近年の東京新聞の調査報道には目をみはるものがある。中でも注目してきたのが、PFAS問題だ。本書は、その中核を 担ってきた著者による成果を纏めたものである。
PFASはフッ素と炭素が結合した人工の有機化合物で、様々な健康被害をもたらすとされる。近年、米軍基地でのPFASを含む泡消化剤大量使用による地下水汚染が、明らかになってきた。
東京新聞立川支局勤務になった著者は、地元の問題としてPFASに出会う。市民団体が血液検査を始めるという情報を得て、2022年11月13日に「横田基地周辺 血液検査へ」という見出しで1面に記事化、ネット上で大きな話題となる。
血液検査の結果が衝撃的だった。国分寺市を中心とする検査参加者の85%が「健康被害のリスクがある」という結果が出て、これを報道したことにより、多摩地の住人の怒りに火が付いた。
疑惑の先は米軍横田基地。そこには日米地位協定がはだかるが、その壁を著者は地道な取材で少しずつ崩していく。本書の特筆すべき価値は、地道な調査報道が現実を動かしていくプロセスを明示している点だろう。
この東京新聞の報道が世論を動かし、これ以上隠せないと考えた自治体や防衛省、米軍が動きはじめる。米軍は、報道を きっかっけに泡消化剤の漏出を認める。日本を守るために駐留しているはずの米軍が、日本人の身体を脅かしている現実があらわになっていく。
風化を狙う権力に対して、報道し続けることの重要性がよくわかった。ジャーナリストを目指す者にとって必読の書だ。(東京新聞1600円)
2025年12月13日
【月刊マスコミ評・放送】放送局の「ガバナンス」をめぐって=岩崎 貞明
読売新聞など各紙は10月23日、民間放送事業者のガバナンス(企業統治)のあり方を検討する総務省の有識者会議が「国の監督機能を強化する骨子案を示した」と報道した。不祥事で経営が悪化した事業者に対し、国が事案の報告を求める制度を新たに設ける、という。報道によると「業界の自主的な取り組みを尊重しつつ、行政として一定の関与ができる枠組みが必要と判断した」。
フジテレビではタレントによるアナウンサーへの性暴力事件の発覚を契機にCMの中止・出稿見送りが相次ぎ、経営が悪化して、いまだに回復しきれていない。有識者会議では「財務基盤の弱い地方局で同様の事案が起きれば、放送事業の継続が難しくなる恐れ」があることから、国の監督機能を強化するよう求める意見が出たようだ。
石破茂内閣当時の総務大臣は村上誠一郎氏で、自民党内ではリベラル派として知られた。フジテレビをめぐる一連の問題が発生した際にも、村上総務相は放送法の趣旨に則って「放送局の自律」を重視し、比較的慎重な対応を心がけていたように思われた。
村上総務相当時に発足したこの有識者会議ではあるが、これが高市早苗首相による自民・維新「連立」政権の下ではどうなるのか、目が離せない。何と言っても、総務相だった2016年、政治的公平性に問題ありと政府が認定した放送局を放送法違反として処分する「停波発言」で物議を醸した張本人が内閣総理大臣になったわけだ。「国の監督機能を強化」する方向性はやむを得ないのかもしれないが、放送内容への介入になればやはり「表現の自由」との軋轢が生じよう。
そもそも放送局の「ガバナンス」を強化するということは、局の経営が放送内容への関与を強めることになり、それは番組編集の自由への制約につながる。そこへさらに行政の関与がかぶさってくれば、制作現場への締め付けが一層厳しくなるのは必至だ。自由にモノが作れないからテレビを離れてネット配信に行きます、というクリエイターが一段と増加することになるかもしれない。
究極のところ、表現の自由との衝突が起きるのは放送の直接免許制がネックなのではないか。しかし有識者会議の議論を見る限り、先進諸国にならった独立行政機関による間接免許制の是非が論じられた形跡は見当たらない。まあ、高市政権下では無理な注文か。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
フジテレビではタレントによるアナウンサーへの性暴力事件の発覚を契機にCMの中止・出稿見送りが相次ぎ、経営が悪化して、いまだに回復しきれていない。有識者会議では「財務基盤の弱い地方局で同様の事案が起きれば、放送事業の継続が難しくなる恐れ」があることから、国の監督機能を強化するよう求める意見が出たようだ。
石破茂内閣当時の総務大臣は村上誠一郎氏で、自民党内ではリベラル派として知られた。フジテレビをめぐる一連の問題が発生した際にも、村上総務相は放送法の趣旨に則って「放送局の自律」を重視し、比較的慎重な対応を心がけていたように思われた。
村上総務相当時に発足したこの有識者会議ではあるが、これが高市早苗首相による自民・維新「連立」政権の下ではどうなるのか、目が離せない。何と言っても、総務相だった2016年、政治的公平性に問題ありと政府が認定した放送局を放送法違反として処分する「停波発言」で物議を醸した張本人が内閣総理大臣になったわけだ。「国の監督機能を強化」する方向性はやむを得ないのかもしれないが、放送内容への介入になればやはり「表現の自由」との軋轢が生じよう。
そもそも放送局の「ガバナンス」を強化するということは、局の経営が放送内容への関与を強めることになり、それは番組編集の自由への制約につながる。そこへさらに行政の関与がかぶさってくれば、制作現場への締め付けが一層厳しくなるのは必至だ。自由にモノが作れないからテレビを離れてネット配信に行きます、というクリエイターが一段と増加することになるかもしれない。
究極のところ、表現の自由との衝突が起きるのは放送の直接免許制がネックなのではないか。しかし有識者会議の議論を見る限り、先進諸国にならった独立行政機関による間接免許制の是非が論じられた形跡は見当たらない。まあ、高市政権下では無理な注文か。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
2025年12月12日
【フォトアングル】「被爆80年のつどい」に俳優の五大路子さんが出演=11月1日、横浜市港北区、伊東良平撮影
11月1日、新横浜プリンスホテルで「被爆80年のつどい」が開催された。主催は県内の各生協などが中心の「つどい運営委員会」。抽選で選ばれた約300人が参加し、丸山進「神奈川県原爆被災者の会」会長の挨拶に続いて俳優の五大路子さん=写真中央=率いる「横浜夢座」が朗読劇『』真昼の夕焼け』を、横浜大空襲で多くの人たちが焼夷弾で追い詰められた実話に基づいて演じた。五代さんは集いの最後に高校生平和大使として今夏ジュネーブを訪れた青柳潤さんと対談し、平和の大切さを訴えた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
2025年12月11日
【出版界の動き】12月 コンテンツ産業支援に予算350億円
◆日販赤字16億円 物流費高騰
日販の25年4〜9月期の連結決算は、売上高1633億円(前年同期比12%減)、営業損益16億円の赤字(前年同期は2400万円の赤字)。本業の取次事業でトラックなどの運搬物流コストが高騰、赤字幅が広がったことが要因。
純利益は前年同期比3倍の3億3600万円。コンビニエンスストア向けの雑誌配送をトーハンに順次移管し、6月にコンビニ向けの物流から完全撤退。そのため閉鎖した物流拠点の不動産売却益21億円の計上が大きい。
◆トーハンも3年ぶり8億円赤字
トーハンの単独決算(2025年4〜9月期)によると、最終損益8億9200万円の赤字(前年同期は6億4300万円の黒字)。赤字となるのは3年ぶり。書店やコンビニへの運賃費が高騰し、キロ当たり62円。25年3月期比で3割も高くなっている。
26年3月期通期の経常損益は4億1000万円の赤字を見込む。27年3月期は経常黒字への転換を目指す。なお子会社を含めた25年4〜9月期の連結決算は、売上高1977億円(前年同期比5%増)、最終損益15億円の赤字(前年同期は2億7600万円の黒字)。
◆漫画海賊版に5億円を賠償命令
講談社、集英社、小学館、KADOKAWAの出版大手4社が、「ONE PIECE(ワンピース)」など、人気漫画を無断で掲載する海賊版サイトへデータ配信サービスを提供した米IT企業「クラウドフレア」を相手取り、権利侵害を訴えていた。このほど東京地裁は約5億円の賠償を命じた。「権利侵害を幇助した」として、配信業者に賠償を認めた初の司法判断である。
東京地裁はクラウド社が、出版社から著作権侵害と通知された後もサービス提供を続けた事態を「提供を停止する義務を怠った」と重くみた。クラウド社は「インターネットの効率、信頼性に深刻な影響を及ぼす」とし控訴する意向だというが、悪用を許していいわけはない。IT企業側はネットの利活用を進める上でも重い責任を自覚すべきだ。
出版社などでつくる海賊版対策団体「ABJ」によると、被害額は推計で年約8兆5000億円にも上る。
◆出遅れコンテンツ産業底上げへ
アニメや漫画などのコンテンツ産業支援に向け、大規模映像作品の制作や日本発海外向け配信サービスの流通網の整備など、日本発のコンテンツの海外展開を後押しする。これまでコンテンツ産業に関する日本の予算規模は約252億円、米国は6176億円、中国は1238億円、韓国は762億円と比べても、出遅れている。
日本発コンテンツは現在、アニメやゲームが中心となっている。経産省の支援では、マンガ・アニメコンテンツだけに限らず、日本のすべての出版コンテンツが、世界中の読者に届けやすくなる環境を整備し、日本のコンテンツ産業を底上げする方向で取り組むべきである。
◆マンガに続け小説など輸出開拓
「漫画を除いた書籍の海外売り上げは、2019年比で3倍ほどになっている」。こうした状況を踏まえ、日本の出版各社が書籍の海外展開に力を入れている。11月初旬に開かれた商談会には過去最多の108社が出展し、海外の出版社と翻訳の交渉に臨んだ。漫画以外のジャンルでも海外からの関心が高まっている。それを捉えようと情報発信を強化するほか、マイナビ出版では自前で市場開拓する動きも出ている。
◆北米海外事業・拠点をサポート
講談社は、コロナ禍以降の世界的なアニメ、マンガブームの隆盛を受け、昨年6月に海外ライツ事業と海外拠点をサポートするグローバル統括室を新設。海外、特に同社が現地に出版社を置き、直接出版活動を行っている北米では、日本マンガに対する需要が盛り上がり、『進撃の巨人』英語版が1千万部を超える。
◆海外事業好調で最高益更新
紀伊国屋書店の売上高は1407億円(前期比4%増)だが、純利益が47億円(前期比37%増)、3期連続で最高益を更新。売り上げの25%を占める海外事業が好調だったほか、24年12月に完全子会社化した老舗書店「旭屋書店」と「東京旭屋書店」の業績が貢献した。
とりわけ北米と東南アジアを軸にした海外店舗は11月末で47店舗になる。さらに26年8月期中までに10店舗以上の開業を見込む。26年春にはバングラデシュへの初出店を予定し、インド進出への足掛かりとする。
◆常駐フリー呼びかけチラシ配布
出版ネッツは、先月11日に神保町交差点および地下鉄護国寺駅・講談社前にて、幟を立てハンドマイクで呼びかけをしながら、チラシを配布、年1回実施し今回で3回目となる。チラシの内容は、常駐フリーで働く人に向けての情報提供と、「働くうえで困っていることや不安なことはありませんか?」と呼びかけるもの。解決・交渉事例や、アンケート調査等で寄せられた常駐フリーの声(不安や要望)、相談窓口の連絡先も載せている。
配布チラシは下記からダウンロードできる。
https://union-nets.org/wp-content/uploads/2025/11/a4b2484ae748d3e4341dad3a5027de78.pdf
日販の25年4〜9月期の連結決算は、売上高1633億円(前年同期比12%減)、営業損益16億円の赤字(前年同期は2400万円の赤字)。本業の取次事業でトラックなどの運搬物流コストが高騰、赤字幅が広がったことが要因。
純利益は前年同期比3倍の3億3600万円。コンビニエンスストア向けの雑誌配送をトーハンに順次移管し、6月にコンビニ向けの物流から完全撤退。そのため閉鎖した物流拠点の不動産売却益21億円の計上が大きい。
◆トーハンも3年ぶり8億円赤字
トーハンの単独決算(2025年4〜9月期)によると、最終損益8億9200万円の赤字(前年同期は6億4300万円の黒字)。赤字となるのは3年ぶり。書店やコンビニへの運賃費が高騰し、キロ当たり62円。25年3月期比で3割も高くなっている。
26年3月期通期の経常損益は4億1000万円の赤字を見込む。27年3月期は経常黒字への転換を目指す。なお子会社を含めた25年4〜9月期の連結決算は、売上高1977億円(前年同期比5%増)、最終損益15億円の赤字(前年同期は2億7600万円の黒字)。
◆漫画海賊版に5億円を賠償命令
講談社、集英社、小学館、KADOKAWAの出版大手4社が、「ONE PIECE(ワンピース)」など、人気漫画を無断で掲載する海賊版サイトへデータ配信サービスを提供した米IT企業「クラウドフレア」を相手取り、権利侵害を訴えていた。このほど東京地裁は約5億円の賠償を命じた。「権利侵害を幇助した」として、配信業者に賠償を認めた初の司法判断である。
東京地裁はクラウド社が、出版社から著作権侵害と通知された後もサービス提供を続けた事態を「提供を停止する義務を怠った」と重くみた。クラウド社は「インターネットの効率、信頼性に深刻な影響を及ぼす」とし控訴する意向だというが、悪用を許していいわけはない。IT企業側はネットの利活用を進める上でも重い責任を自覚すべきだ。
出版社などでつくる海賊版対策団体「ABJ」によると、被害額は推計で年約8兆5000億円にも上る。
◆出遅れコンテンツ産業底上げへ
アニメや漫画などのコンテンツ産業支援に向け、大規模映像作品の制作や日本発海外向け配信サービスの流通網の整備など、日本発のコンテンツの海外展開を後押しする。これまでコンテンツ産業に関する日本の予算規模は約252億円、米国は6176億円、中国は1238億円、韓国は762億円と比べても、出遅れている。
日本発コンテンツは現在、アニメやゲームが中心となっている。経産省の支援では、マンガ・アニメコンテンツだけに限らず、日本のすべての出版コンテンツが、世界中の読者に届けやすくなる環境を整備し、日本のコンテンツ産業を底上げする方向で取り組むべきである。
◆マンガに続け小説など輸出開拓
「漫画を除いた書籍の海外売り上げは、2019年比で3倍ほどになっている」。こうした状況を踏まえ、日本の出版各社が書籍の海外展開に力を入れている。11月初旬に開かれた商談会には過去最多の108社が出展し、海外の出版社と翻訳の交渉に臨んだ。漫画以外のジャンルでも海外からの関心が高まっている。それを捉えようと情報発信を強化するほか、マイナビ出版では自前で市場開拓する動きも出ている。
◆北米海外事業・拠点をサポート
講談社は、コロナ禍以降の世界的なアニメ、マンガブームの隆盛を受け、昨年6月に海外ライツ事業と海外拠点をサポートするグローバル統括室を新設。海外、特に同社が現地に出版社を置き、直接出版活動を行っている北米では、日本マンガに対する需要が盛り上がり、『進撃の巨人』英語版が1千万部を超える。
◆海外事業好調で最高益更新
紀伊国屋書店の売上高は1407億円(前期比4%増)だが、純利益が47億円(前期比37%増)、3期連続で最高益を更新。売り上げの25%を占める海外事業が好調だったほか、24年12月に完全子会社化した老舗書店「旭屋書店」と「東京旭屋書店」の業績が貢献した。
とりわけ北米と東南アジアを軸にした海外店舗は11月末で47店舗になる。さらに26年8月期中までに10店舗以上の開業を見込む。26年春にはバングラデシュへの初出店を予定し、インド進出への足掛かりとする。
◆常駐フリー呼びかけチラシ配布
出版ネッツは、先月11日に神保町交差点および地下鉄護国寺駅・講談社前にて、幟を立てハンドマイクで呼びかけをしながら、チラシを配布、年1回実施し今回で3回目となる。チラシの内容は、常駐フリーで働く人に向けての情報提供と、「働くうえで困っていることや不安なことはありませんか?」と呼びかけるもの。解決・交渉事例や、アンケート調査等で寄せられた常駐フリーの声(不安や要望)、相談窓口の連絡先も載せている。
配布チラシは下記からダウンロードできる。
https://union-nets.org/wp-content/uploads/2025/11/a4b2484ae748d3e4341dad3a5027de78.pdf
2025年12月10日
【JCJ25年12月集会アピール】「戦後80年からのジャーナリズムに求められること」
12月6日(土)に行いましたJCJ2025年12月集会「戦後80年からのジャーナリズムに求められること」(http://jcj-daily.seesaa.net/article/519012815.html)は、盛会でした。会場にお越しくださいました方、中継を見た視聴者の方、本当にありがとうございました。集会の最後にJCJ代表委員の藤森研が読み上げた「集会アピール」を掲載しました。お読みいただければ幸いです。
80年前、多くの人々の命やかけがえのない日常を奪った戦争が終わりました。焼け跡からスタートした戦後の人々の歩みは「平和への誓い」とともにあったはずです。
戦後80年、今の日本の現状は、そうした戦後の人々の歩みや願いに応えることができたといえるでしょうか。10年前に、当時の安倍政権が集団的自衛権の行使を認めた安保法を成立させて以降、日本は「戦争のできる国」へと踏み出し、平和の石垣は切り崩されています。
こうした動きに抗い、警鐘を鳴らしていこうと日本ジャーナリスト会議(JCJ)は去年から戦後80年の今年にかけて、集会・シンポジウムを3回にわたり開いてきました。
そうした中、今年10月に右派の高市政権が発足しました。高市首相はさっそくトランプ大統領との蜜月を演出し日米同盟の強化を打ち上げる一方、台湾有事が「存立危機事態」になりうると国会で答弁し、日中関係に亀裂を入れました。防衛費のGDP比2%達成を前倒しするだけでなく、スパイ防止法の制定や国家情報局の設置、非核三原則の見直しなどにも前のめりの姿勢を示しています。「戦争ができる国」へのアクセルは一層加速されています。
こうした厳しい状況のなかで、締めくくりとなる4回目のきょうの集会・シンポジウムでは、戦後80年後のこれからヘ向けて、ジャーナリズムに求められることは何なのかを考え、話し合いました。戦前のジャーナリズムが戦争を煽り加担した過去から学び、ジャーナリズムは何よりも戦争へ向かう権力の動きや社会の雰囲気を、厳しくチェックしていかなければならないと心に刻みます。JCJは「再び戦争のために、ペン、カメラ、マイクをとらない」という決意のもとにスタートしました。その決意の実践がいま、強く求められています。
きょうの集会が戦後80年積み上げられてきた平和を守り、「戦争ができる国」への流れを断ち切っていくために、ジャーナリズムが、そして一人ひとりが何をしていくのかを考えていく一歩になることを願っています。
2025年12月6日 日本ジャーナリスト会議(JCJ)
80年前、多くの人々の命やかけがえのない日常を奪った戦争が終わりました。焼け跡からスタートした戦後の人々の歩みは「平和への誓い」とともにあったはずです。
戦後80年、今の日本の現状は、そうした戦後の人々の歩みや願いに応えることができたといえるでしょうか。10年前に、当時の安倍政権が集団的自衛権の行使を認めた安保法を成立させて以降、日本は「戦争のできる国」へと踏み出し、平和の石垣は切り崩されています。
こうした動きに抗い、警鐘を鳴らしていこうと日本ジャーナリスト会議(JCJ)は去年から戦後80年の今年にかけて、集会・シンポジウムを3回にわたり開いてきました。
そうした中、今年10月に右派の高市政権が発足しました。高市首相はさっそくトランプ大統領との蜜月を演出し日米同盟の強化を打ち上げる一方、台湾有事が「存立危機事態」になりうると国会で答弁し、日中関係に亀裂を入れました。防衛費のGDP比2%達成を前倒しするだけでなく、スパイ防止法の制定や国家情報局の設置、非核三原則の見直しなどにも前のめりの姿勢を示しています。「戦争ができる国」へのアクセルは一層加速されています。
こうした厳しい状況のなかで、締めくくりとなる4回目のきょうの集会・シンポジウムでは、戦後80年後のこれからヘ向けて、ジャーナリズムに求められることは何なのかを考え、話し合いました。戦前のジャーナリズムが戦争を煽り加担した過去から学び、ジャーナリズムは何よりも戦争へ向かう権力の動きや社会の雰囲気を、厳しくチェックしていかなければならないと心に刻みます。JCJは「再び戦争のために、ペン、カメラ、マイクをとらない」という決意のもとにスタートしました。その決意の実践がいま、強く求められています。
きょうの集会が戦後80年積み上げられてきた平和を守り、「戦争ができる国」への流れを断ち切っていくために、ジャーナリズムが、そして一人ひとりが何をしていくのかを考えていく一歩になることを願っています。
2025年12月6日 日本ジャーナリスト会議(JCJ)
2025年12月09日
【月刊マスコミ評・新聞】首相に問うべきは自国の主権と人権=六光寺 弦
高市早苗首相は10月28日、トランプ米大統領との初の首脳会談で軍事力強化に取り組む決意を表明。「日米同盟の新たな黄金時代をともに作りたい」と述べた。
強調したのは安倍晋三元首相との近さ。「安倍氏に対する長きにわたる友情に感謝している」「大統領のダイナミックな外交について話を聞いていた」(読売新聞)と、大統領への賞賛も込めた。
「シンゾーの後継者」にトランプ大統領は満足しただろう。専用ヘリに同乗させて、米国の軍事力の象徴である原子力空母へ。そこでのやり取りは各紙とも詳しい。
「米軍兵らを前に演説していたトランプ氏は『この女性は勝者だ』と首相を壇上に招いた。首相の肩を抱き『日本の歴史上初の女性首相だ』と紹介。笑顔の首相は右拳を挙げて小躍りしながらぐるりと回り、拍手を浴びた」(朝日新聞)。
対米追随姿勢を、毎日新聞や東京新聞は社説で批判したが、問題はそれで済まない。トランプ大統領が移動に都心の米軍施設のヘリポートを使ったこと、高市首相もヘリに同乗したことには、日本の主権にかかわる重大な意味がある。
この施設は「米陸軍赤坂プレスセンター」。大統領は羽田空港から入国し、ヘリでこの場所に移動。車に乗り換え天皇との会見に向かった。米空母への移動にもこのヘリポートを使った。
地元の東京都港区は返還を求めているが米国は応じない。80年前の敗戦による軍事占領が続いている点で、沖縄の米軍基地と同じだ。日本の主権が及ばないそんな場所から、高市首相は大統領専用ヘリに同乗し米空母を訪ねた。
東京の空は沖縄の空につながっている。基地の過剰な負担の解消を求める沖縄の民意を分かっているのか―。首相に問うべきは、自国の主権と自国民の人権への意識のはずだ。
会談翌日、東京発行の新聞各紙の朝刊1面トップは、日米首脳会談でそろった。いくつもの紙面の見出しに「黄金時代」が踊っていることに驚いた。朝日新聞は「首相『日米 新黄金時代を』」、読売新聞も「日米同盟『黄金時代を』」が主見出し。産経、東京両紙も2本目の見出しに取った。
「黄金時代」は何を指すのか不明。勇ましいだけの空疎な言葉だ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
強調したのは安倍晋三元首相との近さ。「安倍氏に対する長きにわたる友情に感謝している」「大統領のダイナミックな外交について話を聞いていた」(読売新聞)と、大統領への賞賛も込めた。
「シンゾーの後継者」にトランプ大統領は満足しただろう。専用ヘリに同乗させて、米国の軍事力の象徴である原子力空母へ。そこでのやり取りは各紙とも詳しい。
「米軍兵らを前に演説していたトランプ氏は『この女性は勝者だ』と首相を壇上に招いた。首相の肩を抱き『日本の歴史上初の女性首相だ』と紹介。笑顔の首相は右拳を挙げて小躍りしながらぐるりと回り、拍手を浴びた」(朝日新聞)。
対米追随姿勢を、毎日新聞や東京新聞は社説で批判したが、問題はそれで済まない。トランプ大統領が移動に都心の米軍施設のヘリポートを使ったこと、高市首相もヘリに同乗したことには、日本の主権にかかわる重大な意味がある。
この施設は「米陸軍赤坂プレスセンター」。大統領は羽田空港から入国し、ヘリでこの場所に移動。車に乗り換え天皇との会見に向かった。米空母への移動にもこのヘリポートを使った。
地元の東京都港区は返還を求めているが米国は応じない。80年前の敗戦による軍事占領が続いている点で、沖縄の米軍基地と同じだ。日本の主権が及ばないそんな場所から、高市首相は大統領専用ヘリに同乗し米空母を訪ねた。
東京の空は沖縄の空につながっている。基地の過剰な負担の解消を求める沖縄の民意を分かっているのか―。首相に問うべきは、自国の主権と自国民の人権への意識のはずだ。
会談翌日、東京発行の新聞各紙の朝刊1面トップは、日米首脳会談でそろった。いくつもの紙面の見出しに「黄金時代」が踊っていることに驚いた。朝日新聞は「首相『日米 新黄金時代を』」、読売新聞も「日米同盟『黄金時代を』」が主見出し。産経、東京両紙も2本目の見出しに取った。
「黄金時代」は何を指すのか不明。勇ましいだけの空疎な言葉だ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
2025年12月08日
【JCJ広島 2025不戦のつどい】今、目の前で進む対中国戦争の現実・・・石井 暁さん(共同通信社編集委員・立命館大学客員教授)が12月13日(土)午後1時30分から4時30分講演
●スクープ「台湾有事で核シナリオ」
この夏、驚愕の事実が明らかになった。日米両政府が有事を想定した机上演習を複数回実施。米軍が核兵器を使用するシナリオを議論していた。昨年、自衛隊と米軍が実施した「台湾有事」想定の机上演習では、中国に対し「核の脅し」をかけるよう自衛隊が再三求め、米側は最終的に同意したというのだ(7月27、28日付中国新聞)。
記事を書いた共同通信の石井暁編集委員が広島にやってきます。
今回、石井記者には、日米一体の軍事作戦の内実を明らかにしながら、その事実を国民に知らせるための記者活動をどう展開してきたのかなどを語ってもらいます。岩国や呉で起きていることなど、会場からの質問にも応じていただく予定です。ぜひ、ご参加ください。
■会場
広島弁護士会館3階ホール(広島市中区上八丁堀2–73)
■資料代
500円(学生・障がい者無料)
■基調講演
石井暁(いしい・ぎょう)氏(共同通信社編集委員・立命館大学客員教授)
1961年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。1985年共同通信社入社。1994年から防衛庁、防衛省を30年以上担当。
著書に『自衛隊の闇組織―秘密情報部隊「別班」の正体』(講談社現代新書)=TBS日曜劇場「VIVANT」参考文献、『防衛省追及』(地平社)、月刊誌『世界』(岩波書店)への寄稿など多数。「モーニングショー」(テレビ朝日)、「報道1930」(BS-TBS)、「サンデーモーニング」(TBS)などに出演。映画「シン・ゴジラ」に取材協力。辺野古密約報道等で「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞大賞」「メディア・アンビシャス大賞」「ジャーナリズムZ賞」を受賞。
■配信について
ライブ配信はありません。
録画配信希望者は下記アドレスまでご連絡ください。 → 2021hirokenpou@gmail.com
■主催
日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島支部(中区十日市町1–5‑5 坪池ビル2F TEL:90–4650-1208 難波)
■協賛
広島憲法会議、広島県文化団体連絡会議、広島県労働者学習協議会、広島マスコミ九条の会、中国新聞労働組合、中国放送労働組合
■主催:日本ジャーナリスト会議広島支部
https://jcj.gr.jp/tag/広島/ 日本ジャーナリスト会議 広島
https://note.com/jcj_hiroshima/ 広島ジャーナリスト通信
2025年12月07日
【25年JCJ賞受賞者スピーチ】取材プロセスを全て公開 データベースは報道を底上げ プロントラインプレス スローニュース
高田昌幸さん
私が述べたいのは2つです。一つ目はなぜこのようなことをやっているかです。2019年にスタートしたフロントラインプレスは、当初から政治資金と選挙資金を底引き網のように集めた情報を分析し、ネットで発信しています。その意義はまず、絶大な権力を持ち、法律や条例を作る議員たちに、きちんと「監視」されていることを示すことです。
またネットは「ウソを言った者勝ち」状態です。これからのジャーナリズム活動の大きな柱はウソでない情報を伝える。これが2つ目です。それにはどんな取材を経て記事や番組、動画になったかを提示する。ニセ情報とは違う内容を見せるのが大事なポイントです。
公開した政治資金と選挙資金データから記事が生まれ、最後に政治家たちのコメントを取るというのは、ものすごく分かりやすくシンプルです。公文書を整理整頓すれば、誰がやっても多分同じ結論に達します。
最後にJCJ賞受賞は3回目です。25年間勤めた北海道新聞記者時代の1996年、取材メンバーだった北海道庁公費乱用報道で奨励賞、04年は北海道警察裏金問題の取材代表として大賞をいただきました。
きちんと取材をし、きちんと伝えるジャーナリズムの王道をまっすぐ歩みたいと思ってきました。1つのことを変わらずに続ける力、それによって様々な場所で起きる化学反応の力を信じて、曲がりなりにも調査報道を続け、この場に立てたことを嬉しく思っています。その意味で嬉しい1日になりました。
安野修右さん
選挙運動費用データベースは宝の山です。政治的な現実と照らし合わせてどうなのという問題が列挙されています。どんどん使ってください。
話は変わりますが、賢しらな言説を表立だって言い募りながら、自己の利益を獲得しようとするさまを、故郷の広島弁では「公平げ」「公平っぽい」と馬鹿にします。
今年、参院選の参政党データによると、東日本の大卒者率の高い自治体は同党比例区の投票率が低く、西日本、特に中国地方では大卒者率の高い自治体ほど投票率が高くなっています。
最近の政党の言説が「公平げ」かは論評しませんが今、「公平げ」な言説があふれています。受賞作の報道内容はみな公平だと思います。公平な言説が世の中に広まることに力を尽くします。
熊田安伸さん
実は前職のNHK時代に「政治マガジン」というウェブメディアを開発運営しました。ジャーナリストを支援するデータベースも公開したかったのですがダメでした。
スマートニュースの子会社スローニュースは、独自の調査報道やノンフィクションを発信しています。高田さんたちに「これやんないか」と言われた時には「やった」と思いました。
「予算オーバーかもしれませんが、絶対いい話だからやりましょう」と提案、即座に始めました。私たちのミッションは、ジャーナリズム全体を底上げしアップデートしていくことです。そうでないと情報やデータを握る権力に対して戦えません。
データベースでは、すごい分量の情報が横断検索できます。森友事件の財務省文書も公開しました。受賞で素晴らしいツールを広く知ってもらえて感謝しています。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
2025年12月06日
【おすすめ本】西方ちひろ『ミャンマー、優しい市民はなぜ武器を手にしたのか』―非暴力から武装闘争へ 苦痛の転換=鈴木 耕(編集者)
世界はいま、血と殺戮に満ちているとしか言いようがない…。
本書はミャンマー軍事政権の下で、市民たちの優しく切ない非暴力抵抗が、ついに武器を手にした闘争へと変貌していく過程を、現地での体験をもとに書き記したもの。軍事独裁政権が持つ悪辣な抑圧と残虐な暴力の凄まじさが際立つ。
2021年の軍事クーデターは、国民が抱いた民主主義への希望を、卵の殻を踏み潰すようにあっさりと打ち砕いた。民主化のシンボルであったアウンサンスーチー氏は自宅軟禁され、民主選挙の結果は軍靴の下に壊滅した。だがそこから人々の抵抗が始まる。SNSで集まり、鍋を打ち叩いて抵抗の意志を示し、さまざまな手段を使って全国で闘いを繰り広げる。
著者は国際開発の仕事で大都市ヤンゴンに暮らしていたが、銃口と抵抗を目の当たりにした。それを国際社会に伝えるべく、SNSでイラストなども駆使して状況を発信していく。報じられることの少ないミャンマーの市民たちの闘いが、リアルな臨場感を伴って記録される。追いつめられてついに非暴力抵抗から武器を手にした武装闘争へ転換していく若者たちの痛苦な想いが悲しい。
著者は日本のミャンマーへの関わりにも目を向ける。政府も企業もミャンマー国民よりも軍事政権を優先している現状を厳しく批判する。
この12月には選挙が行われるが、民主的とはとうてい言い難い軍事政権下の偽装選挙だ。やむを得ないとはいえ銃を執った若者たちへの著者の眼差しが切ない。 (集英社 1,800円)
本書はミャンマー軍事政権の下で、市民たちの優しく切ない非暴力抵抗が、ついに武器を手にした闘争へと変貌していく過程を、現地での体験をもとに書き記したもの。軍事独裁政権が持つ悪辣な抑圧と残虐な暴力の凄まじさが際立つ。
2021年の軍事クーデターは、国民が抱いた民主主義への希望を、卵の殻を踏み潰すようにあっさりと打ち砕いた。民主化のシンボルであったアウンサンスーチー氏は自宅軟禁され、民主選挙の結果は軍靴の下に壊滅した。だがそこから人々の抵抗が始まる。SNSで集まり、鍋を打ち叩いて抵抗の意志を示し、さまざまな手段を使って全国で闘いを繰り広げる。
著者は国際開発の仕事で大都市ヤンゴンに暮らしていたが、銃口と抵抗を目の当たりにした。それを国際社会に伝えるべく、SNSでイラストなども駆使して状況を発信していく。報じられることの少ないミャンマーの市民たちの闘いが、リアルな臨場感を伴って記録される。追いつめられてついに非暴力抵抗から武器を手にした武装闘争へ転換していく若者たちの痛苦な想いが悲しい。
著者は日本のミャンマーへの関わりにも目を向ける。政府も企業もミャンマー国民よりも軍事政権を優先している現状を厳しく批判する。
この12月には選挙が行われるが、民主的とはとうてい言い難い軍事政権下の偽装選挙だ。やむを得ないとはいえ銃を執った若者たちへの著者の眼差しが切ない。 (集英社 1,800円)
2025年12月05日
【北海道支部「コメ騒動」講演会】農家に価格保証と所得補償を 食糧安保こそ最大の国防=高田正基
久保田 徳二さん(北海道大学客員教授・ジャーナリスト)
JCJ北海道支部は「コメ騒動と食料安保の行方〜米国産米輸入、備蓄と増産、所得補償は…」と題した講演会を9月6日、札幌市内で開催した。北海道大学客員教授で元北海道新聞編集委員の久田徳二氏が、昨年来のコメ不足と価格高騰の原因や、ぜい弱な食料安全保障の問題点などについてさまざまなデータを示しながら解説した。久田氏は「北海道食といのちの会」会長、JCJ北海道支部運営委員なども務める。講演の要旨を報告する。
需給操作の限界
「令和のコメ騒動」と言われるコメ不足、価格高騰の原因には@減反のやりすぎA需給操作の限界B農家の疲弊(農家経営の赤字放置)C猛暑による高温障害―がある。
昨年夏に小売店からコメが消えてからも政府は「不足ではなく不足感だ」「新米が出れば価格は落ち着く」などと言うばかりだった。それでも止まらぬ価格高騰に「随意契約」という強引な手法で備蓄米を放出した。
政府がようやくコメ不足を認めたのは今年8月。その理由について、外国人訪日客の増加や南海トラフ地震臨時情報による買いだめ、高温障害などを挙げた。2023年産は40万〜50万d、24年産は20万〜30万d不足していたと分析。24年産作況指数は101だったが、実際の収穫は94だったことも認めた。
だが、こうした政府の説明はコメ不足の真因ではない。根底には減反を長く続け、作付面積が減ったことがある。1968年に1445万dだったコメ生産量は、23年には791万dへと45%も減った。政府は価格形成を市場に任せる一方で、供給過多による価格低下を理由に、農家に生産抑制を求めてきた。しかも供給量予測に不可欠の「作況」の信頼性が薄れた。結局、生産調整の目的だった「価格安定」は成功せず、官僚主導型需給操作の限界を露呈した。
時給わずか97円
もう一つ、コメ不足の大きな原因が農家の疲弊だ。肥料や農薬、燃料など生産資材価格が高騰する一方で農産物価格が低迷し、作るほど農家の赤字は増加する。22年の農業統計調査によると、稲作農家の時給はたった10円だ。最近の調査でも時給は97円にすぎない。
価格・所得支持政策不備の中で、長期的経営不安が拡大し、稲作農家戸数は1965年の488万戸が2020年には69万戸へと85%減少、水稲耕作面積も280万fから103万fへと63%減少した。農家平均年齢は70歳と、高齢化も著しい。
ようやく危機感を抱いた政府はコメの増産方針を打ち出したが、疲弊した農家は耕作面積を急には増やせない。転作で畑にしていたり、耕作していなかったりした土地を水田に戻すのも難しい。
政府は輸出用米には10e当たり4万円の補助金を出している。60`で5千円相当の額だが、これは国内主食用米向けにこそ回すべきだ。
バイオテクノロジーの危うさも指摘しておく。政府は発がん性などが指摘されているゲノム編集(GE)食品5種(トマト、マダイ、トラフグ、トウモロコシ、ヒラメ)の流通届を受理している。GE生物が流通しているのは日本くらいだ。
重イオンビーム照射米も登場した。DNAを切断・破壊して、突然変異を起こさせるのだが、GE同様に遺伝子を修復不能に破壊する恐れがある。元のコメとの区別ができる表示もないまま、政府や自治体は照射米を拡大普及しようとしている。
増やせ農業予算
ではコメの増産には何が必要か。それは@減反廃止と生産支援A備蓄の抜本的拡充B価格保証と所得補償C種子生産・供給体制―の四つだ。
減反政策は見直されるようだが、小規模家族農を含む「多様な担い手」の経営が上向くよう、きめ細かい施策が必要だ。
政府の一般会計総予算に占める農林水産予算の割合は1970年度に11・5%だったが、23年度は1・8%に減っている。26年度の概算要求額は2兆6000億円。これに対し、防衛費は8兆8000億円に上る。
各国は食料安全保障のためにおカネをかけている。農家の農業所得に占める補助金の割合は、日本が30・2%と、英仏の3分の1。農業生産額に対する農業予算比率も、日本は38・2%で米国の半分に過ぎない。
緊急時を想定した日本の政府米備蓄量は04年からずっと百万d以下で、普段の全国民の消費20日分程度しかない。これに対し、中国は14億人の胃袋のためコメだけで半年分を備蓄、家畜飼料を含む穀類の買いだめを進め、主要穀物在庫量は、世界の半分を超えたと言われる。日本のコメ備蓄量は国民消費のせめて2カ月分程度(300万d)を目標にすべきだ。
コメ増産には価格保証が必須だ。農家が安心して生産できる価格を実現する仕組みで、欧米でも手厚く実施されている。
水田の洪水防止機能や水質・土壌浄化機能など、国土や環境を守る役割を評価して所得を補う所得補償も必要だ。補償額が例えば10e当たり2万円なら価格保証と合わせても6000億円前後の予算で済む。食料安保は最重要で最大の国防だ。
農村現場では「種モミがない」との声がある。昔は農家が自家採種していたが、品質をそろえ、産地形成を進める中で、種子生産を都道府県などに委ねてきた。その公的種子事業を支える種子法が廃止され、事業が縮小されている。種子法を復活させ、主要穀物種子を早急に増産する必要がある。
「自産自消」で対抗
コメ価格の上昇に「安い米国産米輸入を増やせばいい」という声もあるが、輸入は国内生産に大打撃を与える。トランプ政権との交渉で「米国産米輸入を75%増やす」と約束したが、そうすれば米国からの輸入量は約60万dになり、国産米を圧迫するのは不可避だ。
ミニマムアクセス(MA、最低輸入量)米は現在年77万dで、日本の生産量の11%に相当し、国内生産基盤を弱体化させてきた。しかし、MAは「輸入の機会を与える枠」(農水相答弁)であり、輸入義務ではない。国内生産を増やしつつMAはなくしたほうがいい。
海外の巨大企業に対抗する食料自給体制を確立しなければならない。世界の食の市場は、種子が3社で50%、農薬が4社で75%、穀物は4社で90%を占める。これに対抗する最強の力は自給であり、最も安心できるのは「自産自消」だ。
私たちにできることがある。農薬と化学肥料を極力避け、植物を植えること、タネをまくこと。畑でもプランターでもいい。1人からでも始めよう。
危機的な自給率
世界ではすでに食料危機が始まっている。ウクライナ戦争により農業大国のウクライナからの輸出が止まった。世界の小麦やトウモロコシの価格は、ロシアのウクライナ侵攻から1カ月の間に約20%急騰した。肥料価格も上昇している。価格高騰の背景には巨大な人口を抱える中国の穀物爆買いもある。
世界各地では土壌の劣化も進んでいる。過度な森林伐採や牧場開発、農薬と化学肥料漬けの工業的農業による砂漠化、塩害、土壌流出などが原因だ。国連環境計画(UNEP)によると、世界の農地土壌面積の38%が劣化。特にアフリカ、南米、東南アジアが激しく、2050年には地球上の土の90%が土壌細菌や土中生物の減少で耕作地としての機能を失うという。
にもかかわらず、日本の食料安保政策は問題だらけだ。食料自給率はカロリーベースでも38%しかない。肉体形成と生命維持に必要なたんぱく質自給率は27%で世界155位。自給率80%の野菜も種子の自給率はわずか10%で種の輸入が絶たれればおしまいだ。
東大の鈴木宣弘特任教授の試算では、もし肥料や飼料などの輸入が途絶えれば、実質自給率はコメが5%、野菜は3・8%、畜産物やイモ類を合わせても実質自給率は9・2%に落ち込んでしまう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
JCJ北海道支部は「コメ騒動と食料安保の行方〜米国産米輸入、備蓄と増産、所得補償は…」と題した講演会を9月6日、札幌市内で開催した。北海道大学客員教授で元北海道新聞編集委員の久田徳二氏が、昨年来のコメ不足と価格高騰の原因や、ぜい弱な食料安全保障の問題点などについてさまざまなデータを示しながら解説した。久田氏は「北海道食といのちの会」会長、JCJ北海道支部運営委員なども務める。講演の要旨を報告する。
需給操作の限界
「令和のコメ騒動」と言われるコメ不足、価格高騰の原因には@減反のやりすぎA需給操作の限界B農家の疲弊(農家経営の赤字放置)C猛暑による高温障害―がある。
昨年夏に小売店からコメが消えてからも政府は「不足ではなく不足感だ」「新米が出れば価格は落ち着く」などと言うばかりだった。それでも止まらぬ価格高騰に「随意契約」という強引な手法で備蓄米を放出した。
政府がようやくコメ不足を認めたのは今年8月。その理由について、外国人訪日客の増加や南海トラフ地震臨時情報による買いだめ、高温障害などを挙げた。2023年産は40万〜50万d、24年産は20万〜30万d不足していたと分析。24年産作況指数は101だったが、実際の収穫は94だったことも認めた。
だが、こうした政府の説明はコメ不足の真因ではない。根底には減反を長く続け、作付面積が減ったことがある。1968年に1445万dだったコメ生産量は、23年には791万dへと45%も減った。政府は価格形成を市場に任せる一方で、供給過多による価格低下を理由に、農家に生産抑制を求めてきた。しかも供給量予測に不可欠の「作況」の信頼性が薄れた。結局、生産調整の目的だった「価格安定」は成功せず、官僚主導型需給操作の限界を露呈した。
時給わずか97円
もう一つ、コメ不足の大きな原因が農家の疲弊だ。肥料や農薬、燃料など生産資材価格が高騰する一方で農産物価格が低迷し、作るほど農家の赤字は増加する。22年の農業統計調査によると、稲作農家の時給はたった10円だ。最近の調査でも時給は97円にすぎない。
価格・所得支持政策不備の中で、長期的経営不安が拡大し、稲作農家戸数は1965年の488万戸が2020年には69万戸へと85%減少、水稲耕作面積も280万fから103万fへと63%減少した。農家平均年齢は70歳と、高齢化も著しい。
ようやく危機感を抱いた政府はコメの増産方針を打ち出したが、疲弊した農家は耕作面積を急には増やせない。転作で畑にしていたり、耕作していなかったりした土地を水田に戻すのも難しい。
政府は輸出用米には10e当たり4万円の補助金を出している。60`で5千円相当の額だが、これは国内主食用米向けにこそ回すべきだ。
バイオテクノロジーの危うさも指摘しておく。政府は発がん性などが指摘されているゲノム編集(GE)食品5種(トマト、マダイ、トラフグ、トウモロコシ、ヒラメ)の流通届を受理している。GE生物が流通しているのは日本くらいだ。
重イオンビーム照射米も登場した。DNAを切断・破壊して、突然変異を起こさせるのだが、GE同様に遺伝子を修復不能に破壊する恐れがある。元のコメとの区別ができる表示もないまま、政府や自治体は照射米を拡大普及しようとしている。
増やせ農業予算
ではコメの増産には何が必要か。それは@減反廃止と生産支援A備蓄の抜本的拡充B価格保証と所得補償C種子生産・供給体制―の四つだ。
減反政策は見直されるようだが、小規模家族農を含む「多様な担い手」の経営が上向くよう、きめ細かい施策が必要だ。
政府の一般会計総予算に占める農林水産予算の割合は1970年度に11・5%だったが、23年度は1・8%に減っている。26年度の概算要求額は2兆6000億円。これに対し、防衛費は8兆8000億円に上る。
各国は食料安全保障のためにおカネをかけている。農家の農業所得に占める補助金の割合は、日本が30・2%と、英仏の3分の1。農業生産額に対する農業予算比率も、日本は38・2%で米国の半分に過ぎない。
緊急時を想定した日本の政府米備蓄量は04年からずっと百万d以下で、普段の全国民の消費20日分程度しかない。これに対し、中国は14億人の胃袋のためコメだけで半年分を備蓄、家畜飼料を含む穀類の買いだめを進め、主要穀物在庫量は、世界の半分を超えたと言われる。日本のコメ備蓄量は国民消費のせめて2カ月分程度(300万d)を目標にすべきだ。
コメ増産には価格保証が必須だ。農家が安心して生産できる価格を実現する仕組みで、欧米でも手厚く実施されている。
水田の洪水防止機能や水質・土壌浄化機能など、国土や環境を守る役割を評価して所得を補う所得補償も必要だ。補償額が例えば10e当たり2万円なら価格保証と合わせても6000億円前後の予算で済む。食料安保は最重要で最大の国防だ。
農村現場では「種モミがない」との声がある。昔は農家が自家採種していたが、品質をそろえ、産地形成を進める中で、種子生産を都道府県などに委ねてきた。その公的種子事業を支える種子法が廃止され、事業が縮小されている。種子法を復活させ、主要穀物種子を早急に増産する必要がある。
「自産自消」で対抗
コメ価格の上昇に「安い米国産米輸入を増やせばいい」という声もあるが、輸入は国内生産に大打撃を与える。トランプ政権との交渉で「米国産米輸入を75%増やす」と約束したが、そうすれば米国からの輸入量は約60万dになり、国産米を圧迫するのは不可避だ。
ミニマムアクセス(MA、最低輸入量)米は現在年77万dで、日本の生産量の11%に相当し、国内生産基盤を弱体化させてきた。しかし、MAは「輸入の機会を与える枠」(農水相答弁)であり、輸入義務ではない。国内生産を増やしつつMAはなくしたほうがいい。
海外の巨大企業に対抗する食料自給体制を確立しなければならない。世界の食の市場は、種子が3社で50%、農薬が4社で75%、穀物は4社で90%を占める。これに対抗する最強の力は自給であり、最も安心できるのは「自産自消」だ。
私たちにできることがある。農薬と化学肥料を極力避け、植物を植えること、タネをまくこと。畑でもプランターでもいい。1人からでも始めよう。
危機的な自給率
世界ではすでに食料危機が始まっている。ウクライナ戦争により農業大国のウクライナからの輸出が止まった。世界の小麦やトウモロコシの価格は、ロシアのウクライナ侵攻から1カ月の間に約20%急騰した。肥料価格も上昇している。価格高騰の背景には巨大な人口を抱える中国の穀物爆買いもある。
世界各地では土壌の劣化も進んでいる。過度な森林伐採や牧場開発、農薬と化学肥料漬けの工業的農業による砂漠化、塩害、土壌流出などが原因だ。国連環境計画(UNEP)によると、世界の農地土壌面積の38%が劣化。特にアフリカ、南米、東南アジアが激しく、2050年には地球上の土の90%が土壌細菌や土中生物の減少で耕作地としての機能を失うという。
にもかかわらず、日本の食料安保政策は問題だらけだ。食料自給率はカロリーベースでも38%しかない。肉体形成と生命維持に必要なたんぱく質自給率は27%で世界155位。自給率80%の野菜も種子の自給率はわずか10%で種の輸入が絶たれればおしまいだ。
東大の鈴木宣弘特任教授の試算では、もし肥料や飼料などの輸入が途絶えれば、実質自給率はコメが5%、野菜は3・8%、畜産物やイモ類を合わせても実質自給率は9・2%に落ち込んでしまう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
2025年12月04日
2025年12月03日
【25年JCJ賞受賞者スピーチ】特別賞 ガザの今、伝えねば 常軌を逸した非人道行為=萩原 健さん(国境なき医師団)
私はモノ書きでもジャーナリストでもない人権運動活動家です。その私が本を書いたのは、国境なき医師団の緊急対応コーディネーターとして昨年、ガザの現場で活動した者として、現地で実際に起きていたことをどうしても伝えなければならないと思ったからです。
その理由の一つは、人々の関心が時間が経つと失われていくことへの危機感です。
ガザで起きていることはメディアやSNSで瞬時に伝わりますが、そこで起きている一つひとつのが何を意味しているかまでは伝わりません。
私はこれまでシリアやスーダン、ウクライナなどの紛争地で活動してきました。昨年、ガザは私が訪れた時もイスラエル軍による凄まじい攻撃を受けていました。住民は退避を要求され、日に何度も移動を強いられます。ガザには安全な場所などありません。まばたきをした次の瞬間に、もうこの世にはいなくなってしまう、という現実を私自身が目撃しました。
水もイスラエルに水源を握られ、海水を淡水化するための装置や給水車が攻撃の対象にされていました。
患者は病院で感染リスクと向き合いながら診療を受け、外はいつ起きてもおかしくない感染のアウトブレイクにさらされています。
栄養失調や飢餓は、経済、社会、文化や風習、医療の全部を含めた社会システムによって起きる問題です。ガザは今、社会システムのすべてがイスラエルの軍事攻撃で壊されてしまっている状況です。
ガザで行われているのは、イスラエルによる常軌を逸した非人道的行為の日常化です。それが常態化し普通になるとそれに異を唱える私たち、ガザの外にいる私たちの中には無力感を感じる人たちも出て来ます。その先に待つのは諦めと無関心、そして最終的には完全な無関心と沈黙です。
私はガザで起きていることを、現場を見た人間が具体性を持って伝えたい。さらに時間をおかずに伝えたいと思い、本を書きました。
私たち一人ひとりは、立場が違います。できること、できないことも違います。
しかし今回だけは私の持っている危機感を少しでも多くの人に共有していただきたいと思います。少しでも多くの人たちの眼が、ガザの現状に向かってくれることを切に願ってやみません。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
2025年12月02日
【25年JCJ賞受賞者スピーチ】信頼される報道をする 県警の不祥事隠ぺい追う=前田慎伍さん(鹿児島テレビ放送)
鹿児島県警の情報漏洩事件は、私たちが経験したことのない、ありえない状況の連続でした。本来は悪いことをした人を逮捕する警察が、悪事を取り締まる警察官を次々と逮捕するという異例の事態。その逮捕容疑も驚かされました。メディアに情報を流した、という私たちの日ごろの取材行為そのものを取り締まることができるという信じられないものでした。
さらに逮捕された元生活安全部長は、その動機を「本部長が警察職員の犯罪行為を隠ぺいしようとしたことを許せなかった」と組織のトップを名指しで糾弾しました。本当に驚きました。
今日ここに参加できなかったプロデューサーの四元良隆からのコメントを代読します。
今回の一連の問題は警察の組織の問題だけでなく、私たちメディアの在り方が問われた問題になりました。実は今回の事件、鹿児島のメディアではなく、ほかの県のジャーナリストたちに寄せられた情報で発覚したものでした。
私たちメディアは、地域の人たちに信頼される存在なのか、そんな重い問いかけを突きつけられました。何のために、誰のために私たちは報道しているのか―。ダメな自分たちを認め、地域のメディアの存在意義と向き合いながら、この問題と対峙することになりました。プロデューサー、ディレクター、記者、全員で現場に向かい、一つひとつ悩みながら取材し、繰り返し放送しました。
ある警察官のインタビューに4カ月もかかりました。鹿児島の人たちに信頼される報道をする、そんな思いで60本を超えるニュースや企画を放送し、ドキュメンタリー番組へと繋げてきました。
今回、私たちのような小さな報道がこの賞を頂けた意味は、「故郷のためにモノ言うテレビでありなさい」、今回の受賞は、小さな地方局でもジャーナリズムを忘れずに、弱者視点に立って伝えることが大切だと激励を受けたような気がします。これからも南の鹿児島から地域の人々のために頑張りたいと思います]
元生活安全部長が逮捕されて1年3カ月以上経ちますが、裁判の日程すら出ていない状況です。同部長が行った行為が公益通報なのか否か、元本部長が隠ぺい行為に携わったのかどうか、これからも取材を一つひとつしていきます。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
2025年12月01日
【月刊マスコミ評・新聞】公明離脱で政局、万博赤字で閉幕=山田 明
1年前と同じように、自民党の総裁選がマスコミを総動員して繰り広げられた。新しい総裁に高市早苗氏が選出されたが、「アベ政治」への回帰、さらなる右傾化、放漫財政が危惧される。公明が連立を離脱して政局は波乱含みに。
少数与党で、連立拡大に注目が集まる。高市氏は当初、国民民主に軸足を置いていたが、日本維新の会と連立協議を進める。維新は連立入りを見据えて「副首都構想」骨子案を公表。首都の法的規定もないのに「副首都」法案とは理解に苦しむが、首都機能のバックアップ体制構築などを掲げる。今回の法案には、大都市法による特別区設置を盛り込んだ。大阪市廃止、「大阪都」3度目の挑戦への布石ではないか。連立拡大の動きと「副首都」構想から目が離せない。
半年間にわたる大阪・関西万博へ。会場は大阪湾の人工島・夢洲で、開幕前からアクセスや公災害など危険が指摘されてきた。夢洲リスクが顕在化したが、なんとか閉幕にこぎつけた。開幕当初は低調な出足だったが、何でもありの集客優先戦略により、後半に盛り返してきた。万博運営費の黒字が喧伝されるが、巨額の会場建設費やインフラ整備など、万博収支全体は「大幅赤字」である。
夢洲万博は閉幕しても、終わりでない。海外パビリオン工事費の下請け業者への未払い問題は深刻化している。万博協会はもちろん、国や大阪府市の責任が問われる。閉幕後の解体工事も要注意だ。万博跡地開発が検討されているが、さらなる大阪市の財政負担、環境破壊が懸念される。
朝日新聞9月24日夕刊1面「リングの先にどんな未来が」掲載の写真は、今回の万博を象徴するものだ。酷暑のなか大勢の人が大屋根リングを歩いているが、その先には巨大クレーンが立ち並ぶ。万博会場に隣接した夢洲IRカジノの建設現場である。万博会場が軟弱地盤の埋立地・夢洲になったのは、維新がここにカジノ誘致をめざしたからだ。
万博とカジノを一体とした夢洲開発は、維新がツ―トップの大阪府市「成長戦略」として強行されてきた。夢洲カジノについては住民訴訟が大阪地裁で係争中である。マスコミもポスト万博の夢洲開発を注視してもらいたい。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
少数与党で、連立拡大に注目が集まる。高市氏は当初、国民民主に軸足を置いていたが、日本維新の会と連立協議を進める。維新は連立入りを見据えて「副首都構想」骨子案を公表。首都の法的規定もないのに「副首都」法案とは理解に苦しむが、首都機能のバックアップ体制構築などを掲げる。今回の法案には、大都市法による特別区設置を盛り込んだ。大阪市廃止、「大阪都」3度目の挑戦への布石ではないか。連立拡大の動きと「副首都」構想から目が離せない。
半年間にわたる大阪・関西万博へ。会場は大阪湾の人工島・夢洲で、開幕前からアクセスや公災害など危険が指摘されてきた。夢洲リスクが顕在化したが、なんとか閉幕にこぎつけた。開幕当初は低調な出足だったが、何でもありの集客優先戦略により、後半に盛り返してきた。万博運営費の黒字が喧伝されるが、巨額の会場建設費やインフラ整備など、万博収支全体は「大幅赤字」である。
夢洲万博は閉幕しても、終わりでない。海外パビリオン工事費の下請け業者への未払い問題は深刻化している。万博協会はもちろん、国や大阪府市の責任が問われる。閉幕後の解体工事も要注意だ。万博跡地開発が検討されているが、さらなる大阪市の財政負担、環境破壊が懸念される。
朝日新聞9月24日夕刊1面「リングの先にどんな未来が」掲載の写真は、今回の万博を象徴するものだ。酷暑のなか大勢の人が大屋根リングを歩いているが、その先には巨大クレーンが立ち並ぶ。万博会場に隣接した夢洲IRカジノの建設現場である。万博会場が軟弱地盤の埋立地・夢洲になったのは、維新がここにカジノ誘致をめざしたからだ。
万博とカジノを一体とした夢洲開発は、維新がツ―トップの大阪府市「成長戦略」として強行されてきた。夢洲カジノについては住民訴訟が大阪地裁で係争中である。マスコミもポスト万博の夢洲開発を注視してもらいたい。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
2025年11月30日
【お知らせ】消費税減税・インボイス廃止の実現を求める12・3国会集会=インボイス制度の廃止を求める税理士の会
共闘するインボイス制度を考えるフリーランスの会からお願いです。12月3日(水)、消費税減税とインボイス廃止を求める国会集会を開催します。
本集会では、インボイス制度の廃止を求める税理士の会による「インボイス廃止法案」の提出を求めるオンライン署名をインボイス問題検討・超党派議連に手交する予定です。
締切は12月1日(月)13時まで。こちらの署名へのご参加・拡散もよろしくお願いいたします。
※仮名OK、団体も署名可能です
【署名はこちらから↓】
forms.gle/Yawp9MkeFLyKcGXs5
11月に入り、政府が「2割特例・8割控除」の延長を検討しているというニュースも出てきています。皆さんの声が、確実に政治を動かしています。インボイス廃止に向けて、さらに声を届けていきましょう。3日のご参加、お待ちしています!
========================
「消費税減税・インボイス廃止の実現を求める国会集会」
日時:12月3日(水)11:00〜14:30
会場:参議院議員会館 B107
※参議院議員会館前で集会の中継も予定しています
主催:インボイス制度の廃止を求める税理士の会
協力:インボイス制度を考えるフリーランスの会
本集会では、インボイス制度の廃止を求める税理士の会による「インボイス廃止法案」の提出を求めるオンライン署名をインボイス問題検討・超党派議連に手交する予定です。
締切は12月1日(月)13時まで。こちらの署名へのご参加・拡散もよろしくお願いいたします。
※仮名OK、団体も署名可能です
【署名はこちらから↓】
forms.gle/Yawp9MkeFLyKcGXs5
11月に入り、政府が「2割特例・8割控除」の延長を検討しているというニュースも出てきています。皆さんの声が、確実に政治を動かしています。インボイス廃止に向けて、さらに声を届けていきましょう。3日のご参加、お待ちしています!
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「消費税減税・インボイス廃止の実現を求める国会集会」
日時:12月3日(水)11:00〜14:30
会場:参議院議員会館 B107
※参議院議員会館前で集会の中継も予定しています
主催:インボイス制度の廃止を求める税理士の会
協力:インボイス制度を考えるフリーランスの会


