2021年05月09日

【今週の風考計】5.9─「シフト制・ギグ労働」の劣悪な事態を直ちに是正せよ!

3回目の緊急事態宣言が、またも延長。約束は守れず、出口は示せず、ただただ自粛と休業要請を押しつけるだけ。もういい加減にせよ。
 とはいえ筆者もまた“巣ごもり”に逃避し、市井の人々の苦しみや実態に、どれだけ目を向けてきたか、高見からの物言いに終わっていなかったか、忸怩たる思いや反省がつのる。
コロナ関連倒産は、この4月末までに1400件を突破。飲食業に限れば、この1年間で230件が倒産した。解雇・雇い止めも10万人を超える。完全失業者数は198万人、失業率2.9%、非正規労働者は2066万人に及ぶ。

ここにきて、一定期間ごとに仕事日を決めるシフト制で働く飲食店従業員やデリバリーらが立ち上がった。休業手当の適用拡大や最低シフト保障などを求めて、厚労省に要請書を提出した。
 理由は、政府の休業要請に対応するとして、会社が一方的にシフトカットを進め、シフトが未確定を理由に、本人に休業手当を支払わないケースが増えてきているからだ。
 これまで厚労省はシフトが未確定の期間は、会社には休業手当を支払う義務はないとしてきた。この是正を求める要請だ。
昨年7月、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」が創設され、コロナを理由とする休業には、8割の賃金補償がされる。だが会社は休業手当を払う範囲が広がると、将来的に困るので申請したがらない。政府から支給される休業手当金なのに、それをもらわず犠牲だけをシフト制労働者に強いている。

その結果、統計上には表れない「実質的失業」「隠れ休業」とも呼ぶ「見えない失業者」が146万人となった。雇用関係はあっても仕事が激減のシフト制勤務の非正規労働者が、この状態に陥りやすい。
 「完全失業者」198万人、「休業者」244万人、「見えない失業者」146万人、これらを加算すれば失業率は2.9%どころか、6%に上るのは間違いない。

さらに「ウーバーイーツ」が、料理などをデリバリーする配達員への報酬を、3割も削減する新体系を10日から全国に拡大する。しかも報酬の基準・内訳が示されず、「1回の配達が100円台」「距離にかかわらず一律300円」といった事例が頻発している。
 「ウーバーイーツ」の配達員は、いわゆるギグワーカーと呼ばれ、会社と雇用関係にある労働者ではなく、個人事業主扱いにされる。そのため労働法や最低賃金が適用されない上に、解雇に関する制限もない。
また会社の福利厚生や社会保険制度が使えず、事故にあっても労災保険すら適用されない。まさに会社にとって低報酬で好きなように働かせられる「捨て駒」として、位置づけられているのが実態だ。
 米国バイデン政権が進める「PRO Act」法案、すなわちギグワーカーなどの労働組合結成や労組活動を促進し、生活水準向上を目指す労働法改革が、日本でも急がれる。(2021/5/9)
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2021年05月08日

【放送】総務官僚接待とメディアの責任 通信・放送への政治介入を許すな=隅井孝雄

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衛星放送事業会社東北新社、日本電信電話株式会社(NTT)による総務省幹部の接待が、次々に明るみに出ている。総務省の通信放送分野は菅義偉首相の拠点とみられ、また首相の長男菅正剛氏が接待の席の多くに姿を見せている。首相自身の関与も含め、大きな政治問題となっている。
週刊文春/文春オンラインの特ダネで詳細が明らかになった。新聞放送などの後追い取材は基幹メディアとしての責任が問われる事態だ。

役人の無軌道
東北新社では2016年以降4年間に39回、13人の総務官僚らが接待された。またNTTでは2018年から20年にかけての間、10件の接待が確認されている。接待を受けた総務官僚の中には首相側近、谷脇康彦総務審議官(当時)の名もあり、また同じく首相側近の山田真貴子内閣広報官(当時)も高額接待を受けていた。
谷脇氏や巻口英司国際戦略局長らはNTTからも4回にわたって15万円の高額接待を受けた、また武田良太総務相がNTT沢田純社長と会食(2020.11.11)している。
11人の総務省官僚が懲戒処分された(うち3人は更迭)。菅首相側近、山田氏は3月1日、谷脇氏康彦氏は3月16日辞任に至った。
総務官僚たちの無軌道ぶりは目を覆うばかりだ。

すべて申請通りに
東北新社は外国映画の日本語吹き替え業として1961年に設立された。初代社長の植村伴次郎氏(故人)は、テレビの初期に米国テレビ映画「ハイウエー・パトロール」、「ララミー牧場」、「奥様は魔女」など日本語版制作の豊富な経験を持つ。その後映画専門の「スターチャンネル」をきっかけに、1989年以降、衛星放送業界に参入した。
総務省官僚の度重なる会食について、当初総務省は業務の話はなかったとしていたが、文春が報じた音声記録で衛星関連の会話が確認された。
東北新社は衛星で多くの問題を抱えていた。「囲碁将棋チャンネル」のCS認可(18年4月)、「ザ・シネマ4K」の認可(18年12月)、「スターチャンネル」の免許更新(20年12月)など、すべて申請通り認可された。
総務省の「衛星放送の未来像」研究会(2018年~2020年)では、新4K/8K衛星について議論されたが、利用料低減など衛星業界に有利な報告書が出た。東北新社は衛星協会の会長社だ。ここでも総務省への働きかけがあった。
追及の過程で、明らかになった外資規制違反時に認可された「ザ・シネマ4K」は5月1日をもって放送休止となる。
NTTの谷脇氏らへの接待は2018年6月から2020年12月にかけてだった。菅官房長官(当時)が「携帯電話料金を4割程度下げる余地がある」と発言(2018年9月)、総裁選出馬会見(2020年9月)で「更なる携帯値下げ」を表明した時期だった。
NTTは2020年11月、ドコモを子会社化した。これにより、菅政権の携帯値下げ要請下、NTTドコモが携帯業界で断然優位に立った。

まるで独裁国家
総務省は2001年の中央官庁再編時に、自治省、郵政省、総務庁を統合して設置された。戦前の内務省に似た機能を持つ巨大組織だ。
総務省は解体し、運輸、郵便、通信、放送などの分野は政府から切り離し、行政委員会に任せるべきだ。特に不祥事多発の通信放送の独立は急務だ。
国が直接通信、放送の監督権限を握っているのは、中国、北朝鮮、ロシアなどの社会主義独裁国家だ。通信、放送は第三者行政委員会に委ねるのが世界の常識、アメリカ連邦通信委(FCC)、イギリス放送通信委(Ofcom)、韓国放送通信委(KCC)などである。

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日本にもあった!
日本でも実は「放送委員会」が存在していた。「(戦時中)輿論を表現する重要な機関(筆者注、日本放送協会)の管理運営に関し日本国民は発言権を有さず今日に至った」との占領軍からの批判が出された。1945年年(昭和20年)12月のハンナーメモである。再組織を促された日本放送協会は1946年 (昭和21年)1 月、放送委員会を発足させた。
委員は17人、科学技術、農業、実業、芸術、学界、婦人、労働、新聞出版、青年の9分野を代表する人物で構成された。委員中には大村英之助(映画人)、加藤シヅエ(社会党議員)、宮本百合子(作家)、荒畑寒村(労働運動家)、岩波茂雄(岩波書店主)など名がみられる。放送委員会は同年3月、戦後初のNHK会長に高野岩三郎(大原社研所長)を選出した。放送委員会はその後放送協会労組の調停役になった以外目立った動きがなく、 1949年(昭和24年)5月、解散した。日本政府はGHQの要請に渋々ながら従い、電波と放送を管理監督する電波監理委員会を政府から独立した行政委員会として1950年(昭和25年)6月発足させた。
しかし1952年(昭和27年)、日本の主権が回復されると、その年の7月電波監理委員会は廃止され、郵政省(のち総務省に移管)が直轄することになった。

野党が共通政策
1996年(平成8年)橋本竜太郎政権下の行政改革会議で、通信放送委員会を設置する案が出されたが、郵政省の反対で実現しなかった。また、2009年に民主党が与党となり、通信・放送委員会を設置する方針を決めたが、これも郵政省の反対で法案提出には至らなかった。
最近では2016年(平成28年)と2019年(令和1年)の参議院選挙の際に、市民連合と5野党との間で交わされた「共通政策」の項目に「国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から外し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること」との一項が設けられている。
菅政権はデジタル庁を構想しているが、これは総務省と両輪で通信、メディア、IT、インターネットなどを掌握し、市民の情報を管理する危険なたくらみだ。
汚職まみれの総務省の即刻解散と通信放送第三者委員会の設立が急務だ。
隅井孝雄(JCJ代表委員)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年4月25日号
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2021年05月07日

【リアル北朝鮮】五輪不参加の背景は? 撤回もあり得る=文聖姫

 北朝鮮は、おそらく世界で最も早く東京オリンピック・パラリンピックへの不参加を決めた国だ。同国の体育省が運営するホームページ「朝鮮体育」は4月6日、3月25日にテレビ会議方式で開かれたオリンピック委員会総会で、「悪性ウイルス感染症(新型コロナ)による世界的な保健危機状況から選手たちを保護するために、委員らの提議にもとづいて第32回オリンピック競技大会に参加しないことを討議決定した」と伝えた。「朝鮮中央通信」は先に、3月25日にテレビ会議方式で総会が開かれたことは報じていたが、五輪不参加を決めたことは伝えていなかった。
 北朝鮮が五輪不参加を決めた背景には新型コロナの蔓延がある。日本では東京、大阪など大都市圏で感染者数が減少していない。万が一派遣された選手団の中から一人でも感染者が出たら、全員が「濃厚接触者」となり、彼らの帰国さえおぼつかなくなるかもしれない。
 北朝鮮は昨年1月、どの国よりも早く国境を完全に封鎖した。現在でもそれは続いており、北朝鮮の命綱である中国との貿易額も大幅に落ち込んでいる。2020年の朝中の輸出入額は5億3905万ドル(約590億円)で、19年比で80・7%減少した。国境封鎖による物資不足は深刻さを増しているとされ、平壌に滞在する外交官らも「脱出」せざるを得ない。ロシア大使館の職員が家族とともにトロッコで鉄道を走る写真は象徴的だ。  
 そこまでして北朝鮮は新型コロナが流入する事態を抑えようとしている。これまで北朝鮮で感染者が出たとの報道はない。それだけに神経をとがらせているのだろう。
 ただ、金日国体育相は総会で、「新たな5カ年計画期間に国際競技でメダル獲得数を増やし続け」なければならないと強調していることから、五輪に参加する意思はあったことがうかがえる。不参加表明を撤回する可能性も100%ないわけではないと、筆者は考える。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年4月25日号
 

 
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2021年05月06日

【焦点】デジタル庁は「天上がり」天国 民間人材がぞろぞろ 政策立案に関与 新たな官民癒着の温床=橋詰雅博

 政府や自治体が保有する個人などのデジタル情報を集中管理するデジタル庁が9月に新設される。目玉政策として入れ込む菅義偉首相が長を務め統括するのも異例なら、実務の中心が民間出身者と非常勤の民間人という異例の役所だ。天下りの反対、民から国への天上がり職員≠ェ国民に重大な影響を及ぼす政策立案に深く関与する。

半数以上を占める
 デジタル庁では大臣、副大臣、政務官は言うまでもないが国会議員が務め、事務次官級のデジタル監は幹部官僚ではなく民間出身者が起用される。内閣人事局によると、立ち上げ人員500人のうち、民間などからの新規採用者が160人、兼業の非常勤職員107人、他府省からくる役人233人となっている。つまり天上がり職員が半数以上を占めるのである。なぜこれほど多くなるのだろうか。
「霞が関では、ITに強い役人はキャリア、ノンキャリアを含めほとんどいません。ITリテラシー≠フセンスを備えていないのです。新型コロナ感染者通知アプリ『COCOA』が不具合相次ぎ役に立たないのは、開発を請け負った業者任せで、ITに弱い役人のチェックが甘かったからです。頼りにできる役人がいないからデジタル庁はITリテラシーに長けた多くの民間の人材が必要。だから人員の半数以上を天上がり職員が占めてしまうのです」(全経済産業労組中央執行委員の飯塚盛康さん)

食い込みに躍起だ
 実際、ヤフーが傘下に入るZホールディングスの川邊健太郎社長が発表したデジタル庁私案≠ネどで「デジタル化の世界的潮流は民間部門が先行しているので構成人員は民間人を積極的に登用」「2000人のエンジニアが必要」「官僚を含む給与を民間相場にする」と強調している。
 IT業界は活発な動きをしている。
「NEC、NTTデータ、富士通、日立製作所などはITゼネコン≠ニ呼ばれている。建設業界のゼネコンと同じように多くの下請けや孫請け企業を傘下におさめて受注した仕事を下に発注する構図が似ているからです。そのITゼネコンはデジタル庁に優秀な社員を押し込めようとしている。『5年間デジタル庁で働き戻ってきたら重要ポストを用意しておくから』と社員を誘う会社もあるそうです。ただITゼネコンと威張ってもグローバルなビジネスの世界では太刀打ちできず、相手にされない。デジタル庁からの仕事は大きな規模が見込まれるので、稼ぐため食い込みに躍起だ」(IT業界関係者)
 天上がり職員が政府の政策立案などに関与するのは少なくない。経済界の要望を受け入れ1999年に成立した官民人事交流法に基づく企業からの出向者などがその人たちだ。果たしてどんな場面で彼らは絡んでくるのか。

赤旗日曜版が追及
 しんぶん赤旗日曜版が天上がり職員追及の特集を19年5月から9月に合計5回紙面に載せている。その内容は@厚労省労働条件政策課に出向していた佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの社員は、トラックなどの労組団体が求める残業時間の上限規制の適用を見送る実行計画案づくりに関与A原発輸出をめざす日立製作所の社員は、経産省、文科省、内閣府の原発関連部署などに出向B厚労省水道課に出向したクボタと水ingの社員は水道法改正案の政策立案に関与し、水道事業への民間参入を実現―といった具合だ。
 利害関係者が官僚と同じ職場で働き、業界や自社が利益を得られるよう根回しする実態を明らかにしている。
 デジタル庁では、ITを自在に操る天上がり職員はさらに強い権限を発揮できそうだ。首相の名の下でほかの府省や自治体を指揮・監督が可能になる。
 となるとデジタル庁は新たな官民癒着の温床になるばかりでなく、国民に目を向けない天上がり職員が権力をふるう役所になりかねない。
 橋詰雅博
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年4月25日号
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2021年05月05日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】衰退著しい日本の新聞 生き延びる方策は?

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 先日私の家に読売新聞がやってきて、「今日から一週間新聞を無料配達させていただきます、よろしければ購読をお願いします」と言ってきた。しばらくして再度やってきた読売の人が購読を勧めた。私は出身が日本テレビだし、心が動いたが、すでに3紙購読しているので丁重にお断りした。“販売の読売”と言われるが、購読すると答えたらどんな景品がつくのかを聞きたかった。
 
部数減止まらず
 2020年10月の調査(新聞協会)によると、新聞の全国総発行部数は3509万1944万部だった。日本の新聞の最盛期は1990年、その時は5367万5000部を記録した。30年間に、1858万3056部(34.6%)が消えうせたことになる。
 主要全国紙の21年1月度の発行部数は次の通り。読売7,310,734, 朝日4,818,332. 毎日2,025,962, 日経1,946,825, 産経1,223,328(日本新聞協会ABC部数)(注:ABCとは新聞雑誌の実売部数を調査する第三者機関)。昨年同期比でみても読売58万部、朝日43万部、毎日28万部を減らしている。 .
 日本で情報メディアの雄として君臨してきた新聞も、今や経営危機にあえぐまでに至った。朝日新聞の場合2020年9月期の中間決算で419億円の赤字を計上した(前年同期は14億円の黒字)。社員の希望退職者100人以上の募集を始めた。朝日以外も産経新聞や毎日新聞が19年に希望退職を実施しているほか、共同通信でも20年に自然減や採用抑制で社員を300人規模で減らす方針を明らかにしている(ダイアモンド誌3/27)。
 テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体広告費もインターネットの流れが強まった。2020年度ではマスコミ4媒体広告費2兆2536億円に対して、インターネット広告費は2兆2290億円と迫り、逆転目前とみられる。
 しかし私は新聞が今の苦境から脱出するカギは必ずあると思う。
 
NYTの電子版
 アメリカを代表する新聞、ニューヨーク・タイムズは2020年12月、電子版の有料購読者が前年比48%増、509万人に達したと発表した。1年間で166万人増えたという。アプリや紙媒体を含めると総有料購読者は750万人をこえる。
 「新型コロナウイルスの感染拡大や米大統領選を通じて、米国民の間で信頼できる情報や質の高い報道への関心が高まったことが有料読者の拡大につながった」といわれる(2/5日経新聞)。またトランプ元大統領に対する批判の姿勢に揺るぎがみられなかったことも、信頼感の要因となったとみられる。
 私は1986年から1999年までニューヨークに滞在していたが、そのころのニューヨーク・タイムズは100万部にも届かない“ニューヨーク地方紙”にすぎなかったことを考えると、隔世の感がある。今は全国紙というより、全世界紙といえるかもしれない。
 ニューヨーク・タイムズは2008年のリーマンショックの際、広告収入がガタ減りし、経営危機に陥った。その際本社ビルの一部を売却して凌いだ。そして2011年有料電子版の発刊をスタート、編集局の体制を、紙媒体の編集、印刷、発送、配達の体制から、電子版中心のデジタル体制に全面切り替えをしたことが今日の成功につながった。記者の数も、1,550人(2019年4月)から1,700人(2020年4月)に増強、また、2020年第2四半期には、電子版の売り上げ(購読料と広告収入)が紙媒体を初めて上回った。(2020.12.22文春オンライン)。編集面でも読者の知りたいこと、読者に知らせたいニュースを満載している。
 日本では日経新聞が電子版で最も成功しているといわれている。電子版読者数は76万244件と発表した(1/15 日経オンライン)。紙媒体との合計は275万3376件。朝日新聞も電子版拡大に力を入れているが有料読者は32万件にとどまっている。(→続きを読む)

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2021年05月03日

【焦点】スーパーシティ計画に31自治体が手を上げる 個人情報の利活用拡大など問題だらけ=橋詰雅博

 政府から国家戦略特区の指定を受けて自ら提案したスーパーシティ計画を実施する予定の自治体が31手を上げた。政府が公募し4月中旬で締め切ったもので、これから専門調査会、国家戦略特区諮問会議を経て閣議で5カ所の区域が決められる。

 9年後完全整備
 東洋大学の竹中平蔵教授が旗振り役になったスーパーシティ構想はAI(人口知能)やビックデータなどを利用して丸ごと未来都市≠従来の規制を緩和してつくる。ここでどんなことが実現されようとしているのか。乗り物の自動走行、ドローンによる自動配送、キャッシュレス決済、オンライン教育・診療、エネルギー・ごみ・水道などの自動コントロールシステム、防犯のためのロボット監視などだ。これらを9年後の2030年に完全整備する方針だ。

 監視社会を強化
 マスコミはあまり触れていないが、問題なのはここに住む人たちの生活が脅かされること。大きなポイントは2つある。
 一つ目は個人情報の保護がないがしろされる危険性がある。この構想を実行するのは、国家戦略特区データ連携基盤事業者だ。IT企業や自動車メーカー、コンサルタント会社などが中心となる事業者は、国や自治体、企業が集める個人情報を盛り込んだビックデータを利活用できる。加工されて個人が特定されない情報もあるが、特定できる形のまま受け取れる情報もある。また、街中に多く設置される監視カメラで得られる人の往来や交通量といった空間データ≠燗手が可能だ。要するに自分が知らないうちに個人情報が勝手に使われようとしている。
 二つ目は、住民の合意をどういう風に得るのかが不透明である。区域会議というものを設置して、役人や事業者と住民が話し合い合意を得るそうだ。住民の誰もが参加できるわけではないので、住民代表という一握りの人の意思が反映されるだろう。計画に疑問を持つ人や反対の人はこの会議に参加できるのだろうか。さらに構想に不参加の人の権利は保証されるのだろうか。なによりもそうした前に住民投票という手段で実現の可否を決めることはできるのか。さまざまな疑問に対して答えは出ていない。住民を置き去りにして構想をゴリ押しすることは許されない。

 トロントで中止
 カナダのトロント市ではグーグルの子会社が進めたスマートシティ計画(スーパーシティの中身とほぼ同じだが、海外ではこう名付けられている)は、事前の情報が不十分だと区域住民の反対で計画はつぶれた。
極端に言えばスーパーシティ計画は、あの中国のような監視社会が各区域で出来上がってしまう恐れがある。
  橋詰雅博
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2021年05月02日

【今週の風考計】5.2─小惑星「リュウグウ」の石に有機物が含有!

地上から約400キロメートル上空に建設された巨大な国際宇宙ステーション、日本の上空を光りながら横切る航跡は、肉眼でもとらえることができる。
その船長に宇宙飛行士の星出彰彦さんが就任した。日本人としては2人目だ。1周約90分のスピードで地球を廻りながら、地球に帰還するまでの6カ月、実験・研究、地球や天体の観測などの指揮をとる。この観測を通して未知の領域に迫り、新たな成果を積み上げてほしい。

ここにきて中国も29日、独自の宇宙ステーションのコアモジュール「天和」を打ち上げた。来年には総重量約66トンのT字型の施設になる予定だという。完成から10年以上の寿命を持つ計画で、3名から最大6名までの宇宙飛行士が6カ月間滞在できる。
 3年後に国際宇宙ステーションが退役した場合、これに代わる唯一の有人宇宙施設になる。中国政府は2030年までに米国と並ぶ「宇宙強国」となる目標を掲げ、今年6月には火星に無人探査機を着陸させる予定だ。

宇宙の覇権争いにならぬよう、科学者の国際的な協力や責任・良心に期待するところが大きい。まだまだ宇宙の謎は尽きない。その解明に向けて、日本の宇宙科学者が積み上げてきた成果も見逃してはならない。
 昨年12月、日本の宇宙探査機「はやぶさ2」が、地球から約3億キロメートル離れた小惑星「リュウグウ」から、小石や砂を採集し持ち帰った。打ち上げから6年の旅路を経て、もたらされた試料の解析が進んでいる。
とりわけ有機物に富む天体とみられる小惑星「リュウグウ」は、直径900メートルの“おだんご”のような球形で、表面は黒っぽく、地球と火星の間を公転する軌道を、7時間半ほどの自転をしながら動いている。
 また30万年〜800万年前のある期間に、現在よりも太陽に近づく軌道にあり、太陽光に焼かれて表面の物質は赤く変化し、表面の物質分布の状況が火星に似ているという。

このほど宇宙航空開発機構(JAXA)は、小惑星「リュウグウ」から採集した石に、さまざまな波長の光を当てて観察したところ、吸収光の波長から炭素を含む有機物や含水鉱物の特徴を確認した。
 また小惑星「リュウグウ」の石に、波長の長い光を当てると、最大で直径3ミリ程度の色が異なる粒子が発見された。こうした粒子は含水鉱物の特徴を示し、小惑星「リュウグウ」の成り立ちに迫る鍵ともなる。
太陽系が誕生した約46億年前の様子を知る手掛かりを得るのはもちろん、小惑星「リュウグウ」の有機物が、どうやって地球にもたらされたか、そのメカニズムが分かれば、地球上に存在する海水や生命の起源を探ることにもつながる。さらなる研究の成果に期待がつのる。(2021/5/2)
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2021年05月01日

【おすすめ本】佐藤学/上野千鶴子/内田樹 編『学問の自由が危ない 日本学術会議問題の深層』─政治権力が学問の自由を侵害、そこに孕む日本社会の危機=広渡清吾(東京大学名誉教授)

 菅首相は、第25期日本学術会議の新会員として推薦された105名の候補者のうち、6名の任命を拒否した。前代未聞のことである。
 評者は、青年時代から先輩の科学者たちが、学術会議の活動に献身してきたことを、ずっとみてきた。また、自らも長く会員として活動し、部長、副会長そして会長(第21期)を務めた。
 第二次安倍政権以来、首相の人事権が権力支配の手段と化しており、日本学術会議の会員任命に及ぶことを、ひそかに危惧していた。それはまた絶対にあってはならないことであった。
 本書は、この「事態」を13人の執筆者(おそらくこれ以上のラインナップは望めない)が渾身の怒りをもって解析する。

 任命を拒否された6氏もメッセージを寄せた。私たちが直面しているのは、政治権力による学問の自由の侵害であり、日本社会が孕む危機である。深刻なことに、政治権力はその危機を見ることができない。
 上野千鶴子、佐藤学、 長谷部恭男、杉田敦、高山佳奈子、木村草太、後藤弘子、池内了、内田樹、三島憲一、永田和宏、鷲谷いづみが、任命拒否の違憲・違法性、学問の自由、科学の意義、政治と科学、そして日本学術会議の貢献と役割を縦横に論じ、津田大介が学問の自由のために立ち上がった科学者コミュニティの運動を伝える。
 科学者だけで政治権力に抗し切ることはできない。科学は市民社会の知的活動であり、政治権力に対して科学を擁護する市民の力が、いま必要である。多くの皆さんに本書を読んでいただきたいと心から切に願う。(晶文社1700円)

                              
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2021年04月30日

【オンライン講演会】ミャンマーは、どうなっているのか─5月15日(土)午後2時から4時まで 講師:ドキュメンタリー監督 岸田浩和さん

                        
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 ミャンマーでクーデターを起こした国軍は、抗議する市民や学生たちに銃口を向け、残虐な弾圧で多くの犠牲者を生んでいる。その実情をSNSなどで発信していた日本人ジャーナリスト、北角裕樹さんも軍・治安当局により拘束された。ミャンマーはどうなっているのか。
 ヤンゴンに留学経験があり、継続的にミャンマーの少数民族問題や宗教対立の取材を行っている岸田浩和さん(写真=TBSテレビから)から、ミャンマーの今について、様々な角度からお話をしてもらう。
参加費:500円
【講師の紹介】
★岸田浩和さん 立命館大学、ヤンゴン外国語大学、光学メーカーを経て、2012年に「缶闘記」で監督デビュー。2016年の「Sakurada,Zen Chef」は、ニューヨーク・フード映画祭で最優秀短編賞と観客賞を受賞した。Yahoo!CREATOR’ほか、Webメディアに映像取材と記事を発表中。2019年より、調査報道グループ「フロントラインプレス」所属。関西学院大学、東京都市大学、大阪国際メディア図書館にて、非常勤講師。

【参加方法】
Peatix(https://myanmawaima.peatix.com/)を通じて参加費をお支払いいただいた方々に講演前日・5月14日までにZoomで視聴できるURLをメールでお送りします。
【なおJCJ会員は参加費無料。onlinejcj20@gmail.com に別途申し込んでください。また、この機会にJCJ入会をご希望の方はその旨を明記し、上記宛てにメールをお送りください】
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
電話03・6272・9781(月・水・金の午後1時から6時まで)メール office@jcj.sakura.ne.jp  ホームページ http://www.jcj.sakura.ne.jp/


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2021年04月29日

【東京オリパラ】「できない」と誰も言わない東京五輪 IOC、政府、都、メディア みな沈黙 戦犯恐れ自己保身 まるで戦争末期=徳山喜雄

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 東京五輪・パラリンピックの開催予定日(7月23日・8月24日)が近づいている。ただ、海外からの観客を見送り、外国選手団もまばらという状態で強行し、「多様性」「平等性」を掲げる五輪憲章の精神が達成できるのであろうか。
 各種世論調査では、8割超の国民が再延期もしくは中止をのぞんでいる。コロナ禍のなか開催を断行したとして、選手村で大規模なクラスター(感染者集団)が発生したらどうなるのか。国内の医療態勢は逼迫している。アスリートや聖火ランナー、ボランティアら関係者のストレスはつのるばかりだ。
 五輪開催の決定権はIOCにある。だが、バッハ会長は判断せずに日本政府に丸投げしている。菅義偉首相は政権浮揚につながる決着をしたいところだが、長男やNTTによる腹心の総務省幹部への接待問題、コロナ対応のまずさで迷走している。五輪開催地の小池百合子・東京都知事は自らの政治的利益を優先し、「漁夫の利」を狙っているかのようだ。どこを見回しても「五輪の政治利用」が透ける。

 完遂体制

 東日本大震災からの「復興五輪」「コロナに打ち勝った証し」として開催するはずの五輪だったが、そうならないのは自明だ。にもかかわらず、キーマンの誰もが「できない」とはいわない。口火を切った人物が、後々まで責任を負わされる可能性があるからだ。ババ(貧乏くじ)を引いて、「戦犯」にされたくないという、アスリートや国民の気持ちを無視した自己保身が横たわっている。
 新聞や放送などのマスメディアも「できない」論を語ろうとはしない。朝日や読売、毎日、日経といった大手メディアが東京五輪オフィシャルパートナーに名を連ね、報道は「五輪完遂」体制に組み込まれている。戦前の1940年、皇紀2600年にあたる年に企画された東京五輪を彷彿とさせる。戦争で中止になったが、当時の新聞や雑誌は国家総動員体制のもと、国威発揚に血道をあげた。
 「大本営発表」を垂れ流すかのような後追い報道に終始し、報道が機能していないと言われても仕方がない。そんななかコロナ対策が不十分だとして、島根県の丸山達也知事が聖火リレーの「中止発言」をし、五輪開催にも反対だと表明した。勇気ある発言で直後に約330件の意見が県に寄せられ、7割が「よくいった」などと知事に好意的だったという。
 聖火リレーは福島を皮切りに3月25日からはじまり、全国47都道府県を回る予定だ。「島根の乱」によって他府県の知事も同調するのではないかと思ったが、どの知事も様子見をし、大きな変化はみられなかった。

脱無責任

 本誌を発行する3月末には、五輪開催の方向性が決められているかもしれない。だが、後手後手に回り、あまりにも遅くはないか。先の大戦の末期が想起される。戦争を止めなければ日本は廃墟になると分かっていても、責任ある立場の政治家や軍人らは決してそれを口にしなかった。メディアも同様で、「国賊」にされかねないババを引きたくなかったのである。
 報道はアスリートや国民を第一に考え、できないものはできない、無理なものは無理といい、無責任体制の一角から脱するべきだ。さもなければ、五輪報道の失敗として歴史に刻まれよう。
 徳山喜雄
                              
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年3月25日号
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2021年04月27日

デジタル庁の新設は隠れ蓑 狙いはマイナンバーでの国民支配=丸山重威

 菅義偉内閣が、今国会の看板政策として掲げる「デジタル改革関連法案」が、3月9日、衆院本会議で審議入りした。鳴り物入りで宣伝された「デジタル庁」の新設を決める法律。しかしこの法律の裏にあるのは、いろんな分野で使われているナンバーを、横に串刺しにして一元化、自由に利用して国民支配を可能にする危険な意図だ。
 既に、日民協、青法協、自由法曹団などの法律家団体と情報法学者などの「デジタル監視法案に反対する法律家ネットワーク」は、修正を求める意見書を出した。だがメディアの問題意識は乏しいのか、報道も少ない。政府・与党は予算関連法案として四月中に成立させたい、との意向も示されており、警戒が必要だ。

 個人情報を紐付け

 関連法は、@デジタル社会形成基本法案Aデジタル庁設置法案Bデジタル社会形成整備法案C預貯金口座登録・管理法案D地方公共団体情報システム標準化法案―など。このほかに、手続きで48の法律改正や、32の国家資格者へのマイナンバー義務づけが含まれている。いくつかの問題があるが、まず1つは、いままで別々のデータとして守られていた個人データについて、個人の情報管理権を無視して「データ共同利用権」を打ち出し、健康情報、税金情報、記入情報、運転免許、前科前歴情報などが、中央と地方で共通化され、紐付けされる点だ。
 その結果、これまで厳しく意識されていた、個人の「プライバシー」は医療や、個人関係、収入、財産など、いわゆる「センシティブ情報」まで国に吸い取られ、一元化される。医師、看護師、保育士などの国家資格にはマイナンバーを義務づけられ、警察―首相官邸にも結びつけが可能だ。
 つまり「行政が持つ個人情報すべてについて国による統一的な規制をする」ことになりこれまでの不十分と言われながら守られてきたプライバシーの権利が根底から覆されようとしている。

情報保護規定なし

法案には、プライバシーについての保護規定は全くなく、それを扱うデジタル庁をはじめとする情報機関に対する欧米のような監視システムもない。公権力がデータを網羅的に収集、検索することへの規制もない。
 さらに問題なのは、この法案、デジタル庁設置の宣伝に野党もメディアも惑わされ、内容について十分な検討も報道もされていないことだ。
 関連法では、デジタル庁設置法や、個人情報保護法からマイナンバー法までいくつかの法律改正で、これまでの原則が壊されているほか、手続きの見直しで48の法律を改正する。こうした「束ね法案」は、最近の政府の常套手段だが、こうした場合、法案だけでも膨大で、国会でも各党のプロジェクト・チームが検討できるかどうかがやっと、という場合が少なくなく、今回も同様だ。法案、要綱などを合わせると3000nに達している。そのため、メディアは今だに追いつかず、報道は不十分。一般国民は知らないうちに、自らの情報を国に握られ、支配される事態になりかねない。問題に警鐘を鳴らしたい。
丸山重威
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年3月25日号
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2021年04月26日

新聞労連ジャーナリズム大賞特別賞に神奈川新聞・石橋記者 ヘイトスピーチ許すな 敵は差別のプロ 試される本気度=伊東良平

                        
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 2016年のJCJ賞を受賞した神奈川新聞の「時代の正体」のデスクを担ったのが石橋学記者(写真)。現在、川崎総局の編集委員としてヘイトスピーチを行う団体の動きなどを積極的に取材して連日のように報道している。その石橋記者の「時代の正体・差別のないまちへ」など、一連のヘイトスピーチに抗う記事に対して、新聞労連の2020年度第25回ジャーナリズム大賞の特別賞が贈られた。
 また石橋記者はヘイトスピーチに関する一連の記事についてヘイト側から名誉を棄損されたとして2件のスラップ訴訟を起こされていて、横浜地裁川崎支部で裁判が行われている。受賞や訴訟などヘイトについての現状を石橋記者に聞いた。伊東良平


ゴールは先

 賞は大変ありがたくいただきました。差別に抗って勇気を振り絞って声を上げた当事者と市民を取り上げてきたので、差別と闘うすべての人たちの活動が評価されたと思っている。しつこく長くこだわって書いてきて、少しずつ変化が生まれているが、まだ差別をなくすゴールに届いていない。区切りがついたわけではないしレイシスト(差別的な言動をする人)がより活発化するなど、状況は悪くなっている。改めて賞をもらって、ひき続き記事を書き続けなければならないと思う。

より狡猾に

 今年になってレイシストの活動が活発化している。川崎市の差別根絶条例に反対している日本第一党の最高顧問の瀬戸弘幸氏が今秋の川崎市長選に向けて市内に引っ越してきて以来、連日のように街宣車を使って条例をデマで捻じ曲げて憎悪をあおっている。差別に対して最も厳しき対処する条例が出来て、「死ね」「殺せ」など露骨な言葉はなくなったが、条例を攻撃することで罰則に抵触しないような形で在日コリアンを攻撃する、より狡猾でより執拗なヘイト活動を続けている。
 2016年にヘイトスピーチ解消法が出来て、在日特権を許さない会(在特会)への社会の目は厳しくなった。そこで日本第一党を立ち上げたが衣替えしただけで、政治団体を装って生き残りを図り抜け道を探して活動している。川崎市長選で市長の対抗馬になることで行政はより慎重な対応にならざるを得ないことを見越していて、川崎区内に拠点を設けて街宣車を走らせている。
 条例の全面施行以来ヘイトの川崎駅前の宣伝行動は14回を数える。それまでは数か月だったものが2週間に1回のペースに増えている。川崎の条例がほかの地域に広がらないようにと、在日の人たちが日本人に不利益を与える存在だとして差別を煽っている。

タッグ組んで

 差別活動に目を向けて、行政がきちんと批判していく必要がある。ヘイトスピーチに「あたる」「あたらない」をジャッジするのではなく、差別は許されないことだと言わなければいけなかったが、そうはしなかった。その結果、ヘイト活動にお墨付きを与えるようなことになり、頻繁に行われる状況になってしまった。
 行政には手ごわい差別のプロと対峙しているとの構えが足りていない。立派な条例が出来たけれど使いこなせていないので、市民と行政・議会のオール川崎で、改めて差別の被害をどうしたら食い止められるかという原点に立ち返って、タッグを組んで隊列を組みなおす必要がある。全国のレイシストは川崎の条例をつぶそうとしている。差別をなくす本気度が試されている。

矢面に立つ

彼らを批判して対峙するということはこういう理不尽な訴訟を起こされることも織り込み済みで、きちんと受けて立って戦っていく。彼らはジャーナリストを委縮させることが狙いなので、新聞社やジャーナリストが差別に矢面にたつということは大切なことだと思う。勝ち負けではなくて、訴えること自体が目的なので、彼らの思惑にいかに乗らないかだと思う。
 レイシストを相手にしている以上は受け止めて跳ね返すことが大事。僕を攻撃することで当事者のマイノリティを攻撃していることになるので決してひるんではいけない。彼らがこんなことまでするのだということが理解をされて記者を守ろうという市民の人たちの連帯の輪が広がり、市民が法廷に傍聴に足を運び支えられている。いかに不当なことをやっているかを明らかにするような判決を勝ち取っていきたい
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年3月25日号
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2021年04月25日

【今週の風考計】4.25─コロナ禍の陰で目白押しの「悪法」、拙速採決を許すな!

▼3度目の緊急事態宣言が発せられた! 国民が対応に追われるなか、国会では6月16日の会期末をにらみ、目白押しに並ぶ問題法案の拙速審議や強行採決への策動が強まっている。政府が提出した法案は63本、そのうち3本以上を束ねた法案が26本に上る。
デジタル監視法案─新規に制定する法案4本と59本の関連法案を束ねる法案1本を加え、すべて一括審議するという乱暴な国会運営が進んでいる。
 それもデジタル庁を9月に設置したいがため、衆議院では27時間の拙速審議を強行、かつ28項目の付帯決議を付けて6日に衆議院を通過させるや、14日から参議院で審議入り。連休明けには強行採決に持っていく構えだ。 
▼そもそもこの法案、個人情報を企業や政府などが、本人の同意も得ずに利活用できるようにするのが狙いだ。憲法が保障するプライバシー権を侵害し、個人情報の恣意的な利用、さらには国が一元管理し、国民監視のツールとして悪用する危険が、きわめて大きい。

入管法改正案─16日から審議入りしたが、その内容が問題だ。この3月には名古屋市の入管施設で体調が悪化した33歳のスリランカ人女性が死亡した。また在留資格を失い強制退去の不安にさらされる人の中には、過酷な労働を強いられた技能実習生、学費が払えず退学を余儀なくされた留学生もいる。
 さらに難民申請を3回以上行った申請者は強制退去の対象となる。日本は難民認定率が極端に低い。年間0.4%、50人に満たない。ドイツや米国は25%以上の認定をしている。この法案は移民・難民の排除につながり、「国際的な人権基準を満たしていない」と指摘されている。

75歳以上の医療費・窓口負担2倍化法案─単身で年収200万円〜383万円未満、あるいは夫婦ともに75歳以上・年収合計320万円以上の該当者は、医療施設での窓口負担が1割から2割となり、合計約370万人が自己負担は2倍になる。
 負担増は年間で2万2千円と試算される。年収が383万円以上の高齢者はすでに3割負担だ。とにかく老人保健制度の国庫負担が35%では少なすぎる。せめて45%に戻すべきだ。
 
改憲手続法・国民投票法─自民が5月6日に採決を提案。トンデモナイ。コロナ感染拡大を受けて、菅首相を初め「緊急事態条項の創設」を求める声が大きくなっている。しかも、これを機に改憲へもっていこうとは、まさに火事場泥棒″ではないか。
 政府のコロナ対応の失敗を憲法の不備にするのは、御門違いも甚だしい。十分な補償や抜本的な検査拡大に全力を挙げれば、憲法を変えなくても対応できる。
 まず多くの国民は、憲法改正論議など望んでいない。やってほしいのはコロナ対策であり、私たちの命と生活を守る施策であり、公文書改ざんや官僚接待、さらには「政治とカネ」で地に堕ちた議員モラルを正すことだ。
 まずは広島・長野・北海道の選挙結果を、よく汲みあげるのが先。(2021/4/25)
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