2025年07月16日

【Bookガイド】7月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)

 
ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)

金子勝『フェイクファシズム─飲み込まれていく日本』日刊現代 7/15刊 1500円
 トランプ大統領は日本に25%の関税を突きつけた。関税を武器に力の外交交渉を進め、世界の経済秩序を脅かしている。さらにロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ市民虐殺など、世界はまさに「カタストロフ」の渦中に置かれている。この世界の大危機に、どう立ち向かうか。日本を創りかえるための基礎政策を提言する。
 著者は1952年東京都生まれ。経済学者。慶応義塾大学名誉教授。アベノミクス批判、脱原発などの立場から社会への提言を続けている。
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豊下楢彦『「核抑止論」の虚構』集英社新書 7/17刊 1150円
 今年は広島・長崎が核攻撃を受けて80年。この人類的な悲劇を背景に「核のタブー」が生み出されてきた。しかし核兵器の完全禁止どころか、核拡散の動きは止まらない。北朝鮮の核開発やイランの核問題、「核のボタン」を弄ぶトランプの再登場、ますます世界は核使用の危険性が高まっている。そもそも核抑止論の不毛性がはっきりしてきた。核抑止論の本質を歴史的、論理的に解き明かし、核廃絶に向かう道筋と日本の採るべき選択肢を提起。
 著者は1945年兵庫県生まれ。関西学院大学教授などを歴任。2021年に古関彰一氏と共に第8回日本平和学会平和賞を受賞。
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吉見義明『日本軍慰安婦』岩波新書 7/23刊 1120円
 1991に金学順さんが告発した証言を基に、関係文書を丹念に収集分析し、「慰安婦制度」の主体が日本の軍部であったことを明らかにした。しかし「軍慰安婦」たちの苦難を否定する声は、今も後を絶たない。前著『従軍慰安婦』の刊行後、明らかになった多数の資料や証言を駆使し、あらためてその全体像と実態を描き出す。
 著者は1946年生まれ。中央大学名誉教授、専攻は日本近現代史。著書に『買春する帝国―日本軍「慰安婦」問題の基底』(岩波書店,2019年)など。
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野添文彬『大田昌秀―沖縄の苦悶を体現した学者政治家』中公新書 7/23刊 980円
 沖縄戦で鉄血勤皇隊として死線をさまよい、戦後は米国に留学、琉球大学で沖縄学・沖縄戦の研究者となった大田昌秀。米統治下から論壇で活躍し、1990年、沖縄県知事当選以降は米軍基地問題と対峙する。米海兵隊による女子暴行事件が勃発。高揚する民意と日本政府との間で解決を模索するが、3度目の知事選で敗北する。沖縄の苦悩を自著で訴え、沖縄現代史と共に歩んだ生涯を辿る。
 著者は1984年滋賀県生まれ。2024年より沖縄国際大学教授。著書に『沖縄返還後の日米安保』(吉川弘文館)、『沖縄県知事その人生と思想』(新潮社)など。
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松島京太『汚された水道水─PFAS「発がん性物質」と米軍基地を追う』東京新聞 7/25刊 1600円
 安全であるはずの水道水が、住民の知らない間に汚染されていた! 東京・多摩地域の水道水から、発がんなどの危険性を指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」が相次いで検出された。手探りの状態から当事者への直接取材、公表資料の分析、情報公開請求など調査報道の手法を駆使し、米軍横田基地(東京都福生市など)が汚染源であることを突き止める。
 しかし、事実が明らかになってからも米軍は有効な手を打つことなく、国や都、周辺自治体の対応も、日米地位協定が壁となって及び腰であることを浮き彫りにした。東京新聞立川支局の若手記者である著者が、PFAS汚染の実態を告発発する。
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友寄英隆『人間とAI─社会はどう変わるか』新日本出版社 7/30刊 2200円
 生成AIは私たちの生活・社会をどう変えるのか。AIは人の心の働きに近づくのか。私たちが気になる話題を科学的社会主義の立場で掘り下げる。AIのしくみと限界、労働・経済・メディア・政治・教育などへの影響、未来社会での可能性、ルールの必要性など、いま知っておきたいテーマをわかりやすく論じた一冊
 著者は1942年沖縄県生まれ。一橋大学経済学部卒業、月刊誌『経済』編集長などを歴任。著書に『AIと資本主義』(本の泉社)、『デジタル社会とは何か』(学習の友社)など。
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鈴木冬悠人『原爆誕生─「悪魔の兵器」を求めた科学者たち』 岩波書店 7/31刊 2500円
 ノーベル賞受賞者ら1200人もの科学者と空前の予算を投入したマンハッタン計画。「軍事的には不要」という軍の意見を退け、原爆開発を提案・推進し、投下を主張したのはオッペンハイマーを始めとする科学者たちだった。彼らはなぜ大量殺戮に突き進んだのか。掘り起こされた肉声から「悪魔の兵器」誕生の全貌に迫る。
 著者は1982年富山県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。NHKグローバルメディアサービス報道番組部ディレクター。
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posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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