2023 Nausheen Khan
映像を見ているだけで、インド事情に疎い私のような者にも、ムスリム(イスラム教徒)の女性たちが立ち上がる姿から歴史的なムーブメントを感じさせてくれる。そして勇気と希望をもらえるドキュメンタリーだ。
ヒンドゥー教徒が約8割とされるインドで、マイノリティのイスラム教徒(約14%)の女性たちを中心に抵抗運動が巻き起こる。モディ政権が2019年12月、イスラム教徒を意図的に排除した市民権改正法を制定。市民権をはく奪される危機感が高まり、差別的な法律への抗議として、デリー南部のイスラム教徒居住区のシャヒーン・バーグで大規模な座り込みが始まる。
ムスリムの女性たちを中心に、100日以上にわたり幹線道路を封鎖した「非暴力で平和的な活動」に共感が広がり、抵抗運動は世代や文化、宗教を超えてインド全土に広がったという。その様子を捉えたムスリム女性のノウシーン・ハーン監督はインドで台頭するヒンドゥー至上主義の実像を見つめ、自らの生き方、国のあり方を問い直した。
初めて自費制作した映画だが、インド国内での上映が困難を極める中、山形国際ドキュメンタリー映画祭2023で上映(タイトルは『我が理想の国』)され、市民賞(観客賞)を受賞した。そんな意欲作が遂に公開となる。
繰り返しになるが、インド情勢に詳しくなくても、作品を観れば世界の底流で何が起きているのかを素直に感じることができる。そんなドキュメンタリーの完成度にも注目したい。
上映時間74分。6月6日から東京・渋谷ユーロスペースで公開、全国順次。
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