2026年04月04日

【映画の鏡】原村監督「山里3部作」が完成『山人(やまんど)−縄文の響きが木霊する―』持続可能な未来を問う山の暮らし=鈴木 賀津彦

 
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                  cアグリシネマ

 私たちは人里の熊にどう対応すればよいのか、ここ数年問われている問題を掘り下げて考えるためにも、山の自然を壊すことなく、山の恵みに生かされて暮らしている本作の主人公の生き方から学ぶべきことが沢山ある。

 福島県奥会津地方の山奥、三島町の菅家藤一(かんけ・とういち)さん(72)は若い頃から奥山に分け入り、今も山の恵みに包まれて生きている。原村政樹監督は8年前に出会い「菅家さんの山での営みを映像記録すれば、私たち現代人が見失いがちになった大切なメッセージを伝えられるのではないかと確信した。撮影を始めると、常に菅家さんの言葉の深さに感銘することの連続でした」と話す。

 多彩な山菜が芽吹く春。全部は採らないで必ず残しておく。そうすることで毎年、途絶えることなく良い山菜が採れるのだ。獣に対しても「狩猟は文化だ」という菅家さんは、害獣駆除で無分別に熊を殺すことに心を痛め、山奥の熊は獲らない。山鳥も雌は逃がす、そんな暮らしの作法をカメラは捉える。
 22年の『若者は山里をめざす』、24年の『山里は持続可能な世界だった』に続く『山人』の完成で、山里の価値の再発見に眼を向けてきた原村監督の3部作として、自主上映活動などでも広げてほしいと期待する。
 次回作は「原発と人権(仮題)」で、今秋の公開に向け制作中だが、山里3部作を観れば、原村監督がなぜ原発と向き合わなければならないのかも見えてくる。上映時間74分。公開は3月28日から東京・新宿K′sシネマで、4月は18日から埼玉・川越スカラ座。     
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号 
posted by JCJ at 20:42 | TrackBack(0) | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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