2026年03月21日

【リレー時評】変わる政治、変わらぬ沖縄の民意=黒島 美奈子(JCJ沖縄世話人) 

 とうとうここまできたか―というのが正直な感想だ。
さる8日に投開票が行われた衆院選の結果。小選挙区で沖縄1〜4区は自民候補が全勝した。小選挙区制が導入された以降初めてとなる。自民全勝は中選挙区時代にもなかったから復帰後初の事態でもある。

 本土ほどの熱狂はなかったものの、沖縄にも確かに「風」は吹いていた。これまで2区で6回立候補し、今回初めて小選挙区を制した宮崎政久氏の勝因の一つは高市早苗政権への期待だ。宮崎氏は前回から2万票余り伸ばし7万票超を獲得した。
 ただ、「高市旋風」だけが敗北の原因ではない。2区は米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市や、嘉手納基地がまたがる嘉手納町、北谷町が含まれる。沖縄の基地問題を象徴する地域だ。日米政府が、名護市辺野古への移設計画を本格化させて以降は「オール沖縄」勢力が誕生する以前から移設に反対する候補者が当選してきた。

 そうした地で選挙を前に表面化したのが、オール沖縄の亀裂だった。
前回、社民党候補だった新垣邦男氏が中道改革連合から立候補。これに対抗して社民は元職の瑞慶覧長敏氏を立てた。移設反対の候補が分裂し、票も割れた。

 2氏の得票数を足すと宮崎氏を上回る。2区では参政党候補者も反対の立場で、それを加味すれば「辺野古ノー」はさらに多い。敗北の責任はひとえに党利党略に溺れ民意をすくえなかった政党・政治にある。
 本土と違い今年が「選挙イヤー」の沖縄では秋にも県知事選を迎える。復帰前から「保守対革新」の対立構図が続いてきた。辺野古の争点化以降は「自公対オール沖縄」の構図が続く。目下の関心事は衆院選の結果がこの構図にどう影響するかにある。

 オール沖縄側は立憲民主党、共産党、社民、社大党を軸に一時はれいわ新選組まで広げた。しかし国政選挙でまず、れいわが抜けたのをはじめ、中道の結成は立民だけでなく社民との連携にも影響を及ぼしている。
 対する自民は衆院選での成功体験を元に日本維新の会、国民民主党、参政などこれまで袂を分かってきた保守層の取り込みを進める。自公の選挙協力はもともと沖縄から始まった。名護市長選のように「辺野古あいまい作戦」をとれば、公明も容易に乗るだろう。
衆院選で見えたのは「果たしてオール沖縄はいったいどちらの方なのか」というほどの政治の地殻変動だ。
 
 一方、SACO合意から30年たっても民意は底堅い。背景には変わらぬ基地負担がある。近年は水道水のPFAS汚染などこれまで見えなかった新たな「負担」も判明した。日米政府が基地からの汚染と認めず、何の対応もとらないことに県民は憤っている。
今なお民意をすくう政治が求められている。私たち報道も諦めるわけにはいかない。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年2月25日号 

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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