昨年12月15日からピースボートに乗船し、3月31日に帰国した。2012年以来だった今回の乗船は南回りコース。南米、アフリカ、インド洋と辿った航海の寄港地のほとんどは、かつて植民地支配された地域で、それぞれに被害の痕跡が色濃く残り、胸が痛くなった。
航海中、乗船客の相当部分を震撼させる激動・激変が世界を襲った。昨秋から不穏な動きを見せていた米軍がベネズエラを急襲、マドゥロ大統領夫妻を拉致し、米国に連行した。
1月末から2月初頭には高市政権が解散総選挙を強行し、自民党が圧勝した。2月末には米国・イスラエルがイランを急襲。この攻撃でアリー・ハーメネイ最高指導者を殺されたイランはホルムズ海峡を封鎖して対抗、いまや世界が揺れ動いている。
これらの事象は世界、日本の現在の何を示し、今後どう展開するのか。それは端的に言って、戦後も隠密裏に続いてきた植民地主義の表面化で、世界を再び大混乱に陥れる出発点ではないかとの思いがよぎった。
1823年にモンロー主義を唱えて以降の米国は、中南米を自国の裏庭として軍事的・政治的・経済的支配下に置く政策を取り続けた。
トランプ大統領はそれを「ドンロー主義」と称してトランプ流「モンロー主義」の新たな展開を目論む。ベネズエラ攻撃はその手始めであり、中南米では次の標的としてキューバ、ニカラグアに狙いを定めている。トランプの身勝手な主張は、あからさまなカナダに対する挑発や、グリーンランド領有など、強欲を隠しもしないのが特徴だ。
今なお続くイスラエルのパレスチナ・ガザでの蛮行に加え、イラン攻撃へと拡大した中東問題は、長年ユダヤ人を差別・虐待してきた植民地宗主国・西洋諸国が第2次大戦直後、パレスチナの地にユダヤ人国家を無理やり作り上げたことに起因する。その国家イスラエルはパレスチナの人々を人間と認めず、虐殺し、追い出して土地を奪ってきた。まさに植民地支配そのものだが、それを咎めもせず現在まで支援しているのが西洋諸国、とりわけ米国だ。
米国はイスラエル支援だけでなく湾岸戦争以来、中東諸国に戦争を仕掛け支配下におこうとしてきた。イスラエルに同調してイラン攻撃に走ったのもその一環である。
米国の同盟国NATO諸国も流石に消極姿勢を示すが、ウクライナ侵攻以降のロシア非難・敵対行動とは雲泥の差である。日本もまた、選挙に圧勝した高市政権が米国を盟主とする「リベラルな世界秩序」の化けの皮が剥がれ落ちるなかで米国べったりの姿勢を深め、軍拡路線を突き進む。
こうした世界の混乱が南の国々をも襲う新たな南北問題は避けられまい。だが、植民地主義の時代とは違い、今は南の国々が人間的抵抗力を持つようになった。それを肌で感じさせてくれたのが今回の船旅であった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年6月25日号
2026年06月10日
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