深夜、駐屯地に搬入されるミサイル機材
3月9日0時18分、防衛省は熊本市東区の陸上自衛隊健軍駐屯地に長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」発射車両など、関連機材を搬入した。駐屯地前は「夜か未明に搬入がある」との情報で集まった右翼の街宣車や、反対の市民で騒然とし、抗議や怒号も飛び交った。
駐屯地正門前では8日午後9時半過ぎから、市民団体など約100人の反対住民らが緊急反対集会を開き、「住宅街にミサイルはいらない」「地元住民への説明もない」と抗議行動を展開した。
地上発射型長射程ミサイル能力向上型は射程約1000`を超え、静岡の陸自富士駐屯地に配備予定の「高速滑空弾」と並び、防衛省が中国などを念頭に進める有事の際、「敵」を射程圏外から(スタンド・オフ)攻撃する南西地域防衛力強化の柱。健軍が「反撃能力」(敵基地攻撃)の柱となるミサイルの初めての配備で、中国沿岸部や台湾周辺海域も射程に入る。
駐屯地近くの健軍商店街は基地の恩恵で賑わう場所。なかなか基地反対の声を挙げにくい。だが、防衛省の抑止力向上強調に対し、住民は「攻撃対象となるのでは」と、不安の声を上げ、「ストップ!長射程ミサイル配備の会」も誕生。昨年11月18日、商店街に1200人が集まり、反対集会を開いて抗議の声をあげた。
反対を訴える横断幕
今年、2月23日には「ストップ!長射程ミサイル・弾薬庫」を掲げた「県軍駐屯地を平和の輪でつなごう!2026」との呼びかけで、11月の健軍商店街集会と同じく1200人の参加を得た駐屯地を取り囲む「人の輪」も展開。年度末の長射程ミサイル配備を目前に、政府の「大軍拡」最前線の自衛隊基地・駐屯地で進む「戦争をする国」の具現化に強い懸念の意思を示した。
参加者は全国からも集まり、「どこの街にもミサイルいらない」「弾より米だ 平和が一番」「熊本を戦場にするな」などのコールが響いた。沖縄から駆けつけた具志堅隆松さんは「私たちは自衛隊員の命も守りたいのです」と訴えた。「人の輪」に続くデモ行進はさらに参加人数が増えた。
駐屯地を「人の輪」で囲む人たち
3月9日強行された長射程ミサイル機材搬入の情報が流れたのは7日夜の一部報道で。防衛省から地元、熊本県や熊本市には一切連絡なし、木村敬知事、大西一史市長らも苦言を呈した。
住民だけでなく知事・市長らも、「説明会開催を」と求めるが、防衛省は「住民の懸念より抑止効果」(内倉浩昭・統合幕僚長)だとする。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号
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