◆恥知らずな自公の菅内閣不信任案の策動
5月28日土曜の夜、7時のNHK総合テレビのニュースをみていたら、「菅首相に不信任案の動き」がトップに出てきた。
谷垣自民党総裁、民主党の小沢元幹事長、山口公明党代表がつぎつぎに映し出され、谷垣・山口氏は、菅首相を政権の座から追い落とすことこそ、
日本を今の政治危機から救うことになると、口々に語っていた。呆れ果てるとはこのことだ、とつくづく思った。
菅首相がいい、よくやっているなどとはいわない。むしろ、なにやってるんだ、もっとしっかりしろと、
いろいろいいたいことばかりが浮かんでくる。しかし、こと原子力発電政策推進に関する限り、ほとんどの民主党員はイノセントだ。菅首相も、
野党にいた当時の立場でいえば、ほぼ無罪だ。
これに対して自民党は、55年体制以来の与党独裁の下、日本における原子力発電政策を、財界・電力業界やアメリカ政府、 GEなど米大企業のいいなりになって推進してきた張本人だ。今日の福島原発の、大量の放射性汚染物質を地球環境の全域に撒き散らす、 未曾有の人災を招いた最大の責任は、歴代の自民党内閣にあるといわねばならない。
公明党も責任から逃れられない。1993年総選挙の敗北(細川非自民内閣成立)以降、 総選挙での単独過半数獲得が不可能となった自民党が連立を模索、99年に新進党から分かれた自由党(小沢一郎党首)と連立を組んだとき、 公明党もこれに加わり、その後、自公体制が確立された。小泉構造改革・民活の推進においても公明党は自民党を支え、 原子力に重点を置いたエネルギー政策推進についても、公明党の責任を無視することができない。また、 今は民主党にあって主流から外された小沢氏も、かつて自民党田中派・同経世会の実力者だった経歴から、 原発に関する限りイノセントであるとは、到底いえない。
彼らがまともなら、今、菅内閣に対して起こすべき行動は、ただちに政治休戦を申し入れ、東北全域の災害復旧計画の立案、
ならびに必要な政策の具体化と実施に携わる政策本部を、
国会に議席を持つ全政治勢力の代表と被災現地の首長との参加を得て閣外に設けることであろう。そして国会を、
政策本部の活動を担保する審議機関としていくのだ。これなら、ほかの野党も賛成する。もしこれを菅内閣が拒むなら、
それ以外の勢力が一致して決起し、政権を奪取、所期の復興体制を整えるべきだろう。その場合、自公には当然、
過去の原発政策の反省が迫られる。破綻し、重大な人災を生んだ原発政策に責任を負うべきものが、その反省もないまま、再び政治の表舞台に出、
同じ政策の続行あるいは拡大をつづけようとするのであれば、それは現在の状況をさらにこじらせ、問題をいっそう深刻化させてしまう。
そんな事態こそ、われわれ国民にとって最悪の政治的危機というべきものだ。菅内閣が瓦解し、谷垣・山口・
小沢氏らとそれに同調する輩が代わって政権を取るなどの事態が生じるだけだとしたら、なんとおぞましいできごとか、
と思わざるを得な
い。
◆原発人災の話をわかりにくくするメディアの罪
原発をつくり、増やしてきた自公より、つくらなかった菅内閣のほうがまだましではないか。また、原発事故では、 菅のいうことも東電のいうことも、くるくる変わり、どっちも信用がおけない点では似ているが、東電に騙される菅より、 菅を騙す東電のほうが悪いというのも、決まり切った話だ。
また、東電を、このようなずぼらで身勝手な企業にのさばらせてきた責任も、自民党にはある。長年潤沢な政治資金をくれ、 与党政府の高級官僚の天下り先をたくさん提供してくれる東電に、自民党政府がまともな監督のできるわけもなかったのが実情だ。 これに比べれば、最近、これまでのエネルギー政策の白紙見直しを口にし、浜岡原発の停止を実現、発送電事業分離の考え方を示唆、 G8サミットでは再生エネルギー利用発電量を20%に引き上げる将来目標、 太陽光発電設置1000万戸実現のビジョンなども提示した菅首相のほうが、まだましだ。場当たり的で整合性を欠くのは事実だが、 こういうことをまったく口にせず、露骨に敵視する政財界の連中よりはましだ。
こんなわかりやすい話をわかりにくくさせ、無能な菅首相が政権の座から去ったら、日本の政治はうまくいき、 東北の復興もなんとかなるんだと、根拠もなく国民に思いこませようとする点で、一番悪い影響を及ぼしているのがマスコミだ。テレビは、 前述の政治家たちの不信任案への動きが表面化すると、出たものは出すという程度の、屁のような客観報道主義で、 屁のようなこれら政治家の軽挙妄動を頻繁に画面に映し出す。政治座談会や情報番組の話題もこれで持ちきりだ。新聞はもっと罪が深い。 読売に至っては、5月19日朝刊第6面に半ページ近くの記事紙面を使い、西岡武夫参院議長(議長のため党籍離脱しているものの、民主党所属) の菅首相に辞職を迫る、長大な寄稿「首相の責務 自覚ない」の全文を載せ、これを第1面で「参院議長『首相退陣を』 異例の要求 震災・ 原発対応巡り 本紙に寄稿」とアピール、でかでかと紹介した。
つづく20日朝刊でも、第3面のほぼ全部を用い、社説「西岡参院議長 首相『退陣勧告』の意味は重い」ならびに、 全段抜きの特集記事「西岡論文 発火点 強まる『菅降ろし』 『16人組』不信任同調も」とを、セットで掲載した。「16人組」 とは民主党内の反菅派のことだ。不信任されたら菅首相が「解散権」を使い、衆院を解散、総選挙実施に踏み切る可能性にも触れている。しかし、 憲法上の問題はないが、被災地の苦難を思えば選挙どころではあるまい、一票の格差の不平等が解消されないままの選挙も問題だと、 もっぱら菅首相を牽制するものだ。そして社説は、西岡論文を全面的に支持、「与野党には、菅首相の退陣を前提に、 新首相のもとでの大連立を行う構想も浮上している」と、渡辺主筆のかねてからの持論、「大連立」をクローズアップしている。 語るに落ちるとはこのことではないか。西岡論文「寄稿」も、自作自演という気がしてならない。
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*マスコミ九条の会HPへ飛びます。
◇ 菅引きずり落としのあとに控える危険な企み
◇ 新しいタイプの若者こそ、これからの運動の担い手だ


