★いま「ギグワーカー」をめぐって、大きな取り組みが始まっている。まず「ギグワーカー」とは何か。インターネットを経由して企業から単発の仕事を請け負う働き手を指す。
料理配達員や配車サービスの運転手、フリーの技術者などが該当する。個人事業主として報酬を得るゆえに、企業による最低賃金や労働災害、年金などの保護が一切ない。
日本ではウーバーイーツの料理配達員が顕著だが、その他も含めると1千万人が「ギグワーカー」にあたるという。
★「ギグワーカー」は世界各国で急増し、3年後には1億5千万人に達するとの予測まである。その経済規模はEUに限ってみても、2016年から2020年までのわずか5年で、4・7倍の140億ユーロ(約1兆8千億円)にまで成長している。だが「ギグワーカー」の得る報酬は、その半分以上が最低賃金以下だという。
この3日にはトルコのイスタンブールで、食品デリバリー企業の配達員「ギグワーカー」が、最低月額報酬の引き上げを求めて、ストライキや街頭での抗議行動に立ち上がっている。
★ここにきて「ギグワーカー」を保護すべく、彼らを正規雇用化する動きがEUで高まっている。
EUは、現在2800万人をこえる「ギグワーカー」を、一定の基準に基づく限り「従業員」と同等に扱い、最低賃金や傷病手当、休日などを保障するよう、企業側に義務づける新法案を公表した。
★その主な内容は、企業が、@報酬および上限の規則を設定している A電子機器などで労働状況を監督する B服装にルールを設ける――などの基準を設定。少なくとも2つに合致していれば従業員として認定される。
EUは、この法案を2025年までに成立させるべく、加盟国に対し徹底的な議論を要請している。
★「ギグワーカー」ばかりでない。昨年12月上旬、米国のニューヨーク州にあるコーヒーチェーン・スターバックスの店舗で、初めて労組が結成された。今年に入って労組結成の波は、東海岸のボストンから西海岸のシアトルまで、合わせて19州28都市・町の54店舗にまで広がっている。
会社側は執拗な「ユニオン・バスティング」(組合つぶし)を行っているが、労組結成の勢いは止まらない。民主党進歩派のサンダース上院議員は1月29日、「全国的な組織運動を展開している彼らに強く連帯する」と、エールを送っている。
★こうした世界の流れを見ていくと、春闘を前に「連合」は何をしているのか首をかしげてしまう。
とりわけ新しく連合会長となった芳野友子さんは、岸田首相が臨席する「新年会」開催のみならず、「新しい資本主義実現会議」のメンバーにおさまり、政府と「連合」の関係は急接近。いまコロナ禍で呻吟している「ギグワーカー」やフリー労働者への対応は、どうなっているのか。顔を向ける方向が違ってはいないか。(2022/2/6)


