2026年03月26日

【おすすめ本】鶴見太郎『シオニズム イスラエルと現代世界』━ナショナリズムと植民地主義が複雑に絡み合った動きを辿る=大治朋子(毎日新聞専門編集委員)

 イスラエル・パレスチナ紛争の発端であり、その主因のひとつともいわれるシオニズムを、「等身大で精緻に」描写したという本書は、国際社会が直面する課題を浮かび上がらせる一冊だ。
 ちまたにはびこる「粗雑な」歴史認識を排し、 語られるべき問題や責任を次々と照らし出す。
 13万部の大ベストセラーとなった『ユダヤ人の歴史』(中公新書)の著者である、東京大学大学院准教授・鶴見太郎氏による最新刊である。

 著者によると、シオニズムは19世紀終盤のロシア帝国領で生まれた「ユダヤ人の民族的拠点をパレスチナに築くことを目指す思想・運動」。その起源はロシア帝国下のポグロム(ユダヤ人襲撃・迫害)に遡る。「ナショナリズムと植民地主義が複雑に絡み合った動き」だという。
 本書はキリスト教シオニズムの実像にも迫る。それは米国の4人に1人ともいわれる福音派プロテスタントが共有する宗教的世界観であり、米国とイスラエルを結ぶ太い絆となってきた。
 その存在は米中間選挙やイスラエル総選挙が予定される今年、改めて注目を集めそうだ。

 鶴見氏によれば、福音派にとってイスラエルは聖地を守ってくれる「用心棒」だ。だからこそ彼らは、「イスラエル応援 団」の最前線に立つ。だが「パレスチナ人のことはほとんど視野に入っていない」。
 その偏狭な世界観が、ガザ地区やヨルダン川西岸での悲劇をより深化させてきたという。
 本書はシオニズムの軌跡を振り返るとともに、イスラエルの「いま」を読み解く必携の書でもある。(岩波新書1120円)
              
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posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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