2026年02月22日
【イベント】北海道テレビ局、新たな挑戦 ドキュメンタリー制作もっと自由に ヘイトに対抗 局超え連帯 JCJ支部のトークイベント第2弾=渡辺 多美江(北海道支部)
道内テレビ局のドキュメンタリー制作の現在を語り合う(左から)山ア裕侍さん、沼田博光さん
JCJ北海道支部は、ドキュメンタリー制作をめぐるトークイベント「北海道発 テレビ局の新たな挑戦」を25年12月14日、札幌市内で開催した。NHKを含む道内全6局のテレビ関係者が参加した「北海道ドキュメンタリーワークショップ」の報告などを通じて、若手への技術継承の手ごたえや今後の可能性を語り合った。
北海道支部が24年5月に開催したトークイベント「ドキュメンタリーが面白い!」の第2弾。第1弾のゲスト3氏のうち道内のドキュメンタリー制作の第一人者HBC報道部デスクの山ア裕侍さん、HTB北海道テレビ放送報道部デスクの沼田博光さんの2人が引き続き登壇した。
同年9月、始動したワークショップの実行委員は道内6局の番組制作者7人。創設の意図を山アさんは「放送局の枠を超えて、ベテランから若手へ、他社から他社へ、ドキュメンタリーの灯を継承する場」と説明し、沼田さんは「まず(実行委員など)おやじたちの自慢話をしないこと。内容は若手のアンケートを参考にした」と話す。
放送文化基金の助成を受け、参加6局が持ち回りで全6回開催、100人近くが参加した回もあった。映画監督の森達也さん、構成作家の田代裕さんら講師陣が「日本のドキュメンタリーには型があるが、海外はもっと自由だ」「ナレーションは必要最小限で効果的に」など、それぞれの持論や手法を披露した。
山アさんは「若手ディレクターが自分の映像を講師に批評してもらう、違う局のカメラマンや記者の声を聞くなどの機会は今までなかった」。「映画監督の是枝裕和さんらなかなか呼べない人に僕らの本気度が伝わり、真剣に話してもらえた」と沼田さんは総括した。
現在活動2年目を迎えたワークショップの1年目の成果として、沼田さんは多様な番組づくりの視点を紹介した。山アさんは「自分たちのやり方を踏襲し過ぎてはいないか。いろいろな表現を自分で縛っていたかもしれない。一歩先に進む勇気を持てた」と振り返った。
2人は25年の日本民間放送連盟賞を受賞。イベント後半ではそれぞれの受賞番組の映像を上映し、制作の意義や課題を語り合った。
山アさんは、アイヌ民族などへのヘイトスピーチ取材では「何が問題なのか専門家への取材でファクトチェックも行い、われわれの考えをきちんと出した」と説明した。昨年死去した札幌の俳優斎藤歩さんの最晩年に密着した親友の沼田さんは、会場からの質問に「最近多用されるズームアップは見ている人に『これ以外は見るな』と言っているようなもの。どうしても必要な時だけにしたい」と、撮影時の思いを語る場面もあった。
ヘイトを取材したHBCにはネット右翼などから攻撃が殺到したが、沼田さんは「他局への攻撃には一緒に闘わなければならない」と局同士の連帯を呼びかけた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
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