2026年02月24日

【電撃解散】新党で目眩まし 報道、投票は 本質を見抜いて=丸山重威

 トランプ言いなりの世界情勢に批判もせず、まさに自己都合であまり例がない衆院解散を決めた高市首相。それに対応し、何とか「反共・自民補完・米国追従路線」を貫き、議席を確保したいと新党、「中道改革連合」を結成した立民、公明…。1月23日召集の通常国会を前に、新年早々の政局はめまぐるしく動いた。行き詰まった政権、一部野党の皮算用…。メディアはその動きに付いていくのがやっと。その背景に何があるのか、その先に何が待つのか。国民には全く見えない状況が続いている。そして通常国会冒頭での解散、超短期決戦の衆院選がスタートした。重要なのは、現象に目を奪われず、問題の本質を見抜いた世論作りと投票行動ではないだろうか。   

膨大な予算と借金
軍事費と物価高

 本来なら1月末からの通常国会に提案されるはずの26年度予算案は、総額122兆円、過去最大の規模となったが、国債費の返済は31兆円余、新規発行は29兆円余。軍事費は初めてGDP(国内総生産)の2%を超え、9兆円余になったが、その半分を超す4兆5000億円余は、長射程ミサイルなど米国から爆買いした「兵器ローン」の返済に当てられる状況になっている。その結果、社会保障費は自然増を圧縮する状況。この「積極財政」の中で、金利はアップ、円安も進んでいる
 円安が輸入品の物価に影響することは当然で、賃上げがなければ給料も、また改定されない年金などが目減りするのは当然。物価も一向に下がらない。その一方で、日本売りが進み、株価は5万円を超えている。

危機管理投資で
黒字化は無視

 ところが、国民生活を顧みない経済政策「責任ある積極財政」では、17分野を挙げ、アベノミクスが狙った「成長戦略」の代わりに「危機管理投資」を前面に出し、経済安全保障重要技術育成プログラムに5000億円の予算投入など、「国家基盤」に大規模投資を計画。常に問題になるプライマリー・バランスの黒字化目標は凍結している。本当に「日本発経済危機」の不安も囁かれている。
 そんな形で経済政策を進める一方で、進んでいるのが野放しの軍拡。敵基地攻撃能力の保有方針による極超音速誘導弾の開発、地対艦誘導弾の能力開発など長射程ミサイルの開発、取得がローン購入で目立っているほか、米国が同盟国に兵器を有償提供する「対外有償軍事援助」による調達額も8741億円を計上。「武器禁輸」どころか、日本の「米国側兵器敞」化が始まっている。

やりすぎ?高市
米国は不快?

 そうした日本経済の軍事化が問題であることに疑いはない。しかし、複雑な手続きと、秘密管理に覆われメディアにも見えづらいのが実情だ。
 「軍事費は他国に言われて決めるものではない」と言い切った石破首相をよってたかって無理矢理下ろした自民党右派と参政党など周辺の右翼勢力は、高市首相の誕生に「高市早苗が日本を変える」(「WILL」26年2月新春号)などと張り切って応援。首相も「新味」を出そうと「台湾有事は存立危機事態」と発言した。さらに、予定している安保三文書の改訂に向けて、「核保有」について側近が「個人的見解」を表明するのを阻止しなかった。
 しかしこの考え方は、中国と戦争はしないで有利なディールを考え、核抑止論で世界を支配し、日本には「従順な属国」を期待する米国からは「勇み足」。「関税でわかったはず、ベネズエラの例もある」とキバを見せた。
 こうした中で、予算委員会が始まれば大問題になるテーマが横たわっている。

「政治とカネ」
「統一教会」は?

 ひとつは、「そんなことより…」と口走ってひんしゅくを買った、政治とカネ、政治資金規正法の問題が放置されたままであること、さらに、韓国で明らかになった、統一教会との関係だ。
 問題になってきた政治資金規正法の改正問題は「企業、団体献金の禁止」や「政党助成金」の問題をどうするのか? そして、政党助成金で政党を維持しようとする発想を認めるのかどうか。
 予算委員会が開かれれば、何年間にもわたって問題になってきた政治資金=政治とカネの問題をどうするのか、首相自身の問題も含めて追及されないわけにはいかない。支持率が高い間に、うまく逃げるしかない…。首相がそう考えたとしても不思議はない。

「中道」って何?
安保法制と核

 この情勢をどう読んだのか。立憲民主党の野田佳彦代表と公明党の斉藤鉄夫代表が会談、いきなり新党「中道改革連合」の結成を発表した。高市首相の「電撃解散」に応えて、「右にも左にも傾かず、熟議を通じて解を見いだす基本姿勢と人間の尊厳を重視する理念」(野田代表)と説明、「日本経済を安定させ、平和を保つのが中道」(斉藤代表)と説明した。
 問題なのは、安保政策や原発の扱い。集団的自衛権を容認し、憲法9条を無視して進められている安保関連法を推進した公明。「これは違憲だ」と主張し続けてきた立憲民主党との矛盾は避けられない。原発も同じだ。公明党は再稼働や建て替えまで容認する方針だが、立憲は綱領に「原子力エネルギーに依存せず原発ゼロを目指す」と書き込んでいる。 しかし、作られた環境の下で、選挙対策の「じり貧脱却連合」(田崎史郎氏)だとしても、公明党は小選挙区に候補を出さないとしていることから、他の野党にも大きな影響を与えそうだ。
さらに、「右でも左でもない中道」とはどういうことなのか? ただでさえ右に傾いたいまの日本の政治で「真ん中」とは何を意味するか? きちんとした分析と方向性を示した報道が求められている。
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号 
 
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック