2026年05月01日

【焦点】米PFAS汚染防止の運動 20歳女性が命を懸けて州法成立=橋詰雅博

 発がん性物質のPFAS(ピーファス=有機フッ素化合物)汚染がようやくニュースとして報じられるようになった。直近では岡山県吉備中央町で活性炭リサイクル事業を行う満栄工業が、自社が放置した活性炭からもれたPFASの一種PFOA(ピーフォア)による町内での水道水汚染の原因は大手化学メーカーのダイキン工業淀川製作所から引き取った活性炭だとして4月に岡山県公害審査会に公害調停を申請した。昨年12月には淀川製作所がある摂津市などの住民らがダイキンに対して大阪公害審査会に公害調停を出している。ダイキンは大阪と岡山で公害調停の一方の当事者になった。ダイキンは1960年代から50年にわたりPFOAを製造・使用していた。ダイキンは汚染源として認めているが、健康被害については否定している。

 また3月、東京・多摩地域や沖縄、摂津市などPFAS汚染が深刻な18都道府県にまたがる42の住民団体が母体となった「全国連絡会」が発足。摂津市などで活動する「ダイキンPFAS公害調停をすすめる会」の長瀬文雄事務局長は耐容1日摂取量の見直しを国に求めた。というのは、米国ではPFASの一種のPFOS(ピーフォス)とPFOAはそれぞれ1g当たり4㌨グラムと基準値を定めている。これに対して日本は両物質の合計が1g当たり50㌨グラム以下。米国と大きく差があるので、是正を長瀬事務局長は要請した。

3M相手に提訴

 米国でもPFAS汚染を阻止する市民運動は活発だ。ミネソタ州セントポール市に住むジャーナリストの薄井雅子さんは4月26日付しんぶん赤旗日曜版で、PFASを含む焦げないフライパンやカーペット用防染スプレーなどを生産した同市の郊外、大手化学メーカー3Mを相手とした住民運動を紹介している。
 住民は損害賠償を求める訴訟を提起、汚染地域では新生児の低体重が多く、不妊率・がん発生率も増加したなどがみられると医師が証言。結局、7億7000万円で和解、3Mの負担で水道管に汚染フィルターの取り付けや汚染土の除去の作業が行われた。

肝臓がんで死亡

 同時に製品の同州への持ち込みや販売禁止を求める州法の制定に向けた運動がスタート。成立に大きな役割を果たしたのは、汚染地域にある高校の卒業生、アマラ・ストランデさん。肝臓がんが見つかった彼女は闘病中にもかかわらず2023年州議会公聴会でこう証言した。
 「私の高校ではこの15年間で21人ががんと診断されました。その一人が私です。危険性を知りながら巨額の利益をあげ続けた『犯罪』で、私や周囲の人たちの生涯が変えられてしまった―その目撃者でもあります。今こそ、命を守り地域を再生する行動を起こすときです」
 州上下院で証言した後、彼女は同年4月に亡くなった。20歳だった。
 議会は販売規制法を可決。通称「アマラ法」は32年までに3段階で禁止を達成する。今年からは企業がPFASを含む製品の情報開示をする規制が開始されている。

 彼女が命を懸けて成立させたアマラ法、この法律ができる前に問題の解決が絶対に必要だった―これが尊い教訓だ。日本も早く手を打つべきではないか。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月21日

【焦点】イラン攻撃 トランプ米大統領「5つの誤算」=橋詰雅博

 イスラエルと共にイラン・イスラム共和国体制を打倒すると攻撃したトランプ米政権は、短期で戦闘を終わらせ「勝利」宣言の腹づもりだったが、イランの徹底抗戦で足元をすくわれ、無様な様相を呈している。
 日本AALA(アジア・アフリカ。ラテンアメリカ)連帯委員会が主催した4月11日のオンラインによる勉強会に出演した現代イスラム研究センター理事長の宮田律(おさむ)氏の講演をもとにトランプ「5つの誤算」を分析した。

@殺害が裏目に ハメネイ最高指導者を始めアジーズ・ナシールザーゲ国防相、アリー・ラリジャニ国家安全保障最高評議会事務局長らを殺害した。ハメネイの後継者は息子のモジタバ・ハメネイ師、国防相の後任はマジド・エブネ・レザー革命防衛隊将軍、事務局長の後任はモハンマド・バゲル・ゾルガドル元革命防衛隊将軍が就任。結局、中道・穏健派の政治指導者たちは消えて、極右の反米・反イスラエルの強硬派が指導部の中枢を占めた。宮田氏は「(殺害は)実に愚かしい行為」と述べた。

A抑止力を確信 イランは米イスラエルからの攻撃の抑止力としてホルムズ海峡閉鎖や湾岸諸国の大型石油掘削装置(石油掘削リグ)など石油関連施設に対する破壊の脅しが有効な手段であることを確信した。

B支援が強化へ イランと良好な関係をもつ中国、ロシア、中央アジア諸国のトライアングルの協調が強化され、イランへの軍事・経済支援が増強されそうだ。逆にトライアングルとイランに対し米国の指導力が著しく低下するのは必至だ。

C軍体制は健在 イランには12万から19万人の革命防衛隊と40万人の正規軍がいる。さらに40万から80万人の民兵組織「バシジ」も活動。宮田氏は「これら軍体制が米イランの攻撃で弱体化したようには到底思えない」と見る。

D低迷の支持率  MAGA派(トランプ岩盤支持層)の中で軍事介入反対の勢力が増えている。またガソリン価格の高騰、インフレ加速で生活が苦しくなったトランプ支持の低所得の白人層の不満が高まる。トランプ離れに拍車、支持率は30%台に低迷。11月の中間選挙で共和党敗北の可能性が現実味を帯びている。
 大ピンチのトランプ、米国民の目をそらすため次はキューバに介入か。愚行は止まず。
posted by JCJ at 15:18 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月18日

【焦点】日本はイランから最も信頼される国 政治的圧力かけない、ソフトパワーも貢献=橋詰雅博

 米国とイスラエルの横暴に立ち向かうイランは、対日感情が「良い」といわれている。イランを対象としたカナダの世論調査会社「IranPoll」が昨年10月に発表したイラン1000人への主要7カ国と国連の好感度調査でもそれは裏付けられている。好感度ナンバーワンは日本、その後、中国、ロシア、ドイツ、国連、イギリス、フランスの順で、米国が最下位。

 イランと米国との関係が悪化したのは2018年、第一次トランプ政権の時だ。その引き金はオバマ政権下の15年7月に成立したイラン核合意(安保理常任理事国の米英仏独中露6カ国とイランが締結、ウラン濃縮活動の制限と欧米側の経済制裁解除)からの離脱だ。
 日本AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)連帯員会による4月11日の勉強会に出演した現代イスラム研究センター理事長の宮田律(おさむ)氏は、ドイツを始め欧州各国に対する好感度がダウンしていることについて「トランプ大統領の対イラン制裁強化を受けてこれらの国の企業があっけなくイランから撤退したことも背景にあるだろう」と推測した。

 IranPollは、日本に対する好感度が高いのは、安倍晋三首相が19年6月に日本の首相として41年ぶりにイランを訪問したことを理由の一つに挙げている。 
 宮田氏の見方はこうだ。
 「欧州各国のようにイラン核合意を守らないと、再び制裁を科すなどの政治的圧力をかけていないこともある。また、日本は歴史的にイランに対しネガティブな関与を行くこともなく信頼関係を構築し、映画、ドラマ、文学、漫画、アニメなど日本のソフトパワーが良好な対日感情を築くことに貢献してきた」

 イランのアラグチ外相も自著『イランと日本 駐日イラン大使の回顧録2008―2011』の中で笹川平和財団角南篤(すなみあつし)理事長との対談でこう述べている。
 「日本はイランの人々にとって非常に信頼できる国です。私はいつもイラン人の同僚や友人に、『イランの街に行って一般の人々に、日本を含め思いつく10の国の名前を聞いてみろ。そしてそれらの国でどの国が一番信頼できるか聞いてみろ』と言っています。10人中9人が日本と答えるに違いありません。これはあなた方日本にとっての財産です」
 「イランでも日本の技術への信頼があり、イラン人は日本製品を好んで買い求める。日本が国際社会の安定化に貢献することへの期待もアラグチ外相は著書で語っている」と宮田氏は話した。
 米国とイラン双方にチャンネルを持つ日本は、いまこそ米イラン関係修復に外交手腕を発揮すべきではないか。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月14日

【焦点】米イラン戦闘「異聞」「エプスタイン戦争」のイラン、コメディー映画『ウワサの真相』と重ねる米国=橋詰雅博

 米国とイスラエルによる先制攻撃を受け、抗戦したイラン。戦闘終結に向けた米イランの協議は不調に終わる。先行き情勢は混とんとしたままだが、戦闘を仕掛けられたイラン人は、この有事を「エプスタイン戦争」と呼んでいる。
 エプスタインとはご存じの通りあのジェフリー・エプスタインのことで、少女への性的虐待などの罪で起訴され拘留中に死亡した米富豪だ。英アンドリュー王子は深い仲だったエプスタインへの機密漏洩の疑いで今年2月に逮捕されたのは記憶に新しい。その少女買収に関するエプスタインファイルにはトランプ米大統領の名前が数千回も出ているとテッド・リュー米下院議員(民主党、カリフォルニア州)は指摘している。イランを攻撃したのは、自身のスキャンダル隠しを意図したものというわけだ。

 これに絡み米国では、1997年の米コメディー映画『ウワサの真相』(原題「ワグ・ザ・ドッグ(wag the dog)」)が話題になっている。この映画は大統領選期間中に発覚した大統領のセックス・スキャンダルから国民の目をそらすためアルバニアが「敵国」とされる。悪辣さを強調するため非道なアルバニアというイメージが捏造され喧伝されていくのである。トランプの暴走とこの映画をオーバーラップさせて見ているわけだ。
 加えてエプスタインにはもう一つ顔があったという。彼はイスラエルの対外情報機関モサドに買収されスパイとして訓練を受けた工作員という陰謀めいた説だ。トランプはエプスタインを介してイスラエルに弱みを握られている。だからトランプはイスラエルのネタニヤフ首相が主張するイラン攻撃を受け入れた。弱みが何かは定かでない。
 
 ともあれエプスタイン人脈に連なるトランプが少女売春の関与が明らかになると、「大統領の弾劾」にもなりかねない事態に陥る。
 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月06日

【焦点】原潜保有、核武装への一歩 高市首相「憲法違反ではない」=橋詰雅博

 自民党が総選挙で大勝し自信をつけた高市早苗首相は、持論の防衛力強化の目玉として原子力潜水艦導入に乗り出そうとしている。
 引き金になったのは防衛省の有識者会議が作成した昨年9月の報告書だ。この中で長射程ミサイルを搭載した長距離・長時間の移動や潜航が可能な「次世代の動力」の潜水艦を保有することが望ましいと提言。報告書作成段階で原子力潜水艦の明記が検討されたが、「次世代の動力」に。9月19日付朝日新聞によると「世論のハレーションが大きいので、原潜への直接の言及は避けた」(防衛省幹部)という。
 自民党と日本維新の会が締結した10月の連立合意書でも「わが国の抑止力の大幅な強化を行うため(中略)次世代の動力を活用したVLS(長射程垂直ミサイル発射装置)搭載潜水艦の保有にかかる政策を推進」と書き込んでいる。
 小泉進次郎防衛相も「原子力だからだということで議論を排してはならない、こういうことが私の思いとしてはあります」と11月7日の記者会見で述べた。

韓国と豪州導入へ
                 
matsukubo.jpg
  
 政権内で原潜保有が持ち上がったのはことについて原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏=写真=は「日本の潜水艦(22隻保持)は、中国やロシアなどの艦船動向の監視と、もう一つ大きな任務は移動する海上自衛隊艦艇のガード役です。ところがスピードの速い自衛艦に今のディーゼル発電機を使う潜水艦では追いつけないケースが少なくない。それを補うため浮上したのが原潜です」。
 さらに@韓国原潜を米国内の韓国所有の造船所で建造をトランプ米大統領が承認、A米英豪3カ国の軍事協定「AUKUS(オーカス)」に基づき豪州が米国の原潜購入や自国製造を決めた―ことも日本の原潜保有推進に拍車をかけた。
 ところで日本はもちろん韓国も豪州も核拡散防止条約(NPT=約190カ国加盟)に加盟する。両国は「動力に原子炉を使う通常兵器の潜水艦」なのでNPTに抵触しないとしている。

NPT体制形骸化

 そのNPT体制は大きく揺らいでいる。松久保氏はこう指摘する。
 「核兵器保有国と定められた米露英仏中の5カ国は核軍縮を怠りむしろ核兵器の近代化に取り組んでいる。NPTの遵守義務を守っていないので、非核兵器国は不満を抱いている。信頼低下のNPTは空文化になる可能性がある」。
NPT体制の形骸化が韓国と豪州の原潜導入や日本の原潜保有推進の要因かもしれない。
原潜保有には小型原子炉の開発が不可欠で、建造費は1隻1兆から2兆円。任務遂行には数隻が必要。コストは積みあがり、維持費も膨れ上がる。「米国からの原潜リース」(石破茂前首相)でもリース代は巨額になるだろう。
 そもそも唯一の戦争被爆国、日本はこれまで世界に核廃絶を訴えてきた。原潜保有は整合性が取れない。

原子力基本法改正

 原潜保有をめぐり野党は反発し国民的議論が起きるだろうが、高市首相は「原潜保有は憲法違反ではない」(2021年9月27日、FNNプライムオンライン)という姿勢は曲げることはないだろう。与党が衆議院で圧倒的多数を占める状況下では、原子力基本法第2条(原子力の研究・開発・利用を「平和の目的」に限る」)の改正は難しくない。
 原潜保有が現実になったらどうなるか。松久保氏は「核兵器保有へのステップと海外は見るでしょう。世界の核をめぐる緊張は高まり、各国の安全保障に影響を及ぼすのは必至」と警鐘を鳴らす。
 「核武装」につながる原潜保有は断固阻止すべきだ。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号 

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年03月08日

【焦点】知事選ファクトチエックの舞台裏 新聞「信頼回復」に本気 河北新報 横山記者が語る=橋詰雅博

 
kahoku.jpg
               FIJセミナーで話す横山記者
 SNSで誤情報やデマがあふれて大荒れだった10月宮城県知事選において、地元紙の河北新報は、本腰入れたファクトチック記事を報じ注目された。発案者で自らも記事を手がけた一方でアンカー役も務めた政治班・横山勲記者(37)が12月14日ファクトチエック普及活動を進めるFIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)セミナーで自身の体験を話した。筆者はオンラインで視聴した。

兵庫知事選引き金

 河北新報が「かほQcheck」と名付けたファクトチエック記事に取り組むきっかけは、2024年11月の兵庫県知事選。SNS上でデマが氾濫、知事選に出馬した「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首(名誉棄損容疑で逮捕、不起訴処分)が再選めざす斎藤元彦氏の応援に転じた「2馬力選挙」を展開するなど異様だった。
 地元紙の神戸新聞はSNSで「偏向報道」と攻撃を受けた。横山氏は「神戸新聞の知事選担当記者から話を聞く機会がありました。新聞は信用されていない、(ユ―チューバ―を含む)聴衆が取材中の記者を取り囲む、居酒屋で記者が絡まれるといったことを聞き、25年は7月に参院選、10月に宮城県知事選があるので、何か対応が必要と思いました。編集幹部も同じ認識でした」と報告した。

読者に評価任せる

 横山氏が思いついたのはファクトチエック記事の作成。福島総局のとき、役人が平気でウソをつくので、対抗手段としてファクトチエックを研究した経験がヒントになった。新聞の信頼回復が最終目標だ。神戸新聞へのヒアリングや専門家による社内勉強会を行ったうえで25年2月に作成したファクトチエック記事の主な基本方針は@虚偽または誤解を与えかねない情報が対象、A誤魔化す恐れがあるレーティングつまり「〇」「×」の評価はしない、B読者に判断をゆだねる、C取材の偏りを防ぐため2人1組で取材する――。
 7月の参院選は、初のファクトチエック記事9本のうち7本を横山氏が書いた。「編集局全体の取り組みとして幹部が呼びかけたのですが、実際に動いたのはごくわずか。ただ、『不倫騒動ポスター』(立憲民主党の石垣のり子候補を誹謗中傷、現参院議員)問題を報じたことがN党立花党首の刑事告訴のきっかけになりました。一定の成果は得られました」(横山氏)

記者8人が専任で

 10月宮城県知事選は、記者8人と担当デスク1人の本格態勢で臨む。知事6選をめざした村井嘉浩県政下で問題になった水道事業「一部民営化」、イスラム教徒の外国人受け入れのため検討した「土葬墓地整備」、「メガソーラー建設計画」は、争点になると予測されたので選挙前に材料を仕込んだ。
ka.jpg
          河北新報のファクトチエック記事「かほQcheck」
 選挙期間中の10月18日から25日(投開票日前日)の間に▼「水道みやぎ」導入の経緯って?▼「土葬墓地」検討撤回の経緯って?▼「メガソーラー大歓迎」は事実誤認 これまでの経緯と対策は?▼「次、落とすのはこのドクソ野郎」一部県議がSNSで誹謗中傷被害―など計9本のファクトチエック記事を報じた。
 読者の反響について横山氏は「『村井寄り』という声もあったが、おおむね好評。『河北新報は本気出している』と感じ取ってくれたのでは」と語った。
 デマに関し「事実の意味を書き換え、被害者意識を植え付けて受益をささやく手法、これが大衆の心をつかむ」(横山氏)と分析。
 「書き手の確保」「臨機応変に対応するための密なコミュニケーション」が日常の備えとして重要と横山氏は述べた。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年03月07日

【南鳥島3】筆者は同島に陸自がミサイル射撃場を整備、処分地が幻にという記事を24年7月31日Daily JCJに掲載。再掲載しました。幻が転じて現実になってほしいと願う=橋詰雅博

【焦点】南鳥島に陸自がミサイル射撃場を整備 核のゴミ最終処分地説が幻に=橋詰雅博 (http://jcj-daily.seesaa.net/article/504171775.html)

 防衛省は 東京から1900qの日本最東端の小さな島、南鳥島(小笠原村の一部)に陸上自衛隊が保有する「12式地対空ミサイル」の射撃場を整備する。このミサイルは地上から海上の艦艇に攻撃するもので、射程100`を超える射撃場の整備は国内で初めて。すでに小笠原村へは計画を説明済みで、2026年以降、年数回訓練を実施する見込み。

 実はこの南鳥島は、核のゴミの地層処分の適地に挙げられたことがある。
3年前、文化庁芸術祭優秀賞を受賞したドキュメンタリー番組「ネアンデルタール人は核の夢をみるか〜核のごみ≠ニ科学と民主主義〜」の制作した北海道放送報道部デスクの山ア裕侍氏は、22年1月号のJCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」の寄稿で、こんな秘話を明かしている。
あるイベント会場で顔を合わせたルポライターの鎌田慧さんが「核のごみの文献調査が進んでいるけど、南鳥島が適地だという説があるのを知っているかい?」と山アさんに尋ねた。山アさんが初めて知ったと答えると、数日後、鎌田さんがファックスで送ってくれたのは南鳥島が適地と紹介した静岡県立大学の尾池和夫学長のエッセイだった。番組では南鳥島案を最初に提案した平朝彦・前海洋研究開発機構理事長を取材し、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)がその提案を蹴ったことを明らかにした。

 もう一つは筆者が23年6月号JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」に掲載した記事だ。
 東京の都道府県会館で5月末に開かれた関東地方知事会議で静岡県の川勝平太知事が核のごみの最終処分場として南鳥島を候補地に検討すべきだと、小池百合子都知事に提案した。静岡県には浜岡原発(5基のうち1、2号基は廃炉、3,4、5基は長期停止中)がある。核のゴミに関心を持つのは当然だけれども、唐突感は否めない。川勝知事がこんな提案をした理由は、同県清水市に施設を構える東海大学海洋研究所の平朝彦所長(地質学者)と、同県発行の雑誌での対談が引き金になっている(今年1月の総合情報誌「ふじのくに」に掲載)。

 対談で平所長はこう述べている。
 「南鳥島は太平洋プレート(太平洋の海底の大部分を占める岩盤)上にある唯一の日本領土で、周囲6`bの国有地。最大の特徴は地質的な安定性です。地震、火山活動はまず起きない。これは確信を持って断言できます。なおかつ、住民がおらず漁業権など、いろいろな権利が設定されていない。地下へ数`bのボーリングをして、使用済み核燃料を処分するキャニスター(核のゴミの廃液をガラス原料で溶かし合わせたものが入ったステンレス容器)を入れて、セメントで封印することもできます。地球上で最高レベルの安定性があるので、壊れる不安はまずありません」「最適な核廃棄物処理方法だと信じて疑いません」
 川勝知事は「国難を救える島」「モデルケースを日本が提供できれば、世界に誇れる提言にもなりますと」と平所長の研究を称えた。
川勝提案に対し小池都知事は「国がしっかりと対応すると考えている」とそっけない答えだった。

 核のゴミの地層処分計画を進める政府は、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で文献調査を進めている。
地震大国・日本には10万年以上も核のゴミを封じ込める適地はないと言われている状況下で、南鳥島にスポットライトが当たった。早速、平所長に取材を申し込んだ。残念ながら「南鳥島での地層処分をさらに研究したい」と断られた。
 陸自の地対空ミサイル射撃場の整備は、南鳥島の核のゴミ最終処分地説を幻に終わらせることになる。


posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年03月04日

【南鳥島1】核のゴミ処分で南鳥島を国が文献調査へ。筆者は3年前に島が「最適地」とした記事を掲載。それを再掲載しました。日本では唯一無二の場所だと思います=橋詰雅博

 国は核のゴミの最終処分地として日本最東端で国有地の南鳥島に文献調査することを東京都小笠原村に申し入れた。筆者はこの南鳥島が「最適地」と3年前23年6月25日にDaily JCJに掲載した。以下はその記事(http://jcj-daily.seesaa.net/article/499817294.html)だ。

【焦点】核のゴミ処分「南鳥島」最適地  静岡知事が小池都知事に提案 地質学者との対談が引き金=橋詰雅博
 東京の都道府県会館で5月末に開かれた関東地方知事会議で静岡県の川勝平太知事が注目される発言をした。高レベル放射性廃棄物いわゆる「核のごみ」の最終処分場を都の南東約2千`にある日本最東端の南鳥島(小笠原村の一部)を候補地として検討すべきだと、小池百合子都知事に提案したのだ。静岡県には浜岡原発(5基のうち1、2号基は廃炉、3,4、5基は長期停止中)がある。核のゴミに関心を持つのは当然だけれども、唐突感は否めない。川勝知事がこんな提案をした理由は、同県清水市に施設を構える東海大学海洋研究所の平朝彦所長(地質学者)と、同県発行の雑誌での対談が引き金になっている(今年1月の総合情報誌「ふじのくに」に掲載)。対談で平所長はこう述べている。

 「南鳥島は太平洋プレート(太平洋の海底の大部分を占める岩盤)上にある唯一の日本領土で、周囲6`bの国有地。最大の特徴は地質的な安定性です。地震、火山活動はまず起きない。これは確信を持って断言できます。なおかつ、住民がおらず漁業権など、いろいろな権利が設定されていない。地下へ数`bのボーリングをして、使用済み核燃料を処分するキャニスター(核のゴミの廃液をガラス原料で溶かし合わせたものが入ったステンレス容器)を入れて、セメントで封印することもできます。地球上で最高レベルの安定性があるので、壊れる不安はまずありません」「最適な核廃棄物処理方法だと信じて疑いません」

 川勝知事は「国難を救える島」「モデルケースを日本が提供できれば、世界に誇れる提言にもなりますと」と平所長の研究を称えた。
川勝提案に対し小池都知事は「国がしっかりと対応すると考えている」とそっけない答えだった。
 実は平所長は、南鳥島は核のゴミの地層処分(地下深く埋める)の最適地とローカル局の北海道放送(HBC)からの取材で3年前に提言している。経産省にもこの提言を伝えたが、返事はないそうだ。

 核のゴミの地層処分計画を進める政府は、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で文献調査を進めている。また長崎県の離島・対馬市は核のゴミの最終処分受け入れ誘致に向けて動きだしている。

 地震大国・日本には10万年以上も核のゴミを封じ込める適地はないと言われている状況下で、南鳥島にスポットライトが当たった。筆者は早速、平所長に取材を申し込んだ。残念ながら「南鳥島での地層処分をさらに研究したい」と断られた。


posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年02月27日

【焦点】トランプのでっち上げ、麻薬関与のマドゥロ大統領 「国家元首」免責が裁判の争点=橋詰雅博

 米軍によって連れ去られた南米ベネズエラのマドゥロ大統領は、ニューヨークの連邦地裁で1月5日に第1回の審理が行われた。次回は3月17日だったが、26日に延期された。

 マドゥロ大統領は、@麻薬輸入の共謀、A麻薬テロの共謀、B機関銃や破壊装置の所持、C機関銃や破壊装置の所持に関する共謀―この4つの罪で起訴された。麻薬に関しマルコ・ルビオ米国務長官は、「マドゥロは国を乗っ取った麻薬組織『カルテル・デ・ロス・ソレス』のリーダー」と言っている。
 しかし、この麻薬組織は存在しないと1月25日JCJオンライン講演に出演した南米研究者の新藤通弘氏は言う。
 「元国連薬物犯罪事務所(UNODC)所長のピノ・アルラッチ氏は25年8月にその存在を明白かつ詳細に否定。コロンビアのペトロ大統領も『ソレス・カルテルはない。それは極右が政府を打倒するための架空の口実に過ぎない』と述べている。米ワシントン・ポスト紙も同様な報道をしている」。
 またベネズエラの麻薬マフィア「トレンデアラグア」は昨年1月に治安当局によって壊滅された。「トレンデアラグア」はマドゥロ政権が運営していたとも言われたが、「最近機密解除された米情報機関の報告書は運営について指揮も支援もしていないと結論付けている」と新藤氏は語った。

 機関銃絡みについて新藤氏は「暗殺の危険性があるので所持は当然ではないか」と指摘した。罪というには無理があるのではないか。
 1回目の裁判でマドゥロ大統領は、「私は戦争捕虜だ」と傍聴席に向かって叫んだ。戦争捕虜は戦闘行為に参加したという理由だけでは罪に問われることはないとジュネーブ条約で定めている。さらに「自分は今も大統領だ」と繰り返し強調した。国際法では、現職の国家元首には外国での訴追免除が認められている。

 「戦争捕虜」と「元首の免責論」が裁判の大きな争点になりそうだ。
 トランプ米政権はロシアと中国への西半球支配を誇示し、原油などの資源獲得を狙いマドゥロ大統領の麻薬関与の罪をでっち上げたのではないか。

 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年02月16日

【焦点】日本が見向きもしない質の悪いベネズエラ原油を欲しがるトランプの打算=橋詰雅博

  世界一の原油埋蔵量を抱える南米ベネゼエラから原油を日本が恒常的に輸入していると思ったが、そうではなかった。2017年以降ベネズエラ原油を輸入していないことを石油連盟の木藤俊一会長(出光興産会長)が記者会見で明らかにした。

 中東の原油とは性質が違い、ベネズエラ原油は重質で硫黄分が多くいわば質が悪い。このため原油から蒸留・分解装置でガソリン、灯油、軽油、重油などの製品をつくる製油所では、新たに脱硫能力を高めた設備が必要で、コストの負担増になる。
 木藤会長は「中東でよほどのことがない限り使うことはないだろう」と語り、米国がベネズエラ原油の増産をしようといている点について「米国の管理下で増産しても日本で使うのは難しい」と指摘した。

 そのうえ国営ベネズエラ石油産業の生産設備が老朽化し、多大な投資をしなければ稼働しない状態なのだ。英紙ファイナンシャルタイムズ(FT)1月7日付電子版(提携の日経新聞翻訳版29日付)によると、「壊滅的な状況」で原油貯蔵設備の3分の1程度は休止している。
 それなのにトランプ米政権は、米軍を投入しマドゥロ大統領夫妻を拘束し米国に移送までしてベネズエラ石油利権を獲得したのはなぜなのか。

 1月6日付記事配信「Wedge(ウェッジ)」<ベネズエラ石油にトランプがこだわる大きな理由>の筆者・山本隆三氏はその謎を解いている

 2000年後半のシェールガス革命で米国は世界最大の産油国にのし上がったが、品質にむらがあり、国産原油だけではガソリンなどの製品を低コストで精製することは困難。ベネズエラ産原油を入手すれば、真の自給率100%が達成され石油の安全保障を担保できる。
 しかも米国の製油所は、シェール革命前に米国で産出された原油の多くは重質油だったので、それ向けに設計されている。実に7割の製油所は重質油でより効率的に稼働でき、軽質油のシェールガスを使うとコスト増になり結局ガソリン価格などが上昇する。

 多くの米国の製油所は、ルイジアナ州からテキサス州のメキシコ湾岸に建設されている。輸入原油の受け入れに便利だからだ。海上輸送距離が短いベネズエラ産原油は、コスト減で価格競争力がある。米国産シェールガスオイルの補完も可能だ。
 これがベネズエラ産原油にこだわるトランプの主たる理由ではないか。米国の石油大増産を成し遂げる見返りとしてトランプは業界からの多額の献金と11月の中間選挙での集票を見込む。

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年01月09日

【焦点】日本外し≠ナ米中連携も 学会票失い自民ピンチ 維新切り捨て国民民主と連立? 星野氏オンライン講演=橋詰雅博

hoshino.jpg

 日中対立、物価急騰、円安でインフレ加速、バラマキによる財政悪化への不安、防衛費増額―悪材料が多いのに高市早苗政権の支持率の高さはちょっと異常だ。初の女性首相、派手なパフォーマンス、ストレートな物言い、対中強硬姿勢が若者や30、40代の働く世代に受けているという。だが高市政権は、内憂外患に違いない。11月24日のJCJオンライン講演に出演した政界を長年ウオッチするTBSコメンテーター・星浩氏は日中関係の展望、1月解散総選挙の有無などを話した。

 こじれる日中関係について星氏は「トランプ米大統領は来年4月に訪中する。このとき日中がまだモメ続けていたら中国の習近平国家主席との会談で自国ファーストのトランプ氏は『米中で手を組んでうまくやろうぜと』と持ち掛ける。日本外し≠ニいう最悪の展開になる。この数カ月間で対中関係を修復させる必要がある」と述べた。
 とはいえ日本に名案はなく、「高市発言はシミュレーションに過ぎず、『一つの中国』を理解・尊重する1972年の日中共同声明に基づく考えに変わりはないと中国側に言い続けるしかない」と星氏は指摘。ただ、「この問題だけで高市首相が辞任することはない」という。

解散5、6月有力

 政権の高支持率、上向く自民党支持率、この機を逃さず高市首相は1月に解散総選挙に踏み込むという見方が広まっている。「1月総選挙では、26年度予算成立が4月にズレ込み、景気が冷え込む可能性が高い。経済界も反対でしょう。5月か6月解散が有力」(星氏)。

 自民党は総選挙で勝てるのか。
 「公明党の選挙母体、創価学会は、各小選挙区で数千から2万の票を持っている。公明の連立離脱でこの票が自民からごっそり抜ける。それだけではなく、抜けた学会票が立憲民主党にシフトしたら、自民と入れ替わり立憲候補者が当選というケースも出てくる。自公連立解消は、自民に大きなデメリットです」「連立を組んだ日本維新の会の票は、大阪界隈。自民にメリットはない」「国政選挙3回目の参政党は、幸福の科学と浅からぬ関係があるようで、勢いが衰えなければ保守票をさらに奪う。くわれるのは自民です」
 「その上に経済低迷なら自民は苦戦する」と星氏は予測した。
 維新と組んでもうま味がないと分かれば自民は維新を切り捨て自民に未練がある玉木雄一郎代表が率いる国民民主党と新たに連立を組むかもしれない。

悪くない岡田氏

 「平和」と「福祉」の党として原点回帰の公明に関し星氏は「政策が近い立憲と国民民主を公明が束ねることができたならば、政権交代も夢ではない」と述べた。
 「台湾有事は日本有事」―高市首相発言を引き出した立憲の岡田克也元外相は「あんな質問した岡田が悪い」とネット空間でバッシングされた。さらに読売新聞は11月13日付社説で岡田氏を批判。星氏の意見はこうだ。
 「『しつこく首相に見解ただした』『安保政策を政局に利用するのはもってのほかだ』と社説に書いていた。『しつこく』は主観的な表現で論理的ではない。『安保政策』を問いただすのは野党の最大任務。おかしくない」。
 戦争に巻き込まれたくないは庶民の願い。それを叶えるのがメディアの役割ではないか。社説にその視点が欠けているように思えた。
           JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号 


posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年01月02日

【焦点】レアアース回収とミサイル発射 南鳥島で国家事業が始動 対中政策の一環=橋詰雅博

 東京から1900qの日本最南端の小笠原諸島・南鳥島が今年2026年、注目される。というのは小さな島内で2つの国家事業が展開されるからだ。一つは内閣府が進める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環としてレアアース(希土類)を含む泥の処理施設が設置される。SIPは、探査船を用いて、1月から南鳥島沖合で泥を回収する試験採鉱を行う。レアアース泥を積んだ運搬船は島まで運ぶ。施設では泥の塊からレアアースを分離・精錬。内閣府は27年2月から本格スタートするこうした実証試験の整備費として25年度補正予算で164億円をSPIに計上した。

 南鳥島沖合にはレアアースを含む豊富な泥があることが判明している。EV自動車などハイテク産業に必須のレアアースは、世界の生産量の7割を中国が占める。日米の貿易交渉で有利に進める武器≠ニして中国は利用しようとしている。国産レアアースが安定的に得られたら、中国主導の貿易から逃れられる可能性が高い。
 もう一つ、防衛省は陸上自衛隊が保有する「12式地対空ミサイル」の射撃場を整備する。このミサイルは地上から海上の艦艇に攻撃するもので、射程100`を超える射撃場の整備は国内で初めて。すでに小笠原村へは計画を説明済みで、2026年以降、年数回訓練を実施する見込み。台湾有事を視野に入れた演習だ。

 実はこの南鳥島は、核のゴミの地層処分の適地に挙げられたことがある。
4年前、文化庁芸術祭優秀賞を受賞したドキュメンタリー番組「ネアンデルタール人は核の夢をみるか〜核のごみ≠ニ科学と民主主義〜」の制作した北海道放送報道部デスクの山ア裕侍氏は、22年1月号のJCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」の寄稿で、こんな秘話を明かしている。
 <あるイベント会場で顔を合わせたルポライターの鎌田慧さんが「核のごみの文献調査が進んでいるけど、南鳥島が適地だという説があるのを知っているかい?」と山アさんに尋ねた。山アさんが初めて知ったと答えると、数日後、鎌田さんがファックスで送ってくれたのは南鳥島が適地と紹介した静岡県立大学の尾池和夫学長のエッセイだった。>
 番組では南鳥島案を最初に提案した平朝彦・前海洋研究開発機構理事長を取材し、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)がその提案を蹴ったことを明らかにした。

 レアアース回収施設とミサイル射撃場を備える南鳥島。核のゴミの地層処分の適地としては残念ながら幻に終わった。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年12月27日

【焦点】「2国家解決」困難 ガザ 無力な対米追従の日本 毎日新聞 大治朋子氏講演=橋詰雅博

 
★大治朋子記者(毎日新聞).jpg

 ガザ紛争の停戦はまやかしか、それともかの地に希望の光が差し込こむのか――イスラエルによるガザ地区でのパレスチナ人のジェノサイド(集団殺害)に国際社会は非難。これに呼応し英、仏、加、豪のG7がパレスチナ国家承認を国連総会で表明した。日米は非承認だが、国連加盟約8割はパレスチナ国家を承認。トランプ米大統領もノーベル平和賞欲しさからかガザ紛争に和平介入し恒久的停戦に向けて進んでいるかのように見える。国連で採択のパレスチナとイスラエルが共存する「2国家解決」は結実するのか。エルサレム支局長とテルアビブ大学大学院時代などを含めイスラエルに約6年半暮した毎日新聞専門編集委員・大治朋子氏=写真=は10月25日JCJオンラン講演で和平の実現性やイスラエル人の国家観、日本にできることはなどを報告した。

旧約聖書を信じる

 ガザ紛争の根源はイスラエルがパレスチナに建国し、パレスチナ人は土地を奪われ難民に―これが一般的な歴史認識だろう。イスラエルは「占領した」に対し二つの理由を挙げて反論していると大治氏はいう。ユダヤ系イスラエル人(人口の約73%)は、ユダヤ教の経典、旧約聖書から立ち上げられた独自の物語の歴史認識を小学生低学年から学んでいる。簡単に言えば、古代イスラエル王国(紀元前1000年ごろから同922年、今と同じエルサレムが首都)は、現在のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸にユダヤ民族が築いたのだから、ユダヤ人が住む権利があるという信仰だ。
大治氏は「来日のイスラエル経済産業大臣に『西岸地区でイスラエル軍が破壊行為していますね』と尋ねると、『旧約聖書ではこの土地はユダヤの民のものです』と答えました。イスラエルではこの歴史認識が共有されている」と述べた。 
これが一つ目の理由だが、事実と物語がミックスの旧約聖書が根拠では、非ユダヤ民族は納得できないだろう。

悪いのはどっち?

 二つ目は1948年イスラエルの独立に反発したアラブ諸国との第一次中東戦争を止めるため国連で採択されたパレスチナの分割案をアラブ側が拒否したこと。イスラエルは国連案に従わなかった「アラブ側が悪い」としている。しかしこの案はイスラエル側の土地の方が多く、「『いきなり来て建国し、土地を半分も取っちゃって』とパレスチナが思うのは当然でしょう」と大治氏は語った。
 この案を作った国連を批判すべきではないか。
第4次まで続いた中東戦争に勝つたびにイスラエルは土地を拡大。93年のイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)がパレスチナ国家建設に協力して取り組む「オスロ合意」は守られず、事実上、破綻。かくしてパレスチナ自治区ヨルダン川西岸とパレスチナ組織ハマスが実行支配するガザ地区の2カ所がイスラエルに点在した。

日本の現実を痛感

23年10月7日のハマス戦闘員による越境攻撃でイスラエルも「安住の地」とは言えなくなったとするユダヤ人のハマスとガザ住民への怒りは消えない。「『ガザに無実の民間人はいない』と回答した人が約3分の2占めたイスラエルの世論調査結果もあります」(大治氏)。
「2国家解決」について、大治氏は「イスラエルのネタニヤフ連立極右政権も国民も「『国家として承認しパレスチナが軍隊を持ったらもっと危なくなるじゃないか』という感覚を持っています。2国家解決の選択肢は全くない」と指摘した。
イスラエルとは経済交流し、パレスチナには資金・物資・人材の支援をする日本は解決に向けて何かできないのか。大治氏は「対米従属の日本が独自にやるというのはまずない」と断言した。
日本の対米追従の現実を改めて思い知らされた。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年12月19日

【焦点】吉村代表面目丸つぶれ、定数減成立は不透明 切り捨ての維新、党存亡の危機=橋詰雅博

 国会議員定数削減は来年の通常国会で継続審議となった。庶民が求める企業・団体献金禁止の審議を脇に追いやり突然提出した日本維新の会の削減案は、特別国会での成立を維新は主張したが、思惑が完全に外れた。自民党との連立で手柄をたてようとした吉村洋文代表は面目丸つぶれ、低迷する支持率はさらにダウンという可能性もある。
 
 そもそも議員定数を削減する必要があるのだろうか。現在、衆参両院の合計議員定数は713で、ピークの1980年代後半から約50減った。12月5日付日経新聞コラム「十字路」で「議員定数削減で社会は良くなるか」と見出しが付けられた筆者の大和総研常務執行役員の鈴木 準氏によると、人口一人当たりの国会議員数を日本と比べると、ドイツは1・4倍、フランス、イタリア、カナダは2倍前後、英国は3・6倍。米国は日本の4分の1強と非常に少ないが、国立国会図書館の資料では、フルタイム雇用の秘書が議員一人当たり下院で平均15人、上院で30〜50人いて、議員補佐する体制が格段に充実している。
「数十億を浮かせた衆院議員の1割削減を見て留飲を下げる国民は少数だろう」「議会に望まれるのは、国民所得を拡大させて社会の閉塞感を打破する歳出構造をつくる務めを果たすことだ」と述べている。

 河野洋平元自民党総裁も「国会議員は国民の代弁者。その代弁者の削減は一考してもらいたい。欧州と比べて日本は多いとはいえない」とメディアのインタビューに答えている。

 定数削減にやる気がない自民党なので通常国会でも成立するかどうか不透明。補正予算で国民民主党と公明党が賛成に回ったことで、自民党は維新との連立を解消し本命≠フ国民民主党と新たに連立を組ことに動き出しているようだ。
 切り捨ての維新、党存亡の危機に直面か。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年12月17日

【焦点】公明の連立解消「本当の理由」、「渡りに船」と飛びついた維新の事情=橋詰雅博

 11月24日(月祝)JCJオンライン講演に登場したTBSコメンテーター・星浩氏は、26年間の自公連立から公明党が離脱した「本当の理由」を2つ挙げた。
 
 高市早苗首相は神社本庁と保守グループ日本会議が強力な支持基盤。公明の選挙母体の創価学会は、この2つのグループと長年ライバル関係にある。星氏は「神社本庁が本宗(ほんそう,すべての神社の上に立つ)と仰ぐのが伊勢神宮。戦前、創価学会の前身『創価教育学会』初代会長の牧口常三郎氏は、伊勢神宮に対する不敬罪兼治安維持法で逮捕され獄死している」と述べた。日本会議の方は、宗教団体生長の家が母体で、創価学会とは路線の違いからそりが合わなかった。「学会にとって神社本庁も日本会議もいわば宿敵=v「学会の意向で自民との連立は無理でした」―これが星氏の見方だ。

 もう一つは、公明の「生みの親」である池田大作創価学会名誉会長が2年前に死去したこと。1969年の言論出版事件などで池田は国会での証人喚問を要求されていた。「池田を証人喚問から守るのが公明の最大ミッション」(星氏)。池田の死去でミッションから解放され、自民と連立を組む理由が消えた。

 また星氏は、日本維新の会が自民党と新たに連立を組んだ「事情」も話した。
 維新は地盤の大阪から全国に支持拡大をめざし2024年総選挙で候補者164人を擁立した。しかし、当選者は小選挙区で23人、比例区で15人の合計38人と公示前より6議席減だった。全国展開は完全に失敗。落選者は120人を超え、この人たちを次の国政選挙までどう面倒を見るか頭を悩ませていた。「立憲民主党などは落選者に生活費として一定金額を支給しているが、維新にはその余裕がない。途方に暮れる人が多かった」と星氏はいう。

 そこに自民から連立の話が持ち込まれ維新には「渡りに船」だった。星氏は「次の総選挙では、小選挙区は連立を組む自民候補者を応援するので、『落選者を推せません』と維新は言い訳ができる。面倒を見る必要がなくなった。つまり切り捨てたのです」と語った。
 自民から離れた公明、逆にくっついた維新、次の総選挙でその選択の結果が出る。
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月25日

【焦点】中露蜜月関係*{当か 中国は「敵」とみなす―ロシア内部文書で警戒 米NYT報道=橋詰雅博

 ウクライナに侵略以降、米欧などから経済制裁を受けるロシアを陰に陽に支援する中国。米国への対抗を隠さない両国は蜜月関係≠ニ言われる。11月17日モスクワ訪問中の中国の李強首相とロシアのプーチン大統領の会談でも、中露の貿易協力を引き続き発展させることを確認した。米欧の制裁でロシア産原油輸出先の先細り打開に向けて輸出継続を探る協力を惜しまないと李首相は約束したとされる。ロシアと中国の友好関係は深まる一方で、軍事・経済の協力は黄金時代≠ノ入ったとプーチン氏は公言しているという。

 しかし、ロシアは腹の底では中国を信頼していないどころか「敵」とみなしているというロシアの機密文書を入手した米紙ニューヨーク・タイムズは6月7日付電子版で報じた。NYTと提携する朝日新聞は特集記事翻訳を8月10日付紙面で掲載。それによると、国内治安機関「連邦保安局(FSB)」が2023年から24年初頭にかけて文書を作成されたとみられる。8nの内部文書は、中国情報当局の活動をかつてないほど詳細に明らかにしている。

 具体的には@ロシアの政治権力中枢に近い政府関係者や専門家、ジャーナリスト、ビジネス関係者を取り込む、Aウクライナ侵略で西側と戦うロシアの戦争の実態把握、特にドローン活用法や相手国の新型兵器への対抗情報入手に躍起、B遅れている航空技術を挽回するため軍パイロットや航空流体力学、制御システムなどの研究者に接近、C民間軍事会社ワグネルの戦闘員が持つ経験を自国の軍隊や、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカで活動する民間軍事会社に活用する、D自国の工作員が帰国すると、すぐに、ウソ発見器による検査を実施するほか、中国に滞在の2万人ロシア人学生の監視を強化し、中国人配偶者を持つロシア人をスパイ候補として勧誘―などだ。

 こうしたことからロシア情報機関幹部らは、中国の情報活動を「潜在的な敵」として心に刻み、中国への警戒心は絶対に解かないとしている。
 もちろんロシアも対中国への情報活動を怠っていないはずだ。
 国同士の付き合いは信頼と不信とが混じる、これはいつの世も変わらない。蜜月関係をうのみにしてはならないのだ。



 

posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月21日

【焦点】 議員削減、維新の地盤大阪ではこうなった=橋詰雅博

 高市早苗首相と日本維新の会の藤田文武共同代表との11月17日会談で連立合意書に盛り込んだ衆議院定数比例区一割削減について、高市首相は「非常に強い意志を持って両党の約束を果たす」と明言した。民意を十分に反映せず、比例当選が多い中小政党を潰す議員削減を自維政権は実現に意欲を示している。

 政治とカネ問題を隅に追いやった維新の議員削減は、地盤の大阪で実行済み。2011年の府議選で過半数を得た維新は、それ以降、定数112議席を15年に109に、23年には79まで減らした。その結果、53選挙区のうち最大4人区は3選挙区、1人区が36と拡大。小選挙区が多数になったことから、支持層が厚い維新有利が確実になった。案の定、23年府議選では、全有権者の26%の得票なのに維新が7割もの議席を占めた。大阪市議会でも23年に81から70に議席減、25%の得票で維新は6割超の議席を得た。

 府も市も維新が牛耳る議会に転落し、万博が実行され、カジノ建設が着々と進行中。国からの巨額な税金を投入させ大阪を潤いさせる「副首都構想」実現を自民党にのませた。

 「あかん!カジノ」女性事務の川本幹子さんは、こう語っている(新婦人しんぶん11月22日付)。
 「維新の『やりたい放題』は驚くべき暮らし破壊。病院の統廃合、病床削減がもたらした医療ぜい弱さが、新型コロナ感染で全国一の死者を出したのです。府立高は3年『定員割れ』になると統廃合の対象という条例で、昨年までで21校、40年までにさらに32校減らす計画です。『公教育にカネをかけるな』と言いたいのでしょう」
 維新が議員削減に踏み込んだ大阪。暮らしに悪影響が出ている。衆議員削減はその二の舞にならないだろうか。
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月17日

【焦点】日本や韓国、サウジアラビア、ポーランド、ドイツが核保有国に!? ウクライナ戦争の結末が核戦略の行方に大きく影響 FT紙報じる=橋詰雅博 

 韓国の原子力潜水艦保有をトランプ米政権は容認した。対北朝鮮、対中国への軍事的な圧力を高めるのが韓国の狙い。無限潜行が可能な原潜は、相手国にとって驚異となる現代兵器だ。核弾頭ミサイル(SLBM)を搭載すれば核戦略の主力と位置付けられている。

 もっとも韓国が保有する原潜は、魚雷や巡航ミサイル搭載型だという。日本の高市早苗政権も原潜保有を安保政策に掲げている。保有したとしても韓国と同じ型の原潜だろう。ただしこれから議論される「非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)」が大幅に見直されたら核弾頭ミサイル発射ができる戦略型原潜に切り替わる可能性はあり得る。ちなみに原潜を保有しているのは、米65隻、露32隻、中国12隻、英10隻、仏9隻、印2隻。いずれも核保有国だ。原潜保有は、核兵器保有に発展する可能性を秘める。

 ともあれ核の軍拡路線は急拡大している。日本経済新聞社が買収した英フィナンシャル・タイムズ電子版10日付の翻訳記事「核の軍拡競争復活か」(11日付日経) によると、今日の核軍備増強は、米ソ冷戦時代よりさらに危険になる可能性がある。その理由は@核保有国のロシアによる非核保有国ウクライナの侵攻に加えてトランプ米政権の同盟各国に対する曖昧な姿勢により、米国の核の傘を失うことを恐れる国々の間では、核兵器取得の可能性が議題に上っている、AAI(人口知能)の進歩で、非国家でも世界で最も破壊的な兵器を簡単に製造できるようになりつつある―。そして新たに核保有国になる可能性があるのは、サウジアラビア、韓国、日本、ポーランド、ドイツ、イランを挙げている。

 危険な状況下だが、ウクライナ戦争の結末が核の行方を大きく左右する。同記事によれば、ロシアがウクライナで敗北もしくは戦況が膠着状態に陥った場合、核兵器は有用ではないと世界は結論付けるかもしれない。ロシアは使えない核戦力に膨大な資金を費やしたことになる。逆にロシアがウクライナに勝利した場合、核兵器保有は、非核保有国に対して通常兵器で仕掛けることができる一方で自国が侵攻されるリスクもない。
 ウクライナ戦争は、核保有の有無に重大な決定が下される紛争になりそうだ。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月27日

【焦点】中国台湾統一国是だが、習主席は武力侵攻を回避 ウクライナ侵略のロシアの死傷者数増加にためらう=橋詰雅博 

 台湾有事を巡る中国の出方について米政権内の見方は二つに分かれている。
トランプ大統領は、10月20日、記者団から中国軍が台湾に侵攻する可能性を問われ「中国はそんなことはしたくないだろう」と答えた。そのうえで「習国家主席にそうした様子はまったくみられない」「台湾は彼にとって非常に重要な存在だろうが、何かが起こるとは思わない」と述べた。一方、米情報機関は2027年までに中国軍が台湾に侵攻できる能力を保有すると分析。これを根拠に侵攻の可能性は高いという武力行使説は少数派だが、根強く残る。

 27年といえば、習主席体制の3期目の最後に年に当たる。中華民族の偉大な復興を目指す習主席は、念願の台湾統一を果たすことで27年から32年の4期目の権力の座を確実にしたい。これが習主席の狙いだという。
 米国は、中国本土と台湾は不可分という中国の立場は尊重するが、台湾の安全保障に関与するという姿勢を堅持している。だから米中が国交正常化した1972年に制定した台湾関係法の基づき台湾の軍事力支援ため武器を売却してきた。トランプもその方針は崩していない。ただ本当に台湾有事が勃発したらトランプが米軍を前線で中国軍と戦わせるかは不透明だ。代わりに日本がその役割を担うという見方がもっぱらだ。

 トランプの見方と同じなのが、台湾有事に関し8月23日にJCJオンライン講演に出演した大東文化大学東洋研究所の鈴木隆教授。鈴木氏は「中国の台湾侵攻の可能性は低い」と前置きしこう語った。
 「確かに習氏は台湾統一を唱えていますが、もしも中国軍は負けたら共産党体制は動揺し、自分の地位も危うい。それを常に意識しています。ウクライナに侵攻したロシアの死傷者数は20万以上とされています。20万以上と言えば、日本の自衛隊の人数に匹敵します。台湾侵攻で中国軍に20万以上の犠牲者が出たら永続化を使命とする共産党体制瓦解の恐れがあります。極端な話、中国軍が一人も犠牲にならないならやるかもしれないが、それは担保されていません」
 危険な橋は渡らないというのだ。

 そもそも台湾住民の半数以上は現状維持を望む。そんなところに軍事進攻して統一を果たせたとても火種≠抱え込む。台湾で反中国派との正面衝突が起こり得る。中国関与の紛争地帯を増やすことになり、本土への影響は計り知れない。
 
 従って習主席は28年の台湾総選挙に向けて軍事的脅威を強め、サイバー攻撃などの工作で自分のいうことを聞く親中国政権を誕生させる作戦というのが鈴木教授の見立てだ。
 台湾有事を口実に軍拡に走る日本、軍事力増大にブレーキをかける時期に来ているのではないか。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月12日

【焦点】49年までに米に代わり覇権国 台湾侵攻、共産党体制に動揺 米ロに次ぐ核大国 鈴木隆講演=橋詰雅博

su1.JPG

 「習近平氏は建国(中華人民共和国)100周年の2049年までに米国に代わって中国が世界の覇権国になるのを本気で追求しています」「台湾有事が起きる可能性は低いと思います。武力統一に踏み切れば、共産党体制を動揺させると習氏は考えています」――。中国の習近平国家主席を長年研究する大東文化大学東洋研究所教授の鈴木隆氏=写真=は8月23日、JCJオンライン講演に出演。対米関係と台湾問題の2つの重大テーマについてこう指摘した。

 集団指導体制、高度経済成長、人口増加、この3つが終焉した中国の14億人リーダー、習近平国家主席を@秩序や規律を重んじる保守主義者、A実戦経験のない軍人政治家、B25年間の地方指導者としてのキャリアの持ち主と鈴木氏は分析した。3つの顔≠ェある習主席の政治信条は、「父親が元副首相だったゆえ血統・門閥に対する強い自負、先輩指導者から受け継いだ責任の遂行、中国の歴史、文化、伝統の重視」と鈴木氏はいう。

民主化運動を抑制

 そのうえで政治の基本は@中華民族の偉大な復興、A民主化運動の抑制、B領土拡大と海洋進出の積極化―鈴木氏はこう述べた。
 Aは共産党体制の永続には不可欠な要素であり、Bは台湾統一や東シナ海の尖閣諸島(中国名、釣魚島)、南シナ海の領有権を念頭に置いている。これにより@の偉大な復興すなわち「最大の資本主義国家の米国を最大の社会主義国家の中国が21世紀半ば(49年)までに追い抜くことが実現できる」と鈴木氏は語った。

 最近、権力の低下、健康不安、失脚といった習主席を巡る諸説が流れているが、鈴木氏は「そんなことない」と否定。習主席は世界最高水準の医療を受けており、健康に問題がないから高地、チベット自治区成立60周年式典に8月21日出席したと鈴木氏は見ている。
さらに習体制の政治と軍事両面を含む情報を@歴史、A構造、B制度、C政策、D組織など7項目に分けて検証した鈴木氏は「権力低下も失脚もない」とした。

独裁体制4期目も

 となると習独裁体制はいつまで続くのか。「オーストラリア元首相で駐米大使のケヴィン・ラッド氏は、27年から32年の4期目もトップの座にとどまると最新著書で書いています。私もその可能性は高い」と鈴木氏は述べた。
中国による台湾侵攻について鈴木氏は「台湾が独立宣言しない限り武力発動は考えにくい。28年の総統選挙に向けてSNSを用いた工作や軍事的な圧力を増大させて、中国に親和的な総裁誕生を狙う」と予測した。

日中友好は難しい

 中国の核戦力増強に関し「ロシアのウクライナ侵攻でプーチン氏の核の脅しが抑止力として有効に働くという教訓を中国は得ました。核弾頭保有数は30年までに1500発に増えるでしょう。中国は米ロに次ぐ核大国になる」と鈴木氏は説明した。
軍拡の日本、軍備増強の中国、現在は日中の友好関係を築くのは困難としたが、鈴木氏は「来日した中国の若者に権力の威圧・脅威がなく普通に暮らせる社会があることを見てもらう。こうした民主化のタネをまけばポスト習近平時代≠ノ新しい可能性が開けるかもしれません。やらないという選択肢はない」とアドバイスした。
         JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする