2026年05月05日

【5月出版界の動き】リアル書店減と新規開店への模索

◆雑誌・書籍販売金額1118億円(前年同月比7.4%減)
 書籍は743億5600万円(同8.4%減)、雑誌375億1200万円(同5.4%減)。雑誌の内訳は月刊誌が同5.5%減、週刊誌が同4.8%減。返品率は書籍が同0.4ポイント増の25.6%、雑誌は同1.0ポイント減の40.6%。
 書店店頭での売れ行きは、書籍が約2%減、文芸約2%増、文庫本約2%増、学参ほぼ前年なみ、ビジネス書約3%減、児童書約2%減、新書本約4%増、書籍扱いコミックス約6%減。雑誌は定期誌が約2%減、雑誌扱いコミックスが約21%減。
 なお出版科学研究所による紙書籍雑誌推定販売金額は取次ルートのみで、近年増加している出版社と書店の直接取引や出版社による直接販売は含まれていない。雑誌にはコミックスの約9割が含まれる。

◆苦境の書店は活路を開けるか
 25年度の登録書店(リアル書店)数は前年から424店減の9,993店。ついに1万店を割り、最盛期の1998年度から差し引き1万4千もの売り場が消滅した。いかに販売拠点の数が紙出版物の売り上げに影響するか如実になっている。
 リアル書店の苦境が続くなか、三省堂書店神田神保町本店が3月19日にリニューアルオープン。22年5月に閉店した旧神保町本店を地上13階建ての新ビルに建て直し、書店は1階から3階までそれぞれ特色ある売り場を展開、4階には集英社「THEジャンプショップ神保町」が入居した。
 そのほかにも1月31日には紀伊國屋書店新宿本店で初の試みとなるオールナイトフェス「KINOFES 2026」が開催。チケットはXでの告知後わずか4時間で完売し、当日は関係者を含む750人が参加したといわれる。
 “本屋プロレス”など個性的なイベント開催で有名な伊野尾書店(新宿区・中井駅) は、3月末の閉店が決定していたが、「BOOKSHOPトランスビュー大江戸中井店」として6月より再オープンする。店舗の半分は従来型の本屋として書籍・雑誌等を販売し、もう半分はトランスビュー扱いの出版社の商材を中心に、展示・陳列するギャラリーを設け、出版社のポップアップストアとして活用できるようにするという。(「季刊 出版指標」2026年春号巻頭言・原正昭より)

◆図書館と出版業界による新文学賞案内
 47都道府県の図書館員が、地元に「在住」する作家の小説を選び、トーナメント方式で頂点を決める新しい文学賞「本の甲子園」が始まっている。直木賞作家の今村翔吾さんの発案によるものだ。今村さんが理事長を務める一般社団法人ホンミライが、図書館流通センター、日販と共同で開催している。
 日本の小説に属する本で、 発売から1年以内(24年10月〜25年9月)に刊行された日本の小説。文庫の場合は文庫オリジナル作品のみ対象となる。 6月 1日に各都道府県の代表作品発表。 7月〜9月 トーナメント戦(1〜3回戦・準々決勝)。10月20日(火)〜22日(木) 準決勝戦・決勝戦にて、頂点に立つ作品が決定。

◆出版市場占有率はコミック45%
 出版科学研究所が発表した25年のコミック市場推計を元に、ジャンル別の占有率を算出。コミック6925億円に対し、書籍(コミックを除く)が6173億円、雑誌(コミックを除く)が2364億円。市場占有率はコミック44.8%、書籍(コミックを除く)39.9%、雑誌(コミックを除く)15.3%となった。

◆デジタル教科書の有識者会議開始
 いま小中学生に無償配布の教科書は紙のみ。政府が正式な教科書として、「デジタル教科書」を、30年度の小学校から順次導入を計画している。しかしデジタルも教科書に位置付けられると、教科書は紙のみ、紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド」、完全デジタルの3形態になることが想定される。
 文科省の有識者会議は4月から、デジタルを導入できる学年・教科を示す指針の策定作業を始めた。認知科学などの知見を踏まえた議論など、10項目の論点が示されている。今後、「ハイブリッド」の教科書に占めるデジタルの比重や適否についても、慎重な検討が必要となる。

◆雑誌「学研の学習」16年ぶりに復刊
 1946年に創刊し、小学生向けの看板月刊誌として工作教材の付録が魅力だった。最盛期の79年には、月間発行部数が雑誌「科学」と合計で670万部に上った。ただ学校や家庭への訪問販売に陰りが出て、書店販売に切り替えたものの2010年に休刊した。
 7月9日発売の第1号は「はにわの大国宝展」と題し、東京国立博物館が監修。古墳時代の特集で国宝のはにわ「挂甲の武人」を6分の1サイズで再現するキットが付く。石の粉を含んだ素材を使って素焼きのような質感を実現した。インターネットで何でも調べられるデジタル全盛期だからこそ、子供の探求意欲を高めるリアルの体験がより重視されていると判断した。価格は4290円で当面は年1回発行する。

◆村上春樹の新作小説7月に刊行
 新潮社は、村上春樹さんの長編小説「夏帆━The Tale of KAHO」が7月3日に刊行すると発表。「街とその不確かな壁」から3年ぶりの長編小説となる。2024年3月に早稲田大学で開かれたイベントで朗読し、文芸誌「新潮」に掲載された短編「夏帆」が作品の出発点。その後書き継いできた作品群を加えて、新たな長編小説として刊行する。

◆「週刊文春」39万部「週刊現代」23万
 スマートフォンの普及に伴い、一般週刊誌は売上の厳しさに直面している。日本雑誌協会が四半期ベースで発表している印刷証明付き部数で確認する。
 「サンデー毎日」が10万部を切り「AERA」もいまや5万部を割り込み、なお部数を減らし続ける形となっている。また20年1〜3月「SPA!」が10万部を割り込み、それ以降は10万部を超えられず低迷している。
 一般週刊誌の前年同期比でプラス領域にある雑誌は皆無。全誌がマイナス領域。昨今、何かと世間を騒がせている「週刊文春」だが、前年同期比でマイナス7.2%、参考までに前期比はマイナス1.8%。絶対部数の多さに支えられてはいるものの、中長期的な低迷感の中にあることは否定できない。
 大きく落ち込んだ雑誌のラインアップを再確認すると、「SPA!」「週刊現代」「週刊新潮」「週刊アサヒ芸能」といった、男性向けの大衆誌、あるいはゴシップ系雑誌がほとんどを占める。

◆「ドラえもん」終了を惜しむ
 1977年4月15日に創刊された月刊漫画誌「コロコロコミック」(小学館)5月号が4月15日に発売された。だが藤子・F・不二雄さんの代表作「ドラえもん」の再掲載が終了しているので、SNS上では惜しむ声が相次いでいる。
 河井質店Xアカウントは「『ドラえもん』がたくさん読める雑誌として77年に創刊されたコロコロコミック。これまでも『藤子・F・不二雄名作劇場ドラえもん』として再録され続けてきましたが、本日発売の5月号で最終回を迎えました。49年続いた歴史が終わってしまうのは本当に寂しいです。復活してくれることを切に願います」と、15日午前7時18分に投稿。その投稿から2時間強で、23万インプレッションと大きな反響を呼んでいる。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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