ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)
◆高橋和夫『イランとアメリカ、そしてイスラエル━「ガザ以後」の中東』朝日新書 3/13刊 1400円
イランとの間で核開発について討議中に、トランプ大統領は再びイランを奇襲攻撃した。これに参加のイスラエルは、ガザとの停戦合意後もガザ空爆を続けている。ハマスと戦うイスラエル、その後ろ盾となるアメリカ、ハマスを支援するイラン。イランとアメリカの複雑な関係にイスラエルが加わり、ますます混迷を深めている。いくつかの流れが合流して中東を激動させる。国際政治の構造変化を軸に歴史、宗教、民族から最新動向まで中東研究の第一人者が解説。
著者は1974年に大阪外国語大学外国語学部ペルシア語科卒。放送大学名誉教授、国際政治学者。中東問題に関する著書は数多い。
◆沢野ひとし『ジジイ、ふたたび山へ 』 山と渓谷社 3/18刊 1700円
ワニ目画伯こと沢野ひとしが登ってきた山々の思い出を、美しい水彩イラストと軽妙なエッセイで描く。高校生の頃に山に目覚め、近所の低山から丹沢、八ヶ岳、北アルプス、ヒマラヤ、中国の山など、世界の山々を股にかけた壮大な山行記。ここ数年は「ジジイにふさわしい」静かな低山登山に目を向けている。登頂したという証拠写真と、ともに登った仲間たちとの面白エピソードが満載。
著者は1944年、愛知県生まれ。「本の雑誌」創刊号より表紙絵・本文イラストを担当。近著『ジジイの片づけ』『ジジイの台所』『ジジイの文房具』(集英社クリエイティブ)の「ジジイ三部作」が評判を呼ぶ。
◆村木厚子『おどろきの刑事司法━“犯罪者”の作り方』講談社現代新書 3/19刊 1200円
約1分の勾留質問で164日間勾留、検事の作文で作られる供述調書、証拠改竄や捏造……。冤罪に巻き込まれた著者がみた驚愕の刑事司法の実態とは何か。法制審に参加した市民委員5人が戦慄した、抜け穴だらけの刑事司法改革。誰もが信頼できる刑事裁判のために、私たちにはなすべき事がある。取り調べの可視化、人質司法の解消、証拠開示制度・再審制度の見直しで、刑事司法は必ず変わる、必ず良くなると説く。
著者は1955年高知県生まれ。元厚生労働事務次官。現在は全国社会福祉協議会会長。2009年「郵便不正事件」で逮捕・起訴されるも、2010年9月の裁判で無罪確定、1年3カ月ぶりに職場復帰。13年、厚生労働事務次官に就任。15年退職。
◆藤井克郎『百年映画館』 草思社3/24刊 2200円
「百年映画館」.jpg 日本には100年続く「奇跡の映画館」があった。世代を超えて愛される昭和のシネマパラダイスを大公開! かつて映画館は街の至る所にあり、地域文化の心臓部だった。シネコンや配信サービスが主流となった今も、ひっそりと、しかし力強く生き続ける「百年映画館」を探して日本各地を訪れ、大正・昭和の面影を残す建物や、劇場の空気を守る支配人、そして映画館へ集う人々を丹念に取材の成果を盛り込む。
著者は1960年、福井県生まれ。東京外国語大学卒業後、フジ新聞社入社。夕刊フジ報道部、産経新聞社会部を経て、同文化部で映画を担当。退職してリーランスの映画記者として活動。共著に『戦後史開封』など。
◆伊原勇一『弱虫逃げ腰山東京伝』郁朋社 3/24刊 1200円
上田秋成に“吾妻に京伝あり”と言わせたマルチ文化人、山東京伝! 希代の戯作者の波瀾万丈の半生を四季折々の江戸風物の中に描く。二度の吉原遊女との結婚、筆禍による手鎖五十日の処罰……蔦重、馬琴、歌麿、写楽、南畝、一九、鈴木牧之らとの交流を通じて厳しい時代を生き抜いた人気戯作者の本当の姿を活写する。
著者は1953年、東京生まれ。早稲田大学卒。江戸の文芸・絵画についての研究を続け、第21回歴史浪漫文学賞・創作部門優秀賞を受賞。著書に『反骨の江戸っ子絵師 小説・歌川国芳』『喜多川歌麿青春画譜』『明治画鬼草紙』など。
◆青島 顕『未還の名簿━シベリア最下層捕虜・村山常雄の祈り』集英社 3/26刊 2000円
シベリア抑留死亡者46,300人の名簿を、たった一人で作った老帰還兵・村山常雄。彼を追って綴る執念と鎮魂の衝撃ノンフィクション。シベリア抑留死亡者の詳細は、長い間、人数も個人名も正確な事実が伝えられてこなかった。1990年代、ソ連などから日本へ死亡者名簿が届いた。だが記された名前は意味不明、ここから、正確な死亡者名簿作りが始まった。
先の見えない作業。孤独な日々。だが、無念を抱えて凍土に眠る無名の仲間を弔うために、そして生きて還ってきてしまった自分を癒すために、折れそうになる気持ちを奮い立たせた。その情熱は周囲の人々や日本政府関係者を動かし、ついに奇跡を起こした……!
著者は1966年静岡市生まれ。早稲田大学法学部を卒業、毎日新聞社に入社。多摩総局長などを経て、現在は新聞研究本部に勤務。『MOCT━ 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』で第21回開高健ノンフィクション賞を受賞。
2026年03月14日
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