2019年04月30日

【編集長EYE】 目標額未達成なら手数料不要=橋詰雅博

 先のJCJ総会でも話題になったクラウドファンディング―。このごろネットや新聞などで名前をよく目にする新しい資金調達法・クラウドファンディングについて、ぼんやりと分かっている程度の人も多いだろうから、改めてどんなものなのかを調べた。これは大衆(クラウド)と資金調達(ファンディング)を組み合わせた造語で、インターネットを介して自分が描いたプロジェクトを発信することで、これに共感する人から資金を募る仕組みだ。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。

 プロジェクトは、映画、映像、演劇、出版、ファッション、食品や精神障害児の就労支援施設をつくるなどの社会貢献など多岐にわたる。要するにありとあらゆるものが対象になるのだ。お金を出す立場から見てクラウドファンディングは、おおむね寄付型、購入型、投資型の3種に分かれる。寄付型は出資者に大きな見返りがなく、購入型は出来上がった製品などを見返りとして受け取れ、発展途上国の事業者や株式、不動産などをターゲットとした投資型は分配金が見返りだ。投資型は支援よりも資産運用に重点が置かれている。

 総会で指摘されたJCJ賞カンパ活動でクラウドファンディングを使いお金を集めるとしたら寄付型で行うことになる。現在、カンパは目標額800万の半分にも達していない。期限の8月集会まで、あと4カ月余り。クラウドファンディングの利用で目標額に近づけたいのはやまやまだが。

 寄付型を取り扱う会社は「Makuake」、「Readyfor」、「CAMPFIRE」が代表格だ。IT企業のサイバーエージェントが親会社であるMakuakeは、プロジェクトの相談や審査に合格後のサイトでのプロジェクトの掲載は無料。目標額を達成した場合、手数料として20%支払う。一方、未達成なら手数料の支払いはない。また支援金は出資者に返される。

 利用する、止める―悩んでしまう。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年04月29日

【メディアウォッチ】 NHK「忖度政治報道」に抗議 上田会長あてに申し入れ書提出=編集部

 3月22日、この日はラジオ放送が始まったNHKの放送記念日にあたる。その94回目の日、渋谷のNHK放送センター西口前では、NHKで働く人たちに向けた呼びかけ行動があった。呼びかけたのは安倍晋三政権のもとでのNHK政治報道の姿勢を批判する市民が立ち上げた「NHKとメディアの『今』を考える会」で、放送を語る会やJCJのメンバーも加わっている。

働く人へトークも

 この日、市民団体が提出した上田良一会長あての申し入れでは、NHKに対して政府から独立した公共放送の原則に立つ政治報道を求めるとしたうえで、▼安倍首相の発言や行動に対する批判的報道がほとんどない▼政権にとって不都合と思われる事実を伝えていない▼政府が発表する呼称に従う傾向がある▼森友・加計学園問題で報道を抑制する姿勢が批判されたと指摘している。

出勤する職員やスタッフに向けたトークではまず、JCJの丸山重威さんが「90年余りたってNHKの放送が今どうなっているのか、皆さんに考えて欲しい。そして議論して欲しい」と訴えた。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動共同代表の高田健さんは「今政治報道の在り方が問われている。アベノミクス、外交どれもうまくいっていないのに、安倍首相は頑張っているという報道ばかり、NHKは安倍首相の顔色をうがかうような報道はやめるべきだ」と厳しい口調で述べた。

古巣の現状に見かねてマイクを握るNHKの元職員の人たちもいた。元ディレクターで、女たちの戦争と平和資料館名誉館長の池田恵理子さんは、現役時代に慰安婦問題の番組制作に取り組んできたものの、1997年以降は一切提案が通らくなった体験を振り返り「ファシズム政権は教育とメディアをコントロールする。現場ではやる気のある若い人たちが多いのに、こうした番組が作れないという現状がある」と、後輩たちを気遣った。

NHKへの抗議行動は、この日、大阪や名古屋、岐阜の各放送局の前などでも行われた。放送センター西口前では、参加者約80人が集まり、プラカードを掲げたり、チラシ配りをしたりした。朝の10時前後は職員、スタッフが続々と出勤してくる時間だ。ほとんどの人たちは、マイクの声にもチラシを配る声にも無表情で通り過ぎていく。チラシを受け取ったのは、34人目の女性、次が62人目の女性、さらに50人数えた中では受け取る人がいなかった。この反応をどう受け止めるべきか・・・。メディアという比較的社会への関心度が高いとされる職場で働く人たちだが、自分の職場への批判は受け入れづらいという面があるのか、これもまた一つの現実だ。

無関心ではダメだ

 4月1日の元号決定をめぐる報道、マスメディアはお祭り騒ぎ、NHKは夜の「ニュースウォッチ9」で安倍首相がスタジオに生出演した。そこにはジャーナリズムの権力との距離の保ち方などみじんにもなく、あたかも政権の広報≠フようだった。

さらにNHKの役員人事では、今月、籾井勝人前会長時代に政権との距離の近さを指摘された専務理事が、いったん退いたのち再び復帰することが決まった。呼びかけ行動を終えた後にも幹部人事などで、NHKのベクトルは負の方向≠ヨと傾いているのではないか。だからこそ今回の呼びかけは、市民の批判の声として大切だ。チラシを受け取ったNHK職員と、市民が連帯をしていけば、ボディブローのように今のNHK、さらにメディアと政治の関係にも効いてくるはずだ。市民もメディアも無関心ではいられない。

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年04月28日

【今週の風考計】4.28─AIやロボットを超える「余暇」の大切さ

10連休のゴールデンウイークが始まった。旅行、スポーツ、孫と遊ぶ、ボーッと充電もあろう。仕事を離れて自由に使える時間=余暇を楽しみたい。
だが休みをとれない人もたくさんいる。4月から施行された「働き方改革法」は、残業時間の罰則付き上限規制が導入されたとはいえ、働かせ放題につながる「残業代ゼロ制度」の導入など、長時間や過密労働の解消にはほど遠い。

そのうえ、急速に進化する「人口知能(AI)」やロボットの導入によって、「自分の仕事がAIなどで自動化され、失職するのではないか」─そんな危機感を覚えている人も増えている。あるシンクタンクのレポートでは、「今後20年以内に、労働人口全体の49%が人工知能(AI)やロボットに仕事を奪われる」という。

いかに対抗するか。まずロボットが持てないスキルを身につけることが、自分の仕事を守る鍵となる。ロボットは想定外の動きに対応できない。人間はチームワークよろしく、臨機応変に対処できる能力に優れている。異常な事態に直面しても状況を見極め、複数の仕事をこなしながら、協力して事態を解決する。
これは人間だけが持つ「社会性」にあるという。他人の感情を理解し、自分とは違う他人の視点から物事を観察し、状況に対処する能力に優れる。この社会性と柔軟な対応力を発揮すれば、ロボットにはできない仕事がこなせる。それには「しっかり余暇を楽しむこと」であると、欧米の科学者は指摘している。

余暇を楽しむという行為は、ロボットやAIにはできない。すでに多くの企業や組織は、社員の「燃え尽き症候群」を防ぎ、生産性を向上させるには、余暇が重要であるという認識を持ちつつある。私たちは余暇を楽しむことで、よりよい思考が生まれ、創造性のある仕事ができるようになる。
その「余暇」を、上からの押しつけでなく、みずからが望むときに有効に使えるよう、メーデーを前にして、「政労使」は真剣に考えてほしい。(2019/4/28)
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2019年04月27日

【内政】 野党の自滅 北海道知事選 ヒト・モノ・カネなし「保守王国」へ転落=徃住嘉文

47都道府県唯一の与野党対決といわれた北海道知事選の内実は、離合集散の果ての野党の自滅と、戦前の官選知事に戻ったかのような与党の後進性という政治の低迷だ。

「色がバラバラだ」。3月31日、札幌で開かれた野党統一候補、石川知裕元衆院議員(45)の街頭演説に、ベテラン運動員は仰天した。イメージカラーの青が、候補のたすき、のぼり、チラシで微妙に違う。「ぱっと色を見ただけで有権者の深層心理が候補に繋がるよう、色番号を統一して発注する。選挙戦の基本の基なのに…」。運動員は天を仰いだ。

3月25日の参院予算委。JR北海道への国の財政支援の答弁で、麻生太郎財務相が札幌を「奥地」「奥地」と繰り返した。質問者は北海道選出の国民民主党、徳永エリ氏だが「適切ではない」と言うだけ。前日には、桜田義孝五輪相も「(3.11の時)国道とか交通、東北自動車道も健全に動いていたからよかった」と失言していたが、徳永氏は「発言で失敗しないでほしい」と怒らない。

 政界だけでない。リベラルで知られる地元新聞も「奥地」発言について一面コラムで「函館ではそう言う」「発言は不適切とも言えまい」と報じた。麻生氏が繰り返す民主主義や人権への暴言と同根ではないかという問題意識に筆は至らず、ネットでは「横路孝弘元衆院議長、鳩山由紀夫元首相らが健在だったら、あんなこと言わせなかった」との嘆きが流れた。

すべての原因をひとつに求めることが無理とはいえ、かつての社会党王国は、民主党、民進党、立憲と国民へと続く離合集散で、その力を減じてきた。広い北海道を回るには少なくとも知事選の2年前には候補を決めるのが常道だ。その2年前に起きたのは民進党の分裂。市町村レベルで立憲、国民の組織が固まったのは昨年。立憲は半年前、逢坂誠二政調会長擁立に動いたが、3カ月前に断られ、今年2月、急遽、石川氏を擁立した。短期決戦を制する人、物、金は、もはやなかった。

他方、最高裁からNHKまで人事掌握を追求する安倍晋三政権にあって、知事選はまるで地方人事のようだった。5選の声もあった高橋はるみ知事は、後継に鈴木直道夕張市長(38)を示唆しながら明言を避け、自民党道議や地元経済界は元国交省北海道局長担ぎ出しに走った。

 鈴木氏は、東京都職員から財政破たんした夕張市に応援で入り2011年、夕張市長に当選した。破たん時の総務相が菅義偉官房長官。法政大の先輩で、再建をめぐり頻繁に相談する間柄だ。道議側にすれば、国の言う通りに動く若いよそ者の破産管財人に過ぎず、知事になれば自分たちの既得権益に口出しするかもしれない。気心の知れた元役人の方が安心という流れに高橋知事も乗りかけたところ、政治生命を絶たれる、と察知した鈴木氏は1月29日、無所属での出馬を表明。すると、公明党が真っ先に推薦を決め、これに官邸の意向を読んだ動きが広まるなどして自民の推薦が決まった。菅長官が札幌入りし「夕張再生のめどをつけたのは鈴木候補。安倍政権は経済再生が最優先」と仕上げをした。

 鈴木氏は公約で、北電泊原発再稼働、高レベル放射性廃棄物処分場などの賛否を語らず「道民目線で考える」と抽象論に終始した。自民党は道議会でも過半数を制し、安倍首相を「北海道みたいなところで勝ったのは大きい」と喜ばせた。リベラルで知られた先の地元紙の函館支社は、知事選出馬がささやかれていた昨年10月、鈴木市長を招いて、講演会を開いてもいる。リベラルの牙城は、右派の王国になるかもしれない。

徃住嘉文(北海道支部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年04月26日

【内政】 大阪W選 維新が圧勝 広がり定着する「穏健」支持層=松本創

 大阪ダブル首長選挙での大阪維新の会圧勝について、著書「誰が『橋下徹』をつくったか」で2016年度JCJ賞を受賞したノンフィクションライター・松本創さん(元神戸新聞記者)に寄稿してもらった。

 大阪都構想をめぐる大阪維新の会と公明党の対立に端を発した4月7日の大阪府知事・市長選挙は、維新の圧勝に終わった。松井一郎氏は知事から市長へ、吉村洋文氏は市長から知事へと入れ替わり、新たに4年の任期を得た。同日の府議選・市議選でも維新は大きく議席を伸ばし、府議会では過半数を獲得。市議会でも過半数まで2議席と迫った。法定協議会のハードルはまだあるとはいえ、都構想、つまり大阪市の廃止・解体を問う2度目の住民投票へ、大きく動いたことは間違いない。

 自公を中心とする反維新陣営には、「脱法的な入れ替え選挙を仕掛けられ、候補者選定が遅れた」「司令塔不在で組織の体をなさず、自滅した」「維新との関係に配慮する党中央の支援を受けられなかった」など、戦術ミスや体制の不備を敗因とする声がある。確かに、選挙期間中も不協和音ばかり聞こえてきた。自民党大阪府連が、政党としての機能不全を露呈した選挙だったと言えるだろう。
 だが、それは本質ではない。維新支持の広がりと定着にこそ、主因はあると見るべきだろう。

無党派層が集まる
 選挙期間中、両陣営の街頭演説を数カ所ずつ見て回った。組織動員臭が拭えない反維新に対し、維新側は無党派層が自然発生的に集まっている印象を受けた。橋下徹氏が率いた3年半前までの「熱狂」とは違う。特別熱心に活動するわけでも、強い政治的志向を持つわけでもない「穏健」な支持層が、着実に積み重なっている感があった。
 聴衆に話を聞けば、関空の好調、インバウンドの増加、万博招致などを評価する声があった。公園や地下鉄の民営化で街が明るくなったと喜ぶ人もいた。ここには、民主党政権の遺産や前任者から引き継いだ施策も混じっているのだが、まとめて「維新政治の成果」と受け止められていた。

 今回の選挙に至る経緯、維新の政治手法、また都構想に首を傾げる声もあるものの、大きな問題とは見ていない。そんな「正しさ」は、いわば「重箱の隅をつつく」批判であり、大事なのは、大阪の景気浮揚と成長、そして都市格の復権なのだろうと、彼らの言葉に感じた。
 維新支持の動向を詳細に分析した善教将大・関西学院大学准教授によれば、支持者は維新を〈「大阪」という抽象的な都市空間〉の利益代表者と見ているという。個々人の生活や仕事には直結せず、市や区という狭い意味の地元とも異なる「より集合的な大阪」の利益を彼らは求めている、と。

合理的な選択結果
 それは多分にメディアによって作られたイメージではないか、根深く強烈な「対東京」意識が根底にあるのではないかという疑問も生じるが、善教氏は、維新支持は決してポピュリズムではないと強調する。自律的かつ合理的に「大阪の代表者」を選択した結果だ、と。
 都構想反対の一点で結集した反維新陣営は、この点を見誤った。大阪市解体の不利益を述べるばかりで、ではどうやって大阪を成長させるかという具体策を提示しきれなかった。有権者に届く言葉を持てなかった。真の敗因はそこにある。

 今回の圧勝で、都構想住民投票へ向けた動きが加速する。奔流に飲み込まれることなく冷静に、客観的な事実や問題点を示せるか。維新支持者も含めた有権者に届く言葉を持てるか。反維新陣営にも、在阪メディアにも、そこが問われている。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年04月25日

【内政】 官邸 内閣記者会の分断狙う 新時代拓く記者のネットワークを=南彰

 テレビ朝日記者の勇気ある告発によって明らかになった財務省事務次官のセクハラ問題から1年。新聞労連の女性組合員が中心に企画した院内集会「いま、つながろう セクハラのない社会へ」が4月15日に開かれた。
 16人の登壇者が様々な職域で起きているセクハラ被害の実態や国内法の不備などを報告したが、その一人、バズフィード・ジャパンの古田大輔編集長が指摘した。
 「ジェンダー平等への意識が低い2つの業界がある。政治とメディアだ。女性記者は男性記者と比べものにならないくらい攻撃に遭いやすい。記者会見での発言も『女のくせに』と批判され、守られない」
 多くの集会参加者が思い浮かべたのは、東京新聞社会部の望月衣塑子記者だ。菅義偉官房長官の記者会見で政権の問題を追及しているが、首相官邸による執拗な質問制限に遭っている。

記者排除の意図
 具体的には、@質問の順番を後回しにするA質問を指名する際に「この後公務がある」と質問数を1〜2問に制限するB質問中に司会の官邸報道室長が数秒おきに「簡潔にしてください」などと妨害している。
 極め付きが、官邸報道室長名で内閣記者会の掲示板に貼り出した文書だ。望月記者の質問内容を一方的に「事実誤認」と断定し、「度重なる問題行為について深刻なものと捉えており、問題意識の共有をお願い申し上げる」と申し入れた。「記者の質問の権利に何らかの条件や制限を設けること等を意図したものではありません」と言い訳が記されているが、一連の経緯を踏まえれば、記者排除の意図は明確である。
 記者と政府の間には情報量に圧倒的な差がある。仮に質問に誤りがあれば、官房長官がその場で正して、理解を求めていくのが筋だ。その上で今回の申し入れが悪質なのは、記者の質問の方が正確にもかかわらず、「事実誤認」「問題行為」というレッテルを貼ってきたことだ。

 申し入れでは、沖縄・辺野古で政府が進める米軍新基地建設の工事現場で「赤土が広がっている」と望月記者が質問したことを問題視しているが、赤土が広がっていることは誰が見ても明白な事実である。官邸の行為は記者の質問内容にまで政府見解を当てはめようとするものだ。記者登録制を設けて自由な取材・報道を制限し、「大本営発表」一色に染まっていった戦前に通ずる危険なものである。
 新聞労連が2月5日に官邸の申し入れ文を公表。「官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認することはできません」とする抗議声明を出した。その後、各地の記者に官邸の異常な統制に対する問題意識と危機感が広がった。

各地に飛び火も
 3月14日に日本マスコミ文化情報労組会議の主催で行った官邸前集会には約600人が参加。7人の現役記者がスピーチに立った。
 広島から駆けつけた中国新聞の石川昌義記者は、加計学園理事長の記者会見の話を例にしながら、官邸で起きていることが各地に飛び火する危機感を訴えた。
 「加計孝太郎さんの記者会見が岡山でありました。地元の記者クラブの人しか参加できない、時間もごく短時間にする。(官邸の)こうした行儀の悪い振る舞いは隠したいことがある人たちにすぐ広まってしまう。押しとどめるためにも僕たちがしっかり声をあげていかないといけない」

 官房長官会見をめぐる問題の発端は、加計学園の獣医学部新設をめぐり「総理のご意向」と書かれた文部科学省の文書が報じられた際に「怪文書のようなものだ」と菅氏が虚偽答弁をして隠そうとしたことだ。官邸は内閣記者会の分断を図りながら、その追及の中心にいた望月記者を排除しようとしている。
 そうした動きにあらがう原動力が、財務省セクハラ問題をきっかけに結成された「メディアで働く女性ネットワーク」だ。連携しながら、新しい時代を切り開くジャーナリストのネットワークを築いていきたい。

南彰(新聞労連委員長・朝日新聞記者)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年04月21日

【今週の風考計】4.21─ブレグジットと女性ジャーナリストの死

★ついに英国の「EU離脱」問題=ブレグジットは、女性ジャーナリストの死にまで行き着いた。英国の領土である北アイルランド・第2の都市ロンドンデリーで、18日深夜に暴動が起き、取材していた女性ジャーナリスト(29歳)が被弾し死亡した。
★警察が市内の複数の過激派拠点を家宅捜索したところ、反発を招き暴動に発展。銃撃戦での悲劇である。21日のイースターを前に、アイルランド独立につながった<1916年イースター蜂起>を祝い、英国への帰属に反発する武装グループ「新IRA」が関与したテロ事件とみて捜査している。

★英国の「EU離脱」問題が、再び北アイルランド内で、英国からの独立・アイルランドへの帰属を望むカトリック教徒と英国残留を望むプロテスタント教徒の対立を誘発させかねない。さらに国境管理にも複雑な暗い影を落としている。
★アイリッシュ海を隔てて、英国の向いにあるアイルランドは、れっきとした独立国である。かつEUの加盟国である。だが、アイルランドの北の一部は、英国の領土・北アイルランドが占める。同じ島の中にアイルランドと北アイルランドの国境が500キロにわたって存在している。

★今は国境が開かれているので、自由にアイルランドに行けるが、もし英国が「EU離脱」すれば、チェックの厳しい国境に一変し、大きな影響が出るのは間違いない。こうして小さな地域に押し込められる北アイルランドの人々にとって、国境付近に監視塔や軍の検問所が乱立する「ハード・ボーダー」への逆行は、美しい風景が破壊され、民兵組織の攻撃で多くの血が流れた日々を思い出させるのだ。
★ようやく1998年のベルファスト合意で、アイルランドと北アイルランドの国境が開放され、物と人が自由に往来できるようになった。だが20年後に、またも紛争が再燃するかと慄く北アイルランドの人々は、多くがEUに残り今の平和と自由を維持したいと思っている。

★くしくもイースターの21日は、エリザベス女王93歳の誕生日。在位は世界最長の67年に及ぶ。この英国を混乱の極みに追い込んでいる「EU離脱」問題は、10月31日まで期限が延長されたものの、深刻な分断の傷が、ますます鋭く深く英国の人々や心を痛めつけている。(2019/4/21)
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【おすすめ本】沖縄タイムス社編『沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」』─翁長さんの言葉の重さを噛みしめる=鈴木耕(編集者)

 ひとこと一言が、直に胸に沁み込んでくる本である。昨年8月、惜しまれながら世を去った前沖縄県知事・翁長雄志さんの、折に触れて発した言葉を集め、沖縄タイムスが編んだもの。
 翁長さんの言葉と、それが発せられた背景を小文で解説する、とてもシンプルな編集なのだが「政治家とは言葉の闘士」であることが、これほど明快に示されている本も珍しい。例えば、国を相手取っての訴訟の際に翁長さんはこう語った。

<その後ろ姿を見せることで、子や孫がその思いを吸収し、彼らなりに沖縄の将来を担っていくことにつながる。私たち責任世代の役割はそこにあるのではないか>
 親が子に向けるまなざし。まさに沖縄の世代のつながりを見る思いだ。だから、そのつながりを守ろうとするとき、翁長さんは闘う顔になる。
<大臣の是正支持は、かけがえのない自然と生態系への破壊指示であり、地方自治の破壊そのものではないでしょうか>
 高江のヘリパッド建設現場での、市民へ向けた機動隊員の“土人発言”には怒りをあらわにした。
<侮辱的な言葉が飛んできた。そういう言葉は人と人の絆を壊す>
 言葉の怖さを真から知る政治家だったのだ。だから、怒りは言葉を失った司法にも向けられる。
<あぜんとした。裁判所は政府の追認機関であることが明らかになった>

 そして、この叫び!
<ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー(沖縄の人をないがしろにしてはいけない)>
 巻末に付記された記者たちの文章が切ない。
(沖縄タイムス社1000円)
『翁長雄志の「言葉」』.png
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2019年04月14日

【今週の風考計】4.14─「F35」147機・6兆円購入と政治の荒廃

岩屋防衛相は、日本の軍事費が「今後5年の間に、GDP比で最大約1.3%に達する」旨の見解を、9日の昼、国会で明らかにした。
これまで日本は軍事大国化への歯止めとして、軍事費を国内総生産GDP比で1.0%以内に抑えるのが原則である。しかし米国トランプ大統領の増額要請に抗しきれず、今年の軍事費は5兆円を超え、過去最高を更新した。それでもGDP比では0.929%と1%以内に収まっていた。

ところがここにきて、さらなる最新鋭ステルス戦闘機「F35」の爆買いなど、軍事費の予算総額を約27兆円も積み増す動きが急だ。いよいよ自民党が掲げる軍事費のGDP比2%へと舵が切られ始めている。

9日の夜、「F35A」が青森県三沢基地から東へ135キロの太平洋上に墜落した。すでに5日が立つ。今なお水深1.5キロの海底に沈んでいる機体は、1機116億円。米国の軍事史上、「最も高価な最新鋭ステルス戦闘機」である。
オッとどっこい、米国政府の監査院はF35戦闘機シリーズには、966件の未解決の欠陥があると指摘していた。昨年9月の墜落に始まり、パイロットの生命維持装置である酸素レベル低下事態が6回、タイヤの耐久性への疑念、一時は飛行中止の措置まで取られている欠陥戦闘機だ。カナダでは「F35」65機の購入を白紙に戻している。

だが安倍政権は、この欠陥戦闘機「F35」43機の購入に加え63機の追加発注、さらにヘリ空母「いずも」と「かが」に搭載する「F35B」42機の調達まで決めた。1機あたり運用30年とみて、その整備費307億円を合わせると、なんと合計147機の購入・整備費は6兆2000億円に達する。
人の命を奪うだけの軍事費の増額に向け、躍起の政治家、次の事実にどう顔を向けるのか。「F35A」1機分116億円あれば、日本全国に90の認可型保育所が新設できる。また福島県から原発事故で自主避難した人たちへの住居支援、このほど打ち切られたが、その額は約80億円、給付型奨学金だって105億円、1機分の額より少ない。どちらが命に貢献するか、はっきりしている。(2019/4/14)
posted by JCJ at 13:39 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月11日

【月刊マスコミ評・新聞】 外務省情報に「嫌韓」悪意が=白垣詔男

韓国では3月1日、「3・1独立運動100年」を記念して全国各地で集会やデモがあった。私は、「日韓・韓日反核連帯」というグループの呼び掛けに応じて家族で集会・交流会に参加するためにソウルへ行った。

 2月28日、ソウルで、日本外務省が「韓国:『3・1独立運動100周年』に際するデモ等に関する注意喚起」と題する「スポット情報」を出したのを知った。私の周りにいた日本人は「平穏な韓国なのに外務省の姿勢は不可解、悪意が感じられる」と感想を述べる人が大半だった。

 帰国して3月1日の朝刊を見ると、朝日、西日本、産経が「スポット情報」の記事を掲載。毎日、読売にはなかった。

朝日「韓国渡航で外務省『デモの可能性』 3・1独立運動100周年」の3段格横見出しで4面に載せていた。「ソウルなどで市民団体が行うとみられるデモなどに近づかないよう注意を喚起している」という「スポット情報」の内容を伝え「外務省担当者『総合的に判断した』と説明した」と背景を書いていた。西日本は5面に「韓国渡航者に注意喚起 外務省、デモ警戒」の小さな1段見出しで事実のみの目立たない扱い。産経は2面トップ3段見出しで目立つ扱いだった。記事には「三・一独立運動をめぐっては2月27日の自民党外交部会でも出席議員から『一人の日本人でも傷つけられることがあったら、日韓関係はとんでもないことになる』などと、強い懸念が出ていた」と韓国嫌いと思われる新聞らしい内容だった。

 韓国の実態は、中央集会が開かれたソウル・光化門(クァンファムン)広場を中心に南に延びる世宗(セジョン)通りでは、韓服(ハンボク)を身にまとい民族楽器を演奏する大合奏隊や多くの市民らが整然と行進していた。

多数の警官が目についたが全員、手持ちぶさたの様子で、「国民の祝日」を祝うムードに包まれ、外務省が出した「スポット情報」が場違いであることが分かる。

 なぜ、外務省は「スポット情報」を出したのか。そこには安倍政権の「嫌韓姿勢」の悪意が感じられてならない。

 新聞は、外務省の広報以外に、産経は無理としても、そうした「悪意が感じられる外務省(政府)の姿勢」にも触れてほしかった。

白垣詔男

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年04月10日

【メディアウォッチ】 記者たちついに立ち上がる 「知る権利守る」と猛アピール 報道各社は一丸となって闘え=編集部

記者たちが怒りの声を挙げ、立ち上がった。菅儀偉官房長官会見での「特定記者」への質問の制限や妨害など、国民の「知る権利」を奪おうとする政府に抗議する集会「FIGHT FOR TRUTH」が3月14日、首相官邸前で開かれた。新聞、民放、出版の各労連などでつくる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が呼び掛けた。

国際的にも広がる

5日の会見で菅官房長官に「あなたの質問に答える必要はありません」とあらわに回答拒否≠ウれた東京新聞の望月衣塑子記者は集会で、「メディアが権力に厳しい質問ができなくなった時、民主主義は衰退します」と壇上で訴えた。

問題が顕在化したのは昨年12月末、首相官邸報道室長名で内閣記者会に、特定記者の質問を「事実誤認」「度重なる問題行為」と断定ことから。

3月に入って、国境なき記者団が「政府は記者会見の質問が適切か不適切かを判断してはならない」との声明を発表するなど、安倍政権への批判が国際的にも広がっているとは言え、政府の対応は一向に変わらない。加えて取材報道の自由の制限をより強めており、メディアは深刻に受け止める必要がある。

東京新聞が2月20日に1ページ全部を使った特集「官房長官会見問題 本紙の検証と見解」を載せている。望月記者の質問に対し、内閣広報官らから9回もの不当な内容の申し入れが東京新聞にあったと伝えている。そんなに頻繁にあったのかと驚かされるが、その内容を読んで、政府がこんなおかしな主張をしていのかと驚き、あきれ、怒った人が大勢いたのではないだろうか。

昨年6月の申し入れは「国民の代表とは選挙で選ばれた国会議員。貴社は民間企業であり、会見に出る記者は貴社内の人事で定められている」というのだ。民間企業の新聞社の記者が国民を代表するわけはないとの認識で、記者会見は行政サービスとしかみていないのだろう。ジャーナリズムを単に企業活動としか受け止めていない政権だから、記者の質問を封じる発言が平気でまかり通ることも理解できる。

問題は、こんな政権の考えを世の中が「容認」してしまっている現状を招いてしまっていることだ。なぜこうなってしまったのかと問えば、申し入れのたびにきちんと批判をしてこなかったことが一因ではないのか。

個別に対峙はダメ

東京新聞の検証記事には、不当な申し入れがあったことをその時点で報じなかった理由は特に書いていないが、「政府が、こんなバカな常識はずれの主張を言ってきた」ので反論するのもバカバカしいと考えたのかもしれない。しかし今、そんな対応が甘かったと反省する必要があるだろう。

国民の「知る権利」のため、国民を代表して取材する記者が、国民に知らせずに、各社が個別に対峙するだけでは、かえって政権に好都合となりかねない。報道各社の枠を超え、さらに検証することが求められる。

(編集部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年04月09日

【お知らせ】 月刊機関紙「ジャーナリスト」4月25日号主要記事予告

●ひどくなるばかりの安倍官邸の報道恫喝に対して南彰新聞労連委員長が反撃、「メディアは官邸に屈しない」と訴える
●統一地方選前半戦終了 唯一の与野党対決だった北海道知事選と維新による党利党略の大阪ダブル選挙に注目。北海道
はなぜ「保守王国」に転落したのか、「維新1強」の大阪に落とし穴はないのか。地元記者が分析。
●平成から令和に改元 鼻につく異様な「新元号」狂騒報道。新聞と放送についてジャーナリズム研究者が断罪。
●判決先延ばし、口頭弁論再開と奇っ怪な行動の東京地裁の植村隆訴訟 植村支援チームが問題点整理と平易な解説を。
●3・22NHK前抗議行動 「アベチャンネル阻止」で市民立ち上がる 日報労委員長にも面談。抗議参加者によるルポ。
●業績不振で崖っぷちの出版業界 再生の道について「文化通信」星野編集長が語る。
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【映画の鏡】 破天荒な生きざま貫く「全身画家」─『ぼくの好きな先生』─子どもたち自由と勇気を=今井 潤

 画家、瀬島匠は56歳、山形の東北芸術工科大学で学生たちに教え、全国を飛び回って創作活動を行っている。30年間“runner”というタイトルで絵を描き続ける。
 映画監督、前田哲は全身アーティスト瀬島匠に出会い、自らカメラを回し、しゃべりながら、漫才を演じながら、観る者の心を激しく揺さぶる人間ドキュメンタリーを作った。

 広島県因島に生まれた瀬島は、造船所に勤めながら地方画家として活動していた父と同じく、絵や彫刻を作り続ける母の影響もあり、幼いころから画家の道をこころざした。
 現在は大学で絵を教える立場になったが、因島、飯山、川崎などで創作活動を続けている。

 前田監督としゃべりながら描くのは、大きなトタン板のキャンパスに、海辺と広がる空をナイフで白と青の絵の具を塗りたくっていく。紹介される受賞作は具象画で廃船、大きな山など迫力に満ちたもので、いずれも“runner”とタイトルがついている。なぜ”runner”なのか答えはない。瀬島匠という画家の絵を描く姿勢そのものが、走る男なのかも知れない。

 前田監督は<どんどん不寛容になる社会の中で、窮屈に生きさせられている若者たち、子供たちへ「もっと自由に生きていいんだよ」、「失敗を恐れず楽しもうよ」と瀬島匠の破天荒な生き様と創作姿勢と学生たちの交流を通して、“エール”を送りたいと思ったのです>と述べている。
(公開は3月23日(土)新宿ケーズシネマ、3月30日(土)大阪シネヌーボなど全国順次)

今井 潤

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年04月08日

【沖縄リポート】 「三線の日」沖縄文化の底力みせた=浦島悦子 

 2月24日、県民投票当日は、朝から冷たい雨が降りしきった。投票率がなかなか上がらず、夕方になっても50%に届かない。最後までやきもきしたが、最終投票率52.48%にほっと胸をなでおろした。

(埋め立て)反対票は、昨年知事選での玉城デニー知事の獲得票39万票余を大きく上回る43万4273票(投票者総数の約72%)。それは予想を超えるものだった。県民投票潰しに失敗したあと、投票率を下げようと躍起になった官邸・自民党の目論見ははずれた。悪天候の中、静かに、しかししっかりと意思を示したウチナーンチュを私は改めて尊敬し、誇りに思った。

 しかしながら、想定内とはいえ翌日も、海には埋め立て土砂が投入され、ゲート前では機動隊が市民を排除し、ダンプが列をなして石材・資材を搬入した。県民投票などなかったかのように全く変わらない光景に「心が折れそうだ」とつぶやく人もいた。

 3月4日、さんしん(三線)の日。1993年から始まった「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」は、正午の時報とともに全県一斉に、沖縄の祝いの席に欠かせない「かぎやで風」を奏でるイベントだが、辺野古ゲート前でも一昨年から行っている。

 正午。三線や太鼓の奏者たちが並んで演奏したあと、数十人が「かぎやで風」を群舞。奏者も踊り手も、普段から座り込みに参加している人たちだ。

今日は搬入はやめてほしいと要請したにもかかわらず、正午過ぎ、石材を積んだダンプや生コン車の行列が近づいてきた。機動隊が、作業ゲートに座り込む市民を排除するいつもの光景が再現され、悲鳴や怒号が上がる。国道を挟んだ向かい側では、それに動じることなく演奏が続けられ、プロの腕前を持つ熟練の踊り手が見事な舞を見せている。その堂々とした振る舞いに沖縄文化の底力を見る思いがした。

 国道の右と左に繰り広げられる、あまりにも対照的な光景は、沖縄と日本(政府)との関係を象徴しているようだった。

 3月25日、沖縄防衛局は新たな工区への土砂投入着手を宣言しているが、1〜4日に行われた専門家調査団の調査で、新基地予定地に活断層の存在が明らかになり、工事の先行きはますます見えなくなっているのが実態だ。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年04月07日

【今週の風考計】4.7─一刻も早く消費税10%中止を決断せよ!

もう消費税増税10%は止めるしかない! 10月に実施すれば、日本経済も国民生活もズタズタだ。
このほど日銀が発表した企業の景況感を示す業況判断指数は、企業規模を問わず軒並み7〜10ポイントも下がった。8年前の東日本大震災直後の11ポイント低下に匹敵する。

勤労者の実質賃金は2カ月連続で前年比1・1%減少。消費の冷え込みは続くうえに、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱による輸出の不振が、日本経済を揺さぶり、国民生活にしわ寄せがきている。
そこへ消費税増税10%を浴びせたら、「令和」の世に東京オリンピック開催などと、浮かれてはいられなくなる。

あるシンポジウムで、岩田規久男・前日本銀行副総裁までが「日本は年金生活者や非正規労働者といった消費税増税に弱い人が多い」と語り、デフレ脱却のため「増税は凍結すべきだ」と訴えるに至った。これまでの消費税アップが、ことごとく個人消費の冷え込みを促進し、国民が貧困化していく事実を直視すべきだという。
安倍政権のもと「アベノミクス」を担当した、元内閣官房参与の藤井聡・京大教授も「消費税増税自体が景気を悪化させ、財政の基盤を破壊する。消費税増税は影響が半永久的に続く」と懸念している。

そもそも消費税は経済を不安定化し、貧しい者ほど負担が重くなる逆進性を持つため、国内の所得格差は拡大し、しかも消費を減退させ、デフレを継続させる欠陥税制であるのは、はっきりしている。
いくら軽減税率の導入とかポイント還元だとか、弥縫策を取ろうとも、その本質は変わらない。10月の消費税10%の凍結・延期の判断は、5月20日前後がデッドラインと言われるが、安倍首相は、もう一刻も早く中止を決断すべきだ。(2019/4/7)
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2019年04月05日

【小森陽一対談チャンネル】 21世紀版「大日本帝国」が狙い 浜矩子さん アベノミクス痛烈に批判=河野慎二

 九条の会事務局長の小森陽一氏(国文学者)がキャスターを務め、ジャーナリストや研究者ら各界を代表するゲストと安倍暴走政治≠フ問題を論じ合うFⅿA自由メディア「小森陽一対談チャンネル」の放送が3月から始まった。
 第1回のゲストは、浜矩子・同志社大学大学院教授。アベノミクスについて「どアホノミクス」と名付け、舌鋒鋭い批判を展開している。

 番組で浜氏はまず、アベノミクスの目玉である「異次元の金融緩和」を取り上げ「日銀が財政破たんを隠蔽するため国債を買いまくる。今は、市場で買っているが、日銀が政府と相対で国債を直接買うという、禁じ手の体制を作ろうとしている」と喝破し「そうなると、国の財政収支が全く分からなくなり、完全にファシズム経済になってしまう」と警告した。
 その上で浜氏は「安倍が目指すのは、21世紀版の大日本帝国という軍事大国づくりだ。憲法は絶対に変えると言っている。アホノミクスはそのための足場作りだ。我々はその狙いを片時たりとも見落としてはならない」と強調した。

 浜氏は、安倍政権が進めているキャッシュレス化の問題について「キャッシュレスとは、カネが電子暗号化され、自分の銀行口座から現金を引き落とすことが出来なくなる。国民の資産を、国民の手元から21世紀版大日本帝国の枠組み作りの財源に持っていってしまう」と警鐘を鳴らした。
 浜氏はこの他「ソサイエティ5・0」や「未来投資会議」など、安倍政権の危険な計画についても言及した。

「小森陽一対談チャンネル」は19日にユーチューブで発信した。FⅿAは、第2回以降のゲストとして、中野晃一・上智大学教授(4月)、香山リカ・立教大学教授(5月)、佐々木寛・新潟国際情報大学教授(6月)を確定し、準備を進めている。

河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年04月04日

【リレー時評】沖縄めぐる3つの報道課題=松元 剛(JCJ沖縄世話人)

 米軍の辺野古新基地建設に向けた埋め立ての賛否を問う県民投票は、住民投票の有効性の指標ともされる投票率50%を超え、反対が7割超となった。昨年9月の県知事選での玉城デニー知事の得票を約4万票も上回った。
 争点が新基地の是非に絞り込まれた上、全市町村実施にこぎ着けた。圧倒的な反対の民意の歴史的意義は重い。

 3月になって、岩屋毅防衛相は臆面もなく、県民投票の結果にかかわらず工事を継続すると決めていたと明らかにした。了承したのは安倍晋三首相だ。首相は昨年9月の県知事選と同様に、「結果を真摯に受け止める」と答弁したが、うわべだけの空虚さが際立つ。
 「国防は国の専管事項」と言い張り、沖縄に基地を押し付け続ける姿勢は、先の大戦から続く「沖縄切り捨て」の差別的構造の温存に映る。
 国会審議で野党側がこうした安倍政権の姿勢を追及しているが、「沖縄に寄り添う」「真摯に―」と言いながら民意無視を決め込む政権の姿勢は、メディア側が主体的に追及すべきではないか。

 一方、宮古、八重山への自衛隊基地新設も根強い反対を軽んじて進んでいる。沖縄戦は、国体護持、本土防衛のための「捨て石作戦」だった。多くの県民を軍と共に行動するよう仕向け、軍民混在の凄惨な戦場で死に追いやった。沖縄戦の教訓は、「軍隊は住民を守らない」である。
 安全保障問題で、頻繁に用いられる「島嶼防衛」をかいつまんで説明すれば、こうなる。島の戦闘は守備より攻撃が有利。攻め込まれたら、敵にいったん占領させた上で、逆上陸して島を奪い返す─。自衛隊が米軍を巻き込んで繰り返す「離島奪還」という奇妙な名称の訓練の核心である。
 間違いなく巻き込まれる住民の安全は二の次だ。自衛隊内の沖縄戦研究の蓄積を踏まえ、「第二の沖縄戦」が想定されている。「島嶼防衛」の危うさに対するメディアの検証は鈍いままではないか。

 平成の世が終わりを告げる4月末までの期間は、昭和天皇によって沖縄が切り捨てられた史実を検証する最後の機会だろう。
 1945年2月、近衛文麿元首相から早期和平を進言された、昭和天皇は「今一度戦果を挙げなければ実現は困難」と拒み、沖縄戦は不可避となった。47年9月、昭和天皇は米側にメッセージを送り「25年から50年、あるいはそれ以上」沖縄を米国に差し出す方針を示した。いわゆる天皇メッセージである。
 「象徴天皇」でありながら、昭和天皇がなぜ外交に深く関与し、沖縄の命運を暗転させた重大な方針を示したのか。「昭和天皇実録」などでもその経緯は未解明だ。沖縄に関する昭和天皇の「戦争責任」と「戦後責任」は明白だ。今に続く沖縄の基地過重負担に天皇制が及ぼした影響をあらためて検証し、その史実を後世にしっかり伝えることもメディアの役割ではないだろうか。それはもちろん、沖縄のメディアにも課せられている。
posted by JCJ at 09:41 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月02日

【市民活動】 東海道五十三次いっせい行動 弥次さん 喜多さん「政治変えようぜ」  安倍退陣へ55カ所=仲筑間卓蔵

安倍早期退陣の声を強めようとマスコミ九条の会が呼びかけた「東海道五十三次いっせいアピール」行動が9日、五十三次宿場など55カ所で行われた。

京都三条大橋では東映の俳優さんが弥次・喜多に扮してアピールし関心を集めた。東京は日本橋と品川。日本橋にはJCJやマスコミ九条の会、九条の会東京連絡会など50人が参加。10人の弁士は異口同音に「アベ政治を終わりにしよう」と訴えた。天気も味方してくれた。

 マスコミ九条の会は昨年12月14日「東海道五十三次いっせいアピール」呼びかけを決め、各地九条の会に要請したが、年初まで動きははかばかしくなく、苦闘が続いた。

 「面白い行動を提起してくれて有難う」(滋賀)の言葉に元気をもらう。問題は、最も宿場の多い静岡。元国労東海の委員長だったY氏の尽力で道が開けた。

 2月に入って「賛同」が集まり始める。手応えを感じる。3月5日。大磯が参加決定。これで神奈川全宿。

 行動当日。愛知の東海市からとりくみの連絡。11日、滋賀の石部宿がとりくんだという連絡。これで滋賀も全宿。

 そして、京都・さがみ九条の会(帷子辻子駅)がやったという。これで48宿55ヶ所が行動したことになる。涙が出てきた。

 神奈川宿からメールが届いた。「今回は提案していただきありがとう。次は全国で九条の会いっせいに行動できればいいですねえ」と。

 3月9日は、「点」が「線」になった。「九条の会」は、5月3日に向けて「3000万署名」を達成して「決起しよう」と改めて「檄」をとばしている。

この国の有権者はおよそ1億人。投票率50%として5000万人。市民と野党共闘で3000万人が決起すれば、政治は変わる。今年はまさに「正念場」の年です。

仲築間卓蔵

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年04月01日

【リアル北朝鮮】 経済成長と生活向上を強調 金委員長 内政に重点移す

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は8日付論評で、第2回米朝首脳会談が合意なしに終わったことに初めて言及した。

「全世界が朝鮮半島における平和過程が順調に進展し、朝米関係が一日も早く改善されることを願っている。だから、ハノイで行なわれた第2回朝米首脳会談が成功し良い結実があることを願ってやまなかった内外(の関係者)は、合意文なしに終わったことについて、米国に責任があると一様に主張している」

 ただ、論評の趣旨は安倍政権を批判するものだった。

 北朝鮮のメディアは、現段階で先の米朝首脳会談が決裂したとは報じていない。「朝鮮中央通信」は1日、両首脳が「互いへの尊重と信頼をより厚くし、両国関係を新たな段階へと跳躍させられる重要な契機になったと評価した」ことを報じ、「朝鮮半島の非核化と朝米関係の画期的発展のために、今後も緊密に連携し、ハノイ首脳会談で議論された問題解決のための対話を継続することにした」と強調した。トランプ米大統領も、「突然立って出ていくような交渉決裂ではなく、友好的なものだった」と2月28日の記者会見で述べており、米朝ともに「会談は決裂ではない」ことを強調している。

 金正恩朝鮮労働党委員長の関心はすでに内政へと向かっているようだ。10日は最高人民会議(国会)第14期議員選挙の投票日だったが、金委員長も参加し、候補者を激励しながら、経済の活性化や人民生活向上について強調した。9日発朝鮮中央通信によると、党末端組織の活動家大会に書簡を送っているが、「制裁圧力も破綻を禁じえない」としながら、「わが党にとって経済発展と人民生活向上より切迫した任務はない」と強調している。

 来年は、金委員長が16年の党大会で提唱した「国家経済発展5カ年戦略」の締めくくりの年。金委員長は、なんとか経済的成果を出さねばならないと思っているはずだ。

文聖姫(ジャーナリスト・博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年03月31日

【今週の風考計】3.31─続く「琉球処分」の非道と自己決定権!

★平成が終わる。改元を機に沖縄の歩みに目を向け、自己決定権の大切さを考えてみたい。
★140年前の3月27日、明治政府は軍隊や武装警官600人を、琉球本島の首里城へ動員し、武力を背景に琉球国王・尚泰へ廃藩置県の通達を突きつけ、「沖縄県」を設置した。450年続いた琉球王国は終焉を迎えた。いわゆる「琉球処分」である。

★この「琉球処分」から140年たつ今もなお、沖縄の自己決定権は阻害され、政府の強権的な問答無用の押しつけがまかり通っている。
★米軍の<鉄の暴風>にさらされ、20万の犠牲者を出した沖縄は、日本の敗戦後も、米国の戦略的拠点と位置づけられ、1952年のサンフランシスコ講和条約で日本から切り離され、米軍の統治下に置く「第2の琉球処分」扱いを受けた。
★さらに20年後の1972年の沖縄返還は、民意を無視した米軍基地つきの本土復帰であり、「第3の琉球処分」に他ならない。

★その後50年近く、一貫して沖縄県民は、日本政府と米国に対し基地の整理・縮小を求め、1996年のSACO合意からは普天間基地の早期返還、そして辺野古移設の撤回と県外移設を要求している。
★<美ら海に、ジュゴン死すとも、土砂礫>─「辺野古への土砂投入」は、いわば「第4の琉球処分」の強行である。「国益」の名の下で沖縄を国防の道具にする手法は、140年前から続く植民地主義の極まりだ。

★これは自然災害による「苦難」でもなければ、他国からの侵略や戦争による「惨苦」でもない。自国の為政者や行政から押しつけられた「苦境」である。民意を汲んでほしい、自分たちの声を意思決定過程に反映してほしい、それが蹂躙され続けた歴史が刻む「苦境」の深刻さであり、重さである。
★新基地ノーの民意を示した県民投票から1カ月。政府は3月25日、再び沖縄の訴えを無視し、新たな区域への土砂投入を強行した。
★「主権は国民にある」と謳う憲法下で、沖縄だけは埒外とされ、本土の政府から自己決定権まで奪われる事態に、本土の我々が立ちあがらずんば、民主主義は死ぬ!(2019/3/31)
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2019年03月30日

首相官邸で何が起きているのか

日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部例会
官房長官会見の質問制限
首相官邸で何が起きているのか


菅義偉官房長官は記者会見で、辺野古の米軍新基地建設について、「埋め立て現場ではいま、赤土が広がっている」と質問した東京新聞望月衣塑子記者に対して「事実誤認」と一方的に断定。さらに質問制限や妨害行為を正当化する政府答弁書の閣議決定をしました。しかし、現場で赤土が広がっていることは明白です。また記者が記者会見で質問することは普通の行為です。
記者会見は記者が市民に代わり当局者の見解を求め、市民の知る権利を保障している現場です。
この問題で首相官邸の記者弾圧に抗議するアピールを発表したMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)議長で、新聞労連委員長の南彰さんにお話をうかがいます。


日時 4月13日(土) 午後2時〜4時
会場 横浜市健康福祉総合センター8階8A会議室 
横浜市中区桜木町1−1 TEL045−201−2060
講演 官邸記者会見をめぐって
   南彰 MIC議長・新聞労連委員長
参加費 500円
連絡先 保坂 080-8024-2417 
主催   JCJ神奈川支部

望月衣塑子記者と南彰新聞労連委員長A.JPG
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2019年03月29日

【支部リポート】 福岡 特筆すべき2つの出来事 新加入者の活躍と「望月講演会」=白垣詔男

 この1年、福岡支部では2件の特筆することがあった。

ひとつは昨年9月の支部幹事会に参加した西嶋真司さん(福岡の民放RKB毎日放送を同月退社のOB)が新加入して同時に支部幹事になった。

 西嶋さんは、現役時代、記者、ディレクターなどを歴任した。ディレクター時代、福岡県田川市在住の記録作家、林えいだいさん(2017年逝去)を濃密に取材。2016年には林さんを主人公にしたドキュメンタリー映画「抗(あらが)い〜記録作家林えいだい」を監督として制作、公開した。林さんは、日本統治時代の朝鮮人徴用工問題など朝鮮半島の人々に思いをいたした著作が多いことで知られている。

 西嶋さんはまた、記者時代、ソウル特派員も経験、その後、朝日新聞の特派員になった植村隆さんと親交を結び、「植村バッシング」に対して大きな疑問を感じ、RKB在任中から植村さんのドキュメンタリー「標的」の制作を始めた。植村さんの裁判を傍聴、その後の記者会見などにも参加してカメラを回している。「標的」は5月に完成する予定だ。

 西嶋さんには5月末に開く支部総会で「標的」を公開してもらうことにしている。

もう一つは、昨年12月8日(土)、「NHKを考える福岡の会」主催の「望月衣塑子講演会」を九州民放OB会とともに共催した。外部の団体とともにこの種の総会を共催するのは、福岡支部としては久しぶりのことだった。支部長の私が「NHKを考える福岡の会」の事務局次長になっていることで、福岡支部は同会とは連絡を密にしており、「望月講演会」も支部機関紙「ジャーナリスト福岡」に告知記事、終了後は講演会報告を載せた。

 「望月講演会」は定員270の会場に280人が詰め掛けた。望月さんはいつものように早口と身振り手振り、声色、ユーモアを交えて話してくれた。参加者は、ほとんど私語もなく、望月さんの話術に感心して耳を傾けていた。

白垣詔男

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年03月28日

【内政】 辺野古新基地阻止 世論が決め手 本土が民意示す番だ 沖縄市民グループが全国の地方議会への陳情準備=米倉外昭

沖縄県名護市辺野古の新基地建設の賛否を問う県民投票は2月24日に開票が行われた。投票率は52・48%と過半数を超えた。最も多かった「反対」は有効投票数の72%を超え、43万4273票に達した。これは全投票資格者(有権者)の37・6%に当たる。5市の市長が一時不参加を表明する事態があったが、曲折を経て全県実施が実現した。

23年ぶりの沖縄県民投票は歴史的な成功を納めた。それでも工事を止めることができていない。政府は県民投票告示後も工事を続行し、反対の民意が示された翌日も工事を強行し、現在に至っている。



3月1日、玉城デニー知事が安倍晋三首相と面談した。投票結果を伝え、工事中断と、日米両政府と県の3者協議機関の設置を求めた。しかし、ゼロ回答だった。

国会では連日、野党が政府の姿勢を追及し批判を続けている。しかし、首相らは「普天間飛行場の危険性除去のため」と繰り返し、民主主義否定、沖縄差別の姿勢をあからさまにしている。

埋め立て工事の土砂投入が始まってから3カ月が過ぎた。大浦湾の海流を変える新たな護岸の建設も始まり、25日には二つ目の区画に土砂投入を開始する方針だ。かけがえのない自然が圧殺されつつある。

大浦湾に広範囲にわたって軟弱地盤があることを、ようやく政府が認めた。海面から90メートルもの深さの部分もあり、地盤改良は極めて困難だ。砂ぐいを7万本以上打ち込むとしており、新基地完成まで13年、工費は2兆6500億円に達すると県は試算している。このまま進めても、十数年も普天間飛行場の危険が放置される。

さらに、普天間飛行場返還には、緊急時に民間の長い滑走路を使用するという条件もある。那覇空港を明け渡すことを意味し、事実上不可能だ。結局、新基地が完成しても普天間が返還される保証はないことになる。

それゆえ、玉城知事は辺野古固執こそが「普天間の危険を固定化する」と主張している。国が地盤改良のための設計変更や希少サンゴ移植などを申請しても県は承認しない。政府は展望がないまま既成事実をつくっているのである。



16日に玉城知事の支持母体「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」が那覇市内で1万人規模の県民大会を開く。

埋め立て承認「撤回」の執行停止決定を巡り、国を相手取って提訴するかどうかを、県は22日までに決定する。

玉城知事の知事選出馬に伴う衆院沖縄3区の補欠選挙は4月21日投開票だ。オール沖縄陣営のフリージャーナリスト、屋良朝博氏と自民公認・公明推薦の元沖縄北方担当相、島尻安伊子氏の事実上の一騎打ちである。7月には参院選がある。

「辺野古のへの字も言わない」という自公陣営の争点隠し戦術は、県民投票が成功したことでできなくなった。再び、新基地の是非、日本政府にどう向き合うかの判断が示されることになる。



次に選択を迫られるのは全国の人々である。4月に統一地方選、7月に参院選がある。沖縄の民意に対して、各政党や候補者は意思表示をすべきだ。沖縄に新たな基地を造ることに賛成か反対か、沖縄の民意を尊重するのか無視するのか。

沖縄の市民グループが全国の地方議会に国民的な議論を呼び掛ける陳情を行う準備をしている。

政府の沖縄差別政策、民主主義の破壊、軍事化と自然破壊を止めるための一番の近道は、全国の世論、国際世論が、新基地建設阻止の意思を明確に示すことである。

米倉外昭(琉球新報記者)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
posted by JCJ at 12:50 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月27日

【編集長EYE】 ナゾ深まるオリパラ選手村疑惑=橋詰雅博

 開幕まで500日を切った東京五輪の晴海選手村建設をめぐり住民訴訟が起きていることを本紙でも2、3回取り上げた。33人の都民が大手デベロッパーに9割以上の値引きで都有地を売却したのは違法であり、小池百合子知事らに損害賠償の請求を都に求めたのである。東京地裁での口頭弁論は、2月下旬に行われた裁判を含め5回を数えた。

 これまでの審理で、廉価な売却額について、都側の代理人は「オリンピック選手村という特殊事情」で決めたと主張している。ところが肝心のオリンピック要因≠フ中身になると、説明を渋っているというより言わないのだ。売却額の算出根拠である日本不動産研究所の調査報告書の全面開示も拒否している。傍聴者は理解しがたく、オリンピック要因という言葉だけが頭に残る。

 そもそもこの13・4fの土地は、防潮堤の外側にあり、住宅を建てられなかった。そこで都は2・5b盛り土した上で道路、下水道など540億円かけてインフラ整備した。それなのに約130億円で売却したのである。完全な原価割れだ。

 異様なのは売却額だけではない。他にも都はデベロッパーに優遇措置を与えている。

○大会中、選手村建物を都などに貸したデベロッパーは賃料を受け取る。

○大会終了後、選手村で使った1万5000台のエアコンや4900台のユニットバス、3900台の給湯器、3900戸分の内装などはマンションに改装するため取り外されるが、その費用は都が負担。金額を小池知事は「数百億円かかる」と発言している。

○土地所有権の移転は、マンション建築の完了確認後とされている。完了の最終期限は「平成36年3月末」だから、所有権移転時までは固定資産税を支払わなくていい。

○譲渡価格の9割の支払いは建築完了後だ。

 原告代理人は「このような歪な権利関係は、公共の財産の処分としては不自然」という。

 ナゾは深まるばかり。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
posted by JCJ at 13:18 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月26日

【JCJ賞情報】2019年度(第62回)日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)─応募と推薦のお願い

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、年間のすぐれたジャーナリズム活動を顕彰するため、1958年以来「JCJ賞」を設け、贈賞してきました。今年は62回となりました。
 今年度も優れた労作の多数応募を願っています。自薦または他薦によって応募といたします。入賞作には賞状と記念品が贈呈されます。

■日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)募集規定
〈募集ジャンルと応募資格〉
 新聞、放送、出版、写真作品のほか、市民運動や地域活動なども含み、個人・グループを問いません。
 提出期限までの1年以内に発表された作品 (連載の場合は同期間に発表) を対象とします。

〈提出条件〉
郵送または宅配便で下記、提出先にお送りください。
◆書籍の場合はその現物1冊。放送作品はビデオ、DVDを1本。
◆雑誌、新聞の場合は、その掲載部分をコピー(カラー写真を含む場合はカラー複写)1セット。
※1作品に1枚、エントリーシートを必ず同封してください。特に連絡先担当者、電話、メールアドレスは必ず明記してください。FAX、メールによる送稿は受け付けません。
エントリーシートはJCJ事務所に常備しますが、ここに添付のPDF版も活用してください。2019エントリーシート.pdf

〈提出期限〉
 ◇新聞、出版作品は5月24日(金) 
 ◇放送・その他の作品は5月31日(金)です。

〈提出先〉
  〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-18-1 千石屋ビル 402号
  日本ジャーナリスト会議 「JCJ賞」 応募作品係 (赤で目立つように表記)

※ 応募作品は返却しません。選考経過、選考理由などについてのお問い合わせには応じません。
※ 選考結果は7月中旬に主要新聞に発表するほか、JCJホームページに掲載します。
※ 入選者への贈賞式は8月17日(土)、日本プレスセンターホールにて行います。

〈問い合わせ先〉 JCJ事務所:電話 03-3291-6475 (月、水、金曜日の13時より18時まで)
         Eメール:office@jcj.sakura.ne.jp

                      
2019年3月14日
                日本ジャーナリスト会議
JCJ事務局長  橋詰雅博
JCJ賞推薦委員会統括責任者  大場幸夫

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2019年03月25日

【メディア気象台】 2月から3月=編集部 

比、政権批判記者逮捕に「不当圧力」避難の声

フィリピンのドゥテルテ政権に批判的なニュースサイト「ラップラー」の最高経営責任者(CEO)が報道内容を巡り逮捕され、裁判で有罪になる可能性も出ている。人権団体からは「政権による不当圧力だ」と非難の声が上がっている。国連人権高等弁務官事務所の報道官は「メディアへの威嚇であり、非常に懸念する」との声明を出した。(「神奈川」2月20日付ほか)

質問制限削られた記事「8行」〜忖度による自壊の構図

首相官邸による東京新聞記者の質問制限に関し、18日夜、共同通信はいったん配信した記事の8行分を削除すると通知してきた。削除部分は「メディア側はどう受け止めたのか。官邸記者クラブのある全国紙記者は『望月さん(東京新聞記者)が知る権利を行使すれば、クラブ側の知る権利が阻害される。官邸側が機嫌を損ね、取材に応じる機会が減っている』と困惑する」。共同通信は削除した理由を「官邸記者クラブの意見を代表していると誤読されないため」としている。(「神奈川」2月21日付)

広告費7年連続増

電通が28日発表した2018年の国内の総広告費は、前年比2.2%増の6兆5300億円で、7年連続のプラスとなった。インターネット広告が16.5%増の1兆7589億円と好調で、地上波のテレビ広告(1兆7848億円)に迫った。ネット広告は5年連続で2桁の伸び。(「毎日」3月1日付ほか)

官邸の「誤認」主張でペンクラブが声明

日本ペンクラブ(吉岡忍会長)は1日、首相官邸側が東京新聞記者の質問を事実誤認などと主張している問題で、記者の質問に対して「意を尽くした説明」をするよう官邸側に求める声明文を発表した。声明では、官邸側の対応を「大人げない」と批判。官房長官の記者会見は、国民の知る権利を前提にして「記者がさまざまな角度か政府の政策を問いただす場」だと指摘。(「神奈川」3月2日付ほか)

産経新聞が読売新聞に新聞委託印刷

読売新聞東京本社と産経新聞社は1日、埼玉県や群馬県などに配達している産経グループの新聞計7万部の印刷を、読売の川越工場(埼玉県川越市)などに委託することで合意した。24日から始める。(「毎日」3月2日付ほか)

著作権法改正案、文化庁の説明「不正確」〜賛成意見水増し、慎重意見は省略?

権利者の許可なくインターネットに上げられたと知りながら、漫画や写真、論文などをダウンロードすることを全面的に違法とする著作権法改正案をめぐり、文化庁が自民党に不正確な説明をしたと指摘する「検証レポート」が3日、公表された。法改正について議論した審議会で出た賛成意見を水増しして報告したなどと批判する内容。(「朝日」3月5日付)

NHKネット配信可能に〜放送法改正案、国会に提出

政府は5日、NHKによるテレビ番組のインターネット常時同時配信を可能にする放送法改正案を閣議決定し、国会に提出した。今国会での成立を目指しており、NHKは2019年度中にサービスを開始したい考えだ。NHKは受信料を支払っている世帯の人であれば、ネット視聴のための追加負担は求めないとしている。(「神奈川」3月6日付ほか)

(編集部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年3月25日号
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2019年03月24日

【今週の風考計】3.24─梶井基次郎<檸檬忌>と春霞の甲斐路の旅

今日24日は<檸檬忌>だと気づいた。梶井基次郎が今から87年前、31歳の生涯を閉じた3月24日を偲んで命名されている。
思い出すのだが、筆者が若かりし頃、魅了された高村光太郎の<レモン哀歌>にある「トパーズ色の香気が立つ」檸檬を、梶井基次郎は、「私は埃っぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。…(略)丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た」と、代表作の短編『檸檬』で表現した。強烈な仕掛けに、何か恐ろしく不安な気持ちになったことが忘れられない。

3日後の27日は<さくらの日>だそうだ。3×9(さくら)=27の語呂合せだという。<さくら>といえば、これも梶井基次郎の『櫻の樹の下には』が、すぐ思い浮かぶ。
『檸檬』から3年後の作品だが、あの有名な冒頭の一文、「櫻の樹の下には屍体が埋まつてゐる!」から始まる、薄気味悪いショートストーリーには、ど肝を抜かれた。爛漫と咲き乱れている櫻の樹の下に薄羽かげろうの屍体が満ちているという。
 しかも「今こそ俺は、あの櫻の樹の下で酒宴をひらいている村人たちと同じ権利で、花見の酒が呑めそうな気がする。」と、最後の1行を締めくくる。この神経の強靭さと繊細さ、20年後に坂口安吾が『櫻の森の満開の下』で、受け継ごうとしたのも頷ける。

さて先週、桜が三分咲きの甲斐路を、身延線を使って旅をした。久遠寺の枝垂れ桜も蕾のまま、奥之院へのロープウェイ下には群生するミツマタが、レモン色の花で山肌を覆いつくす。
武田信玄の隠し湯・下部温泉の源泉館では、31℃の低温泉浴20分、それを2回繰り返す初めての体験。夕食にはヤマメの塩焼きをあてに、山梨の銘酒「春鶯囀」大吟醸を汲む。ここには『山椒魚』で有名な井伏鱒二さんも投宿している。
翌日は信玄が建立した甲斐善光寺へ。金堂天井の鳴き龍とお戒壇巡りを体験。東南に櫛形山、その上には富士山、西へと目を向ければ、まだ雪をかぶる鳳凰山から甲斐駒ヶ岳へ続く山並みが一望できる。3日ほど歩いた甲斐路は春霞に包まれていた。(2019/3/24)
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2019年03月21日

【おすすめ本】植村裁判取材チーム編『慰安婦報道「捏造」の真実 検証・植村裁判』─明かされた右派の杜撰・欺瞞ロジック=安田浩一(ジャーナリスト)

「捏造」したのは誰か─元朝日新聞記者・植村隆さんは、訴え続けている。「捏造記者」のレッテルを張られ、誹謗中傷を受けてきた。「植村裁判」は、植村さんの尊厳をかけた闘いだ。
 裁判の傍聴に通う中で私もまた問われているのだと感じた。不正義を前に沈黙は許されるのか、植村さんの叫びは、メディアに携わるすべての者に向けられる。

 27年前、元慰安婦だった女性が韓国で名乗り出た。植村さんは必要な裏どりを重ね、記事にした結果のスクープ。人権を蹂躙された女性の悲痛な叫びが初めて報じられた。
 だが、これを「捏造」だとしたのが、櫻井よしこ氏や西岡力氏をはじめとする右派系の文化人・メディアだった。様々な悪罵がぶつけられた。それらが原因となって、植村さんは職場を追われ、本人も、さらには家族も殺害予告などの脅迫を受けてきた。
 
 本書は、これら一連の経緯と、櫻井・西岡両氏、出版社を相手取って起こした名誉棄損訴訟を、ジャーナリストたちからなる「取材チーム」が徹底検証したものだ。一方的に植村さんの「捏造」を叫んでいた者たちの杜撰なロジックが暴かれる。
「取材チーム」のひとり、長谷川綾さんは「資料をつまみ食いし、細部の齟齬で全体を否定する。その手法は<ガス室はなかった>と主張するホロコースト否定派を思わせる」と喝破する。そう、「植村裁判」は、日本社会を覆いつつあるヘイトな空気感との闘いでもあるのだ。
 詳細な検証記録によって、ようやく「真実」が浮かび上がってきた。
(花伝社1000円)
『慰安婦報道「捏造」の真実』.jpg
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2019年03月18日

《月間マスコミ評・放送》話題呼んだ「さよならテレビ」=岩崎貞明

 昨年来、テレビ業界で大きな話題を呼んでいる番組がある。中京地区(愛知・岐阜・三重)の夕方のローカル枠で一回放送されただけなのに、番組の録画が各地に出回って、放送関係者たちの間で賛否両論を巻き起こしている。
 名古屋市の東海テレビ放送が「開局60周年記念」として放送したその番組は『さよならテレビ』。90分枠で全編ノーナレーション、氏名を表示した登場人物は三人だけという、今どき珍しい作りのドキュメンタリーだ。
 番組の舞台は、東海テレビ報道部そのもの。デスク周辺やスタジオ、取材現場などでスタッフが交わす会話がリアルに収録されている。
 主人公の一人は正社員アナウンサーで、ニュース番組のメインキャスターに抜擢される。
 彼は東日本大震災が発生した七年前、ローカルの情報番組のキャスターを務めていたが、岩手県産のコメを番組プレゼントとしたコーナーで、当選者を紹介する画面に「怪しいお米 セシウムさん」などとスタッフがふざけて書いたダミーのテロップがなぜか放送され、批判を浴びて番組打ち切りになった経験があった。ネットの掲示板でも叩かれた彼は、キャスターなのに前面に出るのを恐れるというトラウマを抱えている。不適切テロップ問題で会社は例年、放送倫理を考える全社集会を開催している。
 二人目は番組制作会社から来た若い男性。凡ミスの多い不器用な性質で、一年間の契約だけで切られてしまう。彼は局社員の残業を減らす目的で導入された派遣労働者だったが、ニュースで「派遣切り」の問題を取り上げながら、裏では放送局自らが派遣切りをしているという矛盾が現れる。
 三人目はベテランの契約記者。権力監視がメディアの使命と考える正義漢だが、押しが弱い面もある。犯罪の実行行為がなくても罪に問うという「共謀罪」が成立したが、彼はこれを人権問題だとして企画ニュースを提案、自ら取材して放送にこぎつける。しかし報道局幹部の判断で「共謀罪」という呼称は使えず、政府の説明通り「テロ等準備罪」という表現に書き換えられてしまう――。 
 視聴率競争や「やらせ」など、今のテレビが抱える問題点を鋭く突いたこの番組には、視聴者から「テレビはこれだけ裸になれるんですね」という評価もあったという。
 劇場用映画版も制作されているようだが、社内でも議論があることから公開のめどはまだ立っていない。

 JCJ機関紙「ジャーナリスト」2019年2月号掲載
posted by JCJ at 17:34 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月15日

【今週の風考計】3.17─世界で頻発する大統領包囲の民衆デモ

南アメリカのベネズエラが未曾有の危機に立たされている。2013年に就任したマドゥロ大統領は、死去したチャベスの後継者とされ、酪農やコーヒー・肥料・靴などの生産、スーパーマーケット事業などを相次ぎ国営化した。
しかし米国などからの経済制裁に加え、原油価格が下落して事態は悪化。天然資源も人的資源も豊富なこの国が崩壊寸前の状態に陥っている。2015年の選挙で野党が多数派になった国会の権限を無効化し、批判勢力を暴力的に抑圧・弾圧した責任も免れない。
野党連合出身のグアイド国会議長は、自ら暫定大統領就任を宣言し、数千人規模の反政府デモを組織して立ち上がっている。だが米ロなどの大国が軍事介入し、さらなる混乱を招く暴挙は慎まねばならぬ。

隣国のブラジルでは、今年の元旦に就任したボルソナロ大統領の言動も要注意。「ブラジルのトランプ」と評されるが、政界汚職を一掃できるか、犯罪組織による暴力が激化する“殺人大国”の汚名を返上できるか、極めつけの右翼であるだけに軍部と二人三脚での独裁政治に走らないか、不安が広がっている。

転じて北アフリカに目を向けると、アルジェリアではブーテフリカ大統領の立候補に反発する数万人規模のデモが起きている。なんと82歳になる彼は、4期20年の長期政権を率いてきた。6年前に脳卒中を患って以降、公の場にほとんど姿を見せず、健康不安が囁かれているのに、4月18日の大統領選挙へ5選をめざして立候補を表明したからたまらない。
野党勢力が結集して「空前の反乱」を呼びかけている。経済成長率は1.4%まで落ち込み、とりわけ若年層の高い失業率への反発は増大している。

アルジェリアの動きを気にしているのが、エジプトのシシ大統領だ。2014年に就任し、現在2期目・64歳の彼は2022年で任期満了の予定だった。だがシシ大統領を支持する議員が提出した、任期をさらに2期12年に延ばす改正案は、2034年までの在職(20年間)を可能とする内容。
 なんと8割の賛成多数で承認されてしまった。5月の国民投票にかけられ、過半数が同意すれば憲法改正が成立する。日本の永田町でも、安倍首相4選などの発言が飛び出している。
 シシ大統領に戻れば、人権活動家・ジャーナリストの拘束など、彼の強権姿勢は際立っており、「エジプトは記者にとって世界有数の監獄」と評されている御仁だ。

2018年に再選されたトルコのエルドアン大統領も、デモ禁止など国民への弾圧と取り締まりが激しい。仲間優先の縁故主義や独裁主義がはびこり、政治的な迫害や司法制度・法治への不信感、ビジネス環境の悪化などが、怒りに拍車をかけている。経済はぐらつき、通貨リラは急落。ついにトルコ国民も、17年には42%増の25万人超が外国へ逃げ出している。
 いま世界は大統領の言動を包囲する、怒りの民衆ネットワークを作り出している。(2019/3/17)
posted by JCJ at 16:13 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする