2025年09月23日

【Bookガイド】9月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)

 ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)。

◆平野雄吾『パレスチナ占領』ちくま新書 9/11刊 950円
「パレスチナ占領」.jpg パレスチナ自治区ガザの戦闘は、イスラエル軍によるガザの死者は6万人を超える未曽有の大惨事に至った。これは長い間のイスラエルによるパレスチナ占領が招いた悲劇である。2024年までエルサレム特派員を務めた著者は、パレスチナの人々が抱き続ける故郷喪失と抵抗の記憶を聞きとり、イスラエル国内で被害者意識が強化される構造を読みとく。その歴史から現在まで、パレスチナ問題を一望する必読の書。
 著者は1981年東京都生まれ。一橋大学大学院修了。共同通信外信部記者。24年7月までエルサレム支局長。
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◆窪島誠一郎『イーゼルの丘から━終戦80年「無言館」の明日』白水社 9/12刊 2400円
「イーゼルの丘から」.jpg 無言館に並ぶ戦没画学生の作品を後世に残したいと、存続に向け立命館大学の支援を受け、共同館主として内田也哉子(樹木希林長女)を迎えた。今どうしてもなし遂げたいのは、沖縄に新たな美術館の建設だったが、いったんは諦めたものの、土地を購入し不思議な広場を造成した。名付けて「イーゼルの丘」。本書は間もなく完成する広場から、戦没画学生の心情と共に、若き人々へ未来への呼びかけを試みる。この気迫溢れる取り組みも、局所癌と闘う著者最後のミッションとして感極まるものがある。
 著者は1941年東京生まれ。1979年、長野県上田市に夭折画家の素描を展示する「信濃デッサン館」開設。1997年、隣接地に戦没画学生慰霊美術館「無言館」開設。
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◆太田匡彦『子ブタたちはどう生きたのか━ぶぅふぅうぅ農園の7か月』岩崎書店 9/16刊 1500円
「子ブタたちは…」.jpg 豚肉となり人間に食べられるブタにも豚の生きた歩みがある。完全放牧養豚を実践する「ぶぅふぅうぅ農園」(山梨県韮崎市)で、12頭の子ブタとそのお母さんブタの豚生と、子ブタたちが生まれてから豚肉に加工されるまでの7か月を追ったノンフィクション。生き生きとしたブタたちの<豚生>を通して、アニマルウェルフェア(動物福祉)を考える貴重な1冊。
 著者は新聞記者として、動物記事を書き取材を続ける中で、畜産動物のアニマルウェルフェアという考え方に理解を深める一冊。
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◆畑中章宏『小泉八雲━「見えない日本」を見た人』光文社新書 9/18刊 900円
「小泉八雲」.jpg 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、新聞記者として世界各地を旅し、今から130年前に日本にたどり着いた。冷静な観察者だった八雲は、日本各地を歩き文化・風物を堪能し、永住の地に定め、日本と日本人について数多くの紀行・随筆・評論を著した。八雲の観察眼、考察力を掘り下げる。今秋、放映されるNHK朝ドラ『ばけばけ』の主人公で注目。
 著者は1962年大阪府生まれ。近畿大学法学部卒業。民俗学者。著書に『今を生きる思想 宮本常一』(講談社現代新書)、『柳田国男と今和次郎』(平凡社新書)など。
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◆加藤喜之『福音派━終末論に引き裂かれるアメリカ社会』中公新書 9/19刊 950円
{幅音派」.jpg アメリカにおける福音派の巨大な存在感。どのように影響力を拡大し、トランプ大統領の誕生や再選、あるいは政治的・文化的闘争に関係していったのか。本書は、第二次世界大戦後のアメリカの軌跡を、福音派とその背景にある終末論に着目して描き出す。そこからは大統領の政治姿勢はもとより、中絶や同性婚、人種差別、イスラエルとの関わりなど多くの論点が見えてくる。
 著者は1979年愛知県生まれ、立教大学教授。専門は思想史、宗教学。共著『記憶と忘却のドイツ宗教改革』(ミネルヴァ書房)など。
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◆阿刀田高『90歳、男のひとり暮らし』 新潮選書 9/25 1700円
90歳 男のひとり暮らし ].jpg 単身生活を機嫌よく過ごすための工夫満載! 脳と体の衰えを知恵とユーモアで迎え撃つ。突然始まった単身生活。モットーは「“まあまあ”でいいじゃないか」。簡素に食事を調え、落語は読んで鑑賞、旧知の場所を訪ね、亡き人の思い出に親しみ、眠れぬ夜は百人一首を数える―迫りくる老いを受け止めながら日々を軽やかに過ごすコツを伝授し、人生の豊かさを再認識させてくれる滋味絶佳の老境エッセイ。
 著者は1935年、東京生まれ。早稲田大学卒業。1979年『ナポレオン狂』で直木賞、1995年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞。短編小説の名手として知られ、900編以上を発表する。
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posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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