ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)
◆伊藤俊治『昭和百年への鎮魂─江成常夫のレンズがとらえた戦争』集英社新書 8/8刊 1800円
“戦争の昭和”を正確に撮影してきた写真家・江成常夫。彼はアジア・太平洋戦争の実相にカメラを向け続けてきた。沖縄戦の犠牲者が逃げ込んだ洞窟の痕跡、戦争花嫁、満洲に取り残された日本人戦争孤児、ヒロシマ・ナガサキの被爆者、戦火の傷跡を刻んだ遺骨や遺品……。数多くの写真を通して彼の仕事の本質を解明し、もう一つの戦後日本を浮き彫りに。
著者は1953年秋田県生まれ。美術史家、美術評論家。東京藝大教授を経て、現在、京都芸大教授。
◆佐原徹哉『極右インターナショナリズムの時代─世界右傾化の正体』有志舎 8/11刊 3400円
なぜこの時代に「右傾化」が世界中で進行しているのか。欧米で広がる極右政党の台頭と反イスラムの風潮、中東を中心としたムスリム諸国での宗教右派の台頭、一見するとバラバラに映る現象の背後には、実は共通する力が作用している。本書は極右思想のネットワーク化とその思想の広がりを、特定の国家・民族に限ることなく、地域横断的に分析することを通して、世界的な「右傾化」メカニズムの解明に挑む。
著者は1963年東京都生まれ。明治大学教授。専門はバルカン近現代史、東欧史、紛争の比較研究。著書に『バルカン史』など。
◆保阪正康+白井聡『「戦後」の終焉─戦後80年の国家論』朝日新書 8/12刊 900円
日本は敗戦後、国の主体「国体」は天皇から米国に変わったのだろうか。80年間、戦争はなかったものの米国への従属性は深まった。誰が「悪者」なのか? 吉田か中曽根か、小泉か安倍か、それとも……今、日本の危機とは何か。昭和史研究の第一人者・保阪と気鋭の政治学者・白井が白熱討論を繰り広げる。
◆畑中丁奎『黒の戦史─特攻の命令者は誰か』芙蓉書房 8/12刊 3800円
特攻作戦を「志願」による英雄的行為として語る従来の歴史観に鋭く切り込み、その実態を徹底的に検証する。若者たちはなぜ命を絶たねばならなかったのか―それは「志願」ではなく、「命令」だったのではないか。数多くの証言や記録をもとに、特攻作戦の不合理さ、杜撰な兵器開発、そしてその結果としての無数の犠牲を明らかにする。さらに、生還した元特攻隊員の沈黙の苦悩、責任を回避した軍幹部の姿勢をも追い、歴史に対する問いを投げかける。
著者は1980年兵庫県生まれ。日本大学政治学専攻。著書に『戦争の罪と罰 特攻の真相』『人はなぜ戦場へ赴くのか 一億総特攻の歴史』など。
◆内海愛子『スガモプリズン─占領下の「異空間」』岩波新書 8/22刊 940円
敗戦直後、GHQ占領下に開所したスガモプリズン。外の世界が大きく移り変わるなか、戦犯たちは獄中で何を思い、何を見つめていたのか。戦争裁判の実態、刑務所管理の構造、戦犯の自治や言論活動、そして朝鮮人・台湾人戦犯の問題。十数年に及ぶスガモ運営の全体像を描き、塀の向こうに置きざりにされた戦争責任を問い直す。
著者は1941年東京に生まれ。早稲田大学博士課程修了、専攻は歴史社会学。恵泉女学園大学名誉教授。著書に『日本軍の捕虜政策』『朝鮮人BC級戦犯の記録』など。
◆山本勉『運慶講義』新潮社 8/27刊 2500円
稀代の大仏師・運慶の偉業の全容を明らかにする。平安時代から鎌倉時代への70余年の生涯を辿り、鎌倉方や後鳥羽院など時代の中枢と深くかかわりつつ、仏像の可能性を極めた運慶の姿がくっきりと浮かびあがる。時代背景がひと目で分かる「運慶年表」付き。
著者は1953年、横浜市生まれ。東京芸大博士課程中退。東京国立博物館名誉館員、清泉女子大学名誉教授。著書に『運慶―リアルを超えた天才仏師―』『運慶・快慶と中世寺院』『運慶大全』など。
◆清武英利『記者は天国に行けない─反骨のジャーナリズム戦記』文藝春秋 8/27刊 2500円
「記者は天国に行けない」.jpg 裏切ってでも、書け!巨大メディアを牛耳る「独裁者」に立ち向かった男が、恥辱に満ちた抵抗の半生と、特ダネに情熱を注ぐ反骨記者たちの生き様を描く。「もともとがドブ板を踏んで歩く社会部記者なのである。新聞人やテレビ、雑誌記者に限らない、肩書はなんでもいい、ネット記者でもフリーでも、とにかく組織や権力のくびきに無縁で、矜持を忘れない記録者の顔を書こうと思った」
著者は1950年宮崎県生まれ。立命館大学卒業、読売新聞社会部長、巨人軍取締役球団代表などを経て、ノンフィクション作家となる。著書に『しんがり』『どんがら』など。
2025年08月16日
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