2026年05月22日

【おすすめ本】山ア 裕侍 『償い──綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件 6人の加害少年を追って』―償いとは再犯しないこと 更正に向き合わなぬ社会を問う=八木 絹(ライター)

 事件は忘れられる。とはいえネット上には、いつまでも真偽不明の情報一があふれる。これはそういう事件である。
 1988年11月、埼玉県の17歳の女子高生がアルバイト先から帰宅途中、同年代の少年らに拉致された。次々襲いかかる性暴力。衰弱し性の対象でなくなると今度は殴打、火あぶり。監禁は40日に及んだ。翌年1月、殺害。ドラム缶にコンクリート詰めされた遺体は東京湾岸に捨てられた。
 
 著者は被害者、加害者と同年代。ニュース番組のディレクターとして、事件を節目ごとに報じてきた。本書はその集大成であり、かつ事件の「その後」に「償い」の視点から迫る。なぜなら加害者6人のうち3人までもが「再犯」しているからである。
 紙幅を割いて取り上げる元少年Bは、10年の服役後、暴力団に関わり、監禁致傷罪容疑で再び有罪判決を受け服役する。著者はBの母親と義兄の取材を通し、最初の服役で拘禁症状が出るが、治療されないまま出所し、妄想性人格障害となり、再犯に至ったことを知る。

 著者は言う。本当の償いとは加害者が「より善く生きる」ことであり、せめて再犯しないことだと。それが新たな被害者を生まない保障だ。司法も矯正行政も社会も「更生に向き合おうとしない」と指摘する。昨年の刑法改正で、懲役と禁錮が廃止になり、再犯防止教育を中心とする拘禁刑ができた。その効果はまだ検証されていない。

 犯罪被害者・加害者、家族への取材は丹念である。当事者を取材することへの逡巡も隠さず書かれている。取材者としてその誠実さに学びたい。(文藝春秋1800円) 
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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