福岡市で3年ぶりに開かれた「平和のための戦争展」(8月19〜21日)について、福岡市が驚くべき理由で名義後援を断った。
それまで名義後援を続けていた福岡市は2015年、「特定の政治主張に立脚している」として初めて名義後援を断った。
当時、大手メディアが大きく報道したため多くの人が来場してにぎわうという福岡市にとっては逆効果となった。福岡市は、その後も名義後援を断ってきたが、今年は7月21日付、高島宗一郎市長名で、その理由として「『憲法9条を変えさせてはいけない』という特定の主義主張に立脚した内容が含まれており、本市が後援することにより行政の中立性を損なう恐れがあると考えられるため」としている。
これを知った主催の市民団体「『平和のための戦争展ふくおか』を成功させる会」(運営委員長・石村善治福岡大学名誉教授)はじめ関係者は「信じられない」。8月4日に記者会見した石村運営委員長は怒りを込めて、憲法には公務員の憲法擁護義務が明記してあることに触れ、「憲法9条を変えさせてはならないということが特定の主義主張として承諾されないのは理解できない」と訴えた。
福岡市は、過去に名義後援を断る理由として「原発反対を主張している」などを挙げていたが、「憲法を変えさせてはいけない」という理由を挙げてきたのは初めて。福岡市は高島市長はじめ職員が憲法99条の「…公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という条文を知らないわけでもあるまいが、「9条を変えてもいい」と現憲法を擁護しない主張をすれば名義後援を引き受けるのだろうか。福岡市の憲法感覚は異常としか思われない。
高島市長は地元出身の麻生太郎自民党副総裁から全面支援を受けている。もちろん、麻生―安倍晋三元首相の親密な関係から、安倍政権の方針を全面支持していた。今回も、安倍元首相や麻生氏が主張していた「9条改正」を念頭に、名義後援を断る理由を「9条を変えさせてはいけない」という主張を「反安倍・麻生」と短絡的に結び付けたのではと考えるのが自然だろう。
福岡市は安倍死去後、すぐに市庁舎に「安倍晋三元首相を悼む記帳所及び献花台」を設け、そこには「民主主義を擁護し犠牲となった安倍晋三元首相を悼む」と書かれており、良識ある市民からは「民主主義を破壊した元首相なのに、この言い方はふさわしくない」とクレームがついた。
また、福岡市教委は安倍葬儀があった7月12日から15日まで全市立学校226校に対して弔旗掲揚を求める文書を出していた。これについて高島市長は、「私は知らなかった、教育委員会が勝手に出した」と述べたが、最高責任者が「知らなかった」では済まされない問題だし、本当に知らなかったとしたら福岡市の組織運営はお粗末としか言いようがない。
白垣詔男(JCJ代表委員)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年8月25日号
2022年09月06日
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