本書はウェブマガジン「マガジン9」に連載された、同名コラムから厳選した38遍からなっている。前半は旧民主党政権時代に書かれたものだが、同党の平等化促進の色合いの強いマニフェストを、党内の弱肉強食社会を望む勢力が叩き潰したあげくが、現在の日本の状況だとの指摘はアクチュアルだ。
続く第二次安倍政権に対しては、安倍首相のかつての日本によるアジア侵略を否定する姿勢を批判し、連立パートナーである公明党の閣僚に反対するよう呼びかける。現在の政治状況を予見するような提言である。
経済面では、日本の財政は年間60兆円の財政出動をする余力があることを指摘。国民一人当たり月額4万円程度のベーシカムが支給されれば、私たちは自分が食べるものは基本的に自分で作り、それで足りないものは近隣の人たちが提供する製品やサービスで補っていけるという。
生活エリアで経済活動を完結させることができれば、グローバル資本主義に取り込まれることなく生きていけるだろう。
AIに代替されない創造的な仕事をするために、国民全員がアーティストになろうという呼びかけも、その一環だ。
周囲から一笑に付されるのは、たぶん織り込み済み。生前の森永さんは「発言するときはバットを振り抜く」と語っていた。「○○ではないだろうか」の物言いは皆無。逃げ道を作るような留保はしない。「○○なのだ」で締めくくられる。退路を断って、批判を恐れず。ご自身の生き方と合致する文章なのだ。(集英社新書960円)
2026年05月14日
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