暴かれた「強者の闇」 を単行本にまとめて歴史的資料にする。ものの見事に実現した労作だ。生活保護制度は紛れもなく「命の砦」。ところが世 間には「なまけて生活保護を利用している人が多い」といった誤解が広がっている。
誤解をさらに強めたのが、2012年に民放テレビや週刊誌などが展開した「生活保護バッシング報道」。これによって「生活保護を利用しようとしている人には厳しく接して、なるべく利用させないようにすべきだ」と考える自治体担当者は一段と増えた。
その考え方の「行きついた先」に思えるのが群馬県桐生市の生活保護行政だった。利用者は2011年度が1163人、2022年度は547人と、ほぼ半減には驚く。
行政職員による具体的な手口も▽利用者に一日千円ずつしか渡さない▽多くの利用者からハンコを預かって無断で押印▽担当部署に多くの警察官OBを配置して申請しようとする市民を威圧▽苛烈な就労指導・家計管理指導▽利用者の親族への無理やりの援助要請―などと凄まじい。
小林美穂子さんは生活困窮者の支援活動で息長く活躍中。「命の砦を守 らねば」の想いは強烈である。小松田健一さんはこの事案に東京新聞前橋支局長として直面し、その重大性をしっかり受け止めた。
桐生市の闇を暴く契機を作ったのは、行政の暴走を阻止しようとした司法書士の仲道宗弘さんの地道な活動。その仲道さんが昨年3月に急死。遺志を継いだ著者2人の姿勢に頭が下がる。(地平社1800円)
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