2026年03月27日

【馬毛島基地建設】着工3年 費用青天井 完成遠く 米軍訓練滑走路・施設を先行 視察団、防衛省が阻む=丹原 美穂(沖西ネット事務局・JCJ東海)

4面馬毛写真B・上陸チーム「宝の島壊すな」.jpg
             視察団は上陸地点の港で抗議の声を
 馬毛島(鹿児島県西之表市)で進む米空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)移転に伴う自衛隊基地建設工事は、1月12日が着工から3年。工事差し止めを求め、国と係争中の地元漁師原田純男さんと弁護士、支援者ら12人の視察団が10日、島唯一の上陸場所、葉山港近くにある漁業者の入会地と国有地境界確定のための測量をしに島に上陸したが、防衛省は国有地を通らなければ入会地に立ち入れないにもかかわらず視察団の国有地内通行を拒否。原告の入会地立ち入りを阻んだ。
4面馬毛写真C・立ちはだかる防衛省と警備員 (1).JPG
               立ちはだかる防衛省職員ら
 現地防衛省職員の拒否理由は「安全確保」。「職員を配置できる日程でない」と拒絶した。交渉した塚本和也弁護士と原告の原田さんは「境界確認は入会地の次世代引継ぎに必須」「通行権は防衛省も認めた権利だ」と、法的根拠なく拒否した防衛省に抗議。監視の目がないとやりたい放題の姿勢を強く批判した。
4面馬毛写真D立ち入り交渉の上陸チーム弁護士と漁師.jpg
        通行を求める塚本弁護士と地権者        
膨らむ総工費

 工事は米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)小笠原諸島・硫黄島からの移転を最優先に、米軍訓練用の「くの字型」の2本の滑走路と飛行場関連施設の建設を急ぐ。だが、人材・物資不足で27年完成予定は3年遅れの30年3月にずれ込み、建設費も契約ベースで1兆4522億円に膨らんで総工費は未定と、いまや天井知らずと化した。
 夜も続く工事の灯りは四日市コンビナートや夜の銀座と見まがうほどで、12`対岸の種子島からもすぐ近くに見える。変わりゆく馬毛島を住民は日々眺めている。

建設バブル後は

 西之表市の資料によると、工事関係者は馬毛島に4200人、種子島から通う関係者は約2000人。人口増で商店街は賑わい、宿舎バブルも現実化した。市にお金が下りてきて町に活気をもたらした公共事業歓迎の声もある。だが、基地建設のバブル崩壊後のたのみは自衛隊基地だけ。先行きに不安をはらむ。
 この先に何が待つのか、そうした懸念が現実のものとなるのは馬毛島自衛隊基地が完成したあとの話で、今は見通せない。種子島、馬毛島から見える光景はどんなものになるのだろうか。

緑消えた馬毛島
4面馬毛写真@・緑が消え滑走路工事が進む現在の馬毛島=c南日本新聞.jpg

 写真は、鹿児島市の地元紙・南日本新聞社が年明けに空から撮影した最新の馬毛島だ。かつて漁師たちが「宝の島」と呼んだ島から緑が消え、環境省がレッドリストに絶滅のおそれのあるニホンジカの亜種と記載する「マゲシカ」の餌場の草地や生息場所の森はほとんど消えた。防衛省は環境影響評価で保全策を示し24年春、個体数減少を否定したが、専門家は「保全策」の実効性に疑問を呈する。
 同年11月初上陸を果たした視察団が、前回上陸時の昨年10月、海岸近くの入会地付近で見た鹿の糞も今回は見当たらなかった。また、ドローン撮影映像でも探したがマゲシカの姿は確認できず、専門家の指摘が現実化し、生存が危ぶまれる事態を懸念している。

訴訟の行方は

 基地工事開始後、水産物の水揚げ量は2年で半減したと言われる。計画浮上当初、国は「地元の意向を無視して進めるつもりはない」と言いながら、実際には強引な手続きで工事に着手した。馬毛島を巡っては防衛省への私有地売却を巡り、西之表市長と国を相手取った住民訴訟と、地元漁師が原告の工事差し止め訴訟の控訴審の2件が進行中。工事差し止め訴訟は5月13日判決を迎える。
 丹原美穂(沖西ネット事務局・JCJ東海)
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年2月25日号 
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 軍事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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