2017年12月26日

《編集長EYE》 タックスヘイブン3つの問題点=橋詰雅博

 巨大企業や富裕層、特権層が納税を逃れ秘密裏に資産を増やすために利用するタックスヘイブン(租税回避地)。その正体が明るみに出た昨年の「パナマ文書」に続く第2弾「パラダイス文書」が11月に報道されて世界に再び衝撃を与えた。

 これを受けてEU(欧州連合)の議会組織で開会中だった欧州議会では、タックスヘイブンへの批判が集中した。ベルギーのランバーツ議員は「租税回避は民主主義を掘り崩す行為だ」と強調。モスコヴィシ税制担当委員も「もしこれが合法だと言うのなら、法の方を変えなければならない」とまで言及した。

 12月3日の民間税制調査会(座長・三木義一青山学院大学学長)でパラダイス文書などについて講演した北海道大学法学研究科博士課程の津田久美子さんは、こう述べた。

 「タックスヘイブンの主な問題点は三つあります。不平等の温床、マネ―ロンダリングなど犯罪の助長、過剰なマネー取引による金融危機発生に加担です。独自の対抗策としてEUではマネロンを防ぐ案の検討や多国籍企業への課税強化、タックスヘイブンブラックリストの作成、パナマ文書に対する調査機関の設置などを挙げています」

 特に過剰に生み出されるグローバル・マネーを制御する試みとしてEU金融取引税(FTT)の導入に向けてフランスやドイツを中心とした10国が取り組んでいる点に注目が集まる。

 「当初は11カ国でしたが、経済の効率性が阻害されるとFTTに反対する金融業界などのロビー活動によりエストニアが離脱し、活動が停滞しました。とりわけ株式や債券などで運用する年金基金がFTT導入で損害を受ける可能性が大きな問題になりました。この数年は総論賛成、各論反対で税制の詳細を詰めるプロセスが頓挫していました。しかし、最近はEUの新財源として再び脚光を集めつつあります」(津田さん)

 日米は反対だが、EUのFTT導入への挑戦は注視すべきだ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
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2017年12月25日

《支部リポート》前川講演―第3会場まで用意=徃住嘉文(北海道支部)

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「理想のない現実主義はない」「心の中はアナーキスト。振舞いは公務員だが、いかなる権威にも縛られない」。次々と繰り出される言葉に皆、うなずいている。 
しかも、表情が柔らかい。笑顔だ。10月28日、札幌市エルプラザでJCJ北海道支部と「さっぽろ自由学校『遊』」が開いた元文科省事務次官前川喜平さんの講演会。事前の問い合わせが殺到したため、定員350人の会場のほかに、第3会場まで用意し中継を手配した。それでも合計780人であふれ、中継不調などでご迷惑をおかけした。
 これほど関心を呼んだのは、権力を監視すべきマスコミすら「忖度」「自粛」「服従」する安倍晋三政権下で、勇気、正義への渇望が広がっているからではないか。本紙「ジャーナリスト」のインタビューは衝撃的だったが、講演でも前川さんの率直な物言いは変わらない。「私は下村博文文科相のもとで教材『私たちの道徳』を作った責任がある。『自由の価をきちんと書く』よう注文したが、結局『自由には責任が伴う』などと書かれた。『国を愛そう』など集団主義的な価値が強調された」「憲法は教育を受ける権利を保障している。学ばなければ、憲法で享受すべき人権、国の原則は守れない。権力の暴走を許してしまうのは、無知蒙昧な国民。えらい人に従う、プロパガンダに流される国民をつくったのではないかと反省している」
 会場からは「管理的な仕事が増え、子供たちとともに考える時間がない、満足な教育ができない」(現役の教員)「選挙権を得たが主権者教育が足りない」(高校生)などの意見も出た。前川さんは、現実が厳しいことは認めつつ、自分のできる範囲で少しでも変えていこう、と面従腹背の勧めを説いていた。
 私事で恐縮だが、前川さんと、安倍首相、志位和夫共産党委員長、私は学齢が同じ。「同期」として、日本を戦中に戻す安倍首相の復古主義を改めさせる責任がある。言論、運動両面の戦いは、今後も続く。
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2017年12月24日

【今週の風考計】12.24─心残りの<'17読書回顧─おすすめ3冊>

わが機関紙「ジャーナリスト」<書評欄>を担当して10年。今年も掲載できなかった良書は数多い。とりわけ小説や境界領域の本は採用できず、無念の思いがよぎる。

濯ぐ意味もこめ<おすすめ3冊>を挙げておきたい。まずは文藝賞を受賞した若竹千佐子さんの小説「おらおらでひとりいぐも」。東京新聞「本音のコラム」で斉藤美奈子さんの紹介エッセイを記憶し、河出書房新社から刊行されるのを待って購読した。
夫をなくした悲しみを超え、残りの人生は自分なりに生きようと、新たな「老いの境地」を描く。遠野地方の口承文芸にも通じる会話文と地の文章が重なり合う叙述に圧倒された。

実は、このタイトルが、宮沢賢治「永訣の朝」にある<Ora Orade Shitori egumo>に由来しているのを知った。以来、宮沢賢治の詩集を引っ張り出して読み直し。続けて『銀河鉄道の夜』も再読。
そんなところへ門井慶喜『銀河鉄道の父』(講談社)が目に留まり一気読み。人間・宮沢賢治を、父・政次郎の視点から、その家族と紡いだ日常生活を通して描き出す。これまで政次郎について書かれた本は一冊もない。著者がコツコツと調べ続けて完成させた、賢治一家の再発見となる稀有な物語である。

最後は伊沢正名『葉っぱのぐそをはじめよう』(山と渓谷社)。ノグソを続けて43年、「糞土思想」が地球を救うと述べる著者は、ノグソは人が自然と共生する最良の方法だという。その熱い想いが80種以上の葉っぱのカラー写真と共鳴して響き合う。
山に行けば<お花を摘みに行ったり、雉撃ちに行く>のはよくある事。また『うんこ漢字ドリル』(文響社)が累計281万部の時代、決してビロウな本だと忌避してはならない。(2017/12/24)

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2017年12月23日

≪おすすめ本≫ 望月衣塑子『新聞記者』─記者は「傍観者でいいのか」この自問が事実に迫る原動力=斉加尚代(毎日放送報道局ディレクター)

 この時代に生きる新聞記者として「自分にできることは何か」を考え現場に向かう。菅義偉官房長官の会見で「東京新聞、望月です」と切り出し、舌鋒鋭く質問を畳みかけた女性の声を覚えている方は多いだろう。官邸記者の横並び主義に殴り込みをかけた社会部記者。

 その原動力を生い立ちから綴る著者は、ジャーナリスト志望の理由や仕事への思いを率直に記す。
 たとえば滑舌のよい凛とした声は、子ども時代に熱中した演劇で磨いた。徹底的に粘り強く聞く姿勢は東京地検特捜部を担当してスクープを放ち、特捜部から事情聴取を受けても書き続けたスタイルと繋がる。
 彼女にしてみれば積み上げてきた取材スキルを、「総理のご意向」と記された文科省文書に揺れる加計問題で発揮したにすぎないのだが、他の記者たちは彼女を批判、個人攻撃といえる中傷記事を放つ者すらいる現状に、読者は何を思うだろうか。大きな声援と渦巻くバッシング、そのストレスから体調を崩したことも。

 それでも彼女は権力の不正を告発する人々に向き合い、「自分の中で燃え盛ってくる。こうなってくるともう私のペース」と自身を突き動かす。多忙を極める取材と各地での講演、そして2児の子育てを担う姿は、ペンを手にしたアスリートを思い出す場面も多い。
 彼女が追い求めてやまないのは、権力が隠そうとする真実と国民が知るべき事実。傍観者でいいのか?と自らに問いかけ、個の記者の力を信じて現場に立つ望月記者。その思いを全国の記者が共有できたなら、暴走気味のこの国が少しはマシになるのではないかと思えてくる。(角川新書800円)
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《沖縄リポート》県民の批判を受け入れた翁長知事 港の使用を止められるかに注目=浦島悦子

 11月初め、『沖縄タイムス』『琉球新報』両地元紙が、辺野古新基地建設に向けた埋め立て用石材の海上輸送にかかわる岸壁使用を沖縄県が許可していた(6月申請、9月許可)ことを報道、県民に衝撃と動揺が走った。
 辺野古ゲート前での県民の粘り強い座り込みや海上抗議行動によって基地建設作業が大幅に遅れていることに焦った安倍政権は、ダンプトラックによる石材の陸上輸送に加え海上輸送を行う方針を打ち出した。海上輸送では、台船1隻でダンプ2百台分以上が運べる。来年2月の名護市長選を前に作業を加速させ、名護市民・県民のあきらめを誘う狙いもあるだろう。
 そんな中で、「あらゆる手段で新基地を阻止する」と言ってきた翁長県政が、基地建設を加速することが明らかな港の使用許可を出したことに、座り込みの現場でも批判が相次いだ。13日には、県の許可を得た国頭村奥港で、奥区民や区長に何の説明もないまま、機動隊を大量動員して台船への石材積み込みが始まり、抗議する区民や村民ら約百人を機動隊が排除して強行、翌日、約50台分の石材を大浦湾に搬入した。翌日、沖縄県は奥区を訪れ、「申請に法的不備がなければ許可せざるを得なかった」と説明したが、区民らは納得しなかった。
 基地建設に反対する市民や市民団体の間で使用許可の撤回を求める声が高まったのを受けて15日、「基地の県内移設に反対する県民会議」(山城博治共同代表)は県庁で謝花知事公室長と面談、知事の「言行不一致」を厳しく批判し、使用許可の撤回を要請した。
 同日夕方、記者会見した翁長知事が、ダンプの粉じんや騒音などの環境問題を「新たな事態」として使用許可の撤回を検討していると報道され、それははじめからわかっていたことではないかと思いつつも、私はいささか安堵した。何よりも、このまま県や県知事への不信感が強まれば、市民・県民との結束が崩れていく心配があった。県民の批判を受け止めた知事の姿勢を評価したい。
 政府は奥港に続いて本部港塩川地区を海上輸送に使う方針だ。口頭で使用許可を出した本部町に対し県は指導に入ったが、使用を止められるかどうか、県民は固唾を呑んで見つめている。
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2017年12月20日

《スポーツコラム》「レガシー消える東京五輪」=大野晃

1500億円近くをかけて建設中の2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場である新国立競技場が、五輪後は国際的な陸上競技会ができない球技専用の競技場に変わり、様々なイベント会場にすると政府が決めた。しかも、運営権を国立代々木競技場や秩父宮ラグビー場とセットで民間に売り出すことを検討しているという。
 政府や都、組織委員会により東京五輪の会場はレガシー(遺産)として生かすと声高に喧伝されてきたが、箱モノを作って五輪が終われば民間に売り渡すということか。 何がレガシーなのか皆目わからない。
 開発優先で問題の多かった1964年の東京五輪開催だったが、開催後は、国民スポーツ発展のために五輪会場が後利用され、70年代には全国で地方自治体がスポーツ施設を建設するなど国民のスポーツ熱を盛り上げる条件整備が進んだ。
 半世紀を過ぎて、2度目の夏季五輪開催では会場の国民的な後利用はレガシーに言葉を変えてかえりみられず、政府が商品化するという。
 国民全体が手軽に利用できるスポーツ施設として生かす検討を忘れた五輪開催である。露骨な商売五輪と言うしかない。
 国際平和も友好も口先だけで、五輪は見るもので客を集める巨大商業イベントと公言するに等しい。この際、一緒に儲けませんかと国民を煽っているようだ。
 スポーツ基本法を持つ国民にスポーツの恩恵をもたらさない五輪開催で巨額な税金を費消しては負の遺産ばかりになる。
 メダル獲得で国威を示すのが五輪開催の意義とでも言わんばかりのスポーツマスメディアの姿勢が、世界に恥じる政府と日本スポーツをけん引してはいまいか。国民のスポーツする条件は限られる一方で、五輪開催が、さらに悪化させそうだ。
 誰もがスポーツを楽しめるように、収益第一のスポーツ政策を転換することが五輪開催の重要な課題のはずだ。(スポーツジャーナリスト)

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2017年12月17日

【今週の風考計】12.17─いま<第九>が担わされた運命を考える

◆今日はベートーベンの誕生日。1770年12月17日ボンで生まれ、1827年3月26日ウィーンで死去。没後190年を迎える。あの<第九>は、ほぼ耳が聞こえなくなった54歳のときに作曲された。
◆日本では年末になると、<第九>の第4楽章「歓喜の歌」が、よく演奏される。欧米では祝典や歴史的な行事の際に演奏され、年末は関係ない。第二次世界大戦後の1951年7月29日、フルトヴェングラーがバイロイト音楽祭で指揮した記念碑的演奏は、今でもLPやCDのロングセラーになり、筆者も愛聴している。

◆なぜ日本では年末恒例となったのか。それは1943年、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)の上野奏楽堂で行われた、12月の学徒壮行音楽会での<第九>演奏といわれる。学徒出陣のため12月に卒業繰り上げとなった学生たちを激励するためであった。戦後も1947年12月30日には、同じ場所で戦没学徒兵を追悼する演奏会を行っている。

◆「レコード芸術」12月号で、等松春夫氏が「大日本帝国と≪第九≫」と題して、時の政局との関係を紹介している。皇紀は2600年の昭和15年(1940年)、大政翼賛会が設立され、愛国精神の高揚を図る数々の大イベントの締めくくりとして、大晦日の午後10時半、ローゼンシュトック指揮・新交響楽団(NHK交響楽団の前身)がスタジオから実況放送をしている。
◆そして「戦時下の3年8カ月の間に<第九>の演奏は全国各地で22回にも上り、多くの青年たちが『歓喜に寄せて』に送られて戦地へ向かい、そして還らなかった。…大日本帝国にとって、<第九>とは『マルスに招かれたミューズ』だったのであろうか。」と結ぶ。

◆いま国会では、まさにローマ神話の軍神「マルス」が徘徊しているだけに、うかうかしてはいられない。(2017/12/17)
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2017年12月11日

《ワールドウォッチ》アメリカ社会の分断=伊藤力司

 トランプ米大統領の支持率は37%と、戦後歴代大統領の最低を記録した。不支持率は59%で最高だった(10月29日〜11月1日実施のワシントン・ポスト紙とABCテレビの世論調査)。
 就任以来10カ月、メキシコ国境への“長城”建設、オバマケア(医療保険法)改廃など重要公約は実現できず、イスラム国からの移民禁止は国内外の反対で立ち往生。
 米国では同じ共和党の前任者、ブッシュ元大統領父子がトランプ大統領を酷評したことが話題になっている。「彼はほら吹きだ」と父が言えば、息子は「彼は大統領でいることの意味が分かっていない」と返したという(CNNニュース)。
 こうした悪評はニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストやCNN、ABC、NBCなどの有力メディアを通じて全米に流れて大統領不支持率を上げているのだが、37%の固いトランプ支持層はこれらの有力メディアを一切視聴しない。
 彼らが見るのは保守系のフォックスTVであり、読むのはブライトバート・ニュースなどの右翼メディアだけだ。また大統領は反トランプのメディアは「フェイク(にせ)ニュースばかりだ」と、耳を貸さない。
 こうしてアメリカ社会は分断された。人種差別を禁じた公民権法が成立して半世紀を過ぎたというのに、KKK団など人種差別団体が公然とデモを行い、これに反対する反差別派と衝突する事件が相次いで起きている。
 トランプ支持派は南部諸州や「ラスト・ベルト(錆びた地方)」つまり中西部の旧工業地帯に住む白人たちだ。20世紀のアメリカを支えた工場は高い人件費を嫌ってメキシコや中国に移転し、中西部は白人失業者の溢れる地域となった。
 かれらはトランプ大統領の「アメリカ第一主義」が雇用を再建してくれるものと信じて歓迎している。
 こうしたトランプ支持者たちは、大西洋岸や太平洋岸の“開けた都会州”の民主党支持者を軽蔑、自分たちこそ「本来のアメリカ人だ」と信じている。
 彼らは中南米系、アジア系、中東系移民と黒人がアメリカの多数派となることを恐れている。移民系は概して多産であり21世紀後半には白人が少数派になることは必至だが。

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2017年12月10日

【今週の風考計】12.10─福島・原発事故が残す尽きない危険!

6年9カ月前、福島第一原発3号機は核爆発を起こし、最大で毎時2千ミリ・シーベルトの放射線量を放出、甚大な被害をもたらした。
いま廃墟となった原子炉建屋内にある貯蔵プールから、使用済み核燃料566本を、来年6月ごろには取り出せるよう準備が進んでいる。ドーム型の屋根が設置され、収納容器を吊り上げ地上までおろすクレーンは長さ約17m・重さ約90トンに及ぶ。

しかし、取り出したはいいが、どこで処理するのか、何も決まっていない。1号機・2号機の使用済み核燃料の取り出しに至っては、「2023年度を目途」にというだけ。タービン建屋内の復水器にたまった高濃度汚染水の抜き取りも、やっと18日に終える。その汚染水の合計1700トン、セシウム137濃度は5億ベクレル/ℓという。貯蔵するタンク850基はもう満杯。しかもそのうち約730基が、あの製品データ改ざん事件を起こした神戸製鋼の部品が使われている。漏れださないとも限らない。

原発事故による汚染など、福島県内の指定廃棄物は17万2千トン。それを埋める最終処分場が富岡町に設けられ、搬入が始まった。今後、6年かけてこの最終処分場に集約される。ただし、県内の除染で出た汚染土や10万ベクレル/sを超える廃棄物については、10月に稼働したコンクリート構造の中間貯蔵施設(双葉町・大熊町)に、最長30年間、保管される。
その後、県外で最終処分する方針だが、具体策は決まっていない。なし崩しに福島県外7県の汚染土47万㎥が持ち込まれてしまうのではないかと、住民の不安は尽きない。(2017/12/10)
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2017年12月05日

《月間マスコミ時評・出版》この国は本当に大丈夫か?=荒屋敷 宏

 「総選挙」後である。ある財務省幹部は安倍内閣の選挙を意識しながらの政権運営について「自転車操業」と評したという(「日経ビジネス」11月13日号で安藤毅氏)。

 「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版)11月21日号で寺島実郎氏は、衆院選を総括し、小選挙区制のもとで野党分裂の選挙が与党優位になるのは当然としたうえで、戦後2番目の低投票率(53・68%)と比例代表区での自民党の得票率(33・3%)と絶対得票率(17・9%)に注意を促している。

 寺島氏は「国民は、現在の政治状況が正当なものではないことに気づき始めている。今後は政策を軸にした『リトマス試験紙』のようなものが重要になる」として、「外交や安全保障問題、特に沖縄の基地問題」を挙げる。寺島氏が地方講演に出向いた際に「地元の経済人から『小選挙区は自民に入れざるを得ない。だが、この国は本当に大丈夫か』と危惧する声をたくさん聞く」という。「自転車操業」への不安がマグマとなって臨界点に近づいている。

 「週刊金曜日」11月10日号の「京都・Xバンドレーダー基地と『戦争加担』」(成澤宗男氏)は読み応えがあった。丹後半島の北端、経ケ岬(京丹後市)から西へ約3キロ離れた断崖の上に、北朝鮮から飛来するミサイルをとらえる特殊なレーダー基地がある。米太平洋陸軍の第94防空砲兵コマンド第14ミサイル防衛中隊がいる。

 丹後半島に米軍レーダー基地建設の話が持ち上がったのは2013年2月末。米軍が特定秘密保護法の整備を急がせた理由がわかる。米軍は現在、朝鮮半島における軍事戦略「OPLAN5015」(2015年決定の戦争計画)にもとづいて動いている。日本各地で米軍や自衛隊が危険な訓練をしている。そこから「戦争計画」の実像も見えてくる。成澤氏は朝鮮戦争の被害状況を簡潔に振り返っているが、もしも朝鮮半島で休戦協定が破棄されれば、かつての戦争以上の破滅的惨禍となることは明らかだろう。

 この国の将来を決める鍵言葉は「憲法」だ。「週刊金曜日」11月3日号が「憲法キャンペーン」を開始し、同誌編集長の小林和子氏が「世界」編集長の清宮美稚子氏、「DAYS JAPAN」編集長の丸井春氏とおこなった鼎談が面白い。題して「憲法が危機なら私たちが誌面を通して憲法をとりもどします」。野党共闘の時代に雑誌媒体が「共闘」することも「あり」だろう。3誌のコラボ企画が楽しみだ。
posted by JCJ at 13:28 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月03日

【今週の風考計】12.3─「日本維新の会」と<加計マネー>疑惑

「日本維新の会」の足立康史衆院議員は、11月30日の衆院憲法審査会で、またまた朝日新聞を名指しして「捏造、誤報、偏向のオンパレード」と、何ら具体的な根拠も示さず、誹謗中傷きわまる暴言を吐いた。さらに憲法改正国民投票について、「最近のマスメディアの偏向ぶりを見るにつけ、マスメディアを正すか、信頼度を引き下げることに取り組むことが、国民投票に必要な環境整備だ」とまで述べた。

足立議員は11月12日、朝日新聞の<加計問題>に関連する社説を巡って、ツイッターに「朝日新聞、死ね。」と投稿した御仁。10月23日投票の衆院選で小選挙区では落選したが比例復活して現在3期目。元通産・経産官僚。国会の場でも、加計疑惑を追及する立憲民主党など3党の議員の名前を挙げ、あっせん収賄罪に該当する「犯罪者」とまで発言、謝罪に追い込まれた。

ここにきて、足立議員が所属する「日本維新の会」に、<加計マネー>疑惑が浮上してきた。加計学園の加計孝太郎理事長と息子で副理事長の加計役氏から、片山虎之助・共同代表に政治献金がなされていた事実が、日刊ゲンダイの調べで発覚した。
なるほど、それで「日本維新の会」の各議員は、国会で<加計問題>を追及しないのか。納得。加計学園が運営する岡山理科大学獣医学部は、愛媛県今治市から37億円の土地を無償譲渡され、その上に県と市から96億の建設補助金まで得て開設される。この財源はすべて税金だ。もし経営破綻したら責任は誰がとるのか。

「認可したから終わり」では済まない。加計理事長以下、関係者を全員、国会に呼んで、徹底して国家戦略特区諮問会議の真相を解明すべきだ。(2017/12/3)
posted by JCJ at 09:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月02日

≪おすすめ本≫松宮孝明『「共謀罪」を問う 法の解釈・運用をめぐる問題点』─市民生活の自由と安全を脅かす「戦後最悪の治安立法」の欠陥を暴く=菅原正伯

 「共謀罪」法案は今年6月に自民・公明などによって強行採決されたが、国民の内心を処罰し、監視社会をもたらす違憲立法への抗議は収まらない。本書もその一翼を担って出版された。

 全体の構成は大きく2つに分かれる。前半(T〜X)は、新設された「テロ等準備罪」と過去に廃案になった「共謀罪」とは本質的に同じであり、国連国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准するには「テロ対策」の国内法(共謀罪)が必要だという政府の言い分を逐条的に論破している。
 もともとTOC条約の目的自体、テロ対策ではなく、マフィアなどの国際的経済組織犯罪の対策であること、「2人以上の計画(合意)」という罰則要件では、一匹狼(ローンウルフ)型のテロには役に立たないことなども指摘、政府答弁の欺瞞ぶりが浮き彫りにされる。

 後半のハイライトは「共謀罪の解釈」(Y)である。共謀罪の規定である組織犯罪処罰法「6条の2」が徹底的に検証される。「組織的犯罪集団」のあいまいな定義、「共謀罪」の対象犯罪の恣意的な選定、「遂行を2人以上で計画した」時の組織の構成員との関係(構成員でない者も犯罪の主体になる)、正犯と共犯をめぐる予想される解釈上の混乱などである。
 逐条どころか逐語的に、条文の規定のあいまいさ、不備、齟齬を指摘。捜査や裁判の実務においても様々な混乱を生じる「欠陥法」であることを解明している。
 「市民生活の自由と安全が危機にさらされる戦後最悪の治安立法」に、敢然と対峙した入魂の書。
(法律文化社926円)
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2017年11月30日

<リレー時評> 出版界考現─二つの挑戦とヘイト本=守屋龍一

 今から62年前、吉野源三郎さんは55歳で、私たち日本ジャーナリスト会議の初代議長に就いた。
 彼は、若かりし38歳の1937年8月、新潮社より『君たちはどう生きるか』を刊行している。盧溝橋事件が勃発する1カ月前だ。以降8年、日本は戦争へと突っ走る。
 中学生の「コペル君」が、学校での仲間外れ・いじめなどに直面しながら、自己中心の世界観から抜け出し、広い視野で人間として生きる指針を得ていく物語だ。

 この名著が80年ぶりに、初めてマンガ化された。マガジンハウスから8月24日に刊行。発売2カ月で43万部、11月末の今や60万部を超えたという。
 吉野さんの思いが、マンガ化により、今の時代状況や社会の息苦しさの中で生きる、若い人たちやその親たちに訴えかけ、共鳴し合うのだろう。

 長江貴士『書店員X』(中公新書ラクレ)も示唆に富む。昨年、盛岡市を中心に10店舗ほど展開する「さわや書店」が仕掛けた「文庫X」なる謎の本が日本中を席巻。
 表紙をオリジナルの手書きカバーで覆い、タイトルと著者名を隠すという常識破りの試みが、全国650を超す書店に広がり、30万部突破のヒットとなった。
 この企画を進めた著者は、「書店員の私が、ぜひ読んでほしい本を、いかにして手に取ってもらうか、その一念で挑戦した」という。奇想天外な「文庫X」の正体は、清水潔『殺人犯はそこにいる』(新潮文庫)であった。
 冤罪告発に執念を燃やす著者の迫力、これに呼応する書店員が編み出したコラボレーションの、実り多い成果だ。

 2017年出版界の売り上げは1兆4千億円がやっと。1996年のピーク時2兆6563億円に比べ、20年間で半減。書店数も半減の1万店を割る。書店ゼロの自治体・行政区は420、全体の2割に及ぶ。
 こうした出版界の現実を、少しでも切り拓こうとする、ユニークな挑戦の2例である。

 だが売れれば、なんでもいいのか。ケント・ギルバート『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社+α新書)など、ヘイト本が大手を振って店頭を飾る。担当編集者は、業界誌のインタビューに「欧米人の書いた反中国・反韓国本だから、日本人に受け入れられた」と、人種・民族差別など一顧だにせず答える。
 「出版は文化ではなくビジネスである、と開き直るようでは、もはや〈牛に対して琴を弾ず〉なのか。全ての出版人に問いたい」(リテラ・宮島みつや)と痛烈な言が飛ぶ。

 ジュンク堂難波店店長の福嶋聡さんは、自著の『書店と民主主義』(人文書院)で、「NOヘイト!」「自由と民主主義のための必読書50冊」フェアへのクレーム攻撃や中止問題などについて考察しつつ、「政治的〈中立〉を装って、売れれば全て良しとし、本を作り売る者の責任・見識・矜持まで放棄するのは許されない」と、強調している。

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2017年11月28日

《フォトアングル》議員会館前行動

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衆議院第二議員会館前、総選挙後また安倍内閣が組閣される前に、早くもコールが響いた。「安倍政権を必ず倒そう」「憲法改悪絶対止めよう」と1000人が叫んだ。「市民と野党は共闘」の声に対して、共産党志位委員長、立憲民主党近藤副代表、民進党相原参議院議員、社民党吉田党首、参院会派「沖縄の風」糸数代表がスピーチで応えた。更に、MIC岩崎事務局長が共謀罪の廃止を訴えた。=11月1日、東京• 衆議院第二議員会館前で、酒井憲太郎撮影

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2017年11月26日

《編集長EYE》 教育に情熱を燃やす前川喜平氏=橋詰雅博 

 10月25日付東京新聞の読者投稿欄「ミラー」に神奈川県大和市に住む主婦の大宮啓子さん(72)の一文が掲載されていた。中身はこんな具合だ。

〈厚木のシャッター通りといわれる一角に「えんぴつの会」と手書きの表示がしてある。民間で運営する自主夜間中学。9月末のある日、そこに四十数人が集まっていた。フィリピンやコロンビアの若者たちだ。

 彼らは戦争や病気、不登校や家庭の事情などで小学校の勉強ができなかった。学びたくても学べなかった人たちの意欲はすごい。全く日本語の分からなかった男女が普通に日本語で会話し、漢字の書けなかった人が検定を受けるまでになった。(中略)

 教える人はすべてボランティアだ。先生と生徒の師弟関係というより、一人一人の人間として、お互いに学び合う姿勢が貫かれている。(中略)彼らに公的な教育支援がいきわたるよう強く願っている〉

 実は文部科学省前事務次官の前川喜平氏(62)は、えんぴつの会で勉強を教えるボランティアをしている。9月初旬に本紙インタビューを受けた際、この「学習ボランティア」についてこう言っていた。

「私は2、3人の方をマンツーマンで教えている。その一人は80歳近い男性です。身の上話では、幼いころ両親が亡くなり、親戚に預けられ家事労働をさせられた。耐えられず家出した後、炭鉱で働いた。学校に1度も行ったことがない。字は書けない、読めないでよく生きてこられたと思いました。現在は、ひらがな、カタカナを読めて書ける小学校低学年の国語レベルまできている」

 彼は福島市の民間の自主夜間中学でも教えている。

 「70代の男性は、中学は卒業しているが、それは形式だけで、小学校レベルの知識です。新聞を読んで理解したいという彼のニーズに応えるため朝日新聞を教材として使っている」(前川氏)

 人間の尊厳を保つには学習は不可欠という前川氏、教育への情熱は高まる一方だ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年11月25日号
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【今週の風考計】11.26─DVと性暴力による被害救済へ法改正を

◆1960年11月25日、ドミニカ独裁政権と闘ったミラバル姉妹が殺害された。その日を「女性に対する暴力撤廃の国際デー」と定め、12月10日の「世界人権デー」まで、16日間、世界中でキャンペーンが張られている。

◆さて日本での女性に対する暴力の実態はどうか。日本では3日に1人、妻が夫によって殺され、成人女性の3人に1人がドメスティックバイオレンス(DV)被害を体験しているといわれる。現に、昨年1年間のDVは6万9908件(10.7%増)と最多を更新し、13年連続の増加である。

◆だが、DV被害から逃れるための一時保護所・シェルターへの入所率は33県が40%未満、秋田県は入所率が5.8%と全国で最も低い。「夫の暴力で骨折させられても一時保護所に入れなかった」との証言が複数ある。
◆さらに首を絞められた痕や殴られた痕がある女性は入所しやすいが、精神的に追い詰められるモラルハラスメントなどは、見た目では分からないので、相談員の判断任せ。かつ相談員の「生活保護や児童扶養手当のために偽装離婚したいんでしょう」といった、心ない言葉に深く傷つくケースも多くある。
◆若い世代での「デートDV」も深刻だ。10代カップルの3組に1組で起きている。ストーカー被害は2万2737件、4年連続で2万件を超え前年比3.5%増だ。

◆安倍政権は「すべての女性が輝く社会」をうたうが、日本は国際社会から「女、子どもが家の中で殺される危険の高い社会」だと批判され、DV加害者を処罰するよう法律の改正が求められている。DV防止法が制定されて16年、我が国はDVと性暴力による被害救済の面で、国際的にも最後進国となっている。(2017/11/26)
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2017年11月24日

《スポーツコラム》働き盛りの深刻な運動不足=大野晃

 体育の日のある10月は、文科省の「体力つくり強調月間」だった。
 スポーツ庁は2016年度の体力・運動能力調査結果を公表したが、30代から40代の低下が目立ち、男性は20年前を下回って、女性は過去最低だったという。週3日以上運動する人が30代の男女は1割余りと、全年代で最低という別の調査結果もある。働き盛りの運動不足が深刻だ。
 スポーツ庁は様々にスポーツを楽しむことを呼びかけているが、そのためには、時間や場所の確保、仲間やアドバイザーの存在、そして費用がかからないことが必須の条件だ。時間の余裕のある人が、高額の施設で指導サービスを受けて自己満足する、で事足れりでは国民スポーツ促進とは言えない。社員の残業を減らすことで消費拡大につなげようとか、スポーツ関連企業へのバックアップでスポーツ熱を高めようでは、国民スポーツは先細りするばかりで、基本的人権であるスポーツ参加が、富裕層の見栄に転化しかねない。スポーツ基本法違反の奨励かと疑われる。
 欧州などで、サマータイムを利用したカヌーやヨット遊びやクラブでのサッカーやラグビーを楽しむ姿を何度も目にしたが、先進国の象徴的な生活スタイルだった。国や自治体が条件整備に力を入れていたからだろう。長引く不景気で困難に直面しているようだが、国民の権利保障の重要な課題にはなっている。
 日本では、安倍政権により過剰労働が当然視され、国の支援が減退して財政悪化を理由に自治体によるスポーツ施設の休廃止が進んだ。働き盛りから時間と場を奪ってきたと言ってもいい。その改革が不可欠である。世界から、最大のスポーツ祭典であるオリンピックを開催する資格を問われる現状なのだ。
 スポーツ庁は社員スポーツを支援する企業の認定を進めているが、それでスポーツ権を尊重する労働条件の改善が進むとは思えない。(スポーツジャーナリスト)
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2017年11月23日

≪おすすめ本≫木下ちがや『ポピュリズムと民意の政治学 3・11以後の民主主義』公共空間で実現してきた民主主義の危険性と可能性を省察する=吉原功(明治学院大学名誉教授)

 タイトルから感じられる予測に反し、本書は重厚な政治学・社会学書であり、腰をすえて読まないと理解に苦しむ。
 しかし社会運動の視点から現代日本の実像に鋭く迫り、私達の社会が抱える危険性と可能性を深く理解するための格好の書となっている。

 著者によれば「ポピュリズム」という言葉には民主主義の「危機」と「機会」の両義が含意される。それは「同じ社会的・経済的・文化的条件から生ずる」からである。
 より具体的には「第二次世界大戦後に作り上げられた社会経済的秩序の収縮、労働のフレキシブル化、生産のアウトソーシングを基軸とした、新たな階級分化とアンダークラスの形成」や「市場原理の席巻による個人主義の台頭」「安定的雇用・家族・コミュニティの崩壞」など、新自由主義が生み出した諸状況が、一方でトランプ米大統領やフランスのマリー・ルペンのような民主主義を危機に陥れるポピュリズムを生みだした。

 その他方で民主主義の「機会」を生むポピュリズムを育み、「抵抗の年」といわれる2011年以降の世界各地で展開された「大規模かつ民衆的な民主主義的政治運動」―エジプト・ムバラク打倒運動、米国のオキュパイ運動やサンダース支持運動などである。

 日本では3・11後の反原発運動、反秘密保護法運動、反安保法制運動など、従来とは異なった運動である。
「これらの運動がみな公共空間における大規模集会を志向し、実現してきたのは、多種多様な人々を『人民の集合体』に結実させ、かつて左翼・リベラル勢力が領有していた公共空間における陣地を奪還するため」と指摘されている。
(大月書店2400円)
「ポピュリズムと…」.png
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2017年11月19日

【今週の風考計】11.19─世界から日本へ、218もの人権改善勧告

国連の人権理事会が、日本の人権状況に関して、約5年ぶり3回目の定期審査を行った。このほど世界106カ国から出された218の勧告が報告書にまとめられた。多かったのが人種や男女差別、性や地域少数者への差別をなくす取り組みへの勧告だった。

特筆すべきは、沖縄の人々の人権や社会権の保障を促す勧告が、初めて盛り込まれたことである。翁長・沖縄県知事が国連で訴えた「基地押し付けの構造的差別や人権侵害」、また山城博治議長の長期拘束への異常さなど、世界が認識したからである。
慰安婦問題では中国や韓国などから「深く謝罪し、被害者に補償せよ」との勧告が出されている。福島第一原発事故に関連して、被災者の命を守る措置を拡大し、子どもが放射線被ばくによって受ける被害の大きさについて、正確な情報を学校教材に記載するよう求めている。

メディアに関連するテーマでは、「報道の自由」が萎縮しないよう、特定秘密保護法の法改正などを求める勧告、また政府によるメディア規制が、放送法4条を恣意的に使って、進められていることが批判され、この放送法第4条の「廃止」とともに、独立した第三者による監督機関の設立を求める提起が米国から出された。
いまやテレビでは安倍政権を代弁するかのようなコメンテーターばかりが重宝され、放送メディアは完全に腰砕け。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという体制が完成してしまっている。公権力のウォッチ・ドッグ=監視役としての「報道の自由」が阻害されている。

これらの勧告に、どう日本政府は対応するのか。受け入れるのか否か、来年3月までに態度表明しなければならない。またも木で鼻をくくったような弁明を繰り返せば、物笑いの種になるだけ。(2017/11/19)
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2017年11月18日

《支部リポート》5月末記念総会の記念講演 九州民放OB会と共催=白垣詔男

5面 吉野嘉高さん.jpg
 この数年、福岡支部最大の企画は5月末の定期総会で行う記念講演だ。2011年からは九州民放OB会と共催になった。九州民放OB会は毎月「勉強会」を開いており、それならと5月の勉強会を共催にしてほしいとJCJ側が申し入れて実現させていただいた。民放OBにはJCJ福岡支部会員が多数いるのも交流促進に弾みをつけている。
 2015年、「IS(イスラム国)問題」が世界を揺るがし始め、後藤健二さんら2人が殺された後には、長崎県出身の元長崎放送記者でジャーナリスト常岡浩介さんを、同僚だった民放OBが紹介してくれた。一般公開した結果、百人近くが詰めかけ大盛況だった。
 今年は、九州民放OB会が紹介してくれた筑紫女学園大学教授の吉野嘉高さん。筑紫女学園大学は昨年、日本会議会員が理事長に選ばれたものの選考過程で瑕疵があったとして、教職員から「就任無効」の訴えが起こされ、福岡地裁でそれが認められた。その理事長は就任できず1年間、理事長不在だった。一時は「大阪の森友学園、福岡の筑紫女学園」とも言われたほどだった。
 講師の吉野さんは、1986年にフジテレビ入社、ディレクター、プロデューサー、社会部記者などを務めた後、2009年に退社して筑紫女学園大学で教えるようになった。昨年3月には「フジテレビはなぜ凋落したか」(新潮新書)を出版している。
 吉野さんの演題は「右傾化する教育現場」で、徐々に右傾化する大学の実情などについて話してもらった。吉野さんは、自らに直接圧力がかかるようなことはないが文科省の動きから教育現場が右傾化している危機感を訴えた。また、最大の問題は学生の意識で、スマホなどネットに支配されている学生の日常行動を観察すると、ネット情報を鵜呑みにして自ら考えようとしないことも若者の右傾化につながっていると指摘された。現在、筑紫女学園大学に対する日本会議の影響は感じられないという。
posted by JCJ at 18:44 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月15日

《沖縄リポート》米軍ヘリ墜落抗議集会に200人参加 飛行再開に県民さらなる怒り=浦島悦子

 突然の衆議院選が公示されて2日目の10月11日夕刻、私たちは、沖縄3区の玉城デニー・「オール沖縄」候補の女性集会に参加すべく、名護から沖縄市へとマイクロバスを走らせていた。高速道路が金武町(米軍中部訓練場)に差し掛かると、山肌から黒煙が上がり、米軍ヘリが消火バケツをぶら下げて飛んでいるのが見えた。実弾演習による山火事だ。ほぼ同時に、同乗者のスマホに「米軍ヘリ墜落」の緊急着信が入る。この時点で場所は不明だったが、同時進行の事態にバス内は騒然となった。
 集会で挨拶した玉城氏は、事故が北部訓練場近くの東村高江で発生したことを報告。挨拶後、すぐに高江へ急行した。「米軍ヘリが住宅から200メートルの民間の牧草地で炎上・大破」のニュースと生々しい映像は瞬く間に全島を駆け巡り、昨年12月の名護市安部海岸へのオスプレイ墜落・大破の恐怖もさめやらない県民を震撼させた。
 翌12日朝には衆議院選沖縄1〜4区の「オール沖縄」候補全員が沖縄防衛局に抗議に出向いた。選挙中の事故に安倍晋三首相は異例の迅速な対応を行い、防衛省と外務省が米当局に「原因究明と再発防止の強い申し入れ」を行ったというが、現場では、民間地にもかかわらず米軍が事故後直ちに規制線を敷き、かけつけた翁長知事も東村長も近づくことさえできない。事故を起こしたCH53E大型輸送ヘリは、04年に沖縄国際大学に墜落したCH53Dヘリの後継機で、回転翼にストロンチウム90が使用されており、炎上してベータ線が飛散した可能性があるが、沖縄県は立ち入り調査を拒否された。
 事故を最初に目撃した牧草地の地主・西銘晃さんは内部被爆の懸念に加え、刈り入れ寸前の牧草、近くで飼っている豚の出荷もできなくなるなど生活手段を奪われ、怒り心頭だ。事故現場は県民の飲料水の水がめである福地ダムに近接しており、一歩間違えば給水停止になる可能性もあった。
 15日に北部訓練場メインゲート前で開催された緊急抗議集会には、地元・高江や東村をはじめ全県から200人が参加。口々に「北部訓練場の全面返還」「全基地撤去」を訴えた。しかし米軍は、原因究明もしないまま、18日から同型ヘリの飛行を強行再開。県民のさらなる怒りを買っている。
 
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2017年11月12日

【今週の風考計】11.12─国民の血税を勝手にプレゼントするな!

「税を考える週間」があるとは知らなかった。国税庁は11日から17日までキャンペーンを張る。アクセスしてみると<租税の意義、役割や税務行政の現状について、より深く理解し…、自発的かつ適正に納税義務を履行していただく…>とある。

ちょっと待てよ。確か国税庁トップは、あの佐川宣寿さんではなかったか。国会で「森友問題」をめぐり厳しく追及された財務省理財局長、ご当人である。「森友」への国有地払い下げに関し、「書類や記録は廃棄済み、電子データも復元できない」と公言し続けてきた。
その御仁が栄転し、国税庁長官に就いている。記者会見も開かず、国民に謝罪するどころか、自分は書類を廃棄しておいて、納税者には書類は隠すな!では、誰がまじめに「納税義務を履行して」いけるか。

このほど会計検査院は「森友」への国有地払い下げ6億円の値引きは、過大であったと指摘した。値引きした6億円の損失を血税で穴埋め!冗談じゃない。
安倍首相も同じ穴のムジナだといいたい。トランプ大統領の娘イバンカさんが来日するやいなや、「イバンカ基金に約57億円拠出する」とブチあげた。自分の財布でもないのに、「国民の血税」を使って、勝手にプレゼントする。「いい加減にしてくれ」との声が広がる。

さらに「米国から導入するF35Aや新型迎撃ミサイルに加え、イージス艦の量・質も拡充したいので、さらに武器購入を増やしていく」と、シンゾーはドナルドに尻尾を振る。霞が関も永田町も国民の血税を、なんと心得る!(2017/11/12)
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2017年11月09日

≪おすすめ本≫阿部 岳『ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実』 米軍ヘリパッド建設─反対する住民を暴力で排除する現場で闘う記者魂=鈴木耕(編集者)

 10月11日、沖縄県東村高江区の人家から、わずか300メートル離れた私有地に米軍の大型ヘリが墜落した。この事故を沖縄の記者たちは、どんな思いで受け止めたか? 本書の著者である「沖縄タイムス」の阿部岳記者の心の中は、あの高江だからこそ、煮えくり返らんばかりだったろう。

 那覇からは車で高速道路を使っても、2時間以上かかる沖縄本島北部の静かな村。その中心部から、さらに離れた高江という、わずか150人ほどが住む集落を取り囲むように、6カ所の米軍ヘリパッドが造られた。
 静かな住民の暮らしを根底から破壊するもの以外の何物でもない。しかも、あの危険な欠陥機オスプレイの訓練に使用されることすら、住民には事前に説明されなかった。当然、長い反対運動が始まる。

 沖縄県民でさえ聞いたこともないような僻地での孤独な闘いに、沖縄の記者たちは通いつめる。そしてそこで見たもの、体験したことこそ、初めて目にするほどの異様な「国家の暴力」だった。
 日本全国から投入された機動隊の荒々しさ。記者を拘束し、住民に「土人!」と罵声を浴びせ、抵抗者は逮捕。微罪で5カ月も長期勾留された山城博治さんの事例など、本書は「国家の暴力」そのものを抉りだす。

 私は阿部記者とは少し面識がある。冷静沈着で温和なジャーナリストだ。その著者がこれほど檄した文章を紙面に叩きつけざるを得なかったところに、沖縄の怒りと悲しみが見える。圧政とデマと偏見に抗して闘う記者魂に胸が熱くなる。
(朝日新聞出版1400円)
「沖縄  国家の暴力」.jpg
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2017年11月07日

《ワールドウォッチ》TSの“首都”は陥落したが、テロの脅威は続く=伊藤力司

 2014年6月にイスラム過激派のTS(カリフ制イスラム国)が、シリアとイラクの広範な地域を版図として成立したことが宣言されてから3年4カ月。今年7月にTSが占拠していたイラク第2の都市モスルの解放に次いでこの10月中旬、“首都”ラッカも陥落した。
 これでTSの拠点はほぼ消滅したが「カリフ制国家」のイデオロギーは消滅したわけではなく、これからも世界各地でテロ事件を引き起こす怖れが充分あると専門家は指摘している。カリフとはイスラム教の開祖ムハンマドの「後継者」、かつてイベリア半島から中東、中央アジア、東アジアにまで広がったイスラム大帝国の支配者を意味するアラビア語だ。
 シリア北部に位置するラッカはTSの“首都”とされ、モスルの陥落後もTSのエリート部隊に守られていた。米軍の支援を受けたクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」は、4か月以上に及んだ奪還作戦の末、10月17日にラッカ解放を宣言した。
最盛期の2014年にはシリア北西部のアレッポからイラク国境までの全域を支配する勢いだったTSは、東部デリゾール県の小さな領域だけに追い込まれた。TSは根拠地を失ったわけだが、自爆攻撃やヨーロッパなどでのテロ活動を続ける可能性を失ったわけではない。
 イスラム過激派の政治暴力に詳しい英国の専門家C・ウィンター氏は「TSのイデオロギーはカリフ制国家が消滅した後も長く存続する」と指摘、現代のイスラム過激派は「カリフ制国家」の樹立宣言で、世界中のイスラム教徒に9世紀から16世紀まで中東を支配した「イスラム帝国」へのノスタルジーを掻き立てたと指摘した。
 西欧キリスト教社会で2級市民扱いを受けているイスラム教徒の2世、3世たちが、あちこちで起こすあれこれのテロ事件の遠因は、数世紀に及ぶこうしたイスラム教徒対キリスト教徒の対立関係にある。TSが事実上消滅したからと言って、イスラム教過激派のテロを根絶やしにすることはできない。


posted by JCJ at 17:24 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月05日

【今週の風考計】11.5─読書しない高校生へ、この漫画は逃すな!

▼「読書週間」が始まっている。70回目を迎える。だが電車の中はスマホばかり。全員が指操作に夢中の車両もマレではない。▼高校生が本を読まない割合は57.1%、5人中3人が本をまったく読まない事態だ。読書時間が世界1位のインドでは週10.7時間、日本はその半分以下の週4.1時間である。もはや読書習慣すらない。

▼出版界の現状にも反映する。今年の出版物の販売金額は1兆4千億円前後と予測される。 1996年のピーク時の2兆6563億円に比べれば、この20年間で販売額は半減してしまった。加えて雑誌の売り上げは前年比マイナス14.1%に加え、返品率は最悪の40%を続けている。深刻な事態となっている。
▼書店数も半減し1万店を割るのも近い。書店がゼロの自治体・行政区は420にものぼる。全体の2割に及ぶ。町の本屋さんがつぶれているからだ。嘆くだけでは能がない。じゃあ、どうするか。

▼80年前の1937年に刊行された吉野源三郎『君たちはどう生きるか』を、マガジンハウスが漫画化して刊行した。発売して2カ月で33万部の売り上げを示すヒット作になった。いまなお売れ続けている。先月25日に「異例の10万部重版」(8刷)を決めた。8刷分は11月6日から市場に投入される。
▼読み継がれてきた名著を、新しい感覚で一工夫しての刊行が、若い世代にアピールした好例である。はじめから読書が嫌いなのではない。58回を迎える神田古本まつりも、東京・神保町で開かれている。この宝の山から、名著を新たに掘り起こし復活させるのもいい。(2017/11/5)
posted by JCJ at 12:22 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

≪リレー時評≫ ヒトへの汚染放置で再稼働が進む=中村梧郎

 大病院でX線撮影をした。右肺に小さな影があった。医師は「要注意、CTで変化を見る」と言う。肺癌の疑いである。
 私には思い当たるフシがあった。6年前の福島原発爆発のすぐ後に浪江町に入った。道路には地震による地割れが幾筋もあった。それを腹ばいになって撮った。筋目に入っている黄色い綿が呼吸で舞い上がる。後の報道で判ったのだが、その場所は原発から噴出した放射性粒子のプルーム(集合雲)が地表を通過した地点であった。黄色い物体は原発を覆っていた断熱材の粉塵。粒子はそれにも付いている。
 球状粒子はセシウムやウラン、プルトニウムやストロンチウムの混合物である。だが煙のひと粒よりも小さい球体だから目には見えない。吸い込んでも気づかない。
 数ヶ月後に喘息の症状が出た。初めてである。近所の医者は「老人性喘息、お大事に」と薬をくれた。しかし治らない。昼夜を問わぬ咳込みは、あるときピタリと止まった。なぜかは判らない。

 この一件を、X線写真を見た大病院の医師に伝え「内部被曝ではないか」と聞いてみた。しかし答えは「もしも肺の内部にまで影響する被曝があったのなら全身がやられてひどい状態のはず、そうなっていない」だった。
「それは外部被曝の概念ですね、でも、粒子が肺に入れば数ミクロンしか飛ばないアルファ線であっても周辺の何十万個もの細胞が破壊されて発がん要因になりますね」と重ねて尋ねたが回答は無かった。こんな言い合いで治療を拒まれても困るのでそれ以上はやめた。放射線医学で重視されてきたのは外部被曝、という噂は本当だったのかもしれない。
(→続きを読む)
posted by JCJ at 10:08 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月31日

《月間マスコミ評・テレビ》東京MXが“まともな”沖縄報道=隅井孝雄

 東京MXテレビの「ニュース女子」(1月2日放送)が、沖縄の高江ヘリポート建設反対運動を誹謗した“偽ニュース”を流し、問題となって10カ月たった。訂正し謝罪を求める視聴者、市民の抗議行動は今でも続いている。10月12日の「沖縄への偏見放送をゆるさない会」によるMX本社前での抗議行動は24回を数える。テレビや新聞が一切伝えないことは問題だ。おりしも10月11日、高江の集落近くに米軍ヘリが墜落、炎上した。沖縄の人々のへリポート建設反対運動で懸念された危険が現実になったのだ。今回もメディアは「不時着、炎上」と報じた。米軍や政府が「不時着」としたからだ。政府自身が「偽ニュース」の発信源となっている。
 「ニュース女子」は右翼論客を登場させるネット番組で知られる制作会社DHCシアターが作った。親会社のDHCは化粧品、健康食品会社であり、番組スポンサーでもある。DHCは抗議を受けても「反対派の言い分を聞く必要はない」など開き直った。しかし、BPO(放送倫理・番組向上機構)で番組内容の適否や倫理違反の有無について審議が行われている。
 そのMXテレビが沖縄についての報道特別番組を放送した。「沖縄からのメッセージ〜基地・ウチナンチュウの想い」(9月30日放送)は「非武の邦」といわれた琉球王国にさかのぼり、廃藩置県の名のもとの本土併合、第二次大戦の沖縄地上戦、戦後の米軍統治、日本復帰と、歴史をたどりながら、米軍基地の下での沖縄県民の苦悩が描かれた。
 同局の番組審議会が「多角的視点から再取材を求める」としたことから、沖縄の取材経験が豊富なジャーナリスト吉岡攻氏に依頼され、まともな報道番組になった。一部基地容認派のインタビューもあるが、沖縄の現状が浮き彫りにされた。
 しかし沖縄での反基地運動に対する中傷攻撃は続いている。「琉球新報」(10月8日)によればオキラジ(沖縄市)、FM21(浦添市)など5局で放送されている「沖縄防衛情報局」という地域FMの1時間番組が「基地反対闘争の連中が人を襲い、リンチもやる」「中国人や韓国人はうそつきだ」などと放送を続けている。スポンサーは「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」、司会はその代表の我那覇真子さんらだ。
 アメリカだけではなく、日本でも横行し始めたフェイク(偽)ニュースに対抗する、真実の報道が求められている。
posted by JCJ at 10:23 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月30日

《編集長EYE》 「防刃チョッキを着て会見に臨んだ」=橋詰雅博

 9月号のこのコラムで前川喜平氏のインタビュー番外編を紹介した。10月号は「番外編2」をお届けする。

 前川氏は5月25日、東京・霞ヶ関の弁護士会館で記者会見を開いた際、代理人の三竿径彦弁護士を同席させた。当初は違う場所で、一人で会見に臨むつもりだったが、その気持ちが変わったのは、22日に読売新聞が報じた「出会い系バー」の記事が原因。これは自分の身を守るために弁護士が必要と思ったそうだ。相談した友人から三竿弁護士を紹介された。

 「電話で代理人になってほしいとお願いしたとき、三竿さんは『相手(安倍晋三首相)が大きすぎる、大きな法律事務所の方がいいのではないか』と躊躇されました。これに対して私は『正義感のあるうってつけの弁護士と友人がほめていましたよ』と答えた。結局、引き受けてくださいました」

 会見当日、三竿弁護士は、自ら購入してきた刃物を通さない防刃チョッキを前川さんに渡し、ワイシャツの下に着るようにと指示した。

 「(暴漢に襲われるなど)万が一のことを考えて用意したのだと思います。会見場はエアコンのスイッチが入っていなかった。防刃チョッキを着たせいもあり顔から汗が噴き出た。記者から質問された出会い系バーについて答える自分の映像をテレビで見たが、汗が流れるシーンを捉えていた。視聴者は『焦っている』という印象を持ったでしょうね。あの会見以降、防刃チョッキは着てきません」

 家族もバックアップした。

 「女房は録画した民放各局のワイドショーを見て、出演していた田崎史郎さん(時事通信社特別解説委員)や山口敬之さん(元TBS記者)はこんなコメントしていたと私に教えてくれました。30代で社会人の2人の息子も協力。特に次男からは私がプレスリリースなどを書いていると、『オヤジ、遺憾を言語道断に直した方がいい』などとアドバイを受けた。息子が文章を直すと全体的に語調が強くなった」

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年10月25日号
posted by JCJ at 12:44 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月29日

都有地を五輪選手村用に投げ売り 「都政版森友疑惑」裁判11月17日第1回口頭弁論=橋詰雅博

 東京五輪・パラリンピック選手村建設用地を巡り注目すべき訴訟の第1回口頭弁論が11月17日、東京地裁で開かれる。この裁判は、中央区晴海5丁目の都有地(13・4f)を市場価格の10分の1で、選手村を建てるデベロッパー11社に不当に安く売却したとして、都を相手取り、都民33人が小池百合子知事や舛添要一前都知事、建設業者らに差額分約1209億円を請求するように求めたものだ。国が国有地を約8億円値引きして森友学園に売却した森友疑惑の「都政版」とも言える。都が棄却した住民監査請求に続き裁判でも原告側代理人を務める淵脇みどり弁護士(59)に聞いた。

都が「一人3役」

――監査請求の結論で監視委員の「意見」が付けられていたが、異例ではないか。
 住民監査請求の結論は、行政担当者の反論を追認するケースがほとんどだが、今回、意見が付されたのは異例だと思う。その意見は〈再開発法に基づき、都が地権者、施行者、認可権者の3つの役割を併せ持つことにより土地処分を巡る手続きが,中立的かつ公正な監視や牽制の下で行われないとの懸念を生む状況が生じた〉と指摘。さらに〈今後、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞くなどの内部牽制体制を強化し、細やかな対外説明を行うなどにより、これまで以上の透明性の確保に努められたい〉と強調している。
 これは請求棄却と明らかに矛盾しているが、この問題の核心を衝いている。裏を返せば、ひどい形で本件が進んでいるのです。

 ――都のような「1人3役」による市街地再開発事業はほかの自治体であるのか。
 監査委員が聞いた都都市整備局担当者の説明が監査結果に述べられている。自治体が個人の地権者として個人施行の再開発事業を行った事例は5件あるが、都のような「1人3役」の事例はなく、極めて異常であることが鮮明になった。本来の市街地再開発事業の目的や仕組みなどから大きく逸脱している。実態は都による更地の直接売買であり、しかも適正価格の10分の1という廉価でデベロッパー11社に売却した。

背景に官民癒着

――都が東京ドーム3個分にあたる土地を投げ売りした理由は。
 再開発事業の手法を悪用したこんな頭のいいやり方を都だけで考えたわけではないと思う。デベロッパー11社のうち7社に都幹部12人が天下りしている。今回の事業だけでなく、都と民間業者の癒着が恒常的にあるのではないか。デベロッパーにとって再開発事業は建築物の容積率アップの実現や公に地上げができて、自治体から補助金も受け取れ、建てたマンションなどを売却(東京五輪の場合、終了後に選手村にマンションなどが建てられ、デベロッパーが販売)できる。おいしい話です。再開発事業では行政と民間業者は密接な関係になっている。

――そもそも都民が被るデメリットは何か。
 仮に1209億円を回収できれば、都の予算に組み入れられ、福祉や教育などの分野にお金が回され充実する可能性がある。しかし、本来、回収できるお金を回収しないので、財政面で損害が発生し、結局、納税者への公共サービスなどの低下につながる。本件は、国有地を8億円値引きして売った「森友疑惑」と同じ構図です。

聞き手 橋詰雅博
    ☆        ☆
 「都政版森友疑惑」裁判の第1回口頭弁論は11月17日(金)、13時30分から東京地裁419号法廷で開かれる。傍聴に参集を。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年10月25日号
posted by JCJ at 21:59 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】10.29─ジャーナリスト殺害事件と「産経抄」

去る16日、マルタ島の女性記者ダフネ・カルアナガリチアさんが、移動中の車ごと爆殺された。彼女はタックスヘイブンに関わる「パナマ文書」の調査報道に参加していた。また同国ムスカット首相の妻が、パナマに会社を設け資産を隠していた経緯も追求していた。

この事件を、なんと19日の産経新聞1面コラム「産経抄」が、「日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない」と書いた。江川紹子さんは、ツイッターで「人でなし、とはこんなものを書く人のことを言うのだろう。人の無残な死を、同業の者として、まずは悼むということが、せめてできないのだろうか」と。同感。

24日、ジャーナリストの伊藤詩織さんが会見し、同業ジャーナリストが自分に加えた性暴力被害の実態を明かし、日本の司法・社会システムのありかたについて課題を提起した。

ジャーナリストへの脅しや殺害の脅迫、そして暴力は世界中に広がっている。この10年だけでも800人近くが死亡している。7割近くは「銃撃戦や危険な取材活動によって命を落としたのではなく、むしろ政府の腐敗、犯罪、麻薬取引、反体制派の活動を取材した報道内容に対する<報復>として殺害されている」という。かつ犯人は見つからず、見つかっても処罰されず、放置されている。
こうした事態を解決するため、国連は11月2日を「ジャーナリストへの犯罪に対し、不処罰をなくす国際デー」と宣言。今年は4年目となる。世界各地のジャーナリストに安全な環境を整備し、表現の自由を守り人権を前進させ、民主主義を強めるアクションプランを展開している。「産経抄」の筆者も煎じて飲むとよい。(2017/10/29)
posted by JCJ at 11:32 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする