2025年05月12日

【支部リポート】北海道 ドキュメンタリー勉強会 道内放送局合同で 製作者の危機感から実現 =小野垣 親士

 北海道の放送局の報道制作現場に新しい風が吹き始めた。
 去年秋から北海道の民放5局とN HK合同で、ドキュメンタリーの存在意義を見直し制作力を磨く勉強会が開かれている。名付けて「北海道ドキュメンタリーワークショップ」。放送文化基金の助成250万円を得て動き出したプロジェクトだが、運営は各局の有志で構成される実行委員会が自主的に行なっている。各局が回り持ちで当番となり、9月から今年3月までの間にすでに計4回開催された。週末に各局の面々が当番局に集まり、丸一日、注目の作品を視聴したりゲストの話を聞いたりしながら、制作の勘所を議論する。

 参加資格は道内の放送局で働くすべての人たち。社員だけでなくプロダクション所属の人やフリーランスも含む。参加者は、1回70人から90人。記者やディレクターのみならず、編集マンやカメラマン、アナウンサー、非現場系の人たちもいる。関心の高さは実行委員たちの予想以上だという。
 ドキュメンタリーをめぐる状況はいまちょっと複雑だ。映画の世界ではここ数年ドキュメンタリー作品への関心が高まってる。  

 札幌の映画館でも国内外のドキュメンタリー作品を上映する機会が増え、地元放送局制作の作品も話題を呼んだ。その一方で放送局のドキュメンタリー制作の環境は厳しい。視聴率や収益に結びつきにくいため隅に追いやられがち。取材を継続して「長もの」にまとめあげるには相当
に強い意思と孤独に耐える力が必要だ。このままでは放送局のドキュメンタリー文化が先細りになる…そうした危機感を共有する各局のキーパーソンが結集して放送文化基金の助成制度に応募し、採択されたのがこのプロジェクトだ。

 過去4回の「ワークショップ」では、斉加尚代さん、森達也さん、山崎エマさんらがゲストとして招かれた。しかし、単なる有名人の講演ではない。そのつど趣向が違うのだが、当番局のドキュメンタリー制作の裏側を披露したり、若手ディレクターが取材・制作したものを上映して合評するといったことも行われ、厳しい作品批評や制作の苦労話が飛び交う。

 連帯と切磋琢磨。この新しい体験がどんな果実を産むのか。ワークショップはあと2回開かれ、秋にはJ C J北海道支部の主催で市民向けの報告会を開くことも予定している。  
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号

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2025年05月11日

【沖縄リポート】戦争準備の完成形、全国規模で=新垣邦 雄(ノーモア沖縄戦 命 どぅ宝の会 事務局長)

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 政府の「戦争準備」が 凄まじい。最近も「長射 程ミサイル九州先行配 備」に続き「宮古・八重 山全住民の九州・山口避 難」計画が発表された。 沖縄−奄美を最前線の戦 域に見立て、全国各地で ミサイル配備、弾薬庫建 設、「空港・港湾・道路」 軍事化、民間空港・港湾 への分散展開計画、兵 器・兵員輸送体制が完成 形となった。戦争準備の インフラ整備から有事下 「住民疎開」の最終段階 に入ったと認識している。

 ノーモア沖縄戦の会は 「長射程ミサイル九州配 備」「九州・山口疎開」に 反対する記者会見に続き、 4月7日は伊藤晋哉沖縄 防衛局長に「あらゆる戦 争準備に反対する申し入 れ」を行なった=写真= 具志堅隆松共同代表。台 湾有事「日米共同作戦計 画」の即時廃棄−など要 求・質問に、防衛局長は ほぼノーコメント。その 中で同局長からミサイル の運用(発射)は「住宅 街から離れた場所」「ミサ イル発射機は移動式」の 重要な回答を引き出した。

 陸自ミサイルは配備基 地から公道を通り民間地 に展開、移動を繰り返し、 島々の各所がミサイル発 射拠点となる−ことを防 衛局長が認めた。「小さな 島中でミサイルを発射し、 島中が攻撃目標となる」 「米軍主要基地のある沖 縄島は屋内避難では済ま ない」「日米が核抑止強化 を確認し、沖縄への核再 配備、核戦争の懸念があ る」と防衛局長を追及し た。

 また石垣島の運動団体 が政府から引き出した 「内閣官房は、武力攻撃 予測事態の認定で、住民 避難と同時に自衛隊・米 軍の大規模部隊派遣が始 まり、同じ空港・港湾を 使う。『住民避難が優先と は限らない』と回答」を 防衛局長に突きつけた。 「住民避難と自衛隊・米 軍派遣」が「同じ空港・ 港湾」で同時に行なわれ れば「攻撃目標」の危険 性は明らかで、「住民避 難」計画の即時廃棄を重 ねて要求した。

 日米の中国との戦争準 備は全国規模だ。犠牲は 沖縄だけではすまない。 当会は「沖縄・西日本ネ ットワーク」を結成、6 月6日に防衛省交渉を計 画する。東京行動への参 加・支援を呼びかける。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
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2025年05月10日

【焦点】対米従属見直す好機 瓦解パクスアメリカーナ トランプ関税で豊田祐基子氏講演=橋詰雅博

            
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 米国の同盟国や友好国に関係なく高関税を発動し各国をパニックに陥らせるトランプ米大統領。米国第一主義による自由貿易を放棄し、貿易戦争を拡大させている。ロイター通信日本支局長の豊田祐基子氏は3月8日のJCJオンライン講演でトランプの思考、願望、米国の行く末や日本の課題などを語った。

高関税狙いは3つ

 豊田氏は根拠不明の税率で不当なトランプ関税の狙いを3つ挙げた。@米国に赤字をもたらす国に投資及びモノを買わせて貿易収支を改善、Aトランプ1・0のときビジネス界が非常に喜んだ所得税恒久減税の財源にする、B米国に有利でない取り決めを関税で圧力をかけて是正させるすなわちディール(取引)の道具に使う―。
 高関税はトランプの考えが色濃く出ている。「オレが勝つか、オマエが勝つか、オレは負けない、勝つことだけを重視しています。関税政策で世界は混乱しているが、相手が悲鳴をあげれば勝ちというゼロサム(物事の白黒をはっきりさせる)思考が根底にある」「米国は例外が通用する特別な国と思っている」。豊田氏はこう指摘した。
 「目標は経済をよくすること。自分の支持層の労働者が安くモノを買えるようにする」(豊田氏)のが最優先事項とトランプ大統領は連邦議会で演説した。
だがゼロサム思考などに基づく強気な関税政策実行は裏目に出た。物価上昇、株価の乱高下、景気後退、ドル安、報復関税やGDP(国内総生産)の大幅押し下げ。
 そんなことはおり込み済み、根を上げた相手が譲歩案を提示してきたら軌道修正すれば事態は好転し、やがて国民はハッピーになれる。トランプはそんな風に考えているのかもしれない。

ノーベル賞を願望

 ウクライナ戦争は停戦・和平向けて進んでいるように見えるが、トランプは実現できるのか。豊田氏はいう。
 「和平にはそんなに関心がないが、オレが出張ってきたのだから言うことをきけという姿勢です。ロシアとウクライナのトップをテーブルにつかせ協議させたい。ただし、そのあと和平に導くことができるのか、それを誰が保つかはあまり関心がない。和平への道を開いたという功績によりノーベル平和賞をもらいたいと本気で思っています。民主党のオバマ元大統領が受け取った同じものを欲しがっている」
 トランプ2・0では、連邦職員の大量解雇、不法移民の大量送還と拘束、DEI(多様性、公平性、包摂性)制度の撤廃、石油・ガス生産の拡大規制撤廃など内政はガラリと変わった。外交も高関税発動を始めパリ協定とWTO(世界貿易機構)から離脱、対外援助の凍結などを実施した。
 豊田氏は米国の行方をこう予測した。
・広がるゼロサム・ゲームの世界
・同盟国や友好国に圧力、ロシアなど専制主義国家に親近感
・保護貿易主義と不確実性の高まりで経済減速
・軍事産業を潤す軍拡の加速
 この結果「自ら主導してきたパクスアメリカーナ(米国の覇権による平和の形成)は破壊に向かう」(豊田氏)という。それを見越してかEU(欧州連合)は米国に頼らないNATO(北大西洋条約機構)再編に積極的に取り組み、敵国ロシアと対峙しようとしている。
 豊田氏は日本の課題を挙げた。
 ・見返りを期待し機嫌をとる朝貢外交はどこまで有効か
 ・台湾統一に踏み込んでも中国とは戦争しないトランプ政権にどう向き合う
 ・北朝鮮を「核保有国」と認定した場合の対応は
 ・米国の「核の傘」が破れ依存できなくなったら
日本は対米従属体制を見直す転換点に立っている。
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
 
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2025年05月08日

【映画の鏡】障害ある娘と家族の歩み追う『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』広がる自主上映、シリーズ第5弾=鈴木 賀津彦

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                   いせフィルム

 重度のてんかんで知的障害があり、幼児期には医師から「長くは生きられない」と言われた西村奈緒さんが、一昨年50歳を元気に迎えるまでの家族の日常を撮り続けてきた伊勢真一監督。「奈緒ちゃんシリーズ」第5弾として昨春の完成以来約1年、劇場公開のほか、福祉団体などによる自主上映活動も地道な広がりをみせており、注目したい。

 「いのちのことに思いを巡らせる50年の記憶です」。伊勢監督は奈緒さんの母、信子さん(82)の弟で、初めは「元気なめいっ子を撮っておこう」という気持ちからだった。「でも奈緒ちゃんはどんどん元気になって、なんでこんなに魅力的なんだろうと思った」ことから、節目で作品にまとめてきた。

 「彼女が家族に育まれ、家族が彼女に育まれた」少女時代の12年間を記録した『奈緒ちゃん』(1995年公開)から、信子さんが地域の仲間と障害者の共働作業所を立ち上げた取り組みを柱に2作目の『ぴぐれっと』(2002年)、奈緒さんが家を離れてグループホームで自活を始めた時の『ありがとう』(06年)へと続く。相模原市内の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で多数の入所者が殺害された事件の翌年の17年には、伊勢監督の事件に対峙するメッセージとして『やさしくなあに』を公開。「けんかしちゃだめ、やさしくなあにって言わなくちゃ」と口にする奈緒さんの言葉が周りを明るく和ませる。

 今回は80代の信子さんの「終活」がきっかけ。数年前に心臓の手術を受け、最近は奈緒さんに手を引かれて坂道を上るようになった信子さんは「奈緒が力をくれたと、このごろ本当に思う」と話す。  
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2025年05月07日

【おすすめ本】しんぶん赤旗日曜版編集部『実録・自民裏金取材 「赤旗」が暴いた闇』─政治とカネの本質に迫る貴重な「一里塚」─続編を!=丸山重威(ジャーナリズム研究者)

  毎年、締め切り近くの5月になると、JCJ事務局の部屋に、JCJ賞応募作品が、どさっと積みあがる。選考委員会には、候補作品に価すると判断した作品を絞って、提案する。その絞り込み作業は、推薦委員を中心に、何人かで下読みし回覧し議論する。昨2024年の新聞メディアでの議論は簡単だった。
 「大賞は赤旗スクープの裏金。これだけ政治を動かした報道は、田中金脈以来か…」と、議論は一致して、選考委委員会に推薦した。

 連載をまとめ大幅加筆した本書によると、取材の端緒は2021年12月、自民党議員の政治資金パーティを取材した記者の「あんなの全然パーティじゃない。席に座って挨拶を聞いてお開き。飲食どころか水も出ない。…あれで会費2万円はボッタクリ」という「違和感」だったという。
 それから3年余。問題は今国会まで続き、その後の参院予算委では、世耕弘成・前参院幹事長の参考人証言が迫る。東京都議会でも政治資金パーティの報告書不記載が問題になっている。石破首相の新人議員への10万円商品券も問題となり、内閣官房機密費からの支出まで疑われる始末。

 自民党政治の本質は「カネ」で国の「政策」を支配し、同じ構図が地方にも浸透しているという明瞭な事実だ。
 企業や業界団体の意向が、自然と国土を壊す開発や、軍備拡大、海外進出の産業政策につながり、結局、日本の政治が歪められていく。
 本書は、こうした「政治とカネ」がもたらす歪みを暴いた、貴重な「一里塚」だ。続編を期待したい。(新日本出版社1400円)
             
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2025年05月06日

【お知らせ】JCJ25年度総会開催=古川英一(JCJ事務局長)

 25年度の総会はオンラインで3月29日に開かれた。本部や、北海道から沖縄まで46人が参加した。まず新聞労連の委員長などを務める西村誠さんが「人員削減やハラスメント、女性の登用が進まない中でフジテレビのような問題が起きた」とメディア職場の現状を指摘。そのうえで「権力の抑圧に立ち向かい市民に有益な情報を伝えられるよう頑張りましょう」と来賓としてエールを送った。
 そして現役や若い人たちへ会員層を広げるために「組織の枠を超え、市民ともつながることのできるJCJの魅力をもっとアピールしていくべき」とか、「いまのマスコミの状況を変えていくことがJCJの役割ではないか」といった意見など、熱を帯びた議論が交わされた。
 総会では▼戦後80年にあわせ8月集会・シンポジウムなどを開き、政府が進める軍拡を食い止めるキャンペーンを行う▼JCJ70周年としての企画を考え実施していくことを、今年度の活動の柱にすることを確認し、25年度の活動がスタートした。
 役員人事では、新たに3人が運営委員に加わった。
◆25年度の役員体制◆
【代表委員】白垣詔男▽隅井孝雄▽中村梧郎▽藤森研▽山口昭男▽吉原功
【事務局長】古川英一
【同次長】鈴木賀津彦
【機関紙編集長】廣瀬功
【運営委員】井浦徹★▽伊東良平▽大場幸夫▽川村高子▽川田マリ子▽河野慎二▽坂本充孝★▽杉山正隆▽須貝道雄▽鈴木賀津彦▽谷岡理香▽橋詰雅博▽廣瀬功▽藤森研▽古川英一▽保坂義久▽丸山重威▽水上人江▽矢野昌弘▽山中賢司▽横田宗太郎★(21名★新)
【JCJ賞選考委員会】
上西充子▽斎藤貴男▽酒井憲太郎▽鈴木耕▽永田浩三▽藤森研   
         JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
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2025年05月05日

【月刊マスコミ評・出版】トランプ関税、被害妄想に陥る米国マジョリティ=荒屋敷 宏

 「トランプ大恐慌」と激震が走る。『週刊文春』4月17日号は「総力取材 GDP5兆円が吹っ飛ぶ」と9ページの特集、『週刊新潮』4月17日号も「大特集11ページ 狂気のトランプ関税で日本はどうなる」の見出しが躍る。

 その後、トランプ米大統領が貿易相手国ごとに設定した関税上乗せ分を中国以外、90日間停止すると発表(4月9日)し、肩透かし気味となった。文春によると、米国産に頼る小麦を原材料とするパスタ、うどん、パンに加えて、和牛や豚、鶏なども値上げの可能性があるという。
 『週刊新潮』で米国現地の様子を伝えているのは、NY在住ジャーナリストの津山恵子氏だ。「ありとあらゆる商品が買いだめの対象」で、オンラインショップでも洋服を買い占める人が出始めているという。4月1日に実施された米ウィスコンシン州の最高裁判事の選挙ではイーロン・マスク氏がカネをばらまいたにもかかわらず、共和党候補が敗れたそうだ。

 米国内の事情を日本のマスメディアは、ほとんど伝えない。文芸誌『群像』(講談社)に掲載された出口真紀子氏(文化心理学)の「マジョリティの脆弱性――マジョリティはなぜマイノリティの差別体験の声を封じるのか」が興味深い。
 黒人の少年の学校生活を描いたジェリー・クラフト氏の半自伝的なベストセラー『New Kid』が2023年から24年にかけて米国の3州各1学区の公立学校の図書館で閲覧禁止もしくは閲覧禁止要求を受ける調査対象となった。人種やジェンダー、LGBTQに関する本をめぐり、白人が閲覧禁止を要求し、全米の学校で1万冊以上の書籍に閲覧禁止もしくは禁止要求が出て調査中であるという。

 出口氏によると、米国のマジョリティは構造的な差別に無自覚で、自分たちを被害者と感じる心の脆弱性があるという。トランプ政権で今年2月、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長が任期半ばで解任されたのも、ジョージ・フロイド氏殺害事件について黒人としてビデオメッセージを流したことが原因だと噂されているという。ほとんど被害妄想というほかない。

「アメリカを反面教師にして、日本人が差別に対して脆弱である現状を変えるべくこれまでと異なる視点の教育に取り組んでいかなくてはならない」と出口氏は警鐘を鳴らす。心が脆弱な権力者の被害者意識が頂点に達するトランプ関税の米国は、やはり落日が近いのである。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
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2025年05月04日

【放送フォーラム】戦後80年の節目に 戦争をどのように伝えていくのか 5月24日(土)13時30分 渋谷勤労福祉会館第一洋室 JCJ協賛=主催:放送を語る会

■開催趣旨
戦後、戦争の悲惨を知り平和を誓った日本の歩みは80年経ったいま、どのようなものになっているのでしょうか。米中の対立、ウクライナやガザで続く戦争。こうした国際情勢のなか日本は平和を訴えるのではなく、 むしろ有事を煽り、軍拡への道を突き進んでいます。 そのような状況にあってテレビメディアは戦争をどのように伝え、 どのようなメッセージを訴えるのか。

 今回の放送フォーラムでは、去年、日本ジャーナリスト会議・JCJ賞や日本民間放送連盟賞・ テレビグランプリなど多くの賞を受賞したSBC信越放送のドキュメンタリー番組「78年目の和解~サンダカン死の行進・遺族の軌跡~」の制作者と共に、戦争をどのように伝えていくのかについて考えていきます。
■プログラム
・第 1 部  番組研究 14:00~15:00
SBCスペシャル「78年目の和解〜サンダカン死の行進・遺族の軌跡〜」
モニター報告&視聴者の合評(自由参加・入場無料)

(休憩 15:00~15:15)

・第2部  講演 15:15~16:45
 講師プロフィール:湯本和寛氏(SBC 信越放送 情報センター)
 1978 年長野県生まれ。代表作に SBC スペシャル『まぼろしのひかり〜原発と故郷の山〜』、『消えた 村のしんぶん〜滋野村青年団と特高警察〜』、SBCスペシャル「78 年目の和解〜サンダカン死の行進・遺族の軌跡〜」。太平洋戦争の末期、現在のマレーシア、ボルネオ島で「サンダカン死の行進」と呼ばれる悲劇が起きた。日本軍の無謀な命令により、道なきジャングル横断を強制された英豪軍の捕虜 2400 人余が飢えや病気、銃殺で死亡。生き残ったのは、脱走した6人だけだった。悲劇から 78 年、 オーストラリア兵捕虜の息子の呼びかけで、 長野県の元日本軍兵士の遺族やスパイ容疑で処刑された地元住民の孫ら関係者が戦跡をめぐり、二度とこのようなことが起きないよう「和解」を誓い合った。

■参加の方法
第2部のみ資料代 800円 、学生500円
<同時配信> インターネットでも視聴できます。下記 URL からお申込みください
https://peatix.com/event/4393799/ (参加費 800 円)
https://x.com/jcj_online/status/1917781158022336594(X(旧twitter)での参加者募集告知)
■協 賛
日本ジャーナリスト会議(JCJ)、メディア総合研究所

■連絡先
今井 潤 090‑4678-7132 、小滝一志 090‑8056-4161



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2025年05月03日

【お知らせ】2025年 出版技術講座 受講生募集 主催:出版労連=出版部会

 本づくりの基礎をみんなで学ぶ、毎回好評の連続講座。新人・若手の学びにも、経験者の学びにもおすすめ。オンライン受講(Zoom参加)も可能、ぜひ申し込みを。
■ 5月14日(水)〜6月25日(水)
■ 各回 18時30分〜20時40分
 第1回 5月14日(水)「企画の立て方」浅井啓介氏(TAC出版) 白戸直人氏(中央公論新社)
 第2回 5月21日(水)「著作権」浜野純夫氏(著作権情報センター)
 第3回 5月28日(水)「本の制作」前田耕作氏(出版社製作部)
 第4回 6月11日(水)「デザイン・レイアウト」藤本隆氏(ベネッセコーポレーション)
 第5回 6月18日(水)「校正」松恭則氏(集英社)
 第6回 6月25日(水)「本の売り方・情報発信」相澤穂理氏(Gakken)
 ★通し受講者限定のオンラインガイダンス:5月12日(月)18時30分〜(1時間程度)
■ 通し受講(会場+オンライン)と単発受講(オンラインのみ)の2種類。
■ 受講料
 通し講座(全6回):出版労連組合員および過去の受講生=18,000円(それ以外=24,000円)
 単発受講(1回あたり):出版労連組合員および過去の受講生=3,000円(それ以外=4,000円)
■ 申込締切
 通し受講:5月14日(水)正午(オンラインガイダンス参加の場合は5月12日(月)正午)
 単発受講:各講座当日正午まで
■ 募集人数 会場の定員 30人、全体で 80人(先着順、定員になり次第締切)
■ 主催 出版技術講座運営委員会(出版労連内)
■ 問い合わせ:s-kouza@syuppan.net 電話 03-3816-2911
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2025年05月02日

【リレー時評】「鹿児島県警の闇」は特異なものか=白垣詔男(JCJ代表委員)

 JCJ福岡支部が団体会員になっている「NHKを考える福岡の会」の総会と記念講演が3月22日にあった。記念講演の講師は、福岡市に拠点を置くニュースサイト「ハンター」代表の中願寺純則さん。「これでいいのか、日本のマスコミ」と題して話してもらった。
 中願寺さんは最初に「顔出しはダメ」と断って、これまでも顔写真はどこにも出していないと説明した。理由は「65歳になりましたが、この齢になっても張り込みに行くことがあり、顔が知られると困る」という。しかも、「金銭にはきれいにしたいので講演謝礼は、どこからも受け取らない、訪問者の手土産も」と徹底している。

 それを痛感したのが、講演時間を「70分ぐらいで」とお願いしたら、きっちり70分で話し終わった。その後の質疑応答は、質問がある限り、丁寧に答えてくれた。その誠実さに感心しながら快い時間を過ごすことができた。
 さて、講演で中願寺さんは、鹿児島県警の元生活安全部長が北海道在住のジャーナリストに送った、同県警が隠ぺいしている「不祥事」の内容を書いた手紙の中身を紹介した。この手紙の1枚目には「闇を暴いてください」と書かれており、その2枚目から「不祥事」4件が書かれていた。この4件を明らかにするのは、この講演が2回目という。

 そこには、「警察の保有する情報を悪用したストーカー事案」「警察官による盗撮」「警視による超過勤務詐取事案」「署員のストーカー事案2件を発生させた署長が生安部長着任」の4件が書いてあったという。
 それらについて中願寺さんは鹿児島県警本部に直接取材したほか、「被害女性」にも面会して話を聞いた。
 その中で、元生活安全部長ら地元警察官は逮捕、起訴されたが、警察庁から赴任してきた若い元捜査二課長は、「停職1カ月」で決着している。その決着について、鹿児島県警は3月21日、記者会見をして発表。中願寺さんの講演があった当日(3月22日)朝刊で、各紙は報道した。その中で西日本新聞は社会面トップ、解説まで付けて「『内部告発』は逮捕、対応に差」との見出しで、鹿児島県警が警察庁からのキャリア警察官に「大甘の処分でバランスを欠く」と指摘している。しかも、ジャーナリスト大谷昭宏氏の談話「告発は正義のためだった可能性が高く、行為の悪質さを考えても安部警視(筆者注=キャリア警察官)の処分と比べて非常に公平性を欠く。組織が明らかに機能不全を起こしている」まで付けている。

 この扱いを中願寺さんは絶賛。「権力側から報道する記者が多い現状の中で西日本新聞には真のジャーナリストがいる」と発言。他のマスコミの大半の記者は「真のジャーナリストとは、かけ離れているものが大半だ」と結論付けた。

 鹿児島県警が一貫して「内部組織を守る」姿勢を取ったうえで、警察庁に悪い印象を持たれないように、出向警察官に対して、甘い処置を貫くのは、同県警の特異なものなのか、それとも、「鹿児島県警警察官の闇」が表に出たばかりに目立ったものなのか―。
             JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
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2025年05月01日

【JCJオンライン講演会】台湾有事で日本が最前線?!‥‥回避する道はないのか 講師:布施祐仁氏(ジャーナリスト)5月20日(火)19時から21時=橋詰雅博

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■開催趣旨
敗戦から今日までの日本を昭和史研究家の保坂正康氏は「非戦を誓った戦後80年」と総括した。だがその誓いが破られる日がやってくるかもしれない。その危険な火種は台湾有事だ。中国の台湾侵攻を想定し米国に従属する日本は軍拡を強化「戦争の準備」に突き進んでいる。3月30日に来日したヘグセス米国防長官は「日本は西太平洋でのいかなる有事においても前線に立つことになる」と記者会見で発言した。すなわち台湾有事では最前線での戦闘は自衛隊が担うことになる。そうなったら「新しい戦前」という悪夢の始まりだ。回避する道はないのか。日米の安全保障問題に詳しいジャーナリストの布施祐仁氏は日本が戦争に巻き込まれずに済む「プランB」を提示する。

■講演者プロフィール:布施 祐仁(ふせ・ゆうじん) 
1976年生まれ。フリージャーナリスト。平和・安全保障の問題を中心に20年以上、取材・執筆を続ける。近著は『従属の代償 日米軍事一体化の真実』(講談社現代新書、2024年9月)。『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(三浦英之氏との共著、集英社)で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。『ルポ・イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』(岩波書店)でJCJ賞などを受賞。
■参加費:500円
(JCJ会員は参加費無料。office(アットマーク)jcj.gr.jp に支部・部会名を明記の上お申し込み下さい)

■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
    03–6272-9781(月水金の13時から17時まで)
      https://jcj.gr.jp/

■zoomにてオンライン 記録動画の配信有り

■参加費:500円
当オンライン講演会に参加希望の方はPeatix(https://jcjonline0520.peatix.com)で参加費をお支払いください。(JCJ会員は参加費無料)

■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
    03–6272-9781(月水金の13時から17時まで)
      https://jcj.gr.jp/
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2025年04月30日

【フォトアングル】「原発ゼロへのカウントダウン」集会 800人参加=3月23日、川崎市の中原平和公園 伊東良平撮影

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 14回目となる「原発ゼロへのカウントダウンinかわさき」が市民中心の実行委員会の主催で開催された。集会では能登の珠洲原発計画を撤回させて志賀原発の廃炉を求める原告団の北野進団長が「珠洲の原発予定地は地震で地盤が1メートルも隆起した、地震に耐えられない」と訴えた。また国際環境NGOの事務局長は「廃炉の形すら見えない、原発は滅びゆく恐竜」と表現した。800人の参加は原発はいらないなどのプラカードを掲げてアピールした。
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
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2025年04月29日

【連続シンポジウム】第1回「フジテレビ問題からテレビの未来を考える」5月25日(日)14時から17時 立教大学池袋キャンパス5号館5121教室(資料代500円)JCJ共催=JCJ事務局

 タレントのトラブルに端を発したフジテレビ問題は、メディア企業の人権意識、男性中心の負の側面をあぶり出し、経営にまで深刻な影響を与える事態を生んだ。3月末に公表された第三者委員会報告書での 指摘を踏まえ、この問題がなぜ起きたのか、なぜ危機対応を誤ったのか、これからどうすべきかを議論し、 テレビが生き残るためには何が必要なのかを考える。 第1部ではテレビ東京出身の田淵俊彦・桜美林大学芸術学群教授がこの問題に関して講演する。第2 部では、砂川浩慶・立教大学社会学部教授を司会に、田淵氏、フジテレビ出身の大島新・東京工芸大 学芸術学部教授、元テレビ番組ディレクターの村井明日香・昭和女子大学人間社会学部准教授をパネ リストに議論を深め、テレビの未来を考える。
 なお今回、同時配信はできませんが後日、録画配信の予定です。確定したらURLをお知らせします。

講演者プロフィール
●田淵俊彦・桜美林大学芸術文化学群ビジュアル・アーツ専修教授 1964 年兵庫県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京に入社。世界各地の秘境を訪ねるドキュメンタリー、「連合赤軍」「高齢初犯」「ストーカー加害者」をテー マにした社会派ドキュメンタリーのほか、ドラマのプロデュースも手掛ける。著書に『混沌時代の新・テレビ論』(ポプラ新書)、『弱者の勝利学 不利な
条件を強みに変える “テレ東流” 逆転発想の秘密』 (方丈社)など。

パネリストプロフィール
●大島 新・東京工芸大学芸術学部映像学科教授 1995 年 早稲田大学卒業後、フジテレビに勤務。1999 年フリーとな り、MBS「情熱大陸」、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」など数多くの番組を演出・プロデュース。2009 年映像製 作会社ネツゲンを設立。映画監督作品に『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』『国葬の日』など。著書に『ドキュメンタリーの舞台裏』(文藝春秋)。
●村井明日香・昭和女子大学人間社会学部准教授。博士(情報科学)。テレビ番組のディレクターを経て2023年より現職。専門は、メディア論、メディア・リテラシー教育。主な演出番組に、「ザ・ノンフィクション〜青春YELL! 花の中学生 応援団 3000 日」(フジテレビ)、「テレメンタリー 2013 もう一つの学校『はじめ塾』」(テレビ朝日)など。
●砂川浩・慶立教大学社会学部長・メディア社会学科教授。研究テーマは、放送を中心とするメディア産業、メディ ア政策・法制度、ジャーナリズム論、コンテンツ流通など。著書に『安倍官邸とテレビ』『放送法を読みとく』など。

〈主催〉立教大学社会学部メディア社会学科・砂川ゼミ/市民とともに歩み自立した NHK 会長を求める会 (問い合わせ先)小滝一志 090-8056-4161 /長井暁 090-4050-5019 〈共催〉日本ジャーナリスト会議(JCJ)
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2025年04月28日

【焦点・反ユダヤ規制2】1・0トランプ政権ではパレスチナを切り捨てた=橋詰雅博

 それでは2017年〜21年の第1次トランプ政権の時はどうだったのか。やはり福音派の意向に沿い政策を実行した。つまりパレスチナ切り捨てだった。
安保理決議を覆す

 そもそもイスラエルのパレスチナ国家占領に対し、米政府は基本的に1967年の安保理決議242号(占領地からの撤退勧告)支持する姿勢を維持していてきたが、トランプ政権はこれを覆した。占領承認と難民保護政策からの撤退へと舵を切り替えた。さらに国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を脱退し、難民支援から手を引いてしまった。

矢継早の政策転換

 中東研究者の平井文子氏は4年間に行われたトランプによる矢継ぎ早の政策転換を以下のようにまとめた。
・2017/12/6 イスラエルによるエルサレム首都宣言支持
・2018/1/16 UNRWAへの拠出金凍結。それまで米はUNRWAの予算の3割支援。2017年総額12億4000万ドルのうち、3億6000万を。他の支援国は、EU、サウジ、独、英、日(4000万ドル第7位)。UNRWA支援下に、パレスチナには700の学校、140の診療所がある。UNRWAは難民にとって命綱だった
・2018/5/14 米大使館テルアビブからエルサレムに移転
  7/19 イスラエル国会、「ユダヤ人国家法」採択
  8/31 米、UNRWA脱退
9/10 ワシントンのパレスチナ自治政府代表部閉鎖
・2019/3シリア領であるゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認
・2019/11/18 マイク・ポンペオ国務長官が、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は国際法に違反していないとの見解を示した
・2020/1/28 中東和平案(「世紀のディール」)発表:イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正当な領土であると認める。
・2020/8/13アブラハム合意発表(アメリカを仲介としたイスラエルとアラブ首長国連邦との和平合意、続いてバーレーンを皮切りとして,その後スーダンやモロッコがこれに倣って陸続としてイスラエルとの関係正常化に踏み出した)

聖書の予言実現か

 平井氏は「米キリスト教福音派は現代イスラエル国家の創設と数百万のユダヤ人のイスラエル集住を、イエスの復活が間近であるという聖書の預言の実現とみている。アメリカにおけるキリスト教シオニズム(ユダヤ人が祖先の地とみなすパレスチナをユダヤ国家として建設しようという運動)は今や白人福音派の間では『多数派神学』となっている。キリスト教シオニストの票は数千万にものぼり、大統領選挙にとって大きな票田となっている」と分析する。
 2期目のトランプは、1期目以上に福音派の考えを受け入れ政策に取り入れている。

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