2026年05月03日

【おすすめ本】町山智浩『裸の王様トランプのアメリカ破壊日記』━トランプ政権の奇天烈な実態 痛烈な皮肉を交えて撃つ=矢部 武(国際ジャーナリスト)

 戦後の自由民主主義体制を主導してきたアメリカは、独裁者をめざすトランプ大統領により、自由、人権、司法、国際関 係など、徹底的に破壊された。その1年間をリアルタイムで報告した連載をまとめたのが本書だ。
 映画評論家として数十年米国に居住している著者は、日本から見えにくい第2次トランプ政権の実態を痛烈な皮肉を交えユーモラスに描く。
 トランプ大統領は復権すると、まず過去に自身を捜査した司法省・FBI関係者を解雇し、米国が長年重視してきたDEI(多様性、公平性、包 括性)施策を撤廃した。
 さらに批判的なメディアを訴訟するなどの圧力や電波法を用いた脅迫、議会未承認のベネズエラ攻撃、これら違法性が疑われる行為を繰り返している。

 「私はやりたいことを何でもできる」と豪語し王冠をかぶった姿をSNSに揚げたトランプ大統領の自己承認欲求は、10歳の子供レベルだというが、さらに問題は閣僚人事が不適格者ばかりで構成されていることだ。
 例えば、ヘグセス国防長官は国軍を指揮した経歴のない元テレビタレントで、しかもアルコール依存症で数々の問題を起こし、レイプで警察に通報されて和解金を支払っている。また史上最年少27歳の報道官として失言やウソの数で歴代最多を更新中のカロライン・レヴィット氏は、大統領と同様に支離滅裂なため、「エアーヘッド・バービー(アタマ空っぽの人形)」の異名を持つ。
 
 最後に著者は「この破壊はいつまで続くのか? アメリカはこの破壊から立ち直れるのか?」と問いかけているが、50年以上米国と関わってきた評者も、全く同じ懸念を抱いている。(文藝春秋1700円)
               
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posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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