2026年04月28日

【出版トピック】柚木麻子さん、自著『BUTTER』の版権を新潮社から河出書房新社へ

◆契機は深沢潮さんへの対応
 柚木麻子さんは22日、自身のインスタグラムを更新し、「この度、拙著『BUTTER』の版権を、新潮社様から河出書房新社様へ移す決断をいたしました」と報告。その内容を紹介する。
 「ここに至るまで、双方の会社と協議を重ね、円満な合意の上での移動となっております。新潮社様には長年にわたりお世話になり、作家として育てていただいたことに感謝しております。これまで支えてくださった各部署の皆様にも、心より御礼申し上げます」と綴った。
 さらに「今回の判断の背景には、昨年、作家仲間である深沢潮さんに著しい苦痛を与える記事が、彼女のデビュー元である新潮社発行の雑誌に掲載されたことがあります」と説明。「その後の状況や、彼女にかかった負担、そして孤立について見聞きし、出版というシステムの在り方を深く考え直す契機の一つとなりました」と振り返った。

 そして「作家として、自分にできる具体的なアクションは何か。検討を重ねた結果、新潮社様における複数の版権のうち、一作を他社へ移動するという選択に至りました。これは現時点での、私なりの最大限の意思表示です」と伝えた。
 また、「『BUTTER』のオーサーズツアーで各国の出版関係者と対話するなかでも、差別や排除に対しどう立ち向かうべきか、自身の立場を厳しく問われる機会がありました。私はいつも迷い、間違えることが多い人間ですので、本件は、国内外の同業者や関係者に相談し、助言を受けながら決断したものです」と心境を表明。

◆多様な文化や価値観を大切に
 版権の移動は、「多大な調整が必要となり、関係者の皆様にご負担をおかけしたことをお詫び申し上げます。なお、同様の行動を他の書き手に強制する意図は一切なく、それぞれが置かれた状況下での判断が尊重されるべきだと考えております」と伝え、「同時に、本作を愛してくださっている読者の皆様には、今回の移動後も変わらず作品を楽しんでいただけるよう、環境を整えてまいりますので、ご安心いただければ幸いです」と呼びかけた。

 改めて「出版の世界が、読者や作り手が安心して表現に向き合い、多様な文化や価値観を受け止められる場所であることを切に願っております。なお、本件に関しては、この声明文に記したことが全てであり、長期間の検討を経て出した結論です。そのため、個別のご質問や取材等はお受けいたしかねます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」と説明。「海外の版元の皆様、国内の書店員の皆様にもご負担をおかけすることをお詫び申し上げます。サイン等の対応が必要な際は、河出書房新社様を通じてご連絡いただけますと幸いです。なによりも、深沢潮さんの今後の執筆活動が、健やかで安定した環境のもとで続けられることを、一人の作家、そして一人の友人として強く願っております」と締めくくった。

◆今も新潮社への抗議は続く
 柚木さんらが決断の背景にあるとした問題のコラムは、昨年の「週刊新潮」7月31日号に掲載された。高山正之氏の連載「変見自在」で、1940年、日本が朝鮮人に日本式の姓名に改名するよう強いた政策を引いて「創氏改名2・0」と題し、深沢さんをはじめ俳優や大学教授らの実名を挙げて、「日本も嫌い、日本人も嫌いは勝手だが、ならばせめて日本名を使うな」と書いた。
 深沢さんは、コラムの掲載後、2度にわたり、新潮社にコラムが差別的で人権侵害にあたるかどうか文書で質問した。だが深沢さんの代理人によると、新潮社は回答でコラムの内容に対する認識には言及しなかった。そうした経緯から、深沢さんは、2012年のデビュー作を収めた「縁を結うひと」のほか、新潮社から出ていた計4作品の出版契約を解除する意向を示し、昨年9月に解除が決まった。
 同じ9月には、コラムの内容や同社の対応に抗議する人たちが、「新潮社は差別で稼ぐな」などのプラカードを手に、新潮社前に集合した。

 コラム掲載後の新潮社の対応への批判は収まらず、澤村伊智さんは今年2月に自身のXで、新潮社から出版した「怪談小説という名の小説怪談」の契約を終了したと発表。「週刊新潮」編集部が、「民族差別的な記事を掲載し、その事実を認めないこと」や、文芸編集部も不誠実な対応をし続けていることなどが理由だと記していた。
 また、問題をめぐっては、昨年10月、ワック発行の月刊誌「WiLL」が「女流作家に屈伏した週刊新潮」と題する高山氏のコラムを掲載。11月には「週刊新潮」に掲載したコラムを収録した高山氏の書籍『高市早苗が習近平と朝日を黙らせる』を刊行する。
 深沢さんは今年1月、これらの内容が事実に反し、名誉感情を侵害するなどとして、出版社ワックと筆者の高山氏を相手取り、慰謝料を求める訴えを東京地裁に起こしている。
 なお河出書房新社からは、文庫版が6月15日に発売される。
            
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2026年04月27日

【好書耕読】消えゆく村と農民に迫る=大野 和興(農業ジャーナリスト) 

 コロナ下、山形県の最上川沿いにある白鷹町に通い、ドキュメンタリー映画を製作した。その映画タイトルおよび書名が『出稼ぎの時代から』(社会評論社)である。国の戦後農村の変貌の一時期を表す出来事を頭に、その後の村の有様を追った。

 映画には主に農村の人たちから、様々な反響が寄せられた。村の男たちが冬から春先まで約半年、出稼ぎで都会に出かけ、村から姿を消した1960年代から70年代にかけての10年余は、深い影響を人々の心に残したことが、今さらのように分かった。映画で描ききれなかった反響を記録に残そうと思い立ち、出来上がったのが本書である。
 村から男たちの姿が消える半年の長い冬を、女性や子どもたちはどう過ごしたか、出稼ぎせずに済むにはどうしたらよいのか、出稼ぎ者を迎えた都市では、様々な人たちに登場願い、証言していただいた。本書は戦後農村を生きてきた人々自身が編む民衆史の様相を帯びる内容となった。
 同時に、ここでも映画づくりでぶつかったと同じ課題に突き当たった。村はこの先どうなるのか、人々はどうしようとしているのか、という問題である。

 出稼ぎの時代、村の男たちは半年姿を消したが、春には帰ってきて農作業に精を出した。だがいま村にはその姿はなく、土地は放棄され、朽ちかけた空き家が目立つ。出稼ぎ世代は次第にいなくなり、若い世代は戻ってこない。まさに村が消えかけている。
 その一方で為政者は、AIとロボットとハイテクと植物工場を振興させ、農業を輸出産業へと叫んでいる。村も人もいらないというのだ。 映画と本を作ってきた私たちは、その現実をそのまま描けばいいのだろうか。とはいえ、村と同化している私たちは、村の現実をどうにかしたいと、自分事でしか考えられない。そんな思いを抱えつつ自分たちなりの視点でこの先を描きたいと模索している。
                
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2026年04月26日

【軍拡】夜陰に乗じてミサイル搬入 健軍駐屯地囲む 1200人抗議の輪=丹原美穂(沖西ネット事務局・JCJ東海)

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             深夜、駐屯地に搬入されるミサイル機材
 3月9日0時18分、防衛省は熊本市東区の陸上自衛隊健軍駐屯地に長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」発射車両など、関連機材を搬入した。駐屯地前は「夜か未明に搬入がある」との情報で集まった右翼の街宣車や、反対の市民で騒然とし、抗議や怒号も飛び交った。

 駐屯地正門前では8日午後9時半過ぎから、市民団体など約100人の反対住民らが緊急反対集会を開き、「住宅街にミサイルはいらない」「地元住民への説明もない」と抗議行動を展開した。
 地上発射型長射程ミサイル能力向上型は射程約1000`を超え、静岡の陸自富士駐屯地に配備予定の「高速滑空弾」と並び、防衛省が中国などを念頭に進める有事の際、「敵」を射程圏外から(スタンド・オフ)攻撃する南西地域防衛力強化の柱。健軍が「反撃能力」(敵基地攻撃)の柱となるミサイルの初めての配備で、中国沿岸部や台湾周辺海域も射程に入る。

 駐屯地近くの健軍商店街は基地の恩恵で賑わう場所。なかなか基地反対の声を挙げにくい。だが、防衛省の抑止力向上強調に対し、住民は「攻撃対象となるのでは」と、不安の声を上げ、「ストップ!長射程ミサイル配備の会」も誕生。昨年11月18日、商店街に1200人が集まり、反対集会を開いて抗議の声をあげた。
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                反対を訴える横断幕
 今年、2月23日には「ストップ!長射程ミサイル・弾薬庫」を掲げた「県軍駐屯地を平和の輪でつなごう!2026」との呼びかけで、11月の健軍商店街集会と同じく1200人の参加を得た駐屯地を取り囲む「人の輪」も展開。年度末の長射程ミサイル配備を目前に、政府の「大軍拡」最前線の自衛隊基地・駐屯地で進む「戦争をする国」の具現化に強い懸念の意思を示した。
 参加者は全国からも集まり、「どこの街にもミサイルいらない」「弾より米だ 平和が一番」「熊本を戦場にするな」などのコールが響いた。沖縄から駆けつけた具志堅隆松さんは「私たちは自衛隊員の命も守りたいのです」と訴えた。「人の輪」に続くデモ行進はさらに参加人数が増えた。
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              駐屯地を「人の輪」で囲む人たち
 3月9日強行された長射程ミサイル機材搬入の情報が流れたのは7日夜の一部報道で。防衛省から地元、熊本県や熊本市には一切連絡なし、木村敬知事、大西一史市長らも苦言を呈した。
住民だけでなく知事・市長らも、「説明会開催を」と求めるが、防衛省は「住民の懸念より抑止効果」(内倉浩昭・統合幕僚長)だとする。
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号
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2026年04月25日

【おすすめ本】小松 由佳『シリアの家族』―過酷な日常を生きる一家 自らの苦闘と共に描く=高世 仁(ジャーナリスト)

 開高健ノンフィクション賞を受賞した本書は、一家の運命を通じて、シリア内戦を生きた人々の声を掬い取った、スケールの大きな傑作だ。
 写真家の著者が、初めてシリアを訪れたのは2008年。ラクダの放牧で生きる四代70人の大家族の伝統的な暮らしと文化に魅せられ、彼女は繰り返し現地へ通った。

 だが2011年、民主化運動とアサド政権による弾圧が、一家の運命を一変させる。政府軍に徴兵された十二男ラドワンは、民衆弾圧を拒んで脱走。民主化運動に加わった兄は、秘密警察に逮捕された。
 故郷パルミラも戦場となり、家族はトルコや欧州へと離散する。著者は国外に逃れたラドワンと結婚し、日本で二児を育てながら一家とシリアの激動を記録し続けた。

 物語は著者自身の家族にも及ぶ。男性優位の文化で育った夫は家事や育児を担わず、さらにはシリアから若い第二夫人を迎えたいと言い出す。
 著者は一人の女性として傷つきながらも、これを「第二夫人騒動」と名づけ、「貴重な異文化体験」として記録した。著者の記録者としての執念に感銘を受けると共に、固有の文化の内在的理解と近代的人権を、どう両立させるのかは、我々が異文化に向き合う際の根本的な課題であることにも気づかされる。

 アサド政権崩壊の報を受け、著者は「大手メディアの報道とは異なる切り口」で伝えようと考える。そこで夫を現場に立たせ「当事者」の目から激動の歴史的瞬間を描くことで「差別化」を図った。本書からはフリーランスとして生き抜く知恵をも学ぶことができる。(集英社 2200円)
         
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2026年04月24日

【お知らせ】 フリーランス法(取適法)は業務丸投げ+契約解除に対抗できるのか?〜宝島社「100分de名著 カール・マルクス『資本論』」裁判判決を素材に〜 27日(月)午後7時から8時30分

 3月19日宝島社裁判の控訴審判決が出されました。控訴棄却の不当判決です。
 控訴審判決は、公正取引委員会が下請法違反で行政指導をしたことを無視し、書籍制作一式の請負契約であるとした一審判決も否定し、編集業務だけの請負契約であって報酬相当額も支払済みであると決めつけました。その結果、「不当な給付内容の変更」の法解釈にまで踏み込まず、業務丸投げと契約解除の実態に即した判断をしていません。控訴審判決は、「取引条件の明示義務」違反の重要性を考慮せず、フリーランスに不利益を負わせるものであり、下請法(取適法)/フリーランス法の立法意義を没却するものです。看過するわけにはいきません。

 出版ネッツでは、下請法(取適法)/フリーランス法の専門家である岡田直己さん(青山学院大学法学部教授)を講師に招き、宝島社事件地裁・高裁判決の批判的検討と、「取引条件の明示義務」と「不当な給付内容の変更(契約解除や発注取消)」について学ぶ集会を開催します。
皆さんのご参加をお待ちしています。
〈集会概要〉
■場所:出版労連会議室(対面、オンライン併用)
東京都文京区本郷4-37-18 いろは本郷ビル2F
■対面、オンラインとも申込みが必要です
https://forms.gle/9XVb9QZpnVkobCEaA
※申込みの締め切りは、4月26日(日)18時
■参加費:無料
〈プログラム〉
○宝島社裁判の経過報告と判決批判:当裁判代理人弁護士 本間耕三さん
○講演「“契約書は作らない”という因習がフリーランスを窮地に追い込む―宝島社事件の批判的検討―」:青山学院大学法学部教授 岡田直己さん
○質疑応答
〔お問い合わせ先〕 https://union-nets.org/misc 主催:ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)
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2026年04月23日

2026年04月21日

【焦点】イラン攻撃 トランプ米大統領「5つの誤算」=橋詰雅博

 イスラエルと共にイラン・イスラム共和国体制を打倒すると攻撃したトランプ米政権は、短期で戦闘を終わらせ「勝利」宣言の腹づもりだったが、イランの徹底抗戦で足元をすくわれ、無様な様相を呈している。
 日本AALA(アジア・アフリカ。ラテンアメリカ)連帯委員会が主催した4月11日のオンラインによる勉強会に出演した現代イスラム研究センター理事長の宮田律(おさむ)氏の講演をもとにトランプ「5つの誤算」を分析した。

@殺害が裏目に ハメネイ最高指導者を始めアジーズ・ナシールザーゲ国防相、アリー・ラリジャニ国家安全保障最高評議会事務局長らを殺害した。ハメネイの後継者は息子のモジタバ・ハメネイ師、国防相の後任はマジド・エブネ・レザー革命防衛隊将軍、事務局長の後任はモハンマド・バゲル・ゾルガドル元革命防衛隊将軍が就任。結局、中道・穏健派の政治指導者たちは消えて、極右の反米・反イスラエルの強硬派が指導部の中枢を占めた。宮田氏は「(殺害は)実に愚かしい行為」と述べた。

A抑止力を確信 イランは米イスラエルからの攻撃の抑止力としてホルムズ海峡閉鎖や湾岸諸国の大型石油掘削装置(石油掘削リグ)など石油関連施設に対する破壊の脅しが有効な手段であることを確信した。

B支援が強化へ イランと良好な関係をもつ中国、ロシア、中央アジア諸国のトライアングルの協調が強化され、イランへの軍事・経済支援が増強されそうだ。逆にトライアングルとイランに対し米国の指導力が著しく低下するのは必至だ。

C軍体制は健在 イランには12万から19万人の革命防衛隊と40万人の正規軍がいる。さらに40万から80万人の民兵組織「バシジ」も活動。宮田氏は「これら軍体制が米イランの攻撃で弱体化したようには到底思えない」と見る。

D低迷の支持率  MAGA派(トランプ岩盤支持層)の中で軍事介入反対の勢力が増えている。またガソリン価格の高騰、インフレ加速で生活が苦しくなったトランプ支持の低所得の白人層の不満が高まる。トランプ離れに拍車、支持率は30%台に低迷。11月の中間選挙で共和党敗北の可能性が現実味を帯びている。
 大ピンチのトランプ、米国民の目をそらすため次はキューバに介入か。愚行は止まず。
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【好書耕読】ラジオの再生に挑んだ執念=丹原 美穂(JCJ東海支部代表)

  昨2025年はラジオ放送開始100年だった。
 延江浩『反骨魂』(文藝春秋)は、戦後ラジオの再生のために奮闘した人たちの物語。本書の主人公・後藤亘氏は「FM東海」(後のFM東京、現・エフエム東京)や日本初のFMネットワーク「TOKYO FM」の立ち上げに尽力し、「ミスターFM」として知られる。

 彼は少年航空兵に憧れ、お国のため、天皇陛下のために身を捧げることこそが、男子の本懐だと信じていた。その少年が、敗戦によってそれまでの価値観や倫理観を一変させられ、混乱や虚無感の中、「人はどう生きるか」を問いながら、ラジオを立て直そうと奔走する。
 きっかけは先輩の口から出た、次のような言葉だった。
 「ラジオは太平洋戦争中、国民を戦争に動員する役割を果たした。権力によって一度殺されたラジオを再生させて、教育に活用したい。学生たちのすさんだ心を癒やしてくれるのは勉学と教養である。そして友情。生きるための歓びの一環をラジオは担うことが出来る」
 さらに「これからの日本が民主国家として歩んでいくためには、なによりも言論の自由と、その多様性が必要だ」との訴えだった。
 それを踏まえて、後藤氏は「ラジオは人々の喜びのためにあるべきだ」との信念で、志を同じくする多くの仲間達とラジオに思いを託す。どんな時も希望だけは捨ててはいけないと、数々の困難も「トラブルはチャンス」「どんな逆境をも好機と捉える」と“反骨魂”で乗り切っていく。
 著者の延江氏は〈あとがき〉で「海の向こうでまた戦争が始まったこの時期に、ラジオにできることが、なにかないだろうか」と書いている。
 
 「戦争前夜」と言われる不安で危険な時流が増長する今だからこそ、「反骨魂」を持ち、「平和」と「民主主義」のために、メディアにできることがあるはずだ。 
             
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2026年04月20日

【お知らせ】出版労連「出版技術講座」の受講生・募集案内

 この「出版技術講座」は、出版界の新人・若手から経験者の学び直しを対象とし、本づくりの基礎をみんなで学ぶ、毎回好評の連続講座。「企画の立て方」「著作権」「本の制作」「デザイン・レイアウト」「校正」「本の売り方・情報発信」など、毎週水曜日に学べる。
■期間:5月13日(水曜)〜6月24日(水曜)
■会場:会場 エデュカス東京  東京都千代田区二番町12−1
■各回:18時30分〜20時40分
 第1回 5月13日(水曜)「企画の立て方」 島ア奈央(『暮しの手帖』編集長)、山本康一(三省堂 辞書出版部)
 第2回 5月20日(水曜)「著作権」 浜野純夫(著作権情報センター)
 第3回 5月27日(水曜)「本の制作」 市川敬祐(元・岩波書店製作部課長)
 第4回 6月10日(水曜)「デザイン・レイアウト」藤本隆(エディット)
 第5回 6月17日(水曜)「校正」松恭則(元・集英社 校閲室)
 第6回 6月24日(水曜)「本の売り方・情報発信」勝間準(Gakken)
★通し受講者限定のオンラインガイダンス:5月11日(月)18時30分〜(1時間程度)
■通し受講(会場+オンライン)と単発受講(オンラインのみ)がある。
 受講料 通し講座(全6回):出版労連組合員および過去の受講生=18,000円、左記以外=24,000円 単発受講(1回あたり):出版労連組合員および過去の受講生=3,000円、左記以外=4,000円
■申し込み方法
 受講には事前申し込みが必要。Peatix上の専用フォーム https://43-kouza.peatix.com から通し講座のチケット購入を。単発受講の場合は、通し受講のチケットページの案内をご覧ください。領収証はPeatixからダウンロードしてください。
*注*Peatixで購入できない方に限りメールでの申し込みを受け付ける。氏名/単組名(出版労連組合員以外の方は会社名などを) /メールアドレスを記入し、件名を「技術講座2026申し込み」とし s-kouza@syuppan.net に送ってください。
■ 申込締切
 通し受講・5月8日(金曜)正午まで 単発受講・各講座前日正午まで
■募集人数:会場の通し受講の定員40人、全体で80人(先着順、定員になり次第締切)
■チラシ 2026kouza_flyer

主催 出版技術講座運営委員会(出版労連内)
問い合わせ:Mail:s-kouza@syuppan.net/Tel:03-3816-2911
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2026年04月19日

【寄稿】沖縄の軍事植民地化 露骨 市民ら共同訓練抗議=照屋寛之(ミサイル配備から命を守るうるま市民の会)

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 2月11日から日米共同訓練「アイアン・フィスト26」が実施された。14日、うるま市のキャンプ・コートニーゲート前で日米共同訓練「アイアン・フィスト26」反対集会(主催:ミサイル配備から命を守るうるま市民の会)が行われた=写真=。県内の市民団体にも呼びかけ、およそ70人の参加者が声高に訓練反対を訴えた。伊波洋一参議院議員は「米国の戦略に乗るような戦争はやっちゃいけない。大きな声で反対すること」の必要性を訴えた。訓練反対を訴えても訓練が中止されることはない。しかし日米共同訓練反対の一連の闘いは、県内はもちろんのこと、全国的にもメディアで報道され、多くの県民がいかに共同訓練に反対しているかが可視化(ビジュアル化)されることは意義深い。
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 ホワイトビーチ、海軍桟橋の強襲揚陸艦トリポリ。甲板には最新鋭ステルス機F35Bと哨戒ヘリSH60
 47都道府県のうち訓練が行われたのは、山口、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄県のたった7県。しかも、19カ所の飛行場、駐屯地などで訓練は行われたが、そのうち11カ所は沖縄だ。今や沖縄は基地の過重負担の上に、日米軍事訓練の過重負担を強いられている。いざ有事になれは、初戦では沖縄が主戦場になることは訓練内容からの明らかだ。

 高市首相は安保3文書を改訂し防衛予算の増額を明言しており、軍事化はさらに強化される。最もその犠牲になるのは沖縄であることは、沖縄への防衛予算が年々増額されていることからも明らかだ。日米両政府による沖縄の軍事植民地化が露骨になってきた。
 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」、「沖縄・西日本ネットワーク」を中心に、沖縄を再び戦場にさせないため、共同訓練反対の輪をさらに広げよう。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号 



                   
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2026年04月18日

【焦点】日本はイランから最も信頼される国 政治的圧力かけない、ソフトパワーも貢献=橋詰雅博

 米国とイスラエルの横暴に立ち向かうイランは、対日感情が「良い」といわれている。イランを対象としたカナダの世論調査会社「IranPoll」が昨年10月に発表したイラン1000人への主要7カ国と国連の好感度調査でもそれは裏付けられている。好感度ナンバーワンは日本、その後、中国、ロシア、ドイツ、国連、イギリス、フランスの順で、米国が最下位。

 イランと米国との関係が悪化したのは2018年、第一次トランプ政権の時だ。その引き金はオバマ政権下の15年7月に成立したイラン核合意(安保理常任理事国の米英仏独中露6カ国とイランが締結、ウラン濃縮活動の制限と欧米側の経済制裁解除)からの離脱だ。
 日本AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)連帯員会による4月11日の勉強会に出演した現代イスラム研究センター理事長の宮田律(おさむ)氏は、ドイツを始め欧州各国に対する好感度がダウンしていることについて「トランプ大統領の対イラン制裁強化を受けてこれらの国の企業があっけなくイランから撤退したことも背景にあるだろう」と推測した。

 IranPollは、日本に対する好感度が高いのは、安倍晋三首相が19年6月に日本の首相として41年ぶりにイランを訪問したことを理由の一つに挙げている。 
 宮田氏の見方はこうだ。
 「欧州各国のようにイラン核合意を守らないと、再び制裁を科すなどの政治的圧力をかけていないこともある。また、日本は歴史的にイランに対しネガティブな関与を行くこともなく信頼関係を構築し、映画、ドラマ、文学、漫画、アニメなど日本のソフトパワーが良好な対日感情を築くことに貢献してきた」

 イランのアラグチ外相も自著『イランと日本 駐日イラン大使の回顧録2008―2011』の中で笹川平和財団角南篤(すなみあつし)理事長との対談でこう述べている。
 「日本はイランの人々にとって非常に信頼できる国です。私はいつもイラン人の同僚や友人に、『イランの街に行って一般の人々に、日本を含め思いつく10の国の名前を聞いてみろ。そしてそれらの国でどの国が一番信頼できるか聞いてみろ』と言っています。10人中9人が日本と答えるに違いありません。これはあなた方日本にとっての財産です」
 「イランでも日本の技術への信頼があり、イラン人は日本製品を好んで買い求める。日本が国際社会の安定化に貢献することへの期待もアラグチ外相は著書で語っている」と宮田氏は話した。
 米国とイラン双方にチャンネルを持つ日本は、いまこそ米イラン関係修復に外交手腕を発揮すべきではないか。
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2026年04月17日

【Bookガイド】4月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)

 ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)

◆『石牟礼道子━水俣病公式確認70年のために』KAWADE夢ムック増補新版 4/6刊 1600円
2026年は、水俣病が公式に確認されてから70年の節目。作家の石牟礼道子(1927〜2018)は、患者たちの運動を支援し、また『苦海浄土』などの作品を通じて水俣病や現代文明の抱える諸問題を問い続けた。石牟礼さん逝去を受け、18年に刊行した文藝別冊「追悼 石牟礼道子 さよなら、不知火海の言霊」を、多数の増補を行い刊行。
 石牟礼の没後70年、いま世界と日本を見れば、石牟礼が水俣にみた近代の終わりが、確実に現実化しようとしている。一方、石牟礼へのアプローチもこの間、深みと広がりを増している。石牟礼の仕事は、いまこそ読まれなければならない重みをもって輝く。
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◆大石芳野『あすへの記憶』日経BP日本経済新聞出版 4/6刊 2000円
広島・長崎、東京大空襲、アウシュヴィッツ、沖縄、ベトナム、コソボ、ウクライナ…。災禍を生きた人たちに向き合い、話を聴き、カメラに収めて半世紀。日本を代表するドキュメンタリー写真家が、これからを生きる人たちと共有したい記憶とは。著者撮影の写真30余点を収録。その対象に向けるまなざしは、人には温かく、戦禍には厳しい問いを投げつつ 写しとる。そこに添える文章もまた、私たちの琴線に触れて重く響く。
 著者は写真家。東京都出身。日大写真学科卒業。日本写真協会年度賞、芸術選奨文部大臣新人賞、土門拳賞、紫綬褒章など受賞・受章多数。
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◆林望『書物を楽しむ━あえて今、紙の本を読む理由』朝日新書 4/13刊 840円
「やっぱ。本は紙だね ぬくぬく冬の床で読む。スマホでは目が痛くなるし、タブレットでは重くて嫌になってしまう」━紙ならではの利便性を説く林先生に、本との付き合い方・読書の醍醐味を、徹底的に語りつくす。70年に及ぶ読書遍歴についても言及。ここで取り上げる本、作家へのウンチクに、読んで堪能すること間違いなし。
 著者は1949年東京生まれ。作家・書誌学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『林望のイギリス観察辞典』で講談社エッセイ賞を受賞。
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◆西村章『高額療養費制度━ひろがる日本の<健康格差>』集英社新書 4/17刊 1050円
医療費が高額になった場合、自己負担額を一定に抑える「高額療養費制度」。自己免疫疾患の治療で長年この制度を利用してきたジャーナリストは、2024年冬に政府が発表した「改悪」案に不安と憤りをおぼえ、取材を開始する。各分野からの証言が浮き彫りにしたのは、健康に「格差」がある日本社会の現状や、セーフティネットとして十分に機能しない医療保険制度の姿だった。複雑で入り組んだ高額療養費制度の問題を、平明に解明する。
 著者は1964年、兵庫県生まれ。ジャーナリスト。自己免疫疾患の治療で09年から高額療養費制度を継続利用中。著書に『最後の王者MotoGPライダー・青山博一の軌跡』、『スポーツウォッシング なぜ〈勇気と感動〉は利用されるのか』など。
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◆星野博美『野馬追で会いましょう━相馬の馬文化と震災後の日常』集英社新書 4/17刊 1100円
海外で土着の馬に乗り、「馬の地」が紡ぐ歴史と人々の営みをたどる旅をしてきた著者は、日本では馬との暮らしが失われる中、馬文化のいまを知りたい。そう願って2021年夏、福島県相馬地方で行われる祭事「相馬野馬追」を初めて訪れた。浪江町で出会った「平本家」のメンバーは、東日本大震災でほぼ全員が被災し、全国に散らばって生活していた。
 かれらの語り、一人一人の選択から原発事故の影響がいまだ続く現実が見えてくる。日本の馬文化の現在地と震災後の日常を描くノンフィクション。
 著者はノ1966年、東京生まれ。ンフィクション作家、写真家。著書に『転がる香港に苔は生えない』『コンニャク屋漂流記』『世界は五反田から始まった』『みんな彗星を見ていた』など。
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◆米田一彦『家に帰ったらクマがいた』PHP新書 4/17刊 1200円
「駆除すべきか、人間が喰われるか」━オッと、その前にあなたはクマの真の姿を知っていますか。ある日家の玄関を開けると、黒くて大きな影が潜んでいた。「おいっ」と声をかけると、クマは私の脇腹をかすって逃げた。著者はこれまで3000回以上クマに遭遇し、9回襲われ、何とか生還してきた。人間とクマとの共生は可能なのか。研究を50年以上続ける日本一のクマ研究家が綴る、数奇な科学ノンフィクション。
 著者は1948年、青森県生まれ。秋田大学教育学部卒業。秋田県庁自然保護課勤務。86年に同庁を退職、フリーのクマ研究家となる。環境省の委託でツキノワグマの調査を行なってきた。著書に『クマ追い犬 タロ』『山でクマに会う方法』『熊が人を襲うとき』など。
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◆向井和美『ふたりの読書会━無期受刑者との本をめぐる往復書簡』岩波書店 4/28刊 2200円
始まったきっかけは、翻訳家である著者の元に、出版社を通じて届いた一通の手紙。知らない男性の名前があった。「突然申し訳ありません。私は刑務所で服役している者です」とはじまり、整った細かい字で書かれた文章。
 強盗殺人罪で20年以上服役している無期懲役囚からだった。向井さんの『読書会という幸福』(岩波新書)を読んだ感想と共に、自らの生い立ちや贖罪の意識が、7枚の便箋(びんせん)にびっしり綴られていた。そして二人の '魂の交流'がスタートした。その貴重な記録。
 著者は早稲田大学文学部卒。翻訳家。訳書に『100の思考実験』、『イエスの墓』など。
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2026年04月16日

【支部リポート】北九州 大災害、風化させるな 今年も宮古・田老など取材・交流=杉山 正隆

 死者・行方不明者1万8420人、関連死3800人余の東日本大震災・原発事故から15年。災害列島日本でも屈指の大災害は、人災の側面も強く教訓も多い。決して風化させてはならない。

 北九州支部は発生直後から継続的に現地に赴き、復興状況やメディアの報道などを確認し伝えてきた。今年も3月10日から3日間、岩手県宮古市や田老町を中心に取材した。
 想定を超した大津波はあの日、田老町の高さ10・65b、総延長2・4`の巨大防潮堤をほぼ破壊。住民4434人のうち181人が亡くなり、リアス式海岸の豊かな漁場で潤う町は壊滅した。

 3月11日午後2時46分、地元の子どもたちやお年寄りら住民100人余りが集まり、高さ14・7bとさらに巨大化した防潮堤の上で、あの日、あの時を思い起こし、防災行政無線のサイレンが鳴り響く中、海に向かって1分間、山に向かって1分間、手を合わせ黙とうした。
 賑やかだったころの町や亡くなった人たちの無念さを胸に、涙を流して祈る住民もいた。
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 田老第一小の子どもたちは、住民有志でつくるNPO法人「津波太郎(略称NPO田老)」と協力し、「にぎやかな田老」「幸あれ」「負けない」「復興」などと書かれた凧を揚げて、「大災害を記憶し自分たちで伝えていく」などと決意を語った=写真=。
 同小学校では、昭和と平成の大津波を田老町で経験し「語り部」として津波の恐ろしさを語り継いできた故田畑ヨシさんの紙芝居の読み聞かせが行われ、田畑さんが昭和三陸大津波の経験を描いた「つなみ」を長女、高橋恵美子さんが話した。子どもたちは真剣な表情で聞き入り、食い入るように見つめていた。

 田老町では昨年、市災害資料伝承館がオープンしたほか、大津波で大破した「たろう観光ホテル」、津波前の田老町の様子が分かる模型が設置されたガイド拠点「たろう潮里ステーション」など「学ぶ防災」が充実してきた。
北九州支部は2018年にJCJ全国交流集会を主催。熊本地震(16年)後の熊本県南阿蘇村や阿蘇市などへの現地視察には50人が参加した。今後も、災害への取り組みを続ける。
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号 
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2026年04月15日

【月刊マスコミ評・放送】「構造的性暴力」メディアは終止符を=岩崎 貞明

 放送業界全体を揺るがせた「フジテレビ問題」発生から一年が過ぎた。タレントによるアナウンサーへの性暴力事件を個人的なトラブルだと軽視した当時の経営陣の判断ミスによるもので、女性やマイノリティの人権を尊重しない傾向は業界全体にはびこっている。
 数年前、愛媛県のテレビ局「あいテレビ」が制作・放送していたローカル枠のバラエティ番組で司会を務めていたフリーランスのアナウンサーが、共演者やスタッフから執拗なセクシュアルハラスメントを受け、うつ病になって番組を降板した。アナウンサーは放送局を提訴して、東京地方裁判所で係争中だ。

 裁判では、テレビ局の安全配慮義務違反を追及して、アナウンサーの精神的被害や逸失利益など約4000万円の損害賠償を求めた。番組関係者にほとんど女性が存在せず、セクハラを止めるように番組側にたびたび訴えたのに聞き入れられなかったこと、アナウンサーはうつ病で現在も通院治療中のため未だに定職に就けないことなどを訴えている。
 またアナウンサーはこの事案について放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に人権救済申し立てを行ったが、人権侵害が認められなかった。そのBPO決定には有識者などからさまざまな批判が出されている。このため、この裁判はBPOの審議のあり方も問いかけるものとなっている。民放労連はこの裁判を支援することを決定して、早期解決を求める統一スト権の確立を春闘方針に掲げた。

 この裁判のケースなども踏まえて、2月に「メディアの構造的性暴力」をテーマにしたシンポジウムが開催された。新聞労連、民放労連、出版ネッツ、メディア総合研究所などが構成する実行委員会の主催。登壇した中野麻美弁護士は、性暴力は人権のトータルを侵害すること、侵害されるのは平和や民主主義といった社会的基盤にかかわること、情報が公共財であることから、その中に差別や暴力が含まれることの深刻さを論じ、被害者を沈黙させる構造の問題点を指摘していた。

 同様の問題はテレビに限らない。性暴力で有罪となったマンガ原作者を変名で起用し続けた小学館が厳しい批判の対象とされた件は、同社が設置した第三者委員会の調査が行われている。
 繰り返される性暴力、それが構造的に隠蔽されることを自覚して根本的に改めない限り、放送をはじめとするメディアは市民から見捨てられることになるだろう。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年3月25日号 
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2026年04月14日

【焦点】米イラン戦闘「異聞」「エプスタイン戦争」のイラン、コメディー映画『ウワサの真相』と重ねる米国=橋詰雅博

 米国とイスラエルによる先制攻撃を受け、抗戦したイラン。戦闘終結に向けた米イランの協議は不調に終わる。先行き情勢は混とんとしたままだが、戦闘を仕掛けられたイラン人は、この有事を「エプスタイン戦争」と呼んでいる。
 エプスタインとはご存じの通りあのジェフリー・エプスタインのことで、少女への性的虐待などの罪で起訴され拘留中に死亡した米富豪だ。英アンドリュー王子は深い仲だったエプスタインへの機密漏洩の疑いで今年2月に逮捕されたのは記憶に新しい。その少女買収に関するエプスタインファイルにはトランプ米大統領の名前が数千回も出ているとテッド・リュー米下院議員(民主党、カリフォルニア州)は指摘している。イランを攻撃したのは、自身のスキャンダル隠しを意図したものというわけだ。

 これに絡み米国では、1997年の米コメディー映画『ウワサの真相』(原題「ワグ・ザ・ドッグ(wag the dog)」)が話題になっている。この映画は大統領選期間中に発覚した大統領のセックス・スキャンダルから国民の目をそらすためアルバニアが「敵国」とされる。悪辣さを強調するため非道なアルバニアというイメージが捏造され喧伝されていくのである。トランプの暴走とこの映画をオーバーラップさせて見ているわけだ。
 加えてエプスタインにはもう一つ顔があったという。彼はイスラエルの対外情報機関モサドに買収されスパイとして訓練を受けた工作員という陰謀めいた説だ。トランプはエプスタインを介してイスラエルに弱みを握られている。だからトランプはイスラエルのネタニヤフ首相が主張するイラン攻撃を受け入れた。弱みが何かは定かでない。
 
 ともあれエプスタイン人脈に連なるトランプが少女売春の関与が明らかになると、「大統領の弾劾」にもなりかねない事態に陥る。
 
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