2026年05月21日
【裁判】受験勉強さなか届いた自衛官勧誘はがき‥‥ 高校生、国・市を訴え 奈良・岐阜 名簿提供は違憲=丹原美穂(JCJ東海)
岐阜市で3月26日、1人の高校生(ニックネームとも)が原告となり、地方自治体による自衛隊への住民個人情報提供を問う2024年3月の奈良に続く訴訟に立ち上がった。「とも訴訟」提訴の日、岐阜地裁前には多くの支持者が集まり、横断幕を先頭にデモ=写真=。「国・岐阜市は憲法違反」と市民に訴えた。
ある日突然
高校生の自宅に自衛官勧誘のはがきが届いたのは、受験勉強のさなか。高校生は、はがきが送られてきたことで「自分の個人情報が許可なく提供されている」ことに気付いた。しかも、提供したのは岐阜市だと知り「本当に嫌な気がした」。
個人情報を保護してくれない自治体に住んでいたことに、後悔と嫌悪を感じたという。
岐阜では県内38自治体が、自衛隊に勧誘用の住民名簿を提供している。
訴訟の争点
裁判では@自衛隊=国が自治体に、自衛官勧誘に使う住民の個人情報提供を本人の同意なしに求めA入手した情報を利用して勧誘を行う行為B地方自治体が自衛隊の要請に応じて名簿やあて名シールを提供する行為が、憲法13条に基づくプライバシー権侵害に当たるのではないかが争点となる。
私たちは@ABに加え、C地方自治体が国のいいなりに住民の個人情報を提供する行為は、地方自治の原則を破壊する行為だと考える。また、D個人情報保護法や住民基本台帳法は、個人情報の外部提供を原則禁止しており、自衛隊法97条と同施行令120条は個人情報の提供を正当化する根拠にはならないと認識している。
現状を問う
岐阜市日野の陸上自衛隊日野基本射撃場では2023年6月14日、実弾射撃訓練中の自衛官候補生(当時18歳、入隊2カ月目)が、場内で3自衛官に自動小銃を発砲。2人が死亡、1人が重傷を負う事件が起きた。
高校生は「武器の所有を認められていない日本で、人を銃殺できてしまう自衛隊を怖いと思った」と話した。
弁護団は、自衛隊の現状から違憲性も説いていきたい、と言う。また別の弁護士は、自治体がこのまま名簿を作り続ければ、徴兵制の時に即使われる、と危惧する。
私たちは奈良、岐阜の訴訟を機に、改めて名簿提供の恐ろしさを考えたい。また、同じ問題を抱える全国に、この問題を考えあう市民の輪が広がることを期待する。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年4月25日号
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