2026年06月02日

【6月出版界の動き】 出版・アニメ界「AIによる権利侵害」へ声明

◆紙出版物販売金額765億円(前年同月比5.6%減)
 書籍478億9400万円(同3.7%減)、雑誌286億300万円(同8.5%減)。雑誌の内訳は月刊誌が同9.5%減、週刊誌が同1.9%減。返品率は書籍が同0.5ポイント増の29.1%、雑誌は同1.1ポイント増の49.1%。
 書店店頭での売れ行きは、書籍がほぼ前年並みで、文芸書約8%増、文庫本約4%増、学参ほぼ前年なみ、ビジネス書約1%減、児童書約6%減、新書本約6%増、書籍扱いコミックス約1%減。雑誌は定期誌が約1%増、雑誌扱いコミックスが約5%減、ムックが約7%減。

◆日販20億営業損失、トーハン赤字幅拡大
 日販GHDの連結売上高3427億円(前年比10.5%減)、当期純損失24億6200万円(前年は4億1600万円の利益)。日販単体の売上高2473億7000万円(同13.7%減)、営業損失20億6900万円(前年は18億2200万円の損失)、
 トーハンの連結決算は売上高4,100.76億円(前年比3.8%増)、営業利益1.07億円(同89.0%減)。純利益は11.91億円の赤字を計上。トーハン単体の売上高3,704.63億円(前年比2.8%増)、当期純利益13.08億円の赤字。不調の要因は、運賃単価、資材費などの物流コストの上昇により、取次事業が40.1億円の赤字が大きい。

◆AIサービスは著作権侵害
 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は、生成AIによる著作権侵害に関する声明を出した。「現状の生成AIサービスにおいては、看過できない問題が確認されている」として、AIの開発やAIサービスを提供する事業者に対し、権利の保護などを求めている。
 CODAには講談社、集英社、NHK、TBSテレビ、東映、東宝、スタジオジブリなど37社が加盟する。現状の生成AIサービスについて、特定の著作物を直接指定しない入力に対しても既存の著作物と同一または酷似する画像や映像を出力するなど、複数の問題があると指摘。
 現状の多くのAIサービスは、「学習過程で行われる複製行為そのものが、著作権侵害に該当し得る」と主張している。
 また「著作物を利用する際には、事前の許諾を前提とすべき」として、「事前許諾を得ていない著作物については、出力段階でフィルターを設ける」などの対応をAIの開発やAIサービスを提供する事業者に求めた。

◆「ダ・ヴィンチ」休刊へ 
 KADOKAWAは、創刊から32年の歴史を持つ月刊誌「ダ・ヴィンチ」を、11月号(10月6日発売)をもって休刊にすると発表。「昨今の出版市場の劇的な変化や、読者の情報摂取スタイルの多様化を背景に、今後は紙媒体としての役割に一つの区切りをつけ、これまで培ってきた編集力とブランドを次なるステージへと継承・発展させるべく、今回の決定となりました」と説明している。
 「ダ・ヴィンチ」は1994年4月に、本の情報誌としてリクルートで創刊された。その後、メディアファクトリーへの移管を経て、2013年以降は、KADOKAWAから刊行されていた。姉妹メディアの「ダ・ヴィンチWeb」での発信は継続していくという。

◆河出書房社屋の一角に書店を
 1886年に東京・日本橋で創業した河出書房(のちに新社)が、本と読者との関係をより密接にするユニークな記念事業を展開している。この5月に創業140周年を迎えた同社は、これまで俵万智『チョコレート革命』や白岩玄『野ブタ。をプロデュース』などのベストセラーのほか、綿矢りさ『蹴りたい背中』など、雑誌『文藝』から育った作家は多い。
 「これまでも、これからも。本の窓から。」というキャッチコピーを掲げ、特別企画の実施やオリジナルグッズの販売などの企画に取り組んでいる。記念事業の一環として、本社オフィスの一角に「河出書店」をオープン。本をつくる人、届ける人、そして読む人が集い、同じ空間で言葉を交わせる場を準備している。

◆早川書房が新シリーズ始める
 新レーベル「ハヤカワ・プラス」は、海外の文学賞に輝いた世界各地の話題作をいち早く紹介していく。その第1弾として英国のブッカー賞を受賞したアイルランドの作家ポール・リンチの『預言者の歌』、パキスタン生まれの作家カミーラ・シャムジーの『すべての石に宿る神』の2作を刊行。前者は右派政党が政権を握り、監視社会と化した近未来のアイルランドを舞台にし、後者はインドの反植民地運動を題材にしている。
 定期刊行で年4回刊行する。今後の作品にも、戦争や国際情勢をテーマにしたものが多い。来年には、昨年ノーベル文学賞に輝いたハンガリーの作家・クラスナホルカイ・ラースローの代表作『抵抗の 憂鬱』の刊行も予定している。

◆小説『重力ピエロ』バカ売れ
 中央競馬3歳牝馬クラシックレースの第87回オークスは、今村聖奈騎手(22)が5番人気の「ジュウリョクピエロ」に騎乗して、JRA所属の女性騎手として初のG1制覇という快挙を成し遂げた。
 これをきっかけに、2003年刊の伊坂幸太郎『重力ピエロ』(新潮文庫)がバカ売れ。急遽2万部の増刷となった。主人公の兄弟が母親と競馬場を訪れ、ドラマチックなことが起こる場面も描かれており、話題になっていた。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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