政治の劣化が止まらない。菅内閣の支持率は最低ラインに落ち込み、国民の政治・政党離れが目につく。 1月の内閣改造で経済財政担当大臣に与謝野馨氏が就任し、消費税増税と社会保障との一体改革が推進される。 小泉政権の経済財政諮問会議の民間議員も会議に加わり、超党派の掛け声のもと「構造改革」路線への逆戻りが目立つ。 対抗軸がますます不明確となり、いったい何のための政権交代であったのか。
政権与党の民主党は統一した方向と戦略がはっきりしない。小沢問題や基本政策などで党内の対立が続き、党としてのまとまりに欠ける。
民主党は「理念なき政治家集団」と呼ばれる。結党12年になるが、会社でいえば定款にあたる党綱領すらない(日経2月8日)。
自民党や公明党も政策論議より解散戦略に重点をおき、国会で白熱した熟議は期待できない。
国政が混乱し、先が見通せないなか、地域政党に関心が集まる。統一地方選挙の前哨戦としても注目された2月6日の愛知県・名古屋市の
「トリプル選挙」は、すべてを仕掛けた河村たかし市長の「トリプル勝利」となった。住民税減税とともに、
議会ないし既成政党への批判が河村圧勝をもたらしたようだ。
歯切れのよいワンフレーズで地域政党をつくり、選挙で議会の多数派を塗り替えようとする「ケンカ民主主義」の手法で公約実現をめざす。
高い人気を誇る橋下大阪府知事も小泉首相のワンフレーズ・ポリティクスを見習う(朝日1月18日)。議会批判や住民税減税だけでなく、
大村愛知県知事が河村市長とともに提唱する「中京都構想」についても徹底した吟味が必要だ。橋下知事が提唱する「大阪都構想」は大阪市・
堺市を解体する再編案だが、「中京都構想」は漠然と司令塔を一本化する案のようだ。得体の知れない「都」構想は、
地方自治ないし大都市制度のあり方に重大な問題を投げかける。
中日2月7日は「河村市長へ三つの注文」という社説を掲げた。注文の第1は「独裁型になってはいけない」ということだ。
市長の言うままの議会にもしなってしまえば、民意は偏ってしまう。政令市初のリコール成立に伴う3月の出直し市議選の行方に注目が集まるが、
新聞をはじめ報道のあり方も厳しく問われている。
(JCJ機関紙『ジャーナリスト』2011年2月25日号より)


