2025年07月21日

【焦点】台湾有事 戦争回避の道 ASEANと連携強化 米中緊張緩和へGDP4位と6位タッグを 対米追従から独立自尊へ 布施祐仁氏オンライン講演=橋詰雅博

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 東アジアにおける紛争の火種は台湾有事だ。宿願の統一をめざし中国が台湾に侵攻と喧伝する米国と日本は、軍備増強の中国への抑止力という名の下で日米軍事一体化による対中臨戦態勢を進める。台湾有事では「日本は最前線に立つ」と3月末に来日したヘグセス米国防長官は明言した。敗戦後80年、非戦の日本が戦争に加担しない道はないのか。『従属の代償 日米軍事一体化の真実』(講談社現代新書、昨年9月刊行)の著者のジャーナリスト・布施祐仁氏は=写真=5月20日JCJオンライン講演で「回避の道」を提示した。
 米国は台湾が中国の支配下になればアジアでの権益を失うのを恐れる。中国軍の台湾上陸と中国海軍の太平洋進出を阻止する米国の作戦を布施氏はこう語った。沖縄南西諸島、台湾、フィリピン・ルソン島などに配備の地対艦・地対空ミサイルを発射する。日本の自衛隊やフィリピンと台湾の軍隊が主力として最前線で戦う。米軍主導で作戦を遂行する。
 石破茂首相は「米国が(中国に)反撃する状況となれば、在日米軍基地はフル活動となるでしょう。そうなれば、日本は中国から直接の脅迫、あるいは武力行使を受ける可能性は高まります」と最新著書『保守政治家 わが政策、わが天命』(講談社、昨年8月刊行)で述べている。

「計算違い」怖い

 布施氏によると、臨戦態勢に向けて防衛省は「統合作戦司令部」を3月に東京の陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に新設した。陸海空自衛隊を一元指揮する。米軍も東京・横田基地の在日米軍司令部を「統合軍司令部」に改称。日米の最高司令部が緊密に連携し、台湾有事では一体で行動する。
 布施氏は「5月亡くなった米国政治学者のジョセフ・ナイ氏は『米中双方が計算違い≠ノ注意しなければならない。直面する最大のリスクは、我々自身の失敗の可能性なのだ』と語っています。双方が一歩も引かない状態だと、偶発的な事故・事件で戦争につながるリスクがあります。これが怖い」と警鐘を鳴らす。

仲介者かって出る

 日本が戦争を回避できる方法について布施氏は、ASEAN(東南アジア諸国連合)との連携を挙げた。ASEANは地域の平和の安定、経済成長の促進などを目的に1967年に設立された。米中どちらの側にもつかず、今ではインドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、シンガポールなど10カ国が加盟する。南シナ海の領土権をめぐり中国との争いはあるものの平和を堅持。19年首脳会議で採択した「インド太平洋に関するASEANアウトルック構想(AOIP)」策定をまとめたインドネシア外相は「米中関係を対抗から対話と協力を促していくために仲介者の役割を果たすと内外に宣言した」と布施氏は述べた。
 「ASEANはGDP世界第6位まで成長した。米中ともその実力を認識しています。GDP世界第4位の日本がASEANとタッグを組めば、『第3極』として米中の政策に大きな影響を与えます。それゆえ日本は米国に追従して中国を敵性視する外交安全保障を改め自主外交を展開すべきです」(布施氏)

権威におもねるな

 4月27日付朝日新聞の世論調査では、対米外交から「自立」と答えた人が7割にも達した。とはいえ中国を含むアジア諸国との連携強化への転換の賛否は「反対」が66%で、「賛成」は16%にとどまる。自国ファーストのトランプ米政権の影響で世界は多極化にガラリと変わった。気持ちが揺れ動く国民はどうすればいいのか。布施氏は「石橋湛山元首相は『独立自尊』という言葉を好ました。権威におもねらず徹頭徹尾考え、進むべき道を自己決定するという意味です。日本を再び戦場にしないため独立自尊の精神を持ち立ち上がることが必要です」と語った。
 外交も「独立自尊」で臨む時が訪れたと布施氏は指摘した。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年6月25日号


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