、NHK「ニュースウオッチ9」のアナウンスは、伊勢神宮について「皇室の祖先の天照大神がまつられています」と留保抜きで紹介した。天皇の祖先が神であると明言した形である。
 こうした報道もまた無知を露呈するものだった。

天皇制批判排除
 もう一つの問題は、テレビでは、天皇制そのものに対する批判的言論が抹殺されたかのようにほとんど伝えられなかったことだ。
 ある特定の家柄に生まれたことで特別に高い地位に就く、という制度は、どう考えても憲法の原理には反する。しかも日本人は過去、その地位への尊崇と服従を強制され、戦争の惨禍を経験している。こうしたことから、天皇制に疑念を抱く国民が少数とはいえ、確実に存在するはずである。
 しかし、退位・即位関連番組は制度批判の言論をほとんど伝えていない。

 新天皇即位の「おことば」のなかに、注目すべき文言がある。
「…歴代の天皇のなされようを心にとどめ、自己の研鑽に励む」と新天皇は述べた。「歴代天皇」の中には当然昭和天皇が含まれるだろう。ここには昭和天皇の名によって遂行された戦争の時代から現行憲法の時代への転換の認識が見られない。各局ニュースは「おことば」を必ず解説したが、この点を指摘した解説は見当たらなかった。
 5月3日の「NEWS23」は、当日の毎日新聞の天皇制についての世論調査で、「天皇制は廃止すべき」とする意見が7パーセントあったと伝えた。象徴天皇制でよい、とする意見74パーセントに比べれば圧倒的に少数だが、100人の国民がいればそのうち7人が天皇制反対ということになる。決して少ない数ではない。
 代替わりの時期は、国民が天皇制とは何かを考える絶好の機会であるはずだった。少数意見の存在もまた報じられてしかるべきではなかったか。

同調圧力の増大
 憲法は「天皇の地位は国民の総意に基づく」と定めている。しかし、総意など関係なく、天皇を敬愛するのが当然と言わんばかりの報道があふれ天皇制は尊重すべきという空気がテレビ報道全体を覆っていた。
 こうした報道による同調圧力の増大は、日本をどこへ導くだろうか。
 たとえば将来、安保法の下で、自衛隊員が海外で大規模な戦争に参加し、戦死者が出るなどという「国家の非常事態」が生まれた場合、テレビメディアが、愛国心をあおる横並び一斉報道を展開し、国民の判断を誤らせるかもしれない。
 今回の代替わり報道はそうした懸念を身に迫るものとして感じさせた。
 テレビ報道に従事する人びとには、代替わり報道が本当にこれでよかったのか、という自省と批判精神の回復を求めたい。

戸崎賢二(元NHKディレクター)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 10:06 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする