デモ行進する静岡集会参加者
世界文化遺産富士山の麓に、かつてない危機が迫る。陸上自衛隊富士駐屯地に敵基地攻撃の要と位置付けられた「島しょ防衛用」高速滑空弾(地対地長距離弾道ミサイル)を2026年3月末に、12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)巡航ミサイルを27年度末までに配備する問題が浮上。私たちは戦争に反対し、加害の拠点にも、被害の標的にもならないため会を結成した。
琉球弧への軍拡
全国に北上続く
私たち静岡の沖縄連帯運動は、辺野古新基地反対が基軸。翁長氏の求心力と、オール沖縄の破竹の勝利で「基地反対」の民意は静岡にも届いた。だが、兵糧攻めなどオール沖縄への攻撃はエスカレート、コロナ禍もあり、玉城知事に代わるころには琉球弧への自衛隊軍拡が焦点に。「沖縄頑張れ」ではすまないことを感じてきた。
ミサイル配備の動きは九州への弾薬庫建設、さらに京都などへと北上が続き、昨年8月29日熊本の健軍駐屯地、静岡の東富士への長射程ミサイル配備計画が発表に至った。
「ど厚かましい」
防衛省の言い分
私たちは当然、反対の街頭宣伝を始めたが、最初に掲げた「静岡を標的にするな」のスローガンに、「ミサイル配備には自分たちが加害者になる面もある」との声があがった。私たちはこうした指摘を踏まえ、「標的になるのも加害者になるのもいやだ」を運動の柱とすることにした。
防衛省は東富士で、地権者と交わした「ミサイルは置かせない」約束を無視したうえ、国道を封鎖して高機動ロケット砲システム(ハイマース)の発射訓練をしたいと言い出した。11月、地権者の「1回だけ」との苦渋の決断で訓練が実現すると、今度はさらに「またやりたい」と言い出した。その姿勢は「ど厚かましい」としか言えない。
静岡県単位では今、市民連合が開店休業状態。そんななかで私たちは危機感をもって「シングルイシューで団結しましょう」と旗揚げした。
正式発足集会に
180人超参加
1月11日の発足集会での市民たち
どんな出発ができるかわからないこともあり、正式な旗揚げは翌年として、12月7日は「準備会の発足」とした。
だが、私たちの「50人くらい来てくれるかな」との不安をよそに、当日はなんと110人が集まる大盛況。私たちは、これだけの人を集めるために骨を折ってくれた人たちにひたすら感謝しながら1月11日の正式発足を決めた。
1月11日の発足集会参加者は182人とさらに増えた。立場の違いを超えて市民が集まった。
集会ではいつも主催者としてあいさつや司会をするベテランおじさんたちは「受け付け」に座り、司会もあいさつも女性が担当。ジェンダーバランスをひっくり返すことで、これからも明るくて柔軟な運動にしたいという思いや、女性を「添え物」扱いしない姿勢を示す工夫をした。5人制とした会の共同代表には女性4人を選出した。
また、昨年の準備会では「仮称」だった会の名前もLINEで公募。受付で投票用紙を配布して選んだ結果「富士にミサイルやめて!の会」と決まった。
結成集会の第2部では、横須賀(ピースデポ理事)の木元茂夫さんから、全国各地に拡がりを見せている「軍拡に抗う運動」を紹介してもらい、2月21日(土)静岡市での集会とパレードを約束して会を閉じた。
駿府城公園に
全国から続々
駿府城公園に全国から集まった静岡集会
2月21日の「富士にミサイルやめて!静岡集会」当日、静岡市の駿府城公園東御門前広場には全国から450名が集まった。「私たちは、平和の象徴である富士の麓に、他国に届くミサイルを並べることを望みません」と宣言。広場から商店街を抜け、静岡駅前までデモ行進をした。
スタンドオフミサイルとは 富士に配備の予定の2種
スタンドオフミサイルは、敵の射程圏外から発射が可能な長距離の射程を持つ新型ミサイルのこと。有事の際の「反撃能力」(敵基地攻撃能力)にもなり得るミサイルで、相手国のミサイル発射拠点をたたくことなどが想定されている。
防衛省が陸上自衛隊富士駐屯地(静岡県小山町)に初めての配備を予定する「島しょ防衛用高速滑空弾」は国産の地上発射型で、射程は数百`。軌道が変則的で迎撃されにくいとされている。
「12式地対艦誘導弾能力向上型」も地上発射型で、国産の「12式地対艦誘導弾」を改良し、射程を約1000`に延ばした。富士から出発して9日、熊本の陸自健軍駐屯地に搬入され、国内初配備された。富士にも27年度末までに配備する予定だと、防衛省はすでに表明している。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号
2026年04月12日
【抗議デモ】国会前「19日行動」1万1千人=編集部
高市首相が訪米した19日、国会周辺や国会議員会館前には、国会を取り囲む形で1万1000人(主催者発表)の人々が沿道に結集。「イラン攻撃を許さない」「高市政権から平和憲法を守り生かそう」などと声をあげて大規模な抗議行動を展開した=写真=。
2015年9月19日の安全保障関連法(安保法制)強行採決以来、この日を忘れまいと毎月19日に取り組まれてきた「19日行動」はこの日、過去最大規模での展開となった。
参加した様々な団体や市民たちは、米トランプ政権とイスラエルのイランへの先制攻撃から、米のいいなりで沈黙する日本政府のダブルスタンダード姿勢批判。ホルムズ海峡への自衛隊派遣阻止から、高市改憲の動きへの危惧、国民の暮らしを犠牲にして進む大軍拡反対など、様々なテーマを掲げて声をあげた。
参加者の共通の認識は、軍事費の拡大が生活を圧迫している現状や、ジェンダー平等や選択的夫婦別姓、在留外国人の人権保護など社会の多様な課題と高市政権が押し進める戦争への道が地続きであること。平和の構築は武力でなく、憲法9条に基づいた対話と外交でしか実現できないとの思いだ。
アピールも昔からおなじみの演説や呼びかけに加え、シールズの運動で定着した音楽にのせてのアピールや、ペンライトによる視覚的な効果を使ったものまでと多様化しており、新たな参加者の広がりも感じられた。
また、参加者からも「弟は人助けのために自衛隊に入った。誰かを殺すことも殺されるのもいやだ。国の使い捨ての駒ではない」(自衛隊員の家族)、「核兵器に抑止力はない。唯一の被爆国として、核兵器禁止条約への参加を」、「軍拡を抑止力と言っても世界最強の軍隊を持つ米やイスラエルは暴走を止めない。憲法9条こそが暴走を止める力だ」、「高市首相は在任中に改憲を実現すると言うが、大増税や戦争準備は選挙の争点になってなどいなかった。市民が求めているのは暮らしの安定だ」など、多様で説得力にあふれる発言が各所で響いた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号
2026年03月28日
【日米軍事】米海軍の空母配備から53年 「これ以上の一体化は皆さんの命にかかわる」 横須賀月例デモ600回 自衛官に直接呼びかけも=木元茂夫(「すべての基地に「NO!」を・ファイト神奈川」)
横須賀に米海軍の空母が配備されたのはベトナム戦争末期の1973年のことだ。「両3年の間」のはずだった配備は、いつの間にか53年と半世紀を超えた。非核市民宣言運動ヨコスカの新倉裕史さん=写真=は「空母ミッドウェイが入港してしばらくしたら街は静かになってしまった。これは何かやらなければと思いました」と、月例デモを始めた動機を語った。
居並ぶ米海軍のミサイル駆逐艦
ベトナム戦争
終結翌年から
ベトナム戦争終結の翌年、76年から開始された月例デモは、2026年1月25日で600回を迎えた。「参加者の最低記録は79年の5人」と新倉さんはふり返った。ピースデポの梅林宏道さんは、「83年に核・非核両方の弾頭をもつトマホーク搭載艦艇を横須賀に配備しようとする動きがあり、全国運動がありました」と回想した。当時は臨海公園と呼ばれていたヴェルニ―公園に多くの人々が集まり、長さ15mくらいだったかの長い長い横断幕を掲げて、米海軍の正面ゲート前をデモ行進したことを思い出す。
88年7月には海自の潜水艦「なだしお」と大型遊漁船「第一富士山丸」が衝突し、乗客と乗組員30名が亡くなる大事故もあった。91年の湾岸戦争、03年のイラク戦争では、横須賀の空母が艦載機による空爆を繰り返した。随伴艦として出動したイージス艦はトマホーク巡航ミサイルで対地攻撃を行った。このころ、03年〜04年の月例デモ参加者は平均50名を超えた。「復興で死者は還らない」という横断幕をかかげ、イラク攻撃からもどってきた空母キティ―ホークにデモをやった記憶は、いまも鮮明に残る。
米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントン
空母原子力化へ
基地大改造工事
米海軍は原子力空母配備のため、横須賀基地の大改造にのりだした。まず始まったのは、350mくらいだった岸壁を400mに延長する大工事。戦時中に戦艦信濃の空母改造工事に使われた巨大なクレーンはこの過程で撤去され、新たに設置された2基の巨大なクレーンは「横綱」、「大関」と命名された。
土砂の崩落事故が起き、明らかになったのは深刻な土壌と地下水の汚染だ。浄化には2年くらいかかったという。
純水プラント
ガス発電所も
念入りに行われた浚渫工事は水深13m確保のためで、船底から海水を取り入れる原子力空母の3次冷却水に土砂を吸い込まないのが目的。基地内ではさらに、原子炉の一次冷却水に使用する純水製造プラントが新設され、原子炉冷却に必要な電力が東京電力だけでは不安と、東京ガスからガスを買い基地内にガス発電所も新設した。米海軍は、こうした一連の工事を終えたが、原子力空母の艦内火災が起き、配備は半年余り遅れた。
機動隊員からの
意外な声かけも
08年秋、原子力空母ジョージ・ワシントンが配備された。警備の機動隊員から「みなさん、この日のためにがんばって来られたのでしょう」と意外な声をかけられて驚いた思い出もある。
ジョージ・ワシントンは15年に原子炉の燃料棒交換で、同ドナルド・レーガンと交代。改修工事を終えて24年に再びもどってきた。
月例デモ参加の市民たち
日中間の緊張
どうほぐすか
月例デモの参加者はこの間、30人から40人くらいの間を推移。私は、海上自衛隊横須賀地方総監部の前で、自衛官に呼びかける役回りを引き受けているが、観艦式と重なり、体験航海で自衛隊の艦艇に乗った人々が総監部前からぞろぞろと出て来るのに2回くらいぶつかった。
普段とは違う緊張を感じるそういう時、「私たちは自衛官の命をとても大切だと思っています」とアピールし、「命を落としたり、負傷することがないよう、そして、他国の人々を殺傷することがないよう願っています」と続ける。見学者はもちろん、自衛官からも罵声を浴びせられたことはない。総監部の重そうな扉の内側に警備の自衛官が立っていることもある。直接、自衛官に呼びかけることのできる貴重な機会である。自衛官から手紙が来たこともある。
月例デモ600回の歩みを報告する写真展
日米ガイドラインの制定・改定、国会での激論を経た15年の安保法制成立。22年には国会での議論もなく安保三文書が閣議決定され、米軍と自衛隊の一体化は76年とは比較にならないほど進んだ。
高市首相の「台湾有事」存立危機事態発言、自衛隊機と空母遼寧艦載機との接近・レーダー波照射事件。高まる日中間の緊張をどうほぐすかが問われている。「これ以上の日米軍事一体化は自衛官のみなさんの命と健康にかかわる」、600回のデモの日、横須賀地方総監部前で、私はそう訴えた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年2月25日号
2026年03月09日
【軍拡反対】呉が「標的のまち」?絶対反対 軍事化 許さない 県内外から400人集結=丹原美穂(「沖縄西日本ネットワーク」事務局・JCJ東海)
年の瀬が迫った呉市では12月20日、「呉の未来を考える2025集会」が開かれた。「日鉄呉跡地問題を考える会」ほか、3団体の主催で400人が参加。集会では「呉の未来を、平和のまちとして守り抜くために、今こそ声をあげよう」。「私たちが何も言わなければ、未来は勝手にきめられてしまう」と、呉を再び軍都化し軍需産業・武器製造整備を含めた多機能「複合防衛拠点」とする防衛省提案への危機感と反対の声を挙げ、「呉を再び『軍港』にするって、ほんとにいいの?」と問いかけた。市民の取り組みを紹介する。
集会では参加者が思い思いのメッセージボードを掲げた
日鉄呉の跡地を
複合防衛拠点に
集会後、日鉄呉の跡地横をデモする参加の市民たち
24年3月、防衛省は「日本製鉄呉の跡地を多機能な『複合防衛拠点』に整備していきたい」と、呉と広島の2市に申し入れた。
地元の呉では、市長や市議会の多くの会派が防衛省提案に好意的だ。
「停滞感のある呉市に明るいニュース。地元経済にもいいことだ」。「市が国の安全保障に積極的に関与する」と言う。
しかし、市民は「日鉄呉跡地問題を考える会」を結成、反対に立ち上がった。防衛省提案の翌月、「呉市民の命がかかる大問題だ」と同省に複合防衛拠点化反対を訴えた。
焼き尽くされた
街の記憶と恐怖
その根本にあるのは空襲で多くの市民が犠牲となり、焼き尽くされて廃墟と化した街の記憶と恐怖だ。
市民たちは言う。「母親から軍港だった呉の街が焼け野になった恐怖と、幼くして亡くなった姉のことを聞かされて育った」。「呉で平和都市転換の住民投票が行われた時は高2だった。軍事拠点化の目的は戦争、戦争で軍事拠点は狙われる。私たちが『旧軍港市転換法(軍転法)』を作ったのはそうならないためだ。絶対に呉を軍事拠点にさせてはならない」。「米軍岩国基地の近くに住むが、ある日の夕方、住宅街の真上で凄音とともにアクロバット飛行する米軍戦闘機に遭遇した。その時の恐怖と屈辱感はトラウマになっている」。
「東洋一の軍港」
呉の繁栄と転換
かつて「東洋一の軍港」として繁栄した呉には世界最大の戦艦「大和」を建造した海軍工廠があり、空襲で狙われて多くの市民が犠牲になった。
呉は戦後、軍転法で旧軍用財産を活用し「平和産業港湾都市」として復興を目指した。1950年に実施の軍転法に関する住民投票の結果は投票率 82・2%、賛成 95・8%だった。だが、朝鮮戦争を機に自衛隊が誕生、呉に海上自衛隊総監部開庁後は、自衛隊が旧海軍施設を占有。今では40隻以上の水上艦艇や潜水艦の母港となり、約6600名の隊員が勤務する海上自衛隊の主要拠点の一つとなっている。
市民の力結集し
呉の未来作ろう
「平和な街を子どもたちに」、「軍転法を活かそう」(跡地問題を考える会)をはじめ、9bの実物大ミサイルのイラストを配した「危険 祝園弾薬庫」や「大分を戦争の基地にするな」など、県内外の住民団体の横断幕が掲げられた会場で、参加者は“呉が再び「軍港」となることは、呉の未来にふさわしい道なのか?「標的のまち」となることを市民は望んでいるのか?平和を願う市民のお力を結集して、呉の未来を作っていきましょう。”との集会アピールを採択。集会後は、会場から「日本製鉄呉跡地」を通ってデモをした。
係留された潜水艦
掃海母艦「ぶんご」
集会では参加者が思い思いのメッセージボードを掲げた
日鉄呉の跡地を
複合防衛拠点に
集会後、日鉄呉の跡地横をデモする参加の市民たち
24年3月、防衛省は「日本製鉄呉の跡地を多機能な『複合防衛拠点』に整備していきたい」と、呉と広島の2市に申し入れた。
地元の呉では、市長や市議会の多くの会派が防衛省提案に好意的だ。
「停滞感のある呉市に明るいニュース。地元経済にもいいことだ」。「市が国の安全保障に積極的に関与する」と言う。
しかし、市民は「日鉄呉跡地問題を考える会」を結成、反対に立ち上がった。防衛省提案の翌月、「呉市民の命がかかる大問題だ」と同省に複合防衛拠点化反対を訴えた。
焼き尽くされた
街の記憶と恐怖
その根本にあるのは空襲で多くの市民が犠牲となり、焼き尽くされて廃墟と化した街の記憶と恐怖だ。
市民たちは言う。「母親から軍港だった呉の街が焼け野になった恐怖と、幼くして亡くなった姉のことを聞かされて育った」。「呉で平和都市転換の住民投票が行われた時は高2だった。軍事拠点化の目的は戦争、戦争で軍事拠点は狙われる。私たちが『旧軍港市転換法(軍転法)』を作ったのはそうならないためだ。絶対に呉を軍事拠点にさせてはならない」。「米軍岩国基地の近くに住むが、ある日の夕方、住宅街の真上で凄音とともにアクロバット飛行する米軍戦闘機に遭遇した。その時の恐怖と屈辱感はトラウマになっている」。
「東洋一の軍港」
呉の繁栄と転換
かつて「東洋一の軍港」として繁栄した呉には世界最大の戦艦「大和」を建造した海軍工廠があり、空襲で狙われて多くの市民が犠牲になった。
呉は戦後、軍転法で旧軍用財産を活用し「平和産業港湾都市」として復興を目指した。1950年に実施の軍転法に関する住民投票の結果は投票率 82・2%、賛成 95・8%だった。だが、朝鮮戦争を機に自衛隊が誕生、呉に海上自衛隊総監部開庁後は、自衛隊が旧海軍施設を占有。今では40隻以上の水上艦艇や潜水艦の母港となり、約6600名の隊員が勤務する海上自衛隊の主要拠点の一つとなっている。
市民の力結集し
呉の未来作ろう
「平和な街を子どもたちに」、「軍転法を活かそう」(跡地問題を考える会)をはじめ、9bの実物大ミサイルのイラストを配した「危険 祝園弾薬庫」や「大分を戦争の基地にするな」など、県内外の住民団体の横断幕が掲げられた会場で、参加者は“呉が再び「軍港」となることは、呉の未来にふさわしい道なのか?「標的のまち」となることを市民は望んでいるのか?平和を願う市民のお力を結集して、呉の未来を作っていきましょう。”との集会アピールを採択。集会後は、会場から「日本製鉄呉跡地」を通ってデモをした。
係留された潜水艦
掃海母艦「ぶんご」
2026年02月10日
【神奈川支部リポート】 知ってますか? 軍転法 横須賀の平和運動家に聞く=藤森 研
クイズです。横須賀、呉、佐世保、舞鶴の4市に共通するのは何?
戦前、海軍の「鎮守府」があった。正解です。
では戦後は?
海上自衛隊の地方総監部がある。正解です。
それから、この4市にだけ旧軍港市転換法(軍転法)が適用されている、というのも正解です。
この法律を、筆者は全く知りませんでした。昨年10月の神奈川支部の例会に、非核市民宣言運動・ヨコスカの中心メンバー、新倉裕史さんを招いて講演してもらい、その後も横須賀市の事務所を訪れて話を聞きました。
「軍転法」は第1条で「この法律は、旧軍港市を平和産業港湾都市に転換することにより、平和日本実現の理想達成に寄与することを目的とする」と謳っています。横須賀、呉、佐世保、舞鶴の4市の旧軍用地を無償や廉価で市に譲ることなどを定めた法律で、国会承認と4市の住民投票での圧倒的賛成を経て、1950年に成立・施行されました。
しかし前後して勃発した朝鮮戦争と日本の再軍備で、各港には米軍基地や海上自衛隊地方総監部が置かれることになり、理想はついえたかに見えます。
確かに軍港回帰の現実は覆うべくもありませんが、戦後平和主義の「種火」は残りました。軍転法は現在も生きており、横須賀では旧軍用地跡に横須賀芸術劇場、追浜工業団地などが生まれています。
けれども最近、この4市に共通の新しい問題が起きています。政府は敵基地攻撃能力(反撃能力)保有のため、陸上では熊本の健軍駐屯地などに12式地対艦誘導弾能力向上型を、海上では佐世保、横須賀など各港のイージス艦8隻に、米国製巡航ミサイル・トマホークを配備する計画を打ち出しました。それぞれ関係支部は情報をお持ちかと思います。
トマホークは射程約1600キロ。北朝鮮や中国が射程に入ります。「戦争の加害国になりたくないし、他国に攻撃されたくもない」という人々の願いに反して、新たな軍拡の動きが進みつつあります。
新倉さんたちはトマホーク配備撤回を求める署名・請願を横須賀市議会に出し、呉、佐世保、舞鶴の平和団体との連携も強めています。「実定法である軍転法という足場を生かせたら、と考えています」と新倉さん。
ちなみに、新倉さんたちが反戦を訴え半世紀にわたり続けてきた横須賀市内の月例デモ=写真=は今月(26年1月)で600回を数えます。基地の街の平和運動の粘り強さに、感嘆します。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2025年06月10日
【横浜市再開発】「旧庁舎、不当な安値」本人訴訟の原告招き例会=神奈川支部
歴史的な名建築の旧市庁舎を一部取り壊し、超高層ビルを建設する横浜市の再開発事業を不当とする訴えが市民から起こされている。JCJ神奈川支部は、4月26日横浜市内で例会を開き、「横浜市民の財産を守る会」の高田尚暢代表に話を聞いた。
2020年6月に竣工した横浜市の新市庁舎は、高さ155m、32階の高層ビル。林文子前市長時代の2013年にそれまでの市庁舎から移転することが決定された。
庁舎建設の傑作
横浜スタジアムに隣接し、JR関内駅前という好立地にある旧市庁舎は1959年に建てられた多くの近現代建築で知られる村野藤吾の設計で、行政棟と市会棟を「市民の広場」という空間で結んだ独創的な建築だ。「市民広場」には巨大なタイルレリーフの壁画が飾られ、大規模市庁舎建築の傑作と評価が高かった。
19年1月には旧市庁舎街区の開発事業者が募集され、事業者は三井物産グループに決定した。20年12月には予約契約を締結、建物は7700万円で事業者に売却し、土地は月額およそ1777万円、77年間の賃貸借契約とされた。
21年8月に行われた横浜市長選挙では、旧市庁舎問題が争点となった。当選した山中竹春市長は「契約価格を検証する」と発言したが、当選1か月後の9月30日に本契約に調印し、「契約価格は妥当」と方針転換した。
監査請求は棄却
高田氏によると、住民訴訟すると決めたのは、20年12月に、開発計画の不当を先行して訴えていた横浜市議2名の裁判を傍聴したのがきっかけ。高田さんのグループも旧市庁舎が不当な安値で売却されるのを防ごうと21年3月に500名で横浜市に対し監査請求を行ったが棄却され、5月には旧市庁舎の売却と土地の貸し付けの契約差し止めを求めて86人で提訴した。
しかし旧市庁舎街区の開発計画は進行し、市会棟と市民広場は解体され、敷地には高層ビルが建設、25年12月には完成する。
似かよう再開発
原告の数の多い共同訴訟は裁判所との調整に時間が掛かる。弁護士を立てると多額の費用を要するため、本人訴訟とした。原告自身が準備書面を書くことで参加した市民の情報収集力や表現力等が養われる、と高田氏はいう。
裁判で原告側は独自の不動産鑑定を提出し、建物の評価に壁画などの美術品が含まれないのは不当とする主張を展開している。
高田氏は少子高齢化で予想される将来の税収減を解決するため、行政は開発を促進するが、そうした開発はどこでも類似している。開発の骨子の決定に市民が関われず、市民が計画を知る頃には官民一体で計画が決定され ている、と指摘した。
集会はZOOMでも中継され、会場参加者と合わせて42人が参加した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2020年6月に竣工した横浜市の新市庁舎は、高さ155m、32階の高層ビル。林文子前市長時代の2013年にそれまでの市庁舎から移転することが決定された。
庁舎建設の傑作
横浜スタジアムに隣接し、JR関内駅前という好立地にある旧市庁舎は1959年に建てられた多くの近現代建築で知られる村野藤吾の設計で、行政棟と市会棟を「市民の広場」という空間で結んだ独創的な建築だ。「市民広場」には巨大なタイルレリーフの壁画が飾られ、大規模市庁舎建築の傑作と評価が高かった。
19年1月には旧市庁舎街区の開発事業者が募集され、事業者は三井物産グループに決定した。20年12月には予約契約を締結、建物は7700万円で事業者に売却し、土地は月額およそ1777万円、77年間の賃貸借契約とされた。
21年8月に行われた横浜市長選挙では、旧市庁舎問題が争点となった。当選した山中竹春市長は「契約価格を検証する」と発言したが、当選1か月後の9月30日に本契約に調印し、「契約価格は妥当」と方針転換した。
監査請求は棄却
高田氏によると、住民訴訟すると決めたのは、20年12月に、開発計画の不当を先行して訴えていた横浜市議2名の裁判を傍聴したのがきっかけ。高田さんのグループも旧市庁舎が不当な安値で売却されるのを防ごうと21年3月に500名で横浜市に対し監査請求を行ったが棄却され、5月には旧市庁舎の売却と土地の貸し付けの契約差し止めを求めて86人で提訴した。
しかし旧市庁舎街区の開発計画は進行し、市会棟と市民広場は解体され、敷地には高層ビルが建設、25年12月には完成する。
似かよう再開発
原告の数の多い共同訴訟は裁判所との調整に時間が掛かる。弁護士を立てると多額の費用を要するため、本人訴訟とした。原告自身が準備書面を書くことで参加した市民の情報収集力や表現力等が養われる、と高田氏はいう。
裁判で原告側は独自の不動産鑑定を提出し、建物の評価に壁画などの美術品が含まれないのは不当とする主張を展開している。
高田氏は少子高齢化で予想される将来の税収減を解決するため、行政は開発を促進するが、そうした開発はどこでも類似している。開発の骨子の決定に市民が関われず、市民が計画を知る頃には官民一体で計画が決定され ている、と指摘した。
集会はZOOMでも中継され、会場参加者と合わせて42人が参加した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年06月07日
【憲法大集会】3万8千人高らかに=古川 英一
憲法記念日、東京は前日の雨が上がって五月晴れになった。憲法を守る市民団体が今年も有明防災公園を会場に憲法大集会を開いた。旗やプラカードを掲げた市民が緑の芝生を埋めた。
集会では、ノーベル平和賞を去年受賞した日本原水爆被害者団体協議会代表の田中煕巳さん=写真=が壇上に上がり「被団協が受賞したのは、この数年世界で核戦争の危機が高まり、もう一度その役割を果たしてほしいという願いの表れではないか」と述べた。そして「皆さん方が私たちのこれまでの努力を引き継いで核兵器も戦争もない世界になるよう広めてほしい」と訴えた。
元官僚で政治経済評論家の古賀茂明さんは「日本国憲法には市民のつながりで平和を守っていこうという精神がある。トランプ政権のアメリカに対して、EUなど世界が離れていくなかで日本だけがアメリカにしがみついている。日本がどこに行くのかが問われているのが参議院選挙。政治を変え、憲法を復活させられるかどうか、大事な分かれ道だ」と述べた。さらに沖縄出身の大学生が「沖縄の犠牲の上に成り立つ平和はやめてほしい。沖縄は日本が変わらないと変わらない」と本土の責任に切り込んだ。
最後に実行委員会から「戦後80年を迎え、安保法が市民を戦争へと突入させようとしている。いまこの動きをストップさせる、軍事ではなく、暮らし中心の予算を作る。それが7月の参議院選挙の大きな争点になる。主権者として、新しい歴史を作り憲法を豊かにしていこう」と行動提起があり会場が沸いた。
青空の元での集会だったが、一方で政府は10年前に安保法を成立させてから、いまも学術会議の法人化や、サイバー安全保障法の制定を目指すなど軍拡への手を緩めていない。暗雲が平和を、憲法を脅かしている。主催側の発表で約3万8千人もが集まったのは、こうした危機感をヒリヒリと感じているからではなかったか。古川英一
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年05月30日
【横浜市メディア威圧2】多様な言論こそ必要 イチャモン断固はね返せ=藤森 研(JCJ代表委員)
学習会で発言する藤森 研氏(右)と講師の岩崎貞明氏(左)
4月12日にはメディア総合研究所事務局長の岩崎貞明氏が講師として参加、「横浜市のメディア介入を考える」学習会を開催した。
岩崎氏は学習会で「横浜市の対応は明らかに編集への介入」と断定し、「言論の自由や編集の独立の視点からも看過できない、市民も監視を強めるべきだ」とした。会の賛同団体となったJCJ神奈川支部代表の藤森研氏も学習会に参加し「報道の自由侵害は市民の知る権利の蹂躙だ」と発言した。藤森氏の発言の要旨は以下の通り。
横浜市が、神奈川新聞などに「抗議文」を出した今回の事態は、言論の自由な流通を妨害する行為で、あってはならないことだ。
山中市長は記者会見で、「抗議文」ではなく「疑義があった点を尋ねた」と語ったが、1か月足らずの間に4回にわたって論調への批判を続け、文書回答を求めるやり方は、圧力そのものである。
事実の間違いに対する訂正要求ならばあっていい。ジャーナリズムの本質は事実確認の規律だからだ。しかし今回の抗議文は違う。
たとえば市庁舎に関する記事の「横浜市の閉鎖性は突出している」という記述は、市民団体の主張を丁寧に紹介したものであり、「個人情報保護や防犯のために必要」とする市の反論も併せ載せている。だが、市の抗議文は「極めて一方的である」と決めつけた。
見解や論調に対する公権力の抗議は、基本的にイチャモンである。社会事象について絶対の「客観」はない。だから民主主義には多様な議論が必要なのであり、だから報道の「自由」こそが、大切なのだ。
公権力が、自分の意にそわない言論を抑圧する時に何が起きるか。ロシア政府が「気に入らない」と権力を使って潰した「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙(ノーベル平和賞受賞)は、ウクライナ侵攻に反対の論陣を張っていた。政府と新聞の、どちらが偏っているのか。
新聞労連の声明によると、「ここ数年、石川県や山梨県、徳島市、兵庫県(中略)などで、首長や議長が取材活動を妨害したり、制限を加えたりする事態」が相次いでいる。報道の自由への介入・抑圧は、メディアがスクラムを組んで断固はね返さねばならない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
4月12日にはメディア総合研究所事務局長の岩崎貞明氏が講師として参加、「横浜市のメディア介入を考える」学習会を開催した。
岩崎氏は学習会で「横浜市の対応は明らかに編集への介入」と断定し、「言論の自由や編集の独立の視点からも看過できない、市民も監視を強めるべきだ」とした。会の賛同団体となったJCJ神奈川支部代表の藤森研氏も学習会に参加し「報道の自由侵害は市民の知る権利の蹂躙だ」と発言した。藤森氏の発言の要旨は以下の通り。
横浜市が、神奈川新聞などに「抗議文」を出した今回の事態は、言論の自由な流通を妨害する行為で、あってはならないことだ。
山中市長は記者会見で、「抗議文」ではなく「疑義があった点を尋ねた」と語ったが、1か月足らずの間に4回にわたって論調への批判を続け、文書回答を求めるやり方は、圧力そのものである。
事実の間違いに対する訂正要求ならばあっていい。ジャーナリズムの本質は事実確認の規律だからだ。しかし今回の抗議文は違う。
たとえば市庁舎に関する記事の「横浜市の閉鎖性は突出している」という記述は、市民団体の主張を丁寧に紹介したものであり、「個人情報保護や防犯のために必要」とする市の反論も併せ載せている。だが、市の抗議文は「極めて一方的である」と決めつけた。
見解や論調に対する公権力の抗議は、基本的にイチャモンである。社会事象について絶対の「客観」はない。だから民主主義には多様な議論が必要なのであり、だから報道の「自由」こそが、大切なのだ。
公権力が、自分の意にそわない言論を抑圧する時に何が起きるか。ロシア政府が「気に入らない」と権力を使って潰した「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙(ノーベル平和賞受賞)は、ウクライナ侵攻に反対の論陣を張っていた。政府と新聞の、どちらが偏っているのか。
新聞労連の声明によると、「ここ数年、石川県や山梨県、徳島市、兵庫県(中略)などで、首長や議長が取材活動を妨害したり、制限を加えたりする事態」が相次いでいる。報道の自由への介入・抑圧は、メディアがスクラムを組んで断固はね返さねばならない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年05月29日
【横浜市メディア威圧1】新聞社・通信社に圧力文書 「報道の萎縮が目的」市民、撤回求め抗議行動=井浦 徹
神奈川新聞の4つの記事に対し、横浜市が内容に介入する文書を神奈川新聞社に提出していたことが明らかになった。文書は昨年11月〜12月にかけ、政策経営局報道担当部長名(3通は関係部長と連名)で出された。市が「問題だ」と主張した各記事のポイントは次の通り。()内は対象とされた記事の掲載日。
国際プールや
ふ頭再開発計画
@横浜国際プール再整備関連の2つの記事
(昨年11月20日・12月11日)
夏はプール、冬は体育館として使ってきたアリーナを通年体育館にする計画案に対し、「(結論ありきで進めて来たかのような)一方的な見解を記載したことは、読者に対して偏った印象を与える」
A山下ふ頭再開発検討委員会に関する記事
(12月10日)
「山下ふ頭の再開発を『行政主導の開発』と位置づけ、『市民意見を踏まえたまちづくり』とは相反するものという前提に立った論旨になっている」
B横浜市庁舎に関する記事(12月5日)
「市民の会が主張する『横浜市庁舎の閉鎖性は他自治体と比較して突出している』という内容について新聞社としての事実確認を行った形跡が読み取れない」
などといった指摘をしている。
4通の文書は、「市民に誤解を与えない公平性を担保した記事掲載を求めるとともに、本市の見解について御社の回答を文書で求める」と締め括られ、4通の内3通は翌営業日までの回答を求めている。
1月9日の横浜市長定例会見で神奈川新聞記者が見解を問うたが、山中竹春市長は経緯や内容を「把握していない」と答えた。
神奈川新聞は
「事実に基づく」
翌10日、神奈川新聞は「横浜市が『公平性』求め神奈川新聞社に抗議文」の見出しで経過を報じた。その上で、いずれも適切な取材で判明した事実に基づく記事であり、市の文書は「報道の委縮」を目的とした圧力と判断、市への文書回答を保留にしている、と表明した。
他紙の記者も定例会見で文書の適切性について質問したが、市長は「所管と担当記者のやり取りだと承知している」と回答。問題ないとの認識を変えなかった。
新聞労連は、2月17日に「横浜市による度重なる『報道介入』に抗議」の声明を発表。この中で、全国各地で首長や議長が取材活動への妨害や制限をする事態が相次いでいると指摘し、公権力による不当介入に抗議の意思を示すと宣言した。
2月20日の横浜市会本会議では2人の市議が、「部長名文書は職務権限の軽易な照会を超えた文書だ」などと市長に質したが、市長の答弁の内容は終始曖昧だった。
「考える会」結成
文書撤回求める
ことの重大性をいち早く感じた市民が情報開示請求をしたところ、市が10月28日付で共同通信社に対しても抗議文を出していたことが判明。
市民は「公権力とメディアの関係を考える会」(竹岡健治代表)を結成し、2月5日に新聞社への文書撤回を求める市長陳情を60数名の連名で提出した。
これに対して山中市長は「事実誤認については訂正を求めたり、記事内容の正確性について指摘や申し入れすることはある」とし、「今回もその一環」との回答にとどまっている。
市民は3月24日、横浜市庁舎前で抗議行動を行った=写真=。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年04月13日
【支部リポート】神奈川 新聞博物館で報道写真展 34社の記者 約300点展示=保坂 義久
例年12月に都内のデパートを会場に開かれる報道写真展。東京写真記者協会に所属している34社の記者が撮影した約300点を展示するもので、石破茂総理が会場を訪れたと報じられた。
年が明けてから横浜市にある新聞博物館(ニュースパーク)に巡回した2024年報道写真展に行ってみた。
写真展の展示はいつもどおり、東京写真記者協会賞受賞作品が入り口近くに置かれている。受賞作は能登半島地震で体育館に避難した3人の子が、布団をかぶって絵を描いている写真。写真展のチラシにも掲載されていた『「泣いてもいいんだよ」避難所での母との約束』というタイトルと説明文が添えられている。
順路には、それぞれ国内と海外に分かれた一般ニュース部門 企画部門、スポーツ部門と文化芸能部門の部門賞と奨励賞が展示されている。国内一般ニュースの部門賞「日航機衝突炎上」は、能登半島地震の翌日に起きた羽田空港での事故として忘れられない。
1月から11月まで月別の展示もある。歳時記のような題材もあり、政治・経済のニュースもあり様々だ。9月には「5度目の朝鮮、非願成就」というタイトルの、石破茂氏が自民党総裁室の椅子に笑顔で座っている写真のパネルがあり、10月には当選者の名に花をつける石破氏の写真に「花はつけるも 衆院選・自公過半数割れ」のタイトルが皮肉だ。
昨年はパリオリンピック、パラリンピックが開催された年なので、関連する写真がまとめて展示されている。日本選手団の好調もあってかオリンピック関連の写真は最も展示数が多く60点を超える。
「2024年に大谷翔平選手」の展示数は12点だ。
「令和6年能登半島地震」としてまとめられた=写真=は13点を数える。
この報道写真展の会期は4月20日まで。企画展は無料だが、ニュースパークの入場料(400円)は必要だ。3階の常設展示では、新聞の役割などが歴史資料とともに学べる。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
2025年01月08日
【神奈川支部例会】5歳、体中にガラス片 被爆の「語り部」丸山さんが講演
神奈川支部は11月30日に支部例会を開いた。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞する機会に、被団協の構成団体である神奈川県原爆被災者の会会長の丸山進さんが講演した。
丸山さんは神戸市生まれで現在85歳。2歳の時に母親と死別し、神戸空襲で家を焼かれ1945年3月に出身地の広島に移住した。
家族は祖母、父親、15歳と12歳の2人の姉、10歳の兄との6人で、5歳の丸山さんは、祖母や上の姉と爆心地から2キロにある自宅にいた。朝食の後、自宅近くの空き地で遊んでいると、突然ものすごい光を浴びた。その後、突風とともに吹き飛ばされて気を失ったという。気がつくと体中に細かいガラス片が突き刺さっていた。家に帰ろうとしたが周囲の風景が全く以前とは違っていて迷ってしまった。偶然、知り合いの人に遭って泊めてもらった。
家族の安否は明暗が分かれた。5歳年長の兄は学童疎開で爆心地から20キロ離れた地域にいた。疎開先で兄が溺れかけ教員に助けられたので、父親はそのお礼に赴くため市内を離れていた。一方、女学校1年だった下の姉は建物疎開に動員され、爆心地から1キロで被災。被災した生徒たちは即死だったという。自宅で被爆した祖母は、2週間後に亡くなった。
その後、父親が長崎の炭鉱で職を得て家族は長崎に移住した。丸山さんは長崎で育ち20歳で上京、1年ほどで神奈川県相模原市に移った。
長い間、丸山さんは被爆者であることを意識してこなかったという。
1996年から10年間は地域の自治会で活動した。2005年に相模原の原爆被災者の会から手紙が来て、被爆者運動に参加した。
被爆時にある程度の年齢でないと原爆被災の実態は語れないと思う丸山さんだったが、女学校1年の時に被爆した前任者を助けて「語り部」の活動を続けた。
「被団協のノーベル平和賞授与は、過去にも何回取り沙汰されたが実現しなかった。長年地道に活動してきたら、核兵器禁止条約という思いもかけないものが締結された。日本政府にはせめてオブザーバー参加をしてほしい」と丸山さんは語った。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年12月25日号
丸山さんは神戸市生まれで現在85歳。2歳の時に母親と死別し、神戸空襲で家を焼かれ1945年3月に出身地の広島に移住した。
家族は祖母、父親、15歳と12歳の2人の姉、10歳の兄との6人で、5歳の丸山さんは、祖母や上の姉と爆心地から2キロにある自宅にいた。朝食の後、自宅近くの空き地で遊んでいると、突然ものすごい光を浴びた。その後、突風とともに吹き飛ばされて気を失ったという。気がつくと体中に細かいガラス片が突き刺さっていた。家に帰ろうとしたが周囲の風景が全く以前とは違っていて迷ってしまった。偶然、知り合いの人に遭って泊めてもらった。
家族の安否は明暗が分かれた。5歳年長の兄は学童疎開で爆心地から20キロ離れた地域にいた。疎開先で兄が溺れかけ教員に助けられたので、父親はそのお礼に赴くため市内を離れていた。一方、女学校1年だった下の姉は建物疎開に動員され、爆心地から1キロで被災。被災した生徒たちは即死だったという。自宅で被爆した祖母は、2週間後に亡くなった。
その後、父親が長崎の炭鉱で職を得て家族は長崎に移住した。丸山さんは長崎で育ち20歳で上京、1年ほどで神奈川県相模原市に移った。
長い間、丸山さんは被爆者であることを意識してこなかったという。
1996年から10年間は地域の自治会で活動した。2005年に相模原の原爆被災者の会から手紙が来て、被爆者運動に参加した。
被爆時にある程度の年齢でないと原爆被災の実態は語れないと思う丸山さんだったが、女学校1年の時に被爆した前任者を助けて「語り部」の活動を続けた。
「被団協のノーベル平和賞授与は、過去にも何回取り沙汰されたが実現しなかった。長年地道に活動してきたら、核兵器禁止条約という思いもかけないものが締結された。日本政府にはせめてオブザーバー参加をしてほしい」と丸山さんは語った。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年12月25日号
2024年08月13日
【環境破壊】海はプラスチックスープ、 磯焼け、海面上昇 武本氏招き例会 「気候正義の言葉覚えて」=神奈川支部
神奈川支部は6月29日、横浜市で支部例会を開いた。講師はプロダイバーで環境活動家の武本匡弘氏=写真=。武本氏は自ら撮影した水中画像を示し、危機的な海の環境破壊の状況を報告した。
大気中の二酸化炭素の増加による地球温暖化は、海の環境も大きく変化させた。海面温度の上昇により沖縄ではサンゴの白化が起こり、全国的には海藻が育たない「磯焼け」が広がっている。
サンゴ礁の海に住む魚はサンゴと共生しているので、太平洋の島嶼国の人々は食料危機におちいっている、とヨットでキリバスやマーシャル諸島などの国々を訪問した武本さんは説明した。温暖化による海面上昇も深刻で、大潮の満潮時には国土全体が水につかる島もある。CO2を排出して豊かな暮らしを維持している先進国と、温暖化の犠牲になっている国の間には不正義がある。不正義は国家間だけでなく、現在豊かな生活のためにCO2を排出してきた世代と、その影響を被る次世代の間にもあるとして、武本さんは「気候正義」という言葉を覚えてほしいと語った。
武本さんは毎年ヨットで太平洋の島々へ航海している。航海中、何日も島影を見ない海域でも、毎日見かけるのはプラスチックの漂流物。細かな網を海中に入れると、プランクトンに交じりマイクロプラスチックが採取される。中でも多いのが化学繊維だ。EUでは2050年までに化学繊維の使用を禁止しようとしているが、日本は全く問題意識をもっていない。「地球の海はプラスチックスープの海」だと武本さんはいう。
海洋プラスチックと地球温暖化は共通する問題だ。プラスチックは石油から作られるし、リサイクルするにもCO2が排出される。
講演の後半では、気候変動と平和の危機の関係が語られた。
武本さんは沖縄を年に4回訪れている。辺野古の大浦湾で潜水するためだ。一昨年の11月と昨年11月に撮影した写真を比較し、1年の間にサンゴの破壊が進んでいることを示した。
戦争準備は基地建設にとどまらない。地球温暖化の影響を受けているグアム、サイパンなど太平洋の島々は、米軍のリクルートの盛んな地域で、そこで勧誘され入隊した兵士の戦死率は、米本国の4倍だ。
戦争は準備段階から軍事行動、そして戦後処理に至るまでCO2を大量に排出する愚行と、武本さんは強調した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年7月25日号
2024年07月03日
【支部リポート】神奈川 日本の侵略にも焦点 29回目の戦争展、次代へ=保坂義久
横浜大空襲があっ5月29日の頃には、毎年「平和のための戦争展inよこはま」が開かれる。今年も横浜市・中区のかながわ県民センター1階展示場で開かれた。
横浜の戦争展は今年で29回目。大空襲後の廃墟や戦時中の生活の写真をはじめ、市内にある戦争遺跡などがパネル展示されている。桐生悠々が批判したことで知られる「関東防空演習」のポスターとその発見の経緯を伝える2007年8月の神奈川新聞の紙面=写真=が興味深かった。戦争展の最近の特徴はアジアにおける日本の侵略に焦点をあてていることだ。
また今年は朗読劇と講演が5月26日午後に、「戦争・核被害体験を語り継ぐ」という企画は6月1日の午後に、同センターの2階ホールで行われた。
朗読劇は横浜市立日吉台中学校演劇部による「安全地帯にいる人の言うことは聞くな〜戦場の軍人たちが残した言葉と現在〜」。職業軍人3人の遺した戦争体験をもとに構成した作品で、南方戦線で軍務につき、特攻隊の生みの親と言われた太西瀧治郎中将の副官だった門司親徳少佐の言葉から標題がとられている。
続く講演、最初は空襲当時5歳だった金子光一さんの体験談。当時の写真などを示しながら、家族とはぐれて見知らぬ人と避難した幼い日の体験を語った。
次に「日本とガザ・パレスチナ〜平和と共存に向けて〜」と題し、日本中東学会元会長でお茶の水大学名誉教授の三浦徹さんが講演した。三浦さんはイスラエルとパレスチナが民族や宗教の対立と誤解されるなど、日本でのイスラム理解が偏っていることを指摘した。
6月1日には、横浜商業高校OGが横浜大空襲体験者に聞き取り調査した結果の報告や、母親が広島で被爆した被爆二世が親から聞いた体験談、神奈川学園中学・高校の生徒による核実験場であるマーシャル諸島と神奈川をつなぐデジタルアーカイブについて発表した。戦争体験の伝え方を考えさせる催しだった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年6月25日号
2024年06月15日
【護憲】憲法集会に3万2000人=保坂義久
憲法集会に開催された5月3日、東京の有明防災公園の「武力で平和はつくれない取りもどそう憲法を生かす政治を2024年憲法大集会」にはJCJ有志を含め3万2000人が参加、。
集会のメインステージでは伊藤塾の伊藤真塾長、新外交イニシアチブ(ND)の猿田佐世代表の二人の弁護士がスピーチ。伊藤氏は「今まで私たちは憲法に守られてきたが、これからはわたしたちが憲法を守るべき」「人口比例選挙の実現を」。猿田氏は、アメリカが広範囲な分野で日米韓の参加国連携に力を入れていることを例に、「本気の外交こそ重要だ」と強調した。
政党挨拶では、立憲民主党の逢坂誠二氏は自民党の裏金疑惑にふれ、「法律を守らない議員が憲法を変える議論をすることが異常」。共産党の田村智子委員長は、4月の日米首脳会談で決められた米軍と自衛隊のハイグレードな連携は「自衛隊を米軍の指揮下に置くもの」と批判した。
れいわ新選組の櫛渕麻里共同代表は「日本は世界の国民が恐怖と欠乏から免れる世界を作る先頭に立つべき」と呼びかけ、社民党の福島瑞穂党首は「日本が武器を売った金を儲ける死の商人国家になってはならない」と訴えた。また、市民連合の長尾歌子さんは、連帯の挨拶で市民と野党、野党同士の連携を呼びかけた。
続くリレートークでは「地震と原発」で福島原発告訴団の武藤類子団長は原発再稼働が粛粛と進められていることに危機感を露わに。「沖縄問題」で高里鈴代・辺野古に基地をつくらせないオール沖縄会議共同代表は「最高裁は辺野古基地建設で、沖縄県に代わる国の代執行を認めたが、これは47都道府県のうちで沖縄が初めて」と「沖縄差別」を指摘。「外国人と」人権」では山岸素子・移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長が相次ぐ入管法の改悪を批判。「核問題」では大内由紀子・コネクトヒロシマ代表が「核兵器禁止条約は核無き世界への入り口。日本は核保有国をそこへ導くべき」と提起。「パレスチナ問題」では猫塚義夫・北海道パレスチナ医療奉仕団団長が「ガザは酒井最大の虐殺場になっている」と、イスラエルやアメリカを批判した。
最後に「戦争をさせない1000人委員会」の染 裕之さんが経済安保新法、地方自治法改正阻止を「行動提起」とした。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年5月25日号
2024年04月07日
【JCJ神奈川講演会】防衛大学校の実態は いじめ事件で神奈川支部例会 閉鎖的な環境 悪質かつ幼稚=保坂義久
JCJ神奈川支部は2月23日、横浜市内で例会を開いた。テーマは防衛大学校いじめ事件と国賠請求訴訟。原告の代理人の田渕大輔弁護士=写真=が、裁判の経過と防衛大学校の実態について講演した。
神奈川県横須賀市にある防衛大学校は自衛隊の幹部を養成する国の機関で大学ではない。学生は国家公務員となり、手当てが支給される。授業料は免除で全寮制。入学後4年間、共同生活を送る。
防大の教育内容で特殊なものに「学生間指導」がある。上級生が下級生を指導するもので、将来の自衛隊幹部を育成するための教育・訓練として位置づけられている。
神奈川の国賠訴訟の原告は2013年に防衛大学校に入学した。上級生たちからいじめを受け過呼吸を発症して、学内の病院で適応障害と診断された。
進級してからも上級生によるいじめは続き、原告は次第に言葉を発することができなくなった。しかし、防大当局はなんら対応策を取らず、2017年に、原告は退校させられた。
田渕弁護士は、この事案のポイントとして3点を指摘した。一つ目はいじめが学校という閉鎖的な環境で行われたため、証拠の壁がある。二つ目は身体に受けた傷はわかりやすいが心の傷は理解されにくい。原告は心理的な傷から言葉を発することが困難になったが、目に見える傷は負っていない。心理的な傷はこれまでも裁判上で軽く見られるケースが多い。3つ目は防衛大学校で起こった点だ。訴えられたいじめ行為は悪質で、また幼稚でもある。防大の卒業生の多くは、自衛隊幹部になる。自衛隊は殺傷能力のある武器を保有した軍隊。有事の時は、防大を卒業した幹部自衛官が、一般の自衛官に危険な任務を命じることになる。その時に人の気持ちや人の尊厳を全く考えられない幹部に多くの自衛官の指揮を任せていいのか。自衛隊は今のあり方が問われる。
実際にはどのようないじめがあったのか。うどん2キロ分を完食させる「食いしばき」や仰向けにさせて腹部を踏みつける「腹ふみ」、学生間指導として、集団で罵倒する行為などがあったとしている。
裁判は国と加害者の上級生1人を訴えたもの。防大の教官は原告に対しての不適切な指導を認識していたことが明らかで、安全配慮義務違反があったと原告は主張している。
国家賠償法では公務員の職務遂行上の行為は個人として責任を負わないとされている。この上級生の責任が認められるかも争点の一つとなる。
原告が言葉を発せられないことから、裁判も異例の方法で進行した。田渕弁護士は、原告が法廷ではパソコンを使って懸命に証言していること、加害者の上級生が証言したときは、過呼吸を発症したと、原告の心の傷の深さを語った。
参加者は36人。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年3月25日号
2023年11月07日
【支部リポート】神奈川 マイナ保険証テーマに メリットも怪しい=保坂 義久
神奈川支部では10月7日には横浜市内でマイナ保険証をテーマの例会を開いた。講師は神奈川県保険医協会・事務局の勝亦琢磨さん=写真=。
勝亦さんは最初に健康保険証の役割や、政府の急激な保険証廃止の動きを説明した。
「マイナ保険証」とはマイナンバーカードを健康保険証として利用すること。カードに入っているICチップによってオンラインで資格確認をする。
マイナンバーカードは2016年に発行されたが、20年4月時点で16%に普及にとどまっていた。医療機関でのオンライン資格確認システムは21年10月に始まったが、導入率は22年5月時点で19%。そのため政府は、国民向けにマイナポイントの支給、医療機関にはシステム導入の初期費用の支給という「アメ」と、24年秋までに保険証廃止と医療機関のオンライン認証システム原則義務化の「ムチ」による政策を打ち出した。
そして23年3月に「保険証廃止法案」を国会提出し、6月に成立させた。しかし5月中からマイナ保険証に他人の情報が紐づけられるなどのトラブルが続出。成立後もマイナ保険証の未登録が協会けんぽで77万件にのぼることなどが明らかになった。
保険医協会、保団連が医療機関で行った調査では、マイナ保険証で確認すると無効や保険資格なしとされるケースや健康保険証に記載されている負担割合とデータ上で示される負担割合が違うケースなどが報告され、患者のカードリーダーの操作を手助けするなど、窓口での負担が増加している実態が明らかになった、
これまで政府が言ってきたマイナ保険証のメリットも怪しい。マイナカードによって正確な資格情報がリアルタイムで確認できるわけではないし、暗証番号を入手すれば、なりすまし受診は可能だ。
勝亦さんは報道機関の論調も「保険証存続」に傾き、自治体からも「見直し」の声が上がった現状にふれた後、医療Ⅾ✕と呼ばれる医療分野における政府の狙いについて語った。そこではマイナカードを取得・利用させながらそれを義務化はせず、損害については利用者の自己責任とする。医療情報は健康や身体に関する機微にわたる個人情報であり、強引なデジタル化に「対抗する必要を強調した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年10月25日号
2023年10月23日
【JCJ神奈川支部】横浜 殉難慰霊碑前で追悼会 少年時代に虐殺目撃した市民が碑建立=保坂義久(神奈川支部)
関東大震災から100年。JCJ神奈川支部は2日、2013年から横浜市の久保山墓地の「関東大震災殉難朝鮮人慰霊之碑」前で続く「朝鮮人虐殺神奈川追悼会」に参加した。慰霊碑は「横濱市大震火災横死者合葬之墓」(大正15年建立)の近くに建ち、碑の裏には「昭和四十九年九月一日 少年の日に目撃した一市民建立」とある。供えられた花には横浜市長からの献花もあった。
ここ数年、東京の犠牲者追悼「慰霊法要」には追悼文を送る小池都知事が、朝鮮人犠牲者の追悼式典には追悼文を送らないことが問題化。今年も小池都知事はその姿勢を変えず、この日、横浜でも批判の声があがった。だが今年8月31日、虐殺について松野博一官房長官が、「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」と答弁。歴史事実の隠ぺい、改ざんであるこの問題発言には、追悼会のスピーチでも批判が集中した。
追悼会では犠牲者への黙祷の後、関東大震災時朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行委員会の山本すみ子代表が主催者挨拶。山本氏は警察が「朝鮮人が攻めてくる」など流言を拡散したことを指摘。また、日清・日露の両戦争で朝鮮人と対峙した経験を持つ元兵士である在郷軍人の役割に言及した。さらに、川崎市在住で、自身へのヘイトスピーチと闘っている崔江以子(チェカンイジャ)さんや、ヘイトに対抗し川崎駅前読書会を開いている人たちも相次いで発言。会場では福島瑞穂参議院議員も飛び入りでスピーチし、「政府は虐殺関連文書を確かに保管している」と強調した。
慰霊碑前の追悼集会には330人が参加、碑前では韓国から来た遺族のスピーチがあり、韓国舞踊が演じられた。神奈川朝鮮中高級学校中級部1年生はアリランの合唱などを披露した。最後は集会実行委員会の運営委員による朗読劇もあった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年9月25日号
ここ数年、東京の犠牲者追悼「慰霊法要」には追悼文を送る小池都知事が、朝鮮人犠牲者の追悼式典には追悼文を送らないことが問題化。今年も小池都知事はその姿勢を変えず、この日、横浜でも批判の声があがった。だが今年8月31日、虐殺について松野博一官房長官が、「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」と答弁。歴史事実の隠ぺい、改ざんであるこの問題発言には、追悼会のスピーチでも批判が集中した。
追悼会では犠牲者への黙祷の後、関東大震災時朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行委員会の山本すみ子代表が主催者挨拶。山本氏は警察が「朝鮮人が攻めてくる」など流言を拡散したことを指摘。また、日清・日露の両戦争で朝鮮人と対峙した経験を持つ元兵士である在郷軍人の役割に言及した。さらに、川崎市在住で、自身へのヘイトスピーチと闘っている崔江以子(チェカンイジャ)さんや、ヘイトに対抗し川崎駅前読書会を開いている人たちも相次いで発言。会場では福島瑞穂参議院議員も飛び入りでスピーチし、「政府は虐殺関連文書を確かに保管している」と強調した。
慰霊碑前の追悼集会には330人が参加、碑前では韓国から来た遺族のスピーチがあり、韓国舞踊が演じられた。神奈川朝鮮中高級学校中級部1年生はアリランの合唱などを披露した。最後は集会実行委員会の運営委員による朗読劇もあった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年9月25日号
2023年08月14日
【神奈川支部例会】横浜港で進む戦争準備 物流拠点の揚力艇増強=保坂義久
JCJ神奈川支部は7月9日、横浜市・西区のかながわ県民センターで支部総会と例会=写真=を開いた。例会のテーマは「横浜港で進む戦争準備 ノースドックへ米部隊配備」。ピースデポ理事の木元茂夫さんが、横浜港の瑞穂ふ頭にある米軍の物流拠点・ノースドックについて、歴史的な流れと揚陸艇配備などの新たな動きを解説した。
「戦車闘争」
戦中には高射砲陣地があった瑞穂ふ頭は、終戦後、横浜港の他の施設とともに接収された。朝鮮戦争時には、アメリカを中心とした国連軍の兵站拠点として機能した。
その後、他の港湾施設が返還されるなか米軍施設として残された。
ベトナム戦争末期の1972年には、相模原補給廠で修理した戦闘車両のノースドックへの搬入を阻止する「戦車闘争」が起こった。
戦車の重量が道路法の制限を超過することを問うたこの闘争に、政府は車両制限令を改定して対処した。
小型揚陸艇
そうした歴史的経緯を持つノースドックに、米陸軍のLCU(小型揚陸艇)5隻が2002年8月搬入され、2004年までに32隻にまで増やした。
木元さんは、有事になってから沖縄に物資を運ぶのではなく、事態が少しでも危うくなったら、揚陸艇部隊は沖縄に移動する。LCUは350トンの荷物を運ぶことができるが、速力は11ノットと遅い。あらかじめ沖縄に移動させておき、宮古島や石垣島などと沖縄本島との補給に使うのではないかと指摘した。
港内で訓練
ノースドックは岸壁であり、飛行場ではない。陸揚げされたオスプレイが横田基地まで飛行、横田基地所属のヘリが、ノースドックで飛行訓練したりしている。
今年1月に日米外務防衛相会談で、沖縄駐留の米海兵隊と横浜ノースドックのLCU部隊の再編が提案された。ノースドックに来年までに280人の船舶部隊を置く。280人の兵員は横須賀や座間に宿泊する。
こういう時の常として最初から兵舎を作るなどということはない。ほとぼりが冷めてから計画が出てくるのではと木元さんは推測する。
木元さん自身は「見たことはない」と断ったが、LCUの訓練は横浜港内で平然と行われている。
中国と対決
懸念されるのは海兵隊の再編だ。
アメリカは台湾有事を煽り立てながら計画を推進してきた。第1列島線と呼ばれる島々に遠征前線基地を作り、そこを拠点に作戦行動する。遠征前線基地を維持するためにLCUが必要になる。
今年の始めには米中が激突するシミュレーションが話題を呼んだ。アメリカは空母を2隻、艦艇は百数十隻、航空機も数百機失うとの結果がでた。
木元さんはアメリカがそこまでの犠牲を払わないだろうとするが、原子力空母2隻が沈没した場合の放射能汚染の深刻さは計り知れない。
さらに木元さんは、自衛隊が海上輸送能力を強化している実態にも触れ、将来は自衛隊だけでなく海兵隊員や物資を運ぶだろうと指摘した。
最後に昨年9月に米揚陸艦ラシュモアが参加して、沼津海浜訓練場で行った日米共同訓練をウォッチした経過を報告。「政府・与党は『安全保障環境の悪化』というが、悪化させているのは誰か」。双方が軍事行動を抑制することが重要だと強調した。
講演後は36人の参加者から質問を受け付けた。「興味のない人にどう伝えればいいか」との質問に答える中で、木元さんは「人々の関心を牽くのはリアリズム」と語り、映像の力を強調した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年7月25日号
2022年06月28日
【神奈川支部】国民無視の実質憲法改変進む 武蔵野美大・志田陽子教授が講演=保坂義久
市民グループや労働組合などが集まって年に2回の集会を開催している「かながわ憲法フォーラム」が5月1日、横浜のかながわ労働プラザで開かれた。志田陽子武蔵野美術大学教授が「憲法改正の理路と脱輪、主権者スルー改憲を考える」と題して講演した。
志田氏は、コロナ対策を根拠として緊急事態条項新設を主張する改憲論を批判し、今の憲法は、「公共の福祉」として国にコロナ対策を要求している、とした。
志田氏はこれまでの高等教育無償化や同性婚などを理由として改憲を求める議論を批判した。
改憲の必要のない事柄についての改憲論が出てくる一方、現実の政治では、国民の意思を問わずに憲法の実質的な改変が進んでいる。その例として志田氏は、2015年の安保関連法案や野党が憲法53条に基づいて臨時国会召集を要求した際に、政府・与党側が応じなかったケースをあげた。
また志田氏は憲法95条には、地方公共団体に関する特別法の制定には、その地方で住民投票をしなければならない規定があるにもかかわらず、この条文に基づく住民投票は1950年代以降行われていないと指摘した。
さらに志田氏は、日本では憲法として基本原則を定めた部分と、国会法や公職選挙法などの憲法付属法に分けているが、外国の憲法には詳細を憲法の条文に直接書いてあることが多く、欧米の国では何度も憲法改正しているという議論はその点を混同しているとした。
保坂義久
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年5月25日号
志田氏は、コロナ対策を根拠として緊急事態条項新設を主張する改憲論を批判し、今の憲法は、「公共の福祉」として国にコロナ対策を要求している、とした。
志田氏はこれまでの高等教育無償化や同性婚などを理由として改憲を求める議論を批判した。
改憲の必要のない事柄についての改憲論が出てくる一方、現実の政治では、国民の意思を問わずに憲法の実質的な改変が進んでいる。その例として志田氏は、2015年の安保関連法案や野党が憲法53条に基づいて臨時国会召集を要求した際に、政府・与党側が応じなかったケースをあげた。
また志田氏は憲法95条には、地方公共団体に関する特別法の制定には、その地方で住民投票をしなければならない規定があるにもかかわらず、この条文に基づく住民投票は1950年代以降行われていないと指摘した。
さらに志田氏は、日本では憲法として基本原則を定めた部分と、国会法や公職選挙法などの憲法付属法に分けているが、外国の憲法には詳細を憲法の条文に直接書いてあることが多く、欧米の国では何度も憲法改正しているという議論はその点を混同しているとした。
保坂義久
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年5月25日号
2021年10月18日
【支部リポート】神奈川 「カジノはいらない」横浜市長選に市民の思い=伊東良平
神奈川支部では横浜におけるカジノを含むIRを反対する立場から、横浜カジノの是非を自ら決めようという「市民の会」などの活動を追跡取材して支部通信に掲載してきたが、その審判となったのが、8月22日に投開票が行われた横浜市長選挙であった。
大きく報道されたように、カジノの「断固反対、即時撤回」を訴えた立憲民主党推薦の元横浜市立大学教授・山中竹春氏が現職閣僚を辞めて立候補した自民党の小此木八郎氏をはじめ過去3回当選の現職市長、元県知事の2人らを抑えて当選を決めた。菅首相のお膝元で全面的に支援した小此木氏の敗北はその後の菅首相の総裁選不出馬=事実上の退陣につながったのはご存じのとおりである。
山中氏は医学部教授の立場でコロナについてテレビのワイドショーにゲスト出演していたとはいえほとんど無名の新人である。その知名度アップのために「市民の会」などの諸団体や労組、市民ボランティアが一体となって草の根的な宣伝活動を行った。多くの駅前でのビラ配布や政策チラシのポスティングなど、押し上げに力を発揮した。
自民・公明が事実上応援した小此木氏が「IR誘致取りやめ」を表明したために、自民党の一部市議がIR推進の林前市長を支持して保守分裂に助けられた面もあるが、IRを反対する候補者も田中康夫氏など知名度のある人が立って票が割れたことを考えると、山中氏の善戦は際立っている。
コロナ対策が後手となった菅政権の中で、横浜市はさらにワクチン接種が遅れるなどの状況であり、専門の立場で「データと科学的知見に基づくコロナ対策」を政策に掲げて、カジノだけでなく、コロナで得票を伸ばしたのが大きかったと言える。
山中新市長は9月10日市議会で、IR誘致の撤回を正式に表明した。ここに2014年以来8年間続いてきたカジノ反対運動にピリオドが打たれた。結果が出た後で敗戦の辞を述べた林前市長は「IR誘致表明以来、反対の嵐のなかを生きてきた」と述べたが、反対の嵐を呼び寄せたのは、カジノはいらないという一人ひとりの市民の熱い思いが作った大きな台風の眼であった。
伊東良平
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
大きく報道されたように、カジノの「断固反対、即時撤回」を訴えた立憲民主党推薦の元横浜市立大学教授・山中竹春氏が現職閣僚を辞めて立候補した自民党の小此木八郎氏をはじめ過去3回当選の現職市長、元県知事の2人らを抑えて当選を決めた。菅首相のお膝元で全面的に支援した小此木氏の敗北はその後の菅首相の総裁選不出馬=事実上の退陣につながったのはご存じのとおりである。
山中氏は医学部教授の立場でコロナについてテレビのワイドショーにゲスト出演していたとはいえほとんど無名の新人である。その知名度アップのために「市民の会」などの諸団体や労組、市民ボランティアが一体となって草の根的な宣伝活動を行った。多くの駅前でのビラ配布や政策チラシのポスティングなど、押し上げに力を発揮した。
自民・公明が事実上応援した小此木氏が「IR誘致取りやめ」を表明したために、自民党の一部市議がIR推進の林前市長を支持して保守分裂に助けられた面もあるが、IRを反対する候補者も田中康夫氏など知名度のある人が立って票が割れたことを考えると、山中氏の善戦は際立っている。
コロナ対策が後手となった菅政権の中で、横浜市はさらにワクチン接種が遅れるなどの状況であり、専門の立場で「データと科学的知見に基づくコロナ対策」を政策に掲げて、カジノだけでなく、コロナで得票を伸ばしたのが大きかったと言える。
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伊東良平
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
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