2026年04月10日
【裁判】取材で2次被害? 記者ら訴えた女性が問うもの 記者の取材「面談」が争点に 相手に向かう姿勢問われる=編集部
福岡市の西日本新聞社の社前で今年1月、市民たちの一団がメッセージボードを掲げて声をあげた=写真=。ボードには「DV被害者をなぜ傷つけるのか?」「被害者が訴える2次加害」「西日本新聞記者が書いた本」などの文字…。市民たちの行動は、過去のDV・ストーカー被害を連載記事やその後刊行された「評伝」に書かれた女性を支援するものだった。女性は取材のあり方を問いかけた民事訴訟を起こし、一審敗訴後、控訴審で争っている。編集部はこの問題には訴訟の行方とは別に、メディアの取材のあり方、報道することの意義と、される側へのプライバシー配慮について報道する側、される側の双方にとって真剣に検討すべき重い課題が孕まれていると考えた。
過去の被害が
ある日記事に
女性は「1999年から2000年にかけ、元交際相手からDVと執拗なストーカー被害を受けた」。加害男性には2001年8月に懲役10カ月の判決が下り、控訴も退けられて判決は確定。民事でも被害女性への100万円の損害賠償命令が出された。
だが、女性にとっては、終わった事件だった過去の被害は、約20年後の21年2月から3月にかけて西日本新聞の連載記事の中に掲載された。女性は「過去の被害が知らないところで記事になっていたことに、身体が震えるような衝撃を受けた」と述懐した。
「取材したい」
記者から連絡
女性のもとには2021年3月、記者から「連載をもとに『評伝』を書くので、被害者に取材したい」と連載終了後に連絡があったという。
女性が記事を読んだのは連絡を受けた後。記事はストーカー行為には全く触れず、「交際していた女性との関係がもつれ」殴打と表現されていた。加害男性の知人の「(男性が)一方的に悪いとは思わなかった」とのコメントが掲載されていた。女性は当時、加害男性が「痴話げんか」と主張していたことを思い出し、「加害者擁護」と疑問を持ったという。
だが、取材を断れば、加害者に都合の良いことのみが本に書かれるのではとも懸念、取材を受けようかと考えたという。
この時点で記者からは(女性が)登場する箇所は「原稿やゲラを見せる」、「書かれると差しさわりのある事柄は修正する」などの提案があり、「編集者への確認が必要ですが、筆者の私の意向ですので問題なくお見せできると思います」と約束したと女性はいう。
だが、ここから話はこじれ始める。その後、数日にわたってメールのやりとりをする中で、記者は「自分がいかに加害男性を尊敬しているか」というようなことを書いてきた。女性は取材を受けることに強い不安を感じ、思い切って記者に「私の被害を軽く考えているのではないか」と指摘。記者は一転して「取材申し入れを取り下げる」と言ってきたという。理由は「取材に最も重要な信頼関係を築くことは難しい」。指摘で「自分の人間性を否定された」。女性はとりあえず場をおさめ、記者と直接会って話をすることにした。
不信がつのった
ぶしつけな質問
女性と記者は2021年4月、西日本新聞社の会議室で会った。記者からは「思いを聞かせてほしい。通常取材でするメモや録音はしない」と前もって伝えられていたが、記者は女性に、加害男性と交際当時のプライバシーについて尋ねてきた。女性は「初対面の相手には絶対しない、親しい同性の友人にも直接尋ねるのをはばかるような性的な事柄」、他に私の被害を疑問視するような「(加害男性は)こう言っているがどう思うか」と質問され、「頭が真っ白になった」。記者は後にこの日のことを「面談」と言っている。
新聞社に対し
「抗議と要請」
女性は今後、取材には友人を同行した上で応じると表明したものの、不信を一層募らせた。
女性は翌5月、西日本新聞社に「抗議と要請」を送付。新聞に連載された記事の内容と記者の言動に抗議した。記者が「書く」予定の『評伝』については西日本新聞社と記者に「加害者側の一方的な主張のみを書かず、被害者側(女性)に取材の上、事実を正確に書く」、「原稿とゲラのチェックをさせる約束を守る」ことを要請した。
この時点では、記者の上司は女性の「抗議と要請」に、被害女性に取材せず記事にしたことを「詰めが甘かった」と反省し、ショックを与えたことを謝罪。ゲラチェックなど『評伝』への要望にも「真摯に受け止め最善を尽くす」としていた。
私にとっては
「加害」の再来
だが、女性と記者が会ったのは4月が最後だった。5月の西日本新聞社への「抗議と要請」送付後、記者は女性に一切取材はしていない。そして1年9カ月後の2023年1月、刊行された『評伝』には、事件の判決文をもとに女性のプライバシーが記載された。
「記者が尋ねてきた、あの性的な事柄です」、「もし、約束が守られていたら、私はこれは書かないでほしいと言っていた。私にとっては加害の再来に他なりません」
女性は「2次加害」だととらえ、2024年6月に、記者と西日本新聞社を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしたが、一審の地裁では2025年12月敗訴した。
争点となった「面談」でのやりとりが「取材にあたるか否か」について、判決は、「面談」ではメモも録音もせず、取材はしていないとの記者の説明を採用。取材していない=ゲラを見せなくてよい、とする論理を認めた。
一審で女性に協力し意見書を提出した元記者のJCJ会員は、記者経験に照らせば「録音・メモ取りをせず自由に話してもらう」事前取材は重要で、「面談」は「広い意味での取材」にあたると思うと語る。記者が取材相手と話し質問もした。相手の感触を探る取材ととらえるのが常識的ではと指摘。それ以上に、取材相手に向かう姿勢が問われているのではないかと問題提起している。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号
2026年03月25日
【沖縄リポート】女性パワー発揮も…課題重く=浦島 悦子
1月25日に投開票された名護市長選。現職・渡具知武豊氏(2万9票)に1万票近い差(前回の約2倍)をつけられて、私たちが推した翁長久美子候補=写真=(1万543票)は大敗した。投票率は60・75%と前回より大幅に下がった。
名護市民を30年近くにわたって翻弄してきた辺野古新基地建設について渡具知氏は賛否を明言せず、「市長が何を言っても工事は止められない」と居直る一方、基地建設への協力金である米軍再編交付金を使った3つの無償化(保育料・学校給食費・子ども医療費)の成果を強調し、翁長氏が市長になったらすべてなくなると宣伝した。政権離脱した公明党は、名護ではいち早く現職支持を打ち出した。
翁長候補は、市民の暮らしと安全を守り、玉城デニー知事と力を合わせて軍用機の飛ばない空、自然豊かな海を取り戻すため新基地建設に反対すると主張。従来の3つの無償化の継続に加え、乳幼児へのおむつ支給、18歳までのバス賃無料という5つの無償化、基地依存・本土ゼネコン優遇の再開発でなく地域力を活かした地元活性化を訴えたが届かなかった。
今回、名護市初の女性市長誕生を目指す女性パワーが大きく発揮され、街頭の反応も良かっただけに結果の衝撃は大きかった。出口調査によると、「辺野古新基地を容認しない」人が過半数を占めているにもかかわらず、票には反映されなかった。市民の中の疲れ・あきらめ、長年工事が続くことへの慣れや無関心、長くなるほど経済的にも生活の中に浸透していく現状を突き付けられた。
続く衆議院選の結果はさらに大きな衝撃だった。全国的に自民党大勝の予測はあったにせよ、沖縄4選挙区すべてで自民党が勝利するとは! 新党・中道への不信、2区では「オール沖縄」勢力の分裂が自民党を利し、これまで「オール沖縄」が連勝してきた1区もまさかの落選。新基地反対運動を支えてきた議席はすべて失われた。
この結果が今後の反対運動にどう影響して来るのか、秋の県知事選はどうなるのか、課題は重い。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年2月25日号
2026年02月21日
【沖縄リポート】戦争と自然破壊を許さない=浦島 悦子
昨年11月28日、沖縄防衛局は辺野古新基地建設に向けた大浦湾での「初の本格的な埋立開始」を大々的に発表。同時に、6月から姿を消していたサンドコンパクション船(海底の軟弱地盤改良のための砂杭打設船)6隻も大浦湾に戻り、12月19日から作業を再開した。
しかしこれらは、工事の大幅な遅れを取り繕い、1月25日に投開票される名護市長選に向けてのパフォーマンスで、実際の工事はほとんど進んでいないと思われる。
現在の埋立進捗率は未だ16〜17%だが、次年度予算を含めた工事経費は、防衛局が発表している総工費9300億円の90%以上に達すると地元紙は報道した。
12月20日、名護市内で海砂採取を巡るシンポジウムが開催された。沖縄では日本復帰前後の1970年頃から、公共工事のコンクリート骨材として沿岸部の海砂が大量に採取され、さまざまな被害をもたらしてきた。大浦湾の軟弱地盤改良工事に使用される海砂は沖縄全体の年間採取量の3年分に当たると言われ、危機感を持つ多くの市民、県民が参加した。
瀬戸内海で海砂採取による深刻な環境破壊・漁業被害を告発、住民運動によって採取全面禁止を勝ち取った環瀬戸内海会議共同代表の湯浅一郎さんは、海洋保護区からも採取されている沖縄の現状について、総量規制の必要性を訴えた=写真=。
湯浅さん含め参加者が最も衝撃を受けたのが、大宜味村でウミガメの観察・保護を続ける米須邦雄さん(日本ウミガメ協議会会員)の報告だった。砂浜の浸食によってウミガメが産卵できなくなり、産卵しても海水をかぶって孵化しないのだ。
シンポ前日、湯浅さんの沖縄島北部海岸視察に私も同行したが、浜という浜がことごとく、10年ほど前と比べても極端に幅が狭くなり、傾斜が急になっていることを実感し、ショックを受けた。
2026年は、トランプ米大統領によるベネズエラへの軍事攻撃、現職大統領の拘束という暴挙で明けた。「台湾有事」を口実にした急速な軍事化が進む沖縄にとって他人ごとではない。戦争と自然破壊に抗する1年が始まった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
しかしこれらは、工事の大幅な遅れを取り繕い、1月25日に投開票される名護市長選に向けてのパフォーマンスで、実際の工事はほとんど進んでいないと思われる。
現在の埋立進捗率は未だ16〜17%だが、次年度予算を含めた工事経費は、防衛局が発表している総工費9300億円の90%以上に達すると地元紙は報道した。
12月20日、名護市内で海砂採取を巡るシンポジウムが開催された。沖縄では日本復帰前後の1970年頃から、公共工事のコンクリート骨材として沿岸部の海砂が大量に採取され、さまざまな被害をもたらしてきた。大浦湾の軟弱地盤改良工事に使用される海砂は沖縄全体の年間採取量の3年分に当たると言われ、危機感を持つ多くの市民、県民が参加した。
瀬戸内海で海砂採取による深刻な環境破壊・漁業被害を告発、住民運動によって採取全面禁止を勝ち取った環瀬戸内海会議共同代表の湯浅一郎さんは、海洋保護区からも採取されている沖縄の現状について、総量規制の必要性を訴えた=写真=。
湯浅さん含め参加者が最も衝撃を受けたのが、大宜味村でウミガメの観察・保護を続ける米須邦雄さん(日本ウミガメ協議会会員)の報告だった。砂浜の浸食によってウミガメが産卵できなくなり、産卵しても海水をかぶって孵化しないのだ。
シンポ前日、湯浅さんの沖縄島北部海岸視察に私も同行したが、浜という浜がことごとく、10年ほど前と比べても極端に幅が狭くなり、傾斜が急になっていることを実感し、ショックを受けた。
2026年は、トランプ米大統領によるベネズエラへの軍事攻撃、現職大統領の拘束という暴挙で明けた。「台湾有事」を口実にした急速な軍事化が進む沖縄にとって他人ごとではない。戦争と自然破壊に抗する1年が始まった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年01月27日
【福岡支部リポート】支部存続へ改革案 休眠状態から脱却めざす=白垣 詔男
■組織じまいの意見も
このところ休眠状態≠フ福岡支部をどうするか―。
一部で「組織仕舞い」の意見も出ているが、今後の活動を含めて、存続か否かを11月初旬に開いた幹事会で話し合った。その結果、来年の総会時までに「支部改革案」を作り、活性化を目指すことにした。
会員は、2000年の支部発足時には35人いたが現在は15人。お亡くなりになったり高齢で退会したりと減員が続く一方、新加入者はわずか1人と寂しい。活動も、このところ、機関紙を年3回発行するものの、他の活動は、「友好団体」である「九条の会福岡県連絡会」「NHKを考える福岡の会」「九州民放OB会」などの主催行事に「共催」「協賛」するだけで主催行事はこの20年間ほど全くない。
かつては、中村哲さんの講演会を開き、多数の参加者で活気を覚えたこともあった。主催者として、「これがJCJの活動」だと実感した。
■なくなった活動
その後、福岡支部が主催した活動はなくなった。
最近では、支部が団体会員になっている「NHKを考える福岡の会」が10月25日(土)に開いた講演会(講師=岩崎貞明メディア総研事務局長)に「九州民放OB会」とともに共催に名を連ねた。その他、「九条の会福岡県連絡会」主催の憲法集会に「協賛」することもあるが、実際に動くのは、そうした団体の世話人や事務局員にもなっている支部会員らだ。
以上のような現状を打破しなければならないという意識はあるものの、実働する会員がほとんどおらず、会員の一部からは「支部を解散したら」「会費(年1万2千円)が高い」といった声が出ている。
■高額会費の問題も
会費が高いのは間違いない。会員を勧誘するにしても、会費に見合った支部の活動や会員になっても会費分のメリットが見つからないので声を掛けにくい。そこで、幹事会では「正会員のほかに会費を安くする準会員(呼び方は未定)制度を新設しては」と言う意見も出た。ただ、会費を安くすれば会員が増えるというものでもない。マスコミに働く現役の人たちが「JCJ活動」に興味を持ってくれるのか―。
こうした悩みを抱えながらJCJ活動をどうするか―。古くて新しい課題にどう取り組んでいくのか、来年が福岡支部の正念場になることは間違いないだろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
このところ休眠状態≠フ福岡支部をどうするか―。
一部で「組織仕舞い」の意見も出ているが、今後の活動を含めて、存続か否かを11月初旬に開いた幹事会で話し合った。その結果、来年の総会時までに「支部改革案」を作り、活性化を目指すことにした。
会員は、2000年の支部発足時には35人いたが現在は15人。お亡くなりになったり高齢で退会したりと減員が続く一方、新加入者はわずか1人と寂しい。活動も、このところ、機関紙を年3回発行するものの、他の活動は、「友好団体」である「九条の会福岡県連絡会」「NHKを考える福岡の会」「九州民放OB会」などの主催行事に「共催」「協賛」するだけで主催行事はこの20年間ほど全くない。
かつては、中村哲さんの講演会を開き、多数の参加者で活気を覚えたこともあった。主催者として、「これがJCJの活動」だと実感した。
■なくなった活動
その後、福岡支部が主催した活動はなくなった。
最近では、支部が団体会員になっている「NHKを考える福岡の会」が10月25日(土)に開いた講演会(講師=岩崎貞明メディア総研事務局長)に「九州民放OB会」とともに共催に名を連ねた。その他、「九条の会福岡県連絡会」主催の憲法集会に「協賛」することもあるが、実際に動くのは、そうした団体の世話人や事務局員にもなっている支部会員らだ。
以上のような現状を打破しなければならないという意識はあるものの、実働する会員がほとんどおらず、会員の一部からは「支部を解散したら」「会費(年1万2千円)が高い」といった声が出ている。
■高額会費の問題も
会費が高いのは間違いない。会員を勧誘するにしても、会費に見合った支部の活動や会員になっても会費分のメリットが見つからないので声を掛けにくい。そこで、幹事会では「正会員のほかに会費を安くする準会員(呼び方は未定)制度を新設しては」と言う意見も出た。ただ、会費を安くすれば会員が増えるというものでもない。マスコミに働く現役の人たちが「JCJ活動」に興味を持ってくれるのか―。
こうした悩みを抱えながらJCJ活動をどうするか―。古くて新しい課題にどう取り組んでいくのか、来年が福岡支部の正念場になることは間違いないだろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2026年01月22日
【沖縄リポート】高市発言で「交流中止」、高校生怒る=浦島悦子
沖縄県民の4人に1人が命を落とした沖縄戦から80年。「二度と沖縄を戦場にしない」と県民が改めて誓ったその年に、あろうことか、就任間もない高市早苗首相の「台湾有事は存立危機事態」という国会答弁や「非核三原則見直し」発言が、一挙に戦争を引き寄せてしまった。
1972年の日中共同声明をはじめ、日中間の基本文書で繰り返し確認されてきた過去の戦争への日本の反省と、「台湾問題は中国の内政問題である」という認識を覆した高市発言に対する中国側の反応は、極めて厳しい。
「台湾有事は日本有事」となれば、真っ先に犠牲を被るのは沖縄住民だ。「ノーモア沖縄戦・命どぅ宝の会」など、沖縄の16市民団体が11月23日、県庁前で開いた緊急抗議集会には150人が参加した。
集会では、「戦場にさせられる私たちにとって到底受け入れられるものではない」として高市発言の撤回と辞任を求めた。「高市氏に代わり、私達は日本国民として改めて深くお詫びを申し上げ、中国と争う気は毛頭ないこと、これからも日中間の平和を保っていくことを宣言します」と表明。参加者からは「早苗いなければ憂いなし」と唄うラップや、全県的な県民集会を求める声も出た。
沖縄高校生平和ゼミナールは同日、沖縄の高校生の中国との交流事業が中止になるなど既に影響が出ているとして、高市発言に対する緊急ステイトメントを発表した。
沖縄戦では14〜17歳の少年少女たちが、学徒隊・看護隊・護郷隊(という名のゲリラ隊)として動員され、多くが命を落とし、生き残った人々もPTSDに苦しめられた。
戦争になれば、真っ先に狙われ、戦場に送られるのは若者たちだ。
「子どもが『核反対、戦争反対』と言えるのに、政府はなぜその一言も言えないのか、なぜ戦争をそそのかすような発言をするのか、全く理解できません」「もっと自分の発言に責任を持ち、国の代表なら口撃ではなく、私たちの人権や平和な生活を守る外交をして下さい」
子どもたちの素朴で当たり前の声を、高市氏は聞くべきだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
1972年の日中共同声明をはじめ、日中間の基本文書で繰り返し確認されてきた過去の戦争への日本の反省と、「台湾問題は中国の内政問題である」という認識を覆した高市発言に対する中国側の反応は、極めて厳しい。
「台湾有事は日本有事」となれば、真っ先に犠牲を被るのは沖縄住民だ。「ノーモア沖縄戦・命どぅ宝の会」など、沖縄の16市民団体が11月23日、県庁前で開いた緊急抗議集会には150人が参加した。
集会では、「戦場にさせられる私たちにとって到底受け入れられるものではない」として高市発言の撤回と辞任を求めた。「高市氏に代わり、私達は日本国民として改めて深くお詫びを申し上げ、中国と争う気は毛頭ないこと、これからも日中間の平和を保っていくことを宣言します」と表明。参加者からは「早苗いなければ憂いなし」と唄うラップや、全県的な県民集会を求める声も出た。
沖縄高校生平和ゼミナールは同日、沖縄の高校生の中国との交流事業が中止になるなど既に影響が出ているとして、高市発言に対する緊急ステイトメントを発表した。
沖縄戦では14〜17歳の少年少女たちが、学徒隊・看護隊・護郷隊(という名のゲリラ隊)として動員され、多くが命を落とし、生き残った人々もPTSDに苦しめられた。
戦争になれば、真っ先に狙われ、戦場に送られるのは若者たちだ。
「子どもが『核反対、戦争反対』と言えるのに、政府はなぜその一言も言えないのか、なぜ戦争をそそのかすような発言をするのか、全く理解できません」「もっと自分の発言に責任を持ち、国の代表なら口撃ではなく、私たちの人権や平和な生活を守る外交をして下さい」
子どもたちの素朴で当たり前の声を、高市氏は聞くべきだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2026年01月20日
【沖縄JN学習会】戦争止めよう!沖西ネット広がる 全国化の構想も=伊藤洋子(元東海大学教員)
沖縄ジャンプナイト(OJN)は11月18日、沖縄を起点に広がる「戦争止めよう! 沖縄・西日本ネットワーク」(沖西ネット)について、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の新垣邦雄事務局長を迎えてご報告いただきオンラインで交流した。
賛同は35団体
自衛隊の軍備強化が進む中で「沖縄大変だね」との声に、「沖縄だけじゃない皆さんが大変」という感覚をもってほしい、各地で戦争準備に反対する市民の会が生まれていることを伝えたい、と23年11月、那覇で初の集会がもたれた。
軍事施設の新設や拡充が進む地域から抗議の声を上げる市民の会は22年に沖縄のうるま市と沖縄市、23年に大分の敷戸、24年には京都の祝園(ほうその)などで相次いで発足。同年5月に愛媛、8月は沖縄、9月は広島・呉、11月は大分など各地で集会が開かれた。
那覇集会から約2年、今年2月の鹿児島集会で沖西ネットが成立。各地の市民組織は「雨後のタケノコのように」立ち上がり、賛同は35団体にのぼるという。
今年11月22日の大分集会は敷戸大型弾薬庫の12月完成を目前にして開催。11月23、24日の熊本集会は、年度末に迫る中国まで届く長射程ミサイル国内初配備のギリギリのタイミングに合わせた。
日本全土が戦場になるとの危機感を持って取り組んだ6月の東京行動では、政府交渉を行い全国交流集会を実施した。10月には国内最大規模の弾薬庫建設が進む京都の祝園地区で全国集会がもたれた(東京行動は本紙6月25日号、京都集会と各地の抗議行動については同11月25日号に掲載)。
現在は、高市政権の防衛予算前倒しの時期を睨み、全国で同時多発的に集会を開こうと議論しているという。
軍事基地化が著しい沖縄と西日本から始まった市民ネットワーク・沖西ネットに今年は、兵器生産の三菱重工がある軍需産業地域の愛知も参加した。今後は広がる軍拡を見据え、関東、東北、北海道へとネットワークを全国化する構想もある。
情報ギャップ問題
また、新垣さんは「報道」についても言及。
それは進行する軍拡は一地域の問題にとどまらないのに、その地域では報道されても他地域では報道されないために生じる情報ギャップ問題だ。例えば大分の敷戸弾薬庫の記事は「大分合同」の1面に掲載されたが、他地域での報道はない。
「地方紙の合同取材での連携や記事の交換掲載を望みたい」「沖西ネットは専門家や有識者を紹介できる。活用を」と新垣さんから提案された。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
賛同は35団体
自衛隊の軍備強化が進む中で「沖縄大変だね」との声に、「沖縄だけじゃない皆さんが大変」という感覚をもってほしい、各地で戦争準備に反対する市民の会が生まれていることを伝えたい、と23年11月、那覇で初の集会がもたれた。
軍事施設の新設や拡充が進む地域から抗議の声を上げる市民の会は22年に沖縄のうるま市と沖縄市、23年に大分の敷戸、24年には京都の祝園(ほうその)などで相次いで発足。同年5月に愛媛、8月は沖縄、9月は広島・呉、11月は大分など各地で集会が開かれた。
那覇集会から約2年、今年2月の鹿児島集会で沖西ネットが成立。各地の市民組織は「雨後のタケノコのように」立ち上がり、賛同は35団体にのぼるという。
今年11月22日の大分集会は敷戸大型弾薬庫の12月完成を目前にして開催。11月23、24日の熊本集会は、年度末に迫る中国まで届く長射程ミサイル国内初配備のギリギリのタイミングに合わせた。
日本全土が戦場になるとの危機感を持って取り組んだ6月の東京行動では、政府交渉を行い全国交流集会を実施した。10月には国内最大規模の弾薬庫建設が進む京都の祝園地区で全国集会がもたれた(東京行動は本紙6月25日号、京都集会と各地の抗議行動については同11月25日号に掲載)。
現在は、高市政権の防衛予算前倒しの時期を睨み、全国で同時多発的に集会を開こうと議論しているという。
軍事基地化が著しい沖縄と西日本から始まった市民ネットワーク・沖西ネットに今年は、兵器生産の三菱重工がある軍需産業地域の愛知も参加した。今後は広がる軍拡を見据え、関東、東北、北海道へとネットワークを全国化する構想もある。
情報ギャップ問題
また、新垣さんは「報道」についても言及。
それは進行する軍拡は一地域の問題にとどまらないのに、その地域では報道されても他地域では報道されないために生じる情報ギャップ問題だ。例えば大分の敷戸弾薬庫の記事は「大分合同」の1面に掲載されたが、他地域での報道はない。
「地方紙の合同取材での連携や記事の交換掲載を望みたい」「沖西ネットは専門家や有識者を紹介できる。活用を」と新垣さんから提案された。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2025年12月30日
【JCJ沖縄】沖縄大と公開学習会共催 沖縄戦下の記者と戦後80年ジャーナリズム 歴史反省踏まえて 戦争加担に警鐘=黒島 美奈子
日本ジャーナリスト会議(JCJ)沖縄と、沖縄大学の島袋隆志合同ゼミは10月25日、公開学習会「沖縄戦下の記者と戦後80年ジャーナリズム」を那覇市の同大学で開いた。元NHKディレクターで立教大学大学院客員教授の宮本聖二さんらが、沖縄戦のさなかに発行された新聞「沖縄新報」を題材にメディアの戦争責任と、現代につながる報道の課題について考えた=写真=。
壕内で沖縄新報
宮本さんはNHK沖縄放送局勤務時代の1993年、沖縄新報の存在を知り、番組「一枚の新聞〜沖縄戦下の記者たち」を手がけた。
公開学習会には学生や一般など約60人が参加。同番組を視聴した上で、琉球新報の小那覇安剛論説委員会参与と沖縄タイムスの森田美奈子論説委員長を交え意見交換した。
沖縄新報は40年、戦前の「一県一紙」政策により、県内3紙が統合されてできた。戦時下も日本軍第32軍が司令部壕を捨てて本島南部に撤退する45年5月下旬まで、留魂壕(りゅうこんごう)の中で印刷・発行された。
宮本さんは「激しい地上戦の中で新聞が発行され、しかも壕に避難する住民たちに配られていたことに驚いた」と振り返る。
生き残った記者や新聞を配った元少年兵たちへの取材で明らかになったのは「メディアへの検閲と戦争プロパガンダの姿だった」と宮本さん。
検閲を内面化
戦前、政府と軍は新聞やニュース映画、通信社への検閲を強めた。メディアの側も検閲を内面化し積極的に戦争に加担していった。
その結果、街中が灰じんと化した状況を目の当たりにしても多くの国民が勝利を盲信するように。宮本さんは「繰り返し情報を受け続けることで信じ込まされる。報道にはそれだけの強さがある」とメディアの責任の重さを指摘した。
戦後も続く圧力
一方、メディアへの圧力は戦後も続いているという。
93年には、テレビ朝日の報道局長が非自民政権誕生を歓迎する発言をしたとして、郵政省(当時)が放送免許の取り消しを検討。2000年には安倍晋三氏らが、戦時性暴力をテーマにしたETV特集について、NHK側に改変の圧力をかけた疑惑も浮上した。高市早苗首相は総務相時代の2016年に、「放送法に違反すれば業務停止できる」と発言している。
萎縮する報道
こうした圧力が繰り返された結果「各局の報道は萎縮している」と宮本さん。メディアがネット上のデマやフェイクニュースの検証に後ろ向きな要因にもなっているとし「権力を監視する役割が重要だ。ネット上の情報混乱もメディアは無視してはいけない」と呼び掛けた。
新聞の役割とは
小那覇さんは現在の新聞の役割について「一言でいえば戦争を止めるための報道が必要」と説明。自衛隊の南西シフトや政府の防衛強化政策などを挙げ「今こそ戦前・戦中に報道人がやってきたことを振り返らないといけない」と話した。
森田さんは「戦争は始まれば止められない」とし、新聞の役割は戦争の前史の段階で警鐘を鳴らすことという。「中国やロシアの動きに危機感を感じて軍備増強を肯定する声が強くなっているが、対話を欠いた抑止力は緊張を高め軍拡を招くリスクがある。そういう動きに絶えず警鐘を鳴らしていくのが戦後80年の私たちに課せられた課題」と結んだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
2025年10月25日
【辺野古新基地建設A】住民「原告適格」突破 那覇地裁 工事の適法性審理へ=北上田 毅(沖縄平和市民連絡会)
辺野古新基地建設事業を巡っては、沖縄県が国と、これまで14件もの訴訟を争ってきた。しかし、訴えは、和解・取下げの4件を除き、いずれもほとんど本論に入ることなく、門前払いされてきた。
一方、辺野古周辺住民らの抗告訴訟も、原告適格の壁にぶつかってきた。しかし那覇地裁は本年8月7日、防衛局の設計変更申請を不承認とした県の処分を取り消した国土交通大臣の裁決取り消しを求めて周辺住民18人が提起した抗告訴訟で、一部の原告適格を認定、次回から工事の適法性そのものについての審理に入るとしたのだ。
日本の行政訴訟は、原告適格のハードルがきわめて高く、実質審理に入ることはほとんどない。今回はその壁を突破したのだから画期的だ。
今回の軟弱地盤改良工事は、技術的に多くの課題があり、大浦湾の自然環境を破壊し、沿岸住民の生活環境に深刻な影響を与える。原告には、周辺地域居住者や、大浦湾でエコツーリズムを営む者等がいる。工事で周辺住民の生活環境が著しく悪化したり、大浦湾の汚濁がエコツーリズムに影響を与えると認められれば、国交相裁決は違法とされる可能性がある。その場合、辺野古の工事は完全にストップする。決して、「事業は順調に進んでいる」とは言えないのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
一方、辺野古周辺住民らの抗告訴訟も、原告適格の壁にぶつかってきた。しかし那覇地裁は本年8月7日、防衛局の設計変更申請を不承認とした県の処分を取り消した国土交通大臣の裁決取り消しを求めて周辺住民18人が提起した抗告訴訟で、一部の原告適格を認定、次回から工事の適法性そのものについての審理に入るとしたのだ。
日本の行政訴訟は、原告適格のハードルがきわめて高く、実質審理に入ることはほとんどない。今回はその壁を突破したのだから画期的だ。
今回の軟弱地盤改良工事は、技術的に多くの課題があり、大浦湾の自然環境を破壊し、沿岸住民の生活環境に深刻な影響を与える。原告には、周辺地域居住者や、大浦湾でエコツーリズムを営む者等がいる。工事で周辺住民の生活環境が著しく悪化したり、大浦湾の汚濁がエコツーリズムに影響を与えると認められれば、国交相裁決は違法とされる可能性がある。その場合、辺野古の工事は完全にストップする。決して、「事業は順調に進んでいる」とは言えないのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年10月24日
【辺野古新基地建設@】地盤改良工事が長期中断 頓挫の可能性も=北上田 毅さん寄稿(沖縄平和市民連絡会)
大浦湾には6月初めまで、作業船がひしめいていたが‥‥
辺野古新基地建設事業は、2014年の着手から、すでに11年が経過した。当初の埋立承認申請では、「工事期間5年」、「施設建設5年」とされていたから、本来なら今頃は、米軍の運用が始まっているはずだった。
ところが、大浦湾海底部にマヨネーズのような軟弱地盤が拡がっていることが判明し、地盤改良工事が必要となった。そのため、防衛局は設計変更を申請。知事は不承認としたが、国土交通大臣が知事に代わって承認(代執行)し、裁判所も沖縄県の訴えを門前払いして、昨年1月から大浦湾での工事が始まった。
この設計変更申請では、「工事期間9年3カ月」で、12年後には米軍の運用開始とされている。18年から始まった辺野古側埋め立て工事はほぼ完了したが、投入された土砂はまだ全体の約16%にすぎない。このペースでは埋立完了までいったい何年を要するのか、その目途も立たない。
また、那覇地裁で争われている辺野古周辺住民の抗告訴訟も、「原告適格」の壁を突破し、今後、司法の場で初めて工事の適法性についての審査が始まることとなった。
工事そのものが頓挫する可能性も出てきているのだ。
「台風避難」の
作業船戻らず
大浦湾では、昨年1月から海上ヤード工(海底に大量の石材を投下し、大型ケーソンの仮置き場となる台座を造成する)や、外周護岸の一部となるA護岸工(太い鋼管杭を前後2列に打設し、その間に中詰材を入れて護岸とする)等の工事が進められている。さらに今年になってからは4万7千本の砂杭を打つ地盤改良工事が始まった。
本年6月初めまでは、大浦湾には巨大な地盤改良作業船6隻が並んでいた。地盤改良作業船は、櫓(リーダー)の高さがタワーマンション並みの70bほどあり、「海に浮く工場」とも言われる。
大浦湾には他にも、海上ヤード工の石材投下船、A護岸工のための鋼管杭打設船、浚渫工、海底への敷き砂投下船、さらに、土砂運搬船、海砂運搬船等がひしめきあっていた。ところが6月上旬、突然、6隻の地盤改良作業船が出ていってしまった。沖縄防衛局は、「気象条件を考慮」と説明したが、当時、はるか南方で熱低発生の情報はあったが、沖縄には近づいていない。その後も、沖縄島に接近する台風はなかったが、地盤改良作業船は3カ月以上が経過した今も、なぜか、奄美大島等に避難を続けている(9月22日現在)。
他の工事の作業船は、7月下旬に大浦湾を出たが、8月上旬には戻り、工事を再開している。ところが、地盤改良作業船だけは戻っていないのだ。
砂杭打設には
約10年が必要
地盤改良の砂杭は、6月上旬に作業が停止してしまったので、現時点でまだ2900本しか打設できていない。このペースでは、全4万7千本の砂杭打設には、約10年を要する。地盤改良を終えてやっと護岸工や埋め立て工に入るのだから、これではいつ事業が完了するのか見当もつかない。
大浦湾には、海面下90bまで軟弱地盤が続いているが、今回は海面下70bまでの地盤改良(サンドコンパクションパイル〔SCP〕工法)しか行わない。沖縄防衛局は「技術的に問題はない」と主張するが、実際は、海面下90bまで施工できる作業船はなく、改造しても70bまでの地盤改良が限界のためである。そのため防衛局は今回、6隻のSCP作業船を国費負担で70b級に改造した。
船の改造では
安定性に問題
改造で櫓(リーダー)の高さは、20bほど高くなった。船体寸法は変わらないので、船の重心が高くなり、安定性に問題が生じているのだ。今回、作業船が長期にわたって戻ってこられないのは、もし、台風に遭遇した場合、致命的な事故につながりかねないためであろう。このままでは台風シーズンが終わる11月過ぎまで、地盤改良工事はできない可能性がある。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年10月18日
【沖縄リポート】目取真俊さんに嫌がらせ弾圧=浦島悦子
8月7日、芥川賞作家・目取真俊さんの自宅が沖縄県警に家宅捜索された。沖縄防衛局の被害届を受けた器物(キャンプシュワブ基地のフェンス)損壊容疑だという。
目取真さんが「損壊」したというフェンスは、経年劣化により鉄パイプは錆び、ネットは破れて垂れさがっているのを、市民が確認している。管理不行き届きを目取真さんに責任転嫁するでっち上げだ。自身のブログで精力的に新基地建設工事の状況や反対運動について発信を続ける彼への嫌がらせ弾圧としか言いようがない。
これは、前号で報告した安和桟橋死傷事故を巡る動き=被害者を加害者に仕立て上げようとする弾圧と軌を一にしている。報道によると、県警は、重傷を負った女性を「重過失致死罪」の被疑者として起訴を求めているというから驚く。
安和ではこの事故後も、現場の警備員や防衛局職員がわざと転んで「傷害」事件をでっち上げるなどの弾圧が頻発している。
8月27日、ヘリ基地反対協議会はこれらの不当弾圧の中止を求めて、その源である沖縄防衛局に抗議要請を行った=写真=。応対した同局の調達計画課課長補佐は、「(安和では)トラックの前に意図的に飛び出す危険な妨害行為が連日繰り返されている」という全く事実に反する見解を、書かれた紙を見ながら繰り返し述べた(彼は現場を見たことがない)。憲法に保障された正当で整然とした抗議行動を「妨害行為」と言いつのり、国策に反対する市民に「犯罪者」のレッテルを張り、反対運動潰しを狙っていることは明らかだ。
民意(民主主義)を徹底して踏みにじり、法を悪用・濫用し、国民の血税を浪費して、世界に誇るべき貴重な自然を破壊し続けている新基地建設は、「国家犯罪」以外の何物でもない。その犯罪を止めようとする市民が「犯罪者」呼ばわりされる筋合いはない。私たちが反対し、抵抗するのは、戦争や自然破壊という「未来世代に対する犯罪」に加担したくないからだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年09月15日
【沖縄リポート】参院選は勝利したが‥‥=浦島 悦子
7月20日に投開票された参議院選沖縄選挙区では、「オール沖縄」新人候補・高良沙哉(さちか)氏が自公候補に3万票余の差をつけて当選した。候補者の人柄に加え、「オール沖縄の退潮」や知事の求心力の低下が囁かれる中、危機感を強めたデニー知事が自ら、異例の選対本部長を務めて県民を鼓舞し、また「オール沖縄」に集う県民も相当の危機意識を持って、総力で選挙に取り組んだことが功を奏したと言える。
8月2日、第1土曜日恒例の辺野古ゲート前県民大行動は、初当選した高良沙哉氏を迎えて大きく盛り上がり=写真=、デニー知事もメッセージを寄せたが、これを来年秋に行われる沖縄県知事選の勝利に繋げられるかが今後の課題だ。
今回の勝利は、自民党政権への不評や参政党の大幅伸長に助けられた面もあり、決して手放しで喜べる状況ではない。とりわけ、全国同様、沖縄でも参政党の伸長が著しい。沖縄選挙区の参政党新人候補が10万票近く得票したこと、その候補者の妻(同じく参政党)が同日選挙だった那覇市議選で、2位に2倍以上の差をつけてトップ当選したこと、沖縄の比例代表得票数で参政党(8万票余)が自民党(10万票余)に次ぐ2位だったことにショックを受けた。この現状をどうとらえ、どう対処すればいいのか、考え込まざるをえない。
県民大行動では、もう一つショックな報告が伝えられた。昨年6月、安和桟橋の死傷事故で重傷を負い、命の危険から何とか回復してリハビリ中の女性に対し、県警から「被疑者」として取り調べるための出頭命令が来たというのだ。報告した代理人弁護士は「事故を引き起こした国の責任を抗議市民に転嫁し、被害者を加害者に仕立て上げようという目論見を決して許してはならない」と、怒りを込めて訴えた。
県警は「重過失致死容疑」を視野に入れているという。オール沖縄会議は8日、抗議声明を記者発表。抗議活動を犯罪視し基地反対運動を抑え込もうとする政治的狙いに言及し、被害者女性を被疑者とすることの撤回を強く求めた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
2025年08月21日
【関西支部リポート】工事代金未払い多発 万博のパビリオン、泣く下請け=幸田 泉
4月に開幕した大阪・関西万博=写真=で、海外パビリオンの建設を巡る悲劇が起こっている。建設工事代金を支払ってもらない下請け業者らが、倒産の危機、生活困窮状態にあるのだ。
工事代金の未払いは8館で判明。ネパール館はネパール政府が工事代金を支払わず、今年1月から工事が中断していたが、ネパール政府が金を払ったことで6月に工事が再開した。その他7館は未払い問題を抱えたままオープンしている。アンゴラは三次下請け会社が金を持ち逃げ、アメリカは二次下請け会社が倒産、中国、マルタ、ルーマニア、セルビア、ドイツはいずれも元請け会社が金を払わないケースだ。
フランス資本のイベント会社「GLイベンツ」は、マルタ、ルーマニア、セルビア、ドイツの四つのパビリオンで元請けをし、4館とも問題を起こした。世界各国でオリンピックやサッカーワールドカップなどに関わってきたグローバル企業だが、未払い被害者らによると万博での仕事ぶりは滅茶苦茶だったという。必要な図面がないまま工事をさせれられ、工事途中で変更が多発。壁や天井に塗ったペンキをすべて塗り直したり、タイルを張り替えたりと無駄な出費と労働が繰り返された。下請け業者らは家にも帰れず、仮眠しか取れずに突貫工事で奇跡的に開幕までに仕上げたが、GL社は4館合わせて3億円超の支払いを踏み倒している。
支払いがなく追い込まれているのは中小零細企業や一人親方たちで、万博協会や大阪府に救済を求めているが、どちらも「民間業者間の問題」だと、まるで他人事である。
万博協会はパビリオンの使用許可を取り消さず、何事もなかったかのように運営を続けている。万博協会の副会長でもある吉村洋文・大阪府知事は、万博は楽しい、素晴らしいと来場を呼び掛けることばかりしている。大阪の夢洲で繰り広げられているのは、パビリオン建設に尽力した人々の犠牲の上に成り立つ異常なお祭り騒ぎだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
2025年08月19日
【沖縄リポート】防衛局の地域分断に抗議の声明=浦島悦子
辺野古新基地建設に向けた海底の地盤改良工事が強行されている大浦湾沿岸地域=名護市二見以北10区の住民らは7月8日、「沖縄防衛局による地域分断に抗議し撤回を求める声明―二見以北10区コミュニティ基金について」を記者発表(賛同者117人)し、伊藤晋哉・沖縄防衛局長及び中谷元・防衛大臣に送付した。
二見以北10区は辺野古に隣接し、1997年に新基地計画が浮上して以来、各区で反対決議を上げ、地域一丸となって建設に反対してきた=写真=。一方で、進行する過疎化・高齢化に悩む地域でもある。
政府・防衛省はこれに付け込み、反対の民意を崩そうと、あの手この手の「アメ」で地域住民を翻弄してきた。過疎地ゆえ後回しにされてきた診療所も学校の体育館も防衛省予算で作られ、新基地を受け入れた島袋吉和市長時代には、基地建設への協力金とも言える米軍再編交付金で「二見以北交流拠点施設」が建設されたが、同時に地域コミュニティの分断や破壊も進んだ。「国策」に抗する地域への常套手段だ。
その後、2010年から2期8年、新基地反対を貫いた二見以北出身の稲嶺進市長から基地容認の渡具知武豊現市長に替わり、辺野古側の埋立がほぼ終わり大浦湾側の工事が始まるのと軌を一にして、二見以北の「取り込み」が再開された。
今回の防衛局のやり方はより巧妙だ。10区の区長で構成する「二見以北地域振興会」から要請させ、住民の抵抗感の強い再編交付金ではなく、特定防衛施設周辺整備調整交付金(いわば既存基地の迷惑料)を原資とし、それも防衛省からの直接交付でなく、現市長の与党多数の市議会で「二見以北コミュニティ事業」予算を可決(野党は反対)し、名護市からの補助金という形を取っている。
各区では、「住民には何の説明もない」「新基地を認めさせるための毒まんじゅう」「議会で決まっているから反対できない?」「区長たちのやり方がおかしい」など騒然となった。住民はこれを認めていないこと、元凶である防衛省・沖縄防衛局に、ひも付き「振興策」の撤回を求めたのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
二見以北10区は辺野古に隣接し、1997年に新基地計画が浮上して以来、各区で反対決議を上げ、地域一丸となって建設に反対してきた=写真=。一方で、進行する過疎化・高齢化に悩む地域でもある。
政府・防衛省はこれに付け込み、反対の民意を崩そうと、あの手この手の「アメ」で地域住民を翻弄してきた。過疎地ゆえ後回しにされてきた診療所も学校の体育館も防衛省予算で作られ、新基地を受け入れた島袋吉和市長時代には、基地建設への協力金とも言える米軍再編交付金で「二見以北交流拠点施設」が建設されたが、同時に地域コミュニティの分断や破壊も進んだ。「国策」に抗する地域への常套手段だ。
その後、2010年から2期8年、新基地反対を貫いた二見以北出身の稲嶺進市長から基地容認の渡具知武豊現市長に替わり、辺野古側の埋立がほぼ終わり大浦湾側の工事が始まるのと軌を一にして、二見以北の「取り込み」が再開された。
今回の防衛局のやり方はより巧妙だ。10区の区長で構成する「二見以北地域振興会」から要請させ、住民の抵抗感の強い再編交付金ではなく、特定防衛施設周辺整備調整交付金(いわば既存基地の迷惑料)を原資とし、それも防衛省からの直接交付でなく、現市長の与党多数の市議会で「二見以北コミュニティ事業」予算を可決(野党は反対)し、名護市からの補助金という形を取っている。
各区では、「住民には何の説明もない」「新基地を認めさせるための毒まんじゅう」「議会で決まっているから反対できない?」「区長たちのやり方がおかしい」など騒然となった。住民はこれを認めていないこと、元凶である防衛省・沖縄防衛局に、ひも付き「振興策」の撤回を求めたのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
2025年06月19日
【寄稿】浦添西海岸に米軍軍港 那覇港の代替、60年代に計画 永久利用ねらい 環境アセス開始 真喜志 好一(沖縄平和市民連絡会共同代表)
2025年1月17日、「沖縄・琉球弧の声を届ける会」の第6回連続講座としてシンポジウム「浦添西海岸埋め立て問題を考える」が開かれた。パネリストは安部真理子(日本自然保護協会/保護・教育部主任)、鹿谷麻夕(しかたに自然案内代表/里浜22共同代表)、真喜志好一(建築家・沖縄平和市民連絡会)の三氏。安部、鹿谷両氏は浦添西海岸の海が本来の素晴らしいサンゴ礁環境を残していることをスライドで発表した。
浦添西海岸の位置図
サンゴ礁が残る
豊かな自然の宝
続けて4月12日に連続講座第7回が「市民の視点から浦添西海岸問題を考える」をテーマに開かれ、パネリストは銘苅全郎(浦添市港川自治会前会長)、明真南斗(琉球新報記者)、谷山博史(日本国際ボランティアセンター顧問)の三氏が務めた。
浦添西海岸の豊かな自然を沖縄の宝として残すか、二つのシンポジウムで報告された美しい海中のビデオの記録を含む全記録がユーチューブにある。次の五つのキーワード「琉球弧の声/浦添西海岸/隠された真実 /第6回/第7回」をYouTubeで検索して視聴してほしい。
筆者(真喜志)はシンポでの発表の冒頭で、次のようにスライドで参加者に問いかけた。
「日米両政府の発表では、『那覇軍港を沖縄県民の要求で沖縄に返す。その代わりに浦添に軍港を作る』との説明だが本当だろうか?」
2024年7月、米軍の軍港を浦添西海岸に建設するための環境アセスが始まった。だが、浦添西海岸への軍港の建設が、那覇軍港の移設・返還を進めることを目的とするのか、米軍文書がその真意を物語る。
米軍の本音隠す
施設返還合意
1969年6月、新都市調査沖縄―浦添軍港図
キーワードを「沖縄防衛局/那覇港湾施設/移設」で検索すると環境アセスの最初の文書「計画段階環境配慮書」がヒットする。
この文書の第2章、対象事業の目的を書き写す。
――昭和49年1月、日米両政府は日米安全保障協議委員会において、移設条件付きで那覇港湾施設(約57ha)の全面返還に合意した。平成7年5月には日米合同委員会において代替施設(約35ha)を那覇港浦添ふ頭地区(以下「浦添ふ頭地区」という。)内に移設することを合意した。――中略――本事業は、かかる経緯の下、浦添ふ頭地区の沖合の埋立により那覇港湾施設代替施設を整備し、那覇港湾施設の移設・返還を進めることを目的とする(傍線は引用者)ものである。――
だが、現在の米軍の港湾利用は次の通りとなっている。〇兵員の休養のための寄港はホワイトビーチ〇弾薬の積み下ろしは天願桟橋〇コンテナの積み下ろしは安謝新港の国際コンテナターミナルで行われている。
つまり新たな軍港を作る必要はないのだ。
米軍の意図示す
文書掘り起こす
このような疑問をもって99年7月に宮城悦二郎先生(04年没)を中心に「SACO合意を究明する県民会議」を立ち上げ、米軍の文書を掘り起こす作業が始まった。
米軍が米国のコンサル会社に依頼して69年6月に作成した「工業用地及新都市調査沖縄」がある。この文書の日本語版は琉球大学の付属図書館や沖縄県議会図書館にも所蔵されている。
この文書の中に、浦添のリーフ内の海底を浚渫し、その土砂でハッチング部を埋め立て、牧港補給基地の沿岸部に軍港を作る計画が図示されている(牧港港・MACHINATO PORT図参照)。
これらの浦添西海岸への軍港新設計画はその後どうなったか。70年5月、米軍の太平洋軍司令部が統合参謀本部に送った文書(英文)が沖縄県公文書館に保管されている。この文書には見落としてはいけない次の記述(別掲参照)がある。IN SUM,CONSTRUCTION OF A PORT FACILITY AT MACHINATO WOULD OPTIMIZE US LONG-TERM INTERESTS IN THE RYUKYUS.
この文の和訳は――総体的に見てマチナト(牧港「まきみなと」の沖縄読み)の港建設によって、米国の琉球における長期的関係を最大限に生かせる――である。
深く広い軍港と
那覇港を交換へ
つまり米軍の太平洋軍司令部から統合参謀本部に送ったこの文書は、「浦添西海岸への軍港建設によって、沖縄の軍事利用は永久に続けることができるので、牧港の軍港建設を日本政府に要求するように」と主張している。
浦添西海岸に広くて深い軍港を新たに建設し、不要になる狭くて浅い那覇軍港を返すことが米軍の計画なのだ。
浦添西海岸への軍港建設は米軍の占領が続くことになる。反対の世論を作ろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年06月09日
【沖縄リポート】沖縄の「復帰」とは何だったのか=与那覇恵子(沖縄・琉球弧の声を届ける会共同代表)
5月15日、沖縄は「返還」から数えて53年目の「本土復帰」記念日を迎えた。1972年入学の私にとって、復帰の自覚は琉球大学がその年から国立になったことくらいだったかもしれない。
だが、その日の土砂降りの雨は「沖縄の人々が流した涙だった」との表現は忘れられない。それは嬉し涙ではなく、怒りと悲しみの涙だった。
人権無き米軍占領下の苦難に、救いを祖国と呼ぶ日本への復帰に求め、「基地なき平和な島」を夢見た人々は、米軍基地維持に自衛隊配備という日米政府の思惑による沖縄返還に裏切られた。
いま復帰53年目の沖縄で、その日々は怒りと悲しみが増すばかりだが、それはすでに復帰時に、仲宗根勇『沖縄少数派─その思想的遺言』(三一書房1981年)が予言したことであった。
その著から具体例を挙げる。
「沖縄政治における中央志向性の増大」――各組織、政党、派閥の本土系列化で沖縄の政治は分断され独自の力を失っている。
「企業と軍隊を主人とする沖縄島の要塞化という体制の長期的展望の実現」――辛うじて保たれていた沖縄の自然や伝統・文化の急速な喪失を実感するのは私だけではないだろう。
日本の政府や企業の机上の計算による開発で、生物多様性に富む自然環境の破壊が進む。
しかし他県と異なり、市民がどれほど反対してもそれが解決困難な理由は、辺野古・大浦湾や浦添西海岸、与那国の樽舞湿原(国指定鳥獣保護区)など、問題に経済利益の企業開発と相まって軍事が絡んでいることだ。
「復帰を求める以上、日本の現実の国家構造からして安保復帰たらざるを得ないのは当然」――を噛みしめざるを得ない。
日米共同作戦計画下、強行される軍事要塞化。迷彩色の自衛隊員が島々を闊歩し、中国狙いの長距離ミサイル配備が進む。復帰後の沖縄は「日本国軍=自衛隊の黒い力で息もできない地獄図絵にたたきこまれることが予想されている」。
「台湾有事」で戦場となる再びの沖縄戦に怯える今、沖縄は大田知事や翁長知事が日本政府に問うた「沖縄は日本国民に入っていますか?」の答えを思い知らされている。
しかし、信じたい。米軍占領下で培った抵抗の力を。沖縄を沖縄に返すために。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
だが、その日の土砂降りの雨は「沖縄の人々が流した涙だった」との表現は忘れられない。それは嬉し涙ではなく、怒りと悲しみの涙だった。
人権無き米軍占領下の苦難に、救いを祖国と呼ぶ日本への復帰に求め、「基地なき平和な島」を夢見た人々は、米軍基地維持に自衛隊配備という日米政府の思惑による沖縄返還に裏切られた。
いま復帰53年目の沖縄で、その日々は怒りと悲しみが増すばかりだが、それはすでに復帰時に、仲宗根勇『沖縄少数派─その思想的遺言』(三一書房1981年)が予言したことであった。
その著から具体例を挙げる。
「沖縄政治における中央志向性の増大」――各組織、政党、派閥の本土系列化で沖縄の政治は分断され独自の力を失っている。
「企業と軍隊を主人とする沖縄島の要塞化という体制の長期的展望の実現」――辛うじて保たれていた沖縄の自然や伝統・文化の急速な喪失を実感するのは私だけではないだろう。
日本の政府や企業の机上の計算による開発で、生物多様性に富む自然環境の破壊が進む。
しかし他県と異なり、市民がどれほど反対してもそれが解決困難な理由は、辺野古・大浦湾や浦添西海岸、与那国の樽舞湿原(国指定鳥獣保護区)など、問題に経済利益の企業開発と相まって軍事が絡んでいることだ。
「復帰を求める以上、日本の現実の国家構造からして安保復帰たらざるを得ないのは当然」――を噛みしめざるを得ない。
日米共同作戦計画下、強行される軍事要塞化。迷彩色の自衛隊員が島々を闊歩し、中国狙いの長距離ミサイル配備が進む。復帰後の沖縄は「日本国軍=自衛隊の黒い力で息もできない地獄図絵にたたきこまれることが予想されている」。
「台湾有事」で戦場となる再びの沖縄戦に怯える今、沖縄は大田知事や翁長知事が日本政府に問うた「沖縄は日本国民に入っていますか?」の答えを思い知らされている。
しかし、信じたい。米軍占領下で培った抵抗の力を。沖縄を沖縄に返すために。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年06月04日
【支部リポート】北九州 窓口負担の軽減を 医療関係者ら街頭署名=杉山正隆
病院などでの窓口負担の軽減や保険適用範囲の拡大などを求め医療関係者らが4月23日、北九州市小倉北区のJR小倉駅前で署名活動を行った=写真=。福岡県歯科保険医協会と健和会附属大手町歯科診療所が実施し、30分ほどで50筆超の署名が集まった。北九州支部の会員も参加し行きかう市民らと対話した。
中には、「街頭活動に賛同する」と活動に飛び入りで加わる市民も。「高額療養費は重病に陥った人を支援する最後のセーフティネット。一旦、負担増は凍結となったが参院選後に強行されるかも」と医療関係者に話しかけて署名に応じる人もいた。
また、北九州空港や福岡空港、港湾施設などで、海上保安庁、自衛隊、さらには米軍が拠点として利活用する動きや、弾薬庫や防衛基地化が進みつつあり、防衛・軍事費は歯止めが掛からない。一方で、その分、医療など社会保障を削減して費用を捻出しようとする構図が固まりつつある点に懸念する声が多く聞かれた。
「今でさえ、医療・介護の保険料が重いうえ、窓口で3割などを支払わないといけない」「自民や維新、国民民主などは医療費を数兆円削減すると目論むがその分は患者負担が増えることになる」「物価がここまで高騰すると病院に掛かるのを躊躇して我慢し、悪化して駆け込んだ」など悲痛な声が寄せられた。
医療では特に歯科分野で、保険の効かない治療法が多く、自費となることがある。経済的負担が重く困惑したり適切な受診ができないケースが少なくない。この日の活動では「国民皆保険制度」の下、治療費を心配することなく安心して治療が受けられるよう、社会保障の充実を求めた。
参加した歯科医師は「歯周病などと全身疾患とは密接な関係があることが分かっているのに、窓口負担の高さや保険の効かない治療が多く、日本では歯科治療が遅め、遅めになりがち。患者、国民に優しい制度にすべき」と話していた。署名は今国会に提出される。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年05月21日
【オンライン講演】戦後80年の報道状況と軍事強化の重なり実感 琉球新報の南 彰記者 OJNで語る=須藤春夫(法政大学名誉教授)
OJN(沖縄ジャンプナイト)主催のオンライン講演会は、「琉球新報」編集委員の南彰さんを講師に迎え、4月6日に開催された。参加者は30人。講演の要旨は以下の通り。
琉球新報(以下、新報)に転職して1年5カ月、戦後80年の報道状況と台湾有事の名のもとに進む沖縄南西シフトの軍事強化が重なり合うのを日々実感している。
国会では軍事強化に歯止めをかける議論がまったくされず、それどころか、政治家からは「闘う覚悟」「一戦を交える」などの好戦的な発言が出てくる状況である。このような発言が跋扈する言論空間に抵抗する言論空間を作っていきたい。
新報に移ってから「闘わない覚悟」「歩く民主主義100の声」「国策と闘う」「信なき現場」「ハラスメントのない社会」の企画を手がけている。
私の報道姿勢は、筑紫哲也さんが掲げた@権力に対する監視役、A少数派であることを恐れない、B多様な意見を登場させて社会に自由な気風を保つ、を大事にしている。
@では、南城市長のセクハラ疑惑、辺野古新基地建設、軍事化などの報道がある。好戦的な言説の広がりに抗う軸として「国策と闘う」を企画した。住民の目線でどう抗っていくのか他紙と連携しながらさまざまな事例で取り上げている。
辺野古新基地建設では、国策の名のもとに市民の抗議行動を潰す言説が、本土メディアや現場でのバッシングによって勢いを増している。これに対し「信なき現場」の連載(3回)では、現場取材を重ね事実関係を提示して一方的な言説への歯止めを図った。
Aでは、「新しい戦前にしない」をテーマに「闘わない覚悟」を本土と沖縄の方の対談形式で企画。80年前と同じ過ちを繰り返さないためにどうしたらよいのかに取り組んでいる。直近では具志堅髀シさん(ノーモア沖縄戦共同代表)と古賀誠さん(元自民党幹事長)が登場、沖縄戦の教訓や国会での憲法9条議論、戦争責任への向き合い方などを議論してもらった。
Bでは、「歩く民主主義100の声」として無作為に選んだ100人に街頭や戸別訪問で話を聞き、世論調査には現れない地域で暮らす住民の複雑な民意を汲み取るねらいがある。辺野古新基地建設、自衛隊基地建設、重要土地利用規制法などのテーマで聞いていくプロセスが、民主主義を考える場になっている。
新報に移ってきてよかったと思うのは、読者との距離感が非常に近いこと。調査報道の重視に読者からの手応えを感じる。
最近のフジテレビ問題は、これまで新聞労連がジャーナリズムの信頼回復のために記者会見、セクハラ、賭け麻雀など一連の問題を受けて声明や提言をだしたが、それを顧みないツケが吹き出したのだと思う。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
琉球新報(以下、新報)に転職して1年5カ月、戦後80年の報道状況と台湾有事の名のもとに進む沖縄南西シフトの軍事強化が重なり合うのを日々実感している。
国会では軍事強化に歯止めをかける議論がまったくされず、それどころか、政治家からは「闘う覚悟」「一戦を交える」などの好戦的な発言が出てくる状況である。このような発言が跋扈する言論空間に抵抗する言論空間を作っていきたい。
新報に移ってから「闘わない覚悟」「歩く民主主義100の声」「国策と闘う」「信なき現場」「ハラスメントのない社会」の企画を手がけている。
私の報道姿勢は、筑紫哲也さんが掲げた@権力に対する監視役、A少数派であることを恐れない、B多様な意見を登場させて社会に自由な気風を保つ、を大事にしている。
@では、南城市長のセクハラ疑惑、辺野古新基地建設、軍事化などの報道がある。好戦的な言説の広がりに抗う軸として「国策と闘う」を企画した。住民の目線でどう抗っていくのか他紙と連携しながらさまざまな事例で取り上げている。
辺野古新基地建設では、国策の名のもとに市民の抗議行動を潰す言説が、本土メディアや現場でのバッシングによって勢いを増している。これに対し「信なき現場」の連載(3回)では、現場取材を重ね事実関係を提示して一方的な言説への歯止めを図った。
Aでは、「新しい戦前にしない」をテーマに「闘わない覚悟」を本土と沖縄の方の対談形式で企画。80年前と同じ過ちを繰り返さないためにどうしたらよいのかに取り組んでいる。直近では具志堅髀シさん(ノーモア沖縄戦共同代表)と古賀誠さん(元自民党幹事長)が登場、沖縄戦の教訓や国会での憲法9条議論、戦争責任への向き合い方などを議論してもらった。
Bでは、「歩く民主主義100の声」として無作為に選んだ100人に街頭や戸別訪問で話を聞き、世論調査には現れない地域で暮らす住民の複雑な民意を汲み取るねらいがある。辺野古新基地建設、自衛隊基地建設、重要土地利用規制法などのテーマで聞いていくプロセスが、民主主義を考える場になっている。
新報に移ってきてよかったと思うのは、読者との距離感が非常に近いこと。調査報道の重視に読者からの手応えを感じる。
最近のフジテレビ問題は、これまで新聞労連がジャーナリズムの信頼回復のために記者会見、セクハラ、賭け麻雀など一連の問題を受けて声明や提言をだしたが、それを顧みないツケが吹き出したのだと思う。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年05月11日
【沖縄リポート】戦争準備の完成形、全国規模で=新垣邦 雄(ノーモア沖縄戦 命 どぅ宝の会 事務局長)
政府の「戦争準備」が 凄まじい。最近も「長射 程ミサイル九州先行配 備」に続き「宮古・八重 山全住民の九州・山口避 難」計画が発表された。 沖縄−奄美を最前線の戦 域に見立て、全国各地で ミサイル配備、弾薬庫建 設、「空港・港湾・道路」 軍事化、民間空港・港湾 への分散展開計画、兵 器・兵員輸送体制が完成 形となった。戦争準備の インフラ整備から有事下 「住民疎開」の最終段階 に入ったと認識している。
ノーモア沖縄戦の会は 「長射程ミサイル九州配 備」「九州・山口疎開」に 反対する記者会見に続き、 4月7日は伊藤晋哉沖縄 防衛局長に「あらゆる戦 争準備に反対する申し入 れ」を行なった=写真= 具志堅隆松共同代表。台 湾有事「日米共同作戦計 画」の即時廃棄−など要 求・質問に、防衛局長は ほぼノーコメント。その 中で同局長からミサイル の運用(発射)は「住宅 街から離れた場所」「ミサ イル発射機は移動式」の 重要な回答を引き出した。
陸自ミサイルは配備基 地から公道を通り民間地 に展開、移動を繰り返し、 島々の各所がミサイル発 射拠点となる−ことを防 衛局長が認めた。「小さな 島中でミサイルを発射し、 島中が攻撃目標となる」 「米軍主要基地のある沖 縄島は屋内避難では済ま ない」「日米が核抑止強化 を確認し、沖縄への核再 配備、核戦争の懸念があ る」と防衛局長を追及し た。
また石垣島の運動団体 が政府から引き出した 「内閣官房は、武力攻撃 予測事態の認定で、住民 避難と同時に自衛隊・米 軍の大規模部隊派遣が始 まり、同じ空港・港湾を 使う。『住民避難が優先と は限らない』と回答」を 防衛局長に突きつけた。 「住民避難と自衛隊・米 軍派遣」が「同じ空港・ 港湾」で同時に行なわれ れば「攻撃目標」の危険 性は明らかで、「住民避 難」計画の即時廃棄を重 ねて要求した。
日米の中国との戦争準 備は全国規模だ。犠牲は 沖縄だけではすまない。 当会は「沖縄・西日本ネ ットワーク」を結成、6 月6日に防衛省交渉を計 画する。東京行動への参 加・支援を呼びかける。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年04月12日
【報告】被団協ノーベル平和賞受賞式 証言の重み伝える責任 取材記者囲み報告集会=田中伸武(広島支部)
参加者が核・平和報道のあり方を意見交換した。
JCJ広島支部は2月24日、広島市内で「ノーベル平和賞 現地取材記者による報告―これからのヒロシマ報道を考える」と題した集会を開いた。日本被団協の授賞式(12月10日・オスロ)に同行した広島の若手新聞・放送記者ら4人が「現地行事を追いながら田中熙巳代表委員のスピーチの重みや報じる責任をかみしめた」などと語った。マスコミ関係者や高校新聞部員を含む約40人が参加。核・平和報道の在り方をめぐっても意見交換し、交流を深めた。
将来へ報道工夫
毎日新聞の安徳祐記者は入社3年目。学生時代に被爆証言を聞いて広島赴任を希望した。
「被団協受賞を知らない人が多かったオスロ市民だが、ロシアと接する国柄か核戦争を身近に感じていた」と国際情勢を実感。「(被爆)証言の力は大きい。今後被爆者がいなくなる世界で報道をどう工夫するかを考える」と話した。
歴史伝える重み
下高充生記者は中国新聞で、被団協の歴史を振り返る連載も担当した30歳。被団協事務局長の木戸季市さんの言葉「核から人間を守る」が印象に残ると語った。
「公式記録がない過去の出来事は当時の新聞記事が頼り。自分の書く記事も将来、審判を受ける」と報道の重みを改めて自覚したという。
若者動かす契機
広島テレビの竹内嘉菜記者は入社3年目。「被爆者が運動に挑む姿と、そこから高校生らが感じたことを意識した」と、授賞式1カ月前からの取材について語った。
「被爆者がいなくなる将来、若者の関心が世界を左右する。若者が平和運動などに一歩踏み出すきっかけとなる番組を作りたい」と表明した。
マスコミの責任
被団協メンバーがオスロで議員朝食会や市民交流会などに参加した3日間を撮影し、ネット発信した中奥岳生さん(広島YMCA)も「ノーモアを叫ぶデモ行進に市民が次々加わった」と特別報告。「国家が戦争受忍を国民に押しつけるのはおかしい。マスコミは問うべきだ」と訴えた。
平和発信の変化
フロア質疑では、崇徳高新聞部員の指摘を基に新聞テレビを見ずSNS浸りの層への伝え方を議論し、ミャンマー留学生の発言からロシアを含めた国際的な核情勢を話し合った。
広島の戦争加害の側面や、広島と長崎の平和発信の違い、近年の平和教育の変化などさまざまな意見が出た。会場の被爆者からは、被爆80年をにらみノーベル委員会が贈賞した意味が強調された。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
JCJ広島支部は2月24日、広島市内で「ノーベル平和賞 現地取材記者による報告―これからのヒロシマ報道を考える」と題した集会を開いた。日本被団協の授賞式(12月10日・オスロ)に同行した広島の若手新聞・放送記者ら4人が「現地行事を追いながら田中熙巳代表委員のスピーチの重みや報じる責任をかみしめた」などと語った。マスコミ関係者や高校新聞部員を含む約40人が参加。核・平和報道の在り方をめぐっても意見交換し、交流を深めた。
将来へ報道工夫
毎日新聞の安徳祐記者は入社3年目。学生時代に被爆証言を聞いて広島赴任を希望した。
「被団協受賞を知らない人が多かったオスロ市民だが、ロシアと接する国柄か核戦争を身近に感じていた」と国際情勢を実感。「(被爆)証言の力は大きい。今後被爆者がいなくなる世界で報道をどう工夫するかを考える」と話した。
歴史伝える重み
下高充生記者は中国新聞で、被団協の歴史を振り返る連載も担当した30歳。被団協事務局長の木戸季市さんの言葉「核から人間を守る」が印象に残ると語った。
「公式記録がない過去の出来事は当時の新聞記事が頼り。自分の書く記事も将来、審判を受ける」と報道の重みを改めて自覚したという。
若者動かす契機
広島テレビの竹内嘉菜記者は入社3年目。「被爆者が運動に挑む姿と、そこから高校生らが感じたことを意識した」と、授賞式1カ月前からの取材について語った。
「被爆者がいなくなる将来、若者の関心が世界を左右する。若者が平和運動などに一歩踏み出すきっかけとなる番組を作りたい」と表明した。
マスコミの責任
被団協メンバーがオスロで議員朝食会や市民交流会などに参加した3日間を撮影し、ネット発信した中奥岳生さん(広島YMCA)も「ノーモアを叫ぶデモ行進に市民が次々加わった」と特別報告。「国家が戦争受忍を国民に押しつけるのはおかしい。マスコミは問うべきだ」と訴えた。
平和発信の変化
フロア質疑では、崇徳高新聞部員の指摘を基に新聞テレビを見ずSNS浸りの層への伝え方を議論し、ミャンマー留学生の発言からロシアを含めた国際的な核情勢を話し合った。
広島の戦争加害の側面や、広島と長崎の平和発信の違い、近年の平和教育の変化などさまざまな意見が出た。会場の被爆者からは、被爆80年をにらみノーベル委員会が贈賞した意味が強調された。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
2025年04月06日
【沖縄リポート】運動の抑え込みと県指導を無視=浦島悦子
沖縄防衛局は3月4日午前、うるま市平安座島にある沖縄石油基地の民間桟橋から辺野古への埋立土砂搬出を開始した。
同市宮城島からの土砂搬出が突如始まった昨年11月20日(12月号本欄既報)以降、うるま市島ぐるみ会議を中心とする市民らは採石場入口での抗議行動を粘り強く続け=写真=また、同島からの土砂の搬出港である中城湾港(沖縄市)でも沖縄市民らを中心に現場行動が続けられてきた。
またもや突然のルート変更は、辺野古への搬入距離(海路)短縮のためだというが、市民の現場行動封じ込め(民間施設には立ち入れない)の狙いはありありだ。沖縄防衛局は、直前の当日朝、沖縄県に変更を通知。埋立承認時の留意事項違反の可能性があるとする県に対し「変更承認は必要ない」と居直っている。
辺野古新基地建設工事を巡るこの間の防衛局(国)の姿勢は、市民活動の徹底した抑え込みと、沖縄県の指導のあからさまで徹底的な無視だ。昨年6月の安和桟橋での重大死傷事故は、未だに真相究明がされない(重傷を負った市民をはじめ関係者への警察の事情聴取は一度も行われていない)まま、抗議する市民と沖縄県を加害者扱いする言説がふりまかれ、それを口実に現場行動の封じ込め、土砂搬出の拡大が続いている。
国(自公政権)の最大の狙いは、次期沖縄県知事選(来年秋)で玉城デニー知事を引きずり下ろすことだろう。そのためには、たとえ違法であろうと県の指導は一切無視し、「デニー知事は無力だ」と県民に見せつけ、信頼を失墜させること。
県のワシントン事務所を巡り沖縄自民党が、県議会の野党多数に乗じて予算審議を拒否し続けたことも軌を一にしている。
県内市の首長は現在、すべて自公系(うるま市長選挙が4月に行われる)となっており、県議会も野党多数。来年の県知事選で知事の首を挿げ替えれば、あとは国の思うがまま、やりたい放題できる、というのが彼らの目論見だろう。
そんなことを許すわけにはいかない‼
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号


