昨年12月は、地方民放局のドキュメンタリーの健闘が光った。
12月6日の朝日放送テレビ『テレメンタリー2025 万博“成功”の陰で〜置き去りにされた未払い問題〜』は、大阪・関西万博の海外パビリオンの工費未払い問題を取り上げた。開幕に間に合うよう短い工期の中でパビリオンを建設した業者が、工事費の一部が億単位で未払いだと訴えている問題だ。番組は、マルタ・パビリオンの工事の下請け会社と、セルビアとドイツの工事を担当した建設会社を取材。社長2人は、建設当時の現場の混乱や、未払いによる現在の苦しい状況を語った。元請けの外資系イベント会社「GLイベンツジャパン」の主張の他、主催者である万博協会の事務総長や大阪府の吉村知事、建設トラブルに詳しい弁護士を取材、多角的に問題を考えた。
昨年6月、改正刑法が施行され、従来の懲役刑と禁錮刑が廃止されて、受刑者の特性に応じた作業を行う「拘禁刑」に一本化された。再犯率が高止まりとなる中、懲罰ではなく受刑者の更生と社会復帰に焦点を当てる大転換だ。12月13日の名古屋テレビ『テレメンタリー2025 更生か 贖罪か〜揺れる名古屋刑務所〜』は、この拘禁刑導入に先駆けて、受刑者の社会復帰を支援する「処遇プログラム」を試験的に導入した名古屋刑務所(愛知県みよし市)を密着取材した。過去に刑務官による受刑者への暴行が問題となった施設だ。「人権軽視」と指弾された刑務所とそこで働く刑務官たちが、政策の大転換に戸惑い揺れる姿をありのままに伝えた。
12月20日の山口朝日放送『テレメンタリー2025 回天JK 私が伝える』は、人間魚雷「回天」の歴史を伝えようと奮闘する高校生が主役。山口県周南市に住み、広島の高校に通う椎木双葉さんは、地元・大津島に基地が置かれていた回天について、広島を訪れる外国人観光客に「回天を知っているか」とアンケートを行い、広島、周南、長崎、知覧を組み込んだツアーを提案、2024年の「高校生まちづくりコンテスト」で2位に選ばれた。回天を海外に紹介するサイトも立ち上げ、周南では外国人向けの案内が整備されつつある。「戦争体験を継承する高校生」はよく目にする素材だが、実際に社会を動かしている様は出色だった。
見過ごされる重大問題も、社会の将来を切り開く動きも、地域に確かに現れているはず。今年もそれを発掘する放送人の活躍が楽しみだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月20日
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