「トランプは世界を帝国の時代に戻す危険がある」―英国BBCのジェレミー・ボウエン国際編集長は、1月18日、ベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領夫妻の拉致を解説してこう述べ、トランプ政治を批判した。
日本でも昨年1月にトランプ大統領の第2期政権が発足して以来、歴史も慣習も国際法も無視した行動が続いてきたことに対し、「トランプの行動はひどすぎる」との批判が広がっている。
だが、トランプの行動が、実は個人的な「性格」と言うより、米国の新しい右翼思想によるものであることが明らかになってきているようだ。
リベラル否定、利益追求
格差当然、他国干渉排除
この考え方は、「新反動主義」とか「暗黒啓蒙思想」と呼ばれる、カーティス・ヤーヴィンとかニック・ランドなどの政治思想につながる。
既存の社会システムや価値観を破壊し新しい秩序を作ろうとし、非効率的な民主主義、リベラルを排し、自らの利益を追求する姿勢は、国内ではすべてに「自由」を要求し、格差は当然、他者への「配慮」などはなくなる。
国際的にも国連機関などの「干渉」を排除、自国の要求を押しつけることも当たり前になる。
トランプ大統領は、石油目当てのベネズエラへの攻撃に続いて、グリーンランド領有に反対する欧州8カ国に10%の関税をかけると発表した。
「武力が物事を決める、パワーが物事を決める、本物の世界の中で動いているのだ。世界がそういう場所だというのは太古の昔から世界を貫く鉄の法則。強さと力が必要だということを否定する米大統領はいない」というのは、スティーブン・ミラー次席補佐官(1月5日CNN)だ。
ボウエン編集長は「この考え方は、フランクリン・ルーズヴェルト、トルーマンからバイデン大統領までの歴代大統領になかったこと。大統領たちは、米国が強力な国として存在するには同盟を主導することだと考え、持ちつ持たれつの関係を維持し国連を支持してきた」と解説。トランプ思想の異常さを強調した。
「大統領が示す狭義の米国の利益を守るには米国は単独行動で最強の存在であり続ける必要がある。」米国は何の罰も受けずに行動できる、という信念だけは不変。しかしもしトランプがこの道を進み続けるなら、世界は100年ほど前の帝国の時代へ逆戻りしかねない。かつての世界では勢力圏を持った列強が自分の意思を周囲に押しつけようとした。民族主義を掲げた強大な権威主義者たちが、自国民を破滅へと導いた」―ボウエン編集長はこう結んでいる。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年03月02日
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