2021年07月25日

【今週の風考計】7.25─大会経費が3兆円を超える<東京五輪の闇>

★「東京五輪」が開幕した。コロナの再パンデミックが猛威を広げ、東京でも4回目の緊急事態宣言が発令、第5波の襲来がいわれている。その最中に開催を強行した。
 政府やIOCは、医療従事者や専門家の意見を無視し、中止や再延期を求める国内外からの大きな声にも、耳を傾けず突っ走った。
★閉幕する8月8日までに、コロナ変異株が若い世代へ急拡大するのは間違いない。とりわけ今夏の異常な暑さに、熱中症の頻発も重なり、医療従事者の負担や病床のひっ迫は避けられない。

★「安心・安全の祭典」どころか、入国した選手や関係者の間で、もう123人ものコロナ感染者が出ている。「バブル方式」で防ぐなど幻想だ。いかに拡大させないか、国名や氏名の公表も含め厳重管理が不可欠になっている。
 閉幕して帰国する際には、「東京五輪発」の変異株ウイルスを持ち帰らないよう、細心のチェックも必要だろう。もしアスリート人生に支障でも生じ、損害賠償などの請求が来たら、どうするのか。杞憂で済まされない。

★さらに見過ごしてならないのは、「東京五輪」の開催費用である。<#五輪の「闇」>というハッシュタグまでついて、その不明朗な実態を追究する動きが起きている。
 2013年に日本の招致委員会がIOCに行った説明では、競技会場や選手村を集約し、「世界一コンパクト」な会場による開催を計画し、開催費用も7300億円程度としていた。
★しかし、何度も経費の上積みを重ね、2019年末で1兆3500億円、2020年末には新型コロナによる延期と感染防止対策の2940億円を加え、約1兆6440億円に膨れ上がった。なんと当初の2.2倍だ。
 関連経費を加えると大会経費は3兆円を超え、五輪史上もっとも経費のかかる大会となる。この赤字の尻拭いは税金。つまり背負わされるのは国民だ。

★大会経費が膨張した背景には、IOC「五輪貴族」からの要請、電通やパソナグループなどの大企業による五輪経費の中抜き、ピンハネの横行がある。開閉式の費用に限ってみても、電通による制作に5輪史上最高額の165億円を支払う。
 メイン会場・新国立競技場の建設費用は1530億円。当時の猪瀬直樹都知事が「40年前の五輪施設を使うので世界一コンパクトな会場」との公言は、どこにいったのか。
 競技場の維持運営費だって年間24億円という。五輪が終わったら、あまりにも高い経費がネックとなり、閉鎖となりかねない。

★今や五輪は、コロナ禍でもやめられないほど、利権が絡む「巨大なスポーツ興業」と化した。IOCと契約する米国のテレビ局NBCや巨大スポンサーの意向は無視できない。開催するだけで約1300億円のテレビ・マネーが懐に入る。こうした「五輪の闇」を晴らさなければ、五輪の未来はない。(2021/7/25)
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2021年07月24日

【スポーツコラム拡大版】東京五輪の異常開催を許したマスメディア=大野晃

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 2021年東京五輪が新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)拡大を増幅する危険のある緊急事態宣言下で開幕。医科学専門家の警告を無視し、開催の是非を封じ込めて、暴走した政府、東京都と国際オリンピック委員会(IOC)。追従の日本オリンピック委員会(JOC)。マスメディアは異常開催をなぜ許したのか。経緯を追って重点的に検証してみる。


テレビ向け見世物ショー

 競技は、互いに敬意をはらう競技者の友情と協力で成り立つ。 世界中の競技者に、その精神を拡大し、競技者の団結と連帯を強めて、支援者やファンなど取り巻く人々も含めた絆を深めることで世界平和実現の基礎を固めるのが五輪の基本理念だ。 単なる競技会ではなく、人類の理想を掲げた平和の祭典である。
 ところが東京五輪では、多国間、多競技間の競技者や関係者同士、そして応援ファンとの交流が禁止され、行動の自由が制限され、公平な条件での競争が保障されず、安全が確保されないまま、競技者は無批判な参加を強いられた。
 これでは、眼前にある五輪は似非五輪であり、公正な国際競技会ですらない。テレビ向けの見世物ショーにすぎない。膨大な税金を負担させられた国民のほとんどは、他国で開催された五輪同様に映像観戦に限られた。
 しかも、世界中で命の不安を膨張しかねない、スポーツに名を借りた悪質テレビ番組と言っていい。万人が楽しめるはずがない。

経済活性化国威発情を狙う

 世界の競技者を目の当りにし、世界のファンたちと一体に競技を楽しむ五輪の平和な、お祭り騒ぎに胸躍らせる国民ファンは多い。半世紀以上も前の最初の東京五輪を経験し、近年、国際競技会の拡大で、国際的な和気あいあいとした雰囲気の体験が増えた国民には、五輪人気が根深い。
 それを利用し、自民党政権は、巨額な税金を投じて、バブル崩壊後の日本経済活性化の切り札とし、それによる対外的な国力誇示と国威発揚を狙った政治的、経済的国家事業とするために、五輪開催に動いた。(→続きを読む)
 

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2021年07月23日

【事件】なぜジャーナリストは標的にされたのか 右派が仕掛けた歴史わい曲 「標的」監督・西嶋真司さん寄稿

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 元朝日新聞記者の植村隆がジャーナリストの櫻井よしこらを相手取った名誉毀損訴訟で、最高裁判所は昨年11月に上告棄却の決定を出した。この決定を受けて、安倍晋三・前総理大臣は自身のフェイスブックに「朝日新聞と植村記者の捏造が事実として確定したということですね。」とのコメントを書き込んだ。もちろんこれは荒唐無稽なデマだ。
 裁判所は櫻井の主張によって植村の社会的信用が失墜したことを認めつつも、櫻井が記事を「捏造」と信じたことに相当の理由があるとして免責したにすぎない。
 植村や弁護士からの抗議を受けて安倍は自らの投稿を削除したものの、日本の前首相が放ったフェイクニュースはインターネットを通じて今も拡散されている。

 避難と脅迫
 植村は1991年8月、元慰安婦だった韓国人女性の証言を伝えるスクープ記事を書いた。その記事には「女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた」とある。報道から23年後の2014年、記事の内容をめぐって植村を「捏造記者」とするバッシングが始まった。
 植村の記事を“捏造”と決めつけたのは、右翼論客の櫻井よしこや西岡力をはじめ、不都合な歴史を消し去ろうとする日本政府の立場を支持する人々。植村を「売国奴」「国賊」などと非難し、植村が教職に就くことが内定していた大学や植村の家族までもが卑劣な脅迫に曝された。「記事が捏造と言われることは、新聞記者にとって死刑判決に等しい」と植村は言う。
 不当な攻撃によって言論を封じ込めようとする動きに対し、大勢の市民や弁護士が立ち上がった。

 20年で何が
 植村が元慰安婦の記事を書いた1991年8月、私は民放のソウル特派員として慰安婦報道の渦中にいた。当時、韓国では「挺身隊」と「慰安婦」が同義語として使われており、私をはじめ日本の多くのマスコミも慰安婦問題の記事に挺身隊という言葉を用いている。
 同じような内容を伝えた私や他のメディアはバッシングを受けずに、なぜ朝日新聞の植村だけが標的にされたのか?当時は“誤報”ですらなかった報道内容が、“捏造”と呼ばれるようになった20年余りの間に、日本に何が起きたのか?
 1997年に安倍晋三前首相を事務局長とする「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が発足して以来、日本政府は慰安婦問題に関して自国の責任を極限まで小さくしようとし続けてきた。戦場に送られた慰安婦の強制を裏付ける資料が発見されていてないことを理由に、慰安婦の募集は国家とは無関係だと主張する一方で、歴史教科書から慰安婦の記述をなくそうという動きが政府主導で進められた。
 2019年に愛知県で開催された「あいちトリエンナーレ展」では、慰安婦を象徴する〈平和の少女像〉が「日本人の心を踏みにじる」という理由で一時展示が見送られる事態になった。
 
 報道の萎縮
 最近の20年余りの間に日本のメディア界にも変化が起きた。慰安婦を扱う特集記事や番組は姿を消し、いつしか慰安婦問題はメディア界ではタブーとなった。政府に批判的な報道を行うことによってバッシングや脅迫の標的にされる様子を目の当たりにして、メディアは明らかに萎縮した。
 歴史の真実を伝えることはジャーナリズム本来の使命である。それはあらゆる外部の圧力から自由でなければならない。不都合な歴史を報じたジャーナリストを力で抹殺しようとすれば、民主主義は崩壊する。ジャーナリストを標的にしてはならない。(敬称略)
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号
                           
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2021年07月22日

【おすすめ本】半田 滋『変貌する日本の安全保障』─「引き裂かれた安全保障問題」の根源を読み解く絶好の書=前田哲男(ジャーナリスト)

 本書は、学生に向けたオンライン授業を基にしているが、それにとどまらず若い世代(とりわけ記者)に「自衛隊の今」を伝える一冊となった。
 「安倍安保」ともいうべき長期政権のもと進行した「9条と同盟」の矛盾、また「専守防衛か敵基地攻撃か」をめぐる葛藤。その相克は、菅政権下においても「台湾海峡防衛」に継承され、亀裂は極限に達した観がある。若者ならずとも「法と現実」のもたらす落差に目くるめく思いだ。

 12講に区切られた各章には、著者の強みである編集委員としての現場主義と、論説委員の本領の両面、いわば“腰の軽さ”と“論の重厚さ”がほどよく溶けあい、自衛隊海外活動の現状と、そこに至った時代の流れを織りまぜ、自衛隊の歩んだ道が記述される。話し言葉による文体も説得的だ。
 読者には、自分の関心にそって読むことをお勧めする。沖縄のことなら「第3回 沖縄の米軍基地」から。最新ニュースなら「第10回 ミサイル防衛とイージス・アショア」、また「安倍安保」の本質を知るには「第12回 安全保障関連法」といったように。興味のおもむくまま読めばいい。

 そうすると、なぜ「護衛艦いずもの空母化」が必要なのか? なぜ「非核3原則が国是であるのに核兵器禁止条約を批准しないのか?」などの疑問が解けてくる。PKO派遣という “戦闘への接近” も、著者の現地取材によって容赦なく実態が暴かれる。
 コロナとオリンピック問題のあおりで、最近あまり大見出しにならない「引き裂かれた安全保障問題」の根源を読む良書である。(弓立社2500円)
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2021年07月21日

2021年07月20日

【支部リポート】東海 何故咲いた?署名偽造のあだ花=加藤 剛

 コロナ禍を横目に愛知県では2020年夏から秋にかけて大村知事に対するリコール運動が展開され、大量の署名が不正・偽造と判明、逮捕者が出るなど今年に入ってからもごたごたが続いている。
 メディアはリコール運動の是非についてはあまり報道しなかったが、組織的な不正・偽造の判明で警察、検察が動くにつれて報道の見出しが大きくなり読者、視聴者の関心も先頭に立ったクリニック院長高須克哉氏や河村名古屋市長の関与の仕方、金の出どころ、週刊文春誌上での論戦(大村×河村)などに集まる傾向だ。
 しかし、メディアも市民県民も、大切なことを忘れていないだろうか。そもそも、このリコール運動はいったい何だったのか、偽造署名というあだ花は何故咲いたのか−−?

 「その後」のその後
 そもそもは、東京など各地の展示会で平和の少女像や天皇の肖像にかかわる作品、9条の俳句などの展示が外部からの抗議で取りやめになったため、その事例を実際に見て考えてもらおうという展示【表現の不自由展・その後】が一昨年愛知トリエンナーレ国際芸術祭の一部として企画・実行されたのが発端だ。
 事前にネットで紹介されたこともあって展示前から「平和の少女像」などの展示に反対する電話やファクスが目立ち、主催団体の幹部の一人(代表代行)である河村名古屋市長までが展示に反対を表明、反対者の一人から「ガソリンを持って会場へお邪魔する」という強迫のファクスが届くに及んで主催団体(代表=大村愛知県知事)は展示開始の二日後「表現の不自由展・その後」の中止に踏み切った。
 これに対し多くの市民団体が表現の自由を守る立場から中止に抗議し展示の再開を求める運動を展開、裁判和解による再開を実現した。

 もう一つ「そ・の・後」
 ところがこれで一件落着とはならなかった。主催団体の代表代行まで出している名古屋市が決められた分担金の支払いに応じないため代表の大村知事が河村名古屋市長を相手に支払い請求の裁判を起こした
 河村氏はこれに反発、コロナで市政多忙の時期にもかかわらず、ネトウヨを自任する高須克哉氏ともに大村知事リコールの運動を展開、街頭にも立ち「陛下の写真を燃やす絵の展示に金を払えという大村知事はやめてチョウ」と署名を呼び掛けた。
 河村氏は当初「慰安婦・少女像」の展示を非難の中心に据えていたがリコール運動では「陛下の写真を燃やす絵」を目の敵にした。
 リコール運動の本質は「表現の自由」抑圧であり、百田直樹氏ら著名人の協力を得ても少数の支持しか集まらなかったために不正のあだ花は咲いたのである。
 加藤 剛
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2021年07月19日

問題法案 続々成立 改憲投票法 立民の修正案は疑問=編集部

 コロナ渦のどさくさに紛れ、今国会にも「壊憲」の問題法案が続々出された。メディア報道も追いつかず、委員会所属者以外、衆参議員も法案検討の余裕すらない。本来、国会提出前の検討が重要だが、政策審議より政局優先の与党の姿勢が問題に拍車をかけている。
 今国会では、8国会にわたって継続審議のまま手つかずだった改憲手続法(国民投票法)の改正が成立した。広告規制や改憲運動への資金規制、最低投票率など、公選法と違う改憲国民投票の意味や投票の公正を保障する議論が全くないまま、「今国会で結論を得る」という自民・二階、森山、立憲・福山、安住の幹事長・国対委員長会談に縛られ、参院でもあっさり通過、成立した。
 「3年後を目途に見直す」という「付則」をつけた修正案をなぜか立憲民主党が出し、与党が丸呑み。どこで何が動いたかはわからないが、「政策」より「国会対策技術」が優先した結果だ。
 一方で外国人の強制収容などの管理強化を狙った入管法改正は、国際的な批判やスリランカ女性の死もあり、自民党は今国会成立を断念した。

 命と生活の問題
 国民生活に直接関わる問題なのに、これもほとんど報じられないまま通ってしたのが、高齢者医療費の倍増。現在個人負担は1割の75歳以上の老人医療について、年間200万円(月16・6万円)の収入があると倍の2割になる法案。6月4日あっさり成立。
 コロナ禍が日本の医療体制の脆弱さを明らかにした中、病院のベッド数削減と医師の長時間労働を進める「恥知らず」の医療法の改定も5月21日あっさり成立した。
 1割以上の削減を行った病院に対して補助を強化、全国での病床数削減を狙い、OECD諸国では最低の医師養成数の削減を前提に過労死ラインを超える医師の長時間労働を認めている。

国民管理と監視
 ひどかったのは膨大な「デジタル庁関連法案」の扱い。とにかく個人情報を政府に集中、自由に使うため一元管理するとの意図は明確なのにろくに議論ー使用を義務づけるなど、個々にみれば、数年かかる議論が必要なのに5月12日早々と成立した。
 国民の情報を管理し、監視する体制は、基地などの周辺から合法化し、強化しようという「重要土地党調査規制法案」で具体化している。防衛施設のほか、原発、空港どの周辺を「注視区域」とするなど、所有者の調査や規制を可能にする。既に基地周辺での写真撮影やデモ、宣伝活動などが勝手に規制されており、さすがにこれは、最終版国会の焦点になった。
 18―19歳を「特定少年」として厳罰化する少年法改定も成立した。犯罪防止には逆行である。
編集部
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号


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2021年07月18日

【今週の風考計】7.18─<世界最悪の経営者>ベゾスの地球帰還を許すな!

amazonのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が、7月5日付で退任した。退任して会長に就くや否や、20日には有人宇宙船「ニューシェパード」で宇宙旅行へ出発する。この「ニューシェパード」は、ベゾス自身が起こした会社が開発し、今回が処女飛行となる。
 すでに11日には、米国の大富豪リチャード・ブランソンが自分の企業グループ・バージンが開発した有人宇宙船で、いち早く宇宙旅行に出ている。大富豪同士の意地の張り合い、どうぞ宇宙で好き勝手にやってチョウダイ!

それより問題なのは、地球上で繰り広げるamazonのアコギな税逃れと劣悪な労働条件の押しつけである。その事態が深刻になるにつれ、amazon やベゾスへの反感は募るばかりだ。
 米国で「ベゾスの地球帰還を許すな」と銘打った、怒りの署名運動が展開され、1カ月も経たずに14万人を超す署名が集まっている。宇宙旅行をするなら、どうぞそのまま「もう戻ってくるな、地球外で遊覧していてくれ」そんな気持ちの表れだろう。
無理もない。2014年に国際労働組合総連合(ITUC)が、ベゾスを<世界最悪の経営者>に認定して以来、少しも改善されていないからだ。
 2年前までamazonの倉庫で働く人々はロボット同然の扱い、トイレに行く自由もなく、持参した飲料ビンへの用足しや紙おむつの着用を強いられていた。これが暴かれ世界各地で問題化した。今年4月には米国アラバマ州の物流倉庫の労働者に圧力をかけ、労働組合の結成を阻害している。

amazon創業は1994年、書籍のネット通販からはじめ、30年足らずで時価総額185兆円を超す巨大企業に発展した。今では2億人を超える通販会員を擁し、クラウドサービスなど新たな事業開発に注力している。
 ベゾスの総資産は日本円で21兆円。ペルーやギリシャ、ニュージランドのGDPに匹敵する。だが法人税や消費税などの税金は払わず、慈善事業が嫌いで“守銭奴”の異名がつく。
フリーランスの横田増生さんが、神奈川・小田原にあるamazonの巨大物流センターに潜入し、監視カメラが設置され、秒刻みで仕事がチェックされる作業員の実態や5年間で5人も死亡事故が起きた過酷な労働現場を告発している(『潜入ルポamazon帝国』小学館)。
 世界では175カ所以上の物流センターがある。日本国内では2020年現在20カ所、7年間で倍増している。その売り上げは1兆5千億円をこえる。日本で最大の物流会社になっている。

24時間の受付、翌日には配送してくれるamazon サービスの裏に、過酷な労働による犠牲があることを忘れてはならない。しかもベゾスは米国の新聞ワシントン・ポストも所有し、amazonに批判的な記事は徹底的に排除し、メディア支配を狙っていることも肝に銘ずべきだ。(2021/7/18)
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2021年07月17日

【フォトアングル】改憲反対!基地強化を許すな!6・6練馬駐屯地デモ=酒井憲太郎

                             
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有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会主催の集会デモ参加者は「練馬自衛隊基地撤去 有事立法・治安弾圧を許すな 北部集会実行委員会」の横幕を掲げて、「戦争」「反対」「基地」「撤去」のショートコールの後、練馬駐屯地司令らに宛てた「市街地行軍などの地域の戦場化を行わない事」「来年以降、練馬駐屯地祭りを中止する事」などを求める申し入れ書を読み上げ、制服自衛官に手渡した。参加者46=6日、東京練馬区の練馬駐屯地、酒井憲太郎撮影
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号
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2021年07月16日

【裁判】幸福の科学公開施設 入ったら建造物侵入罪 取材の自由を奪う地裁判決=藤倉善郎

                            
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3月15日、東京地裁で罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決が言い渡された。私が幸福の科学の「初転法輪記念館」に取材に入ったことが建造物侵入罪に問われた事件である。
 この施設は、教団設立の際に教祖・大川隆法が初めて説法を行った場所として、教団が一般公開している。私が入った際、中は無人だった。撮影禁止の張り紙に気づかず写真を撮っていたところ、教団職員が来て写真を消すように指示してきた。私は素直に従った。職員は怒る様子もなく、パンフレットまでくれた。しかし翌日、幸福の科学は地元・荒川警察署に被害届を出した。

 立入禁止は不当
建造物侵入罪は、管理者の意思に反して立ち入る行為を指す。初転法輪記念館(写真下)は一般公開だが、教団本部は以前から私に対して教団施設や行事への立入禁止を通告していた。これを根拠に検察は建造物侵入罪にあたると主張。紀藤正樹弁護士を主任弁護人とする8人の弁護団は、一般公開施設への取材は正当業務行為に当たること、教団による立入禁止通告が不当であることなどを理由に無罪を主張。これを罰することは表現の自由を定める憲法に反するとした。
 私は宗教団体を含め、いわゆる「カルト問題」を20年ほど取材している。幸福の科学から「立入禁止」を通告されたのは2012年。週刊新潮で「幸福の科学学園」(中学・高校、栃木県那須町)の違法な教育実態をリポートしたことが理由だ。
 当時、教団は新潮社と私を相手取って1億円の損害賠償を求める民事訴訟も起した。この訴訟では2016年、最高裁が学園側の上告を不受理とし、学園側の敗訴が確定。高裁判決は、記事の全てに真実性や評論の妥当性を認める内容だった。
 ところが教団は以降も「立入禁止」を継続した。私はいわば、正しい記事を書いたから立入禁止にされ、それゆえに今回、刑事被告人にされた。
 地裁判決は検察側の主張をほぼ踏襲。管理者の意思は取材の自由に劣後しないとした。教団による立入禁止の理由については「議論の余地はある」とし、これを踏まえた温情であるかのように、罰金刑に執行猶予が付く珍しい判決となった。

 おもねる方向に
しかし有罪は有罪だ。合法的に取材するなら、立入禁止を通告されないよう教団におもねった記事を書くしかない。地裁判決がもたらすのは、そういう論理である。
 過去、マンション等での政治ビラ投函を巡って、表現の自由と建造物侵入罪の兼ね合いが争われた事例はある(いずれも最高裁で有罪が確定)。しかし報道の自由との兼ね合いが争われるのは今回が初めて。日本初の悪しき前例となってしまった。
 私は別件も抱えている。統一教会との関係を取材するため2019年に菅原一秀衆議院議員の事務所に取材を申し入れに行き、奥のソファに通され「お待ち下さい」と言われ待っていると、秘書が110番通報。後日、同行したジャーナリストの鈴木エイト氏ともども刑事告訴、書類送検された。容疑は建造物侵入罪。
 直後、経産相に就任した菅原氏の会見を取材しに行った私と鈴木氏は、経産省からも「永劫に」出入禁止を告げられた。今後、庁舎に立ち入れば新たな容疑を着せられることになるのだろう。
 今のところ、立件は有罪判決を受けた1件だけ。現在、控訴中だ。
詳細は「藤倉氏を支える会」のウェブサイト(https://www.fujikura-hs.com/)に掲載されている。
藤倉善郎(ジャーナリスト)
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号
                             
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2021年07月15日

【おすすめ本】白取千夏雄『「ガロ」に人生を捧げた男 全身編集者の告白』─長井勝一氏との出会いから休刊までの壮絶な編集者魂=鈴木 耕(編集者)

雑誌「ガロ」といえば 1970〜80年代に、知らぬ者なしと言われた伝説の漫画誌である。実は私も「ガロ」には個人的 な思い出がある。
 77年、当時「ガロ」編集長であった南伸坊さんに依頼され、小説を掲載してしまったのである。まったく若気の至り青春というのは恥知らずだ。今も手許に1冊(6月号)だけ残っているが、恥ずかしいからタイトルは記さない。
 そんな因縁のある雑誌に、生涯を捧げた男の自伝というのだから、読まずにはいられない。そしてこれがまた、期待にたがわぬ波乱万丈、壮絶な自伝なのだ。

 私がつき合っていた南さんなどの時代(70年代)は終わり、著者・白取千夏雄が活躍したのは、80年代に入ってからだった。だから私は直接には著者を知らない。
 しかし、本書からはサブカルチャーの旗手「ガロ」の雰囲気は、溢れん ばかりに伝わってくる。「ガロ」と言えば長井勝一さんである。創刊者にして伝説の編集長、むろん社長でもあった。その長井さんとの出会いからどっぷりと編集の道に浸り込んでいく著者の軌跡は、「ガロ」後期の歴史そのものだ。
 伝説の漫画誌とはいいながら、内情は貧乏所帯。編集部の雑駁な面白さや貧乏話も活写される。だが後半に至って筆致は不穏な様相を示す。本人の慢性白血病との闘い、それ以上に切ない妻(やまだ紫=漫画家)の病い。
 さらに追い撃ちをかけるのが「ガロ」休刊の裏事情。今やネット右翼化した版元の分裂騒動。えっ、そうなの? と首を傾げる部分もあるが、著者が夭逝してしまった今となっては、真偽を確かめる術もない。それにしても凄絶な自伝だ。(興陽館1300円)
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2021年07月14日

【月刊マスコミ評・出版】「ワクチン敗戦」日本のオトコ政治=″r屋敷 宏

 東京・大手町の自衛隊東京大規模接種センターに閑古鳥が鳴いている。一方で、筆者の職場に近い病院のワクチン接種には行列ができていた。菅政権のワクチン接種作戦は、チグハグである。
 『文芸春秋』7月号の船橋洋一氏「『ワクチン暗黒国家』日本の不作為」は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でワクチン接種が最下位の日本の「ワクチン敗戦」を皮肉っている。なぜ、日本独自にワクチンの開発ができないのか?
 日本のワクチン国産生産体制整備のための資金投入は米国の十分の一以下だという。WHO(世界保健機関)では、ワクチンを買いあさり、他の国はどうでもいいと言わんばかりの日本の評判は悪いという。日本の製薬企業には海外メーカーとの共同開発・生産設備すらないという。ウイルスの遺伝情報を使うmRNA(メッセンジャーRNA)を見過ごし、ワクチン承認体制が迅速ではなく、ワクチン接種体制も滞っている、訴訟リスクを管理できていない等々。自民党、公明党は、安全保障の根本を間違えているのだ。
 もっとも注目したのは、『世界』7月号の「さらば、オトコ政治」である。日本のジェンダーギャップ(男女格差)指数が2021年も120位であることを受けての企画のようだ。編集部は「いくら女性の社会進出が進んでも、そのあり方をオトコ政治が決めているかぎり、ここはいつまでも『ヘル・ジャパン』だ」だという。
 同誌で「怒りは社会改革のマグマである」という山下泰子氏の論文「女性の権利を国際基準に 女性差別撤廃条約から考える」が問題の所在を明確にしている。「日本の裁判所で、女性差別撤廃条約を裁判規範として不平等な扱いを訴えた者が救済された事例は皆無である」という。山下氏らは、女性差別撤廃条約の日本に対する効力発生から36年目にあたる2021年7月25日を「女性の権利デー」と名付け、同条約を日本社会に浸透させることを目指すとしている。
 『月刊Hanada』7月号に登場した安倍晋三前首相は、新型コロナ対応への遅れについて「緊急事態条項が憲法に規定されていないことをもってしても、危機への意識がとても薄かった」と日本国憲法を攻撃し、「新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案は、そもそもは民主党政権時に作られた新型インフルエンザ等対策特別措置法です」と旧民主党に責任をなすりつけている。確かに、自民党の「オトコ政治」は愚劣に違いない。 
荒屋敷 宏
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号
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2021年07月12日

【スポーツ】五輪代表 苦難の道へ=大野晃

 ついに、異常な東京五輪の開催が目前に迫った。疑問や不安が解消されないまま、五輪代表は競技だけに専念することを強いられた。
 無責任な政府の強引な開催への暴走で、代表には苦難の道が待ち構える。
 開催推進のNHKテレビなどで「メダル獲得で国民を元気づける」と語っても、パンデミック(世界的大流行)の拡大増幅の危険が、科学的、医学的に警告される中で、無批判に出場することの理由にはならない。
 多くの国民の信頼が薄れ、代表たちの複雑な声を無視し続けた日本オリンピック委員会(JOC)は、犯罪的ですらある。
 山下泰裕JOC会長は、代表がネット上で批判を浴びていることを認めて「(金メダル30個)達成は重要ではない。思い切り挑戦してくれればいい」とトーンダウンしたが、挑戦する環境は劣悪だ。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策で、行動は厳しく制限され、監視の目が光り、自由な準備はむずかしい。ライバルの海外代表やファンとの交流は禁止され、息の詰まるような隔離と検査漬けの毎日が求められる。

 しかも開催国有利な条件で、公平な競争とは言えず、感染の不安は消えない。心配なのは、出場後の競技生活だ。メダルを獲得すれば、無責任に相乗利益を狙うテレビが主導するマスメディアの空騒ぎの中で、一時的に高揚したとしても、国民の評価は別ものだ。
 多くの国民に、競技への理解を求め、さまざまな形で交流を強めて、支援を受けてきた競技者だが、根深い不信で、再び、狭い世界に閉じこもらざるを得ない生活に逆戻りする恐れがある。
 海外からの代表たちは、不慣れな地で、さらに厳しい条件におかれる。日本の印象悪化につながりかねない。開催すべきかどうかが、観客を入れるかどうかに矮小化され、菅政権、小池都政、国際オリンピック委員会は、政治的、経済的利益に汲々とし続けた。
 競技者と国民に分断を持ち込んだ政治的五輪の無謀な開催は、悪夢の遺産となりそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)


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2021年07月11日

【今週の風考計】7.11─「ソーバーキュリアス」の陰で居酒屋の悲鳴

「ソーバーキュリアス」なる語句を知った。英語で「Sober Curious」。酒は飲めるのだが、あえて飲まない人たちを指す。「Sober=しらふ」「Curious=ふりをする」を組み合わせた造語だ。
 欧米の若者を中心に、トレンドになっているそうだ。日本も例外ではないという。日本の若者の半分以上は、ソーバーキュリアス的なライフスタイルを選択しているとか。
「本当にそうかい?」─疑問に思ってしまう。緊急事態宣言が発せられ、酒類の販売禁止が要請されているのに、渋谷や歌舞伎町など繁華街の路上で、缶酎ハイや缶ビールを座り飲み、酔っぱらっている若者の映像が、テレビから流れる。これは例外か。

それにしても巣ごもり″を強いられる我が身にあっては、家での晩酌、ビールのロング缶は欠かせない。サラリーマンや労働者だって、帰りがけに「ちょっと一杯」の息抜きは必要だろう。ストレスの多い毎日にあって、「ソーバーキュリアス」などと洒落ている<優雅な一日>はないだろう、それが実態だと思う。

東京都に4度目の緊急事態宣言が発令された。12日から8月22日までの6週間だ。再び飲食店に酒類提供の全面禁止が要請される。
 居酒屋は「また酒が悪者にされるのか」と怒りの声を挙げる。「五輪をやるなら、居酒屋もやらせてくれ、酒がダメなら潰れるしかない」と憤るのも無理はない。
 しかも政府は、金融機関に対し、酒の提供禁止に歯向かう居酒屋・酒卸業者に「金を貸すな」みたいな脅し・締め付けを依頼しようなどという。まさに言語道断、撤回するのは当然だ。

筆者も時には行く、東京・新宿のビア&カフェ「ベルグ」副店長・迫川尚子さんの<酒に罪はない─新宿駅最後の小さなお店の悲鳴>という一文を読んだ。
 「時短営業、酒類の提供自粛は本当に厳しく、赤字は何百万円にも上ります。創業して50年たちますが、最も危機的な状況です。…コロナ対策は万全を期したうえ、…うちは仕事帰りの労働者が立ち飲みで、さくっと飲んで、ちょっと摘まんでさっと帰るというスタイルの店、お酒に罪はないですし、軽く一杯、というささやかな楽しみまで奪わなくても良いのではないかと思うのです」(「女性のひろば」8月号)

顧みれば、コロナ感染防止を目的に飲食店や居酒屋に発令された規制は、時短要請や酒類の販売自粛・禁止など、昨年11月28日から今年の8月22日まで、連続して6か月間に及ぶ。
 コロナ対策の全てが「現場に尻ぬぐいさせる」対応では、誰も政府の緊急事態宣言など、信用しなくなるのは当たり前。
 「ああいえば上祐」じゃないが、「いずれにせよガースー」の菅政権の発令など、信頼はもう吹きとんだ。退場してもらうしかない。(2021/7/11)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする