2022年10月10日

【オンライン講演】学生たちのウィーン報告 核禁条約会議に参加して 「核共有」日本に強い批判 「私たちもメディアを実感」=吉原 功

 8月27日、オンライン講演会「学生たちのウィーン報告:核兵器禁止条約締約国会議に参加して」を開いた。報告者は中村涼香さん、徳田悠希さん、高橋悠太さんの大学生3人。KNOW NUCS TOKYO(KNT)というちょっと変わった名称の活動組織のメンバーだ。KNTには「核のない世界を目指す」「ヒバク(者)の今を知る」「社会課題の解決に新たな一歩を」という思いを込めているという。

「核抑止」論を批判

  結成して約1年、議員との面会、被爆者の証言会開催、署名などの活動をしてきた。6月にウィーンで開かれた核兵器禁止条約の第1回締約国会議に向けて資金を集め、メンバー5人が参加した。現地での行動目標は@ウィーンから最新情報を発信するA被爆国日本からメッセージを届けるB若い世代を中心に国際的なネットワーク構築する――だった。
 締約国会議は6月21日からの3日間で、その前後にICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)主催の市民社会フォーラムや、オーストリア政府主催「核兵器の非人道性に関する国際会議」などの企画があった。3人の学生は分担して催しに参加した。
 講演では概要を徳田さんが報告した。注目ポイントは次の4点。@「核抑止」批判が全体を貫いたA核兵器は「今も続く問題」で「被爆2世3世も被害を受けたコミュニティの一員」という認識B太平洋など核実験の被害地からも若者が多数参加C核保有国を巻き込むためにNPT(核兵器不拡散条約)との補完関係の重要性を確認――だった。

市民と政府が対話

 日本に対しては、浮上する「核共有」論への懸念や、「橋渡しをする」といいながら締約国会議にオブザーバー参加しないことへの強い批判があった。
 同会議は「ウィーン宣言――核兵器のない世界へのコミットメント」および50項目の「行動計画」を採択した。そこにもこれら注目ポイントが盛り込まれた。「市民の集まり」と「政府代表」が対等に議論し、その成果が「宣言」「行動計画」に反映されたということだ。
 ICANフォーラムには600人が参加した。その様子について中村さんは「日本の歴史ある反核運動とはかなり性格も雰囲気も違う」「気楽な雰囲気の中で世界中から集まった人々が安全保障の話をし、ネットーワークを広げている」と報告。カジュアルな雰囲気の会議づくりを「日本に持ち帰って生かしたい」と話した。

被爆者の和服借り

  オーストリア政府主催の「非人道会議」では、被爆3世の中村さんが核被害者としてスピーチした。会場に来れなかった被爆者の女性から借りた和服を着ての登壇だった。帯には「和」「ピース」の文字が書いてある。この和服は注目され、各国大使から声をかけられ、民間外交でのアピール力はすごかったと振り返った。
 この「非人道会議」の会場で、日本外務省課長に「締約国会議に参加を」と迫ったのが高橋さんだ。彼はNPT開催中のニューヨークにも飛び、会議傍聴、各国政府代表との面談、ウィーンで出会った若者15団体と「ユース共同ステートメント」の作成・発表などを行った。「望んだわけでも関わったわけでもない私たちは、核兵器があふれる世界に生まれてその議論への参加も許されていない。<国家の安全>のためでなく<私たちの安全>のために、核兵器の廃絶を!」と訴えた。
 高橋さんは今回「自分たちは(世界に情報を発信できる)メディアである」と実感したとも語った。
  吉原 功
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号

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2022年10月09日

【今週の風考計】10.9─芭蕉「おくの細道」を巡って思い出すこと

嵐山光三郎さんの検証
10月12日は「芭蕉忌」。俳諧師・松尾芭蕉が、江戸時代も初期、将軍・綱吉が統治する元禄7(1694)年、旅先の大坂で病気にかかり51歳で死去した日だ。辞世の句が<旅に病んで夢は枯れ野をかけ廻る>。
 つい最近、嵐山光三郎『超訳 芭蕉百句』(ちくま新書)を読み終えたばかり。思いが広がる。本書は芭蕉の句から100句を選び、句の解釈も含め、現場を足で辿って得た新しい発見を加えた力作である。
芭蕉は伊賀上野で生まれ、江戸・深川に移住して以降、幕府から掘割の水道工事を請け負ってきただけに、芭蕉の忍者・隠密説が言われてきた。嵐山さんもこの説を受け入れ、「おくのほそ道」の旅が、仙台藩の探索も兼ねた旅であったとする。
 日光東照宮の工事費がかさむ仙台藩の謀反を警戒する幕府が、旅に出る芭蕉に諜報の仕事を下命し、同行した門人の曾良は、仙台藩の動向を記録する役だったという。
また嵐山さんの「現場検証」による新発見の一つは、江戸・深川で詠まれた<古池や蛙飛こむ水の音>を聴くため、近辺を歩き清澄庭園の池で観察すると、カエルは音を立てずに池の端から水中に入るのに気づき、芭蕉の創作だったことを挙げている。

黒羽と立石寺へ二人旅
さて「芭蕉好き」の筆者の思いも触れよう。「おくの細道」を全踏破している旅行作家の山本偦さんと、別の企画で仕事をした際、彼と共に栃木・黒羽へ行き、そして日を置いて山形の立石寺を訪れた際の思い出だ。
 JR東北本線西那須野駅からバスで「芭蕉の里」黒羽へ行く。芭蕉はここで14日、驚くほど長く滞在している。黒羽藩城代家老・浄法寺桃雪兄弟のもてなしもあったのだろう。
筆者たち2人はバスで城下から東へ約12キロの山中にある臨済宗・雲巌寺へ。芭蕉の<木啄も庵はやぶらす夏木立>の句碑がある。
 戻って常念寺には<野を横に馬牽むけよほととぎす>、修験光明寺跡には<夏山に足駄を拝む首途哉>の句碑と数多い。那珂川で育った天然アユの塩焼きにかぶりつき、「うるか」をアテに飲む地酒「旭興」が旨かった。
山形の立石寺へは、千段を超える石段に四苦八苦、休み休み登ったシンドイ思いが先立つ。<閑さや岩にしみ入蟬の聲>など、どうでもいいやの気分。
 後で加賀乙彦『わたしの芭蕉』(講談社)を読むと、この句について加賀さんは、「一気に完成させたのではない」という。推敲に推敲を重ねて、決定句へと昇華していった芭蕉の心の動きを丁寧にひも解き、納得したものだ。嵐山さんは、25歳で死去した俳人・蟬吟を追悼する句だという。

居酒屋「憂陀」の女主人
もう一つ、『江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く』『芭蕉「おくの細道」の旅』(共に角川書店)の著者・金森敦子さんにまつわるエピソードを添えたい。
 新宿・神楽坂にあった居酒屋「憂陀」の女主人が金森敦子さん。画家の夫と共にカウンターに入り、酔人への応対に務めていた。筆者もここへよく飲みに行ったものだ。地域のなじみ客や絵描き、編集者らで満員。店での敦子さんは学者顔などせずに、いつもニコニコ。もう21年以上も前に閉鎖して店はないが、今はどうしているのかなー。(2022/10/9)
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2022年10月08日

【オンライン講演】「国葬」・旧統一教会考えるシンポ 「言論部隊」持つ金集め団体 山口 広氏 幕引き図れば次の事件生む 金平茂紀氏 「国葬」は信者結束させる力に 有田芳生氏

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 「NHKとメディアの今を考える会」は5日、「『安倍国葬』強行は民主主義の汚点!」と題するオンラインシンポジウムを開催した。ズブズブの状態に陥っている自民党と旧統一教会の関係に対する関心は強く、オンラインシンポの参加者は616人に上った。
 シンポジウムには、ジャーナリストの金平茂紀氏と有田芳生氏、弁護士の山口広氏がパネラーとして出席した=写真=。

「旧統一教会」
 当初伝えず

 7月8日の安倍元首相銃撃事件の報道について有田氏は「旧統一教会に関わる事件という情報は得ていた。フランスのフィガロは旧統一教会の名前を出したが、日本のメディアは当初『特定の宗教団体』としか伝えなかった」と批判。
 山口弁護士も「事件当日、あるジャーナリストから『統一教会だよ』と連絡を受け『ホントかよ』と返すほど驚いたが、テレビも新聞も当初、統一教会のトの字も言わない。イギリスの新聞やネットは、旧統一教会をどんどん出しているのに『特定宗教団体』を繰り返すだけだった。」と厳しく批判した。
 金平氏は「特定宗教団体」とリークしたのは奈良県警で、各社の地回り取材で旧統一教会の名前が出ていたが、各社はそれを抑えたと明かした。

 山口弁護士は旧統一教会の特徴と問題点について「統一教会は単なる宗教団体ではない」と述べ、その特徴として「彼らは経済部隊を持ち、献金を集める。献金集めが中心の団体だ。しかも政治部隊を持ち、言論部隊も持っている」と指摘。「創始者の文鮮明は『国際勝共連合』で朴正煕に食い込み、岸信介に食い込み、安倍晋太郎、安倍晋三につなげている」と解き明かした。
 文鮮明はアメリカにも進出、共和党を支援する。ワシントン・タイムズを創刊し、特に父ブッシュ大統領を鼓舞した。韓国でも「世界日報」が一定の全国紙になっている。有田氏は、統一教会がワシントン・タイムズに毎月8億6千万円を送金していた事実を、2007年の統一教会内部資料で明らかにしている。

 1970年から80年代にかけて、統一教会は霊感商法を編み出し、巨額の献金を集めて文鮮明に送金する。しかし、90年代半ば以降、オウム事件などの陰に隠れる形で今日に至る。「空白の30年」ともいわれるが、その間も特に「信仰2世」と呼ばれる子や孫たちが悲惨な人生を強いられる。
 有田氏は「統一教会がカルト集団かどうか。カルトは熱狂的な集団。オウムは破壊的なカルト集団と言われた。統一教会は異常な金集めをやる。70年代半ばに、霊感商法という手口を見つけ、1日20数億円、1か月で2000億円ものカネを集め、文鮮明に送った。統一教会は経済カルトだ」と指摘した。
 信仰2世の容疑
「来るものが来た」

 その結果、信者や信仰2世に何が起きるか。
 山口弁護士は「一番悲惨なのは、信者の子や孫たちの信仰2世だ。安倍襲撃の容疑者が信仰2世と聞き、ついに来るものが来たと思った」と述べた上で「宗教法人法はこのままでいいのか。体系、運用を含めて(旧統一教会のような)宗教法人を解散まで持って行けるのか。何らかの形で法律に盛り込まないといけない」と強調。反社会的な活動を行う団体の解散等に対応できる法整備の必要性を訴えた。
 有田氏は「空白の30年」に関連して、1993年5月に当時の警察庁警備局長が「統一教会と国際勝共連合はやがて大きな社会問題になる」「やがて、摘発する」と明言していたことを明らかにした。
 しかし、山口氏によると、教会本部家宅捜索直前、警察出身の自民党幹部の圧力で「討ち方止め」になったという。金平氏は「ひどい話だ。政治家の圧力が『空白の30年』の要因の一つになったのではないか、というのが有田さんの指摘だ」とコメントした。
 自民党の政治家が旧統一教会と、なぜここまでズブズブの関係になってしまったのか。「そもそも、旧統一教会と自民党政治の目指すものは一致しているのではないのか。根本的な反省なしに、点検とかで幕引きを図ろうとすると、第2、第3の安倍事件が起きるかもしれない」と、金平氏は警鐘を鳴らす。
 反共で結びつき
 政治に入り込む

 有田氏は「文鮮明は1958年に国際勝共連合を創って、反共という接点で自民党と容易に結びついた。旧統一教会の内部資料によると、対策費1億円を計上して女性信者による『PRチーム』を編成し、日本の議員会館で例えば「『子ども庁』ではなく『子ども家庭庁』にしないとダメ」とロビー活動をやっている」と指摘する。
 特に「選挙の支援活動は精力的にやってくれるから、有難い。彼らは自分たちの利益を守るために、日本の政治に入り込もうとしている。自民党の政治家とは深い共存関係はにある」と述べる。金平氏は「自民党と旧統一教会との持ちつ持たれつの関係が、政策を歪める方向に働いている」と、危機感を示す。

 シンポジウムは、岸田首相が強行を企てる「安倍国葬」を議論した。
 まず、有田氏が統一教会の「教え」を引用しながら「山口さんでも私でも、誰でも肉体と霊人体がある。晋三氏は肉体がなくなってこの世にはいないが、霊界では光り輝いている。国葬をやるとさらに光り輝く。国葬をやれば、宗教弾圧を受けている自分たち信者が結束する力になると信じている」と解説。「だから、国葬をやっちゃダメなんです」と力を込めた。
 山口氏は去年9月、安倍氏にこれ以上(旧統一教会との)交流をやめるよう抗議したと明らかにし、「被害者を救済し、被害をこれ以上増やさないために、政治もきちんと節度を持ってやってもらいたい」と岸田首相に強く自粛を求めた。
 金平氏は「国葬となると、法的根拠や人物が国葬にふさわしいかどうかなどを国会で議論すべきだ」と改めて強調し、最近の各社世論調査について「読売が朝日や東京と同様、国葬反対が賛成を上回ったことが興味深い」と述べ、政府に開催を強行しないよう求めた。
  河野慎二
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月07日

【焦点】神宮外苑の再開発 、見直しも 環境保全案なお懸念 審議会、評価書作成に関与=橋詰雅博 

イチョウ並木.jpg

      イチョウ並木は枯死するかも
東京都環境影響評価審議会は、明治神宮外苑地区(約28f)の再開発計画を進める事業者が提出した環境保全案を小池百合子都知事に8月18日に答申したが、答申後も引き続き事業者から聴取していく方針だ。異例の対応になったのは多くの問題が残っているからで、事業計画内容が変わる可能性が出てきた。
 答申は「都民から樹木伐採への反対意見を始め、先人から継承された環境を失うことへの懸念や事業計画の十分な周知・公開を求める意見など多くの懸念が表明されている」と前置きしたうえで、「今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与し寄与していく」と総括した。

答申は中間報告だ

 樹木伐採などに反対する市民団体のオンランセミナーに出演した(8月27日)千葉商科大学学長の原科幸彦氏(環境アセスメント)もこう指摘した。
 「審議会は事業者の環境保全案を了承し都知事に答申したと報道されたが、答申には了承したとは書いていません。通常は答申した段階で終わるが、まだ多くの問題があるので環境影響評価書の作成前に審議会による事前の審査ができるようになった。答申は中間報告という位置づけです。評価書作成をクリアしないと工事の着工はできません」
 2月に都市計画審議会に承認された三井不動産などが事業者となったこの外苑再開発計画は、高さ190bと185bのオフィス・商業施設が入る高層ビル2棟、80bの宿泊施設・スポーツ関連ビル、60bのホテル併設の新神宮球場、55bの新秩父宮ラグビー場などが2036年まで建設される見込み。約1000本の貴重な樹木が伐採されることが分かったことから米国人経営コンサルタント、ロッシエル・カップさんが伐採反対と計画見直しを求める署名をネットで集め始めたのがきっかけで、「シンボルのイチョウ並木も危ない」と反対運動はみるみる広がった。(署名数10万人突破)。
 市民の声を無視できなくなった事業者は伐採本数をほぼ半減、イチョウ並木の保全、移植した樹林地の再生などからなる環境保全案を審議会に提出した。しかし保全策の実現は不透明だ。このため「事業者と質疑を行いながら環境配慮を着実に進めていきたい」と会長・柳憲一郎明治大学名誉教授は語った。

愛知博は計画変更

 「例えば新神宮球場の壁面とイチョウ並木(青山通りから見て左側)の距離は8bしかない。中央大学研究開発機構の石川幹子教授が調べた近くの新宿御苑地下トンネル(自然保護のため御苑地下を通る、1991年開通)と樹木の枯死の調査によれば、建造物と15b以上離れていれば枯れないという。野球場壁面の後退を求める。計画の骨格を変えることは難しいが、環境重視の世論が盛り上がれば大きな修正はあり得ます」(原科氏)
 先例はある。05年の愛知万博ではメイン会場の候補地、瀬戸市海上町の自然が破壊されると市民団体の声が届きメイン会場が変更され入場数も大幅に縮小された。それがかえって環境万博≠ニ評判を呼んで想定入場数を上回り収支は黒字に。
 セミナーの司会を務めたカップさんは「自治体の議員を始め政治家、マスコミ、ラグビーファン、スワローズファン、外苑の利用者、環境保護関連組織などにコンタクトし、働きかけることが大事」と提案した。
 外苑の樹木を残すという「希望の火」が広がってきた。
橋詰雅博
再開発イメージ図.jpg
       高層ビルが次々と建てられる
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号

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2022年10月05日

【沖縄リポート】圧勝の県知事選 6万5千票差=浦島悦子

 9月11日午後8時1分、投票箱の蓋が閉まった途端の「当確」発表だった。あまりの早さに面食らったが、それはすぐに大きな喜びに替わった。「ばんざーい‼」「沖縄県民の良識が勝った‼」
 再選を果たした玉城デニー氏の得票は約34万票。自公政権が推した佐喜眞淳候補に約6万5千票の差を付けた(もう一人の候補・下地幹郎氏の得票は5万3千余)。就任以来、一貫した「新基地反対」の姿勢、首里城火災や新型コロナなど困難な状況を前向きに乗り越える明るいキャラクターも支持を得た。
 しかし何と言っても今回の選挙に大きな影響を与えたのは、あまり報道されないが旧統一教会問題だったと思う。佐喜眞陣営は、1万人を動員し花火まで打ち上げた決起大会や、国道を埋め尽くすVロード作戦など派手な演出を繰り返したが、それは危機感の裏返しだったと思われる。旧統一教会との密接な関係が明らかになり、同日投開票の統一地方選の保守系候補者からもセット戦術を拒否されているという話も伝わってきた。
 今回、創価学会がほとんど動かなかったのも異例だった。台風接近が伝えられる中で期日前投票所には大行列ができたが、その多くが家族連れで、創価学会がよくやるワゴン車での送迎などは見かけなかった。従来、期日前投票は自公票が多いが、今回は出口調査でデニー票の多さが際立ったことも、早い「当確」報道の根拠となったのだろう。57.92%という低投票率(前回より5ポイント以上減)は、自公支持者が投票に行かなかったせいもあるのではないかと私は推察している。

 一方、わが名護市の議員選挙(26議席)は、新基地建設を容認する渡具知武豊市政の与野党が同数で拮抗していたこれまでの構図が変わり、与党15人、野党11人の当選という厳しい結果となった。今後、渡具知市政の暴走をどう止められるのか、野党議員だけでなく私たち市民の大きな課題でもある。
 とりわけ、新基地建設の地元である名護市東海岸地域で、私たち基地反対の住民運動が2006年に推し立て、4期を務めてきた現職市議が、最下位でどうにか当選できたものの、従来より大幅に得票を減らしたのはショックだった。
 勝敗を含め今後のさまざまな課題を突き付けた選挙だったと思う。
  浦島悦子
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月04日

【映画の鏡】保守王国にみる日本の縮図 『裸のムラ』 変化に対応しない構造に迫る=鈴木賀津彦

                            
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     石川テレビ放送  

なぜ日本がこんなにも「後進国」になってしまったのか、その理由を保守王国、石川県の現実を直視することで解き明かしてくれる。
7期28年の谷本正憲知事(75)に代わり今春の選挙で当選したのは、谷本の選対本部長を務めていた元文科相の馳浩。新知事に花束を渡すのが女性の役割? そんな場面を強調して男社会の「ムラ」の滑稽さを捉える。当選直後に谷本は県公立大学法人の理事長に就任するという筋書き通りの結末も淡々と追っていく。馳知事のスローガン「新時代」にも「?」を付け、馳が衆院選に初当選した22年前に掲げたのも同じ言葉だったと伝える。

激変する現代社会、多様性が求められるのに、何も変わっていないムラの現状。長期の権力集中に忖度する県庁職員の仕事ぶりをカメラが追う中で、象徴的なのが県議会の知事席のお茶を入れたガラス瓶の水滴を丁寧に拭く女性の姿。谷本時代と変わらず、馳になっても同じシーンが繰り返される。
 一方で市井の生活にもカメラが向けられる。「ムスリムの一家」と「バンライファ―の2家族」の暮らしぶりの映像が、「男ムラ」の政治の場面と行ったり来たりして描かれる。この関連性が分かりにくく、観客をイライラさせるのだが、3つの物語の「つながり」が理解できた時、ムラをどう変えればいいのか、展望が見えてくる不思議なドキュメンタリーだ。
監督の五百旗頭幸男は、富山市議会の不正を暴いた「はりぼて」の監督。石川テレビに転職し制作した2つの番組「裸のムラ」「日本国男村」が元になった。10月8日からポレポレ東中野(東京)などで公開。
鈴木賀津彦
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月03日

【月刊マスコミ評・新聞】政府言い分に疑問を挟まなぬ不快感=白垣詔男

  岸田文雄首相が出席して9月8日、国会閉会中審査があった。しかし、岸田の答弁には、国民を納得させるものはほとんどなかった。
 翌9日の朝刊全国紙は社説で、岸田の国会説明と国葬問題を取り上げた。「疑念の核心に答えていない」(毎日)、「首相の説明 納得に遠く」(朝日)と見出しを見てもこの2紙は「このままでは国葬反対」の姿勢が見て取れた。しかし、「政府広報」と言われる読売は「追悼の場を静かに迎えたい」、同じく産経「安倍氏を堂々と送りたい」と、岸田答弁への疑問はほとんどないかのような論調だった。産経に至っては「国葬の是非と旧統一教会の問題を結びつけるべきではない。それはテロ肯定につながる」と意味不明の文章がある。「反社会的集団」である旧統一教会の宣伝役を積極的に買って出て、国民の多くの家庭や家族を崩壊させた「先兵」でもあった安倍を国葬にするおかしさについて考えられないのではないか。
 また、「国葬」に否定的な毎日、朝日にしても、政府が数日前に遅ればせながら国葬費用の概算を発表した「おかしさ」については疑問を言わない。
 当初、政府が「国葬費用は2・5億円」と発表して、それ以外は国葬後に発表すると官房長官の松野博一が、木で鼻をくくるような言い方で断言していた。しかし、岸田内閣の支持率が、「旧統一教会問題」が大きく報じられてから急降下したことに慌てたのか、松野は前言を翻して、「総額16・6億円」と発表した。岸田内閣の支持率が下がらなければ、「国葬費用総額」については、事後に発表する姿勢を変えなかったと考えるのは自然だろう。
 このところの新聞は、その背景にある「なぜ」を書かない。今回の岸田の国会発言も、そのまま報じ、それ自体の「意味のなさ」「説明不足」は指摘するが、それ以上の「なぜ」まで切り込まない。
 「コロナ禍」についても政府は、さまざまな「規制緩和」「全体検査数の変更」を次々打ち出し、それ自体マスコミは報じるが「なぜ今そうなるか」まで突っ込まない。政府の政策変更におとなしく従う日本国民も「なぜ」を問う姿勢が弱い。これまた、新聞はじめマスコミが、そういう国民を作り上げているのではと不快感が募るばかりだ。
白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月02日

【今週の風考計】10.2─ああ、年金生活者に強いる‶悲惨な老後″

イチジクを巡って
我が家の朝食には、健康に気を使ってサラダがよく添えられる。先日、ベビーリーフやトマト、梨に交じって、一口大に切ったイチジクを口にした。やわらかい果肉の甘みが口いっぱいに広がった。
 ふっくらと丸みを帯び、濃い紫色した不老長寿の果物イチジク。昔は庭や道に伸びた樹から、葉の下に熟れて尻が割れたイチジクをもぎ取り、皮をむいてカブリついたものだ。
 またイチジクの葉や茎を切ると、その切り口から牛乳のような白い汁が出る。それをイボに塗ると、とても効き目があった。
今は、とんとイチジクの樹を見かけないが、食料品やビールなど買い溜めすべく、妻とスーパーに行くと、果物コーナーの隅にイチジクを見つけた。3〜4個入った1パックが550円、なんと1個180円もする。昔は勝手にもぎ取って食べても、怒られなかったのに、もう貴重で高級な果物になっていたのに驚くばかり。
ついでに魚コーナーへ行ってみると、秋の味覚・サンマが出ている。よく見れば北海道産の新物と表示されている。だが姿かたちは貧弱な細身で、1尾310円の値がついている。ため息が出る。昔は体長35センチもある脂ののったサンマが3尾、一皿に盛られて200円だった。

医療費負担3万4千円の増
さてさて10月に入るや、すべて軒並み値上げ。生活用品2万点が16%も高くなる。家計への負担は年間7万円を超える。
 物価高騰の上に、年金支給額までカットされた年金生活者は、どうしたらいいのか。すでに夫婦2人の標準モデル世帯で年間約1万3000円も削られたのだ。
そのうえ10月から、75歳以上の高齢者の医療費負担が、1割から2割へ倍増する。一人暮らしであれば、年金収入も含め年収が200万円を超えると、医療費の2割を病院の窓口で支払わなければならぬ。
 夫婦2人世帯なら年収320万円以上で、奥さんも医療費の負担が2割になる。その負担額は年間8万3千円から11万7千円、3万4千円も増え、深刻な事態に直面する。これでは病院に行きたくともガマンし、生きるのを諦めるしかなくなるではないか。

とことん国会で追究を
少子高齢化といわれ、出産・育児への手当や制度の拡充は欠かせない。それは認めるものの、出産育児一時金42万円を引き上げるため、その財源を、これまで負担がなかった75歳以上の高齢者に求める計画が、急きょ進行している。この計画、ひどすぎやしませんか。
 年金生活者の社会保障は削りに削ったうえ、さらに負担を強いるのでは、もう老後は真っ暗、死ぬのを待つしかない─そんな叫びを、岸田首相は「聞く力」もないのですか。
3日から始まる臨時国会、とことん討議してほしいテーマは数多い。統一教会と自民党の関係はもちろん、「国葬」経費16億円、軍事費6兆円、企業の内部留保516兆円、これらの数字だけ見ても、なぜ国民に負担ばかり強いるのか、許せるはずがない。
 原発推進、安保3文書改訂、「国債」増発の是認、予備費の使いまわし、どれも国会での議論を棚上げにして、政権の一存による政策遂行ではないか。国会軽視も極まる。とことん国会で追究してほしい。(2022/10/2)
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2022年10月01日

【おすすめ本】石田耕一郎『台湾がめざす民主主義 強権中国への対立軸』─「異なる立場の人の心情を理解する努力」が鍵=長岡義博(ニュ ーズウィーク日本版編集長)

 台湾ほど複雑な「国」はない。事実上の独立国なのに、国際社会では国家として扱われない。これほど平和的な国民も珍しいのに、米中という対立軸の最前線で、戦争の危機にさらされている。
 台湾を見る世界の目もまた込み入っている。日本の保守派は反共産党の盟友として熱い視線を送り、リベラル派は女性議員クオータ制や同性婚の容認という先進性に、日本の後進ぶりを重ねる。

 著者は現在、朝日新聞台北支局長として、米中対立の狭間にある台湾を取材している。新聞記者の本らしく、本書は台湾の生の声がよく伝わる内容・構成になっている。
 書名は「台湾がめざす民主主義」だが、実は日 本がめざすべき政治の姿が、いまの台湾にあることが分かる。本書はその象徴であるデジタル担当相オードリー・タン氏の個人史と思想を本人・家族の取材から明らかにしながら、「台湾的民主主 義」の核心を提示する。 それは権力と市民の相互信頼である。

 新型コロナの流行開始直後、タン氏が民間プログラマーと協力してネットの無料マスク供給地図を作った逸話や、市民からの指摘でワクチン予約プログラムを素早く手直しした実例は、タン氏自らが言う「異なる立場の人の心情を理解する努力」が、いかにテクノロジーと相まって台湾の民主主義を進めたかを物語る。
 いじめや不登校、そしてトランスジェンダーの告白という経験を経て、タン氏が体現する相互信頼のための「他者を理解しようとする努力」が台湾にあって日本に決定的に欠けているものだと本書は気づかせてくれる。(大月書店1800円)
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2022年09月30日

【焦点】五輪選手村訴訟原告団、総会開く、92%減額を控訴審で訴える=橋詰雅博

                             
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 五輪選手村用地を破格の安値で売却したのは違法だとして、周辺価格との差額約1200億円を小池百合子都知事らに請求するよう都に求める訴訟を起こした晴海選手村投げ売りを正す会は、9月27日に豊洲で第5回総会=写真上=を開いた。
 一審で敗訴した原告団は、「不当判決」と昨年12月に控訴した。総会は10月11日(火)午後1時40分に東京高裁101号法廷で開かれる第1回控訴審に向け意思統一を図るのが目的だった。

 裁判の最大の焦点は都有地の売却価格が適正かどうかだ。都内一等地をデベロッパー11社に129億6000万円で売ったのは選手村要因などを考慮すると「適正」と東京地裁は認めた。しかし、この価格がいかに異常かを検証してみる。ちなみに選手村要因とは@道路などのインフラ整備の完了Aデベロッパーが施設建築物を建設、取得した上で、土地を譲り受けるB施設建築物の一部を五輪大会期間中に選手用宿泊施設などとして使用し、大会終了後に改修の上、分譲または賃貸する―などだ。
 五輪終了後、選手村用地に5632戸の住宅が建てられる。これに伴い新たに学校などの整備が必要になるので、中央区は晴海4丁目と5丁目の都有地を合計3・14f購入することになった。昨年6月財産価格審議会が開かれ、中央区への売却と、土地価格および公共施設に認められる減額を決定した。都は近隣路線価から1u当たり106万(4丁目)、120万(5丁目)とし、売却価格を155億、199億と評価(写真下)。公共減額50%と設定し、減額後の譲渡額を77億5000万、99億5000万と決めた。

原告側の桐蔭横浜大学法学部客員教授、田原拓治不動産鑑定士は、財産価格審議会の土地鑑定は「まとも」と評価した。さらにこう続けた。
「1u当たり120万の5丁目の土地は選手村の真ん中にある。この価格でデベロッパーに譲渡した13・39fの土地価格を算出すると、1607億になる。1607億の土地をいくら選手村要因だと被告の都側が強弁しても正常価格(市場価格)の8%が妥当であるはずがない。選手村の五輪仕様の内装も諸設備の建設、その撤去も都が445億円以上も拠出。選手村とは関係ない超高層分譲マンション2棟の建設も開発事業に含まれている。実態はデベロッパーによる営利を目的にした分譲・賃貸マンションです」
選手村要因を考慮しても、92%減額はひどいというのだ。
田原不動産鑑定士のこの意見書はすでに裁判所に提出している。
 橋詰雅博
                               
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2022年09月29日

【事件】「いじめ凍死」再調査へ 旭川市 政治力に揺らぐ客観性=山田寿彦

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北海道旭川市で昨年3月、中学2年生の廣瀬爽(さ)彩(あや)さん(当時14歳)が凍死体で見つかり、背景にいじめが指摘された問題で、いじめの実態などを調査していた市教委の第三者委員会は12日、最終報告書案を市教委に提出した。遺族側は報告内容に納得しておらず、市長直属の新たな第三者委員会が再調査を行う見通しとなった。遺族側は調査の中間報告が遺族の意向に沿っていないとして、市長の政治力を借りて第三者委員会に中間報告の修正を要求。調査の客観性が揺らぐ事態となっている。

報道によると、最終報告書案は「凍死は自殺」との見解を示したが、いじめとの因果関係が明記されなかったことに遺族側は強い不満を示しているという。

中間報告(4月15日)を受けて遺族弁護団は5月30日付の「所見書」(概要版)を公表。「(爽彩さんの)発達障害を示唆する内容」を問題視し、諮問事項を逸脱しているとして削除を求めた。
さらに「いじめによって発症したPTSDが自殺念慮といった深刻な事態に発展していくことが通常起こりうるプロセスであることは科学的な研究業績によって明らかにされている」と主張。中間報告は発達障害に起因する「衝動性」を自死の原因に結びつけようとしており、「加害者の言い分に偏った事実認定が大部分を占めている」と非難した。遺族弁護団の主張からは自死の原因といじめを結びつけたい意図がうかがわれる。しかし、爽彩さんが不登校になり、精神医療の管理下に置かれた約1年8カ月間の療養生活の経過は全く明らかになっていない。

いじめ防止対策推進法に基づき調査を行う第三者委員会は公平性・中立性・客観的な事実認定を前提としており、被害者側の言い分に偏ることも原則から逸脱する。
所見書に基づき、今津寛介市長は第三者委員会に対し、遺族側の懸念についての回答を求める質問書を出した。
第三者委員会は市長への回答の中で、爽彩さんの(発達障害)特性を記述した理由を「結果的に被害者の特性が加害者に利用された側面が否定できないことから、被害者の特性が現れている事実関係を示す必要があると考えた」と説明した。

中間報告で加害者認定された7人の中には「いじめに関与していない」と訴えた生徒も含まれている。しかし、文科省がいじめ調査に関するガイドラインで定めている加害者側への認定理由の説明は行われないまま、加害者認定された生徒たちはネット上での誹謗中傷にさらされている。
遺族弁護団は中間報告の事実認定のみを根拠に加害者側に法的な損害賠償請求を予告する文書を送りつけており、これも「民事上、刑事上の責任追及を直接の目的とはしない」とうたうガイドラインに反している。

こうした中で、「事件があぶり出した社会の歪みを問う」をテーマにした市民集会(JCJ北海道支部後援)が4日、札幌市内で開かれた。昨年11月に旭川と札幌で精神科医の野田正彰氏を招いて開かれた連続集会と同じ市民有志の主催。

この日の集会では、当局発表と一方の当事者の思惑をなぞるだけの報道(ジャーナリズム)の歪み、精神医療の責任が追及されない不可解さ、「発達障害」乱造の放置など、問われるべき多様な論点が排除されている現状を多角的な視点から問題提起した。
討論で宮田和保・北海道教育大学名誉教授=写真中央=は「本来は事実から価値判断が導き出されるべきだが、旭川の事件を見ていると、価値判断・利益から事実が構成されようとしているのではないか」と指摘した。
山田寿彦(北海道支部)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年09月27日

【おすすめ本】島田雅彦―『パンとサーカス』テロ、暗殺、爆弾、世直し 明日への夢を描き出す政治小説=鈴木耕(編集者)

著者が帯に「私の暴走 にどうかお付き合い下さ い」と書いているくらい だから、その暴走ぶりは ハンパじゃない。なにし ろ「主な登場人物」のペ ージを見るだけで胸が躍 るほど、多彩な人物が登 場する。主人公は2人、 広域暴力団組長の息子と、 その幼な友達の東大出の 秀才でCIAエージェン ト。彼らは高校時代に2 人きりの秘密結社「コン トラ・ムンディ」を結成 する。この設定がすでに ぶっ飛んでいるが、そこ に聖なる娼婦、伝説のホ ームレス詩人、老右翼の 超大物フィクサー、典型 的な二世議員の凡庸な売 国奴総理やリベラル野党 の党首、人権派弁護士、 警視庁警部、更にはCI Aや中国諜報機関が絡ん で、テロは起きるわ拷問 や暗殺も頻発するのだか ら、もうページを繰る手 が止まらない。読者は著 者の暴走に目まぐるしく翻弄されるしかない。

私が著者にインタビュ ーした際、「就活小説とし ても読めるはず」と言っ ていた。なるほど、CI Aの採用試験の様子が面 白い。微に入り細にわた って不思議な試験の内容 が紹介される。あっけに とられながら読み進める のだが、その度に読者の 予想は裏切られる。

これは地方新聞4紙に 掲載された小説だ。だか らとにかく、1日に1回 は山場を作るという著者 の才気が迸る。エンタメ 小説であるけれど、徹底 した日本政治への鋭い批 判、いわゆるポリティカ ル・ノベルなのだ。いま 世間を騒がせている統一 教会と政治家の癒着を予 感させる記述もある。そ こが小説家の想像力のす ごさ。主人公は囚われる が、なかなかの結末が待 っている。ああ、面白かった!である。(講談社2 750円)      
                           
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2022年09月26日

【お知らせ】JCJ「夏のジャーナリスト講座」開く

JCJは7月16日から7回シリーズで学生向けに「夏のジャーナリスト講座」を開いている。最初の3回分をまとめた。
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米軍基地は生活の
場と隣り合わせ
▼明真南斗・琉球新報記者(7月16日) 沖縄には31の米軍専用施設があり、総面積では県内の8%を占め、生活の場と隣り合わせだ。沖縄に7割が集中する米軍基地は日本の安全保障を語る以前に、身近な暮らしの問題である。
宜野湾市にある普天間飛行場そばの普天間第二小で体育の授業中、米軍ヘリの窓が落下し、奇跡的に被害はなかった。学校の抗議に対し、沖縄防衛局は体育場に防護用の屋根を設置した。ヘリや飛行機が通過するたびに児童が屋根の下に逃げる日常光景はおかしい。
いま防衛省を担当しているが、全国紙の記者は沖縄の民家で銃弾が見つかっても被害がないなら問題にもしない。地元支局の記者のやるべきことで、自分らには関係がないといった印象だ。
航空機の泡消火剤問題では、発がん性の有機フッ素化合物PFOSなどの血中濃度が高いことが宜野湾市民を対象にした京都大の調査で判明し、健康問題でもある。沖縄戦などの歴史問題も含め、基地集中の不条理を指摘し、弱者に寄り添って報道し、伝えていくことが地元紙記者の使命と考えている。
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聞き取りを重ねて
励まされ連載執筆
 ▼河原千春・信濃毎日新聞文化部記者(同24日) 長野県佐久市出身の女性史研究家、もろさわようこさん(97)の生き方を書いた『志縁のおんな もろさわようことわたしたち』(一葉社)を昨年末に出版した。もろさわさんが佐久市に作った「歴史を拓(ひら)くはじめの家」を2013年に取材したのをきっかけに聞き取りを重ね、その言葉に自分が励まされたことから、19年には連載記事「夢に翔(と)ぶ――もろさわようこ94歳の青春」を執筆した。
 代表作『おんなの戦後史』などを著した女性史研究の先駆者で、フェミニズムにも多大な影響を与えてきたもろさわさんは、長野、沖縄、高知に拠点をつくって生活の場を移しながら、女性や部落問題、沖縄などでの差別に目を向けて行動している。
「人の取材をしたくて地方新聞社への就職を選んだ」という河原さんは、受講者の質問に、「スペシャリストよりもジェネラリストになる」ことをテーマに、舞台演出家の串田和美さんを取材すべく準備を進めていることなどを紹介、文化部記者の仕事ぶりを具体的に話した。
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事故か 自殺か
スマホの落とし穴
 ▼小松玲葉・TBS報道局社会部記者(同30日) 入社して4年目、現在は警視庁記者クラブで仕事をしている。新人の時は、房総半島を襲った台風の被災地を取材。自宅2階を吹き飛ばされた小谷登志江さんの姿を追いかけ、ドキュメント「それでも、ここにいたい〜3度の台風に遭って」をつくった。
 警察取材では鉄道駅での自殺、転落事故のニュースが多い。警察の広報文を読み「何かおかしくない?」という疑問を大事にしている。その一つが21年1月に東京の東武東上線・東武練馬駅で起きた踏切事故だ。31歳の女性が遮断機が下りた踏切内で立ったままスマホを見ていて、電車にはねられ死亡した。
 警察は事故か自殺かわらないと発表していた。当時の記録映像から、警報音が鳴る中、女性はスマホを見ていて、踏切外にいた10人近くもみなスマホに目を落としていた。「危ない」と声をかける人もいない。これは自殺ではなく、女性は踏切の外にいると勘違いしていたのではないか。現場を踏査し、報じた。スマホ時代の落とし穴として大きな反響があった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年8月25日号
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