年の瀬が迫った呉市では12月20日、「呉の未来を考える2025集会」が開かれた。「日鉄呉跡地問題を考える会」ほか、3団体の主催で400人が参加。集会では「呉の未来を、平和のまちとして守り抜くために、今こそ声をあげよう」。「私たちが何も言わなければ、未来は勝手にきめられてしまう」と、呉を再び軍都化し軍需産業・武器製造整備を含めた多機能「複合防衛拠点」とする防衛省提案への危機感と反対の声を挙げ、「呉を再び『軍港』にするって、ほんとにいいの?」と問いかけた。市民の取り組みを紹介する。
集会では参加者が思い思いのメッセージボードを掲げた
日鉄呉の跡地を
複合防衛拠点に
集会後、日鉄呉の跡地横をデモする参加の市民たち
24年3月、防衛省は「日本製鉄呉の跡地を多機能な『複合防衛拠点』に整備していきたい」と、呉と広島の2市に申し入れた。
地元の呉では、市長や市議会の多くの会派が防衛省提案に好意的だ。
「停滞感のある呉市に明るいニュース。地元経済にもいいことだ」。「市が国の安全保障に積極的に関与する」と言う。
しかし、市民は「日鉄呉跡地問題を考える会」を結成、反対に立ち上がった。防衛省提案の翌月、「呉市民の命がかかる大問題だ」と同省に複合防衛拠点化反対を訴えた。
焼き尽くされた
街の記憶と恐怖
その根本にあるのは空襲で多くの市民が犠牲となり、焼き尽くされて廃墟と化した街の記憶と恐怖だ。
市民たちは言う。「母親から軍港だった呉の街が焼け野になった恐怖と、幼くして亡くなった姉のことを聞かされて育った」。「呉で平和都市転換の住民投票が行われた時は高2だった。軍事拠点化の目的は戦争、戦争で軍事拠点は狙われる。私たちが『旧軍港市転換法(軍転法)』を作ったのはそうならないためだ。絶対に呉を軍事拠点にさせてはならない」。「米軍岩国基地の近くに住むが、ある日の夕方、住宅街の真上で凄音とともにアクロバット飛行する米軍戦闘機に遭遇した。その時の恐怖と屈辱感はトラウマになっている」。
「東洋一の軍港」
呉の繁栄と転換
かつて「東洋一の軍港」として繁栄した呉には世界最大の戦艦「大和」を建造した海軍工廠があり、空襲で狙われて多くの市民が犠牲になった。
呉は戦後、軍転法で旧軍用財産を活用し「平和産業港湾都市」として復興を目指した。1950年に実施の軍転法に関する住民投票の結果は投票率 82・2%、賛成 95・8%だった。だが、朝鮮戦争を機に自衛隊が誕生、呉に海上自衛隊総監部開庁後は、自衛隊が旧海軍施設を占有。今では40隻以上の水上艦艇や潜水艦の母港となり、約6600名の隊員が勤務する海上自衛隊の主要拠点の一つとなっている。
市民の力結集し
呉の未来作ろう
「平和な街を子どもたちに」、「軍転法を活かそう」(跡地問題を考える会)をはじめ、9bの実物大ミサイルのイラストを配した「危険 祝園弾薬庫」や「大分を戦争の基地にするな」など、県内外の住民団体の横断幕が掲げられた会場で、参加者は“呉が再び「軍港」となることは、呉の未来にふさわしい道なのか?「標的のまち」となることを市民は望んでいるのか?平和を願う市民のお力を結集して、呉の未来を作っていきましょう。”との集会アピールを採択。集会後は、会場から「日本製鉄呉跡地」を通ってデモをした。
係留された潜水艦
掃海母艦「ぶんご」
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