4月12日、ニューヨーククイーンズの元工場に数千人が集まり、ゾーラン・マムダニ市長誕生から100日を祝うイベントが開催された。
「アメリカ民主的社会主義者」という民主党左派のメンバーであるマムダニ市長は「ニューヨーク市にとり取り組むに大きすぎる問題はない。そして過去14週間で、取り組むに小さすぎる課題もない」と聴衆に語った。
本書は、2025年11月の市長選直後の出版、そのタイミングの絶妙さに驚いた。米国社会の実態を長く見つめてきた著者は、大都市ニューヨークの政治的変化を察知、マムダニ氏当選を確信していたに違いない。
本書では長く同市で進んできた資本主義の矛盾ー「場所の商品化」による家賃高騰、貧困と格差、疎外される労働者や若者の実態を描く。人々は生活に苦しみ、貧困が生み出す犯罪によって治安も悪化する。その解決にマムダニが立ち上がったというより、ニューヨークという都市がマムダニのような市長を渇望していたといえよう。
住宅や保育、公共スーパー、交通などマムダニが掲げる政策は社会主義の理想実現というより、行き過ぎた市場原理主義を是正するための現実的な措置でもある。ニューヨーク市民はイデオロギーではなく、まさに生存を賭けた選択をした。
新市政にとってトランプ政権や富裕層・大企業との関係など壁は大きいが、世界の多くの自治体や市民に希望を与えている。ミネアポリスやシアトルなどの自治体で「マムダニ現象」に共鳴・連動して進歩的な首長や議員が誕生している。本書で触れられた動きは、日本への示唆に富む。(学芸出版社 2200円)
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