2023年12月29日

【焦点】晴海選手村マンション建設で中央区に入るべき開発協力金51億円のうち37億減額 不可解な行政の優遇ぶり 問題化=橋詰雅博

 東京都が9割値引きという超格安で開発業者に売却したのは許せないと都民が提訴している問題の用地、晴海五輪選手村跡地に建設中だったマンション群(HARUMI FLAG)が完成した。分譲・賃貸含め5632戸の住宅が生まれるこの新タウンには約1万2000人が住む。大きな小中学校や特別出張所、認定こども園・図書館・保健センター・お年寄りセンターが入る大型複合施設などが建設される。
 来年1月から住民の入居が始まるが、中央区による開発業者への優遇ぶりが改めて問題化している。
 中央区には新しい住戸が完成すると開発業者から開発協力金として1戸当たり100万円を要求する要綱(ただし40u以下のワンルームを除く)がある。この開発協力金は、大規模マンション建設の人口急増に対応するため区の行政サービスの負担が増えることから業者に一部負担を協力してもらうというのが趣旨。実際、HARUMI FLAGでは学校、出張所、施設複合が建設され、職員も大幅に増やさなければならない。

 見込まれる開発協力金は51億円。ところが中央区は板状棟マンション(外観が横に長い建物の一面に住宅が並んでいて、玄関は外廊下と向い合せに設計)3700戸分の37億円を免除した。オリンピック要因だとした免除理由はこうだ。
@ 選手村住宅はパラリンピック対応のため共有部分の廊下を拡張。
A 選手が集い憩える空間確保のため駐車場を地下に集約し、工事費を開発業者が負担。
B オリパラ組織委が選手村として借り上げ使用する期間に生じた金利は開発業者が負担。
C 開発業者が住宅と併せて整備した商業施設は地域に貢献。
 これらを総合的に勘案した中央区は、選手村住宅建設は要綱提要対象外とした。
 しかし、これらの4つの理由のどれを見ても行政サービスを減らす要因は見当たらない。減額する真っ当な理由はないのだ。

 結局、オリンピックとは無関係の建設中タワーマンション分の開発協力金14億円だけが中央区に開発業者から納金される。
 オリンピック要因を理由に東京都と中央区から2重サービスを開発業者が受けた。片や土地の投げ売り、一方で37億円放棄、行政側による不可解極まりないやり方と言える。
 なお一審、控訴審で敗訴した五輪選手村訴訟の原告は、12月11日最高裁に上告した。

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2023年12月28日

【おすすめ本】大森淳郎『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』―ラジオは戦争を煽ったのか、痛恨の史実を暴き出す=永田浩三(武蔵大学教授)

  著者は、テレビ界の良心として知られるドキュメンタリーの名手である。ETV特集と『放送研究と調査』の論文をもとに14年かけて完成。今年の毎日出版文化賞に輝いた。
 ラジオはこれまで心ならずも戦争への協力を強いられたとされてきた。わずかに残る原稿、録音、関係者の証言から、戦争を自ら煽った事実が次々に明らかになる。
 盧溝橋事件の放送原稿を見てみる。放送では日中両軍の緊張を高めるよう、同盟通信が配信した原稿を書き替えていた。軍の方針を後押しする。これがニュースの編集方針だった。

 1941年の九龍半島への攻撃を伝える録音が見つかった。砲弾が空気を切り裂いて飛ぶ。炸裂する轟音の中を逃げ惑う人たちの悲鳴が聞こえる。臨場感あふれる構成は戦争の悲惨を訴えるのではなく、中国民衆と対比し日本人の幸福を際立たせる創意工夫だった。

 こんな逸話がある。米国で教育学を学んだ西本三十二は、1930年、大阪放送局(BK)での収録で、女性は非戦を体現する存在で、世界平和のために果たす役割は大きいと語った。検閲担当者は軍への侮辱だとして再考を求めた。BKは一計を案じる。検閲逃れのために大阪ではなく広島から発信することで、全国放送を実現した。当時はまだ裁量が残っていたのだ。その後、西本は放送に転じるが、教養・教育番組もすでに軍の宣伝の道具に変わりはててた。戦争にどう協力するか、これが当時の放送人の唯一のものさしだった。
 今はどう違うのか。自身に突き付ける著者の問いは重い。(NHK放送文化研究所3600円)
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2023年12月26日

【おすすめ本】いとうせいこう『今すぐ知りたい日本の電力 明日はこっちだ』―電気代高騰と再エネの窮地 この危機を好機に変えるための1冊=坂本充孝(ジャーナリスト) 

 いとうせいこう氏といえば、作家であり、クリエイターであり、音楽シーンを席巻するラップのパイオニア。NHKの朝ドラに登場したりもする。そんなマルチな才能の持ち主が緊急出版したのが本書である。
 テーマは「日本の電力」だ。原発に代わる再生可能エネルギーの専門家、5人に自らインタビューして現状、未来への可能性などを聴いている。

 いとう氏が、なぜ電力なのか。答えは前書きにある。「僕自身が『いとうせいこう発電所』を福島に持ち、太陽光でつくった電気を限られた契約者の方に売ってみているからだ」「誰でも発電できる世の中になったのだとわかりやすく構造の変化を示したいからであった」。ところが昨年末の岸田内閣の大方向転換、原発政策回帰以来、にわかに再生エネは旗色が悪くなったかに見える。そうした状況に深刻な危機感を抱いたからだという。

 インタビューでは電力高騰の理由を元東京電力社員にからくりを聴く。一方で、蓄電池を活用したオフグリッドの自由さ、太陽光発電+農業のソーラーシェアリングの未来などを当事者に語ってもらっている。 
 また福島県南相馬市で電気の産直を軸に復興を目指す農家の意見や、エネルギー転換が進む欧州の現状を知る専門家の「原発は高コスト」という分析も収録している。 

 いとう氏は、2011年3月の福島第一原発事故以来、被災地に足を運び、被災者の声を聴いてきた。そして時代遅れの原発の限界と罪を痛感。電力をみんなで分けあうシステム構築を模索している。そして叫ぶのが、このひとことだ。
 「明日はこっちだ!」
(東京キララ社、1600円)
                 
明日はこっちだ_.jpg
 
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2023年12月25日

【リレー時評】米政府、ガザ侵攻支持で信用失墜=吉原 功(JCJ代表委員)

 パレスチナのガザ地区を実行支配しているイスラム組織ハマスがイスラエルへの大規模攻撃を仕掛けた。イスラエル軍報道官が「米同時多発テロと真珠湾攻撃を合せたような衝撃だ」と述べたというから、その怒りが如何ばかりか想像に難くない。
 イスラエルは直ちに反撃をはじめた。ネタニヤフ同国首相の「ハマス絶滅戦争だ」という言葉どおりイスラエルの攻撃はパレスチナ全体を絶滅させるような激しさだ。バイデン米大統領は「まさに悪の所業だ」とハマスを断罪し、ブリンケン国防長官をイスラエルに送った。「イスラエルの自衛権に対するアメリカの揺るぎない支持を明確に示す」ために。
 市民を殺害したり、人質として連れ去ったりしたハマスの暴挙が、無論許されることではないだろう。しかし世界大戦後突然やってきてパレスチナ人の生活空間に突然入り込んで以降、イスラエルは何をやってきたのか。ホロコーストの怨念をパレスチナ人に向けてはらし続けてきたのではないか。

 米欧を中心にハマスの暴挙を非難して止まなかった国際世論はしかし、急速にイスラエル批判に転じつつあるようだ。子供だろうが病人だろうがハマス抹殺のためには殺害するというイスラエルの「戦争」は許せないとの声が大勢を占めつつありその批判はバイデン米政権にも向けられている。同大統領はネタニヤフ首相を訪ねて、「その勇気と決意と勇敢さは驚くべきもの」と称賛し、イスラエル支援継続を鮮明にしているからだ。
 ウクライナに侵攻したロシアに対しては厳しく断罪し、パレスチナに侵攻しているイスラエルは支援するなど米国の二重基準も問題になっている。

 インド、トルコなどが疑義を申し立て、共同声明を出せなかったマルタでの第3回ウクライナ和平会議がその象徴だ。」
 米国内でのイスラエル、米政権批判は、政権、否米国にとってもっと深刻だろう。イスラエル建国以来、米国内のユダヤ社会は米国政治の重要な要素だが、1996年設立の「平和を求めるユダヤ人の声」という、米国内に70組織、会員約44万人の運動体が「パレスチナのジェノサイド止めろ」と声を上げているという。国務省の高級役人が政府のイスラエル政策を批判して辞職したという話題もある。バイデンに投票したイスラム教徒は当然のことに次回選挙では別の投票行動をするだろう。

 国内的にも国際的にも米政府は信用を失い、国内の分裂は深刻になりつつある。このような国とピッタリと寄り添う日本の選択はそろそろ変えなくてはなるまい。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
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2023年12月24日

【月刊マスコミ評・放送】ほとんど改善ない民放の女性比率=岩崎貞明

  民放労連がこのほど「民放テレビ・ラジオ局女性割合調査報告」を公表した。これは、民放労連女性協議会が五年前から毎年取り組んでいる調査で、全国のテレビ局・ラジオ局の役員(取締役・監査役。顧問・執行役員は含まない)の女性比率を明らかにしたものだ。こうしたデータを自社のウェブサイトで公表している局もあるが、公表していない局については女性協が加盟単組などを通じて独自に集計した。詳細は民放労連のサイトをご覧いただきたい。

 公表された2022年度データでは、在京テレビ局は2017年度に7社中5社(⽇本テレビ、テレビ朝⽇、テレビ東京、フジテレビ、NHK)で女性役員ゼロだったものが、今回初めて全局に一人は⼥性役員がいる状態になった。しかし、全国のテレビ局の63・8%、ラジオ局の72・4%で⼥性役員がいまだにゼロ。女性登用について民放業界は、わずかな改善しかみられていないことがわかった。ちなみに、事業者団体である民放連の各委員会の委員長は放送局のトップクラスが務めているが、こちらも現状では女性ゼロだった。

 また、全国に放送するコンテンツを制作する影響の大きさから、在京キイ局の制作部門の女性比率も算出している。概ね以下の通りだった(抜粋)。
・在京キイ局の平均女性割合は、社員25・4%に対して、役員8・3%、局長16・8%、管理職18・1%。
・コンテンツ制作・編成部門の社員20・3%に対して、コンテンツ制作・編成部門の局長(相当)8・0%(27ポスト中、女性2名)。
・スポーツ部門の平均が13・5%と特に低い。

 さらに、⼥性活躍推進法改正に基づき、昨年7⽉から常時雇⽤労働者 301⼈以上の事業主を対象に、男⼥間賃⾦格差の開⽰が義務付けられている。これについても放送局を調査したところ、男性を100とした男⼥間賃⾦格差は、在京キイテレビ局で平均81・0、在阪テレビ局で平均76・1だった。年収が高い管理職以上の女性比率が低いことなどが反映しているとみられる。
 これらの調査結果を踏まえて、女性協は次のように提言している。

「各社、⽇本のジェンダーギャップ指数125位の低さについて報道していますが、⾃社の⾜元を⾒直すべきなのではないでしょうか。⺠放各社や⺠放連が、現状を直視して⾃主的に数値的⽬標を掲げ、⽬標達成のための具体的な計画を⽴て、実⾏しないことには、意思決定層に⼥性を増やすことはできません」
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
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2023年12月23日

【出版トピックス】北海道や香川での地道な出版活動にエール!=出版部会

「北海道デジタル出版推進協会」は、北海道で出版された本で、道外の人が入手困難な作品を電子化して全国に売る事業を始めている。現在販売している電子化した会員出版社の書籍・雑誌は約1050点。電子書店で一般向けに販売する。
 史上最悪の被害とされた苫前町の三毛別ヒグマ事件を記録した木村盛武『慟哭の谷』(共同文化社)が良く売れているという。do.jpg

2023年下半期の直木賞にノミネートされた作品には河ア秋子『ともぐい』(新潮社)がある。内容は「明治後期の北海道の山で、犬を相棒にひとり狩猟をして生きていた熊爪は、冬眠していない熊「穴持たず」を追っていた。人と獣の業と悲哀を織り交ぜた、理屈なき命の応酬の果てに待つ運命がすべてを狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河崎流動物文学の最高到達点!!」と紹介されている。
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小豆島などがある四国の香川県で建築家の安藤忠雄さんが提案する、本を積んだ船「図書館船」を2025年春に運航開始することになった。県内の島などを行き来して、本の閲覧などを促進する「図書館船」は、子どもの郷土愛を育み、地域活性化や離島との交流拡大に役立つ。
 この5月に安藤さんから「3000冊程度の図書を搭載できる小型の船舶を取得して改造し、来年末までに県に寄贈するので、子どもたちのために有効活用してほしい」という意向が示されていた。

香川県・高松市に“ひとり出版社”を立ち上げた作家の佐々木良さんが、万葉集を現代の言葉で読み解いた本を刊行。これまでの発行部数、計20万部・1億円を売り上げというヒット作となった。高松市内の小さなオフィス(家賃は月4千円)を拠点に、執筆から販売までひとりで手掛けて出版した。
 また8月に、ユニークなシステムの“ひとり書店”が丸亀市にオープンした。地元出身の藤田一輝さんが立ち上げた。店内には四方30センチほどの本棚スペースが60、このスペースを一般に貸し出している。本棚ひとつひとつが “個人経営の書店”として、思い思いに自分でセレクトした本を置き販売できる。

黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)が1981年3月6日に刊行されて42年。ついに全世界で2500万部を突破し、「世界一売れている自叙伝」として、この12月14日、ギネス世界記録に認定された。
 国内では現在まで108 刷と増刷を重ね、単行本だけで 585 万部、文庫版などの形態を含めると、800 万部以上を売り上げている。世界では20 以上の言語で翻訳され、特に中国では小学校の教科書にも収録され、1600 万部を記録している。
 なお『続 窓ぎわのトットちゃん』も発売2カ月で 50 万部を突破、初の映像化となるアニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』も好評だ。

10月から始まった「インボイス制度」について、フリーランス協会が調査した結果、フリーランスの41.5%が登録し、34.9%が登録せず免税事業者を継続している。報酬については「変わらず」が55.9%、「一方的な通知で契約解除や値下げ」になったのが17.2%だった。
 報酬が値下げされた場合、発注業者との取引について継続を見直すというフリーランスは51.3%にのぼる。

LINEヤフーが主催する、2023年「LINEジャーナリズム賞」の大賞に、毎日新聞デジタルの連載「『私はなにを』…1年後も続く罪悪感 新型出生前診断(NIPT)は命の選別か、それとも希望か」を選んだ。出生前診断に悩む妊婦と先天的な障害を持って生まれた子の家族を追った。
 同賞は「LINE NEWS」に配信された各媒体の記事から社会課題を工夫して伝えたものを表彰しようと19年に創設された。
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2023年12月22日

【寄稿】杉尾秀哉参院議員 ネット使い組織ぐるみの世論操作 Dappi裁判 一審で確定 会社の業務と認定 自民党との関係には触れず

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         参院予算委で追及する杉尾議員

  匿名のツイッターアカウント「Dappi」の投稿で名誉を傷つけられたとして、小西洋之参議院議員と私が、東京都内のIT関連企業「ワンズクエスト」社の社長らに損害賠償を求めた裁判で、被告に賠償を命じた東京地裁の一審判決が先日、確定した。

 ネット上の誹謗中傷や名誉棄損事案が後を絶たない中で、ネットを使った組織ぐるみの世論操作と見られる実態の一端が、今回の裁判で明らかにされた意義は極めて大きい。
 その一方で、裁判では一貫して被告側が投稿者の開示を拒み続けたため、実際の投稿者や、投稿の背景と目的などは一切明らかにされなかった。また、メディア等で指摘されていた、被告会社と自民党との関係についても、判決では全く触れられなかった。 その意味では、課題が
多かった裁判と言わざるを得ない。
 
 ここで簡単に裁判の経緯を振り返りたい。 Dappiは2019年6月開設。ネット番組や国会中継の動画を切り取り、野党や報道機関を批判する一方、与党議員の発言を評価する投稿を繰り返していた。フォロワー数は17万人にのぼり、自民党議員らがリツイート等で拡散していたことを考えると、影響はさらに大きい。

 そのDappiが我々を標的に問題の投稿をしたのは、20年10月のこと。全くの事実無根で、到底看過できる内容ではなく、党幹部の助言もあって小西議員と私は提訴を決断した。そこからIPアドレスと契約者情報の2段階の開示手続きを経て、Dappiアカウントの所有者がワンズクエスト社と判明。21年10月に、会社と小林社長らを相手取り訴訟を提起した。

裁判所命令も拒否
投稿情報ひた隠し

 この裁判で小林社長は、投稿が従業員による私的なものと認め、当該従業員を減給処分した給与明細を提出する一方、「会社の業務とは無関係だ」と主張し、裁判所の命令に反して投稿者の開示を拒否し続けた。
 そして迎えた本年10月16日。東京地裁は会社側に計220万円の賠償と、投稿の削除を命じる判決を言い渡した。この間、最初の訴訟提起から実に2年半の歳月を要していた。

 この判決で東京地裁は・投稿が平日の午前9時から午後10時の間に集中していたこと・また、投稿時間や内容等から、投稿者は業務時間の大半を専ら記事の投稿に充てていたと認められる―などとして、問題の投稿は「小林社長の指示の下、従業員あるいは社長自身により、会社の業務として行われた」と明確に認定した。内容は我々の全面勝訴と言えるもので、当然被告側は控訴するものとばかり思っていた。ところが、控訴期限の10月30日になっても手続きは取られず、そのまま判決は確定した。

ワンズ社と自民党
「調査不用」と首相

 では、なぜ被告側は控訴しなかったのか?そこで改めてクローズアップされるのが、ワンズクエスト社と自民党の関係である。政治資金収支報告書や企業情報、報道機関の取材などによれば、(1)ワンズクエスト社は、自民党東京都連や小渕選対委員長ら複数の自民党政治家側から、「サーバ代」などの名目で多額の報酬を得ていたこと。(2)ワンズクエスト社の主要取引先に、自民党の「ダミー会社」とされる「システム収納センター」という会社があり、この会社には自民党本部から毎年4000万円もの分担金が支払われていたこと。(3)さらに、この会社の元役員で、自民党の金庫番と言われる事務方トップの元宿仁事務総長が、小林社長と親戚関係にあることなどが判明している。

 これらの事実関係から私は判決直後に「本件投稿を始めとした一連の野党攻撃が、自民党によるネット操作の一環ではないかとの指摘が出ており、その疑いは排除出来ない」とのコメントを発表した。

黒幕を隠すために
控訴せず幕引きか

 10月31日の参院予算委で私は、システム収納センターの元代表取締役でもある岸田総理に、ワンズクエスト社とシステム収納センターとの取引内容や、金銭供与等の事実関係を調査する気がないか質問したが、岸田総理の答弁は以下のような素っ気ないものだった。
「報道を見る限り、判決では自民党とDappiとの関係については一切触れられていない。調査の必要があるとは考えていない」。岸田総理の答弁は想定の範囲内だったが、それでも疑惑は一切晴れない。
 そもそも、被告側が控訴もせず敗訴判決を確定させたのは、賠償金を払ってでも裁判を早期に集結させたかった。つまり、一連の投稿の「黒幕」を何としても隠したかったと見なさざるをえない。

 昨年の法改正で、契約者情報の開示手続きは簡略化されたが、それでもなお裁判には時間と金がかかる。しかも、本件のように民事訴訟では真相解明に限界があるのも事実だ。
 ネットを使った世論操作に政権与党が関与しているとすれば事態は極めて深刻であり、自民党には徹底調査を求めたい。また、それと同時に、政治家へのネガティブキャンペーンに対しては、名誉毀損以外の規制のあり方を検討する必要があるかもしれない。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
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2023年12月21日

【おすすめ本】林 博史『朝鮮戦争無差別爆撃の出撃基地日本』―在日米軍基地の役割とは ガザに重なる暗黒の史実=鈴木耕(編集者)

 本書は1950〜53年に戦われた朝鮮戦争における日本の米軍基地の役割を克明に検証した本だ。これを読みながら、私はしきりに「ガザ」での戦争を想起している。ハマスの奇襲に対するイスラエル側の狂気ともいえる報復で、ガザは今や地獄。イスラエルは救急車や病院や学校までをも標的に爆撃。救急車は戦闘員を運び、病院や学校の地下にはハマスの基地があるから爆撃は当然とイスラエルはうそぶく。

 それと同じ状況が本書に出てくる。ガザと同様にまさに「無差別」爆撃が、米軍によって朝鮮半島で繰り返された。実際に空爆に加わった将校の「なぜ敵がいないのに米軍が家を焼くのか、民衆には理解できない」という証言や「共産軍が撤退した後は家や学校がそのまま残っているが、国連軍ははるかに破壊力のある武器でかつての都市をただ黒焦げの焼け跡にしてしまう」などが採録されている。まさにガザの現状。つまりイスラエル軍の戦術はかつて米軍が日本を焼土化した攻撃と同じ。その上、原爆使用を検討していた事実もイスラエルに重なる。アメリカの援助と指導によるイスラエルが、米軍と同じやり方をするのは当然か。
 
 日本から朝鮮半島への空爆と言えば、沖縄の基地が思い浮かぶが、当時は日本中に米軍基地があり、そこから米軍は無差別爆撃を繰り返した。

本書はその詳細な記録だが、著者の執筆姿勢が素晴らしい。一切の推定を排除し「…と思われる」などの記述は一切ない。すべて資料を明示し、調べが及ばなかった事はその旨注記してある。私には「目からウロコ本」だった。(高文研2500円)

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2023年12月19日

【北海道】映画『ヤジと民主主義』奪われた権利 取り戻そう つづく過剰警備 無関心か危機感もつか 山ア祐侍(映画『ヤジと民主主義 劇場拡大版』監督・HBC報道部デスク)

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  僕たちの権利が失われつつあるのを地方で暮らしていると感じる。安心な暮らし、交通手段、美しい自然、働く場所、地域社会の絆。深刻なのは、失っているのが自分たちの権利だと気が付かない人が少なくないことだ。映画『ヤジと民主主義 劇場拡大版』は、奪われた権利を取り戻そうと闘う人たちの物語である。

 2019年7月、札幌で参議院選挙の応援演説をしていた安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした男女が警察に強制的に排除された。政権批判を封じ、表現の自由を奪ったとして市民らが抗議し、排除された男女2人が北海道警察を所管する北海道を相手に裁判に訴えた。2020年4月に放送したドキュメンタリー番組は第63回 JCJ賞を受賞した。
 映画は、画期的な地裁判決、その後の安倍元首相銃撃事件や岸田首相襲撃事件をめぐる警備の状況、そして不可解な高裁判決まで追加取材し、100分間にまとめた。

 内容に一番厚みを持たせたのは、当事者たちの「排除前」と「排除後」の物語だ。とりわけ当時大学生だった桃井希生さんは小さい頃から吃音に悩み、一時は生きる意味さえ失っていた。「排除後」は札幌地域労組に就職し、年配の男性が圧倒的に多い労働組合のなかで20代の女性という稀な存在となった。ベトナム人従業員の雇い止めを撤回させたり、ストライキを行い路線バス会社から待遇改善を引き出したりして、労働者の権利を守ろうと日夜奔走している。

 翻ってみると、西武池袋本店で労働組合がストをしたとき、インターネット上では「迷惑」という声が相次いだだけでなく、NHKもニュースで「客は置いてけぼり」というインタビューを伝えた。今の日本ではストライキやデモも、ヤジを飛ばすことも「迷惑」だと攻撃される。
 10月に行われた参院徳島・高知の補欠選挙では、応援演説する岸田文雄首相に聴衆の男性が「増税メガネ」とヤジを飛ばし、警察官が過剰警備をした。映画公開を前に日本記者クラブで記者会見し専門家の見解と合わせて報告=写真=したが、これを問題視するメディアはほとんどない。

 僕たちの権利は、懸命に握っていないと常に奪われかねない。そして今は自ら放り投げているのではないかという危機感を覚える。その現状を見えなくさせているのは、人々の無関心だ。この映画についても「4年前の、終わったこと」と関心を寄せない人もいる(しかも観ないで)。違う。現在進行形の問題であり、僕やあなたに降りかかる問題なのだ。この映画が受け入れられるか否かは、この国の民主主義に危機感を持つか否かのリトマス試験紙だと感じている。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
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2023年12月18日

【追悼】隈元 信一さん死去 JCJ運営委・元朝日新聞論説委員=須貝道雄

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 元朝日新聞論説委員でJCJ運営委員の隈元信一さん=写真=が10月17日に亡くなった。69歳だった。放送分野の取材が長く、がん闘病中の2022年に友人らの支援を受け『探訪 ローカル番組の作り手たち』を出版した。この約10年は青山学院大学で週に1回、学生たちにジャーナリズム論を教え、若い世代の育成に力を注いだ。

 JCJが学生向けに開くジャーナリスト講座にもよく顔を出した。彼と知り合った他大学のある学生は朝日新聞に入社。15年に隈元さんが希望して青森県むつ支局に赴任すると、雪かきの手伝いに出かけた。「面倒見がよくフランクに付き合ってくれる方だった。過去の新聞の戦争責任を自覚し、次の世代のためにいろいろやっていたのだと思う」と振り返る。
 隈元さんが運営委員になったのは21年春。「最後までジャーナリストして生きる」という言葉が忘れられない。
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
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2023年12月17日

【オピニオン】安倍派の裏金づくり・大阪万博「カネとカジノ」=守屋龍一

裏金づくり10億
 「しんぶん赤旗」日曜版(2022年11月6日号)のスクープがきっかけで、上脇博之・神戸学院大学教授が、自民党の政治資金パーティーの不記載問題を刑事告訴し、問題が表面化して1年がたつ。今や東京地検特捜部は、臨時国会が閉会したのを機に、安倍派議員への聴取を本格化させ、他の4派閥にも捜査のメスを入れる事態となった。
 あらためて自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派99人)の政治資金パーティーによる裏金づくりを知るにつけ、開いた口がふさがらない。時効にかからない5年間だけでも裏金の総額は5億円、いや10億円余とも言われ、所属議員の大半にキックバックされていたという。
 個々の議員が得た裏金は5千万円〜数万円の差があるとはいえ、その規模の大きさ、組織性・故意性の悪質さから見ても、政治資金規正法違反での立件は当然である。

ウミが噴きだす
 安倍政権10年の膿″が一気に噴きだしたというほかはない。アベノミクス推進、日銀と共同してのマイナス金利政策、国有地払い下げや設置認可を巡る「森友・加計学園」問題、公文書改ざん、「桜を見る会」への参加者・費用負担への疑惑、統一教会との癒着などなど、自民党内派閥の<一強多弱>に驕り、勝手放題に「政治とカネ」を使いまわしていたと言わざるを得ない。
 安倍派というが、正式には「清和政策研究会」という。由来は中国における諸葛恢の統治を<政清人和>、すなわち「清廉な政治は人民を穏やかにする」と称賛した故事から名づけたといわれる。
 だが実態はどうか。「清廉」どころか、カネに汚いだけでなく、保守タカ派の集まりで改憲を叫び、杉田水脈議員を筆頭にジェンダー平等に背を向け、国民を怒らせている。
 それなのに岸田政権は発足時から安倍派にしっぽを振り、安倍首相の銃撃事件による死という事態に「国葬」で対応し、さらに後継の安倍派幹部を、政権内の重要ポストに充てて優遇するという始末。やっと安倍派の閣僚4人・副大臣5人を交代させ、政務官6人は自主判断に任せるとした。
 とはいえ政権を、どう構成するのか、青写真すら描けていない。今や岸田政権の支持率は23%、レームダック状態に陥っている。しかも足もとの岸田派にも、数千万円のパーティー収入不記載の疑いが浮上している。

狡猾「3重取り」
 政治にはカネがかかると、よく言う。この「政治とカネ」問題をクリアーにするため政党交付金の導入を含む政治資金規正法が、小選挙区制と抱き合わせで1994年に制定された。まず導入された政党交付金の実態を見てみると、国民の税金総額315億円余を9政党に交付している。日本共産党は、この制度に反対し交付金を受け取っていない。
 自民党は159億1千万円の政党交付金を受け取っているうえに、企業・団体からの政治献金24億5千万円(2022年分)を手にし、さらに各派閥が政治資金パーティーを随時開催し、億とか何千万の単位でカネを集めている。まさに「3重取り」しているのだ。
 次に問題なのは、政治家個人への寄付は禁止されたが、政党への寄付は認め、「年間5万円超の寄付者および20万円を超える政治資金パーティー券の購入者は、政治資金収支報告書に氏名・金額などの明細を記載する」と規定したため、5万・20万の寄付をこえないよう分割するなど、明細隠しのカラクリ操作がはびこったのだ。
 さらに「政党本部からの寄付」は、受け取った議員は、その使途や明細について報告する義務がない。
 まさに政治資金規正法がザル法になっていた。共産党が「企業・団体献金(パーティー券購入も含む)の全面禁止法案」を提出しているが、政党助成金制度も廃止し、抜本的に改正するのが急務だ。

維新、ボロ儲け
 大阪・関西万博の開催に猛進する日本維新の会。かつてそこの代表を務め、いま私人と称する橋下徹氏が、テレビ番組で「政治とカネ」の問題に触れ、「企業・団体から一切お金をもらっていない野党はないんです」と、「デマ」を飛ばし、翌日アナウンサーが謝罪する事態となった。
 日本共産党は政党交付金を受け取らず、企業・団体献金を禁じ、政治資金パーティーも開いていないのは常識だ。それすら知らないというのでは、お里(さと)が知れる。
 それどころか日本維新の会・幹部の国会議員が開く政治資金パーティーは1回で1000万円のボロ儲けだという。リテラのWEB記事(11/30)を参照し要約すると、以下のようになっている。
<藤田文武幹事長は2022年11月23日に「藤田文武を応援する会」を開催。この日だけで1518万円の収入、会場費・食事代などの支出510万9825円、利益は1007万8215円(利益率66.3%)である。
 続いて遠藤敬・国対委員長も、2022年12月12日に「議員活動10周年記念パーティー」を開催。1227万9615円の収入、支出263万8640円、964万975円の利益(利益率78.5%)。
 さらに、使途の報告義務がないのをいいことに政策活動費が、日本維新の会・馬場伸幸代表に、2016年から2021年の5年間に約2億4300万円が支出されている。
 2022年11月に公開された2021年分の収支報告書では、「政策活動費」として馬場代表に5600万円、2022年分では藤田文武幹事長に5057万5889万円を支出している。その使途は不明なまま>

万博に批判殺到
 日本維新の会が必死になる大阪・関西万博は、2025年に人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催される。だが遅々として進まない。無駄遣いと批判される「大屋根リング」に350億円もかけ、会場建設費だけでも最大2350億円、当初予算より約1.9倍になる。半年間のイベントのために、国民の税金で賄う国費まで使って運営に1360億円以上も投入する。
 夢洲へのアクセス用・鉄道建設や上下水道整備などを加えれば、万博関連事業費は8900億円。夢洲の地盤補強工事やカジノ事業も含めた全体費用は、なんと1兆2千億円にのぼる。
 万博が終わればパビリオンも大屋根もすべて撤去。一方、2030年に夢洲に開設されるカジノは未来永劫、営業を続ける。大阪・関西万博のレガシーはカジノ! そこに何百億円、何千億円もの税金が使われる。国民の納得など得られるはずがない。
 何よりも日本維新の会は、「カネとカジノ」が絡む、この無駄遣いを止めるのがさき。
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2023年12月16日

【焦点】カナダに亡命した香港民主化の活動家、アグネス・チョウ氏(周庭氏)はこんな人物=橋詰雅博

 カナダ・トロントの大学院に留学していた香港民主化の活動家、アグネス・チョウ氏(周庭氏=27歳)は「恐らく一生香港には戻らない」と12月3日発言し、カナダに事実上、亡命した。香港で彼女は2020年末に違法集会を扇動した罪に問われ禁錮10カ月の実刑判決を受けた。この時、最初、普通の刑務所に収監されたが、重犯罪者が入る女性刑務所に移送された。この刑務所は殺人や薬物の密売などを犯した受刑者が多く、監視が特に厳しい。移送された理由は、周氏は収監後もツイッターやフェースブックで近況を発信していたため外部への影響力を保持していると当局が判断したからだ。

 その際<収監中の周庭さん 改めてどんな人?―オンとオフの切り替え早く、英語も日本語も上手な努力家>と2021年1月9日【焦点】で紹介している。以下は本稿の記事。
<一時は香港の民主の女神≠ネどと日本のメディアが持ち上げた周さんは、改めてどんな人なのだろうか。朝日新聞GLOBE編集部が昨年9月に主催したオンラインイベントのコメンテーターとして登場した朝日の益満雄一郎・香港支局長と、フリーライターの伯川星矢(はくかわせいや)さんは、数回の取材から周さんの人物像をこう述べていた。ちなみに伯川さんは、父親が日本人、母親が香港人で、香港で生まれて育ち18歳で来日。獨協大学外国学部交流文化学を卒業している。
 香港国家安全法違反で逮捕され昨年8月に釈放された際、周さんは「今回(4回目の逮捕)が一番怖かった、きつかった」と記者のインタビューに答えていたが、このコメントについて伯川さんは「彼女から『怖い』という言葉を初めて聞いた」そうだ。伯川さんは続けて言う。
 「これまで違法な集会で逮捕されてもどのくらいの刑か想定できて、ある程度リスクが予測できた。ところが国家安全法が導入されてことで、何をしたら罰せられるのか、どのくらい罰せられるのかなど不確かなままです。周庭から『怖い』と言われ、改めて事の大きさ、国安法の不条理さを感じた」
 伯川さんによると、彼女はオンとオフの切り替えが早いという。
 「オフのときは、楽天的で、アイドルが大好き。どこか遊ぶに行こうという普通の子です。初めて香港で会ったとき、僕を見た彼女は『伯川クンおなかすいた』といきなり言った。『えー』と戸惑いましたが、『シュウマイ食べる?』と答えたら『うん、食べると』と返事した。するとなぜか僕の財布から20香港ドルをもっていった。結局、僕がシュウマイをくわせてもらったというオチです。その後、すぐに取材したらビシッと人が変わり真面目な態度で臨み、チャンネルも日本語に切り替わった。オンとオフの切り替えがはっきりしていると思った」
 益満さんも「普段は、彼女、ふわっとした感じ。しかし、デモの現場で会い、取材で声をかけてもあまり答えてくれません。彼女の頭の中はデモに集中しており、メディアからの取材を考えていないようだ。きっとスイッチが入っていたのでしょうね」と語った。
 そして努力家だと指摘する。
 「彼女の日本語は初めて会った4年前と比べて、明らかに上手になっていた。本人は『そんなことないです』と謙遜していたが、日本のアニメを見て勉強したそうです。英語も上手。語学の才能があるだけではあそこまでうまくならない。忙しいので1日の睡眠3、4時間と言っていたが、そんな中でも努力したからだと思う」(益満さん)
 移った女子刑務所で周庭さん、今は何を思っているのだろうか。橋詰雅博>
 21年6月に釈放された周庭氏は、香港警察に決められた期日に出頭することを条件にカナダに留学した。12月下旬に出頭しなければ「逃亡犯となり、指名手配する」と香港警察は周庭氏に呼びかけた。
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2023年12月15日

【支部リポート】北海道 北大総長解任で結審 非違行為か真っ向対立=山田寿彦

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  脅迫的な辞任要求に始まる不可解な経過をたどった北海道大学総長解任事件。名和豊春前総長(69)=写真=が国と大学を相手に解任処分の取り消しと損害賠償などを求めた訴訟が10月18日、札幌地裁で結審した。原告側は解任手続きの違法性を重大な争点とし、解任手続きに深く関与した総長選考会議の石山喬議長(当時)ら3人の証人を申請したが、裁判所は却下した。判決言い渡しは来年3月13日。

 名和氏は同大総長選考会議の解任申し出を受けた文科省により、28件の非違行為を理由に20年6月26日付で解任された。同年12月10日に提訴。15回の口頭弁論を重ねた。

 今年6月から証人尋問が始まり、北大側証人として当時の事務局職員ら15人のほか、名和氏本人の尋問が行われた。
 北大側証人は非違行為の当事者とされた人たちで、名和氏から怒鳴られたり理不尽な叱責を受けたりした場面を具体的に証言した。名和氏は自身の証人尋問で、非違行為とされた事実認定に逐一反論し、双方の主張は真っ向から対立した。

 名和氏は解任手続きが始まる直前の18年9月、「パワハラに関する公益通報」を止めることを条件に石山議長や顧問弁護士から辞任を迫られた。名和氏が拒否したことで調査委員会が極秘裏に設置され、解任手続きが始まった。名和氏が文科省から開示された職員らのヒアリング記録によると、個々の非違行為は調査委員会によって名和氏の弁明を聞くことなく「調査報告書」として一方的に取りまとめられた。

 原告弁護団は石山氏、当時の副学長、調査委員会の委員長を務めた弁護士を証人申請したが、裁判所は認めなかった。
 弁護団が別に提起した情報開示請求訴訟で、名和氏のパワハラに関する公益通報は存在しないことが明らかになっている。総長選考会議は「パワハラ」を認定しなかったが、地元紙北海道新聞は「パワハラ認定」と誤報を打ち、今日に至るまで訂正していない。
 結審後の報告会で名和氏は「こんな醜い手続きにより解任が進められたことを明らかにし、二度とこのようなことが起きないでほしい」と述べた。   
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年11月25日号
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