コロナ・パンデミック最中の2020年7月から24年9月まで『ルモンド』紙に連載されたエッセイに書き下ろしの序章を加えた作品である。
20世紀は「社会民主主義」の時代であったが、21世紀はさらに進んで「民主的でエコロジカルな社会主義」でなければならないというのが本書のモチーフである。
「社会主義」といっても、それは「生産手段の社会化」によってイメージされる従来のオーソドックスなそれではない。その柱は、「脱商品化」の領域の拡大と、強い所得再分配(富裕層や大企業に対する限界税率の引き上げ)、さらに人類にとって死活的課題である環境問題をそれに取り込んだものである。
「脱商品化」とは、教育、医療、交通、エネルギー、住宅、食糧などを市場の論理から外し、参加型の民主的なガバナンスにより非営利的に供給することを意味する。国民所得のより大きな割合を再分配することが、そのために必要となる。
『21世紀の資本』(2013年)、『資本とイデオロギー』(2019年)などで積み上げてきた彼自身のアカデミックな研究成果を踏まえ、本書では具体的な政策論が展開される。
多国籍企業や富裕層に適切な課税を行うための国際的財政制度への具体案、マクロン政権批判、ウクライナ、ガザ戦争など論点は多岐に及ぶ。
既存の政治制度に対する一貫した批判は説得力があり見事である。
ピケティ自身が「新人民戦線」という新たな政治運動の先頭に立って、たたかっている姿がSNSで見られる。その言行一致には頭が下がる。(みすず書房 3000円)
2026年06月09日
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