2026年04月04日

 【4月出版界の動き】出版業界に押し寄せる第3の大波

◆書協が生成AI使用の指針を
 出版社の業界団体、日本書籍出版協会は出版社が生成AI(人工知能)を使う際の指針作成に乗り出す。出版社が行う翻訳・校正など編集業務にAIを導入する際のガイドラインを作成する。また本の著者が執筆時にAIを使う場合を想定し、契約書に規定を盛り込むといった対応を進める。
 生成AIへの対応を議論する検討会を設置して、381の加盟企業のうち約40社が検討会に参加。専門家からのヒアリングを交えて話し合う。秋にも出版社向けのガイドラインをまとめることを目指す。

◆2月出版販売金額2.3%増
 2026年2月期の紙書籍雑誌推定販売金額は取次ルートのみで、911億3700万円で前年同月比2.3%増、書籍は611億1800万円で同3.9%増、雑誌は300億1800万円で同0.6%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同2.0%増、週刊誌が同15.1%減。返品率は、書籍が同1.6ポイント減の28.5%、雑誌は同1.8ポイント減の42.2%。
 既存店店頭での売れ行きは、書籍がほぼ前年並みで、文芸約2%増、文庫本約4%増、学参約1%増、ビジネス書約3%減、児童書約1%減、新書本約4%増。雑誌は定期誌がほぼ前年並み、雑誌扱いコミックスが約8%減、ムックが約1%減、書籍扱いコミックスが約2%増。

◆小学館が性加害事件に対応
 小学館の漫画アプリ「マンガワン」が男性漫画家の性加害を知りながら、新連載の原作者に起用していた問題について、小学館は謝罪し、第三者委員会の設置を発表。だが漫画家たちからは対応を批判する声が相次いでいる。これを受けて再度3月9日に「お知らせ」と題する声明を発表し、謝罪と今後の取り組みについて報告。
 編集者の見識や漫画家への対応、出版・編集のモラル・責任などが問われている以上、今後の動きが調査報告と合わせ注目される。

◆出版インフラ担う講談社の動き
 講談社の関連会社であった豊国印刷、講談社ビジネスパートナーズ、第一紙業を統合して発足した株式会社KPSは、長年、講談社の印刷や物流、資材調達などの業務を行ってきた。これを再編し、KPSホールディングス傘下に「プロダクツ」「フルフィルメント」「ソリューションズ」「システムズ」の4事業会社を設立した。出版事業を始め物流、システム、各種業務などを、自社グループにとどまらず、他の出版社へも提供するサービスを進めている。培ったノウハウを生かし、多くの出版社に共通する業務を担うことを目指す。
 この発想は、同社の米国出版社が現地で業務委託しているペンギン・ランダムハウス・パブリーシングサービシーズから来ているという。KPSも将来的にはセールスなども含めて全般的な出版業務を請け負うことを目指す。物流部門では、取次出荷にとどまらず、直送など多様な流通に対応する。

◆オアシスがKADOKAWAの筆頭株主
 KADOKAWAは、物言う株主として知られる香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが、筆頭株主になった。オアシスの保有議決権数は総株主の議決権に対する割合が11.89%に達した。それまで筆頭株主の地位にあったソニーグループ株式会社が同位置から外れ、保有割合は10.10%から10.04%に減少した。オアシスは最近になって、さらに買い増しを進め、議決権に対する割合が13.76%となった。
 オアシスは日本でも積極的な働きかけを行っており、今回の大量取得も今後KADOKAWA経営陣に対して何らかの提案を行う可能性がある。

◆島根県大田市に2年ぶり書店誕生
 書店ゼロとなっていた大田市に今井書店が出店することが決まり、6月24日にオープンする。大田市には1987年から地元の人に愛されてきた市内唯一の書店があった。しかしネット通販の拡大や電子書籍の普及なで売り上げが減少、おととし3月に閉店。それ以降、大田市は書店ゼロとなっていた。
 大田市は出店にかかる費用を支援するため、10年間で最大5500万円を助成する独自の制度を創設し、事業者を公募したところ今井書店が名乗りを上げ、イオンタウン大田への出店が決まった。

◆「本なら売るほど」がマンガ大賞に
 書店員や漫画ファンの投票で決まる「マンガ大賞2026」に、児島青さんの「本なら売るほど」(KADOKAWA)が選ばれた。
 脱サラして古本店「十月堂」を開業した青年が、さまざまな人々と出会いながら、本の持つ魅力や価値に改めて気付いていく連作短編集。繊細な絵柄でリアリティーを感じさせる仕立てで、雑誌「ハルタ」で連載している。児島さんは性別や出身地など、詳しいプロフィールは非公表。
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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