2023年09月09日

【寄稿】国際エイズ学会学術会議 HIV感染者数3900万人 昨年63万人死亡 国内では梅毒急増=杉山正隆・久田ゆかり(北九州支部)

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  第12回国際エイズ学会学術会議(IAS2023)が7月、オーストラリア・ブリスベンで開催され、HIV感染者や医師ら世界100カ国以上から5000人が参加。最新知見など約1500演題が発表された。COVID-19対策、mpox(サル痘)についても様々な視点で活発な発表や議論がなされた=写真=。

抜本的治療法なく
 エイズは、性感染、母子感染、血液感染によりHIVに感染し放置すると無症候期を経て日和見感染やガンなどを発症し10年ほどで死に至る。抜本的な治療法は依然なくワクチンも開発に至ってはないものの、多剤併用療法等の進歩で「慢性的な難病」の側面を強めている。
 2022年の HIV 感染者数は推定 3900 万人で、3 分の 2 はアフリカ地域に集中する。63 万人が HIV による原因で死亡し、130 万人が 新たにHIV に感染した。

 昨年国内でHIV感染が確認された人は870人で、過去20年で最も少なくなった。新型コロナウイルスの影響で検査の数が減少し感染者を十分に把握できていない。
 重症のエイズの状態になって感染の事実を知る「いきなりエイズ」が沖縄や福岡などでも多くなっており、専門家はHIVはくすぶっている状態と警戒を強める。一方、梅毒感染者は00年代後半から増加傾向となった。13年に1228人を記録すると急増を始め、22年は1万2964人と過去最多を記録。23年もさらに過去最高を更新しそうな勢いだ。男性は幅広い年代で、女性は20歳代のが突出している。
 出会い系サイトなどが主な原因ともされ、売春で安易で危険な性行為の傾向がある若い女性の感染も目立つ。15年頃からの感染拡大は、政府が挙げて進めてきた訪日外国人の急増も背景にあるという。

日本人記者は2人
 会議は、基礎科学、臨床化学、疫学と予防科学、社会科学と行動科学、実装科学・経済学・システム・相乗作用、を柱に発表や議論が展開された。
 エイズが「治癒」した6例目の「ジュネーブ患者」についてや、シドニーの都心部は、HIV感染を事実上排除した世界で最初の地域となったこと、正規に処方どおりに薬を服用している感染者はHIVを感染させるリスクが「ゼロ」であること、などの発表があり、メディアが大きく世界に配信した。
 日本人記者は私たち2人だけで国内での報道はほぼなく、同時期に開催されたW杯女子サッカーが日本の活躍もあり大きく発信されたのとは対称的だった。日本から参加した研究者の1人は「エイズは終わっておらず、偏見差別と闘ってきた苦い経験も多い。コロナもそうだが、学ぶべきだし、メディアにも情報発信して欲しい」と話した。

偽情報を阻止
 前米大統領首席医療顧問で元米国立アレルギー感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ医師は「ネット上などで蔓延する偽情報がコロナ禍の対応を妨げ、HIVへの対応にも支障となっている。偽情報と偏見は明らかな公衆衛生の敵。私たちはこれを阻止しなければならない」と語気を強めた。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年8月25日号


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