第二次世界大戦後、長期に続いてきた米国主導のパクス・アメリカーナの構造は、いま音を立てて崩れつつある。その対立軸として急速に台頭してきたのが、経済や科学技術など各分野で急成長を遂げてきた中国。
2030年代には、GDP(国内総生産)でも中国が世界一になると推測されるほどである。一方で、「新旧2大経済大国」は、競争的依存関係を深めてきた。
ハイテク産業はじめ各分野で「呉越同舟」の関 係から脱却が極めて困難な中でも、「軍事力さえちらつかせつつ、醜い国際政治対決劇を演じる」両国の事態を掘り下げる。
複雑骨折する状況が生み出される背景や要因について、本書は「米中覇 権競争と多国籍企業」や「勢いづく軍産複合体」など、5つの側面から詳細に分析している。バイデンに政権移行しても、現下の状況が急展開する可能性は小さい。
「EUはじめ世界から米中は醜い経済覇権抗争を超えて、新型コロナウイルス、気候変動、再生 エネルギー、宇宙開発の人類・地球救済の課題に挑戦し、ハイレベルの協力関係に戻れとの圧力が強まっている」と、本書は指摘する。
私たちの日常生活にも大きな影響を及ぼしている米中両国の暴走を食い止める力は、「核兵器禁止条約」の発効を実現させたような、平和と民主主義を希求する世界の人々の声であり、行動である。
(新日本出版社2800円)


