発がん性物質のPFAS(ピーファス=有機フッ素化合物)汚染がようやくニュースとして報じられるようになった。直近では岡山県吉備中央町で活性炭リサイクル事業を行う満栄工業が、自社が放置した活性炭からもれたPFASの一種PFOA(ピーフォア)による町内での水道水汚染の原因は大手化学メーカーのダイキン工業淀川製作所から引き取った活性炭だとして4月に岡山県公害審査会に公害調停を申請した。昨年12月には淀川製作所がある摂津市などの住民らがダイキンに対して大阪公害審査会に公害調停を出している。ダイキンは大阪と岡山で公害調停の一方の当事者になった。ダイキンは1960年代から50年にわたりPFOAを製造・使用していた。ダイキンは汚染源として認めているが、健康被害については否定している。
また3月、東京・多摩地域や沖縄、摂津市などPFAS汚染が深刻な18都道府県にまたがる42の住民団体が母体となった「全国連絡会」が発足。摂津市などで活動する「ダイキンPFAS公害調停をすすめる会」の長瀬文雄事務局長は耐容1日摂取量の見直しを国に求めた。というのは、米国ではPFASの一種のPFOS(ピーフォス)とPFOAはそれぞれ1g当たり4㌨グラムと基準値を定めている。これに対して日本は両物質の合計が1g当たり50㌨グラム以下。米国と大きく差があるので、是正を長瀬事務局長は要請した。
3M相手に提訴
米国でもPFAS汚染を阻止する市民運動は活発だ。ミネソタ州セントポール市に住むジャーナリストの薄井雅子さんは4月26日付しんぶん赤旗日曜版で、PFASを含む焦げないフライパンやカーペット用防染スプレーなどを生産した同市の郊外、大手化学メーカー3Mを相手とした住民運動を紹介している。
住民は損害賠償を求める訴訟を提起、汚染地域では新生児の低体重が多く、不妊率・がん発生率も増加したなどがみられると医師が証言。結局、7億7000万円で和解、3Mの負担で水道管に汚染フィルターの取り付けや汚染土の除去の作業が行われた。
肝臓がんで死亡
同時に製品の同州への持ち込みや販売禁止を求める州法の制定に向けた運動がスタート。成立に大きな役割を果たしたのは、汚染地域にある高校の卒業生、アマラ・ストランデさん。肝臓がんが見つかった彼女は闘病中にもかかわらず2023年州議会公聴会でこう証言した。
「私の高校ではこの15年間で21人ががんと診断されました。その一人が私です。危険性を知りながら巨額の利益をあげ続けた『犯罪』で、私や周囲の人たちの生涯が変えられてしまった―その目撃者でもあります。今こそ、命を守り地域を再生する行動を起こすときです」
州上下院で証言した後、彼女は同年4月に亡くなった。20歳だった。
議会は販売規制法を可決。通称「アマラ法」は32年までに3段階で禁止を達成する。今年からは企業がPFASを含む製品の情報開示をする規制が開始されている。
彼女が命を懸けて成立させたアマラ法、この法律ができる前に問題の解決が絶対に必要だった―これが尊い教訓だ。日本も早く手を打つべきではないか。
2026年05月01日
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