2026年01月18日

【リレー時評】原発、ドローン、ベトナム=中村 梧郎(JCJ代表委員)

 東電・柏崎刈羽原発が再稼働する。
 新潟県民の賛否は半々なのに花角知事が容認した。背後には無責任な国の姿勢の逆転がある。昨年の女川に次ぐ認可だ。柏崎を待っていたかのように鈴木北海道知事も泊・再稼働を認めた。

 2011年の福島原発事故以来、政府は「原発の利用を減らしてゆく」と言い続けた。それが突如「原発を活用する」に変わった。

「安全性は政府と規制委が認めた」と言う。その一方、事故に備えて住民避難路は作る。雪の新潟。事故は道路も見えない猛吹雪の時や、深夜に起きるかもしれない。2007年の中越地震では全原子炉が自動停止した。21年には未解明の断層を抱えた能登大地震も起きた。絶対安全だったはずの福島で事故は想定外≠ナ起きている。新潟は札束を握って再び危険領域に踏み込むのか。
 この間、柏崎原発は安全対策のいい加減さが指摘されてきた。最近ではテロ対策の機密文書を社員がコピーしていたことが発覚した。施設内に他者が侵入できる仕組みも露見した。事故に際しての「水を送る施設」の不備もあった。
 
 海からゴムボートなどで近づくテロリストは海上保安庁が阻止、陸上で原発に侵入する暴漢は警察がねじ伏せるという。
だがこんな想定はあまりにも古い。今はミサイルやドローンをどう防げるかである。佐賀の玄海原発に7月、ドローン3機が飛来したと報道された。警備員らは「大型機を見まちがえたのではない、明らかに接近していた」と証言する。誰が何のために飛ばしたのか正体不明だが「誰かが原発の対応能力を調べたのでは」という話も出た。

 原発の天板の脆弱さは福島で露見した。だが、原発上空への侵入を防ぐジオフェンスはどこも備えていない。たとえそれがあっても近づいたドローンがロケットを発射することはできる。防御は不可能に近い。
 そんな中、高市首相が国会で「存立危機事態」を具体例で示した。「台湾で戦艦が武力行使なら」と。では交戦だ≠ニ言うに等しい発言である。

 今の日本は戦争には耐えられない。武器や兵員どころか、原発があるために列島全体が壊滅しかねないからだ。
 原発がロケットで攻撃されたら、どれもが原爆並の爆発物と化す。日本全土には停止中も含め57基もの原発がある。
 原発推進を日本は海外でも進めた。悲しむべきは復興途上のベトナムの導入決定だ。ベトナム国会が16年に原発建設を否決したのは福島事故が余りに衝撃的だったからだ。それが昨年に逆転。日本とロシアによるウラ工作の賜物である。原発事故国、日・ロが受注できる。日本はこれを機に小型モジュール炉(SMR)の実験的建設を提案している。
 福島の処理、廃棄物処分もできない日本が他国に原発を売り込む。これもまた後は野となれ≠フ無責任さである。
          JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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