ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)
◆豊田直巳/著・写真『消える風景━明日へのねがい』農山漁村文化協会 12/10刊 2500円
原発事故によって無人の町になった大熊町や双葉町。そこでは原発災害の風景が次々と消え、がれきや除染土は中間貯蔵施設へ。そうした中で土地や家族を奪われた人の思いや願い、取り組みを克明に写真で写しとり、そこへの著者の共感を文章にして克明に伝える。
著者は1956年、静岡県生まれ。フォトジャーナリスト。長年にわたり、イラクやパレスチナなどの紛争地を取材。劣化ウラン弾問題やチェルノブイリの取材経験をもとに、東日本大震災後は福島を中心に取材活動を継続し、映画製作も行なう。著書に『戦争を止めたい』、『フクシマ元年』など。製作映画『奪われた村』がある。
◆泉秀一『アフリカから来たランナーたち━箱根駅伝のケニア人留学生』文春新書 12/16刊 1100円
箱根駅伝のエース区間「花の2区」を、誰よりも速く駆け抜けたケニア人留学生たち。お正月のテレビ放映にクギ付けの私たちだが、彼らの実像は,ほとんど知られていない。実は彼らは生きるために走るしかなかった。彼らの家族、兄弟、故郷、友人、そして来日の方法など、ケニア人留学生の真の姿を追って、アフリカの大地を訪ね歩き、現地取材から得た貴重なレポート。
著者は1990年生まれ。関西大学社会学部卒業後、ダイヤモンド社に入社。週刊ダイヤモンド記者を経て、フリー・ジャンジャーナリストに。
◆木瀬貴吉『本づくりで世の中を転がす━反ヘイト出版社の闘い方』集英社新書 12/17刊1000円
近年、小規模で個性的な「ひとり出版社」が注目を集めている。2013年創立の出版社「ころから」は、小さくとも、したたかに、世の大勢に抗う本を出し続けてきた。その独自性の源泉はどこにあるのか。創立のきっかけや本を刊行してからの読者の反響、さらにヘイト本が蔓延する書店とそうした社会の現状をいかに動かし、転がしていくか、知恵を絞った者たちの闘いの記録。
著者は1967年滋賀県生まれ。2013年に二人の仲間とともに出版社「ころから」を設立し代表となる。これまでに約80冊の本を刊行。
◆森まゆみ『温泉放浪記』新潮社 12/17刊 2150円
帰りたい宿がある、忘れられない人がいる。心ほどける湯けむり紀行。子どもの頃からの温泉好きで、風情ある温泉場、大事な宿や人との一期一会の思い出は数知れず。北海道から九州まで――東の横綱・鳴子温泉郷、西の横綱・大分の温泉はもちろん、じつは書かずにとっておきたかった宿、千人風呂での大失敗も……。おいしいものや文学・歴史方面にも寄り道する気まま旅。どうぞご一緒に。
著者は1954年生まれ。1984年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊。聞き書きから、記憶を記録に替えてきた。著書に『鷗外の坂』、『谷根千のイロハ』、『子規の音』など。
◆渡辺京二『私の幕末維新史』新潮選書 12/17刊 1600円
「色眼鏡」を外すと歴史はこんなに面白い!「幕府は薩長に倒されたのではなく自壊した」「尊王攘夷が盛り上がった理由は日本人の“京都敬い”」「吉田松陰の面白さは馬鹿げていて愚直なところ」「外国人が幕末の人々に感じた頭の良さと狡猾さ」「大久保にない西郷の人間的な魅力」……『逝きし世の面影』の著者が、黒船来航で始まる激動期を独自の視座から捉え直す。
著者は1930年、京都市生まれ。2022年12月逝去。熊本市在住。日本近代史家。著書に『逝きし世の面影』、『もうひとつのこの世-石牟礼道子の宇宙』など。
◆和田靜香『中高年シングル女性━ひとりで暮らすわたしたちのこと』岩波新書12/23刊960円
女性がひとりで暮らしていくしんどさ、苦労、精神的孤立感。いま中高年の女性たちは、見えない縛りに苦闘している。あらゆる社会保障や支援の狭間にこぼれ落ちてしまう恐怖。「透明」な存在と化した中高年シングル女性。仕事や住まい、お金の悩みから、老後の不安、人間関係まで━「ひとごとではない」実態を、多くの当事者女性たちの声とリアルな実態通して伝える。
著者は1965年生まれ。相撲・音楽ライターにして、政治ジャンルでも取材ルポを著す。『選挙活動、ビラ配りからやってみた』が異例のヒット。
◆酒井信『松本清張の昭和』講談社現代新書 12/26刊 1100円
想像を絶するほどの貧困、高等小学校卒、40歳を過ぎて文壇デビュー、そして国民作家へ。松本清張「初の本格評伝」が登場! 逆境から清張文学の成果を生み出した生涯を描く。文豪が体現した「不屈のバイタリティ」の数々、それを育んだ「昭和という時代の力」が、どのような内容であったか。幼少期の秘話、思春期以降の恋愛、戦争体験などなど……清張の知られざるエピソードが満載。
著者は1977年、長崎市生まれ。明治大学准教授。専門は文芸批評・メディア文化論。著書に『松本清張はよみがえる』など。
2025年12月18日
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