ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)
◆西谷文和『なぜ中東で戦争が終わらないのか』かもがわ出版 5/7刊 1800円
中東では、2003年のイラク戦争以来、長くテロがテロを呼び戦争が延々と続いてきた。そこへトランプ+ネタニヤフによる両国軍がイランへ侵略の攻撃を、突如始める。なぜ?
戦場ジャーナリストによる現場からの告発。写真約200枚。
著者は大阪市立大学経済学部卒業、吹田市役所勤務を経て、フリージャーナリストに転身。世界の紛争地を取材し、テレビや新聞、講演で現地情報を伝えている。『西谷文和 路上のラジオ』をネット配信。「イラクの子どもを救う会」を設立、2006年度「平和協同ジャーナリスト大賞」を受賞。
◆梅田正己『天皇制国家はいかにして創られたか━「尊王思想」の形成から「帝国憲法」の制定まで』高文研 5/13刊 2400円
江戸時代の二百数十年間、天皇は、幕府による徹底した監視・統制下に置かれ、京都の「御所」から一歩も外に出ることのできない「幽閉」状態にあった。そのため人々は「天皇の存在」を知らなかった。一般国民には全く無縁・無名だった天皇が、幕末の「尊王攘夷」運動の動乱をへて、近代日本の頂点にそびえ立つ「元首」となる、そのプロセスを明快に説き明かしたのが本書。いま話題の「皇位継承」問題をふくめ、天皇制や近現代史に関心をもつ人には必読。
著者は1936年、佐賀県唐津市に生まれる。出版社勤務を経て、1972年、高文研を設立。著書に『変貌する自衛隊と日米同盟』、『この国のゆくえ』(岩波ジュニア新書)ほか。
◆神山典士『地方が溶ける━ふるさと再生の光と影』光文社新書 5/20刊 920円
地域社会やサービスは、どのように消失するのか。地方には何が残るのか。政治による分断(広島県安芸高田市)、国を活用する経営戦略(北海道東川町)、民間とのチームワーク(宮崎県小林市)、炭鉱の町の現在(福岡県直方市)、子供たちの変化(埼玉県越生町)、記憶の継承(宮城県女川町)。全国各地で「ふるさと作文教室」を主宰し、自らも「トカイナカ」移住生活を送るノンフィクション作家が記す、今日の地方をめぐる光と影。
著者は1960年埼玉県入間市生まれ。信州大学卒業。ノンフィクション作家。著書『ライオンの夢』(小学館)で小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。著書に『トカイナカに生きる』など。ふるさと大好き全国作文協議会事務局長。
◆東海林さだお『アンコの丸かじり』朝日新聞出版 5/20刊 1800円
大人気「丸かじりシリーズ」のフィナーレを飾る最新刊。クスっと笑えて、ときに仄(ほの)見えるお色気にドキッとして……。B級グルメとビールを愛したショージ君が、最後にえらんだのは「アンコ」だった!
〈アンコというものは、どうも何かにもぐり込もうとする傾向がある。傾向というより、性癖? 饅頭の中にもぐり込んでいる。大福餅の中にもぐり込んでいる。最中の中にも、もちろんアンパンの中にももぐり込んでいる>。
1988年刊『タコの丸かじり』から38年、週刊朝日の看板連載「あれも食いたいこれも食いたい」で繰り広げられた東海林ワールドがついに幕を閉じる。
◆宇野重規『政治とは何か』講談社現代新書 5/21刊 1100円
権威主義国家の台頭、国際御法の無視などなど、近年の世界の政治状況は、「政治」という営みについての従来の常識を揺るがしかねない事象に満ち満ちている。逆に言えば、そういう時代であるからこそ、「正しい」政治のあり方について、今一度あらためて、その根本から考えてみる必要があるのではないか。本書では、西洋の政治学の基礎を作ったとされるアリストテレスに始まって、様々な思想家達の考えを簡潔明快にひも解く。
著者は1967年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。現在、東京大学教授。著書に『政治哲学へ 現代フランスとの対話』、『民主主義とは何か』、『保守主義とは何か』など。
◆宮田 律『イラン戦争━アメリカ・イスラエルの策略』平凡社新書 5/27刊 1000円
イランの最高指導者ハメネイ師が殺害されるなど、2026年2月末に開始されたアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃は、国際法を無視したものであり、現在も対立・混乱が続いている。この両国に対し、日本はいかに対処するべきなのか。世界中を混乱に陥れているトランプとネタニヤフは、はたして何を求めているのだろうか。「イラン戦争」の背景にある相互不信の歴史のほか、宗教イデオロギー、政治・社会構造を掘り下げる1冊。
著者は1955年山梨県生まれ。現代イスラム研究センター理事長。専攻はイスラム地域研究、国際政治。著書に『イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか』『黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル』『アメリカのイスラーム観』『ガザ紛争の正体』など。
◆上山 慧『細川嘉六━「河童老人」の生涯とその時代』◆日本機関紙出版センター 5/28刊 4091円
昨年「治安維持法」が施行されて100年目。その治安維持法による最大の言論・出版弾圧事件が「横浜事件」だ。本書はその中心にいた人物・細川嘉六の生涯を、「スパイ防止法」制定を目論む現代日本に当てはめ、改めて問い直す。細川が検挙弾圧された容疑は、いずれも神奈川県特高警察による捏造であった。「横浜事件」の犠牲者は、改造社・中央公論社・朝日新聞社・岩波書店など、言論・出版関係者63名、氏名未確認の者を合わせ90名近くにのぼる。特高警察は自白を強要するため被疑者に激しい拷問を加え、その結果、獄死者4名、保釈直後死1名、失神者12名、負傷者32名にも及んだ。
著者は1992 年大阪府箕面市生まれ。2014 年大谷大学卒。専攻は日本近現代史。治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟中央本部常任理事。著書に『神戸平民俱楽部と大逆事件』。
2026年05月16日
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